ゲスト
(ka0000)
【夜煌】夜煌祭?開催準備?




『夜煌祭』ですか。ええ、話は伺っています。
辺境に伝わるお祭りだそうですね。是非、要塞からも祭りに参加させていただくつもりです。
……え? 部族会議の方々に拒否されるのではないかって?
それは、愚問です。誠心誠意交渉を重ねて話し合えば、きっと理解していただけます。
少なくとも私はそう信じています
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)
オープニング
『狂気に汚染された欠片』から、負のマテリアルを完全には浄化できなかった事実は、遠く離れた辺境にまで知れ渡っていた。
もともと、大霊堂の巫女――リムネラ (kz0018) の力を持ってしても、浄化は困難な物体であった。
それ故に、彼女自身が仮の儀式であると断ってもいる。
とはいえ、辺境の者達は、自分たちの巫女の力を信じていたのだ。
浄化の儀式に携わっていた者達は、自分達が今まで戦っていた相手が如何に強大かつ厄介な敵であるかを思い知らされていた。
しかし、事前に力及ばぬことを見越していたリムネラは、ある方法を提案している。
「諦めるのはまだ早いと、思いマス……。
幾度も歴代の大巫女様が儀式を続けてきた辺境で、夜煌祭を開催することができれば、きっと……」
夜煌祭。
辺境の地に古くから伝わる浄化と癒しの儀式。
古くは大精霊に感謝と祈りを捧げるとされ、雑魔の穢れを祓い大地の力を取り戻す儀式とされている。
リムネラはこの儀式を執り行う事で『狂気に汚染された欠片』を完全に浄化できると確信していた。
(確証はないケド……でも、今できる事を全力でチャレンジでス。
それがきっとみんなの未来にコネクトできるはずダカラ……)
リムネラは、自分に強く言い聞かせていた。
だが、度重なる歪虚との戦闘、何よりリタ・ティトが歪虚に覆われたため、儀式を行える大巫女たちが山を下りてくることはできず……祭りはそれきり開催されていない。
かねてより祭りの開催は、辺境の民からの強い要望でもあったが、リムネラは――自分は無事に進行できるのか、と、ずっと悩んでいた。
聖地『リタ・ティト』が歪虚の勢力下にある以上、本来執り行う役目である大巫女の力も借りられず、
儀式の進行はリムネラ一人。不安はもちろんある。
祭りが失われた歳月に、各地での戦闘では多くの者が血を流し、不幸が振り撒かれた。
おそらく、正のマテリアルも減少しただろう。
それゆえ祭りを復活させたい、と願う人々の気持ちは痛いほどよく分かった。
ここでリムネラが前に立たなければ辺境の者は、未来を見失ってしまうかもしれない。
(ワタシも……勇気を出すときなのでショウ。人の為だけではなく……自分自身の為にも……!)
拳を握り、顔を上げるリムネラ。
目指すは――辺境の地。
夜煌祭を必ず成功させる、と覚悟を決めて歩み出した。
●
『狂気に汚染された欠片』が辺境へ輸送手配される最中、辺境の部族会議にも大きな動きがあった。
「お祭りだよ! ボクが族長になってから初めてのお祭りだ!」
スコール族のファリフ・スコール (kz0009)は、いつもより気合いが入っていた。
これも部族会議が夜煌祭の準備を取り仕切らなければならないからだ。
古来より夜煌祭は巫女が儀式を執り行い、その儀式の準備を部族の者が行ってきた。
この儀式に携われた者達は『誉れ』とされており、その年の無病息災を約束されると伝えられている。
本来、歪虚との戦いを念頭に集った部族たちの会議である以上、夜煌祭の準備も部族会議で行うのは自然の流れであった。
「今回はどんな人が来るのかな? ボクと友達になってくれる人ってきてくれるかなぁ」
祭りに胸を躍らせるファリフ。
聞いた話によれば、前回の祭りでは辺境中の部族が聖地へ集って夜煌祭を催したらしい。
その頃に比べれば部族の数も歪虚のせいで減ってしまったが、今はハンターの存在がある。
ファリフは、ハンターも夜煌祭の準備に手を貸してくれると信じている様子だ。
「ハンターとお友達になれば、『星の友』としてお祭りの後もボクに力を貸してくれるといいなぁ」
祭りに夢を馳せるファリフ。
部族会議は、夜煌祭の前とあって祭り特有の興奮に包まれ始めていた。
●
「夜煌祭か」
バタルトゥ・オイマト (kz0023) は、オイマト族の集落で祭り開催の一報を受けていた。
その目は、ファリフのものとは正反対で――暗い。
「この状況で夜煌祭。……リスクは避けられそうにないな」
顔色一つ変えないバタルトゥ。
その脳裏には夜煌祭開催までの問題点が浮かび上がっていた。
毎回夜煌祭を開催していた聖地『リタ・ティト』が歪虚に奪われている事。
『狂気の欠片』を狙って歪虚が動く可能性がある事。
夜煌祭を開催するに辺り多くの物資を確保しなければならない事。
『狂気の欠片』を夜煌祭で浄化できなかった場合、辺境にとって厄災の元になる事。
次々と浮かぶ懸念事項。
これらを対処しなければ、夜煌祭を成功裏に終えた、という事は難しい。
もし、夜煌祭失敗となれば辺境の部族は著しく士気を低下させる事になる。
そうなれば、歪虚の前に辺境の人々の心が呑まれるのは時間の問題だ。
「もう一つ付け加えるなら……帝国か」
バタルトゥは、視線を上げる。
視界には大きな山脈。
その上にそびえる要塞『ノアーラ・クンタウ』の姿。
この祭りの存在を帝国が知れば、何らかのアプローチを試みる事が予想される。
そのアプローチがどのようなものなのかは分からないが、辺境に仇とならねば良いのだが――。
「辺境の部族として、夜煌祭は成功させねばならん。……問題を如何に対処するかが鍵、か」
もともと、大霊堂の巫女――リムネラ (kz0018) の力を持ってしても、浄化は困難な物体であった。
それ故に、彼女自身が仮の儀式であると断ってもいる。

