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【陶曲】終幕のチェックメイト「アメンスィ護衛」リプレイ


▼【陶曲】グランドシナリオ「終幕のチェックメイト」(3/22?4/11)▼
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作戦2:「アメンスィ護衛」リプレイ
- ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)
- ミリア・ラスティソード(ka1287)
- 南護 炎(ka6651)
- 神楽(ka2032)
- アニス・テスタロッサ(ka0141)
- レラージュ・ベナンディ(オファニム)(ka0141unit003)
- 弓月・小太(ka4679)
- コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)
- カーミン・S・フィールズ(ka1559)
- エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)
- 近衛 惣助(ka0510)
- 真改(魔導型ドミニオン)(ka0510unit002)
- アニス・エリダヌス(ka2491)
- シリウス(イェジド)(ka2491unit002)
- パトリシア=K=ポラリス(ka5996)
- エボニー(ペガサス)(ka5996unit003)
- 夢路 まよい(ka1328)
- トラオム(ユグディラ)(ka1328unit001)
- レイオス・アクアウォーカー(ka1990)
- テンシ・アガート(ka0589)
- マッチョメン(魔導アーマー量産型)(ka0589unit001)
- リュー・グランフェスト(ka2419)
- シエル(ワイバーン)(ka2419unit004)
- レイア・アローネ(ka4082)
- ジャック・エルギン(ka1522)
- 仙堂 紫苑(ka5953)
- アルマ・A・エインズワース(ka4901)
- キャリコ・ビューイ(ka5044)
- ディーナ・フェルミ(ka5843)
- ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)
- 玲瓏(ka7114)
- 天央 観智(ka0896)
- 魔導型デュミナス射撃戦仕様(魔導型デュミナス)(ka0896unit003)
- イツキ・ウィオラス(ka6512)
- エイル(イェジド)(ka6512unit001)
- マルカ・アニチキン(ka2542)
- カマス(オートソルジャー)(ka2542unit002)
●同盟の地を守るため
結界を張り巡らせたアメンスィは、嫉妬王ラルヴァとの心理戦を繰り広げていた。
大地が咆哮する中、アメンスィを守るために、ハンターたちが集結……だが、ラルヴァの『大地の胎動』によって、移動不能になるハンターたちもいた。
「こうなることは、最初から予想済みだぜ」
ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)が搭乗するダインスレイブの海帝シーカイザーが脚部ジャッキを下ろし機体を地面に固定すると、アメンスィの前方へ隣接して、大地の胎動を耐え忍んでいた。
「しまった……『ともえさん』がいない」
ミリア・ラスティソード(ka1287)は、震撼する大地の上に転がるが、すぐに体勢を整えて立ち上がった。
『ミリア、しっかりしろ! アメンスィを護り抜くぞ!』
ガルガリンのSTAR DUSTに搭乗していた南護 炎(ka6651)が、トランシーバーで呼びかける。STAR DUSTは転倒することはなかったが、大地の胎動によって移動不能になっていた。
地上においてラルヴァの胎動に耐え切れたのは、ロジャーのシーカイザーであった。
「アメンスィちゃん、安心しろ。女の子を護るのが男の甲斐性ってやつでね」
ダインスレイブの海帝シーカイザーが『精密砲撃姿勢』を取り、砲撃:徹甲榴弾による新型のライフルグレネードの放口を敵陣に向ける。
「装填完了……着弾点指定良し……グランドスラム、ファイヤァァァァ!!」
ロジャーの的確な操縦により、シーカイザーが『グランドスラム』を発射……範囲内にいた陶器人形の集団は爆撃に巻き込まれて消滅していく。シーカイザーによって突破口を開き、ハンターたちが駆け抜けていく。
「アメンスィ様は、絶対に守るっす! 今こそ、同盟軍の力をみせる時っす!」
神楽(ka2032)がトランシーバーを使い、同盟陸軍と海兵隊を鼓舞する。
「俺の近くで戦うっす! 防衛線を維持していくっすよ!」
幻獣「クー・シー」と波長を合わせた神楽が『コンバートソウル』を発動させ、周囲に集まってきた同盟兵士たちが『シンクロナイズ』で共鳴していく。
狙撃兵たちが銃を構え、敵の人形たちを撃ち抜いていくが、消滅しても、すぐに陶器人形が地面から湧き出てくる。
「ゾロゾロと出てきやがってな」
オファニムのレラージュ・ベナンディに搭乗するアニス・テスタロッサ(ka0141)が優先的に狙っていたのは、硝子ゴーレムだ。
「ここから先へはいかせねぇ」
レラージュ・ベナンディが『マルチロックオン』を発動させ、プラズマライフル「ラッド・フィエル01」の弾丸が硝子ゴーレム2体の胴部に命中する。ダメージを与えていたが、誘爆はできず、硝子ゴーレムは、アメンスィを目指して移動していた。
「ちっ、もう少し火力が必要だったか」
唇を噛みしめるテスタロッサ。
「近接戦はからっきしですが、射撃援護なら任せろですよぉっ」
弓月・小太(ka4679)が搭乗するのは、ダインスレイブだ。普段は気弱な少年だが、戦闘ともなれば積極的に戦う姿勢をみせる小太……ダインスレイブが『砲撃:徹甲榴弾』を放ち、硝子ゴーレム一体が爆発に巻き込まれ、消滅していく。だが、消える間際に周辺に破片を飛ばしていくのが、少し厄介だ。
「随分長いこと待たせてくれたな。貴様らの悪運もここまでだ」
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)が搭乗するR7エクスシアのカラミティ・ホーネットは『マジックエンハンサー』を展開させると、押し寄せてくる硝子ゴレームを狙って『マテリアルライフル』を放った。紫色の光線が硝子ゴーレム2体を撃ち抜き、消滅と同時に破片が飛び散った。
地上にいたカーミン・S・フィールズ(ka1559)は魔導パイロットインカムを使い、飛行するポロウのナム・フォウに指示を出していた。
「ナム、頼りにしてるわよ」
魔導短伝話「パニマーチ」を装備していたナム・フォウは、上空を飛んでいても、カーミンの声が聞こえていた。指示通りに、闇に紛れるナムは、敵の動きを上空から眺めていた。
「地面が揺れてるわ! 地上にいる班は、注意して」
カーミンが魔導パイロットインカムで仲間に伝えた直後、ラルヴァの胎動によって、大地が激しく揺れた。
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)は、アメンスィを護衛しようと移動を試みるが、ラルヴァの胎動によって転倒してしまい、その場で体勢を整えるのが精一杯であった。
「マテリアル汚染ではないから、機導浄化術・白虹も効果がありませんね」
冷静に分析するエラ。
体勢を取り戻した刻令ゴーレム「Volcanius」の七竃が、エラの指示で『砲撃:炸裂弾』を放った。着弾した後、範囲内にいた陶器人形たちが炸裂弾によってダメージを受けて、次々と消滅していく。
「やっと、アメンスィの傍まで来れたな」
近衛 惣助(ka0510)が搭乗する魔導型ドミニオンの真改が、ダインスレイブの海帝シーカイザーと隣接して、アメンスィの護衛に徹していた。
魔導型ドミニオンの真改が『プラズマデフレクター』を発動……試作波動銃「アマテラス」を構え、『マテリアルビーム』を放った。陶器人形の集団を狙い撃ち、消滅させていく。
カーミンからの連絡をフレーム「アブスタクル」で受信したロジャーは、海帝シーカイザーのモニター越しから硝子ゴーレムの位置を確認すると『連続砲撃』でセットした『砲撃:徹甲榴弾』を乱射した。
「おらおらー、塵になりやがれっ!」
ありったけの弾丸が、硝子ゴーレムの胴体や頭部、腕に命中し、多大なダメージを受けたと同時に、硝子ゴーレムは木端微塵に砕け散り、周辺に無数の破片が飛び散っていた。
炎が乗りこんでいるSTAR DUSTは、アメンスィと隣接した位置に立ち、『人機一体』を発動させ、周囲にいた陶器人形たちをスキルリンカー:Lv20による『縦横無尽』で斬り裂いていく。
「アメンスィに近づく人形は、全て叩き斬る!!」
全身鎧「サーベラス」を纏ったミリアは、炎をフォローするため、アメンスィから4メートル離れた位置で大身槍「蜻蛉切」を構え『根性注入』からの『神速刺突』を繰り出し、軌道上にいる陶器人形たちを貫いていく。
「アメンスィは、絶対に守る!」
ミリアの攻撃で、陶器人形が消え去っていく。
(アメンスィを守るのは当然だけど、炎と一緒に生きて帰るんだから!)
