修業という名の畑仕事の謎を追え?

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
締切
2018/05/01 09:00
完成日
2018/05/07 18:55

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●それはやめろ!
 グラズヘイム王国のとある地域。歪虚出たということでてんやわんやな状況だったりする。
 敵に位置が把握できたいないが、ハンターたちが接触を重ねるにつれて、【傲慢】ではないかもと思われたり、結構武闘派だったり、実は東方に絡んでいるのではと思われたりする部分が出てきた。
 この地域の領主の息子リシャール・べリンガーに想い人が似ていたという説も浮上している。
 そのリシャールは、精神抵抗ができなかったことで気落ちしていた。そのためか、頻繁に隣町の魔術師のルゥルを呼んで何かしているという。
 領主でありリシャールの父親であるシャールズ・べリンガーは、訓練するのはいいことだと思う一方で、根を詰めすぎると問題だと感じている。
 その特訓をしているところを覗いてみようと思った。
 ノックをする。返答はないが、開けてみた。
「【スリープクラウド】ですー」
「えっ!?」
 シャールズは入るなり雲に包まれる。部屋に入った瞬間か、ルゥルの声がした瞬間か、抵抗を試みていた。
 目の前に、椅子の上で寝ているリシャールの姿がある。
「良かったです、今回はうまく使えましたです」
「うっ、ルゥルさんが使うってわかっているのになんで!」
「待て、お前たち!」
 ホッとするルゥルと悔しがるリシャールにシャールズは飽きれた声で静止する。
「こんにちはです」
「……うん、こんにちは……ルゥルちゃん……いくらリシャールに言われたからって危ないからやめなさい」
 シャールズはかがむとルゥルに言う。
「でも、父上!」
「短絡すぎないかこの訓練」
「でも!」
「危ないからやめなさい」
「だから、座っているんです」
「ああ、そう……いう問題ではなくて……」
 シャールズは突然頭痛に襲われた気がした。
「精神鍛錬をするとか、ハンターにコツを聞くとか」
「父上」
「しまった」
 過去にハンターやっていたシャールズは期待のまなざしで見つめるリシャールによろめいた。
「……どうやって抵抗するかというと、やる気かな」
 息子の視線が痛い。なんとなくわかることを教えるのは辛かった。
「そうです! エトファリカに行ってきます」
「なんでそうなるんだ!」
「修業してきます」
「修業イコールエトファリカ連邦国というのもなんか短絡的というか……」
「リシャールさんは舞刀士です」
 ルゥルの指摘にシャールズはため息をついた。
「行先はきちんと決めて、連絡は密にするんだぞ?」
 リシャールは嬉しそうな顔になった。早速、大江 紅葉(kz0163)に連絡を取る。

●早速
 連絡が取れて、早速リシャールとルゥルはエトファリカにやってきた。
「私も一緒なのです?」
「私にもわかりません」
 ルゥルとリシャールは首をかしげる。
 最初はリシャールだけだったのだが、やり取りをしているうちに、色々な人の意見が加わり、ルゥルも同行することになった。
「紅葉さんの家なら知っていますから」
「大丈夫なのです」
 二人は天ノ都で大江家に向かった。
「ゴーストタウンなのです」
「おかしい……誰もいない……」
 引っ越したこと誰もいわなかった。
「リシャール君」
 屋敷の前でおろおろしていると声を掛けられた。
「光頼さん」
 リシャールはルゥルに松永 光頼を紹介する。エトファリカ連邦国の幕府に所属する武人で去年世話になったのだと。そして、紅葉の知り合いだということも告げる。初対面も含め挨拶をした。
「どうしてこのようなところにいるんだ?」
 リシャールは説明をした。
「なんで、引っ越したということを教えないんだ……」
 光頼はため息をついた。
「この地域に避難していた大江家の里近辺の人はみんな、天ノ都を引き上げたんだ」
「え?」
「紅葉殿は出仕もあるし、都にいるのだが、吉備殿の家にいる」
「ええ!」
 大切なことを言わない人達がいた。
「案内しよう」
「ありがとうございます」
 リシャールとルゥルは深々と頭を下げた。
 途中、強さとは抵抗するにはどうすればいいのかなど問う。
「そういえば、リシャール君は香をつけるようになったのかな?」
「え?」
「それも紅葉殿が持つものと似た匂いだ」
「……」
 リシャールとルゥルは首を傾げた。確かに何か匂いはしているが、すでに気にならないでいる。
「紅葉さんからの手紙はいつもいい匂いでした」
 それかもしれないと納得する。

