ゲスト
(ka0000)
【血断】最終決戦
……そうか。これが可能性、世界が続いていくということか。
我々は停滞した。だがそれすらも、ヒトの歴史にとっては些事なのだ。
時を超え、世界を超え、我々は確かに一時の交わりを得た。
ならばいい。それで十分だ。私の旅は、無意味ではなかった。
さあ、征くがいい。どこまでも続く……未来という帰るべき場所へ。
ファーザー
更新情報(10月30日更新)
【血断】大規模作戦連動ピンナップがついに公開!
「KAXAK絵師」「kamohumi絵師」の両名による、ファナティックブラッド最後の大規模作戦の記憶…
圧巻の完成イラストを是非ご覧ください!
また10月30日、【血断】イベントの終了につき、スタッフページも公開致しました。
今回のイベントでご協力いただいたクリエイター様や、特設ページには載せきれなかったイラストなども掲載しております。
こちらもあわせてご覧ください!
「KAXAK絵師」「kamohumi絵師」の両名による、ファナティックブラッド最後の大規模作戦の記憶…
圧巻の完成イラストを是非ご覧ください!
また10月30日、【血断】イベントの終了につき、スタッフページも公開致しました。
今回のイベントでご協力いただいたクリエイター様や、特設ページには載せきれなかったイラストなども掲載しております。
こちらもあわせてご覧ください!
【血断】これまでの足跡
▼【血断】グランドシナリオ(1/24?2/14)▼
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▼大規模作戦第1フェーズ(4/3?4/16)▼
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▼大規模作戦第2フェーズ(5/29?6/11)▼
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▼大規模作戦第3フェーズ(7/9?7/17)▼
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▼大規模作戦第4フェーズ(7/18?7/31)▼
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▼最終決戦 結果発表!(8/2?8/15)▼
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【血断】ストーリーノベル「あした天気になりますように」(8月16日公開)
ファナティックブラッド
異世界より侵略する巨大な歪虚、邪神ファナティックブラッドを逆に乗り込んでぶっ潰した人類は、ついに平和を勝ち取ったのだ。
だが、その代償は大きかった。
多くの戦死者。シェオル型の侵略により非戦闘員も多くが殺傷され、星の環境も破壊された。
特に星の弱り方はかなりのもので、せっかくハンターの活躍でここのところ復調の兆しを見せていたところが一気にパアになってしまった。
それでも諦めず人々は木々を植え続け、そして祈り続けた。
四大精霊は再び彼らは地方に飛び、そこに根付いてジックリ回復を促していくらしいので、まあなんとかなるだろう。
もちろん、悪いことばかりではない。邪神由来の歪虚はクリムゾンウェストからも一斉に消え去ったのだ。
代表的なのは、狂気の眷属。それから、北方と南方それぞれに配置されていた強欲竜たち。
あのへんは軍勢ごと邪神に取り込まれ、そこから再現されていた歪虚だったらしく、さらっと一気に消えてしまった。
これによりマテリアル汚染さえどうにかなれば、北方と南方は安全な人類生活圏として再開発が可能になった。
異世界侵略用に切り離された「王」が独自に作り出した歪虚は残されていること、そして雑魔など自然発生する個体までは消えないことから、これから先も歪虚との戦い自体は続くだろう。
だが、邪神とかいう無限勢力との消耗戦に比べれば、遥かに御しやすい。
何より人類はこの戦争の中で進化した。
今の彼らなら、残党程度にどうにかされてしまうことはないだろう。
ベアトリクス・アルキミア
ルビー
ドナテロ・バガニーニ
そうだな。とりあえず、エバーグリーンの話をしよう。
大精霊として命を燃やし尽くしたベアトリクス・アルキミア(kz0261)は帰らぬ人となった。
だが、惑星エバーグリーンは健在だ。もちろん、そう遠くない未来に消え去ることは決まっているが、なんだかんだ完全には消えてしまわないようにベアトリクスが手を回していた結果だ。抜け目ない女である。
全機能の管理権限を移乗されたルビー(kz0208)の手で、さらなる資源回収が進められている。
弱ってしまったリアルブルーをエバーグリーンの土地を召喚してあてこみ、再活性化するといった計画も立てられている。
惑星の基本機能ではなくクリムゾンウェストの特殊能力なので、他の世界では難しいだろうけど……。
なんにせよ、エバーグリーンはまだまだ使い道がありそうだ。
リアルブルーの方は、長らく続いた凍結封印を解除する準備が進んでいる。