秘めた思いは、ミリアの強い眼差しに現れていた。
一方、アニス・エリダヌス(ka2491)は、イェジドのシリウスに騎乗し、アメンスィを護衛しつつも、クラーレの動向に注意を払っていた。
「硝子ゴーレムが、こちらに接近してきます!」
魔導パイロットインカムを使って仲間に随時連絡するエリダヌス。
硝子ゴーレムが射程に入ると、エリダヌスは法術縛鎖「アルタ・レグル」を発動体とした『プルガトリオ』を放ち、硝子ゴーレム2体が無数の刃で切り裂かれ、空間に縫い付けられるように移動不能になっていた。
レラージュ・ベナンディに搭乗していたテスタロッサは、魔導パイロットインカムでエリダヌスの連絡を受信し、硝子ゴーレム2体に狙いを定めて『マテリアルライフル』を放った。
「これなら、どうだ?」
マテリアルライフルによって撃ち抜かれた硝子ゴーレム2体は、ダメージを喰らうと砕け散り、その場で爆発して消滅した。
「コアらしいモンはねぇようだが、全身ぶち抜けば破壊できるようだな」
テスタロッサは、ゴーレムにコアがあると予想していたが、攻撃した手応えからして、コアらしき部分はないことが分かった。
●未来のために
ラルヴァの胎動が、時折、大地を震撼させていた。
「地面が揺れると、なかなか移動できんな」
コーネリアが乗るカラミティ・ホーネットは体勢を整えると、ツインカノン「リンクレヒトW2」を構え、スキルトレース:Lv20による『キラースティンガー』を解き放った。硝子ゴーレムの胴部に命中し、ダメージを与えていたが、敵は何事もなかったかのようにアメンスィへと向かっていた。
カラミティ・ホーネットは、クラーレに接近するように移動していたが、ラルヴァの胎動によって地面が揺れる度に移動不能となり、味方とも足並みを揃えるのが難しくなっていた。
飛行したペガサスのエボニーに騎乗したパトリシア=K=ポラリス(ka5996)は、上空から見える同盟軍の動きを、魔導スマートフォンを使ってエラに報告していた。
「こちらパティです、同盟軍の兵士さんたちは、神楽さんの指示で、アメンスィを守るように防衛線を作っていマス。左側の防衛が薄いみたいなので、パティは、同盟軍の援護します」
パトリシアは、同盟の兵士たちに『地脈鳴動』を施していた。
『こちらエラ、了解です』
エラは魔導パイロットインカムで応答し、パトリシアからの報告を聞くと、神楽へと通信を繋げる。
「左側の防衛が薄いとのことです。お願いします」
『了解っす。すぐに対応するっす』
神楽は刻令ゴーレム「Gnome」に指示を出し、Cモード「bind」の結界をアメンスィの左側周辺に張り巡らせた。結界に侵入した陶器人形たちは移動不能になり、同盟軍の兵士たちが銃を構えて応戦していた。
「左サイドは、俺たちに任せるっすよ!」
同盟軍の兵士たちがアメンスィの左サイドに並び、神楽と一緒に防衛線を作っていた。
夢路 まよい(ka1328)が『超覚醒』を発動させ、次の攻撃に備えていた。
「クラーレが、こっちに向かってるわ!」
「あいつの狙いは、アメンスィだな。どうにか、こっちに気を引きたいところだが……」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は、飛翔の翼で飛行したグリフォンに騎乗し、星神器「ヴァサヴィ・シャクティ」の『兵主神』を発動させていた。
「クラーレが、アメンスィに接近する前に、なんとしてでも足止めするよ!」
テンシ・アガート(ka0589)が搭乗する魔導アーマー量産型のマッチョメンが、スキルトレース:Lv15による『ノックバック』を発動させて大鎖鎌「死転」を振るい、硝子ゴレーム一体を弾き飛ばしていく。
テンシは、カッツォがいないことに不審に思いつつも、伏兵に注意しながら、アメンスィに近づこうとする敵の進路を妨害するように立ちはだかっていた。
リュー・グランフェスト(ka2419)が、飛行するワイバーンのシエルに騎乗して、前方にいる陶器人形たち目掛けて駆り、『篝火』のオーラを纏い、敵の気を引く。
「レイア、頼んだぜ」
「任せろ、リュー」
飛行するポロウのポルンに騎乗したレイア・アローネ(ka4082)が、迫り来る陶器人形たちに狙いを定めて魔導剣「カオスウィース」を振るい『刺突一閃』を繰り出す。ダメージを喰らった人形たちは一瞬にして消え去っていく。
「リュー、レイア、助かるぜ」
ジャック・エルギン(ka1522)が、バスタードソード「アニマ・リベラ」で『守りの構え』を取り、『薙ぎ払い』を駆使して、陶器人形を蹴散らしていく。
その時、通信が入った。魔導パイロットインカムから、パトリシアの声が聞こえた。
『こちらパティ、クラーレは、ジャックたちから離れて、アメンスィに接近しているヨ。どうにかして、止めないとダヨ』
「分かった、任せとけって。クラーレの好き勝手にはさせねーからな」
ジャックには、考えがあった。クラーレは、カッツォをライバル視している。不仲のカッツォを評価するようなことを言えば、もしかしたら……。
「お、何か閃いたのか、ジャック。だったら、オレも助太刀するぜ」
レイオスのグリフォンがクラーレ目掛けて飛行し『ゲイルランパート』を発動させ、魔羽刃「イサール」による『ツイスター』を巻き起こして、陶器人形を蹴散らして消滅させていく。
「よう、新人。また会ったな。まさか逃げないよな」
クラーレを新人扱いするレイオス。クラーレは癪に障るような表情をするが、アメンスィへの狙いを変えることはしなかった。
リーリーのマイルに騎乗した仙堂 紫苑(ka5953)が、『デルタレイ』を放ち、硝子ゴーレム一体を消滅させた。
「なかなか片目を瞑る素振りを見せないな」
紫苑は、クラーレが片目を閉じる瞬間を狙っていたが、思うように相手は行動せず、アブソリュート・ポーズを使う機会がなかった。
「クラーレが指を鳴らしています。気を付けてください」
アルマ・A・エインズワース(ka4901)は『機導剣・操牙』を発動させ、『アンチボディ』を施す。アルマが連れているポロウが『見つけるホー』を使い、この場まで辿り着くことができた。
ポロウを同行させたキャリコ・ビューイ(ka5044)は『惑わすホー』の結界内から、星銃「ロストエレメント」を構え、4Rチャージした『コンバージェンス』からの『サジタリウス』を放った。狙いは、クラーレ……胴部に命中し、多大なダメージを与えていたが、クラーレは不敵な笑みを浮かべていた。
「なんなんだ、あいつは? 弱点はないのか?」
キャリコが呟く。
新たに硝子ゴーレムを生み出したクラーレは、配下を引き連れてアメンスィに攻撃をしかけた。
