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【夜煌】これまでの経緯


更新情報(10月2日更新)
過去の【夜煌】ストーリーノベルを掲載しました。
【夜煌
●オープニング(9月5日更新)
『狂気に汚染された欠片』から、負のマテリアルを完全には浄化できなかった事実は、遠く離れた辺境にまで知れ渡っていた。
もともと、大霊堂の巫女――リムネラ (kz0018) の力を持ってしても、浄化は困難な物体であった。
それ故に、彼女自身が仮の儀式であると断ってもいる。
とはいえ、辺境の者達は、自分たちの巫女の力を信じていたのだ。
浄化の儀式に携わっていた者達は、自分達が今まで戦っていた相手が如何に強大かつ厄介な敵であるかを思い知らされていた。
しかし、事前に力及ばぬことを見越していたリムネラは、ある方法を提案している。
「諦めるのはまだ早いと、思いマス……。
幾度も歴代の大巫女様が儀式を続けてきた辺境で、夜煌祭を開催することができれば、きっと……」
夜煌祭。
辺境の地に古くから伝わる浄化と癒しの儀式。
古くは大精霊に感謝と祈りを捧げるとされ、雑魔の穢れを祓い大地の力を取り戻す儀式とされている。
リムネラはこの儀式を執り行う事で『狂気に汚染された欠片』を完全に浄化できると確信していた。
(確証はないケド……でも、今できる事を全力でチャレンジでス。
それがきっとみんなの未来にコネクトできるはずダカラ……)
リムネラは、自分に強く言い聞かせていた。
だが、度重なる歪虚との戦闘、何よりリタ・ティトが歪虚に覆われたため、儀式を行える大巫女たちが山を下りてくることはできず……祭りはそれきり開催されていない。
かねてより祭りの開催は、辺境の民からの強い要望でもあったが、リムネラは――自分は無事に進行できるのか、と、ずっと悩んでいた。
聖地『リタ・ティト』が歪虚の勢力下にある以上、本来執り行う役目である大巫女の力も借りられず、
儀式の進行はリムネラ一人。不安はもちろんある。
祭りが失われた歳月に、各地での戦闘では多くの者が血を流し、不幸が振り撒かれた。
おそらく、正のマテリアルも減少しただろう。
それゆえ祭りを復活させたい、と願う人々の気持ちは痛いほどよく分かった。
ここでリムネラが前に立たなければ辺境の者は、未来を見失ってしまうかもしれない。
(ワタシも……勇気を出すときなのでショウ。人の為だけではなく……自分自身の為にも……!)
拳を握り、顔を上げるリムネラ。
目指すは――辺境の地。
夜煌祭を必ず成功させる、と覚悟を決めて歩み出した。
●
『狂気に汚染された欠片』が辺境へ輸送手配される最中、辺境の部族会議にも大きな動きがあった。
「お祭りだよ! ボクが族長になってから初めてのお祭りだ!」
スコール族のファリフ・スコール (kz0009)は、いつもより気合いが入っていた。
これも部族会議が夜煌祭の準備を取り仕切らなければならないからだ。
古来より夜煌祭は巫女が儀式を執り行い、その儀式の準備を部族の者が行ってきた。
この儀式に携われた者達は『誉れ』とされており、その年の無病息災を約束されると伝えられている。
本来、歪虚との戦いを念頭に集った部族たちの会議である以上、夜煌祭の準備も部族会議で行うのは自然の流れであった。
「今回はどんな人が来るのかな? ボクと友達になってくれる人ってきてくれるかなぁ」
祭りに胸を躍らせるファリフ。
聞いた話によれば、前回の祭りでは辺境中の部族が聖地へ集って夜煌祭を催したらしい。
その頃に比べれば部族の数も歪虚のせいで減ってしまったが、今はハンターの存在がある。
ファリフは、ハンターも夜煌祭の準備に手を貸してくれると信じている様子だ。
「ハンターとお友達になれば、『星の友』としてお祭りの後もボクに力を貸してくれるといいなぁ」
祭りに夢を馳せるファリフ。
部族会議は、夜煌祭の前とあって祭り特有の興奮に包まれ始めていた。
●
「夜煌祭か」
バタルトゥ・オイマト (kz0023) は、オイマト族の集落で祭り開催の一報を受けていた。
その目は、ファリフのものとは正反対で――暗い。
「この状況で夜煌祭。……リスクは避けられそうにないな」
顔色一つ変えないバタルトゥ。
その脳裏には夜煌祭開催までの問題点が浮かび上がっていた。
毎回夜煌祭を開催していた聖地『リタ・ティト』が歪虚に奪われている事。
『狂気の欠片』を狙って歪虚が動く可能性がある事。
夜煌祭を開催するに辺り多くの物資を確保しなければならない事。
『狂気の欠片』を夜煌祭で浄化できなかった場合、辺境にとって厄災の元になる事。
次々と浮かぶ懸念事項。
これらを対処しなければ、夜煌祭を成功裏に終えた、という事は難しい。
もし、夜煌祭失敗となれば辺境の部族は著しく士気を低下させる事になる。
そうなれば、歪虚の前に辺境の人々の心が呑まれるのは時間の問題だ。
「もう一つ付け加えるなら……帝国か」
バタルトゥは、視線を上げる。
視界には大きな山脈。
その上にそびえる要塞『ノアーラ・クンタウ』の姿。
この祭りの存在を帝国が知れば、何らかのアプローチを試みる事が予想される。
そのアプローチがどのようなものなのかは分からないが、辺境に仇とならねば良いのだが――。
「辺境の部族として、夜煌祭は成功させねばならん。……問題を如何に対処するかが鍵、か」
もともと、大霊堂の巫女――リムネラ (kz0018) の力を持ってしても、浄化は困難な物体であった。
それ故に、彼女自身が仮の儀式であると断ってもいる。

