※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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救えなくても、背負って、忘れない
アーク・フォーサイス(ka6568)にとって、縁とは存在意義だ。
すべての出会いには意味がある。
そして、意味があるのならその命は守らなければならない。
それはアークが自らに課した枷であり、その掟は絶対である。
「……戦った。懸命に」
アークの姿は、大規模宇宙ステーション『ニダヴェリール』にあった。
ロンドンにおける強化人間暴走事件は世界規模へと発展。その背後には黙示騎士シュレディンガーの策謀が巡らされていた。
我を忘れ、ただ破壊の限りを尽くす強化人間達。
アークは依頼の中で多くの強化人間と対峙してきた。
「このような所で何をしておる」
アークの背後からムーンリーフ財団のトモネ・ムーンリーフが声をかけてきた。
トモネもこの戦いの中で運命に翻弄された者の一人だ。
シュレディンガーにニダヴェリールを強奪され、月面基地『崑崙』へと迫る中――ハンター達はニダヴェリール奪還作戦を敢行。アークも内部へ潜入してコントロールルームへ向かうトモネの活路を見出だす奮戦を見せていた。
「星を見ていた」
アークの前には一面に広がる星々。
クリムゾンウェストもリアルブルーも、宇宙に広がる星の姿は何も変わらない。
月が二つある事を除けば、その光景はとても良く似ている。
「星か。こうしてみているだけで近くに地球があるようにも思えるな」
トモネはアークへ並ぶように立った。
黙示騎士の戦いの中で地球は凍結される事となった。クリムゾンウェスト出身であるアークにとっても大きな出来事であった。
「俺は戦いの中で強化人間を倒してきた。本当に、たくさん」
「…………」
アークの言葉にトモネは黙って耳を傾ける。
アークが倒してきた強化人間改造にトモネのムーンリーフ財団も一役買っている。シュレディンガーに騙されていたとしても、それは紛れもない事実だ。
アークもその事は承知しているが、敢えて話を続けた。
「彼らにも彼らの人生があった。夢があった。想いがあった。
俺は、この手で彼らの……すべてを奪ってしまった。戦う前に覚悟はしたんだが……」
後悔、ではない。
アークはあの状況では戦う他、道はなかった。
それはハンターとして正しい行為であった。
だが、今もアークの手に残る感触がアークの覚悟を激しく揺さぶる。
その様子を見ていたトモネは、大きく息を吐き出した後に話し始めた。
「おぬしは良く働いてくれた。おぬしがそこまで責任を感じるなら、私はどうなる?
このニダヴェリールに居た強化人間はすべて私が殺したようなものだ。おぬしらがニダヴェリールへ突入した時点で堕落者となっていたそうだ。つまり、彼らは全員死亡しているも同然。その責任は彼らを強化人間とした財団、すべて私の責任だ」
「それは違う。きみもやるべき事を懸命にやった。それは皆が知っている」
トモネの言葉をアークは否定した。
財団総帥といっても未だ幼い少女だ。
その小さな背中にリアルブルー有数の企業が双肩にかかっている。それだけでも重圧なのに、ニダヴェリールを建造。奪われたと知れば、ラズモネ・シャングリラに乗艦して自ら強奪犯のユーキ・ソリアーノを説得している。
アークは、トモネが奮闘している姿を傍らで見てきた。
あのような行為を取れる者が、ハンターであっても何人いるのか。
アークの否定。
トモネはそれを待っていたかのように口を開いた。
「そうだ。私の出来うる事をしただけだ。そして、それはおぬしも同じではないか?」
「…………」
「おぬし、強化人間と戦う時に誓った事があるそうだな」
トモネが投げかけた言葉。
どこでアークの言葉を聞きつけたかは知らないが、アークは言われるままに答える。
「彼らにもう悪夢は見させない。救えなくても、背負っても、忘れない。……そう、誓ってた」
「ならば、その覚悟は決してブレてはならん。それがおぬしが倒してきた強化人間達の手向けになる」
決して変わらない覚悟。
その覚悟が崩れる時があれば、倒してきた強化人間達に申し訳が立たない。
一度決めたのなら、茨の道であっても突き進まなければならない。
それが、アークにとってできる彼らへの餞だから――。
「そうだな。なら、きみも覚悟を決めないいけない」
「ん?」
「大切な物を取り戻す戦い。リアルブルーにもいろいろあるんだろう?」
ニダヴェリールを取り戻しても、過酷なトモネの運命はまだまだ続く。
その道は簡単な道程ではない。だが、トモネの顔には悲壮感は見られない。
何故なら――。
「そうだ。だが、何とかなる。おぬしらハンターもおるのだからな」
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6568/アーク・フォーサイス/男性/17/舞刀士】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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近藤豊でございます。
この度はおまかせノベルの発注をありがとうございます。
今回はニダヴェリールを奪還した直後の一幕を描いてみました。本編では多くの強化人間達が時に悲劇の主人公となり、時に悲劇を生み出す加害者となりました。それはあまりに残酷な運命でしたが、その中でハンターの皆さんは取るべき最良を選択されていたと私は考えています。
戦いはまだまだ続き、苦難と覚悟の道程は続きます。その状況を報告できる機会がございましたら、また宜しくお願い致します。