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西方世界

 クリムゾンウェストの北半球に広がる大きな大陸の西南端にあたる半島部を、
 この世界の人は「西方世界」と呼んでいるんだ。
 地球で言うとヨーロッパと同じくらいの面積で、人口は概ね8000万程度……らしいよ。

西方世界

文化レベル

 クリムゾンウェストの文化、習俗はおおむね19世紀前後のヨーロッパ各国に類似している。伝承によれば300年程前までは現在よりも転移者が多かったため、地球側の文化の影響を強く受けていたらしい。
 また、リアルブルーからの流入が途絶えた時期にはクリムゾンウェスト全体の文化発展はやや停滞気味になるようだ。長命ゆえに人間に比べ保守的なエルフ、ドワーフらの影響によるという説もあるが、定かではない。
 また、エクラ教による日曜学校や、錬金術組合による巡回学校といった基礎教育への取り組みも盛んで、識字率は高めである。
 高等教育としては魔術学校や王国の学園、研究機関としては帝国錬魔院などが著名だ。エクラ教会、魔術師協会、錬金術組合などの組織や各国の軍なども教育機関としての側面を持っている。総じて、クリムゾンウェスト世界での教育という物に対する意識は高く、21世紀のリアルブルーのそれと遜色はない。
 先述のようにやや停滞気味であったクリムゾンウェストの文化だが、近年になり再び増加した転移者の影響から、先進的なデザインや思考も見受けられ始めている。


技術レベル
技術レベル

 クリムゾンウェスト独自の文明は、魔法技術により発展してきたと言われている。
 機械技術に関してはリアルブルーからの流入者によりもたらされてきたのだが、概ね地球で言うと19世紀辺りで停止している。
 これはクリムゾンウェストに化石燃料が存在しなかった事と関連している。
 クリムゾンウェスト世界においては、木炭に代わる一般的エネルギーとして鉱物マテリアルが挙げられるが、安定性や扱いの容易さなどの点で石炭や石油の代替とはなりえていない。
 生活に密着した分野には広く魔法が取り入れられており、農業、工業の生産性も見た目ほど低くは無い。
 また、都市衛生もしっかりしており、現代地球からの転移者が不快に思う事は無いようだ。

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宗教分布

宗教分布

 西方世界で信仰されている宗教としては、エクラ教が最大の勢力である。
 王国を中心に広く信仰され、一部の季節行事は信者以外の間にあっても半ば生活の一部となっているようだ。
 それ以外にも、辺境の部族においては先祖や一族の守護神といった祖霊への信仰が盛んである。
 実際に精霊が実在するクリムゾンウェストでは様々な物に神が宿るという考えが広く受け入れられており、転移者の故郷での信仰や、東方世界の住人の信仰など、少数流派は多く存在している。

エクラ教

 エクラ教は源流にキリスト教を持つ為、その習慣の幾分かは似通ったものとなっている。
 ホーリーシンボルは輝く光をイメージしたもので、聖職者と信徒はかたどった小物を持ち歩く事が多い。教義を記された書物については存在するのだが、キリスト教における聖書程に普及はしておらず、一般の信徒が所持する事はあまりない。村や町の多くに教会が存在し、エクラの司祭は冠婚葬祭と切っても切れない関係である。

部族の祭祀

 辺境の諸部族は、精霊に対する様々な信仰を持っている。その対象は部族によりまちまちで、過去の英雄や、特定の動物、自然現象など多岐に渡る。
 対象が一つであるとも限らず、「翼のある物全て」のような広い範囲、「大地と炎」のようなふんわりした概念などまで含まれるようだ。
 冠婚葬祭、あるいは季節ごとや年に一度などの形式を持つ祭祀を行う際は族長や巫女が執り行うが、部族の民の間では生活習慣の中に信仰が根付いており、エクラ教のように毎週決まった日に行う行事は一般的ではない。

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魔法と科学の扱い

魔法と科学の扱い

▲クリムゾンウェスト独自の高速移動手段である転移門。使用条件は厳しいものの幾つかの点でリアルブルーの移動手段を凌いでいる。

 クリムゾンウェストにおける科学とは、魔法技術に関する物を指す事が多い。
 いわゆる科学的な思考についてはクリムゾンウェストでも変わらずに必要とされており、検証や反証といった考え方も同様だ。
 それゆえに、魔法とは突飛な何かではなくリアルブルーには無い科学体系の一つである、と考える者もいる。
 しかしながら、リアルブルーの科学技術との決定的な違いとして、魔法の習得、使用にはマテリアルに関する資質を要する事があげられる。
 その為、クリムゾンウェスト科学の先駆者である術者達に開かれた門は狭く、地球の科学者以上に選ばれた存在となった。
 進歩への道筋が集合知ではなく少数に拠らざるを得ない点が、クリムゾンウェストの魔法技術の発展の限界を示すという考え方もあるようだ。

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古代遺跡

 西方世界の各地からは、時に非常に古い遺物が出土することが有る。
 それらは長命なエルフ達の記憶からすら失われた太古の「古代王国」の物であるとも言われている。
 多くは破損した残骸や欠片といった断片的な物であるが、現代では再生できない技術や術式が伺われる為に貴重なものだ。
 一方で、古い存在は淀みを貯めることが有るのか、遺跡には歪虚が巣食う事もあるという。
 そういった危険にもかかわらず、一獲千金を狙う遺跡ハンター達によって西方の遺跡は発掘され尽くしたとも言われる。
 しかしながら、手つかずの遺跡を発見したという噂が年に数度は囁かれるようだ。

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