炎が搭乗するSTAR DUSTが、ディフェンダーを駆使して、大壁盾「庇護者の光翼」で陶器人形たちの攻撃を受け流していく。
「これ以上、アメンスィに近づくなら容赦はしない!」
「敵の狙いは分かっている。やるべきことをやるだけだ」
惣助の魔導型ドミニオン真改は、ディフェンダーを発動させ、大壁盾「庇護者の光翼」を構えて、アメンスィを庇うように敵の攻撃を受け払っていく。
ドミニオン真改は、シーカイザーと隣接して前方からの攻撃を防いだこともあり、硝子ゴーレムの放った硝子弾は、アメンスィまで届くことはなかった。
「カワイイ女の子に怪我させる訳にはいかないってな」
シーカイザーは硝子弾の攻撃でダメージを受けていたが、それでも構わず、ロジャーはシーカイザーをアメンスィの前方に配置した状態で、梃子でも動かなかった。
まよいが『覇者の剛勇』を発動させ、大精霊が司る「勇気」を解放……周囲にいる味方たちに強力な加護を与えていく。
「私には守るべき仲間たちがいる……クラーレ、あなたが守るべきものは、本当にラルヴァなの?」
「守る? そんなこと、考えたこともありませんねぇ」
クラーレは、さも楽しげに笑っていた。
ディーナ・フェルミ(ka5843)が乗りこんでいる刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」が、クラーレを狙ってクロイツハンマーを振るい、スキルトレース:LV30により再現した『フォースクラッシュ』が発動……クラーレの肩に命中し、ダメージを与えていたが、粉砕することまではできなかった。
「なんてことなの。ルクシュヴァリエの力でも、破壊できないなんて……」
身震いするディーナであった。
そこへジャックが駆けつけ、鼻で笑い、こう告げた。
「カッツォは、いねぇようだな。ラルヴァが間抜けで安心したぜ。強い駒を自分から落として、『弱い駒』で勝負するなんてな」
「弱い駒?」
激しい眼差しで応えるクラーレ。
「クラーレ、おまえのことだよ! カッツォより、弱い駒がっ!!」
挑発するジャックに、クラーレは目を見開き、尋常ではない怒りを顕にしていた。
「ふざけるなぁぁぁっ!! 弱いのは、おまえだろうがぁぁぁぁぁぁーっ!!」
クラーレは、ジャックに狙いを定めて愛用のパラソルを開くと衝撃波が迸り、とっさに『鎧受け』で攻撃を受け流す。攻撃が失敗したことで、クラーレの串刺しは発動しなかったが、左腕がドリルの形を取り、ジャックの腹部を貫いた。……その時、まよいが付与した覇者の剛勇によって戦闘不能が解除され、生命力が回復していく。
「ふぅ、あっぶねー。まよいのおかげで、なんとかなったが……次は、どうなるかわからねーな」
冷や汗を掻くジャック。
「クラーレ、ついに本性を現したな!」
レイオスは、身捧の腕輪による『ソウルエッジ』を纏った錬魔剣「ロイバルト」と闘旋剣「デイブレイカー」による『二刀流』を繰り出し、さらに『アスラトゥーリ』を解き放った。
連撃を喰らうクラーレだが、怒りが頂点に達していたのか、その場で微動だにしなかった。
「この機を逃すな!」
キャリコは『パワーリロード』した新式魔導銃「応報せよアルコル」を構え、クラーレを狙って弾丸を放つが、全て回避された。
「なんだと?!」
「クラーレの動きを封じることができれば……」
紫苑が星神器「アヌビス」を構え、クラーレを狙って『死者の掟』を発動させた。
「こしゃくなぁぁぁぁーっ!!」
強力な呪詛ではあったが、クラーレは気迫で抵抗に打ち勝ち、周辺にいた硝子ゴーレムは行動不能になっていた。
「人間ごときが、なめた真似をぉぉぉぉっー!!」
激怒するクラーレ。パラソルの鋭い一撃が、紫苑に襲い掛かる。だが、紫苑がリーリーのマイルに騎乗していたこともあり、衝撃波は紫苑とマイルを巻き込み、傘の先がマイルの胴部へと突き刺さる。
致命傷は免れたが、マイルは血塗れで倒れ込み、紫苑もまた、かなりのダメージを喰らっていた。
「まだ、終わりじゃないです。僕がいるです! 紫苑の仇です!」
アルマの『解放錬成』を施したキャリコの『トリガーエンド』が放たれた。弾丸はクラーレの胴部を撃ち抜き、かなりのダメージを与えていたが、なかなか倒れることがなかった。
「だったら、奥の手を使うよ!」
テンシはマッチョメンのコックピットを開き、操縦席から『ファントムハンド』の巨大な腕を伸ばし、クラーレに掴みかかった。巨大な幻影の腕はクラーレを握り締めたまま、その場から動かなかった。
「フフフ、でしたら、こちらも奥の手を使いましょうかねぇ」
クラーレが右手を掲げた。と、次の瞬間、マッチョメンの機体がクラーレに引き寄せられていく。
見る見るうちに、マッチョメンの機体がクラーレの胴部と融合しようとしていく。
「マッチョメン、がんばれ!」
操縦席にいるテンシが、必死に抵抗を試みるが、ズリズリとマッチョメンがクラーレの胴部へと呑み込まれていく。コックピットが押し潰され、テンシが機体の中で挟まれていった。
ギシギシと、テンシの身体さえ、押し潰していこうとしていたのだ。
その時。
「クラーレ、おまえの弱点、見切った!」
レイオスは『立体攻撃』を駆使して闘旋剣「デイブレイカー」を振るい、クラーレの右腕を叩き潰した。その反動で、パラソルの鋭い一撃が、レイオスに襲い掛かる。ダメージを受けたと思いきや、『兵主神』の効果により、ダメージは「0」……。
「貴様っ、何をした?」
驚きを隠せないクラーレ。確かに攻撃を与えたはずなのに。
「こいつは、オマケだぜ!」
レイオスは、クラーレの攻撃を受け止め『カウンターアタック』を繰り出した。
クラーレの右腕が切り裂かれて、宙に舞った。
「マッチョメン!」
テンシが狭い空間の中で腕だけを頼りにスティックを握ると、マッチョメンが後方へと移動した。かなりのダメージを受けてしまったが『超越駆動』が発動し、クラーレの右腕が切り取られたことで、無機物融合を中断させることができたようだ。
「クラーレ! 覚悟しろ!」
ジャックは『踏込』を駆使して占有スクエアを通過し、クラーレに狙いを定めて『ブラッドバースト』を放つ。ユグディラのエルバが、ブラッドバーストと調和した『森の宴の狂詩曲』を奏でる。瞬間的にエルバの力を上乗せしたブラッドバーストが、クラーレの頭部に叩き込まれた。
まさに命を削った研ぎ澄まされた一撃だった。
ジャックの想いは、憎しみではない。
大切な故郷を守り抜き、大切な仲間たちと再び笑顔で語り合う。
そんな日常が、なによりもかけがえのないものだった。
だからこそ、ここで決着をつける。
なにがなんでも!