リムネラ
浄化の儀式に携わっていた者達は、自分達が今まで戦っていた相手が如何に強大かつ厄介な敵であるかを思い知らされていた。
しかし、事前に力及ばぬことを見越していたリムネラは、ある方法を提案している。
「諦めるのはまだ早いと、思いマス……。
幾度も歴代の大巫女様が儀式を続けてきた辺境で、夜煌祭を開催することができれば、きっと……」
夜煌祭。
辺境の地に古くから伝わる浄化と癒しの儀式。
古くは大精霊に感謝と祈りを捧げるとされ、雑魔の穢れを祓い大地の力を取り戻す儀式とされている。
リムネラはこの儀式を執り行う事で『狂気に汚染された欠片』を完全に浄化できると確信していた。
(確証はないケド……でも、今できる事を全力でチャレンジでス。
それがきっとみんなの未来にコネクトできるはずダカラ……)
リムネラは、自分に強く言い聞かせていた。
だが、度重なる歪虚との戦闘、何よりリタ・ティトが歪虚に覆われたため、儀式を行える大巫女たちが山を下りてくることはできず……祭りはそれきり開催されていない。
かねてより祭りの開催は、辺境の民からの強い要望でもあったが、リムネラは――自分は無事に進行できるのか、と、ずっと悩んでいた。
聖地『リタ・ティト』が歪虚の勢力下にある以上、本来執り行う役目である大巫女の力も借りられず、
儀式の進行はリムネラ一人。不安はもちろんある。
祭りが失われた歳月に、各地での戦闘では多くの者が血を流し、不幸が振り撒かれた。
おそらく、正のマテリアルも減少しただろう。
それゆえ祭りを復活させたい、と願う人々の気持ちは痛いほどよく分かった。
ここでリムネラが前に立たなければ辺境の者は、未来を見失ってしまうかもしれない。
(ワタシも……勇気を出すときなのでショウ。人の為だけではなく……自分自身の為にも……!)
拳を握り、顔を上げるリムネラ。
目指すは――辺境の地。
夜煌祭を必ず成功させる、と覚悟を決めて歩み出した。
●
『狂気に汚染された欠片』が辺境へ輸送手配される最中、辺境の部族会議にも大きな動きがあった。
「お祭りだよ! ボクが族長になってから初めてのお祭りだ!」

