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(ka0000)
【血断】オペレーション・ブラッドアウト「暴食天ベルゼブル討伐」リプレイ


▼【幻痛】グランドシナリオ「オペレーション・ブラッドアウト」(1/24?2/14)▼
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作戦3:「暴食天ベルゼブル討伐」リプレイ
- 暴食天ベルゼブル
- アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)
- リューリ・ハルマ(ka0502)
- セレス・フュラー(ka6276)
- アシェ?ル(ka2983)
- R7エクスシア-DM(R7エクスシア)(ka2983unit002)
- ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)
- オリーヴェ(イェジド)(ka0239unit001)
- 岩井崎 メル(ka0520)
- 対崎 紋次郎(ka1892)
- ストライト(R7エクスシア)(ka1892unit001)
- レイオス・アクアウォーカー(ka1990)
- シガレット=ウナギパイ(ka2884)
- エルバッハ・リオン(ka2434)
- ウィザード(R7エクスシア)(ka2434unit003)
- カイン・A・A・マッコール(ka5336)
- 北谷王子 朝騎(ka5818)
- 神楽(ka2032)
- ディーナ・フェルミ(ka5843)
- リュー・グランフェスト(ka2419)
- シエル(ワイバーン)(ka2419unit004)
- 南護 炎(ka6651)
- ミリア・ラスティソード(ka1287)
- ともえさん(オートソルジャー)(ka1287unit006)
- ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)
- アウレール・V・ブラオラント(ka2531)
- 星野 ハナ(ka5852)
- ミグ・ロマイヤー(ka0665)
- ヤクト・バウ・PC(ダインスレイブ)(ka0665unit008)
- 不動 シオン(ka5395)
- 東條 奏多(ka6425)
- 紅薔薇(ka4766)
- ロニ・カルディス(ka0551)
- 近衛 惣助(ka0510)
- 真改(魔導型ドミニオン)(ka0510unit002)
- 鳳凰院ひりょ(ka3744)
- 鹿東 悠(ka0725)
- Azrael(R7エクスシア)(ka0725unit001)
- 星空の幻(ka6980)
- 玄武坂 光(ka4537)
- ソフィア =リリィホルム(ka2383)
- 門垣 源一郎(ka6320)
- 八島 陽(ka1442)
- フィーナ・マギ・フィルム(ka6617)
- Schwarze(ワイバーン)(ka6617unit002)
- ゾファル・G・初火(ka4407)
- ガルちゃん(ガルガリン)(ka4407unit004)
- アニス・テスタロッサ(ka0141)
- レラージュ・ベナンディ(オファニム)(ka0141unit003)
●北荻グラウンド・ゼロにて
既に友軍は壊滅状態で、破壊されたCAMや魔導アーマー、ゴーレムの残骸がそこかしこに転がっていた。
メギドを思わせるベルゼブルの炎で残骸は溶け、原形を留めていない。
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は、守護者としての能力を解放する。
「頼むよ」
同時にポロウが結界を展開した。
リューリ・ハルマ(ka0502)はヨエルに跨り、アルトに離れ過ぎないよう追随する。
「全力でいくよ! アルトちゃんの攻撃の手は緩めさせないからね!」
目まぐるしい高機動の戦闘に備えて、視界内には入れておくように意識して立ち回った。
ウイング肉彦を連れ、セレス・フュラー(ka6276)はアルトやリューリの支援を意識する。
「戦闘用邪神翼ねぇ。観賞用とか保存用とか布教用とかもあるのかな?」
軽口を叩きつつ、ベルゼブルに挑んだ。
アシェ?ル(ka2983)はR7エクスシア-DMを駆り、全速力で進む。
「これで守ります!」
イニシャライズフィールドを周囲に展開し、周囲の味方に対するBSを軽減する結界を発生させる。
オリーヴェに騎乗しユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)は駆ける。
「邪神翼……しかも、コイツは始めから星を滅ぼす為に生まれたモノ。ここでコイツを潰せなければ、この世界も共に歩む明日も途絶えてしまう。そんなのは絶対にダメだ」
アカツキのコックピットで、岩井崎 メル(ka0520)はフライトシールド「プリドゥエン」のブースターを起動させた。
「突出しないようにいくよ!」
フライトシールド「プリドゥエン」に飛び乗ったアカツキが飛翔する。
対崎 紋次郎(ka1892)はストライトに乗り込み、ベルゼブルに挑む。
「邪神翼……以前の別種と戦闘した経験はある。短期決戦狙いの集中攻撃で、一気に仕留める!」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)はトライアンフに搭乗している。
「これまでに戦ってきた邪神翼以上か、敵も本気で来てるようだな」
シガレット=ウナギパイ(ka2884)はグラウに騎乗する。
「死ぬほどこえーが救える命を救えずに死なせたら、死んでも死にきれねェ。やってやろうじゃねぇか」
ウィザードに搭乗したエルバッハ・リオン(ka2434)は、コックピットのモニターに視線を向けた。
「確実な撃破を求められている以上、危険は覚悟しなければいけませんね」
モニターには、巨大なベルゼブルの姿が映っている。
カイン・A・A・マッコール(ka5336)は-無銘-を駆り出撃する。
「また厄介なのがでやがったな、何だよこの怪獣映画、興味はないんだがうけた仕事だからきっちり潰そうか」
ポロウを連れ北谷王子 朝騎(ka5818)はベルゼブルと相対する。
「さあ、行くでちゅよ」
騎乗した朝騎は飛ばず、そのままポロウを走らせた。
神楽(ka2032)は己の役割を心得ていた。
「俺がいる限り、自由には撃たせねーっすよ!」
ひたすらベルゼブルの攻撃を邪魔するのだ。
ポロウを連れ、ディーナ・フェルミ(ka5843)は回復役に専念する。
「邪神本隊と戦う前に仲間を失うわけにはいかないの! この戦いに勝って次はみんなで邪神に挑むの!」
リュー・グランフェスト(ka2419)はシエルの背に跨り飛行する。
「まずは一本でも首を減らさないとな」
STAR DUSTに乗り、南護 炎(ka6651)はモニター越しにベルゼブルを見据える。
「必ず倒す! 「STAR DUST」出撃!」
済ませておいた打ち合わせ通りに動く。
ともえさんを従え、ミリア・ラスティソード(ka1287)も駆ける。
「ベルゼブルを逃がすわけにはいかないよ……! ねえホムラ、ボク達のしぶとさって奴を見せてやろうぜ!」
打ち合わせ通り動いた。
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は高揚していた。
「強大どころの話ではない敵が相手だというのに心が躍る……。アウレール殿と肩を並べて戦える……これ程勿体無く、そして嬉しい事は他にありません。その栄誉と幸を噛み締める為にも、ここで奴を噛み砕かん……!」
アウレール・V・ブラオラント(ka2531)は21cm SkK17 ムスペルを伴い進軍する。
「此処に始まり此処に終わる。邪神翼に『この先』などありはしない」
味方の巻込みを避け、撃破か弾切れまで炸裂弾を放てと21cm SkK17 ムスペルに命令を下した。
星野 ハナ(ka5852)はスーちゃんの背でその首筋を撫でる。
「スーちゃん、私が間に合わない時の回復はお願いしますからねぇ。貴方の回復頼りにしてますよぅ」
ヤクト・バウ・PCのコックピット内で、ミグ・ロマイヤー(ka0665)は一人ごちる。
「何気に対邪神翼戦は初めてじゃのう。その力存分に見せてもらうぞ」
不動 シオン(ka5395)は神威を駆る。
「貴様が何だろうと逃げも隠れもせん。邪神翼たる貴様の力で私をじっくり楽しませてもらう」
てばさきを連れ、東條 奏多(ka6425)は意気込む。
「まだここは通過点、終わりじゃあない。余裕を持って、倒してやろうぜ?」
白を連れ紅薔薇(ka4766)は配置場所へ急ぐ。
「序盤はスキルの回数を減らされるのが最もまずいのじゃ。重要かつ回数の少ないスキルをセットしておる者は、決して覇者の剛勇の効果を切らすではないぞ!!」
ロニ・カルディス(ka0551)はマスティマを駆る。
「いいか、作戦通り行くぞ!」
近衛 惣助(ka0510)は真改に乗り込む。
「暴食天ベルゼブルに黙示騎士、とんでもない強敵揃いだ。だが俺のやる事は変わらない、どこだろうと味方の盾となって踏み止まる」
R7エクスシアに乗り、鳳凰院ひりょ(ka3744)はベルゼブルを見据える。
「邪神翼はここで確実に倒す! 誰も欠けずに生還して任務を完遂させるんだ……!」
鹿東 悠(ka0725)はAzraelのコックピットで思案する。
「いきなり大物が掛かりましたねぇ……図体がデカいだけに攻撃を当てるのは楽そうだ」
星空の幻(ka6980)味方に続いて走る。
「急がなきゃ……」
玄武坂 光(ka4537)はダインスレイブを走らせる。
「さて、やるか!」
ソフィア =リリィホルム(ka2383)を背に乗せ、風月が翔ける。
「たかだか翼一枚程度に、足踏みしてらんねーんだよ! 今までへし折った翼みたいに、ぶち抜いてやるよ!」
ダインスレイブが門垣 源一郎(ka6320)の乗機だ。
「俺の生きる意味はまだ残っているんだ」
邪神を打倒し地球の凍結を解除するためには、まず目の前のベルゼブルを破壊しなければならない。
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)は刻令ゴーレム「Gnome」を連れベルゼブルの足止めをしたい。
「いっちょやってみるじゃん!」
サルヴァトーレ・ロッソ、サルヴァトーレ・ブルの砲撃を当てるためだ。
あの光輪も攻撃するつもりでいる。
八島 陽(ka1442)はポールノチと一緒にベルゼブルへ挑む。
「スキルが回数切れしたら皆の作戦が崩れる。あの輪を壊さなきゃ」
フィーナ・マギ・フィルム(ka6617)はSchwarzeに跨り空に舞い上がる。
「あれを地平に撃たせちゃいけません……!」
ゾファル・G・初火(ka4407)はガルちゃんのコックピットで獰猛に笑う。
「へへーん、こいつはほんとにほんとの死地じゃんよぉ。俺様ちゃんの大好物、晩飯にちょうどいい、腹も減ってるしな」
人は彼女をバトルジャンキーと呼ぶ。
アニス・テスタロッサ(ka0141)は、レラージュ・ベナンディで戦う。
「ケツ持ちはやってやるよ。好きに暴れてきな」
まずは陣形の展開を済ませなければならない。
さあ、戦いの始まりだ!