けっこうな規模の大魔法だったもので、解除するにも時間がかかるのだ。雑にやるわけにはいかない。
まずはリアルブルーに月を帰さないといけない。当たり前だけど、月がないと地球にも異常をきたす。
ついでに破損したコロニーの修復作業なんかも同時に行われているらしい。
世界が再始動した時に、人々が好きなところで生きていけるようにという配慮だ。
早くリアルブルーに戻りたいと言っていた民衆も、今となっては最後にもう少しクリムゾンウェストを見たいとか贅沢な希望を出している。
そんなに慌てなくても、リアルブルーとクリムゾンウェストの関係が絶たれるわけではない。
法的な整備は必要だろうが、ドナテロ・バガニーニ (kz0213)は2つの世界で有効的な関係を続けられるように努力すると約束した。
まずもう一回議長にならないといけないので、彼の道は険しい。
ともあれ、地球の再起動が済んでしまえば、リアルブルー人が自由に故郷に帰ることも可能となるだろう。
以前はなんだかんだとお互いの世界に対して理解が浅かったが、よくも悪くも空蒼作戦を経て、くだらないことでいがみ合うのは無意味だと骨身に染みている。
リアルブルーへの帰還を望むハンターを拒むことはもうないだろう。
そう考えると、あの過酷な戦いにも意味はあったのだ。
ナディア・ドラゴネッティ
ミリア・クロスフィールド
大精霊リアルブルー
各国それぞれが協力して世界の復興に当たる中、ハンターズ・ソサエティは未だ健在。
ハンターはその能力をいかんなく発揮し、壊れた街の修理や負傷者の治療などで活躍している。
歪虚との大規模な戦いこそ起きていないが、彼らの仕事はまだまだ終わらないみたいだ。
変わらないものもあれば、変わったものもある。
ハンターズ・ソサエティは総長ナディア・ドラゴネッティ(kz0207)を失い、新たなリーダーを必要とした。
……いや、必要とはしていないのかもしれない。元々この組織はリーダー云々という問題ではなかったようだし。
ただ、彼女の意思を継ぐ者は必要で、元々指名されていたミリア・クロスフィールド(kz0012)が新たな総長に就任した。
事務仕事という意味ではナディアより明らかに優秀で、それが求められる時期だったものだからまさにうってつけだった。
ナディアを失ってもさしたる混乱もなく、ハンターズ・ソサエティは今日に至る……。
●
「リアルブルーくん。そんなところで何してるの?」
「やあミリア。今まさに君のことを書いていたところだよ」
冒険都市リゼリオには、少しずつだが以前の雰囲気が戻りつつあった。
ハンターズ・ソサエティ本部にて、リアルブルーは手記を書いていた。
ミリアが覗き込むと、少年は少し照れくさそうに笑う。
「ついに読書好きが高じて書く方に……?」
「見様見真似だけどね。人間はす?ぐ後世に都合よく歴史を書き換えるから、こうなったら神が主観的に書いてやろうかと一計を案じたわけ」 手帳を閉じ、懐に押し込む。
窓を開くと、夜に響く賑やかな喧騒がここまでも聞こえてくる。
少し遅れて始まった祝勝ムードは、戦争が終わった実感を得るためにも必要なものだった。
傷ついたままで人々は歌い、踊り、そして勝利を口にした。
「終戦直後はぐったりだったからね。随分活気が戻ったよ」
「そうですね。命が生きようとする力は、本当にたくましい」
嬉しそうに呟くミリアの横顔は、以前とは少し違う自信と落ち着きに満ちていた。
「リアルブルーくんは、これからどうするんですか?」
「いずれは自分の世界に帰るよ。人間の営みに介入するつもりはないから、とりあえず好きに旅でもしてみるかな」
少年のオートマトンボディは当分持つ。それこそ数百年、数千年は維持できるだろう。
三柱の神の中で自分だけが生き残ったことにはきっと意味がある。いや、意味を成さねばならない。
「それでもしも人が愚かにも争いを繰り返すなら、面倒だけど神として仲裁する」
「ふふふ。神様っていうより、人目を忍ぶヒーローみたいですね」
「ソレだけは恐れ多くて名乗れないよ。僕は本物のヒーローってやつを嫌ってほど見たからね……」
小さく笑い、それから二人は夜空を見上げた。
この世界の外側にはもっと広い世界が広がっている。そこには数多の願いがあり、悲しみがあり、途絶えた道があった。
それでも世界は続いていく。まるで何事もなかったみたいに。
「生まれ変わったジュデッカは、今もどこかで続いてるのかな……」
リアルブルーの呟き。
ミリアは寂しげに笑って、何も言葉を添えようとはしなかった。
ファーザー
ファーザーと共に邪神の体内に残った者たちのその後は知られていない。
確かにナディアはそこで「世界の再誕」を成し遂げた……そのはずだった。
だが、それを知る術がない。彼女その後どうなったのか、誰にもわからない。
ファナティックブラッドという世界は消えた。もう一つ世界がどこかに作られていたとしても、それを観測できなければ答えはわからないままだ。
ナディアは、そして世界の再誕はどうなったのか……。
その痕跡を辿ろうという動きもあったが、手詰まりが続いている。
願いは――祈りは、本当に届いたのだろうか?