ファリフ・スコール
これも部族会議が夜煌祭の準備を取り仕切らなければならないからだ。
古来より夜煌祭は巫女が儀式を執り行い、その儀式の準備を部族の者が行ってきた。
この儀式に携われた者達は『誉れ』とされており、その年の無病息災を約束されると伝えられている。
本来、歪虚との戦いを念頭に集った部族たちの会議である以上、夜煌祭の準備も部族会議で行うのは自然の流れであった。
「今回はどんな人が来るのかな? ボクと友達になってくれる人ってきてくれるかなぁ」
祭りに胸を躍らせるファリフ。
聞いた話によれば、前回の祭りでは辺境中の部族が聖地へ集って夜煌祭を催したらしい。
その頃に比べれば部族の数も歪虚のせいで減ってしまったが、今はハンターの存在がある。
ファリフは、ハンターも夜煌祭の準備に手を貸してくれると信じている様子だ。
「ハンターとお友達になれば、『星の友』としてお祭りの後もボクに力を貸してくれるといいなぁ」
祭りに夢を馳せるファリフ。
部族会議は、夜煌祭の前とあって祭り特有の興奮に包まれ始めていた。
●

バタルトゥ・オイマト
バタルトゥ・オイマト (kz0023) は、オイマト族の集落で祭り開催の一報を受けていた。
その目は、ファリフのものとは正反対で――暗い。
「この状況で夜煌祭。……リスクは避けられそうにないな」
顔色一つ変えないバタルトゥ。
その脳裏には夜煌祭開催までの問題点が浮かび上がっていた。
毎回夜煌祭を開催していた聖地『リタ・ティト』が歪虚に奪われている事。
『狂気の欠片』を狙って歪虚が動く可能性がある事。
夜煌祭を開催するに辺り多くの物資を確保しなければならない事。
『狂気の欠片』を夜煌祭で浄化できなかった場合、辺境にとって厄災の元になる事。
次々と浮かぶ懸念事項。
これらを対処しなければ、夜煌祭を成功裏に終えた、という事は難しい。
もし、夜煌祭失敗となれば辺境の部族は著しく士気を低下させる事になる。
そうなれば、歪虚の前に辺境の人々の心が呑まれるのは時間の問題だ。
「もう一つ付け加えるなら……帝国か」
バタルトゥは、視線を上げる。
視界には大きな山脈。
その上にそびえる要塞『ノアーラ・クンタウ』の姿。
この祭りの存在を帝国が知れば、何らかのアプローチを試みる事が予想される。
そのアプローチがどのようなものなのかは分からないが、辺境に仇とならねば良いのだが――。
「辺境の部族として、夜煌祭は成功させねばならん。……問題を如何に対処するかが鍵、か」
●夜煌祭?いよいよ開始?(9月15日更新)

