※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
ふぁみりぃ

 今日の仕事がないと溢したのは数日前。それは相棒達の中の誰の前での言葉だったか。知らないうちに皆は結託していたらしい。
 仕事で同伴できる機会がある度に交代で連れて行ったりと鞍馬 真(ka5819)なりに密に過ごしていたつもりだが、彼等の間でのやり取りまでは完全に目を届かせられていなかったのだ。
 朝、目を覚ました時には既に身動きが取れなかった。
「……あれ?」
 視界の端に蒼が映ったので、どうやら共寝ついでに珍しい寝相で抑え込まれているのだろうと思った。オフなのだからと二度寝に挑戦しておいた。
 次に目を覚ました時は名を呼んで、身体の上からどいてもらおうとした。
「ねえ、流石に起きる時間だと思うんだけど」
 しかし変わらず抜け出せない。ここでやっと疑問が確信へと変化する。
 よく考えればわかった事のはずだった。これまでだって共寝の際にこんな不思議な事態になったことがないのだ、そもそも寄りかかってつまり添い寝させてもらっているのは真の方だ。
 寝惚けていたのだなと額を抑えたいところだが、生憎その腕が動かせない。
 どうにか動く首を巡らせれば閉じられた窓が見えてくる。灯りもついていない部屋は未だ薄暗い。だからこそ二度寝に興じるなんて珍しい事にもなったのだけれど。
「時計……は、見えないね」
 狭められた視界の中、ヒントを探そうと目を凝らす。閉じられたカーテンもそう遮光能力が高いものではないはずだった。なにより前日の記憶にある天気予報は決して悪いものではなかった筈だ。
 時折、細やかな光が差しこんでくる。じっと見つめ続けていれば、交代で窓の外に立って日を遮っているらしい。二種類の翼のシルエットが見て取れた。
「君達、どれだけ私を寝かせたいんだ……」
 ずっと立っているなど難しいだろうに、そもそも食事はどうしているのだろう?
「……そうか、見えないってことは」
 あと二体。小柄な彼等なら確かに食事の用意も可能だろう。いつも手伝いをしてもらっているのだから必要なものの場所は知っているはずだ。
 高いところにある道具だって、協力すれば解決してしまうのだろう。
「どれだけ私を起こさないことに全力なのかな」
 それだけ慮ってもらえている。声に喜色が混じる。
 美味しそうな香りが漂ってきていた。
 腹具合を考えれば、限りなくランチに近いブランチ、と言ったところだろうか。
 二体の足音を聞きながら、扉が開くのを待った。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

【ka5819/鞍馬 真/男/22歳/闘技狩人/いとしいものに囲まれて】

もふもふに囲まれたら抵抗は出来なくなるのが自然の摂理だと思います。
家族であり相棒である、と互いに認識しているからこそ、時には強引な手に出ることもある……のです?
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0

発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
鞍馬 真(ka5819)
副発注者(最大10名)
クリエイター:石田まきば
商品:おまけノベル

納品日:2019/08/19 10:53