※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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無自覚s
駆けつけてきた術師達が施術をし、たっぷりお説教をして去ったあと。
アークは気恥ずかしさから目を合わせられずにいたが、シャンカラの方はじっとアークの顔を見つめてくる。
「えっと……」
アークが身じろぎすると、
「良いんですか?」
真剣な声で尋ねられ、おずおずと視線を交える。
「……何が?」
「傷痕が残った場合、アークさん、高確率で僕の所へ嫁いでもらう事になりますけど」
「?」
話が急過ぎてよくわからない。そんな思いが顔に出ていたらしい。シャンカラは真面目な顔で語りだす。
「僕も、もしもの時は『アークさんをお婿に貰う』と言いましたが……アークさんと僕じゃ、違うじゃないですか」
「違う?」
「アークさんは仮に痕が残っても、それを補って余りあるくらい沢山の魅力をお持ちです。
片や、早死さ加減には定評のある龍騎士の僕ですよ? 早々に未亡人になりたい方なんて居ません。痕の有無にかかわらず、お嫁さんの来手なんてあるわけないでしょう。それに、傷も深いです」
「ん……色々反論したい事はあるけれど……つまり?」
「"アークさん、大分高確率で僕の所へ嫁いでもらう事になりますけど"」
同じ言葉を繰り返すシャンカラ。その眼差しの強さについ目を逸したくなるが、ここで逸したら不誠実な気がする。どうしたものか見つめ合ったまま悩んでいると、彼はだしぬけににっこり笑った。
「それにしても、アークさんの花嫁姿が見られるかもしれないなんて。きっと良く似合うでしょうね」
「え?」
どうしよう、話が飛びすぎて本気でよくわからない。それも顔に出ていたらしく、彼はもっともらしく頷く。
「僕は『お婿にもらう』と言いましたが、アークさんは『嫁ぐ』と言ったでしょう? 嫁ぐって、『嫁』という字を書きますよね。お嫁さんに来てくれるって事でしょう?」
待ってくれ。真剣な顔をして一体何を考えていたんだ!?
アーク、ぐるぐる。
この話をどう収めれば良いのか、皆目見当もつかない。
「え、っと」
必死に頭を捻っていると、恋愛経験皆無の龍騎士隊長は、最上級の笑みで言い放つ。
「色んな事が落ち着いたら、お迎えに上がりますね」
ついに、アークの思考回路がショートした。
目の前が真っ白になって倒れ込む。
「アークさん!? だ、誰かっ、アークさんがっ!!」
再び殺到してくる足音。
程なくして、シャンカラの病室の扉には、巨大すぎる『面会謝絶』の札が掛け直された。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6568/アーク・フォーサイス/男性/17歳/炎を断つ黒刃】
ゲストNPC
【kz0226/シャンカラ/男性/25歳/龍騎士隊隊長】