※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
-
もしかしてこんな楽屋裏
ぼんやりと。高瀬 康太(kz0274)の意識は何もない空間を漂い続けていた。
……ここはどこだろうか。どのくらい、こうしていただろうか。
「何いつまでもそうやってぼんやり過ごしてるんですか――い!」
そうして康太に訪れた初めての変化は、ハリセンで叩かれるような衝撃だった。
「な、何っ!? 何事ですか!?」
「そうやって未練残して折角この世に漂ってるんだったら、さっさと夢枕くらい立ってあげなさいこの鈍間幽霊さんめ!」
「の、鈍間幽霊!? 僕がですか!? 誰が……と、言われると、確かに死んだ記憶は……」
「自覚しましたか! では行け彼女の元へ!」
「い、いや別に僕は彼女に未練を残すような真似は……というか貴方は何者なんですか!」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました。これでもちょっとは名の知れた恋愛成就の神!」
「成程……と言いたいところですが……本当なら死んだ人間に構ってる前にやることがあるのでは?」
「そうなんですけどー。そうは言っても最近の子は中々。正月でも無いとお参りにも来てくれないものだから。暇だからこの際幽霊でも歓迎する方針に」
「いやどんな理屈ですかそれは」
「そうやって幽霊のカップルさんをお招きしてたら、いつの間にか心霊スポットとして有名になっててますます人が寄り付かなくなる結果に」
「そんな理由で心霊スポット化ですか!? 馬鹿なんじゃないですか!? いや馬鹿です!」
「断言した! 酷! 酷いから無理矢理彼女の夢に落としてやる! 決定!」
「ちょっと待ってください!? だから僕は……!」
「いいからイチャイチャを! 見せろ! サービスであんたが死んだ自覚も夢の間は記憶改ざんしといてやるから!」
「完全に私欲じゃないですかーーーー!」
「……ん?」
メアリ・ロイド(ka6633)はゆっくりと目を覚ます。
「なんか……幸せな夢を見てたような。……なんだっけ」
記憶にはない。それが妙に惜しまれる気がして。
「康太さんの夢だったりして」
もしそうなら、たとえ目覚めて名残惜しいとしてもまた見たいな、なんて思った。
「そう言えば……今作業中のこのあたりには、恋愛成就の神社があるんだっけ?」
心霊スポットとしても有名だそうだが。
恋愛にもう用はないとも言えるが。また彼の夢を見せてください、なんていうのもありだろうか。
幽霊が来る神社だっていうなら、なおさら。
「……幽霊は怖いけど……昼間なら、大丈夫かな?」
━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ご発注有難うございます。
おまけノベルという事でこんなおふざけ。
心霊スポットというオーダーからなぜかこんなアホな展開が思いついてしまいました。
何がしたいかというとつまり、あれがメアリさんの見ている夢だとしても、そこに出てきてる高瀬少尉はもしかして本人の意思がそのまま反映されているあれなのかも……とか。
まあ、そんな夢があっても良いかな、と。
幽霊とか神様とか、本来はFNBの世界観にはそぐわないかもしれませんが、まあ、IFでおまけだしいいかなーと。
そんなわけで。
ご発注、ありがとうございました。