※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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大かい獣ミアゴンとう場
大きな時計とうが倒かいして、人びとのひめいが街にひびく。
がれきが空から降ってくる、その中からきょ大な“かげ”が姿をあらわした。
「ニャァァァァアアアス!!」
大かい獣ミアゴン。
リゼリオに上りくしたピンク色のかい獣は、東のあん黒海からとつ如としてあらわれた。
その目的は不めい。
破かいのかぎりをつくす姿に、人びとはただきょう怖した。
「ニャァァァァアアアス!!」
ミアゴンがごろりと身体を丸めて転がると、そのしょう撃で地面がゆれ、逃げまどう人びとはつぎつぎに転んでしまう。
ごろごろごろごろと転がって、やがて止まったミアゴンは、座った姿せいのままむくりと身体をおこして、ぼんやりとした目であたりをみわたした。
「現れたな、大かい獣ミアゴン! これ以上の破かい行動は、われら『HUNTER』が許さないぞ!」
ピンク色の巨体を見上げながら、ミアゴンの周りをとり囲むクリムゾンカラーの制服に身をつつむ戦士たち。
「ああ、リゼリオ防えい隊だ!」
「ハンターがきてくれたぞ!」
人びとはその姿に目をかがやかせて、声をはずませる。
リゼリオ防えい隊「HUNTER」。
未かくにん生命体「VOID」からリゼリオをまもるため、非せいふどく立きかんソサエティによってそしきされた街の守ご者たちだ。
ミアゴンの生たいはいまだ不明。
VOIDであるかどうかも判だんがつかない中であるが、リゼリオをおびやかす相手なら、ハンターは命をかけて戦うのだ。
「ニャァァァァス!!」
ミアゴンはピンク色の毛をもふもふさせながら、ごろごろでんぐり返し。
「ミアゴンを止めろー!」
「おう!」
ボールのように丸まったミアゴンに、ハンターたちのじゅう撃が炸れつする。
しかし、ミアゴンにはまったくきいていないようで、ごろごろ建物を壊しながら街のなかを転がりまわる。
「ダメだ! 歩へいの武器じゃどうにもならない!」
「それでも、われらがやるしかないのだ!」
「ニャァァァァ」
ひっしに街のはかいを食い止めようと、攻げきをつづけるハンター。
しかしミアゴンはむくりとおきあがると、のんきに大あくびをしながらうんと背をのばした。
そんな時、大空から白銀の影が街におり立つ。
マテリアルのかがやきを胸と瞳にやどした、光の戦士。
その名も――デュミナスマン!
「デュワ!」
「デュミナスマンだ!」
「みんな、デュミナスマンを援護しろ!」
デュミナスマンのとう場に、ハンター隊員たちは彼を援ごするよう隊れつをくみなおした。
「デュワ!」
「ニャァァス」
デュミナスマンとミアゴンは向かいあい、タイミングをはかるようにお互いじりじりと、距りをつめる。
先にうごいたのはミアゴン。
ごろりとでんぐり返しで、デュミナスマンに迫る。
デュミナスマンはそれをジャンプして回ひ。
避けられたミアゴンは起き上がって辺りを見ると、まわりに転がる手の平だいのがれきを見つける。
ぴよんと飛び起きたミアゴンはそれをいくつか手に取って、片足で飛びはねながら、お手玉をはじめた。
どしん、どしん、くるくる。
大きな身体が飛びはねるたび、大きな地しんが街をつつんで、小さなたて物が次つぎと崩れていく。
デュミナスマンも、転ばないようバランスを取るのでせい一杯だ。
「ニャス、ニャス、ニャァァス♪」
いっぽうのミアゴンは鼻うた交じり。
しかし、やがてあきたのか両手を広げてぽーんとがれきを空にほうりなげた。
「デュワッ!」
どすどすと直けい5mはあるがれきが街のいん石のようにふってきて、デュミナスマンは空を飛んで、それを街の外へとけり飛ばした。
そのままミアゴンの後ろに着地したデュミナスマンは、無防びな尻尾をつかまえる。
「ニャァァス?」
「デュワ!!」
尻尾をつかんだまま、ぶんぶんと回転するようにミアゴンをふりまわすデュミナスマン。
「ニャス♪ ニャス♪」
竜巻のように回されながら、ミアゴンはどこか楽しそうだ。
「デュワ!」
「ニャスー♪」
デュミナスマンが手を離すと、ミアゴンはぽーんと街の外へと飛んで行った。
そのまま大きな身体は砂浜をこえて、ミアゴンがやってきたあん黒海へと――どぼーん!
「――ニャス!?」
ビクンと身体を揺らしてミアは飛び起きた。
反動でコタツが大きく跳ねて、上に乗っていたお茶のコップが宙を飛んでミアの頭に落下。
あっという間に全身ずぶ濡れになってしまった。
「あっちゃあ……びっちょりニャス」
アツアツだったお茶がとっくに冷えてしまっていたのが不幸中の幸いか。
それでもびしょぬれになってしまって服をつまみ上げながら、ぽつりと、どこで聞いたのかも記憶にない言葉を呟いた。
「助けて、デュミナスマーン」
ぶるぶると頭を振って水気を飛ばすと、コタツの中から這い出す。
お風呂にでもいこーっと。
ぴょんぴょん飛び跳ねながら歩いていく姿は、どこか夢の中の大怪獣に似て楽しげだった。
――了。
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【ka7035/ミア/女性/外見20歳/格闘士】