※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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害虫を駆除する最狂な手段
取り回しの確認は事前に終えていた。
途中で補給が出来るなんて甘い考えをレオーネ・ティラトーレ(ka7249)は持っていない。それは軍属時代の鍛錬と経験による確信だ。
いかに素早く次の筒を取り出せるかが今最も重要視されるべきことだ。
撃ちきったモノはその場に放り投げるつもりでいる。
勿論移動中に音がしないよう、そして取り外しやすいようにホルダーにも改良を加えている。
「そろそろ仕上げといこうじゃないか」
一本ずつ丁寧に、特製の溶液を補充していく。
赤、黄、緑は定番中の定番だろう。三種類を同じ数になるように用意していく。一本では足りる気がしない為、複数を用意するのは当たり前だ。
この時点で用意した筒は半分をきった。むしろまだ残っていると考えるのが常識かも知れないが、レオーネの手は止まらない。
透明に見える溶液を補充していく。室内は少し薄暗い為に分かりにくいが、明かりに透かして見れば、うっすらと濁っているように見える代物だった。
補充された筒には薄い油紙で蓋をしていく。溶液が零れないようにするのはもちろん、突き棒ですぐに破れるようにいくつか試した結果だ。
突き棒の方にも、油紙に穴があけられるように先の一部を尖らせる細工を施している。全ての水鉄砲に突き棒を用意するとデメリットが大きかった為の工夫である。
撃ちだせる回数は多い方が良いし、運べる筒は多い方が良いに決まっている。
既に身に着けていたホルダーに筒を装着していくのだが、その順番も気にかけていた。
はじめはマスタード入りの黄を三本。三本あれば十数回は撃ちだせるはずだから、相手の人数が多少多くても平等に対応できるだろう。
次の三本はデスソース入りの赤で、次が山葵入りの緑を三本。やっと濁りのある透明を三本。
「無事にクエン酸が手に入って良かったぜ」
先の三種で熱くなるだろう体を冷やすための溶液だ。しかし痛みを与える点では四種全てが共通している。
「ずっと熱いと慣れてしまうしな」
身体を冷やして熱さを抑えてやれば、また熱さを感じることが出来るはずだ。
それは慈悲ではなく。継続のために必要な、正義の悪意。
「残りは……結構あるな」
どれも効果が在ることは実証済みの代物だ。
全て当てた後なら順番は無意味も同然だろう。時折透明溶液の筒を挟む程度に気にはして、全ての筒をホルダーへと収めるのだった。
「そろそろ時間だ」
━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
【ka7249/レオーネ・ティラトーレ/男/28歳/猟撃影士/彩度は想いの強さ】
想いを溶かせるだけ溶かし込んで、不純物は濾して取り除いた、純粋で色鮮やかな溶液達。
本当に使用されたのかどうかは……どうなのでしょう、ね?