バスタードソード「アニマ・リベラ」から、ジャックの両腕に強い感触が伝わってくる。
ミシ、ミシ……と音を立て、クラーレの頭部に罅が入り、頬の辺りまで亀裂が走っていた。
「こ、こ、こんちくしょぉぉぉぉーっ!!」
顔の表情が歪んでいくクラーレは、ジャックが目障りで仕方が無かった。
「殺す、殺す、殺してやるっ!!」
クラーレはジャックに素早く接近すると、首元を掴み、左腕でジャックを持ち上げた。
「ジャック・エルギン、おまえは邪魔だ! 消えろ!」
首元を掴まれたジャックは、意識が朦朧としてきた。
「クラーレ、あなたにジャックを渡す訳にはいかないわ」
まよいが、ユグディラのトラオムが奏でる『森の宴の狂詩曲』によって上乗せした『我が正義の侭に』を発動させた。
クラーレは、大精霊が司る「正義」の光によって全身を焼かれ、後方にいた硝子ゴーレムたちが消滅して、爆発していく。
ジャックは自力で、クラーレの腕から逃れると、まよいの隣まで下がっていく。
だが、ポーションを飲む余裕はなく、そこで力尽きて、ジャックは倒れてしまった。
エルバが『げんきににゃ?れ!』をジャックに施すが、重体だったため、傷を癒すことができなかった。
「ジャックさん!」
ディーナが搭乗している刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」が、スキルトレース:LV30による『セイクリッドフラッシュ』を放ち、ジャックに接近しようとしていた陶器人形たちを消し去っていく。
「ジャックさんを守るの。だから安心して、皆は戦ってなの」
刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」が立ちはだかり、さらに激戦は続いていた。
●偶然という名の必然
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は、アメンスィの近くで迫り来る陶器人形たちと対峙していた。
「ニンタンク『大輪牡丹』ちゃん、アメンスィに接近してくる人形を倒しちゃってください!」
刻令ゴーレム「Volcanius」のニンタンク『大輪牡丹』が砲撃:キャニスター弾を放ち、巻き込まれた陶器人形たちがダメージを喰らい、消え去っていく。
「あれ? 地縛符の結界に引っかかってるのは、何かの腕? ラルヴァの腕にしては小さすぎますよね?」
事前に発動させていた地縛符の結界には、右腕がハマり込んでいた。疑問に思いつつも。
「なんだか分かりませんけど、アメンスィに近づくなら、こうしちゃいます」
ルンルンが朗らかな笑みを浮かべ、『五色光符陣』を張り巡らせ、右腕を破壊してしまった。
察しの良い方なら、お分かりだろう。
ルンルンが破壊したのは、クラーレの右腕だったのだ。
レイオスに切り落とされた右腕は、乱戦に紛れて、アメンスィ目指して移動していたのが、ルンルンの仕掛けた地縛符の結界に引っかかり……その後は、ご覧の通りである。
この事実を知らないのは、ルンルンだけではなかった。
その頃、玲瓏(ka7114)は、ペガサスの雲居を連れて、同盟軍兵士たちに治癒を施していた。
ペガサスの雲居がアメンスィの近くにいるハンターたちに『エナジーレイン』を使い、玲瓏が『ヒーリングスフィア』を発動させ、空間内にいる兵士たちの怪我を癒していく。
「同盟の兵士様にとっては、この大地は母なる故郷……微力ながら、未来のために、お護りします」
「微力だなんて、とんでもない。とても助かりますよ」
兵士たちは一致団結して、陶器人形たちに攻撃をしかけていた。
ラルヴァの胎動により、大地が揺れる。
天央 観智(ka0896)が搭乗する魔導型デュミナス射撃戦仕様の機体は、ラルヴァの胎動によって移動不能になったが、すぐに体勢を整えた。
「地下遺跡が崩壊する前に、みんなで生きて帰りましょう」
観智の操縦する魔導型デュミナスが試製ワイドレンジプラズマキャノンを構え『プラズマシューター』で強化された弾丸を発射した。硝子ゴーレムに命中して、その場で砕け散り、爆発した。
イツキ・ウィオラス(ka6512)は、イェジドのエイルに騎乗して、アメンスィの傍で護衛に付いていたが、ラルヴァの胎動で移動不能になり、思うように攻撃をしかけることができなかった。
「動けなくても、身をもって壁になることはできます。仲間がクラーレを撃破するまでの辛抱です」
エイルが『ウォークライ』の咆哮で、陶器人形たちを威嚇していた。
マルカ・アニチキン(ka2542)が『魔法強力洗浄』を発動させるが、ラルヴァの胎動を抑えることができなかった。仮に抑えるにしても、ラルヴァとは距離があり過ぎた。
「この戦域まで、大地が揺れるとは……どうやら、私の対策は甘かったようです」
悔しい。悔しい。悔しい。思うように行動できないのが、これほど悔しいとは。
オートソルジャーのカマスは、『マスターガード』を駆使して、硝子ゴーレムの攻撃から、主であるマルカを庇っていた。
ラルヴァの胎動が大地を駆け巡り、マルカとカマスは転倒。エイルは移動不能になっていたが、イツキはエイルに騎乗していたこともあり、ようやく『雪華纏槍・結明紡』を放つことができた。直線上にいた陶器人形たちが衝撃で砕け散っていく。
結界に集中しているアメンスィは浮遊していたため、胎動の影響は受けなかったが、周囲で護衛していたハンターたちや幻獣、機体などは地上にいたこともあり、大地が揺れる度に転倒したり、移動不能になり、普段通りに行動することができなかった。
辛うじて立ち上がることができた玲瓏が、アメンスィに『楯縫』による聖なる光の防御壁を施すことができた。
「アメンスィ様、必ずお護り致します」
ラルヴァの『糸』対策をする者が多かったが、実際に、この戦域で気を付けねばならないのは、『大地の胎動』だった。
胎動の対策をしていたのは、ロジャーのシーカイザーだけであったが、アメンスィの周囲に機体を配置するだけでも、敵の進入を防いだり、斜線を遮ることはできていた。
エリダヌスはイェジドのシリウスに騎乗していたが、シリウスは移動不能になり、アメンスィの側から離れることができなかった。
「わたしにも、できることはあります」
イツキに『アンチボディ』を施すエリダヌス。移動が困難ならば、アメンスィ護衛に徹すれば良いのだ。
上空から唄が聴こえてきた。
パトリシアが『アイデアル・ソング』を歌い、彼女が騎乗しているペガサスのエボニーが飛行しながら『エナジーレイン』による癒しの雨を降らせ、怪我している者には治癒を、健常な相手には守護の力を与えていた。
「こういう時は、楽しいコト、思い出して……同盟の美味しいごはん。人。綺麗な海、山の景色を思い出して」
飛行しているならば、胎動の影響は受けない。
地上で移動不能になっている味方がいるならば、飛行しているペガサスのエボニーに騎乗しているパトリシアが、『五色光符陣』を発動させ、硝子ゴーレムを焼き尽くしていった。ゴーレムは消滅した瞬間、破片を撒き散らしていた。
●負けられない理由
レイオスの額から汗が零れ落ちる。
兵主神の効果を使い切り、使えるスキルも数えるだけになっていた。
飛行したワイバーンのシエルに騎乗したリューが、星神器「エクスカリバー」を掲げ、『ナイツ・オブ・ラウンド』を解放した。周囲にいる味方の生命力が回復し、仲間を鼓舞する。
飛行するポロウに騎乗したレイアが、クラーレに接近……魔導剣「カオスウィース」と星神器「天羽羽斬」の『二刀流』による連撃を叩き込み、さらに『アスラトゥーリ』を繰り出す。クラーレの胴部に命中し、かなりのダメージを与えていたが、決定打にはならなかった。
「おやおや、身体に少し罅が入りましたよ」
涼しげな顔のクラーレ。
リューを乗せたワイバーンのシエルが『サイドワインダー』で急降下し、クラーレ目掛けて『ディープインパクト』を解き放った。硝子ゴーレムがダメージを喰らって爆発するが、クラーレは回避していた。
「まったく、凝りもせず」
クラーレはパラソルを開いて衝撃波を放ち、ワイバーンのシエルは串刺しになり、地面に叩きつけられた。
「シエル!」
リューは着地できたが、眼前からクラーレの傘が振り下ろされた。とっさに星神器「エクスカリバー」で、受け止めるリュー。
その刹那、レイオスが『立体攻撃』を駆使してクラーレの傘に狙いを定めた。
「悪趣味なうえに物騒な傘は叩き折るのが一番だ!」
クラーレも負けじと愛用の傘で、レイオスの攻撃を受け止めた。
「ここまで、戦えたことは褒めてあげますよぉ。これは、あなたへのお礼です」
二本の左腕がドリルの形となり、レイオスの腹部を貫く。反撃する前に、血飛沫が飛んだ。
全身に激痛が走り、気が付けばレイオスは倒れていた。
ポロウのポルンが『惑わすホー』の結界を張り、レイアが星神器「天羽羽斬」を振るい『オロチアラマサ』をクラーレに叩き込む。