●暴食天ベルゼブル
放たれるメギドの炎が三方向にそれぞれ伸びていく。
それらはポロウの結界に触れ、無効化された。
「……やべーな、あの炎。対策も無しでまともに喰らったら消し炭になるぞ」
攻撃を控え、風月に跨るソフィアは高空で待機する。
上空から軍用双眼鏡でベルゼブルと戦う味方の戦況を観察した。
まだ距離が離れた段階で敵が放ってくる攻撃は「メギドフレイム」一択であり、ポロウの「惑わすホー」を予め仕込むのも容易だった。
しかしポロウたちの結界とて即時展開できるわけではなく、接近後は決して安心はできない。
ベルゼブルの胴体中心を狙い、源一郎は誤射に注意しながらダインスレイブに砲撃体勢を取らせる。
「配置についた。友軍と同期して攻撃を開始する」
二門の滑腔砲が火を噴き、徹甲榴弾を発射した。
魔導拡声機「ナーハリヒト」で刻令ゴーレム「Gnome」に指示を出し、侵入を感知して動きを封じる法術地雷を設置させる。
「よし、そのまま設置を続けろよ」
設置箇所はよく見て、その位置を覚えておいた。
専用の通信機があることは承知しているものの、陽は蒼機銃「パームホープ」に曳光弾を装填する準備を整えておく。
「念には念を入れないと」
通信機が不調になり、サルヴァトーレ級に連絡ができなくなる可能性を考えているのだ。
ベルゼブルの頭上に展開している光輪がゾファルの狙いだ。
「あのベルフェゴール戦でも意味があったはずだ。それに賭ける!」
とはいえそれだけが理由でもない。
頭が三つあるベルゼブルは、それぞれが別個に攻撃してくる。
サルバトーレ級の砲撃を命中させるためには、囮を置いて注意を向けさせるか、動き自体を抑え込むしかない。
プラズマキャノン「アークスレイ」の射程に陣取り、アニスはレラージュ・ベナンディに砲撃姿勢を取らせる。
「射程外からの狙撃がいいな。まあそう簡単にはいかないだろうが」
ゾファルの援護を兼ね、ベルゼブルの光輪目掛け第一射を放った。
手応えはあまり良くない。効いていないわけではないが、破壊するには時間が掛かりそうだ。
「チッ、硬いな……頭数が足りねぇか?」
だとしても、頭上の光輪を狙うことは無意味ではない。
ベルゼブルが上空を飛翔するフィーナを見上げ、顎を開く。
「……ここです!」
Schwarzeがさながら流星のごとく、急加速してベルゼブルへ奇襲を仕掛けた。
放たれたメギドの炎を身体を回転させつつ不規則な飛行軌道をとることで回避し、フィーナが燃える火球を投げつける。
火球が爆発するのを背に感じながら背後へ離脱する。
ベルゼブルの攻撃の中でも、特に圧倒的な射程と範囲を有するメギドフレイムは凶悪だ。
フィーナはこれを「空」というあまり仲間が待機していない場所に向けて撃たせることで、時間を稼ごうというのだ。
つまり光輪への攻撃も含め、仮に破壊という結果を得られなかったとしても、陽動としての行動には意味がある。
そのままフィーナは全員が展開し切るだけの時間を稼いだ。
「勇気」の力を解放したアルトは仲間たちに強力な加護を与える。
「私と貴様らの主張が交わることはない。全力で抗い、逆に刈り取らせてもらおう」
残像すらも吹き飛ばす勢いでその場から消えると、舞い散る紅き花弁のようにオーラを舞わせ、最高速で駆け抜けざまにベルゼブルを斬り裂く。
たまらずアルトを睨んだベルゼブルの爪や牙が次々に襲い来る。だが、むしろ望むところだ。
ハンターはA、B、C、そして遊撃のDという三つのチームに分かれて行動している。
ベルゼブルという三つの頭を持つ敵から攻撃を各チームに分散させるためだ。
メギドフレイムのような攻撃を連発され、それで一気に全滅しないためには、敵の攻撃射角を限定する必要がある。正しい判断だ。
しかし同時に、ハンターはそれぞれの頭ではなく、まず一つの頭を優先して破壊する作戦を立てていた。
火力を三方面に分散すれば長期戦は必至。そして圧倒的火力を有する敵に対し長期戦は不利となる。
(一斉攻撃で、早めに頭を一つ潰したいところだが……)
火力のあるハンターが初動で一か所に集まれば、当然ながら敵はそれを狙うだろう。
また、左端の頭と右端の頭まではそれなりに距離があり、きちんと敵の狙いを三方向に分け切った後に動かなければ、結局分散にならない。
(つまり、まずは一度各班個別に攻撃を繰り出し……機を待つしかないな)
「下手に被弾して皆の邪魔していられない!」
全てが命中軌道だったそれらを、リューリは巧みにヨエルに回避行動を取らせることで避け、時間差で薙ぎ払われた尻尾をヨエルを急降下させながら身を低くして回避した。
ベースギター「キラン」を弾き、穏やかで静かな旋律を詠唱として、味方のマテリアルを活性化させたセレスは、高めたマテリアルを更に練り上げ、効果を共鳴させる。
きびきびとした迫力のある旋律が加わり、ベルゼブルを威圧した。
「例え、最後まであたしが立っていられなかったとしても」
ただ、セレスは旋律を奏で続ける。
ユニット用のスキルトレースシステムにより、アシェールは慣れ親しんだ動きを機体で再現する。
「いきますよ!」
桃色二重螺旋のオーラに包まれた電撃を放ちながら、魔銃「ダウロキヤ」、可変機銃「ポレモスSGS」で銃撃戦と格闘戦を臨機応変に展開した。
ユーリはマテリアルを宿し蒼白い雷光を纏い輝く蒼姫刀「魂奏竜胆」を超々重鞘「リミット・オーバー」から抜き放った。
「死を振り撒くというのならそれを踏み越えその先へ……滅びの未来を絶ち斬るっ!」
雷轟を思わせる踏み込みが地面を爆ぜさせ、高速の刺突が吠え猛る咆哮の如くベルゼブルを貫く。
背部のマジックエンハンサーを展開し、アカツキの魔導エンジンの出力を上昇させたメルは、さらに飛行戦闘にアカツキと自分自身を適応させ、複雑な機動でベルゼブルに攻撃を仕掛ける。
「みんなを、世界を、頑張って守るよ!」
マテリアルライフルを構え、アカツキがトリガーを引き紫色の光線を放つ。
頭へ、胴体へと、次々に着弾した。
頭上にある輪が光ると能力を発動する。
紋次郎はそう予測していたが、残念ながらベルゼブルには当て嵌まらない。
イニシャライズフィールドを機体の周囲に展開し結界を発生させ、備えとして攻撃を仕掛けた。
「喰らいな」
ユニット用のスキルトレースシステムを起動させ、機導術で光で出来た巨大な矢を形成し、発射する。
巨大な矢は三本に分散すると、それぞれの頭に直撃した。
展開したイニシャライズフィールドのマテリアルによる障壁でレイオスはベルゼブルの爪や牙、尻尾を防ぎ、ダメージをコントロールしながら攻撃を開始する。
「罠に嵌まったんだ。逃げられると思うなよ!」
トライアンフのスキルトレースシステムで、ベルゼブルの頭のうち一つへバリスタ「プルヴァランス」による狙い澄ました一射を放ち、闘旋剣「デイブレイカー」を振り抜き衝撃波を発生させた。
空を舞うグラウの上で、シガレットは味方を支援する。
時折地上に接近し、浄化魔法で味方の不調を解除していく。
「回復支援は任せな」
生命力が減った仲間たちを、的確に治癒術で癒していく。
祈りがマテリアルの力を大きく引き出し、強くも暖かい光を呼び込んだ。
イニシャライズフィールドをウィザードの周囲に展開させ、エルバッハは味方を支援した。
「高速戦闘中なら……」
エルバッハは敵味方無視の大技より、狙い撃ちしやすい小技を選択する。
鋭い風が、燃える炎の矢が、石礫が次々ベルゼブルの頭に飛んでいく。
振り回される爪や牙、尻尾に対し、ウィザードのスラスターをふかして回避を試み、斬艦刀「雲山」を盾代わりにして受け止めた。
カインはスラスターを全開にさせた-無銘-で接近を試みる。
スキルトレースシステムで自分の動きをなぞり、斬艦刀「天翼」で渾身撃を発動させようとして、準備してきていないことに気付いた。
「……しまったな。でもまあ、銃身がぶっ壊れるまで撃ち続けてりゃあなんとかなるだろ」
中断して離脱に入り、試作波動銃「アマテラス」に持ち替えマテリアルの光線を発射した。
あちこちで展開された幻影魔法による結界で、ベルゼブルの頭三つの口に灯っていたメギドの輝きが消え失せる。
「効果があるんでちゅね」
反撃とばかりに朝騎は符を投げ上げる。
宙を舞う符は稲妻と化し、四か所からベルゼブルを貫いた。
味方が狙う頭目掛けて、神楽は魔法で作り出した幻影の触手を伸ばした。
「邪神すら俺の触手は拘束するっす!」
捕まえて意気揚々とした神楽は、ベルゼブルの頭からメギドの炎が放たれようとしていることに気付き、咄嗟にその頭を自分へ引き寄せることで、強引に射線をずらし外れさせた。
朝騎のポロウがベルゼブルの頭の一つが放ったメギドの炎を無効化するのを、ディーナは目撃する。
「これはいいものを見たの!」
味方が動き回る範囲内に、ディーナは朝騎と協力して次々ポロウの結界を設置していく。
振り回される爪や牙、尻尾を星神器「エクスカリバー」で受け止めたリューは、はっきりとベルゼブルの力が減衰するのを感じた。
戦場を見回すと、守護者化しているアルトやマスティマに搭乗するロニも同じらしい。
「予想通りだ! ガーディアンウェポンを持っているならそれを使え!」
即座にリューは結果を周知し、オーラの衝撃波を上乗せしたカウンターを放った。
ベルゼブルに対し、炎はSTAR DUSTで接近戦を挑んだ。
味方の盾になることを意識する。
「やってみやがれ! 俺の覚悟は制御不能だ!!」
攻撃しつつベルゼブルの爪や牙、尻尾による反撃を大壁盾「庇護者の光翼」で受け止め、マント状に展開したマテリアルエネルギーで衝撃を軽減する。
ミリアはともえさんを連れ、STAR DUSTとべルゼブルに接敵する。
生体マテリアルで輝く大身槍「蜻蛉切」で神速の突きを放ち、込めた根性を気合でぶっ飛ばし爆発させた。
「だから炎! 少しは制御しろって言ってるだろ!」
傷付いた炎の機体をミリアは回復させる。
マテリアルでそれぞれの通信機器の機能を拡張し、複数のトランシーバーで同時通話を可能にしておく。
これはサルヴァトーレ級の状況、ならびにベルゼブルの攻撃の警戒や各班の連絡をしやすくするためだ。
「敵の狙いは三方向に分散した。これで連携も取りやすくなるはず……」
アウレールの後を追い、ツィスカは攻撃を仕掛けた。
守護者としての力を解放したアウレールは、大精霊が司る「勇気」の力で味方に強力な加護を与える。
さらに前進し大精霊が司る「知恵」の力を解き放つと、ベルゼブルへ封印の波動を放つ。
「邪神翼め……!」
だがベルゼブルは封印を打ち破った。
まずハナは守護者としての能力を解放した。
「たかが邪神翼に負けてたまるもんですかぁ! お前なんか手羽先にしてやりますぅ!」
複数の符を使って張った結界による光で真ん中の頭を焼いた。
自らの生体マテリアルを機体にコンバートしたミグは、アウトレンジから攻撃を仕掛けた。
