※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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白銀の地に住む彼が、極彩色の街の彼へ
雪と氷に覆われた小屋の中を、極彩色の街育ちの黒髪の少年と、白銀の地に住む雪色の髪の青年の話し声が穏やかに満たしていた。
思いつく事を気ままに唇に乗せては、相手の穏やかな声に耳を傾ける。
会話が苦手だと自認しているアーク・フォーサイス(ka6568)だが、シャンカラ(kz0226)は話を急かすでもなく、のんびりと次の言葉を待つ。また、興味を覚えると何についても細かく聞きたがるシャンカラに、アークは面倒な顔をせず1つ1つ答えてあげた。
そうして、ポットのお茶も空になった頃。
カタカタと窓が鳴り、ふたりは硝子越しに暗くなった空を仰いだ。
「いけません、雪になりそうです。そろそろ出ませんと、慣れない内は方角を失ってしまいます」
「君はどうするの?」
彼の包帯だらけの左脚を見て尋ねるアークに、シャンカラは部屋の隅に立てかけられた弓や剣を目で示す。
「僕はどうせ動けませんから。ここに置いてある予備の武具を手入れをしながら、一晩過ごすつもりなんです」
「そう、」
三日月のように弧を描く藍玉の瞳に、アークもまた金眼を細め腰を上げた。温かな時間の終わりに、一抹の寂しさが胸を過る。
――また来ても良いかな?
喉許までせり上がった言葉を、アークはぐっと飲みこんだ。
元はと言えば、シャンカラが忙しいあまり会う約束ができず、突然訪ねるに至ったのだ。アークがそう口にすれば、何とか時間を作ろう無理をさせてしまう事だろう。それに、時折ぽろりと顔を覗かす子供じみた表情は別として、大人びた微笑を浮かべる彼からは、その真意は探り切れない。
(言って、迷惑をかけるよりは……、……)
寂しさを羽織った外套で覆い隠すと、アークはシャンカラの前で一礼した。
「それじゃあ行くよ。お茶をご馳走様。脚、お大事にね」
そう言って踵を返した時だった。
ふいに手首を強く掴まれ、驚いて振り返る。と、シャンカラもまたそうしてしまった自分に驚いているように瞳を揺らし――ややあって、照れたように小さく行った。
「また、いつでも遊びに来てくださいね。待っています」
「……――、」
アークはしっかり頷いて応じると、今度こそ戸を開け小屋を辞した。
途端、肌を刺すような凍てつく風が頬を刺す。
「待たせたね」
傍らで待っていた飛龍に乗り、暗灰色の空へ飛び立つ。
それでも胸の内は、温かな時間の余韻にほっこりと温まっていた。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6568/アーク・フォーサイス/男性/17歳/誰が為に花は咲く】
ゲストNPC
【kz0226/シャンカラ/男性/25歳/龍騎士隊隊長】