「リュー!」
「いくぜ!」
レイアと連携したリューが『紋章剣』を纏った星神器「エクスカリバー」と魔導剣「カオスウィース」の『散華』を繰り出し、『星竜』の斬撃を繰り出した。
クラーレの身体を斬り裂き、胴部に穴が開くが、中は空洞になっていた。
「中が空っぽ?! 核はないのか?!」
驚きを隠せないリュー。
「身体の中に核があると思っていたのですかぁ? 残念でしたねぇ」
クラーレの全身は切り刻まれていたが、愛用のパラソルで衝撃波を放つと、リューの胴部を串刺しにし、さらに左腕のドリルでレイアの腹部を貫いた。
「あっはははは、2人の覚醒者が見事に突き刺さりましたねぇ」
突き上げた傘にはリューの身体が突き刺さり、左腕のドリルにはレイアの身体が折り重なるように突き刺さっていた。
クラーレは、勝利を確信していた。
後は、アメンスィをズタズタにしてやるだけだ。
そう思った時、クラーレの左目に手裏剣が突き刺さった。
「な、な、やめろぉぉぉぉーっ!」
「どうやら、当たりのようね」
手裏剣を放ったのは、カーミンだった。
クラーレは皮肉にも、リューとレイアを串刺しにしたことで、腕が塞がれていたのだ。使えるのは、下の左腕だけだった。
「当たりなら、容赦はしないわよ」
カーミンは『千日紅』の残像を纏い、素早く駆け抜け、クラーレの左腕を予測し『鳳仙花』による鋭い一撃を繰り出した。
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁーっ!!」
カーミンの蒼機刀「ストレリチア」が、クラーレの左目に深く突き刺さる。
先にジャックがクラーレの頭部に多大なダメージを与えていたこともあり、瞳から頬へと罅が走り、頭部が砕け散った。その瞬間、硝子ゴーレムたちも消滅していく。
「まさか……お嬢さんに……やられるとは……ね」
そう言い残して、クラーレの全身は砂のように消え去っていった。
カーミンは魔導パイロットインカムを使い、エラとコンタクトを取る。
「頼みがあるの。クラーレが消滅した場所、焼き尽くしてくれる? ネジ一本でも再生される恐れがあるから」
『了解です』
エラからの返答があり、しばらくすると同盟軍の兵士たちがやってきて、リューとレイアを担架で運び、その場から離れていく。
カーミンが指さした場所を、エラは『散炎』を噴射して、炎を撒き散らした。
「これで終りね。グッバイ、ミスタ」
■完
結界を張り巡らせたアメンスィは、嫉妬王ラルヴァとの心理戦を繰り広げていた。
大地が咆哮する中、アメンスィを守るために、ハンターたちが集結……だが、ラルヴァの『大地の胎動』によって、移動不能になるハンターたちもいた。
「こうなることは、最初から予想済みだぜ」
ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)が搭乗するダインスレイブの海帝シーカイザーが脚部ジャッキを下ろし機体を地面に固定すると、アメンスィの前方へ隣接して、大地の胎動を耐え忍んでいた。
「しまった……『ともえさん』がいない」
ミリア・ラスティソード(ka1287)は、震撼する大地の上に転がるが、すぐに体勢を整えて立ち上がった。
『ミリア、しっかりしろ! アメンスィを護り抜くぞ!』
ガルガリンのSTAR DUSTに搭乗していた南護 炎(ka6651)が、トランシーバーで呼びかける。STAR DUSTは転倒することはなかったが、大地の胎動によって移動不能になっていた。
地上においてラルヴァの胎動に耐え切れたのは、ロジャーのシーカイザーであった。
「アメンスィちゃん、安心しろ。女の子を護るのが男の甲斐性ってやつでね」
ダインスレイブの海帝シーカイザーが『精密砲撃姿勢』を取り、砲撃:徹甲榴弾による新型のライフルグレネードの放口を敵陣に向ける。
「装填完了……着弾点指定良し……グランドスラム、ファイヤァァァァ!!」
ロジャーの的確な操縦により、シーカイザーが『グランドスラム』を発射……範囲内にいた陶器人形の集団は爆撃に巻き込まれて消滅していく。シーカイザーによって突破口を開き、ハンターたちが駆け抜けていく。
「アメンスィ様は、絶対に守るっす! 今こそ、同盟軍の力をみせる時っす!」
神楽(ka2032)がトランシーバーを使い、同盟陸軍と海兵隊を鼓舞する。
「俺の近くで戦うっす! 防衛線を維持していくっすよ!」
幻獣「クー・シー」と波長を合わせた神楽が『コンバートソウル』を発動させ、周囲に集まってきた同盟兵士たちが『シンクロナイズ』で共鳴していく。
狙撃兵たちが銃を構え、敵の人形たちを撃ち抜いていくが、消滅しても、すぐに陶器人形が地面から湧き出てくる。
「ゾロゾロと出てきやがってな」
オファニムのレラージュ・ベナンディに搭乗するアニス・テスタロッサ(ka0141)が優先的に狙っていたのは、硝子ゴーレムだ。
「ここから先へはいかせねぇ」
レラージュ・ベナンディが『マルチロックオン』を発動させ、プラズマライフル「ラッド・フィエル01」の弾丸が硝子ゴーレム2体の胴部に命中する。ダメージを与えていたが、誘爆はできず、硝子ゴーレムは、アメンスィを目指して移動していた。
「ちっ、もう少し火力が必要だったか」
唇を噛みしめるテスタロッサ。
「近接戦はからっきしですが、射撃援護なら任せろですよぉっ」
弓月・小太(ka4679)が搭乗するのは、ダインスレイブだ。普段は気弱な少年だが、戦闘ともなれば積極的に戦う姿勢をみせる小太……ダインスレイブが『砲撃:徹甲榴弾』を放ち、硝子ゴーレム一体が爆発に巻き込まれ、消滅していく。だが、消える間際に周辺に破片を飛ばしていくのが、少し厄介だ。
「随分長いこと待たせてくれたな。貴様らの悪運もここまでだ」
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)が搭乗するR7エクスシアのカラミティ・ホーネットは『マジックエンハンサー』を展開させると、押し寄せてくる硝子ゴレームを狙って『マテリアルライフル』を放った。紫色の光線が硝子ゴーレム2体を撃ち抜き、消滅と同時に破片が飛び散った。
地上にいたカーミン・S・フィールズ(ka1559)は魔導パイロットインカムを使い、飛行するポロウのナム・フォウに指示を出していた。
「ナム、頼りにしてるわよ」
魔導短伝話「パニマーチ」を装備していたナム・フォウは、上空を飛んでいても、カーミンの声が聞こえていた。指示通りに、闇に紛れるナムは、敵の動きを上空から眺めていた。
「地面が揺れてるわ! 地上にいる班は、注意して」
カーミンが魔導パイロットインカムで仲間に伝えた直後、ラルヴァの胎動によって、大地が激しく揺れた。
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)は、アメンスィを護衛しようと移動を試みるが、ラルヴァの胎動によって転倒してしまい、その場で体勢を整えるのが精一杯であった。
「マテリアル汚染ではないから、機導浄化術・白虹も効果がありませんね」
冷静に分析するエラ。
体勢を取り戻した刻令ゴーレム「Volcanius」の七竃が、エラの指示で『砲撃:炸裂弾』を放った。着弾した後、範囲内にいた陶器人形たちが炸裂弾によってダメージを受けて、次々と消滅していく。
「やっと、アメンスィの傍まで来れたな」
近衛 惣助(ka0510)が搭乗する魔導型ドミニオンの真改が、ダインスレイブの海帝シーカイザーと隣接して、アメンスィの護衛に徹していた。
魔導型ドミニオンの真改が『プラズマデフレクター』を発動……試作波動銃「アマテラス」を構え、『マテリアルビーム』を放った。陶器人形の集団を狙い撃ち、消滅させていく。
カーミンからの連絡をフレーム「アブスタクル」で受信したロジャーは、海帝シーカイザーのモニター越しから硝子ゴーレムの位置を確認すると『連続砲撃』でセットした『砲撃:徹甲榴弾』を乱射した。
「おらおらー、塵になりやがれっ!」
ありったけの弾丸が、硝子ゴーレムの胴体や頭部、腕に命中し、多大なダメージを受けたと同時に、硝子ゴーレムは木端微塵に砕け散り、周辺に無数の破片が飛び散っていた。
炎が乗りこんでいるSTAR DUSTは、アメンスィと隣接した位置に立ち、『人機一体』を発動させ、周囲にいた陶器人形たちをスキルリンカー:Lv20による『縦横無尽』で斬り裂いていく。
「アメンスィに近づく人形は、全て叩き斬る!!」
全身鎧「サーベラス」を纏ったミリアは、炎をフォローするため、アメンスィから4メートル離れた位置で大身槍「蜻蛉切」を構え『根性注入』からの『神速刺突』を繰り出し、軌道上にいる陶器人形たちを貫いていく。
「アメンスィは、絶対に守る!」
ミリアの攻撃で、陶器人形が消え去っていく。
(アメンスィを守るのは当然だけど、炎と一緒に生きて帰るんだから!)
