※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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ヨアキムの理想像
「ほー、戦いの立ち振る舞いねぇ」
ノアーラ・クンタウの地下にある辺境ドワーフの大集落。
依頼でそこを訪れたハヒヤ・ベリモル(ka6620)は、先日まで悩んでいた話をドワーフ王ヨアキム(kz0011)へ話してみた。
ヨアキムは今まで戦いでの立ち振る舞いに悩んだ事も無いらしく、珍しいそうに話を聞いていた。
「そうにゃ。いめーじは大事にゃ」
「そういや、ワシは物心ついた時から工房で鉱石と向き合ってたからな。違う生き方なんて考えた事もねぇな」
ヨアキムも地下城『ヴェドル』が生誕の地だ。ここを生活の拠点にして、幼き頃から工房で技術を磨いてきた。
言い換えれば、ヨアキムは機導師としての生き方以外選択肢がなかったのだ。
「面白いから想像してみるといいにゃ」
「そうか。じゃあ、ワシは魔術師がいいな。こう手から炎を出してバシっと敵にぶつけてやる訳だ」
炎なんて工房で毎日向き合ってるはずなのだが、素直なハヒヤはヨアキムに促されるまま魔術師となったヨアキムを想像してみる。
魔術師が着るようなローブに身を包み、杖を持って呪文詠唱。
ローブから覗くヨアキムの髭が風になびく瞬間、眼前に現れる火球。その火球が次々と敵に突き刺さり、大きな爆発を引き起こす。
自らの攻撃がヒットしたヨアキムは、一人そっとほくそ笑む――。
「にゃんか違うにゃ」
ハヒヤは、はっきりと言い放つ。
普段の豪快なヨアキムを知っている人間にとって、ヨアキムが黙って詠唱を続けている姿に違和感を覚える。
それはヨアキムも同じようだ。
「やっぱりか? ワシもなーんか、敵を拳でぶん殴った感覚がねぇと戦った気がしねぇんだよなぁ」
敵を素手で殴っている時点で、目指すべきクラスは別だった気がするハヒヤ。
その事について敢えて触れてみる事にした。
「にゃ? それにゃら格闘士がいいんじゃにゃいかにゃ?」
「……うーん。
そうかもしれねぇが、やっぱりワシは鉱石と向き合うのが好きなんだよなぁ」
ヨアキムは腕を組んで悩んだ。
ヨアキムからすれば生まれた環境があって、今の自分がある。
今の自分が嫌いではないし、無理に変える気もない。
何だかんだ言っても、ヨアキムは機導師という生き方に愛着があるのだ。
「それにゃら、今のままがいいにゃ。性に合ってるのを選ぶべきだにゃ」
「そうだな。ワシはこの生き方しかできん。漢として貫き通すだけだ。ぶわっはっは」
想像していた魔術師のヨアキムを二人は、思い切り笑い飛ばす。
人には、その人に合った生き方がある。
それを見つけられた人は幸せだ、と学んだハヒヤだった。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6620/ハヒヤ・ベリモル/女性/14/霊闘士】
【kz0011/ヨアキム/男性/54/機導師】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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近藤です。
おまけノベルの方をお届け致します。
こちらは辺境ドワーフ王のヨアキムが同じように戦う姿を想像してみたという流れですが、完全に気色の悪い魔術師になってしまいました。
また機会がございましたらノベルの発注をお待ちしております。