リムネラ

ファリフ・スコール
祭りの会場は確保を完了。安全を確保するために周辺の雑魔を退治している。
狂気の欠片は無事に会場へ運搬済み。
辺境の各部族への通達も完了し、各自が夜煌祭当日に向かって動き始める。
「さぁ、盛り上ガってきましタネ……」
夜煌祭の主役にして大聖堂の巫女、リムネラ (kz0018) は粛々と立ち上がり、身なりを直す。
夜煌祭は本来大聖堂の大巫女をはじめとする『巫女』が総出で祈りを捧げる祭りだ。しかし、大聖堂は歪虚の支配下にあるため、それが叶わない。
このため、リムネラをリーダーとして急遽祈り手の募集を行う事となった。
「リムネラ様……ほんとに大丈夫?」
会場設営を手伝っていたファリフ・スコール (kz0009) は、心配そうな面持ちでリムネラの白い顔を覗き込んだ。
この祭りの成否は、辺境部族の士気にも大きく左右する。
もし――失敗するような事になれば、歪虚との戦いに大きな影響を及ぼしかねない。
もっとも、当のファリフはそんな小難しい事を考えていない。単にリムネラの緊張を察して心配しているだけだ。
「ノープロブレム! お祭りにナったら、ワタシも本気全開デ頑張リますカラ!」
そういって軽く拳を握るリムネラだが、笑顔はどことなくぎこちない。
巫女としての実力や評価が高くても、多くの祈り手を導きながら夜煌祭の巫女を勤め上げなければならない。その重圧は相当なものだ。
その様子を見ていたファリフが、思い切った事を言い出す。
「……ボクも祈り手をやった方がいいかな?」
「エえ!?」
リムネラはいつもより高いトーンで叫ぶ。
同時に、自身の不安でファリフをも心配させていたことに気付く。
リムネラは少々慌てながらも、ファリフの肩に手を置いて励ました。
「ノ、ノンっ! ファリフには、スコールの族長とシて炎番の役目ガありマース!
心配しテくれるのはセンキュウだケど、今は自分の役目に集中ですヨー」
彼女が言う通り、ファリフには、夜煌祭において炎番という辺境部族の族長らが担う大切な役割があった。
その役割を放って祈り手をさせる訳にはいかない。
リムネラの言葉に、ファリフは小首を傾げながら呟く。
「ほんとに?」
「オフコース! 本番も頑張りマース」
本当は今も不安でいっぱいだが、ファリフを安心させる為にも余裕を見せておいた方がいい。
リムネラは、今日一番の笑顔を見せた。

バタルトゥ・オイマト

ヨアキム

ヴェルナー・ブロスフェルト
リムネラとファリフのやり取りを、オイマト族のバタルトゥ・オイマト (kz0023) は見つめていた。
辺境の行く末を左右する二人の少女。
若くして背負わされる過酷な運命を、どのように受け止めているのだろうか。
「……逃げる事の許されぬ運命……死が、運命から解き放たれる唯一の救済とならねば良いが……」
そう独り言を呟くバタルトゥ。
その傍らではヨアキム (kz0011) が頭を捻っている。
「あん? 運命が……なんだって?
よく分からねぇか、どっかから出られないのか? だったら出してやればいいじゃねぇか。ワシなら自慢の怪力で檻ごとぶっ壊してやるぞ」
「……そうだな。お前なら、できそうだ……。何も悩まないお前になら……」
夜煌祭は、多くの者をと多くの想いを巻き込みながら開催へと突き進んでいく。
●
辺境要塞「ノアーラ・クンタウ」要塞管理者執務室。
「いろいろありましたが、夜煌祭の開催は間近。準備も佳境といったところでしょう」
ヴェルナー・ブロスフェルト (kz0032) は、順調に進む展開に満足そうだ。
部族会議から警戒されて疎まれる帝国勢だったが、参加を危ぶまれたものの何とか夜煌祭へ参加する目処がたった。
あとは当日へ乗り込んで『するべき事を行う』だけである。
「細工は流々、結果を御覧じろ……この場合は準備は上々、とするべきでしょうか。それにしても……」
ヴェルナーは、カップに注がれた紅茶を口にする。
一呼吸置いた後、ゆっくりと語り出した。
「どうでしょうねぇ。
祭りと浮かれる一方で、歪虚は虎視眈々と機会を伺っている。それに思い至らないなら、辺境は遅かれ早かれ滅ぶ事になります。
未来憂う彼らなら、何を想うか……」
●エンディング(10月2日更新)