「この距離は、ミグの間合いじゃ!」
引き撃ち気味に対応しながら、肩の滑空砲「プラネットキャノン」二門をベルゼブルに向け、分厚い装甲を貫通する性能に特化した徹甲弾を放った。
轟音とともに撃ち出された徹甲弾が、ベルゼブルの装甲をぶち抜く。
疾駆する神威がシオンを背に乗せ、ベルゼブルと接敵する。
まずシオンは神威に咆哮を行わせて周囲を威圧し、ベルゼブルの行動を阻害しようと試みる。
「この程度では驚かんか」
ベルゼブルのどの頭も怯んだ様子はない。
奏多のポロウの結界が、ベルゼブルの頭が次々に放つメギドの炎のうち、自分たちに向けられた一つを無効化する。
「効果があるのか。いい情報だ」
紅薔薇が力を解放し、守護者化する。
「大精霊に守護者権限の発動を申請……。我は今より人ではあらず『守護者』という名の剣なり!!」
髪の毛と瞳が金色に変化した紅薔薇は、すぐに前に出て大精霊が司る「勇気」の力を解放した。
周囲の味方に強力な加護が与えられる。
物理法則の軛から逃れ三次元軌道を行わせながらベルゼブルの頭へ接近し、ロニは攻撃を開始した。
「受けるがいい!」
マテリアルを機体全体に纏うマスティマから射出された翼が、まるでそれぞれが自我を持つように高速で飛び回りベルゼブルの頭を貫く。
盾を構えて前衛として動く惣助は、真改で味方を庇えるように位置取る。
放たれたメギドの炎は、無効化されたとはいえもし受ければ真改といえども二発以上は耐え切れないほどの威力があった。
「だが、物理攻撃ならいくつでも受けられるぞ!」
直接振るわれる爪や牙、尻尾を真改はものともしない。
衝撃を与えられる瞬間、機体装甲の表面を覆うマテリアルオーラが雷撃に性質変化し、攻撃を吹き飛ばしている。
スキルトレースシステムを起動させたひりょは、周囲にイニシャライズフィールドを展開する。
「皆、俺からあまり離れないでくれ!」
なるべく多くの仲間を範囲内に入れられるよう位置取りした。
ベルゼブルの撃破を目指し、悠は無線での情報共有徹底に努めた。
良く考えれば動き回る激しく動き回るベルゼブルの部位に番号を振ったところでそれを認識して攻撃できるとは限らない。
そもそも超常的なハンターが集まった高次元の戦いに彼らはついていけない。
「……どうやら私は、いえ私たちは、思っていたよりも強くなり過ぎていたようですね」
思い至れば、自らの腹案を否定する要素はいくらでも思いつく悠だった。
周りから冷気が漂わせ、星空の幻は矢にマテリアルを込めた。
和弓「流星雨」の右側に矢を番え、弦を親指の腹で引っ掛けて大きく引くと、弓を反時計回りに捻る。
「これで射抜く!」
そのままベルゼブルが位置する方向に矢先が向くようにして矢を飛ばした。
凍り付かせるまでには至らないものの、氷を纏った矢はベルゼブルの頭に直撃する。
配置につくと、光は遠距離からベルゼブルを攻撃する。
スキルトレースシステムにより、視力の高い動物霊の力がダインスレイブにまで適用された。
「こいつで撃ち抜く!」
分厚い装甲を貫通する性能に特化した徹甲弾が、ベルゼブルの頭に叩き込まれた。
●全ての力を結集せよ
巨大なベルゼブルに対し、CAMや幻獣、オートソルジャー、ゴーレム、生身のハンターたちが一丸となり、世界の命運を賭けた激戦が展開されている。
それはもはや、通常のハンターでは割って入れない、常軌を逸した戦いだった。
そして戦っているうちに、ハンターたちはベルゼブルの中心に位置する頭に攻撃を集中させる機会を見出す。
セレスの魅了魔法が効いたのだ。
「あ、効くんだ。なんでもやってみるもんだねぇ……って、このまま首を誘導するから、皆あたしから離れなよ!」
「ポロウを付ける! メギドフレイムしか止められないが……!」
「セレスさんはこっちでフォローするから、アルトちゃんは行って! 攻撃の要なんだからねっ!」
A班のメンバーと共に手を振るリューリ。アルトは頷き返し、風のように駆け出す。
「さあ、アルトくんが戻るまで気張るよ!」
頭の一つがはっきりと個別に自分を認識したのを見て、セレスはウイング肉彦に距離を取らせた。
ベルゼブルの攻撃が頭から発射される以上、当然攻撃方向もそれに依存する。
故に、セレスが視線を合わせながら移動すれば、一斉攻撃の邪魔はされない。
生物と認識した対象のみを腐食するウィルスがベルゼブルから放たれ、広範囲に爆散した。
それはリューリとて例外ではない。
「返すよっ!」
味方がウイルスの解除を始める中、リューリはベルゼブル自身へウイルスの転写を試みた。
しかし抵抗され、光の柱は消し飛ばされる。
「あいつ抵抗高いよ?っ!」
「面白い考えだが、無茶するぜェ……今、毒を回復するからなァ!」
シガレットはピュリフィケーションを使用し、A班のBSを解除していく。
マテリアルで輝く聖祈剣「ノートゥング」を手に、心に宿す力を刃に伝え、アウレールはベルゼブルに斬りかかる。
「……これはきっと慈悲だ。どうかこれが、終われぬ者への救いたらんことを」
再び大精霊が司る「知恵」の力を借り、ベルゼブルに封印の波動を浴びせ、今度こそ抑え込んだ。
「ここは私が抑える! 皆は一斉攻撃に参加してくれ!」
ベルゼブルの頭を潰すには、味方全員で攻撃しある程度火力を集中させる必要がある。
アウレールがC班担当の頭を行動不能にしている間なら、他のメンバーは攻撃に専念できる。
機械剣「ドリーフック」に持ち替え、ツィスカは機導術を行使する。
目の前で三角形が描かれ、激しく発光する。
「今です!」
三角形の頂点一つ一つから光が発射され、ベルゼブルへと伸びていき着弾した。
オーラを陽炎の如く立ち昇らせる星神器「エクスカリバー」を手に、リューはその王権を解放する。
「剣よ! 王たる権能を今ここに! 倒す!!」
大精霊の力により、「世界」の物理法則が書き換えられる。
追随する味方の傷が癒され、リューと同じだけの力が分け与えられた。
「貫け! 天の龍槍!!」
星神器「エクスカリバー」から大量のマテリアルが放たれ、輝きとともにベルゼブルを飲み込んでいく。
ベルゼブルを斬り裂いた姿勢のまま背後に抜け、アルトは「正義」のマテリアルを解き放った。
共に戦い力尽きていった者たちが、アルトの背後で背を向けて立っている。
かつてアルトは、死を無駄にしないために、泣くのも嘆くのも事が済んでからと決めた。
故に再会はない。顔は見ない。きっと彼らもそれを望むだろう。
「……またね」
目を閉じるアルトの背後で彼らはマテリアルに変わり、ベルゼブルを焼き払う閃光となった。
ひたすら砲撃に徹し、味方の位置によってスナイパーライフル「オブジェクティフMC-051」に切り替えて銃撃しつつ、源一郎はダインスレイブを徐々に頭や目を狙える位置にまで移動させる。
しかし頭はともかく、目を狙う意味はあまりない。
目が見えずともベルゼブルはマテリアルの反応で周囲を認識することが可能なうえ、むしろセレスの魅了魔法のトリガーが失われる分こちらが不利になる。
「生かして返さんぞ」
砲撃と銃撃を巧みに切り替えつつ、源一郎はただ戦い続ける。
ポールノチが周囲に結界を張る。
そこへメギドの炎が放たれ、結界が反応してそれを無効化した。
騎乗している陽は、四大精霊サンデルマンの力を借り、絶火剣「ティトゥレル」を掲げた。
マテリアルの光が溢れ、周囲に広がって味方を鼓舞する。
牽制に堕杖「エグリゴリ」で光でできた三角形を描き中心を突くと、その頂点一つ一つから光が伸び、ベルゼブルを貫いた。
続けて機械剣「ドリーフック」に持ち替え、再び光の三角形を作り出す。
「行けっ!」
振り下ろすと同時に三条の光が放たれ、次々光輪に着弾した。
空ならば、メギドの炎に巻き込まれるのは空を飛ぶごく少数で済む。
「この位置を維持し続けてみせます……!」
ベルゼブルの直上を取りSchwarzeを滞空させる。
三つの頭が同時に見え、背後には空が広がるのみ。
魔導書「生命の泉」から書かれた全ての内容を弾き出し、魔術を行使する。
溢れ出した膨大な魔力を束ね、光のエネルギーを矢に形成し解き放つ。
生体マテリアルを機体にコンバートし、アニスのレラージュ・ベナンディと組んで突っ込む。
「ぶった斬ってやるぜ!」
フライトブースター「ズヴォルタ」の推進剤を一気に燃焼させて噴射し、矢のように距離を詰めて斬艦刀「天翼」 とKBシールド「エフティーア」を手にガルちゃんで波状攻撃を仕掛けた。
ベルゼブルが放つメギドの炎はポロウの結界に引っかかり無効化されているが、設置地点に留まらなければならないという欠点もある。
口腔を狙い妨害を試みるものの効果は薄い。
「暴発とかは……さすがに考え甘ぇか」
四基のエンジンの内一基の出力を火力に指向させ、並行して感覚の一体化と映像・情報の網膜投影を行う。
赤いマテリアル粒子がアニスの全身を覆いながら機体まで広がり、赤く発光を始めた。
レラージュ・ベナンディの砲撃が発射される。
一斉攻撃は成功し、中央に位置するベルゼブルの頭に大きな亀裂が入る。破壊は目前であった。
●サルヴァトーレ級の主砲
地味に爪や牙、尻尾などによるダメージががハンターたちの間で蓄積してきた。
物理攻撃であるため、ポロウの結界では無効化できないのだ。
だが、上空から光輪を狙う者たちに気を取られ、今まで地上ばかり向いていたベルゼブルの首が次第に頭上を見上げ始める。
主砲を直撃させる機会は今しかない。
要請を受諾したサルヴァトーレ・ロッソが主砲の発射するため近寄ってくる。
七色の小さな幾何学魔法陣が無数に展開された。
「最大可動モード始動! ここからがDMの本領です!」
R7エクスシア-DMのスラスターが全開になり、マテリアルエンハンサーから最大出力でマテリアルが放出される。
マテリアルは光の翼を形成し、ベルゼブルの移動を阻害した。
「どぉどぉ! やんちゃなわんちゃんです!」
さらにショットクロー「スカロプス」を当てて迎撃を外れさせ、アシェールは速やかに離脱する。
ストライトの背部の円形マテリアルエンハンサーから最大出力でマテリアルが放出され、光の翼を形作る。
これは、ベルゼブルの移動を阻害する障壁だ。
サルヴァトーレ・ロッソの主砲がチャージされていく。
「こいつは人類からの宣戦布告だ……」
紋次郎はストライトのロングレンジマテリアルライフル「噴火」で追撃を行った。
レイオスはコックピットを解放し魔力を込めた星神器「ヴァサヴィ・シャクティ」を構えた。
「神弓よその力を示し、撃ち抜け!」
連続射撃がベルゼブルの頭に殺到する。
戦神の力によって爆発するベルゼブルを背後に、コックピットが閉じられトライアンフが動き出した。
マテリアルを放出し光の翼を形成すると、ベルゼブルの移動を阻害する。
