※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
-
金碧星の煌めく夜に
(――さて、どうしようか)
ようやくの思いで自宅に招き入れたアークの横顔を、シャンカラはこっそり見つめた。
白い肌の上、炎の光がちらちら踊り、揺らめく光に濡れた唇が普段より艶っぽく感じさせる。整った横顔は研ぎ澄まされた刃のように凛とあるのに、両手でカップを包む仕草はこの上なく愛らしい。
今すぐ抱きしめたくて堪らない。また先程のように膝に抱き上げ、愛しい面差しを真近で見つめて、髪を指で梳き思うまま口付けてしまいたい。金の瞳に映り込む炎にさえ仄かな嫉妬を覚える。
(こんな夜更けに自宅に上がってくれたんだから、正直期待はしてしまうけど)
アークが人一倍奥手なことは重々承知している。ここで焦って怖がらせてしまうようなことがあれば、二度と来てもらえないかもしれない。
(今夜は沢山腕の中に居てもらえたし、もう自重しないと)
自分に言い聞かせ、隣に座り大人しく紅茶を啜った。
けれど金色の双眸にじっと見つめられているのに気付き、どうにも落ち着かなくなる。振り向くと、確かにこちらを向いているのに微妙に目線が交わらない。その上ぱっと顔を背けられてしまう。ほんのり上気した耳許でピアスの碧い花弁が恥じらうように揺れるのを見、躾のきかない衝動が湧き上がった。
(お招きできたのは嬉しいけれど、自分の首を締めている気がするな、これ)
刀の話を持ち出して気を紛らわそうとしたものの、目を合わせてもらえないことが新たな焦りを生じさせ、とうとう堪えきれず抱き寄せる。
「さっきから少しも目を合わせてくれませんよね。一体どこを見てるんです?」
「どこって……別に、」
尋ねながら唐突に気付いてしまった。
アークが見ているのはこちらの唇。微妙に視線が合わないのはそのせいだ。
その理由を都合よく解釈してしまいたくなる気持ちに必死にブレーキをかけながらも、尋ねずにはいられない。
「何て言うか、」
「何て言うか?」
「きみの……、が、」
「僕の、何です?」
逸る気持ちからつい答えを急いでしまう。
金の瞳が頼りなげに彷徨う。ややあって、甘そうな唇が躊躇いがちに言葉を押し出した。
「その……してみたいなって。きみと――」
そう告げる表情がどれだけいじらしく慕わしいものか、アーク自身は知らないだろう。
その一言がどれほど自分を喜ばせ、胸を震わせているかなんて。
待ち望んでいた言葉が終わるのを待てず、シャンカラは吐息ごと奪うように唇を重ねた。
━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【ka6568/アーク・フォーサイス/男性/17歳/決意は刃と共に】
【kz0226/シャンカラ/男性/25歳/龍騎士隊隊長】