●修業内容
「……で、紅葉がいないんで、俺が面倒見るんだがな……」
 屋敷の持ち主で紅葉の上司で師匠である吉備 灯世が二人を歓迎して告げる。
「紅葉の隠れ修業場という名の畑を知っている?」
 去年、リシャールは芋を掘った記憶がある。
「そこに程よい滝があるから滝行をする案が一つ」
「一つ?」
「紅葉が植える気満々だという苗と種を撒く案もある」
「……え?」
「うちの方の畑は、紅葉が借りている道具で少ない人数でどうにかなる。紅葉の隠れ修業場は道具を持っていけないため人力でどうにかしないとならない」
「いや、待ってください……修業?」
「足腰は鍛えられるのは事実」
「……え、ええと」
 リシャールは困惑する。
 あくびするルゥルを布団に入れる為、ひとまず話は止まった。
 結局、リシャールは隠れ修業場に苗と種を持っていくことにする。選択肢がないのだから仕方がない。
「これで強くなれるのか不安です」
「大丈夫です! 紅葉さんが言うのはきっと事実です」
 リシャールの不安をよそに、ルゥルは畑用の道具をトラックに積んで、弁当を作ってもらってうきうきワクワクしていた。
「……はあ」
 リシャールはため息を漏らした。
「それより、昨日から気になっていたけどなんで、旧紅葉と似た匂いがするんだ」
 それは昨日も言われている。手紙を持っているからと言ってそこまで同じ匂いがするとは思えない。
 誰も「旧」といったことは突っ込まない。
「これでしょうか?」
 手紙を見せるが「もっと古い奴」だと告げられる。
「もっと沈香が強いタイプだなぁ」
 出かけようとするリシャールの腰を見て、灯世がうなずいた。
「その刀の鞘につけてる匂い袋だ」
「……これ匂い似ています?」
「知っているとな……で、この刀は?」
「紅葉さんが誕生日プレゼントにくれました」
 匂い袋には大江家の紋が入っている。
「最近はその香は使っていないけどな……昔は代々伝わる調合だと言ってそれ使っていた」
 灯世に見送られ、リシャールは借りたトラックにルゥルと荷物を載せて出発した。

リプレイ本文

●荷物の中身
 メイム(ka2290)は荷物を確認する。苗はトマトともう一種類ある。種は一応、幾つか分けられていている。
「……ゴーヤ? それと、種、香菜とこれは滅茶苦茶普通に黒豆……これはアーモンド? 育つのアーモンド?」
 香菜という記載は実は「何かわからない」に等しい。
 マリィア・バルデス(ka5848)は「ルゥル(kz0210)が成り行きで来たのは、リシャールが無茶をしないため」と解釈していた。
「きちんと畑仕事をするハンターもいることだし……ルゥルに遊ぶご褒美があってもいいわよね」
 ウサギ姿でびょこびょこするルゥルをにっこりと眺めた。
 カティス・フィルム(ka2486)は修行と考えた上で、助言の前に思い出したことがあったので荷物に積んでもらう。
「釣りをするというのが重要ですね」
 カティスの幼馴染でもあるエステル・ソル(ka3983)は話を聞いて準備万端である。
「お弁当は作りましたー。それと、畑を耕すことで、美味しいお野菜さんもできるのですー」
 目がキラキラ、やる気に満ちていた。
 カーミン・S・フィールズ(ka1559)とトリプルJ(ka6653)は吉備 灯世に用があったため、後から追いかける。

●情報収集
 カーミンはグラズヘイム王国に現れた歪虚の話を灯世にした。ここに来る前にそこの領主シャールズ・べリンガーにも注意を促したが、色恋はともかく恨みについては否定できないと言われた。
「でね、そいつの太刀筋なんだけど……」
 大江家絡みも考え大江 紅葉(kz0163)の家臣・田貫夫妻にも確認を頼むがわからない。
「リシャールの刀につけてある香って?」
「あれは宗家のみが代々調合できる代物です。最近宗主は使いませんが、他者への幸運を願ったり、労りなどから与えてくれます。それと、あの島に居を移したときの初代の愛用と言われています」
「うーん。憤怒以外も考えないといけないかな」
 カーミンが歪虚の能力について告げると灯世は「憤怒も否定はできんぞ?」という。
「【同化】していればその能力を使うことも可能だ」
 他の生き物を取り込んでいれば使うことも可能だというが、あの歪虚の服や被り物の下は不明だ。カーミンは礼を述べて一旦は離れる。
 トリプルJは灯世と二人きりになったとき質問を切り出した。
「三十年から十年くらいに行方不明になった武家の娘を知らないか?」
 灯世は渋面を作り「無理だ、多すぎる」と告げる。
「西方なんぞないものだと我らは思っていたくらいだぞ?」
 灯世はエトファリカ連邦国が妖怪との孤立無援の戦いについて語る。
「失念していた……ならば、王国の貴族と出会うことなどできないわけだな」
「今回は、リシャールが持つ東方的なものに何か刺激を覚えたと俺なら見るがね」
 トリプルJは灯世に礼を述べた。