重機関銃「ラワーユリッヒNG5」で銃撃しつつ、エルバッハはウィザードを操縦してサルヴァトーレ・ブルの砲撃からベルゼブルが逃げられないようにした。
「そこに留まりなさい」
光の翼のように広がったマテリアルが障壁となってベルゼブルを抑え込んだ。
サルヴァトーレ・ロッソの支援砲撃に合わせるため、ベルゼブルの頭部目掛け、-無銘-はプラズマキャノン「アークスレイ」の砲撃と、試作波動銃「アマテラス」による銃撃を交互に繰り返して行う。
「さあ、耐えてくれよ!」
機体背部の円形マテリアルエンハンサーからマテリアルが放出され、光の翼が勢いを増した。
魔法でR7エクスシアの前方に巨大な光るエネルギーの矢を生成して飛ばし、続いて斬龍刀「天墜」を振り抜いた勢いで衝撃波を飛ばす。
機体の光の翼を展開させていたひりょは、サルヴァトーレ・ロッソの主砲が輝くのを見て、一気に攻勢に出た。
「今だ! ……来いっ!」
マテリアルライフルで紫色の光線を放ち、R7エクスシアの頭上に激しい雷撃を呼び出しベルゼブルを貫く。
そして味方を巻き添えにしないよう気を付けつつ、試作型対VOIDミサイル「ブリスクラ」を発射して命中させて、大爆発を引き起こした。
攻撃の機会を炎は見逃さない。
覚醒状態が機体にまで拡張され、STAR DUSTのカメラアイに蒼と紅のオーラが灯る。
「行くぞミリア! みんな! ベルゼブルを殲滅するぞ! 俺達は制御不能だ!」
覚醒者としてのトレース技術により、生身での動きを機体で再現する。
マテリアルを機体に巡らせると、素早く動きながらベルゼブルを斬艦刀「雲山」で何度も斬りつけた。
ベルゼブルの頭や胴体が次々斬り裂かれる。
「お前の背中はボクのもんだ! ……じゃなくて炎、背中は任せろ!」
ともえさんがミリアに合わせ構えを固め、ベルゼブルの前に立ち塞がり最大出力で斬りかかった。
「炎、この戦いが終わったら2人で……あー後でいいや」
退避する一人と一機の横で、ともえさんがサルヴァトーレ・ロッソの砲撃から逃がさないよう一役買い、光の翼を展開するCAMたちに倣ってベルゼブルの逃げ道を塞ごうとしていた。
サルヴァトーレ・ロッソの主砲発射準備は整いつつあった。
しかし、ここでハンターたちに誤算が生じる。
激しいエネルギー反応にベルゼブルが気付き、サルヴァトーレ・ロッソへ攻撃する意思を見せたのだ。
ベルゼブルのメギドフレイムはサルヴァトーレ級の主砲にも負けない射程を有している。
身動きが取れないのなら、攻撃者を迎撃すればよい。
三つの頭が全てサルヴァトーレ・ロッソを見据え、顎を開いた。
ポロウの結界はすぐには展開できない。
動けた者は三人いた。
戦闘の進行に応じて使用する結界を決め、幻影の腕でベルゼブルを結界に引き込もうと考えていたヴォーイだったが、ここで予想外の事態が起きる。
ベルゼブルが重過ぎた。
全身を引き寄せるのはどう頑張っても無理だ。
「仕方ないじゃん!」
潔く諦め頭を一つだけ引っ張ってその向きを変える程度に留めると、刻令ゴーレム「Gnome」を逃がし、ヴォーイも祖霊の力による幻影の雲に乗りその場から離脱した。
神楽は賭けに出て、ベルゼブルへの挑発を続行する。
サルヴァトーレ・ロッソの砲撃を成功させるために、もう一度幻影の触手でベルゼブルを拘束すると、ベルゼブルの照準をずらしながら砲撃範囲外へ逃亡する。
「たっけって?っす!」
祖霊や精霊の力を引き出し、味方と共鳴し合いその力を皆に分け与えた。
魔法で作った水っぽいオーラを纏わせ、防衛本能を働かせ傷を再生する。
続けて放たれたメギドの炎は虚空へと消えた。
まだ一発残っている。
全身をマテリアルのオーラで覆い残像を纏って肉体を加速させると、奏多は全速力で疾駆しすれ違いざまに絶火刀「シャイターン」でベルゼブルを斬り裂いた。
ベルゼブルの反撃も激しい。
残された一つであるメギドの炎が奏多たちを襲った。
背後には、サルヴァトーレ・ロッソがある。
奏多はシールド「レヴェヨンサプレス」を中心に光の障壁を発生させ、メギドの炎を収束させて受け止めた。
代償に奏多は炎の中へ消えるが、「勇気」の加護が死地から生還させる。
「ここが正念場だ。全員、魂に火を付けろ!」
絶火刀「シャイターン」を掲げ、奏多はマテリアルの光を発して周囲の味方を鼓舞した。
●勇敢なる魂
サルヴァトーレ・ロッソから主砲が発射され、ベルゼブルに直撃する。
姿を現したベルゼブルは、既に損傷している真ん中の頭を失っていた。
ベルゼブルはすぐに動けない。
あちこちから、ハンターたちのマテリアル光が鮮烈に迸った。
それは正に、激しく燃える炎のような、一瞬の命が放つ生命の輝きだった。
眩い光が、汚染されたグラウンドゼロを照らし上げる。
急降下しつつ、ソフィアはマテリアルを纏う星神器「ブリューナク」に増幅したマテリアルをさらに込め、強制的に開放する。
特殊硬化弾「キシャル」装填すると、両手でしっかりと星神器「ブリューナク」を構え、秘められた「光輝」の理を解放した。
「焼き尽くせ! 顕現せよ……紅き太陽!!」
空間転移により直接ベルゼブルに送り込まれた弾丸が小型の太陽と化す。
爆発する太陽の光は、ベルゼブルが持つ全ての守りを無力化した。
中央の頭部――B班担当の頭を破壊した時点で、B班のメンバーは自由に動ける。
左右のA、Cの頭部へ増援に雪崩れ込むと、一気に攻勢をかけた。
オーラを纏ったオリーヴェが再度突入を仕掛けた。
ユーリが桜吹雪の幻影を巻き起こし、超々重鞘「リミット・オーバー」に蓄積されたマテリアルを全開放すると、青白い雷光を走らせながら突撃した。
「この星を滅ぼさせない……! 滅びの結末を終わらせる!」
ベルゼブルに蒼姫刀「魂奏竜胆」を突き立てる。
蒼白の雷光が迸った。
感染したウイルスを解除してアカツキを動かし、メルは叫ぶ。
「まだ終わりじゃない!」
メルのマテリアルが機体へと流れていき、扇状に炎の力を持った破壊エネルギーとして噴射された。
さらにクイックライフル「ウッドペッカー」を抜き放ち、マテリアルビームを発射する。
ベルゼブルは炎に巻かれ光線に貫かれた。
通信機を通じて味方の状況がシガレットの耳に入ってくる。
重傷者がサルヴァトーレ級の砲撃やベルゼブルの攻撃に巻き込まれないよう、シガレットはグラウを急加速させて味方を回収して回り、一か所に集めて回復させる。
戦闘不能者は高位法術で復活させた。
「まだ倒れるには早いぜぇ?」
ベルゼブルの攻撃をグラウが身体を回転させつつ不規則な飛行軌道を取ることで回避し、シガレットは味方を戦線に復帰させる。
そしてなおも援護を続けた。
符を引き抜き、ハナは即応できる状態を維持する。
ウイルスを返そうとするも、抵抗に失敗し頓挫する。
「深紅ちゃんの期待に応えられるよう頑張りますからぁ、早く目を覚まして下さいねぇ」
大精霊クリムゾンウェストに勝手につけた渾名が深紅だ。
ハナは大精霊が司る「勇気」の力を解放し、その加護でもって連発されるウイルスのうち、一つをベルゼブルへ送り返した。
すかさずスーちゃんが味方の抵抗力と回復効果を高め、不調を回復すると、ハナは続けて大精霊が司る「信仰」の力を光と変え、癒しの波動を放った。
最後の徹甲弾を大砲に装填しつつ、ミグは狙いを頭の一つに集中させていく。
「たらふく食わせてやるぞ! 砲弾じゃがな!」
徹甲弾を撃ち尽くしてもミグの攻撃は途切れない。
「まだじゃ! まだ終わりでないぞ!」
大砲は滑空砲「プラネットキャノン」二門だけではなく、プラズマキャノン「アークスレイ」があるのだ。
放たれた砲撃は、ベルゼブルの装甲を撃ち抜き貫通した。
サルヴァトーレ・ロッソの砲撃後にシオンは総攻撃をかけた。
「その巨体、斬り刻んでやろう!」
大きく踏み込みながら剛刀「大輪一文字」を突き出し、その軌道上にあるベルゼブルを刺し貫く。
続いて振り回し、ベルゼブルを薙ぎ払う。
首の付け根を断ち斬ったが、離れてもベルゼブルの頭は活動を続けた。
「ちぃっ!」
幸い振るわれる爪、牙、尻尾などの通常攻撃は大体パターンを掴めている。
シオンは自身の生体マテリアルで輝く剛刀「大輪一文字」で、マテリアルを爆発的に放出させる。
爆炎のような閃光が煌めいた。
侵入を感知して動きを封じる法術地雷を、白が紅薔薇の周囲に設置する。
巨大な黄色い薔薇の幻影を紅薔薇が放ち、幾重にも重なる花弁の輪郭をなぞるように次元断層を発生させる。
ベルゼブルを破壊の渦に巻き込み、頭のうち一つを付け根から切断した。
やはりなお頭は動き続ける。
「どうせ攻撃など二の次で良いのじゃが、こうまでピンピンされるとはの!」
加護の維持に紅薔薇は注力した。
こちらの方が先に倒される危険性を排除してこそ、仲間が攻撃に専念できる。
悠は敵の攻撃や行動、反応を観察する。
「直接的な脅威はあの炎です。しかし、それ以上に毒やウイルス、スキルを減らす咆哮が厄介だ。長くは耐えられません。やはり短期決戦で速攻をかけなければ」
無線で主砲を要請し、再び一斉攻撃の機会を探る。
サルヴァトーレ・ブルが動いた。
一斉攻撃が効いて二つの頭は大きく損傷している。
それでもベルゼブルの勢いは衰えていないものの、サルヴァトーレ・ブルの主砲を浴びせて畳みかければ倒せそうだ。
しかし問題は、二発目をベルゼブルが許すかどうかである。
死に物狂いで妨害してくるに違いない。
そうなれば間違いなく、死者が出る。
最悪サルヴァトーレ・ブルの爆散もあり得た。
ロニはサルヴァトーレ・ブルの砲撃を悟られない為、一計を案じる。
悟られればメギドの炎がサルヴァトーレ・ブルに飛んでいくし、それを阻止するには主砲に巻き込まれることを恐れずに、ギリギリまで戦わねばならない。
「皆、集まってくれ。囮になって奴を引き付けてから一気に離脱する」
味方に無線で呼びかけ、戦闘の最中周辺に集合してもらったロニは、メギドの炎が来る前にマスティマごと仲間たちを空間転移させた。
メギドの炎が連続で放たれるが、何もない空間を薙ぎ払うだけだった。
プライマルシフト――マスティマの転移能力だ。
そして、迎撃されなかったためサルヴァトーレ・ブルのチャージが完了している。
発射された主砲がベルゼブルを飲み込んだ。
主砲のみ込まれ膝を着くベルゼブル。その眼前に、ついさっき消えたはずのハンター達が現れる。
「悪いが遠慮はなしだ。一気に畳みかけるぞ!」
マスティマの瞳が輝き、ダウンしているベルゼブルへ剣のような羽が次々と降り注ぐ。
サルヴァトーレ・ブルの砲撃でダウンした隙に、星空の幻は畳みかけた。
「いくよ……光お兄ちゃん……。覚悟はいいよね……俺達は出来ている……!」
宇宙(ソラ)に向かって矢を番えた星空の幻が、まるで流星の如き煌めきとともに矢を放つ。
放たれた矢はマテリアルの力により、「隕石」の如くそして「涙」のように、全てを裁く鉄槌となって降り注いだ。