秘めた思いは、ミリアの強い眼差しに現れていた。
一方、アニス・エリダヌス(ka2491)は、イェジドのシリウスに騎乗し、アメンスィを護衛しつつも、クラーレの動向に注意を払っていた。
「硝子ゴーレムが、こちらに接近してきます!」
魔導パイロットインカムを使って仲間に随時連絡するエリダヌス。
硝子ゴーレムが射程に入ると、エリダヌスは法術縛鎖「アルタ・レグル」を発動体とした『プルガトリオ』を放ち、硝子ゴーレム2体が無数の刃で切り裂かれ、空間に縫い付けられるように移動不能になっていた。
レラージュ・ベナンディに搭乗していたテスタロッサは、魔導パイロットインカムでエリダヌスの連絡を受信し、硝子ゴーレム2体に狙いを定めて『マテリアルライフル』を放った。
「これなら、どうだ?」
マテリアルライフルによって撃ち抜かれた硝子ゴーレム2体は、ダメージを喰らうと砕け散り、その場で爆発して消滅した。
「コアらしいモンはねぇようだが、全身ぶち抜けば破壊できるようだな」
テスタロッサは、ゴーレムにコアがあると予想していたが、攻撃した手応えからして、コアらしき部分はないことが分かった。
●未来のために
ラルヴァの胎動が、時折、大地を震撼させていた。
「地面が揺れると、なかなか移動できんな」
コーネリアが乗るカラミティ・ホーネットは体勢を整えると、ツインカノン「リンクレヒトW2」を構え、スキルトレース:Lv20による『キラースティンガー』を解き放った。硝子ゴーレムの胴部に命中し、ダメージを与えていたが、敵は何事もなかったかのようにアメンスィへと向かっていた。
カラミティ・ホーネットは、クラーレに接近するように移動していたが、ラルヴァの胎動によって地面が揺れる度に移動不能となり、味方とも足並みを揃えるのが難しくなっていた。
飛行したペガサスのエボニーに騎乗したパトリシア=K=ポラリス(ka5996)は、上空から見える同盟軍の動きを、魔導スマートフォンを使ってエラに報告していた。
「こちらパティです、同盟軍の兵士さんたちは、神楽さんの指示で、アメンスィを守るように防衛線を作っていマス。左側の防衛が薄いみたいなので、パティは、同盟軍の援護します」
パトリシアは、同盟の兵士たちに『地脈鳴動』を施していた。
『こちらエラ、了解です』
エラは魔導パイロットインカムで応答し、パトリシアからの報告を聞くと、神楽へと通信を繋げる。
「左側の防衛が薄いとのことです。お願いします」
『了解っす。すぐに対応するっす』
神楽は刻令ゴーレム「Gnome」に指示を出し、Cモード「bind」の結界をアメンスィの左側周辺に張り巡らせた。結界に侵入した陶器人形たちは移動不能になり、同盟軍の兵士たちが銃を構えて応戦していた。
「左サイドは、俺たちに任せるっすよ!」
同盟軍の兵士たちがアメンスィの左サイドに並び、神楽と一緒に防衛線を作っていた。
夢路 まよい(ka1328)が『超覚醒』を発動させ、次の攻撃に備えていた。
「クラーレが、こっちに向かってるわ!」
「あいつの狙いは、アメンスィだな。どうにか、こっちに気を引きたいところだが……」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は、飛翔の翼で飛行したグリフォンに騎乗し、星神器「ヴァサヴィ・シャクティ」の『兵主神』を発動させていた。
「クラーレが、アメンスィに接近する前に、なんとしてでも足止めするよ!」
テンシ・アガート(ka0589)が搭乗する魔導アーマー量産型のマッチョメンが、スキルトレース:Lv15による『ノックバック』を発動させて大鎖鎌「死転」を振るい、硝子ゴレーム一体を弾き飛ばしていく。
テンシは、カッツォがいないことに不審に思いつつも、伏兵に注意しながら、アメンスィに近づこうとする敵の進路を妨害するように立ちはだかっていた。
リュー・グランフェスト(ka2419)が、飛行するワイバーンのシエルに騎乗して、前方にいる陶器人形たち目掛けて駆り、『篝火』のオーラを纏い、敵の気を引く。
「レイア、頼んだぜ」
「任せろ、リュー」
飛行するポロウのポルンに騎乗したレイア・アローネ(ka4082)が、迫り来る陶器人形たちに狙いを定めて魔導剣「カオスウィース」を振るい『刺突一閃』を繰り出す。ダメージを喰らった人形たちは一瞬にして消え去っていく。
「リュー、レイア、助かるぜ」
ジャック・エルギン(ka1522)が、バスタードソード「アニマ・リベラ」で『守りの構え』を取り、『薙ぎ払い』を駆使して、陶器人形を蹴散らしていく。
その時、通信が入った。魔導パイロットインカムから、パトリシアの声が聞こえた。
『こちらパティ、クラーレは、ジャックたちから離れて、アメンスィに接近しているヨ。どうにかして、止めないとダヨ』
「分かった、任せとけって。クラーレの好き勝手にはさせねーからな」
ジャックには、考えがあった。クラーレは、カッツォをライバル視している。不仲のカッツォを評価するようなことを言えば、もしかしたら……。
「お、何か閃いたのか、ジャック。だったら、オレも助太刀するぜ」
レイオスのグリフォンがクラーレ目掛けて飛行し『ゲイルランパート』を発動させ、魔羽刃「イサール」による『ツイスター』を巻き起こして、陶器人形を蹴散らして消滅させていく。
「よう、新人。また会ったな。まさか逃げないよな」
クラーレを新人扱いするレイオス。クラーレは癪に障るような表情をするが、アメンスィへの狙いを変えることはしなかった。
リーリーのマイルに騎乗した仙堂 紫苑(ka5953)が、『デルタレイ』を放ち、硝子ゴーレム一体を消滅させた。
「なかなか片目を瞑る素振りを見せないな」
紫苑は、クラーレが片目を閉じる瞬間を狙っていたが、思うように相手は行動せず、アブソリュート・ポーズを使う機会がなかった。
「クラーレが指を鳴らしています。気を付けてください」
アルマ・A・エインズワース(ka4901)は『機導剣・操牙』を発動させ、『アンチボディ』を施す。アルマが連れているポロウが『見つけるホー』を使い、この場まで辿り着くことができた。
ポロウを同行させたキャリコ・ビューイ(ka5044)は『惑わすホー』の結界内から、星銃「ロストエレメント」を構え、4Rチャージした『コンバージェンス』からの『サジタリウス』を放った。狙いは、クラーレ……胴部に命中し、多大なダメージを与えていたが、クラーレは不敵な笑みを浮かべていた。
「なんなんだ、あいつは? 弱点はないのか?」
キャリコが呟く。
新たに硝子ゴーレムを生み出したクラーレは、配下を引き連れてアメンスィに攻撃をしかけた。
炎が搭乗するSTAR DUSTが、ディフェンダーを駆使して、大壁盾「庇護者の光翼」で陶器人形たちの攻撃を受け流していく。
「これ以上、アメンスィに近づくなら容赦はしない!」
「敵の狙いは分かっている。やるべきことをやるだけだ」
惣助の魔導型ドミニオン真改は、ディフェンダーを発動させ、大壁盾「庇護者の光翼」を構えて、アメンスィを庇うように敵の攻撃を受け払っていく。
ドミニオン真改は、シーカイザーと隣接して前方からの攻撃を防いだこともあり、硝子ゴーレムの放った硝子弾は、アメンスィまで届くことはなかった。
「カワイイ女の子に怪我させる訳にはいかないってな」
シーカイザーは硝子弾の攻撃でダメージを受けていたが、それでも構わず、ロジャーはシーカイザーをアメンスィの前方に配置した状態で、梃子でも動かなかった。
まよいが『覇者の剛勇』を発動させ、大精霊が司る「勇気」を解放……周囲にいる味方たちに強力な加護を与えていく。
「私には守るべき仲間たちがいる……クラーレ、あなたが守るべきものは、本当にラルヴァなの?」
「守る? そんなこと、考えたこともありませんねぇ」
クラーレは、さも楽しげに笑っていた。
ディーナ・フェルミ(ka5843)が乗りこんでいる刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」が、クラーレを狙ってクロイツハンマーを振るい、スキルトレース:LV30により再現した『フォースクラッシュ』が発動……クラーレの肩に命中し、ダメージを与えていたが、粉砕することまではできなかった。