「わからん。僕は神だけど、全知全能ではないからね」
邪神は当たり前みたいに「宇宙全部観測した」とかほざいていたが、どう考えたって今の人類には真似できない偉業だ。
異常な敵と戦っていたので感覚が麻痺するが、普通すべての世界を知ることなどできるはずもない。
わからないままでも、知らないままでも、世界は続いていく。
何かを失ったままでも、それでも前に進まざるを得ない。
「結局ね。私にできることなんか、当たり前のことだけなんです。だからそれを一つずつ積み重ねて生きていきます」
ミリアは優しく微笑み、そして空に両手を伸ばす。
「明日はきっと、今日よりいい日になるよ!」
●
世界の再誕に成功しても、問題があった。
ここは全く別の宇宙、別の世界。クリムゾンウェストと連絡を取る手段が――ない。
つまりこのままでは彼らは「成功したのかしてないのかよくわからない状態」のままだ。
せっかくここまでやってくれたというのに、残念にも程がある。
「いやまあ、おぬしの言わんとすることはわからんでもないが……仕方なかろうて」
ナディアはそう言っているが、新たな宇宙の父とか名乗っちゃったワケで、それくらいなんとかしてあげないと名前負けする。
彼らはやれるだけのことをやってくれた。だったら自分もやれるだけの努力を試みるのが礼儀というものだろう。
「ごめんね、なでぃあ。ぼくのせいで、こんなところにきちゃって……」
「自分で選んだことじゃ。おぬしが気にすることではあるまいて」
「でも……えばぐり……えび……でぴゅ……」
「エヴァグリオスという名前は呼びづらいだろう。ファーザー……も、難しいか。パパとかでもいいぞ」
「えびちゃんとぼくが、ぜんぶのせかいをすくいたいなんて……ばかなことはじめちゃったから……」
パパ呼びはイヤだったのか。
ショックだ。もう何億年も表情変えてないからバレてないだろうけれど。
「ほかのせかいに、いけるひと……いないのかな?」
「潜在的可能性としては残されているはずだが、成長して形を得るまではどうにもならないな」
「それ完成するまでにわらわ消えそうなんですけど」
「なでぃあのいたじだいが、きえちゃってるとおもう……ひとのよって、せいぜいすうせんねんだから……」
そうか。人の世ってけっこうすぐ消えるんだよな。
あまりに長生きしすぎて、そんな当たり前のことも忘れていた。
「いせかいりょこう、じかんちょうやく……まえはできたんだけど……」
「おぬしが育つまで時間かかりそーじゃなー。よいよい、無理せずとも。言葉は通じなくとも分かりあえる……それが絆というものじゃ!」
「なかよしでも、だいじなことは、じぶんのことばで、つたえたほうが、いいとおもう。そういったの、きみたちでしょ? ひとにいったことは、じぶんもやらないとだめなんだよ?」
「すいませんでした」
しかし、実際問題どうしたものか。
ナディアはまだここにいるが、既に肉体は消えてしまっているし、思念体として星の中枢に刻まれているだけだ。
それも間もなく消え去ってしまうだろう。そしてナディアが消えるということは、クリムゾンウェストとの縁が絶たれることも意味している。
まいったな。せめて一言、伝える方法があればよいのだが。
死滅し、そして再生する世界。
激しい力の坩堝を前に、私は考え続けた。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)