※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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父の生まれた世界で
「…………」
ぎゅっと、踏みしめてみる。
足許の地面。
まずこれからして、普段慣れたものとは違う。
凹凸がなく平らで、これなら車輪も転がり易いだろうな、なんて氷雨 柊羽(ka6767)は思う。
アスファルト、と言うのだそうだ。
父の生まれたこの国では、おおよその道がこれに覆われているらしい。
ただ、歪虚の襲撃により、ところどころひび割れていて、それが何とも痛ましかった。
目の前に建つのは『駅舎』というもの。
柊羽が今まで見たことともないような建築方法で建てられている。
その奥には細い細い鉄の道――『レール』が、砂利の上を這っていた。
それは視界が届く限り途切れず繋がっていて、地の果てまで続いているんじゃないかと錯覚しそうになる。
「……不思議だな」
柊羽は、この蒼き世界出身である父の顔を思い浮かべる。
歪虚討伐の依頼を受け降り立った、この見知らぬ世界。
それでも柊羽の身体には、この世界で生まれた父の血が流れている。
この世界の子として生まれ、この国で学び育ち、今は柊羽達のいる紅き世界の森で暮らしている、父の。
初めて蒼界を訪れてみて、今まで何となく当たり前のように思っていたことが――そして己の中に流れる、紅と青が混ざった血が、とても不思議なものに感じられた。
と、柔らかな風が柊羽の銀の髪を揺らした。胸いっぱいに吸い込んでみる。
崩落した建物から漂う粉っぽさはあれど、緑の匂いがした。
北鎌倉は山が多い土地だ。
世界を違えても、緑の匂いは変わらない。どこか心を和ませてくれる、優しい匂い。
「……突然クリムゾンウェストに転移してきた時……父さんもこんな風に、緑の匂いに安心したりしたのかな……」
だから今も森に住んでいるのかもしれないな、なんて柊羽は思った。
思えば、父から蒼界の話はよく聞かされたが、紅界に渡ってからの話はあまり聞いたことがないように思う。それとも、幼い頃に聞いたので、あまり覚えていないだけだろうか。
今度父に会ったら、改めて尋ねてみるのも良いかもしれない。
そんな事を考えてると、
「柊羽おねえさーん! そろそろ始めるよー!」
柊羽を呼ぶ声がする。振り向けば、そこには様々な種族、様々な土地で生まれた、共に戦う仲間達の姿が。
「ん、今行くよ」
答えて、柊羽は愛用の弓を手に歩き出す。
父の愛したこの地を、歪虚どもの手から奪還するために。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6767/氷雨 柊羽/女性/17/猟撃士(イェーガー)】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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納期いっぱいお時間頂戴してしまいすみません。お姉さん思いな柊羽さんの思い出話、お届けいたします。
先達て納品したお話を柊羽さん視点で、という事でしたがいかがでしたでしょうか?
ひとつのお話をふたつの方向から書かせていただくという、滅多にない貴重な体験をさせていただきました。
しっかり者で、戦闘でもクールに活躍される柊羽さんにも、子供時代があったんですね!(当たり前ですが)
イメージと違う等ありましたら、お気軽にリテイクをお申し付けください。
この度はご用命下さりありがとうございました!