※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
そうして、穏やかな時の流れの中

 邪神が倒されたと言っても、復興に向けてまだまだやるべきことはある。
 今回、鞍馬 真(ka5819)が引き受けたのは疎開から故郷へと引き返す民の護衛。何処に邪神の軍勢が攻め込んでくるか分からなかった大規模作戦中、人々の多くは都市に集まり守りを固めていた。もうその必要もないので、住んでいた場所に戻るというわけだ。
 とはいえ今や懸念は自然沸きの雑魔や野盗と言ったもので、護衛の必要性はと言えば「ここまで来て何かあったら悔やみきれないし」という感じだった。そんなわけで道中は結局付き添うだけに終わると、真はそのまま、襲われなかったとはいえ暫く人の手が入らなかったために荒れた村の片付けを少し手伝ってから帰る事にした。
「……なんか、付き合わせることになったみたいでごめん」
 そうして作業しながら、真は同じく残ることにした伊佐美 透(kz0243)に声をかける。
「俺が残るって決めたんだから、そんな風に気にするなって。それに……」
 透は苦笑して答えてから、顔を上げて遠くを見やる。
「……折角だから今のうちに、ゆっくりこの世界を見ておきたいと思ってたんだ」
 言われて。ああ、そうかと真は納得した。
 まだもう少し準備に時間はかかるそうだが、あと暫くしたらリアルブルーに帰れるようになる。そうなったら透は真っ先に帰って──ずっと夢見ていたかつての人生の続き。そこに向かって今度こそ全力で歩んでいくのだろう。
 真はそんな透を見つめている。
 眩しい。少し、目の奥が痛いほどに。
 危機が過ぎ去った今、時がひどく緩やかに感じた。この村の手伝いを申し出たのもそういうことだ……別に今すぐ、違う何処かがシェオルに襲われることを恐れて待機している必要は無いのだから、と。そんな……穏やかな時の流れは、自分にとってどんなものになるのだろう。
「……君がこれからどうするのかについては勿論、君の自由だと思うけどさ」
 不意に透が言う。ズキリと真の胸が音を立てたが、顔には出さない。
「出来れば、リアルブルーから連絡が取りやすい場所に居てほしいかなあ。……公演が決まったら、やっぱり、真っ先に君には知らせたいよ」
 そんな真に。透はただそれだけの。それでも……相当には叶えてほしい要望だけを口にした。
 向けてくる、友人の静かな笑みに。少し先程とは異なる気持ちで、真は思った。

 ──こんな穏やかな時の流れは、自分にとってどんなものになるのだろう。





━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ご発注有難うございます。
はい! そんなわけでお互いの無事も確認出来たところで討伐後の二人を軽く書かせて頂きました。
いやあ正直……どうするんだろうなあとちょっぴり勝手に心配してたりもします。
なんかふらっと何処かに消えてしまわないかとか思って「やること見つかるまで一緒に暮らさない?」とかうっかり言いかけたりもしましたが流石に自重しました。勿論別に恋愛感情は無い(
さておき、折角念願の共に在る未来です。鞍馬さんにも何かしら、自分のためのひとときが見つかることをお祈りしております。
改めまして、ご発注有難うございました。
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
鞍馬 真(ka5819)
副発注者(最大10名)
クリエイター:凪池 シリル
商品:おまけノベル

納品日:2019/08/19 10:46