※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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繋がる温もり
既に暮らし馴染んだ自室で、大樹はベッドの上で丸くなっているひなたを撫でている。
この家の養い子となったその日は新年あけた日でもあり。めでたい日は重なった方がよりめでたいからと、大樹の誕生日もその日になった。
それからは毎年、深守一家は皆が揃って特に賑やかに過ごしている。
(今年は、何がいいかな……?)
1月を誕生日として祝ってもらったのだからと、2月のバレンタインは家族愛と……感謝を伝える日と決めていた。
勿論この日に限らず、何かしらものを贈る行事を知れば、それにかこつけて贈り物をしている。
最初こそ世話になっているからという気持ちが先にあったけれど。今はただ『家族だから贈りたい』その気持ちが一番にきている。
羽音に気付いて窓を開ければ、空が部屋へと飛び込んでくる。
「おかえり。今日は何を見せてくれるのかな」
ヒトで言えば散歩。モフロウで言うところの狩りから帰ってくるたびに成果を見せてもらうのだが、見応えのあるものが多い事もあり大樹は毎度楽しみにしている。
(参考になるかもしれないしね)
専用になっているハンカチを大樹がテーブルの上に広げれば、空が掴んでいたモノをころりと転がす。
窓から差し込む光を反射して、きらりと光る。
「……もしかして、原石、かな?」
テーブルの上空を得意げにぐるぐると回る空に尊敬も込めた視線を向けた。
(お守りみたいな……装飾品?)
出来れば素材も自分で手に入れられないだろうか。加工もやってみたいけれど、それは時間との相談も必要そうだ。
大樹の部屋には空達だけでなく、相棒達専用の箱も置いてある。彼等に使う装備品だったり、空やひなたのように狩りの成果をしまったりする専用の宝箱。
「ねえ空、見つけた場所に、今度僕も連れて行ってくれる?」
持ち帰った石は綺麗に磨いて、空専用の箱にしまいながら問いかける。
同意のを示す声が返ったところで、窓の外から聞こえるのはリオンとリアンの声。
(もう散歩の時間なんだ)
今日も決まらなかったな、と呟きを零す大樹の表情は柔らかい。
贈り物を考えるその期間も楽しいし、大切な時間だ。
もっと撫でろと名残惜しげに鳴くひなたを軽く一撫で。
「続きは戻って来てからね」
それまで空と遊んで待っていて。
庭へ向かいながら、ふいに零れた言葉。
「僕は、生きてるよ」
たくさんの家族に囲まれているよ。
君が願ってくれたから――
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka7084/深守・H・大樹/男/30歳/疾影術士/会えずとも、想いはきっと届くから】