機体の背嚢より追加の弾薬を取り出し、次弾装填を済ませる。
「これから連続で徹甲弾の砲撃を行う! 注意してくれ!」
サルヴァトーレ・ブルの主砲で行動不能になったベルゼブルに、武装を展開し攻撃体勢を取ったダインスレイブが、連続で砲撃し畳みかける。
重厚な砲撃音とともに、ベルゼブルに徹甲弾が次々撃ち込まれ、装甲を貫いていく。
「まだだ! 全弾持っていきやがれ!」」
続けて光はダインスレイブの105mmスナイパーライフルで銃撃を撃ち込み、ミサイルランチャー「フューゼレイド」からミサイルをばらまいた。
味方の攻撃に合わせ、ベルゼブルを攻撃する。
試作波動銃「アマテラス」で銃撃を加えつつ接近し、ある程度まで近付くと真改は試作波動銃「アマテラス」を魔法射撃モードに切り替えマテリアルビームを放った。
「喰らえ!」
ツインドリルランス「コスモ」の手甲部に内蔵された細身のドリルを高速回転させ、一気に目標へと突撃した。
サルヴァトーレ・ブルの砲撃後戻った朝騎は、行動不能に陥ったベルゼブルの頭が一つハナに移し替えられたウイルスにより、ダメージを受けて再び行動不能になるのを見た。
占いにより吉方と凶方を調べ、ポロウの高い感知能力も駆使し、朝騎はイニシアチブを自分たちに引き寄せ、復帰するベルゼブルから先手をもぎ取ることに成功する。
「後からどかんでちゅ」
展開されているイニシャライズフィールドの援護を受け、朝騎はウイルスを跳ねのけ、ベルゼブル自身に移し替えることに成功した。
それでもなお厳しい反撃に、次々に傷付いていく味方をディーナは必死に治療していく。
運悪く戦闘不能になった味方には復活術を施し、瀕死の場合は高位法術で治療する。
一度に複数を治療する必要に迫られその準備を忘れたことに慌てる場面もあったものの、冷静に味方を支え、戦線を崩壊させない。
「何度でも、私が癒すの!」
封印を解いた星神器「ウコンバサラ」を手に自ら前線に立ち、ディーナは二種の浄化魔法を駆使してベルゼブルが振りまく毒やウイルスを除去していった。
●そしてまた、翼が墜ちる
ベルゼブルの頭は残り一つになっていた。
苦し紛れに怨嗟の咆哮を上げようとしていたベルゼブルが、突如動きを止める。
朝騎が移し替えたウイルスが、ベルゼブルの体内で効果を発揮したのだ。
その隙を逃すはずもなく、ハンターたちは残る一つの弾に一斉攻撃を仕掛ける。
最後に試作法術刀「華焔」をアルトによって突き立てられ、ついにベルゼブルの最後の頭が弾け飛んだ。
核である頭を三つ失ったベルゼブルは苦しむように何度ものたうち、地面に崩れ落ちる。
ゆっくりとベルゼブルの姿が崩れ落ちていく。
最後には何も残さず消滅した。
背中の光輪を壊すには至らなかったが、これにてベルゼブルの撃破は完了した。
既に友軍は壊滅状態で、破壊されたCAMや魔導アーマー、ゴーレムの残骸がそこかしこに転がっていた。
メギドを思わせるベルゼブルの炎で残骸は溶け、原形を留めていない。
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は、守護者としての能力を解放する。
「頼むよ」
同時にポロウが結界を展開した。
リューリ・ハルマ(ka0502)はヨエルに跨り、アルトに離れ過ぎないよう追随する。
「全力でいくよ! アルトちゃんの攻撃の手は緩めさせないからね!」
目まぐるしい高機動の戦闘に備えて、視界内には入れておくように意識して立ち回った。
ウイング肉彦を連れ、セレス・フュラー(ka6276)はアルトやリューリの支援を意識する。
「戦闘用邪神翼ねぇ。観賞用とか保存用とか布教用とかもあるのかな?」
軽口を叩きつつ、ベルゼブルに挑んだ。
アシェ?ル(ka2983)はR7エクスシア-DMを駆り、全速力で進む。
「これで守ります!」
イニシャライズフィールドを周囲に展開し、周囲の味方に対するBSを軽減する結界を発生させる。
オリーヴェに騎乗しユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)は駆ける。
「邪神翼……しかも、コイツは始めから星を滅ぼす為に生まれたモノ。ここでコイツを潰せなければ、この世界も共に歩む明日も途絶えてしまう。そんなのは絶対にダメだ」
アカツキのコックピットで、岩井崎 メル(ka0520)はフライトシールド「プリドゥエン」のブースターを起動させた。
「突出しないようにいくよ!」
フライトシールド「プリドゥエン」に飛び乗ったアカツキが飛翔する。
対崎 紋次郎(ka1892)はストライトに乗り込み、ベルゼブルに挑む。
「邪神翼……以前の別種と戦闘した経験はある。短期決戦狙いの集中攻撃で、一気に仕留める!」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)はトライアンフに搭乗している。
「これまでに戦ってきた邪神翼以上か、敵も本気で来てるようだな」
シガレット=ウナギパイ(ka2884)はグラウに騎乗する。
「死ぬほどこえーが救える命を救えずに死なせたら、死んでも死にきれねェ。やってやろうじゃねぇか」
ウィザードに搭乗したエルバッハ・リオン(ka2434)は、コックピットのモニターに視線を向けた。
「確実な撃破を求められている以上、危険は覚悟しなければいけませんね」
モニターには、巨大なベルゼブルの姿が映っている。
カイン・A・A・マッコール(ka5336)は-無銘-を駆り出撃する。
「また厄介なのがでやがったな、何だよこの怪獣映画、興味はないんだがうけた仕事だからきっちり潰そうか」
ポロウを連れ北谷王子 朝騎(ka5818)はベルゼブルと相対する。
「さあ、行くでちゅよ」
騎乗した朝騎は飛ばず、そのままポロウを走らせた。
神楽(ka2032)は己の役割を心得ていた。
「俺がいる限り、自由には撃たせねーっすよ!」
ひたすらベルゼブルの攻撃を邪魔するのだ。
ポロウを連れ、ディーナ・フェルミ(ka5843)は回復役に専念する。
「邪神本隊と戦う前に仲間を失うわけにはいかないの! この戦いに勝って次はみんなで邪神に挑むの!」
リュー・グランフェスト(ka2419)はシエルの背に跨り飛行する。
「まずは一本でも首を減らさないとな」
STAR DUSTに乗り、南護 炎(ka6651)はモニター越しにベルゼブルを見据える。
「必ず倒す! 「STAR DUST」出撃!」
済ませておいた打ち合わせ通りに動く。
ともえさんを従え、ミリア・ラスティソード(ka1287)も駆ける。
「ベルゼブルを逃がすわけにはいかないよ……! ねえホムラ、ボク達のしぶとさって奴を見せてやろうぜ!」
打ち合わせ通り動いた。
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は高揚していた。
「強大どころの話ではない敵が相手だというのに心が躍る……。アウレール殿と肩を並べて戦える……これ程勿体無く、そして嬉しい事は他にありません。その栄誉と幸を噛み締める為にも、ここで奴を噛み砕かん……!」
アウレール・V・ブラオラント(ka2531)は21cm SkK17 ムスペルを伴い進軍する。
「此処に始まり此処に終わる。邪神翼に『この先』などありはしない」
味方の巻込みを避け、撃破か弾切れまで炸裂弾を放てと21cm SkK17 ムスペルに命令を下した。
星野 ハナ(ka5852)はスーちゃんの背でその首筋を撫でる。
「スーちゃん、私が間に合わない時の回復はお願いしますからねぇ。貴方の回復頼りにしてますよぅ」
ヤクト・バウ・PCのコックピット内で、ミグ・ロマイヤー(ka0665)は一人ごちる。
「何気に対邪神翼戦は初めてじゃのう。その力存分に見せてもらうぞ」
不動 シオン(ka5395)は神威を駆る。
「貴様が何だろうと逃げも隠れもせん。邪神翼たる貴様の力で私をじっくり楽しませてもらう」
てばさきを連れ、東條 奏多(ka6425)は意気込む。
「まだここは通過点、終わりじゃあない。余裕を持って、倒してやろうぜ?」
白を連れ紅薔薇(ka4766)は配置場所へ急ぐ。
「序盤はスキルの回数を減らされるのが最もまずいのじゃ。重要かつ回数の少ないスキルをセットしておる者は、決して覇者の剛勇の効果を切らすではないぞ!!」
ロニ・カルディス(ka0551)はマスティマを駆る。
「いいか、作戦通り行くぞ!」
近衛 惣助(ka0510)は真改に乗り込む。
「暴食天ベルゼブルに黙示騎士、とんでもない強敵揃いだ。だが俺のやる事は変わらない、どこだろうと味方の盾となって踏み止まる」
R7エクスシアに乗り、鳳凰院ひりょ(ka3744)はベルゼブルを見据える。
「邪神翼はここで確実に倒す! 誰も欠けずに生還して任務を完遂させるんだ……!」
鹿東 悠(ka0725)はAzraelのコックピットで思案する。
「いきなり大物が掛かりましたねぇ……図体がデカいだけに攻撃を当てるのは楽そうだ」
星空の幻(ka6980)味方に続いて走る。
「急がなきゃ……」
玄武坂 光(ka4537)はダインスレイブを走らせる。
「さて、やるか!」
ソフィア =リリィホルム(ka2383)を背に乗せ、風月が翔ける。
「たかだか翼一枚程度に、足踏みしてらんねーんだよ! 今までへし折った翼みたいに、ぶち抜いてやるよ!」
ダインスレイブが門垣 源一郎(ka6320)の乗機だ。
「俺の生きる意味はまだ残っているんだ」
邪神を打倒し地球の凍結を解除するためには、まず目の前のベルゼブルを破壊しなければならない。
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)は刻令ゴーレム「Gnome」を連れベルゼブルの足止めをしたい。
「いっちょやってみるじゃん!」
サルヴァトーレ・ロッソ、サルヴァトーレ・ブルの砲撃を当てるためだ。
あの光輪も攻撃するつもりでいる。
八島 陽(ka1442)はポールノチと一緒にベルゼブルへ挑む。
「スキルが回数切れしたら皆の作戦が崩れる。あの輪を壊さなきゃ」
フィーナ・マギ・フィルム(ka6617)はSchwarzeに跨り空に舞い上がる。
「あれを地平に撃たせちゃいけません……!」
ゾファル・G・初火(ka4407)はガルちゃんのコックピットで獰猛に笑う。
「へへーん、こいつはほんとにほんとの死地じゃんよぉ。俺様ちゃんの大好物、晩飯にちょうどいい、腹も減ってるしな」
人は彼女をバトルジャンキーと呼ぶ。
アニス・テスタロッサ(ka0141)は、レラージュ・ベナンディで戦う。
「ケツ持ちはやってやるよ。好きに暴れてきな」
まずは陣形の展開を済ませなければならない。
さあ、戦いの始まりだ!
