※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
幸運のお守り

 雪都は悩んでいた。

 贈り物をする、そう決めたのはいいとしよう。
 果して何を贈るのか。
 ――これが大いなる問題だ。

 ぶらぶらと街を歩く。
 年末の街は忙しなくも賑やかで、店先の呼び込みの声にも熱気があふれている。

「お兄さん! 彼女へのプレゼントなら、このネックレスよ!」
「美味しいお菓子はどう?」
「あったかいマフラーに手袋だ! もってけ出血大セール!」

 雪都は苦笑を浮かべる。
 ふと気付くと、前から大きな荷物を抱えた男が歩いてきた。
 とにかく大きな箱だった。男はほとんど前が見えていないように思える。
 そこにリードを引きずった子犬が横から走ってきた。すぐ後ろを若い娘が走ってくる。
「ちょっと、まってったらー!」

 ――危ない。

 雪都が駆け寄る。

「きゃあ!」
「うわ!」
「キャイン!」

 雪都は男の箱を受け止めて支え、その箱でよろめいた女の子を受け止める。
 ぼすん、と音がしたが、女の子はどうにか転ばずに済んだ。

「ごめんなさい!」
「いや、こっちこそ。兄さん、有難う。助かったよ」
 男は箱を地面に下ろした。外側はちょっとへこんでいたが、中身は無事だったようだ。
「誰も怪我しなくて、商品も無事でよかった。さすがは『ラッキースター』だな」
「ラッキースター?」
「これさ」
 男が見せてくれたのは、クリスマスツリーにつける星型の飾りものだ。
「ツリーに飾るだけじゃなく、身につけていると幸運を呼ぶとも言われてるのさ」
「……そうか」

 雪都は少しの間考え込んでいたが、男に顔を向けた。
「これはどこで売っているんだ?」
「その先の店だよ。欲しいのかい? じゃあ助けてもらったお礼に、ひとつどうぞ」
 男は笑いながら雪都の手のひらに星の飾りを置いた。
「いや……それではだめなんだ」
 雪都は頭を掻いた。


 その後、男の店で買って包んでもらった『ラッキースター』をポケットに入れ、雪都はひとりごと。

「怪我をしないのは保証済みだからな。……ちょうどいいだろう」

 自分へのちょっとした言い訳も、プレゼントにおまけして。


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雪都様

 おまけノベルのご依頼、誠に有難うございます!
 何を書くか迷ったのですが、WTシングルで出てきたプレゼントを雪都さんが選ばれた理由を、私の方で勝手に考えてみることにしました。
 もし別の理由があったら申し訳ありません。
 雪都様とご友人おふたりに、これからも素敵な幸運が訪れますように!

樹シロカ
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
雪都(ka6604)
副発注者(最大10名)
クリエイター:樹シロカ
商品:おまけノベル

納品日:2017/02/28 17:57