※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
で、逆パターン

 ──痛みに、浅い眠りから呼び起こされる。もはや慣れた、その繰り返し。
 そんな中、丁度目覚めていたタイミングでノックの音がした。
「……はい」
 聞こえるだろうギリギリの声で返事をする。目的を遂げつつ身体の負担が最小になるように。こんなこともすっかり身についてしまったと自嘲しながら。
 そっと、遠慮がちに扉を開けながら、窺うように伊佐美 透がまず、顔だけを覗かせてきて。
 予感はしていた──だから、笑顔を作る準備も。そうして頷くと、透は静かな動作で部屋に入ってくる。
「ああ、寝たままでいい。寝ててくれ……依頼で大怪我したって聞いて」
 軽く手で制しながら透が口を開いた。
「それでわざわざ? 心配かけてごめん。でも大丈夫だよ。大したことないから」
 言われた通り首だけ向けて答える。平気そうな声を保てているだろうか。
「……うん。実際、入院してるなら俺に何が出来るわけでもないし、却って負担だろうから、顔だけ見てすぐ帰ろうかと」
 そこまで聞いて、そっか、と真は、安堵──と、正直に言えば少しの落胆──しかけて。
「思ってたんだけど。受付に君に見舞いだと告げたら、『鞍馬さんの友人ですか? あの人しょっちゅう抜け出すんで見張っててくれません?』って言われたんだがそれは」
 ………………。
「大袈裟ダヨ。ただほんのちょっとダケネ?」
「うん、目を合わせて話そうか真」
 やりとりに、笑って近づいてきて、ベッドの傍に腰掛けた。
 無理するな、とは言われない。せずにいられない気持ちを、彼も知ってるだろうから。
「少し何か話していこうか。その怪我でじっとしてるのも辛いだろ」
 ……けどやっぱり、ろくなことではない、という事も。
「ごめん……でも本当に大丈夫だから……」
「ああ、真は良いよ。俺が勝手に喋ってよう」
 謝罪や遠慮の言葉すら遮って、そうして透は本当に勝手に話し始めた。
 真なら何が良いかな。やはり依頼の話か。そういって彼が語るのは最近読んだという報告書についてだった。実際気になる話でもあったが、聞き取りやすい声と絶妙な抑揚をもって語られるそれは一つの朗読劇のようで。
(あ……駄目だ……)
 心地……良くて……。
「良いよ。ろくに眠れてないんだろう? その為にやってる」
 その声がまた……ひどく優しくて。
「……ごめん……ごめんね……」
 何度も繰り返しながら。
 それでも、今この時の、穏やかな眠りへの誘惑は抗い難かった。





━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka5819/鞍馬 真/男性/22/闘狩人(エンフォーサー)】
【kz0243/伊佐美 透/男性/28/闘狩人(エンフォーサー)】(NPC)


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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そんなわけでおまけはせっかくなので逆。
とは言いつつ、実際入院患者は下手なことせずに労わる言葉と見舞いだけ投げたら寝かせといてやれが最適解な気もするんですが。
というわけで大したことしてないのは字数だけのせいでは無いですね(
そんなワンシーン。ほのぼのできましたでしょうか……
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
鞍馬 真(ka5819)
副発注者(最大10名)
クリエイター:凪池 シリル
商品:おまけノベル

納品日:2019/01/28 10:28