●畑仕事と問題と
 荷物を運び終え、一息つく。
「てきぱきしないと終わらないけど、休息しないのも愚の骨頂」
 メイムが言う。
「あれが滝です?」
 エステルは勢いよく飛び出して落ちていく水を見る。想像より小さいようだが、水に当たると痛そうではある。
「……リシャールさん、集中力を高めると今より精神抵抗の力が増す……かもしれないのですよ」
 カティスは学生時代を思い出して説明する。
「滝行や植苗は集中力を鍛えるのによいと思うのです。それと、学生時代によく相談していた先生が『集中力の維持だ』といって釣りをしていたのです。でも、鍛えるのには限界もあるので、護符などのアイテムを使うと良いと思います」
 締めの部分でマリィアが同意し、うなずく。
「ねえ、ルゥル。せっかく東方にいるんだし、畑仕事はみんなに任せてキノコ採りでもしましょう」
「みぎゃ?」
「えっ!?」
 マリィアが提案すると、ルゥルは目を輝かせ、リシャールは驚く。
「遠くまで行くと危ないかもしれないけれど、この近くの木の周辺とか倒木とか下生えを探す分には問題ないと思うわ」
 確かに、畑ぽい周囲には木々も生えている。
 キノコ好きのルゥルは心が揺らいだ。ルゥルは自分が何をしに来たか考える。
「ル、ルゥルは良い子なのです。言われたことはきちんとするのです。マリィアさんがせっかく楽しいことを言ってくださったのに」
 震えていたルゥルの目じりにと涙がにじむ。
「いいのよ、ルゥル、そんな! そうよね、大切よね、やることあるんだから」
 マリィアは慌てる。
「まあ、さ、早く終わらせれば何しようといいんじゃない?」
 メイムが指摘をした。別に木を見てくるくらいなら大した時間もかからないし、距離は近い。
「大変良い提案なのです。メイムさん頭がいいのです」
 ルゥルに感激したと感謝された。

 作業が開始される。
「まずは雑草さんと石ころさんを取るです」
 エステルがバケツを手にすると、ルゥルも真似する。
「熊手があると楽だよ」
 荷物からメイムが小さい熊手を取り出した。
「私は、釣りをやってきます」
 カティスは学生時代の先生を思い出し釣りをしたくなったので、浅瀬に向かう。
「……さて、リシャールさん、頑張って。で、畝を作って、ここにこれを植える……」
 メイムが棒で線を入れて示してく。
「ルゥル、たくさん取ったわね」
 マリィアに褒められルゥルは満面の笑顔。
「石と雑草はそのあたりにでも置いてけばいいかな」
 メイムがその場所を作った。
「そういえば、私は……道具を使ったことがありません」
 鍬を渡され、リシャールはしおれている。
「大丈夫です」
「です」
 エステルとルゥルが自信満々に告げる。
「これをこう持ってこうするのです」
 エステルとルゥルが実演する。振りかぶってフラリ、土に刺してよろり。二人は照れ笑いする。
「貸しなさい、こうよ」
 マリィアがどっしりと力を入れて行った。
「分かりました」
 リシャールが耕し始めた。

 合流したカーミンとトリプルJ。
「ここも久しぶりねー」
 カーミンが苦笑する。以前、じゃがいも掘りにやってきた。
「始めているな。耕すぞ。普段使わない筋肉を使うのも修行の内ってな」
 トリプルJはガンガン掘り始める。
「で、広げるか」
 スキル使って本当に畑を広げそうなトリプルJにメイムが「紅葉さんが維持できなくなるから」と止めた。
 カーミンはリシャールの様子を見ながら、川の側に行く。
「……なかなか釣れません。ああ、集中していません!」
 カティスは畑に意識を取られ、うめいた。