バタルトゥ・オイマト

ヴェルナー・ブロスフェルト
「例の浄化した欠片は、無事にハンターズソサエティへ届けられました」
要塞【ノアーラ・クンタウ】に一番近かったということで、欠片の運搬を任されていたオイマト族。
その任に着いていた戦士達帰還すると、族長であるバタルトゥ・オイマト (kz0023)の前に進み出て報告を行う。
「そうか。もう今日は休んでいい」
バタルトゥは淡々と答えつつ、小さく頷いた。
口数の少ない族長だが、戦士達には十分彼の労いと感謝は伝わったようだ。
去っていく足音が完全に消えた後、バタルトゥは黒瞳を外へと向けた。
部族会議の中にあっても多くと結託したことのない部族たちでさえ、この祭りを開催するにあたり、手慣れぬことも多かったはずだが――激しくいがみ合ったということはなかった。
ただ一人、辺境の要塞管理者、ヴェルナー・ブロスフェルト (kz0032)が会場に姿を見せた時以外では。
「……夜煌祭……。一体、此度の祭りに人々は何を感じたか……」
それが良い方向に向かうか、悪い方向に向かうか――運命は誰にもわからない。
「己を信じ変わらぬ者も……足を掬われるかもしれんな……」
自分の事か、それとも誰の事を揶揄したものか、バタルトゥは静かに呟く。
何も映らないかのような昏い瞳は、ただただ広い平野を見るのみ。
●
辺境の要塞【ノアーラ・クンタウ】でも、じっと外を見つめるヴェルナーの姿があった。
何か異変があったわけでもない。だが、彼は考えを巡らせていた。
――『ベスタハの悲劇』
バタルトゥの表情や態度が一変するほどの言葉の意味を。
過去にあの一族には何があったか。
それを知ることは、部族の懐柔策だけではなく、こちらにとっても行動の振り方を変える事になるかもしれない。
ヴェルナーは、入り口付近で微動だにしない兵士に目を向け『ひとつ、頼まれてくださいませんか』と丁寧に口にした。
「5,60年ほど昔の辺境事情を記したものを集めてください。できれば、オイマト族が関与しているものを中心にお願いします」
「はっ」
足早に出ていく兵士の足音を聞きながら、ヴェルナーは紅茶の入ったカップに口を付け……眉根を寄せる。
(おや。冷めてしまいましたね……何事も、時期を逃すというのはいただけません)
複雑に絡み合う辺境模様。はたして、次はどう動かすべきか。ヴェルナーの視線の先は、チェスの盤上に置かれていた。
●
辺境で約50年ぶりに開催された夜煌祭。
半世紀ほど経ってからの開催という事もあり、人々の記憶の者とは少々違う所もあったようだが……会場の設営や宴の準備に至るまで辺境に住まう者やハンターたちの協力を得、滞りなく進める事が出来た。
そして今回の夜煌祭における最大の儀式……浄化も、一部ではさぞ気を揉んだ事であろう。

リムネラ

ダニエル・ラーゲンベック
結果、見事負のマテリアルを浄化させることに成功したのだ。
破片……いや、リアルブルーの火星探査機の一部は、ハンターズソサエティを通じ元の世界の住人達……サルヴァトーレ・ロッソへと返還された。
その翌日には、サルヴァトーレ・ロッソの艦長であるダニエル・ラーゲンベック (kz0024)からの感謝状が届き、『同じ世界の同胞である火星探査のメンバーも、ゆっくり眠れることだろう。多大なる尽力、誠に感謝する』という内容の直筆の手紙と署名が添えてあった。
「皆サンの……協力と真摯ナ祈りがあったカラこそ、ワタシも力を引き出すコトが出来マシタ……」
夜煌祭の儀式の最中、たくさんの祈りや願いが自分を通じて流れて行った。
大精霊との交感をしつつ、たくさんの想いやマテリアルが流れ込んでくるのを制御するのも大変なもののはずだが……身心の負担が驚くほど軽かったのは、決してリムネラ自身の資質が高かっただけではない。
ハンターや部族にも霊力の高い者は多くいたし、彼らが自分を気遣ってくれたこと、そして何より、儀式を成功させるという皆の気持ちが一つになっていたからだと――そうリムネラは思っている。
「お手紙ト感謝状は、ハンターの皆サンも見るコトができるよう額縁に入れテ、ユニオンに飾っておきまショウ。きっと皆サン喜んでくれマス」
心なしかいつもより軽い足取りで席を立ったリムネラ。彼女の表情に陰りはもうない。
彼女の表情は暗き夜を照らす月光の様に、穏やかで優しい微笑みを浮かべているのだった。