「なんてことなの。ルクシュヴァリエの力でも、破壊できないなんて……」
身震いするディーナであった。
そこへジャックが駆けつけ、鼻で笑い、こう告げた。
「カッツォは、いねぇようだな。ラルヴァが間抜けで安心したぜ。強い駒を自分から落として、『弱い駒』で勝負するなんてな」
「弱い駒?」
激しい眼差しで応えるクラーレ。
「クラーレ、おまえのことだよ! カッツォより、弱い駒がっ!!」
挑発するジャックに、クラーレは目を見開き、尋常ではない怒りを顕にしていた。
「ふざけるなぁぁぁっ!! 弱いのは、おまえだろうがぁぁぁぁぁぁーっ!!」
クラーレは、ジャックに狙いを定めて愛用のパラソルを開くと衝撃波が迸り、とっさに『鎧受け』で攻撃を受け流す。攻撃が失敗したことで、クラーレの串刺しは発動しなかったが、左腕がドリルの形を取り、ジャックの腹部を貫いた。……その時、まよいが付与した覇者の剛勇によって戦闘不能が解除され、生命力が回復していく。
「ふぅ、あっぶねー。まよいのおかげで、なんとかなったが……次は、どうなるかわからねーな」
冷や汗を掻くジャック。
「クラーレ、ついに本性を現したな!」
レイオスは、身捧の腕輪による『ソウルエッジ』を纏った錬魔剣「ロイバルト」と闘旋剣「デイブレイカー」による『二刀流』を繰り出し、さらに『アスラトゥーリ』を解き放った。
連撃を喰らうクラーレだが、怒りが頂点に達していたのか、その場で微動だにしなかった。
「この機を逃すな!」
キャリコは『パワーリロード』した新式魔導銃「応報せよアルコル」を構え、クラーレを狙って弾丸を放つが、全て回避された。
「なんだと?!」
「クラーレの動きを封じることができれば……」
紫苑が星神器「アヌビス」を構え、クラーレを狙って『死者の掟』を発動させた。
「こしゃくなぁぁぁぁーっ!!」
強力な呪詛ではあったが、クラーレは気迫で抵抗に打ち勝ち、周辺にいた硝子ゴーレムは行動不能になっていた。
「人間ごときが、なめた真似をぉぉぉぉっー!!」
激怒するクラーレ。パラソルの鋭い一撃が、紫苑に襲い掛かる。だが、紫苑がリーリーのマイルに騎乗していたこともあり、衝撃波は紫苑とマイルを巻き込み、傘の先がマイルの胴部へと突き刺さる。
致命傷は免れたが、マイルは血塗れで倒れ込み、紫苑もまた、かなりのダメージを喰らっていた。
「まだ、終わりじゃないです。僕がいるです! 紫苑の仇です!」
アルマの『解放錬成』を施したキャリコの『トリガーエンド』が放たれた。弾丸はクラーレの胴部を撃ち抜き、かなりのダメージを与えていたが、なかなか倒れることがなかった。
「だったら、奥の手を使うよ!」
テンシはマッチョメンのコックピットを開き、操縦席から『ファントムハンド』の巨大な腕を伸ばし、クラーレに掴みかかった。巨大な幻影の腕はクラーレを握り締めたまま、その場から動かなかった。
「フフフ、でしたら、こちらも奥の手を使いましょうかねぇ」
クラーレが右手を掲げた。と、次の瞬間、マッチョメンの機体がクラーレに引き寄せられていく。
見る見るうちに、マッチョメンの機体がクラーレの胴部と融合しようとしていく。
「マッチョメン、がんばれ!」
操縦席にいるテンシが、必死に抵抗を試みるが、ズリズリとマッチョメンがクラーレの胴部へと呑み込まれていく。コックピットが押し潰され、テンシが機体の中で挟まれていった。
ギシギシと、テンシの身体さえ、押し潰していこうとしていたのだ。
その時。
「クラーレ、おまえの弱点、見切った!」
レイオスは『立体攻撃』を駆使して闘旋剣「デイブレイカー」を振るい、クラーレの右腕を叩き潰した。その反動で、パラソルの鋭い一撃が、レイオスに襲い掛かる。ダメージを受けたと思いきや、『兵主神』の効果により、ダメージは「0」……。
「貴様っ、何をした?」
驚きを隠せないクラーレ。確かに攻撃を与えたはずなのに。
「こいつは、オマケだぜ!」
レイオスは、クラーレの攻撃を受け止め『カウンターアタック』を繰り出した。
クラーレの右腕が切り裂かれて、宙に舞った。
「マッチョメン!」
テンシが狭い空間の中で腕だけを頼りにスティックを握ると、マッチョメンが後方へと移動した。かなりのダメージを受けてしまったが『超越駆動』が発動し、クラーレの右腕が切り取られたことで、無機物融合を中断させることができたようだ。
「クラーレ! 覚悟しろ!」
ジャックは『踏込』を駆使して占有スクエアを通過し、クラーレに狙いを定めて『ブラッドバースト』を放つ。ユグディラのエルバが、ブラッドバーストと調和した『森の宴の狂詩曲』を奏でる。瞬間的にエルバの力を上乗せしたブラッドバーストが、クラーレの頭部に叩き込まれた。
まさに命を削った研ぎ澄まされた一撃だった。
ジャックの想いは、憎しみではない。
大切な故郷を守り抜き、大切な仲間たちと再び笑顔で語り合う。
そんな日常が、なによりもかけがえのないものだった。
だからこそ、ここで決着をつける。
なにがなんでも!
バスタードソード「アニマ・リベラ」から、ジャックの両腕に強い感触が伝わってくる。
ミシ、ミシ……と音を立て、クラーレの頭部に罅が入り、頬の辺りまで亀裂が走っていた。
「こ、こ、こんちくしょぉぉぉぉーっ!!」
顔の表情が歪んでいくクラーレは、ジャックが目障りで仕方が無かった。
「殺す、殺す、殺してやるっ!!」
クラーレはジャックに素早く接近すると、首元を掴み、左腕でジャックを持ち上げた。
「ジャック・エルギン、おまえは邪魔だ! 消えろ!」
首元を掴まれたジャックは、意識が朦朧としてきた。
「クラーレ、あなたにジャックを渡す訳にはいかないわ」
まよいが、ユグディラのトラオムが奏でる『森の宴の狂詩曲』によって上乗せした『我が正義の侭に』を発動させた。
クラーレは、大精霊が司る「正義」の光によって全身を焼かれ、後方にいた硝子ゴーレムたちが消滅して、爆発していく。
ジャックは自力で、クラーレの腕から逃れると、まよいの隣まで下がっていく。
だが、ポーションを飲む余裕はなく、そこで力尽きて、ジャックは倒れてしまった。
エルバが『げんきににゃ?れ!』をジャックに施すが、重体だったため、傷を癒すことができなかった。
「ジャックさん!」
ディーナが搭乗している刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」が、スキルトレース:LV30による『セイクリッドフラッシュ』を放ち、ジャックに接近しようとしていた陶器人形たちを消し去っていく。
「ジャックさんを守るの。だから安心して、皆は戦ってなの」
刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」が立ちはだかり、さらに激戦は続いていた。
●偶然という名の必然
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は、アメンスィの近くで迫り来る陶器人形たちと対峙していた。
「ニンタンク『大輪牡丹』ちゃん、アメンスィに接近してくる人形を倒しちゃってください!」
刻令ゴーレム「Volcanius」のニンタンク『大輪牡丹』が砲撃:キャニスター弾を放ち、巻き込まれた陶器人形たちがダメージを喰らい、消え去っていく。
「あれ? 地縛符の結界に引っかかってるのは、何かの腕? ラルヴァの腕にしては小さすぎますよね?」
事前に発動させていた地縛符の結界には、右腕がハマり込んでいた。疑問に思いつつも。
「なんだか分かりませんけど、アメンスィに近づくなら、こうしちゃいます」
ルンルンが朗らかな笑みを浮かべ、『五色光符陣』を張り巡らせ、右腕を破壊してしまった。
察しの良い方なら、お分かりだろう。
ルンルンが破壊したのは、クラーレの右腕だったのだ。
レイオスに切り落とされた右腕は、乱戦に紛れて、アメンスィ目指して移動していたのが、ルンルンの仕掛けた地縛符の結界に引っかかり……その後は、ご覧の通りである。
この事実を知らないのは、ルンルンだけではなかった。
その頃、玲瓏(ka7114)は、ペガサスの雲居を連れて、同盟軍兵士たちに治癒を施していた。
ペガサスの雲居がアメンスィの近くにいるハンターたちに『エナジーレイン』を使い、玲瓏が『ヒーリングスフィア』を発動させ、空間内にいる兵士たちの怪我を癒していく。
