※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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前日譚&後日談
●前日譚
視界が霞んでいた。
平衡感覚が歪んでいた。
耳鳴りが酷かった。
真がかろうじて体を動かすと、内臓が石になり、すべての関節が錆びついたような軋む痛みがある。
「くっ……ぁ……」
自分の存在を確かめるように真は声を出した。明確の言葉は紡がれず、隙間風にも似た唸りになった。
視界に入った自身の右手はしっかり星神器「カ・ディンギル」を握っていた。
真は記憶の混濁する直前を思い出そうとする。
そう、ヤルダバオートの発動訓練をしていたのだが、マテリアルの制御がうまくいかず、体内で暴発してしまったのだ。
結果、それは自身を傷つける力の奔流となり真に襲いかかった。
真は痛む体を無理やり動かして、周囲を確認する。自分の周りに破壊されたものはなかった。どうやらマテリアルは真だけを傷つけただけのようだ。
そのことに、真は安堵した。
守るための力で周りを傷つけていたら、それこそ目も当てられない。
どうやら暴発したために、体内のマテリアルを使い切ってしまったらしく、しばらくは動けそうになかった。
真はこの術を使いこなすためにはいくつもの艱難を超えなければならないことを思った。しかし、その程度このとこは真を挫けさせるには足らない。
ただ、今だけは動けない体で、緩やかに流れる雲を眺めていた。
●後日談
発動まで、瞬きの間すら必要ない。
自らのマテリアルの流れを把握し、流れるべき方向へ束ね、世界に浸透させていけばいい。
真はあの後も繰り返し修行を重ねることで、ヤルダバオートの発動時間の短縮に成功していた。
今では結界展開後に倒れることもなく、体の不調もない。マテリアルが枯渇するなんてこともなく、戦闘にも支障はなさそうだ。
「これでようやく、使い物になりそうかな」
手に握った星神器はやはり堂々たる存在を世界に示していた。ヤルダバオート習得のために、何度も地面に倒れ泥にまみれた真であったが、杖の方はといえば一点の曇りもなく持ち主のマテリアルに反応して輝いている。
「救世か……。私の生命が役立つのなら、それで構わない」
かくして、星の救世主として契約した証である星神器は真により、本当の力を発揮することになる。
忘却を抱えた彼は、世界と命を繋ぎとめる。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka5819 / 鞍馬 真 / 男 / 22 / 闘狩人】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どんな困難でも乗り越えようと決めた
この生命を使って、他者を守る
これはそれまでのある道のりの話