※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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マヨイゴト。
辺境ハンターオフィスの休憩室。
シエルが持ってきてくれたクッキーをもぐもぐ頬張っていた玲は、シエルの手が止まりがちなことに気付いた。
「どうしたの、食べないの?」
「えっ、食べてるよー」
笑って新たな1枚を手に取るものの、齧るペースは玲の1/4ほど(玲ががっつき気味なのはさておいて)。
玲はさっき声をかけた時も、シエルがぼうっとしていたことを思い出し、ちょっと心配になる。
「悩み事? 僕で良ければ聞くけど」
「そんなんじゃないよ、ダイエット中なだけっ」
片目を瞑って見せるシエルは相変わらず華があるけれど、どことなく翳りがあるように感じられて。玲は口に残っていたクッキーを紅茶で流し込んだ。
「そうかなぁ。なら良いけど」
何となくはぐらかされている気がして、玲は椅子の背もたれに深く身体を預ける。
シエルは玲にとって、紅界に来てからできた初めての"ともだち"。
そんなシエルが何か悩んでいる風なのに、力になれないどころか打ち明けてすらもらえない自分が、何だか情けなく思えて。
するとシエルが慌てて身を乗り出す。
「ホントに何でもないんだよぉ玲くんっ」
「そー?」
「うんっ。えーっと……そう! 強いて言うとね、勉強しようとお他所の報告書読んでみたら、何か考えさせられちゃった、みたいなっ」
「へえ?」
今度は玲が身を乗り出すと、何故か同じだけ身を引くシエル。それから一瞬テーブルに視線を落とし、おずおずと玲の顔を見返した。
「……その報告書でね、あるハンターさんが、自分のともだちによく似た敵を倒さなくちゃいけなくなって……ちょっと迷うんだけど、最後は倒すの。玲くんだったらどうする?」
思ってもみなかった問いかけに、玲は思わず考え込む。ただし、またクッキーに手を伸ばすのは忘れない。ぽりぽり齧りながら想像してみる。
「シエルによく似た敵ねぇ……いやでも似てるだけじゃん? やりにくいだろうけど、躊躇ってる内にやられちゃったら、本物のシエルに心配かけちゃうだろうしー……って、何?」
話す内、シエルの頬が紅潮していくことに気付き、玲は首を傾げた。シエルはわたわたと視線をさまよわせながら、
「えっと、あのっ、ね? 玲くんが迷わずボクの名前を挙げてくれたから、その、嬉しいなって」
「!」
言われて気付き、玲も真っ赤になる。
「うっわ、忘れてー!」
「えへへーヤダ♪」
やんやかやあれど、少年達は今日も平和だった。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6648/シエル・ユークレース/男性/15/なにごとも楽しく♪】
ゲストNPC
【kz0220/香藤 玲/男性/14/甘味中毒駄ハンター】