「同盟の兵士様にとっては、この大地は母なる故郷……微力ながら、未来のために、お護りします」
「微力だなんて、とんでもない。とても助かりますよ」
兵士たちは一致団結して、陶器人形たちに攻撃をしかけていた。
ラルヴァの胎動により、大地が揺れる。
天央 観智(ka0896)が搭乗する魔導型デュミナス射撃戦仕様の機体は、ラルヴァの胎動によって移動不能になったが、すぐに体勢を整えた。
「地下遺跡が崩壊する前に、みんなで生きて帰りましょう」
観智の操縦する魔導型デュミナスが試製ワイドレンジプラズマキャノンを構え『プラズマシューター』で強化された弾丸を発射した。硝子ゴーレムに命中して、その場で砕け散り、爆発した。
イツキ・ウィオラス(ka6512)は、イェジドのエイルに騎乗して、アメンスィの傍で護衛に付いていたが、ラルヴァの胎動で移動不能になり、思うように攻撃をしかけることができなかった。
「動けなくても、身をもって壁になることはできます。仲間がクラーレを撃破するまでの辛抱です」
エイルが『ウォークライ』の咆哮で、陶器人形たちを威嚇していた。
マルカ・アニチキン(ka2542)が『魔法強力洗浄』を発動させるが、ラルヴァの胎動を抑えることができなかった。仮に抑えるにしても、ラルヴァとは距離があり過ぎた。
「この戦域まで、大地が揺れるとは……どうやら、私の対策は甘かったようです」
悔しい。悔しい。悔しい。思うように行動できないのが、これほど悔しいとは。
オートソルジャーのカマスは、『マスターガード』を駆使して、硝子ゴーレムの攻撃から、主であるマルカを庇っていた。
ラルヴァの胎動が大地を駆け巡り、マルカとカマスは転倒。エイルは移動不能になっていたが、イツキはエイルに騎乗していたこともあり、ようやく『雪華纏槍・結明紡』を放つことができた。直線上にいた陶器人形たちが衝撃で砕け散っていく。
結界に集中しているアメンスィは浮遊していたため、胎動の影響は受けなかったが、周囲で護衛していたハンターたちや幻獣、機体などは地上にいたこともあり、大地が揺れる度に転倒したり、移動不能になり、普段通りに行動することができなかった。
辛うじて立ち上がることができた玲瓏が、アメンスィに『楯縫』による聖なる光の防御壁を施すことができた。
「アメンスィ様、必ずお護り致します」
ラルヴァの『糸』対策をする者が多かったが、実際に、この戦域で気を付けねばならないのは、『大地の胎動』だった。
胎動の対策をしていたのは、ロジャーのシーカイザーだけであったが、アメンスィの周囲に機体を配置するだけでも、敵の進入を防いだり、斜線を遮ることはできていた。
エリダヌスはイェジドのシリウスに騎乗していたが、シリウスは移動不能になり、アメンスィの側から離れることができなかった。
「わたしにも、できることはあります」
イツキに『アンチボディ』を施すエリダヌス。移動が困難ならば、アメンスィ護衛に徹すれば良いのだ。
上空から唄が聴こえてきた。
パトリシアが『アイデアル・ソング』を歌い、彼女が騎乗しているペガサスのエボニーが飛行しながら『エナジーレイン』による癒しの雨を降らせ、怪我している者には治癒を、健常な相手には守護の力を与えていた。
「こういう時は、楽しいコト、思い出して……同盟の美味しいごはん。人。綺麗な海、山の景色を思い出して」
飛行しているならば、胎動の影響は受けない。
地上で移動不能になっている味方がいるならば、飛行しているペガサスのエボニーに騎乗しているパトリシアが、『五色光符陣』を発動させ、硝子ゴーレムを焼き尽くしていった。ゴーレムは消滅した瞬間、破片を撒き散らしていた。
●負けられない理由
レイオスの額から汗が零れ落ちる。
兵主神の効果を使い切り、使えるスキルも数えるだけになっていた。
飛行したワイバーンのシエルに騎乗したリューが、星神器「エクスカリバー」を掲げ、『ナイツ・オブ・ラウンド』を解放した。周囲にいる味方の生命力が回復し、仲間を鼓舞する。
飛行するポロウに騎乗したレイアが、クラーレに接近……魔導剣「カオスウィース」と星神器「天羽羽斬」の『二刀流』による連撃を叩き込み、さらに『アスラトゥーリ』を繰り出す。クラーレの胴部に命中し、かなりのダメージを与えていたが、決定打にはならなかった。
「おやおや、身体に少し罅が入りましたよ」
涼しげな顔のクラーレ。
リューを乗せたワイバーンのシエルが『サイドワインダー』で急降下し、クラーレ目掛けて『ディープインパクト』を解き放った。硝子ゴーレムがダメージを喰らって爆発するが、クラーレは回避していた。
「まったく、凝りもせず」
クラーレはパラソルを開いて衝撃波を放ち、ワイバーンのシエルは串刺しになり、地面に叩きつけられた。
「シエル!」
リューは着地できたが、眼前からクラーレの傘が振り下ろされた。とっさに星神器「エクスカリバー」で、受け止めるリュー。
その刹那、レイオスが『立体攻撃』を駆使してクラーレの傘に狙いを定めた。
「悪趣味なうえに物騒な傘は叩き折るのが一番だ!」
クラーレも負けじと愛用の傘で、レイオスの攻撃を受け止めた。
「ここまで、戦えたことは褒めてあげますよぉ。これは、あなたへのお礼です」
二本の左腕がドリルの形となり、レイオスの腹部を貫く。反撃する前に、血飛沫が飛んだ。
全身に激痛が走り、気が付けばレイオスは倒れていた。
ポロウのポルンが『惑わすホー』の結界を張り、レイアが星神器「天羽羽斬」を振るい『オロチアラマサ』をクラーレに叩き込む。
「リュー!」
「いくぜ!」
レイアと連携したリューが『紋章剣』を纏った星神器「エクスカリバー」と魔導剣「カオスウィース」の『散華』を繰り出し、『星竜』の斬撃を繰り出した。
クラーレの身体を斬り裂き、胴部に穴が開くが、中は空洞になっていた。
「中が空っぽ?! 核はないのか?!」
驚きを隠せないリュー。
「身体の中に核があると思っていたのですかぁ? 残念でしたねぇ」
クラーレの全身は切り刻まれていたが、愛用のパラソルで衝撃波を放つと、リューの胴部を串刺しにし、さらに左腕のドリルでレイアの腹部を貫いた。
「あっはははは、2人の覚醒者が見事に突き刺さりましたねぇ」
突き上げた傘にはリューの身体が突き刺さり、左腕のドリルにはレイアの身体が折り重なるように突き刺さっていた。
クラーレは、勝利を確信していた。
後は、アメンスィをズタズタにしてやるだけだ。
そう思った時、クラーレの左目に手裏剣が突き刺さった。
「な、な、やめろぉぉぉぉーっ!」
「どうやら、当たりのようね」
手裏剣を放ったのは、カーミンだった。
クラーレは皮肉にも、リューとレイアを串刺しにしたことで、腕が塞がれていたのだ。使えるのは、下の左腕だけだった。
「当たりなら、容赦はしないわよ」
カーミンは『千日紅』の残像を纏い、素早く駆け抜け、クラーレの左腕を予測し『鳳仙花』による鋭い一撃を繰り出した。
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁーっ!!」
カーミンの蒼機刀「ストレリチア」が、クラーレの左目に深く突き刺さる。
先にジャックがクラーレの頭部に多大なダメージを与えていたこともあり、瞳から頬へと罅が走り、頭部が砕け散った。その瞬間、硝子ゴーレムたちも消滅していく。
「まさか……お嬢さんに……やられるとは……ね」
そう言い残して、クラーレの全身は砂のように消え去っていった。
カーミンは魔導パイロットインカムを使い、エラとコンタクトを取る。
「頼みがあるの。クラーレが消滅した場所、焼き尽くしてくれる? ネジ一本でも再生される恐れがあるから」
『了解です』
エラからの返答があり、しばらくすると同盟軍の兵士たちがやってきて、リューとレイアを担架で運び、その場から離れていく。
カーミンが指さした場所を、エラは『散炎』を噴射して、炎を撒き散らした。
「これで終りね。グッバイ、ミスタ」
■完
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大林さゆる | 14人 |
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