リムネラ
浄化の儀式に携わっていた者達は、自分達が今まで戦っていた相手が如何に強大かつ厄介な敵であるかを思い知らされていた。
しかし、事前に力及ばぬことを見越していたリムネラは、ある方法を提案している。
「諦めるのはまだ早いと、思いマス……。
幾度も歴代の大巫女様が儀式を続けてきた辺境で、夜煌祭を開催することができれば、きっと……」
夜煌祭。
辺境の地に古くから伝わる浄化と癒しの儀式。
古くは大精霊に感謝と祈りを捧げるとされ、雑魔の穢れを祓い大地の力を取り戻す儀式とされている。
リムネラはこの儀式を執り行う事で『狂気に汚染された欠片』を完全に浄化できると確信していた。
(確証はないケド……でも、今できる事を全力でチャレンジでス。
それがきっとみんなの未来にコネクトできるはずダカラ……)
リムネラは、自分に強く言い聞かせていた。
だが、度重なる歪虚との戦闘、何よりリタ・ティトが歪虚に覆われたため、儀式を行える大巫女たちが山を下りてくることはできず……祭りはそれきり開催されていない。
かねてより祭りの開催は、辺境の民からの強い要望でもあったが、リムネラは――自分は無事に進行できるのか、と、ずっと悩んでいた。
聖地『リタ・ティト』が歪虚の勢力下にある以上、本来執り行う役目である大巫女の力も借りられず、
儀式の進行はリムネラ一人。不安はもちろんある。
祭りが失われた歳月に、各地での戦闘では多くの者が血を流し、不幸が振り撒かれた。
おそらく、正のマテリアルも減少しただろう。
それゆえ祭りを復活させたい、と願う人々の気持ちは痛いほどよく分かった。
ここでリムネラが前に立たなければ辺境の者は、未来を見失ってしまうかもしれない。
(ワタシも……勇気を出すときなのでショウ。人の為だけではなく……自分自身の為にも……!)
拳を握り、顔を上げるリムネラ。
目指すは――辺境の地。
夜煌祭を必ず成功させる、と覚悟を決めて歩み出した。
●
『狂気に汚染された欠片』が辺境へ輸送手配される最中、辺境の部族会議にも大きな動きがあった。
「お祭りだよ! ボクが族長になってから初めてのお祭りだ!」

ファリフ・スコール
これも部族会議が夜煌祭の準備を取り仕切らなければならないからだ。
古来より夜煌祭は巫女が儀式を執り行い、その儀式の準備を部族の者が行ってきた。
この儀式に携われた者達は『誉れ』とされており、その年の無病息災を約束されると伝えられている。
本来、歪虚との戦いを念頭に集った部族たちの会議である以上、夜煌祭の準備も部族会議で行うのは自然の流れであった。
「今回はどんな人が来るのかな? ボクと友達になってくれる人ってきてくれるかなぁ」
祭りに胸を躍らせるファリフ。
聞いた話によれば、前回の祭りでは辺境中の部族が聖地へ集って夜煌祭を催したらしい。
その頃に比べれば部族の数も歪虚のせいで減ってしまったが、今はハンターの存在がある。
ファリフは、ハンターも夜煌祭の準備に手を貸してくれると信じている様子だ。
「ハンターとお友達になれば、『星の友』としてお祭りの後もボクに力を貸してくれるといいなぁ」
祭りに夢を馳せるファリフ。
部族会議は、夜煌祭の前とあって祭り特有の興奮に包まれ始めていた。
●

バタルトゥ・オイマト
バタルトゥ・オイマト (kz0023) は、オイマト族の集落で祭り開催の一報を受けていた。
その目は、ファリフのものとは正反対で――暗い。
「この状況で夜煌祭。……リスクは避けられそうにないな」
顔色一つ変えないバタルトゥ。
その脳裏には夜煌祭開催までの問題点が浮かび上がっていた。
毎回夜煌祭を開催していた聖地『リタ・ティト』が歪虚に奪われている事。
『狂気の欠片』を狙って歪虚が動く可能性がある事。
夜煌祭を開催するに辺り多くの物資を確保しなければならない事。
『狂気の欠片』を夜煌祭で浄化できなかった場合、辺境にとって厄災の元になる事。
次々と浮かぶ懸念事項。
これらを対処しなければ、夜煌祭を成功裏に終えた、という事は難しい。
もし、夜煌祭失敗となれば辺境の部族は著しく士気を低下させる事になる。
そうなれば、歪虚の前に辺境の人々の心が呑まれるのは時間の問題だ。
「もう一つ付け加えるなら……帝国か」
バタルトゥは、視線を上げる。
視界には大きな山脈。
その上にそびえる要塞『ノアーラ・クンタウ』の姿。
この祭りの存在を帝国が知れば、何らかのアプローチを試みる事が予想される。
そのアプローチがどのようなものなのかは分からないが、辺境に仇とならねば良いのだが――。
「辺境の部族として、夜煌祭は成功させねばならん。……問題を如何に対処するかが鍵、か」