※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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夢の向こう側で
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「あっれー!? メアリさんこんなところでどうしたのー?」
そんな声にメアリ・ロイド(ka6633)は目を覚ました。
「……え? ドロシーさん……!?」
目の前の人物がドロシー(kz0230)だと気付いてメアリは慌てて身体を起こした。
「え? 私、もしかして死んだ……?!」
パニックを起こして自分の身体をバタバタと触って確かめているメアリに、ドロシーは楽しげに笑う。
「いや、死んでないんじゃ無いかな? だって、ほら」
そう言って指差すドロシーの頭の上には金色の輪っかが浮いていた。
「これがメアリさんには無いから、夢だよ」
「……夢……?」
「キットネ!」
夢と言われても、では一体自分はこの状況になる前まで何をしていたのか。
「……どうしよう、全く思い出せない」
「まぁ、そのうち出られるんじゃないかなー?」
ドロシーは根拠の無い事をあっけらかんと言ってのける。
そんなドロシーの落ち着きっぷりに徐々に毒気が抜けて、メアリーは大きな綿の塊を引き寄せるとぽふっと顔を埋めた。
「……ずるい。ドロシーさん、私とは約束してくれなかったのに、こんな、不意打ちで出てくるなんて、ずるい」
「えぇー。そこはゴメンって思ってるよ? でもさ、ほら、もう愛と勇気をお届けする魔法少女じゃなくなっちゃったし。むしろメアリさんの方がベテラン機導師だし」
「むーっ。こうなったら、私の惚気話にとことん付き合って貰うんだからーっ!」
「おー! どんとこーい!」
そうして始まるメアリの恋バナをドロシーは真剣に聴き入った。
その後は他愛ない工学の話しなんかをしていたのだが、唐突にどこか遠くでベルの音が聞こえ始めた。
「あー、時間だ。もう行かなきゃ」
「何処へ?」
「うん。ちょっと、カミサマに呼び出し受けてて」
「へ?」
驚きと共にカミサマとは大精霊の事だろうかと疑問の浮いたメアリの横で、ドロシーは「私絶対宗教違うんだけどなー、いいのかなー」なんて言っている。
「とま、言うわけで。じゃ、メアリさん、達者でな!」
「キャラ違うくない?!」
「んー……何て言うんだっけー?
人生リセットボタンじゃなくて……そうそう、“強くてニューゲーム”だ!
また“次の私”とどっかで会ったらよろしくねー?」
「ノリ軽っ!?」
そんなテキトーなノリでドロシーはふわふわと空へと上がっていき……
――メアリは目覚まし時計を止めたのであった。
━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
この度はご依頼いただき、ありがとうございます。葉槻です。
おまけまで有り難うございます。
どちらかといえば、本ノベルが終始シリアスだったのでこちらはふわふわっとしてみました。
FNBの世界に輪廻転生があるのかどうかは寡聞にて存じませんが、少なくともドロシー、仏教系じゃないよなぁ……なんて思いつつも、今の流行に乗せてみました。
そんなわけで、少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
この度は、ステキなご縁を有り難うございました!