 休息を挟む。
「水分とって休憩。重要よ」
 カーミンは水で濡らしたタオルを手にリシャールに近づく。
「ありがとうございます」
 タオルを受け取るリシャールの手をカーミンはおもむろに握った。
「あ」
「逃げない。マメや筋肉痛には気を付けないと」
 手を引こうとするリシャールの手をしっかりと握りもみもみ。
「足もしたほうがいいわよね」
「えっと」
「魅了耐性訓練よ」
 カーミンが言った瞬間、リシャールの顔がきりっとした。
 トリプルJはしばらくして「そろそろするか」と作業再開を促した。

 エステルとルゥルは石と雑草の山を築き上げ、午前中が終わる。

●昼休み
「サンドイッチです」
「魚なかなかつれなかったです。釣れても川に還すのです釣れた証拠はないのです」
 エステルとカティスはにこにこと会話する。そのあとエステルは用意した食事の説明をした。
 スライスしたパンと具材があり、自由に挟める仕様である。
「魚でも捕まえようかな……あー、マリィアさんが地道に魚の餌から探している……」
 メイムはマリィアとルゥルが石をひっくり返し、捕獲しようとしているのを見る。
「……まじめだよね、マリィアさん。マスかな、あれかな? 一匹いればいいよね……伸びろ、ドローミ」
 スキルを発動するメイム。
 呆然と見つめるマリィア。
 ワクワクと石をひっくり返すルゥル……たぶん、魚捕まえること考えていない。
「さばくわ」
「うん、お願い。ルゥル、乾いた石でかまど作ってたき火作るよ」
 メイムはルゥルに手伝わせる。
 マリィアは受け取った魚を手際よくさばき、調味料をかけ準備を終える。
「ルゥルは魔術師だからいらないかもしれないけれど、野外で着火の指輪あると便利よ?」
 マリィアの言葉にルゥルはうなずく。その分スキルが開くのは事実だ。
「午後に向けてご飯食べておかないと駄目ですよ」
 エステルに言われ、ルゥルはサンドイッチを盛り始めた、野菜メーン。
「お肉は嫌いなのです?」
「……た、食べるのです」
 エステルに言われルゥルは一切れ載せて食べた。
「どちらかというと嫌いということですか? 大きくなるには必要です」
 カティスに言われルゥルはうなずいた。
「あ、あの……畑仕事も良いことはわかりました。でも、その……滝行って何ですか?」
 リシャールの言葉に一同沈黙する。
「そういえば水着やふんどしなんかは持たせてもらったか?」
 トリプルJの確認に、リシャールは荷物から水着と白装束を取り出す。
「それは、伝統的なタキギョウの衣装よね」
 カーミンが知っているとうなずく。

 午後の作業と修行の開始となった。

●滝行とは
 メイムはとりあえず、作業の指示を出しながら、滝行を眺めた。
(紅葉さん、ここで絶対、滝行していない気がする)
 とはいえ、リシャールがここですることは悪いことではない。
 ルゥルはマリィアとせっせと種と苗を植える。
「終わったら、キノコ探すのです」
「そうそう、遊ばないとね。ルゥルは偉いわぁ、頼まれたこともきちんとするんだもの」
 褒められるとルゥルのペースも早くなる。

「俺が霊闘士なんで自然を一体感を得る修行は嫌いじゃないぜ」
 トリプルJは滝の上を見上げる。リシャールの護衛という意味もあると感じ取っているため、もしも身の危険が迫るならそれを取り除くことを考える。
「……これなら何か降ってくるってことはないのか?」
「え?」
「いや、滝によってはな、流木や大きな石なんかが落ちてくる可能性があるからな。このくらいの滝ならそんなことはないだろうと」
「……え、ええ!?」
「まあ、いい、滝行というのはな……水と一体感を感じるまで打たれ続ける」
 トリプルJが実演する。
「覚醒者じゃない聖職者で一体感を得るには五分程度かかると聞いている……それと体が冷えすぎるのは良くない」
 昼に作ったたき火は維持されている。ルゥルが雑草を突っ込んだので生焼けのような雰囲気もそこはかとなくする。
「確か……滝を登り切ると龍と化す。トーリューモンというのよね!」
 カーミンが友人に教わったことを言った。
「トリプルJの状況でどうやって登るのかわからないけれど……私ならできる! 【ウォーターウォーク】があれば完璧かな」
「はい! わたくしも滝行さんやってみたいのです。でも、泳げないので魔法持ってきました」
 エステルはカーミンに魔法をかけた。
「……行くわよ! 【シンニンギア】【千日紅】!」
 カーミンはスキル使って残像残しつつ登っていく。
「どう!」
 リシャールは沈黙をした。
「さすがにそれはできないです」
 しょげるエステル。
「エステル! トリプルJさんがやったのも滝行だって説明しています」
 カティスが指摘する。
「そ、そうでした」
 【ウォーターウォーク】をかけて服のまま突撃をかけるエステル。
「濡れるぞ」
「ふにゃ? きゃああ」
 トリプルJが声をかけたときに振り返り、滝の勢いで転び流されていく。流されても水面を移動するだけでもあるけれど。
「……着替えはあります」
「そうか」
 岸に上がったエステルは答えた。
「リシャールさん、見ていますからやってきたください」
 釣りをしながらカティスは応援した。