●暴食天ベルゼブル
放たれるメギドの炎が三方向にそれぞれ伸びていく。
それらはポロウの結界に触れ、無効化された。
「……やべーな、あの炎。対策も無しでまともに喰らったら消し炭になるぞ」
攻撃を控え、風月に跨るソフィアは高空で待機する。
上空から軍用双眼鏡でベルゼブルと戦う味方の戦況を観察した。
まだ距離が離れた段階で敵が放ってくる攻撃は「メギドフレイム」一択であり、ポロウの「惑わすホー」を予め仕込むのも容易だった。
しかしポロウたちの結界とて即時展開できるわけではなく、接近後は決して安心はできない。
ベルゼブルの胴体中心を狙い、源一郎は誤射に注意しながらダインスレイブに砲撃体勢を取らせる。
「配置についた。友軍と同期して攻撃を開始する」
二門の滑腔砲が火を噴き、徹甲榴弾を発射した。
魔導拡声機「ナーハリヒト」で刻令ゴーレム「Gnome」に指示を出し、侵入を感知して動きを封じる法術地雷を設置させる。
「よし、そのまま設置を続けろよ」
設置箇所はよく見て、その位置を覚えておいた。
専用の通信機があることは承知しているものの、陽は蒼機銃「パームホープ」に曳光弾を装填する準備を整えておく。
「念には念を入れないと」
通信機が不調になり、サルヴァトーレ級に連絡ができなくなる可能性を考えているのだ。
ベルゼブルの頭上に展開している光輪がゾファルの狙いだ。
「あのベルフェゴール戦でも意味があったはずだ。それに賭ける!」
とはいえそれだけが理由でもない。
頭が三つあるベルゼブルは、それぞれが別個に攻撃してくる。
サルバトーレ級の砲撃を命中させるためには、囮を置いて注意を向けさせるか、動き自体を抑え込むしかない。
プラズマキャノン「アークスレイ」の射程に陣取り、アニスはレラージュ・ベナンディに砲撃姿勢を取らせる。
「射程外からの狙撃がいいな。まあそう簡単にはいかないだろうが」
ゾファルの援護を兼ね、ベルゼブルの光輪目掛け第一射を放った。
手応えはあまり良くない。効いていないわけではないが、破壊するには時間が掛かりそうだ。
「チッ、硬いな……頭数が足りねぇか?」
だとしても、頭上の光輪を狙うことは無意味ではない。
ベルゼブルが上空を飛翔するフィーナを見上げ、顎を開く。
「……ここです!」
Schwarzeがさながら流星のごとく、急加速してベルゼブルへ奇襲を仕掛けた。
放たれたメギドの炎を身体を回転させつつ不規則な飛行軌道をとることで回避し、フィーナが燃える火球を投げつける。
火球が爆発するのを背に感じながら背後へ離脱する。
ベルゼブルの攻撃の中でも、特に圧倒的な射程と範囲を有するメギドフレイムは凶悪だ。
フィーナはこれを「空」というあまり仲間が待機していない場所に向けて撃たせることで、時間を稼ごうというのだ。
つまり光輪への攻撃も含め、仮に破壊という結果を得られなかったとしても、陽動としての行動には意味がある。
そのままフィーナは全員が展開し切るだけの時間を稼いだ。
「勇気」の力を解放したアルトは仲間たちに強力な加護を与える。
「私と貴様らの主張が交わることはない。全力で抗い、逆に刈り取らせてもらおう」
残像すらも吹き飛ばす勢いでその場から消えると、舞い散る紅き花弁のようにオーラを舞わせ、最高速で駆け抜けざまにベルゼブルを斬り裂く。
たまらずアルトを睨んだベルゼブルの爪や牙が次々に襲い来る。だが、むしろ望むところだ。
ハンターはA、B、C、そして遊撃のDという三つのチームに分かれて行動している。
ベルゼブルという三つの頭を持つ敵から攻撃を各チームに分散させるためだ。
メギドフレイムのような攻撃を連発され、それで一気に全滅しないためには、敵の攻撃射角を限定する必要がある。正しい判断だ。
しかし同時に、ハンターはそれぞれの頭ではなく、まず一つの頭を優先して破壊する作戦を立てていた。
火力を三方面に分散すれば長期戦は必至。そして圧倒的火力を有する敵に対し長期戦は不利となる。
(一斉攻撃で、早めに頭を一つ潰したいところだが……)
火力のあるハンターが初動で一か所に集まれば、当然ながら敵はそれを狙うだろう。
また、左端の頭と右端の頭まではそれなりに距離があり、きちんと敵の狙いを三方向に分け切った後に動かなければ、結局分散にならない。
(つまり、まずは一度各班個別に攻撃を繰り出し……機を待つしかないな)
「下手に被弾して皆の邪魔していられない!」
全てが命中軌道だったそれらを、リューリは巧みにヨエルに回避行動を取らせることで避け、時間差で薙ぎ払われた尻尾をヨエルを急降下させながら身を低くして回避した。
ベースギター「キラン」を弾き、穏やかで静かな旋律を詠唱として、味方のマテリアルを活性化させたセレスは、高めたマテリアルを更に練り上げ、効果を共鳴させる。
きびきびとした迫力のある旋律が加わり、ベルゼブルを威圧した。
「例え、最後まであたしが立っていられなかったとしても」
ただ、セレスは旋律を奏で続ける。
ユニット用のスキルトレースシステムにより、アシェールは慣れ親しんだ動きを機体で再現する。
「いきますよ!」
桃色二重螺旋のオーラに包まれた電撃を放ちながら、魔銃「ダウロキヤ」、可変機銃「ポレモスSGS」で銃撃戦と格闘戦を臨機応変に展開した。
ユーリはマテリアルを宿し蒼白い雷光を纏い輝く蒼姫刀「魂奏竜胆」を超々重鞘「リミット・オーバー」から抜き放った。
「死を振り撒くというのならそれを踏み越えその先へ……滅びの未来を絶ち斬るっ!」
雷轟を思わせる踏み込みが地面を爆ぜさせ、高速の刺突が吠え猛る咆哮の如くベルゼブルを貫く。
背部のマジックエンハンサーを展開し、アカツキの魔導エンジンの出力を上昇させたメルは、さらに飛行戦闘にアカツキと自分自身を適応させ、複雑な機動でベルゼブルに攻撃を仕掛ける。
「みんなを、世界を、頑張って守るよ!」
マテリアルライフルを構え、アカツキがトリガーを引き紫色の光線を放つ。
頭へ、胴体へと、次々に着弾した。
頭上にある輪が光ると能力を発動する。
紋次郎はそう予測していたが、残念ながらベルゼブルには当て嵌まらない。
イニシャライズフィールドを機体の周囲に展開し結界を発生させ、備えとして攻撃を仕掛けた。
「喰らいな」
ユニット用のスキルトレースシステムを起動させ、機導術で光で出来た巨大な矢を形成し、発射する。
巨大な矢は三本に分散すると、それぞれの頭に直撃した。
展開したイニシャライズフィールドのマテリアルによる障壁でレイオスはベルゼブルの爪や牙、尻尾を防ぎ、ダメージをコントロールしながら攻撃を開始する。
「罠に嵌まったんだ。逃げられると思うなよ!」
トライアンフのスキルトレースシステムで、ベルゼブルの頭のうち一つへバリスタ「プルヴァランス」による狙い澄ました一射を放ち、闘旋剣「デイブレイカー」を振り抜き衝撃波を発生させた。
空を舞うグラウの上で、シガレットは味方を支援する。
時折地上に接近し、浄化魔法で味方の不調を解除していく。
「回復支援は任せな」
生命力が減った仲間たちを、的確に治癒術で癒していく。
祈りがマテリアルの力を大きく引き出し、強くも暖かい光を呼び込んだ。
イニシャライズフィールドをウィザードの周囲に展開させ、エルバッハは味方を支援した。
「高速戦闘中なら……」
エルバッハは敵味方無視の大技より、狙い撃ちしやすい小技を選択する。
鋭い風が、燃える炎の矢が、石礫が次々ベルゼブルの頭に飛んでいく。
振り回される爪や牙、尻尾に対し、ウィザードのスラスターをふかして回避を試み、斬艦刀「雲山」を盾代わりにして受け止めた。
カインはスラスターを全開にさせた-無銘-で接近を試みる。
スキルトレースシステムで自分の動きをなぞり、斬艦刀「天翼」で渾身撃を発動させようとして、準備してきていないことに気付いた。
「……しまったな。でもまあ、銃身がぶっ壊れるまで撃ち続けてりゃあなんとかなるだろ」
中断して離脱に入り、試作波動銃「アマテラス」に持ち替えマテリアルの光線を発射した。
あちこちで展開された幻影魔法による結界で、ベルゼブルの頭三つの口に灯っていたメギドの輝きが消え失せる。
「効果があるんでちゅね」
反撃とばかりに朝騎は符を投げ上げる。
宙を舞う符は稲妻と化し、四か所からベルゼブルを貫いた。
味方が狙う頭目掛けて、神楽は魔法で作り出した幻影の触手を伸ばした。
「邪神すら俺の触手は拘束するっす!」
捕まえて意気揚々とした神楽は、ベルゼブルの頭からメギドの炎が放たれようとしていることに気付き、咄嗟にその頭を自分へ引き寄せることで、強引に射線をずらし外れさせた。
朝騎のポロウがベルゼブルの頭の一つが放ったメギドの炎を無効化するのを、ディーナは目撃する。
「これはいいものを見たの!」
味方が動き回る範囲内に、ディーナは朝騎と協力して次々ポロウの結界を設置していく。
振り回される爪や牙、尻尾を星神器「エクスカリバー」で受け止めたリューは、はっきりとベルゼブルの力が減衰するのを感じた。
戦場を見回すと、守護者化しているアルトやマスティマに搭乗するロニも同じらしい。
「予想通りだ! ガーディアンウェポンを持っているならそれを使え!」
即座にリューは結果を周知し、オーラの衝撃波を上乗せしたカウンターを放った。
ベルゼブルに対し、炎はSTAR DUSTで接近戦を挑んだ。
味方の盾になることを意識する。
「やってみやがれ! 俺の覚悟は制御不能だ!!」
攻撃しつつベルゼブルの爪や牙、尻尾による反撃を大壁盾「庇護者の光翼」で受け止め、マント状に展開したマテリアルエネルギーで衝撃を軽減する。
ミリアはともえさんを連れ、STAR DUSTとべルゼブルに接敵する。
生体マテリアルで輝く大身槍「蜻蛉切」で神速の突きを放ち、込めた根性を気合でぶっ飛ばし爆発させた。
「だから炎! 少しは制御しろって言ってるだろ!」
傷付いた炎の機体をミリアは回復させる。
マテリアルでそれぞれの通信機器の機能を拡張し、複数のトランシーバーで同時通話を可能にしておく。
これはサルヴァトーレ級の状況、ならびにベルゼブルの攻撃の警戒や各班の連絡をしやすくするためだ。
「敵の狙いは三方向に分散した。これで連携も取りやすくなるはず……」
アウレールの後を追い、ツィスカは攻撃を仕掛けた。
守護者としての力を解放したアウレールは、大精霊が司る「勇気」の力で味方に強力な加護を与える。
さらに前進し大精霊が司る「知恵」の力を解き放つと、ベルゼブルへ封印の波動を放つ。
「邪神翼め……!」
だがベルゼブルは封印を打ち破った。
まずハナは守護者としての能力を解放した。
「たかが邪神翼に負けてたまるもんですかぁ! お前なんか手羽先にしてやりますぅ!」
複数の符を使って張った結界による光で真ん中の頭を焼いた。
自らの生体マテリアルを機体にコンバートしたミグは、アウトレンジから攻撃を仕掛けた。
「この距離は、ミグの間合いじゃ!」
引き撃ち気味に対応しながら、肩の滑空砲「プラネットキャノン」二門をベルゼブルに向け、分厚い装甲を貫通する性能に特化した徹甲弾を放った。
轟音とともに撃ち出された徹甲弾が、ベルゼブルの装甲をぶち抜く。
疾駆する神威がシオンを背に乗せ、ベルゼブルと接敵する。
まずシオンは神威に咆哮を行わせて周囲を威圧し、ベルゼブルの行動を阻害しようと試みる。
「この程度では驚かんか」
ベルゼブルのどの頭も怯んだ様子はない。
奏多のポロウの結界が、ベルゼブルの頭が次々に放つメギドの炎のうち、自分たちに向けられた一つを無効化する。
「効果があるのか。いい情報だ」
紅薔薇が力を解放し、守護者化する。
「大精霊に守護者権限の発動を申請……。我は今より人ではあらず『守護者』という名の剣なり!!」
髪の毛と瞳が金色に変化した紅薔薇は、すぐに前に出て大精霊が司る「勇気」の力を解放した。
