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【夜煌】夜煌祭


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エンディング

バタルトゥ・オイマト

ヴェルナー・ブロスフェルト
「例の浄化した欠片は、無事にハンターズソサエティへ届けられました」
要塞【ノアーラ・クンタウ】に一番近かったということで、欠片の運搬を任されていたオイマト族。
その任に着いていた戦士達帰還すると、族長であるバタルトゥ・オイマト (kz0023)の前に進み出て報告を行う。
「そうか。もう今日は休んでいい」
バタルトゥは淡々と答えつつ、小さく頷いた。
口数の少ない族長だが、戦士達には十分彼の労いと感謝は伝わったようだ。
去っていく足音が完全に消えた後、バタルトゥは黒瞳を外へと向けた。
部族会議の中にあっても多くと結託したことのない部族たちでさえ、この祭りを開催するにあたり、手慣れぬことも多かったはずだが――激しくいがみ合ったということはなかった。
ただ一人、辺境の要塞管理者、ヴェルナー・ブロスフェルト (kz0032)が会場に姿を見せた時以外では。
「……夜煌祭……。一体、此度の祭りに人々は何を感じたか……」
それが良い方向に向かうか、悪い方向に向かうか――運命は誰にもわからない。
「己を信じ変わらぬ者も……足を掬われるかもしれんな……」
自分の事か、それとも誰の事を揶揄したものか、バタルトゥは静かに呟く。
何も映らないかのような昏い瞳は、ただただ広い平野を見るのみ。
●
辺境の要塞【ノアーラ・クンタウ】でも、じっと外を見つめるヴェルナーの姿があった。
何か異変があったわけでもない。だが、彼は考えを巡らせていた。
――『ベスタハの悲劇』
バタルトゥの表情や態度が一変するほどの言葉の意味を。
過去にあの一族には何があったか。
それを知ることは、部族の懐柔策だけではなく、こちらにとっても行動の振り方を変える事になるかもしれない。
ヴェルナーは、入り口付近で微動だにしない兵士に目を向け『ひとつ、頼まれてくださいませんか』と丁寧に口にした。
「5,60年ほど昔の辺境事情を記したものを集めてください。できれば、オイマト族が関与しているものを中心にお願いします」
「はっ」
足早に出ていく兵士の足音を聞きながら、ヴェルナーは紅茶の入ったカップに口を付け……眉根を寄せる。
(おや。冷めてしまいましたね……何事も、時期を逃すというのはいただけません)
複雑に絡み合う辺境模様。はたして、次はどう動かすべきか。ヴェルナーの視線の先は、チェスの盤上に置かれていた。
●
辺境で約50年ぶりに開催された夜煌祭。
半世紀ほど経ってからの開催という事もあり、人々の記憶の者とは少々違う所もあったようだが……会場の設営や宴の準備に至るまで辺境に住まう者やハンターたちの協力を得、滞りなく進める事が出来た。
そして今回の夜煌祭における最大の儀式……浄化も、一部ではさぞ気を揉んだ事であろう。

リムネラ

ダニエル・ラーゲンベック
結果、見事負のマテリアルを浄化させることに成功したのだ。
破片……いや、リアルブルーの火星探査機の一部は、ハンターズソサエティを通じ元の世界の住人達……サルヴァトーレ・ロッソへと返還された。
その翌日には、サルヴァトーレ・ロッソの艦長であるダニエル・ラーゲンベック (kz0024)からの感謝状が届き、『同じ世界の同胞である火星探査のメンバーも、ゆっくり眠れることだろう。多大なる尽力、誠に感謝する』という内容の直筆の手紙と署名が添えてあった。
「皆サンの……協力と真摯ナ祈りがあったカラこそ、ワタシも力を引き出すコトが出来マシタ……」
夜煌祭の儀式の最中、たくさんの祈りや願いが自分を通じて流れて行った。
大精霊との交感をしつつ、たくさんの想いやマテリアルが流れ込んでくるのを制御するのも大変なもののはずだが……身心の負担が驚くほど軽かったのは、決してリムネラ自身の資質が高かっただけではない。
ハンターや部族にも霊力の高い者は多くいたし、彼らが自分を気遣ってくれたこと、そして何より、儀式を成功させるという皆の気持ちが一つになっていたからだと――そうリムネラは思っている。
「お手紙ト感謝状は、ハンターの皆サンも見るコトができるよう額縁に入れテ、ユニオンに飾っておきまショウ。きっと皆サン喜んでくれマス」
心なしかいつもより軽い足取りで席を立ったリムネラ。彼女の表情に陰りはもうない。
彼女の表情は暗き夜を照らす月光の様に、穏やかで優しい微笑みを浮かべているのだった。
キャラクター情報
リムネラ(kz0018) | |
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辺境ユニオン『ガーディナ』のリーダー。 辺境の聖地『リタ・ティト』の大霊堂で巫女を務めていたが、ハンターや部族両方の手助けと見聞を広める名目で大霊堂の外へ派遣される事になった。 特徴的な口調だが、純粋で努力家。常に小さな白い龍を連れて歩いている。 夜煌祭で、浄化の儀を執り行った。 |
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イラスト:狛蜜ザキ |
ファリフ・スコール(kz0009) | |
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スコール族の族長。 先代から族長の座を早くに明け渡されたファリフは、辺境部族を率いて歪虚の侵攻を食い止めようと戦い続けている。 時折、一人で『星の友』を捜しに旅へ出ている。 帝国に対しては辺境を侵攻する対象として見ていると思っており、良い感情を持っていない。 |
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イラスト:わたりとおる |
バタルトゥ・オイマト(kz0023) | |
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オイマト族の族長。 部族会議ではスコール族と二分する程の大きな勢力を誇る騎馬部族。帝国に対して比較的温和な態度を保持している事からファリフ・スコールと衝突する事が多い。 一説によれば歪虚の強大さを知っている為に必要以上に慎重となっているらしいが……。 ヴェルナーを夜煌祭に招待し、彼とスコール族長ファリフ・スコールとの顔合わせを行った。 |
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イラスト:mati. |
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032) | |
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帝国の要塞『ノアーラ・クンタウ』を預かる要塞管理者。帝国軍第一師団所属の兵長。 部族を戦力と見なして帝国への帰順を進めようとしている。 ファリフとの面会で、何か確信を得たようだが……。 |
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イラスト:えぼるぶ |