 リシャールの細い体に、滝の勢いは強かった。痛い。
(紅葉さんでもこれをやっていたんですよね?)
 華奢な紅葉ができて自分ができない訳はないと考えた。
「冷え切っているじゃないの!」
 カーミンが温めるように抱きつくが、それに対して反応がないほどリシャールは凍えていた。

 種と苗を植え終わったルゥルはちょっとだけキノコを探しに行った。
「ここ、日当たりが良いのです……そのため、期待は薄いのです」
「さすがキノコア博士ね」
「えっへんです」
 マリィアに褒められルゥルは胸を張る。枯れ草の裏とか湿っているところには何か生えているぽいが、どう見ても食べられそうではなかった。
 それでも、満足げなルゥルを見てマリィアはほっこりしていた。

「そろそろ帰ろう」
 メイムが空を見上げる。
 他のハンターたちから了解の旨が返ってくる。
 紅葉がここで滝行をしていたかは別として、くつろぐにはよさそうだった。滝行をまじめにすれば集中しすぎて敵の接近を許す可能性もあるため仕方がないのかもしれない。
 エステルのフルートとルゥルの歌と踊りが片付けの間行われた。植物成長祈願らしい。

●何とか終わり
「リシャール、マッサージしておかないと駄目だぞ。筋肉を使った後、こういうケアも知らないと後々来るからな。こういうのも覚えていないと修行の成果が出ないぜ」
 トリプルJがリシャールをマッサージしながら指摘する。
「手と足を洗うと気持ちいですぅ」
 エステルは川で洗う。なお、この時点で筋肉痛になる予感はしていなかった。
「リシャールさん。抵抗には気持ち大事です。大好きな人たちがそばにいるって思います。心強いですし、それに、大好きな人のために相手の魔法に負けてはいられないのです。弱いと大好きな人も護れないのです」
 エステルはおっとりとした口調で、きっぱりと言った。
「リシャールさんのところ川があるなら、滝行は難しいですけれど釣りはできますよね?」
 カティスが確認を取る。
「はい、あります。そうですね……滝はさすがにないですが……上から降ってくる……」
「色々落ちてくると、領主さんに諭されるです」
 リシャールに答えるルゥル。
 カーミンはリシャールの刀の匂い袋の香りを嗅ぐ。鼻を近づけると分かる程度。
「これって慣れかしら」
 林や自然の匂いに近い気がした。カーミンは自分の手の匂いを嗅いでから匂い袋を鼻に近づける。
「ちょっとわかりにくい」
「そうですね、意識しなくなっていました」
 リシャールにルゥルもうなずいている。
「ルゥル、今度はこっちにキノコ狩りでもするのかしら?」
「そうですね……いい場所があれば行きたいです」
「難しいかしら」
「調べてみるのです」
 マリィアは護衛の意味もあり、周囲は気にはしている。ルゥルを遊ばせようとしていただけではない。
「さて……忘れ物はないよね」
 メイムの確認にそれぞれチェックし、下山開始となる。
「それより、紅葉さんがここに世話しに来るのかな」
 この畑の未来が少し不安だった。植物の選択の理由が全く持って不明。しかし、去年はジャガイモを育てあげているのだから、どうにかなるのだろうと信じてあげた。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 5
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

  • タホ郷に新たな血を
    メイムka2290
  • 部族なき部族
    エステル・ソルka3983

重体一覧

参加者一覧

  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • ティーマイスター
    カティス・フィルム(ka2486
    人間(紅)|12才|女性|魔術師
  • 部族なき部族
    エステル・ソル(ka3983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 畑仕事?滝行?それとも遊ぶ?
エステル・ソル(ka3983
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/04/30 22:03:11
アイコン 【質問卓】
メイム(ka2290
エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/04/29 20:56:49
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/04/29 10:12:36