周囲の味方に強力な加護が与えられる。
物理法則の軛から逃れ三次元軌道を行わせながらベルゼブルの頭へ接近し、ロニは攻撃を開始した。
「受けるがいい!」
マテリアルを機体全体に纏うマスティマから射出された翼が、まるでそれぞれが自我を持つように高速で飛び回りベルゼブルの頭を貫く。
盾を構えて前衛として動く惣助は、真改で味方を庇えるように位置取る。
放たれたメギドの炎は、無効化されたとはいえもし受ければ真改といえども二発以上は耐え切れないほどの威力があった。
「だが、物理攻撃ならいくつでも受けられるぞ!」
直接振るわれる爪や牙、尻尾を真改はものともしない。
衝撃を与えられる瞬間、機体装甲の表面を覆うマテリアルオーラが雷撃に性質変化し、攻撃を吹き飛ばしている。
スキルトレースシステムを起動させたひりょは、周囲にイニシャライズフィールドを展開する。
「皆、俺からあまり離れないでくれ!」
なるべく多くの仲間を範囲内に入れられるよう位置取りした。
ベルゼブルの撃破を目指し、悠は無線での情報共有徹底に努めた。
良く考えれば動き回る激しく動き回るベルゼブルの部位に番号を振ったところでそれを認識して攻撃できるとは限らない。
そもそも超常的なハンターが集まった高次元の戦いに彼らはついていけない。
「……どうやら私は、いえ私たちは、思っていたよりも強くなり過ぎていたようですね」
思い至れば、自らの腹案を否定する要素はいくらでも思いつく悠だった。
周りから冷気が漂わせ、星空の幻は矢にマテリアルを込めた。
和弓「流星雨」の右側に矢を番え、弦を親指の腹で引っ掛けて大きく引くと、弓を反時計回りに捻る。
「これで射抜く!」
そのままベルゼブルが位置する方向に矢先が向くようにして矢を飛ばした。
凍り付かせるまでには至らないものの、氷を纏った矢はベルゼブルの頭に直撃する。
配置につくと、光は遠距離からベルゼブルを攻撃する。
スキルトレースシステムにより、視力の高い動物霊の力がダインスレイブにまで適用された。
「こいつで撃ち抜く!」
分厚い装甲を貫通する性能に特化した徹甲弾が、ベルゼブルの頭に叩き込まれた。
●全ての力を結集せよ
巨大なベルゼブルに対し、CAMや幻獣、オートソルジャー、ゴーレム、生身のハンターたちが一丸となり、世界の命運を賭けた激戦が展開されている。
それはもはや、通常のハンターでは割って入れない、常軌を逸した戦いだった。
そして戦っているうちに、ハンターたちはベルゼブルの中心に位置する頭に攻撃を集中させる機会を見出す。
セレスの魅了魔法が効いたのだ。
「あ、効くんだ。なんでもやってみるもんだねぇ……って、このまま首を誘導するから、皆あたしから離れなよ!」
「ポロウを付ける! メギドフレイムしか止められないが……!」
「セレスさんはこっちでフォローするから、アルトちゃんは行って! 攻撃の要なんだからねっ!」
A班のメンバーと共に手を振るリューリ。アルトは頷き返し、風のように駆け出す。
「さあ、アルトくんが戻るまで気張るよ!」
頭の一つがはっきりと個別に自分を認識したのを見て、セレスはウイング肉彦に距離を取らせた。
ベルゼブルの攻撃が頭から発射される以上、当然攻撃方向もそれに依存する。
故に、セレスが視線を合わせながら移動すれば、一斉攻撃の邪魔はされない。
生物と認識した対象のみを腐食するウィルスがベルゼブルから放たれ、広範囲に爆散した。
それはリューリとて例外ではない。
「返すよっ!」
味方がウイルスの解除を始める中、リューリはベルゼブル自身へウイルスの転写を試みた。
しかし抵抗され、光の柱は消し飛ばされる。
「あいつ抵抗高いよ?っ!」
「面白い考えだが、無茶するぜェ……今、毒を回復するからなァ!」
シガレットはピュリフィケーションを使用し、A班のBSを解除していく。
マテリアルで輝く聖祈剣「ノートゥング」を手に、心に宿す力を刃に伝え、アウレールはベルゼブルに斬りかかる。
「……これはきっと慈悲だ。どうかこれが、終われぬ者への救いたらんことを」
再び大精霊が司る「知恵」の力を借り、ベルゼブルに封印の波動を浴びせ、今度こそ抑え込んだ。
「ここは私が抑える! 皆は一斉攻撃に参加してくれ!」
ベルゼブルの頭を潰すには、味方全員で攻撃しある程度火力を集中させる必要がある。
アウレールがC班担当の頭を行動不能にしている間なら、他のメンバーは攻撃に専念できる。
機械剣「ドリーフック」に持ち替え、ツィスカは機導術を行使する。
目の前で三角形が描かれ、激しく発光する。
「今です!」
三角形の頂点一つ一つから光が発射され、ベルゼブルへと伸びていき着弾した。
オーラを陽炎の如く立ち昇らせる星神器「エクスカリバー」を手に、リューはその王権を解放する。
「剣よ! 王たる権能を今ここに! 倒す!!」
大精霊の力により、「世界」の物理法則が書き換えられる。
追随する味方の傷が癒され、リューと同じだけの力が分け与えられた。
「貫け! 天の龍槍!!」
星神器「エクスカリバー」から大量のマテリアルが放たれ、輝きとともにベルゼブルを飲み込んでいく。
ベルゼブルを斬り裂いた姿勢のまま背後に抜け、アルトは「正義」のマテリアルを解き放った。
共に戦い力尽きていった者たちが、アルトの背後で背を向けて立っている。
かつてアルトは、死を無駄にしないために、泣くのも嘆くのも事が済んでからと決めた。
故に再会はない。顔は見ない。きっと彼らもそれを望むだろう。
「……またね」
目を閉じるアルトの背後で彼らはマテリアルに変わり、ベルゼブルを焼き払う閃光となった。
ひたすら砲撃に徹し、味方の位置によってスナイパーライフル「オブジェクティフMC-051」に切り替えて銃撃しつつ、源一郎はダインスレイブを徐々に頭や目を狙える位置にまで移動させる。
しかし頭はともかく、目を狙う意味はあまりない。
目が見えずともベルゼブルはマテリアルの反応で周囲を認識することが可能なうえ、むしろセレスの魅了魔法のトリガーが失われる分こちらが不利になる。
「生かして返さんぞ」
砲撃と銃撃を巧みに切り替えつつ、源一郎はただ戦い続ける。
ポールノチが周囲に結界を張る。
そこへメギドの炎が放たれ、結界が反応してそれを無効化した。
騎乗している陽は、四大精霊サンデルマンの力を借り、絶火剣「ティトゥレル」を掲げた。
マテリアルの光が溢れ、周囲に広がって味方を鼓舞する。
牽制に堕杖「エグリゴリ」で光でできた三角形を描き中心を突くと、その頂点一つ一つから光が伸び、ベルゼブルを貫いた。
続けて機械剣「ドリーフック」に持ち替え、再び光の三角形を作り出す。
「行けっ!」
振り下ろすと同時に三条の光が放たれ、次々光輪に着弾した。
空ならば、メギドの炎に巻き込まれるのは空を飛ぶごく少数で済む。
「この位置を維持し続けてみせます……!」
ベルゼブルの直上を取りSchwarzeを滞空させる。
三つの頭が同時に見え、背後には空が広がるのみ。
魔導書「生命の泉」から書かれた全ての内容を弾き出し、魔術を行使する。
溢れ出した膨大な魔力を束ね、光のエネルギーを矢に形成し解き放つ。
生体マテリアルを機体にコンバートし、アニスのレラージュ・ベナンディと組んで突っ込む。
「ぶった斬ってやるぜ!」
フライトブースター「ズヴォルタ」の推進剤を一気に燃焼させて噴射し、矢のように距離を詰めて斬艦刀「天翼」 とKBシールド「エフティーア」を手にガルちゃんで波状攻撃を仕掛けた。
ベルゼブルが放つメギドの炎はポロウの結界に引っかかり無効化されているが、設置地点に留まらなければならないという欠点もある。
口腔を狙い妨害を試みるものの効果は薄い。
「暴発とかは……さすがに考え甘ぇか」
四基のエンジンの内一基の出力を火力に指向させ、並行して感覚の一体化と映像・情報の網膜投影を行う。
赤いマテリアル粒子がアニスの全身を覆いながら機体まで広がり、赤く発光を始めた。
レラージュ・ベナンディの砲撃が発射される。
一斉攻撃は成功し、中央に位置するベルゼブルの頭に大きな亀裂が入る。破壊は目前であった。
●サルヴァトーレ級の主砲
地味に爪や牙、尻尾などによるダメージががハンターたちの間で蓄積してきた。
物理攻撃であるため、ポロウの結界では無効化できないのだ。
だが、上空から光輪を狙う者たちに気を取られ、今まで地上ばかり向いていたベルゼブルの首が次第に頭上を見上げ始める。
主砲を直撃させる機会は今しかない。
要請を受諾したサルヴァトーレ・ロッソが主砲の発射するため近寄ってくる。
七色の小さな幾何学魔法陣が無数に展開された。
「最大可動モード始動! ここからがDMの本領です!」
R7エクスシア-DMのスラスターが全開になり、マテリアルエンハンサーから最大出力でマテリアルが放出される。
マテリアルは光の翼を形成し、ベルゼブルの移動を阻害した。
「どぉどぉ! やんちゃなわんちゃんです!」
さらにショットクロー「スカロプス」を当てて迎撃を外れさせ、アシェールは速やかに離脱する。
ストライトの背部の円形マテリアルエンハンサーから最大出力でマテリアルが放出され、光の翼を形作る。
これは、ベルゼブルの移動を阻害する障壁だ。
サルヴァトーレ・ロッソの主砲がチャージされていく。
「こいつは人類からの宣戦布告だ……」
紋次郎はストライトのロングレンジマテリアルライフル「噴火」で追撃を行った。
レイオスはコックピットを解放し魔力を込めた星神器「ヴァサヴィ・シャクティ」を構えた。
「神弓よその力を示し、撃ち抜け!」
連続射撃がベルゼブルの頭に殺到する。
戦神の力によって爆発するベルゼブルを背後に、コックピットが閉じられトライアンフが動き出した。
マテリアルを放出し光の翼を形成すると、ベルゼブルの移動を阻害する。
重機関銃「ラワーユリッヒNG5」で銃撃しつつ、エルバッハはウィザードを操縦してサルヴァトーレ・ブルの砲撃からベルゼブルが逃げられないようにした。
「そこに留まりなさい」
光の翼のように広がったマテリアルが障壁となってベルゼブルを抑え込んだ。
サルヴァトーレ・ロッソの支援砲撃に合わせるため、ベルゼブルの頭部目掛け、-無銘-はプラズマキャノン「アークスレイ」の砲撃と、試作波動銃「アマテラス」による銃撃を交互に繰り返して行う。
「さあ、耐えてくれよ!」
機体背部の円形マテリアルエンハンサーからマテリアルが放出され、光の翼が勢いを増した。
魔法でR7エクスシアの前方に巨大な光るエネルギーの矢を生成して飛ばし、続いて斬龍刀「天墜」を振り抜いた勢いで衝撃波を飛ばす。
機体の光の翼を展開させていたひりょは、サルヴァトーレ・ロッソの主砲が輝くのを見て、一気に攻勢に出た。
「今だ! ……来いっ!」
マテリアルライフルで紫色の光線を放ち、R7エクスシアの頭上に激しい雷撃を呼び出しベルゼブルを貫く。
そして味方を巻き添えにしないよう気を付けつつ、試作型対VOIDミサイル「ブリスクラ」を発射して命中させて、大爆発を引き起こした。
攻撃の機会を炎は見逃さない。
覚醒状態が機体にまで拡張され、STAR DUSTのカメラアイに蒼と紅のオーラが灯る。
「行くぞミリア! みんな! ベルゼブルを殲滅するぞ! 俺達は制御不能だ!」
覚醒者としてのトレース技術により、生身での動きを機体で再現する。
マテリアルを機体に巡らせると、素早く動きながらベルゼブルを斬艦刀「雲山」で何度も斬りつけた。
ベルゼブルの頭や胴体が次々斬り裂かれる。
「お前の背中はボクのもんだ! ……じゃなくて炎、背中は任せろ!」
ともえさんがミリアに合わせ構えを固め、ベルゼブルの前に立ち塞がり最大出力で斬りかかった。
「炎、この戦いが終わったら2人で……あー後でいいや」
