※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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隊長殿の言う事にゃ
「恋?」
突然話を振られ、シャンカラは目を瞬く。
彼らの警邏隊が早く帰還したのは、片手間にしていた狩りの収穫が思いの外多くなり、一旦置きに来たためだった。
ニーロートパラはそれを運ぶのを手伝いながら、例の問いかけを彼にもしてみる。
「はい。恋ってどんな感じなのか、シャンカラさんはご存知かなと」
今度はまともな回答が得られるかと期待したニーロだったが、
「さあ、何分僕はまだ恋をした事がないので。ダルマさんに聞いては如何です?」
『お父さんに聞きなさい』という母親の定型句めく返答に、肩を落とした。
「聞いてはみたのですが、その」
やや頬を赤らめてダルマの回答を告げると、シャンカラは真っ青になって、
「ダルマさんがすみませんっ」
直角に腰を折った。その詫び方に手慣れた気配を察したニーロは、思わず苦笑する。
「いえ、ダルマさんなりの照れ隠しなのでしょうし」
「んー……照れ隠しと言うか。悪く思わないであげて欲しいんですけど……」
シャンカラは困ったように頬を掻き、内緒ですよと言って顔を近寄せる。
「ダルマさんが想われていた方は、その……もう星に還ってしまわれたんです」
「!」
星に還る。それは肉体を失いマテリアルとなって大地に還ることであり、つまりは死を意味する。
意外な言葉に、ニーロは思わずシャンカラの顔を凝視した。彼もその故人と縁があったのか、少し淋しげに微笑む。
「『想われていた』というのは適切じゃありませんね、その反応だと今もまだ想っているんでしょう。だから、自身の恋愛について話すのはまだ辛いんだと思います。それでも、ニーロさんのような若い子を下品な話で煙に巻くのはいただけませんが……どうか、嫌いにならないであげてくださいね」
言葉が咄嗟に出てこず、ニーロはしっかりと頷き返す。
それから再び並んで歩き出すと、シャンカラは何もなかったかのように首を傾げた。
「ニーロさんには気になる方ができたんですか?」
「えっと、それは」
「ニーロさんが惹かれるくらいですから、きっと素敵な方なんでしょうね」
「そ、そういうわけではっ。シャンカラさんはどうなんです? 気になる方とか」
「僕は恋愛の前に、隊長としてもっとしっかりしませんとー」
「……何だかはぐらかされたような気が」
ちょっぴりむくれて唇を尖らすニーロを、シャンカラは目を細めて見守った。
「ニーロさんは、どうぞ素敵な恋をなさってくださいね」
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6990/ニーロートパラ/男性/19歳/碧蓮の狙撃手】
ゲストNPC
【kz0226/シャンカラ/男性/25歳/龍騎士隊隊長】