退避する一人と一機の横で、ともえさんがサルヴァトーレ・ロッソの砲撃から逃がさないよう一役買い、光の翼を展開するCAMたちに倣ってベルゼブルの逃げ道を塞ごうとしていた。
サルヴァトーレ・ロッソの主砲発射準備は整いつつあった。
しかし、ここでハンターたちに誤算が生じる。
激しいエネルギー反応にベルゼブルが気付き、サルヴァトーレ・ロッソへ攻撃する意思を見せたのだ。
ベルゼブルのメギドフレイムはサルヴァトーレ級の主砲にも負けない射程を有している。
身動きが取れないのなら、攻撃者を迎撃すればよい。
三つの頭が全てサルヴァトーレ・ロッソを見据え、顎を開いた。
ポロウの結界はすぐには展開できない。
動けた者は三人いた。
戦闘の進行に応じて使用する結界を決め、幻影の腕でベルゼブルを結界に引き込もうと考えていたヴォーイだったが、ここで予想外の事態が起きる。
ベルゼブルが重過ぎた。
全身を引き寄せるのはどう頑張っても無理だ。
「仕方ないじゃん!」
潔く諦め頭を一つだけ引っ張ってその向きを変える程度に留めると、刻令ゴーレム「Gnome」を逃がし、ヴォーイも祖霊の力による幻影の雲に乗りその場から離脱した。
神楽は賭けに出て、ベルゼブルへの挑発を続行する。
サルヴァトーレ・ロッソの砲撃を成功させるために、もう一度幻影の触手でベルゼブルを拘束すると、ベルゼブルの照準をずらしながら砲撃範囲外へ逃亡する。
「たっけって?っす!」
祖霊や精霊の力を引き出し、味方と共鳴し合いその力を皆に分け与えた。
魔法で作った水っぽいオーラを纏わせ、防衛本能を働かせ傷を再生する。
続けて放たれたメギドの炎は虚空へと消えた。
まだ一発残っている。
全身をマテリアルのオーラで覆い残像を纏って肉体を加速させると、奏多は全速力で疾駆しすれ違いざまに絶火刀「シャイターン」でベルゼブルを斬り裂いた。
ベルゼブルの反撃も激しい。
残された一つであるメギドの炎が奏多たちを襲った。
背後には、サルヴァトーレ・ロッソがある。
奏多はシールド「レヴェヨンサプレス」を中心に光の障壁を発生させ、メギドの炎を収束させて受け止めた。
代償に奏多は炎の中へ消えるが、「勇気」の加護が死地から生還させる。
「ここが正念場だ。全員、魂に火を付けろ!」
絶火刀「シャイターン」を掲げ、奏多はマテリアルの光を発して周囲の味方を鼓舞した。
●勇敢なる魂
サルヴァトーレ・ロッソから主砲が発射され、ベルゼブルに直撃する。
姿を現したベルゼブルは、既に損傷している真ん中の頭を失っていた。
ベルゼブルはすぐに動けない。
あちこちから、ハンターたちのマテリアル光が鮮烈に迸った。
それは正に、激しく燃える炎のような、一瞬の命が放つ生命の輝きだった。
眩い光が、汚染されたグラウンドゼロを照らし上げる。
急降下しつつ、ソフィアはマテリアルを纏う星神器「ブリューナク」に増幅したマテリアルをさらに込め、強制的に開放する。
特殊硬化弾「キシャル」装填すると、両手でしっかりと星神器「ブリューナク」を構え、秘められた「光輝」の理を解放した。
「焼き尽くせ! 顕現せよ……紅き太陽!!」
空間転移により直接ベルゼブルに送り込まれた弾丸が小型の太陽と化す。
爆発する太陽の光は、ベルゼブルが持つ全ての守りを無力化した。
中央の頭部――B班担当の頭を破壊した時点で、B班のメンバーは自由に動ける。
左右のA、Cの頭部へ増援に雪崩れ込むと、一気に攻勢をかけた。
オーラを纏ったオリーヴェが再度突入を仕掛けた。
ユーリが桜吹雪の幻影を巻き起こし、超々重鞘「リミット・オーバー」に蓄積されたマテリアルを全開放すると、青白い雷光を走らせながら突撃した。
「この星を滅ぼさせない……! 滅びの結末を終わらせる!」
ベルゼブルに蒼姫刀「魂奏竜胆」を突き立てる。
蒼白の雷光が迸った。
感染したウイルスを解除してアカツキを動かし、メルは叫ぶ。
「まだ終わりじゃない!」
メルのマテリアルが機体へと流れていき、扇状に炎の力を持った破壊エネルギーとして噴射された。
さらにクイックライフル「ウッドペッカー」を抜き放ち、マテリアルビームを発射する。
ベルゼブルは炎に巻かれ光線に貫かれた。
通信機を通じて味方の状況がシガレットの耳に入ってくる。
重傷者がサルヴァトーレ級の砲撃やベルゼブルの攻撃に巻き込まれないよう、シガレットはグラウを急加速させて味方を回収して回り、一か所に集めて回復させる。
戦闘不能者は高位法術で復活させた。
「まだ倒れるには早いぜぇ?」
ベルゼブルの攻撃をグラウが身体を回転させつつ不規則な飛行軌道を取ることで回避し、シガレットは味方を戦線に復帰させる。
そしてなおも援護を続けた。
符を引き抜き、ハナは即応できる状態を維持する。
ウイルスを返そうとするも、抵抗に失敗し頓挫する。
「深紅ちゃんの期待に応えられるよう頑張りますからぁ、早く目を覚まして下さいねぇ」
大精霊クリムゾンウェストに勝手につけた渾名が深紅だ。
ハナは大精霊が司る「勇気」の力を解放し、その加護でもって連発されるウイルスのうち、一つをベルゼブルへ送り返した。
すかさずスーちゃんが味方の抵抗力と回復効果を高め、不調を回復すると、ハナは続けて大精霊が司る「信仰」の力を光と変え、癒しの波動を放った。
最後の徹甲弾を大砲に装填しつつ、ミグは狙いを頭の一つに集中させていく。
「たらふく食わせてやるぞ! 砲弾じゃがな!」
徹甲弾を撃ち尽くしてもミグの攻撃は途切れない。
「まだじゃ! まだ終わりでないぞ!」
大砲は滑空砲「プラネットキャノン」二門だけではなく、プラズマキャノン「アークスレイ」があるのだ。
放たれた砲撃は、ベルゼブルの装甲を撃ち抜き貫通した。
サルヴァトーレ・ロッソの砲撃後にシオンは総攻撃をかけた。
「その巨体、斬り刻んでやろう!」
大きく踏み込みながら剛刀「大輪一文字」を突き出し、その軌道上にあるベルゼブルを刺し貫く。
続いて振り回し、ベルゼブルを薙ぎ払う。
首の付け根を断ち斬ったが、離れてもベルゼブルの頭は活動を続けた。
「ちぃっ!」
幸い振るわれる爪、牙、尻尾などの通常攻撃は大体パターンを掴めている。
シオンは自身の生体マテリアルで輝く剛刀「大輪一文字」で、マテリアルを爆発的に放出させる。
爆炎のような閃光が煌めいた。
侵入を感知して動きを封じる法術地雷を、白が紅薔薇の周囲に設置する。
巨大な黄色い薔薇の幻影を紅薔薇が放ち、幾重にも重なる花弁の輪郭をなぞるように次元断層を発生させる。
ベルゼブルを破壊の渦に巻き込み、頭のうち一つを付け根から切断した。
やはりなお頭は動き続ける。
「どうせ攻撃など二の次で良いのじゃが、こうまでピンピンされるとはの!」
加護の維持に紅薔薇は注力した。
こちらの方が先に倒される危険性を排除してこそ、仲間が攻撃に専念できる。
悠は敵の攻撃や行動、反応を観察する。
「直接的な脅威はあの炎です。しかし、それ以上に毒やウイルス、スキルを減らす咆哮が厄介だ。長くは耐えられません。やはり短期決戦で速攻をかけなければ」
無線で主砲を要請し、再び一斉攻撃の機会を探る。
サルヴァトーレ・ブルが動いた。
一斉攻撃が効いて二つの頭は大きく損傷している。
それでもベルゼブルの勢いは衰えていないものの、サルヴァトーレ・ブルの主砲を浴びせて畳みかければ倒せそうだ。
しかし問題は、二発目をベルゼブルが許すかどうかである。
死に物狂いで妨害してくるに違いない。
そうなれば間違いなく、死者が出る。
最悪サルヴァトーレ・ブルの爆散もあり得た。
ロニはサルヴァトーレ・ブルの砲撃を悟られない為、一計を案じる。
悟られればメギドの炎がサルヴァトーレ・ブルに飛んでいくし、それを阻止するには主砲に巻き込まれることを恐れずに、ギリギリまで戦わねばならない。
「皆、集まってくれ。囮になって奴を引き付けてから一気に離脱する」
味方に無線で呼びかけ、戦闘の最中周辺に集合してもらったロニは、メギドの炎が来る前にマスティマごと仲間たちを空間転移させた。
メギドの炎が連続で放たれるが、何もない空間を薙ぎ払うだけだった。
プライマルシフト――マスティマの転移能力だ。
そして、迎撃されなかったためサルヴァトーレ・ブルのチャージが完了している。
発射された主砲がベルゼブルを飲み込んだ。
主砲のみ込まれ膝を着くベルゼブル。その眼前に、ついさっき消えたはずのハンター達が現れる。
「悪いが遠慮はなしだ。一気に畳みかけるぞ!」
マスティマの瞳が輝き、ダウンしているベルゼブルへ剣のような羽が次々と降り注ぐ。
サルヴァトーレ・ブルの砲撃でダウンした隙に、星空の幻は畳みかけた。
「いくよ……光お兄ちゃん……。覚悟はいいよね……俺達は出来ている……!」
宇宙(ソラ)に向かって矢を番えた星空の幻が、まるで流星の如き煌めきとともに矢を放つ。
放たれた矢はマテリアルの力により、「隕石」の如くそして「涙」のように、全てを裁く鉄槌となって降り注いだ。
機体の背嚢より追加の弾薬を取り出し、次弾装填を済ませる。
「これから連続で徹甲弾の砲撃を行う! 注意してくれ!」
サルヴァトーレ・ブルの主砲で行動不能になったベルゼブルに、武装を展開し攻撃体勢を取ったダインスレイブが、連続で砲撃し畳みかける。
重厚な砲撃音とともに、ベルゼブルに徹甲弾が次々撃ち込まれ、装甲を貫いていく。
「まだだ! 全弾持っていきやがれ!」」
続けて光はダインスレイブの105mmスナイパーライフルで銃撃を撃ち込み、ミサイルランチャー「フューゼレイド」からミサイルをばらまいた。
味方の攻撃に合わせ、ベルゼブルを攻撃する。
試作波動銃「アマテラス」で銃撃を加えつつ接近し、ある程度まで近付くと真改は試作波動銃「アマテラス」を魔法射撃モードに切り替えマテリアルビームを放った。
「喰らえ!」
ツインドリルランス「コスモ」の手甲部に内蔵された細身のドリルを高速回転させ、一気に目標へと突撃した。
サルヴァトーレ・ブルの砲撃後戻った朝騎は、行動不能に陥ったベルゼブルの頭が一つハナに移し替えられたウイルスにより、ダメージを受けて再び行動不能になるのを見た。
占いにより吉方と凶方を調べ、ポロウの高い感知能力も駆使し、朝騎はイニシアチブを自分たちに引き寄せ、復帰するベルゼブルから先手をもぎ取ることに成功する。
「後からどかんでちゅ」
展開されているイニシャライズフィールドの援護を受け、朝騎はウイルスを跳ねのけ、ベルゼブル自身に移し替えることに成功した。
それでもなお厳しい反撃に、次々に傷付いていく味方をディーナは必死に治療していく。
運悪く戦闘不能になった味方には復活術を施し、瀕死の場合は高位法術で治療する。
一度に複数を治療する必要に迫られその準備を忘れたことに慌てる場面もあったものの、冷静に味方を支え、戦線を崩壊させない。
「何度でも、私が癒すの!」
封印を解いた星神器「ウコンバサラ」を手に自ら前線に立ち、ディーナは二種の浄化魔法を駆使してベルゼブルが振りまく毒やウイルスを除去していった。
●そしてまた、翼が墜ちる
ベルゼブルの頭は残り一つになっていた。
苦し紛れに怨嗟の咆哮を上げようとしていたベルゼブルが、突如動きを止める。
朝騎が移し替えたウイルスが、ベルゼブルの体内で効果を発揮したのだ。
その隙を逃すはずもなく、ハンターたちは残る一つの弾に一斉攻撃を仕掛ける。
最後に試作法術刀「華焔」をアルトによって突き立てられ、ついにベルゼブルの最後の頭が弾け飛んだ。
核である頭を三つ失ったベルゼブルは苦しむように何度ものたうち、地面に崩れ落ちる。
ゆっくりとベルゼブルの姿が崩れ落ちていく。
最後には何も残さず消滅した。
背中の光輪を壊すには至らなかったが、これにてベルゼブルの撃破は完了した。
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