• 春郷祭1018

【春郷祭】りらっくすたいむ♪

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/06/06 19:00
完成日
2018/06/25 00:09

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「大丈夫ですか?!」
 同盟領は極彩色の街「ヴァリオス」の一角で、南那初華(kz0135)が慌てて移動屋「Pクレープ」の中から飛び出した。
 駆け寄った先にはうずくまったおばあさん。
「いたた……」
「けがはありませんか? ああっ! お買い物が……」
 幸いにもおばあさんはつんのめった程度でけがはなかったが、手放した買い物かごが地面に落ちリンゴなどが四散してしまっていた。
「あんもう、結構転がって……ええと……うん、これとかこれは大丈夫かな?」
 初華、散らばった中身を拾い集めて買い物かごの中に戻す。
 しかし。
「んあっ! このリンゴはさすがに駄目かなぁ……ちょっと待っててね」
 初華、傷みの激しいリンゴを手にPクレープに戻ると、別の傷みのないリンゴと交換して買い物かごの中に入れた。
「お嬢ちゃん、そんなことをせずとも……」
「大丈夫大丈夫。私のとこはクレープ屋だから、皮はむくし傷んだ場所は切り落とせばいいの。形がちょっとアレになっちゃうけど、クレープで包むんだから見栄えはあまり関係ないしね」
 初華の説明に納得したおばあさん、深々とお辞儀して感謝するとえっちらおっちらと去っていった。孫を待たせているようで、急いでいて転倒したらしかった。リンゴは、孫への土産だったようで。
「ほう」
 そんな様子を、離れた場所にいたおじいさんが見ていた。
 初華、おばあさんを見送ったあと、腰をとんとんと叩きながら屋台へと戻る。
 そこへおじいさんが歩み寄った。
「ふぅ、やれやれねー……ほへ?」
「あんた、ええ娘さんじゃの。感心したワシからご褒美じゃ。そこのベンチに横になってみい」
「んあっ?! 何なに、ちょっと……ほへ? うつ伏せ? あん、触っちゃイヤ」
「よし、そんじゃやるぞい? ふんっ!」
「きゃーーーーーーーっ! いたたたたたたっ!」
 突然の初華の悲鳴。
 Pクレープの傍に構えた自転車修理屋台から自称「戦場詩人」のダイン・グラマンが駆け寄ってくる。
「じいさん。その娘、放してもらおうか?」
 いつものんびりしたダインの殺気交じりの声。胡桃二つを包むように軽く、というか特殊に握った拳を見えるように構えている。
「慌てんさんな、若いの。……ほれ、コリが少しはほぐれたじゃろ?」
「……んん、たしかに……痛かったけど今は気持ちいい……」
 最初は抵抗していた初華だが、いまはすっかりへにょっとなって脱力している。メイド服もだらんと緩み気味で。
 どうやら指圧で硬くなっていた身体がほぐれたらしい。
 そこへ、新たに太っちょの男性が。
「そ、それだーーーーーっ!」
「ほへ? 何なに、ポルテさんじゃない。どうしたの?」
 んんん、とけだるげに声のする方を向いた初華が目にしたのは、ポルカ商会のポルテ・ポルカだった。Pクレープの出資者である。
「ジェオルジ恒例の【春郷祭】に今年もPクレープで出店しようと思ったんだけど、今年はダメだって言われてね。飲食屋台以外の権利はもぎ取ってきたんだけど……」
 まくしたてるポルカ。横で聞いていたダインはまさか、といった顔つきになる。
「おじいさん、ぜひジェオルジでリラックス屋台をやりませんか? たくさん人が来るお祭りです。お疲れになる人もたくさんいるはずです。何なら初華さんも助手で付けますから!」
「ほう、この娘を付けるとな? ならばいいじゃろ」
「ちょ……なんでそこで納得するの?」
 初華、不満げに上体を浮かせる。
「これも何かの縁じゃ。それにお前さん、働きすぎじゃ。こんなに身体が硬くなっとる。お前さんを今から徹底的にほぐしてやるからやり方を体で覚えることもできよう。祭りで助手をするには最適じゃ」
「ああん、そんな……うう、きもちいい……」
 浮かせた身体の肩甲骨あたりのツボをぐりぐりやられた初華、半身のままぐったりと頭を垂れてなされるがままである。
「触り方に下心が見えてりゃただでは済まなかったところだねぇ」
「ならばお前さんもこの娘の用心棒としてくるがいい。……それはそうと祭りの客だけでなく、祭りを支える人にもまったりしてもらいたいとこじゃの」
 ダインも巻き込んだおじいさん、今度はポルテにそんなことを。
「それじゃ準備初日から行って村の人にも施術するといいですよ。日々の農作業の忙しいところ、そのまま祭りの準備だからかなり喜ばれると思いますよ!」

 というわけで、初華とともにリラックスルームを担当してもらえるハンター、求ム。

リプレイ本文


「よし。それじゃまずは急いで基本的な事を覚えてもらおうかの。何せ短時間でそれなりになってもらうわけじゃし」
 春郷祭のあるジェオルジに乗り込んだ一行は早速、村長会議期間中に村人に対し施術する一軒家に上がると「ほぐし屋」の老人、ポゥの言葉に耳を傾けていた。
 ――ツンツン。
「んあっ! 何、ひりょさん」
 大人しくイスに座っていた南那初華(kz0135)が、こっそり腕を突かれて横を向く。
「本格的にマッサージを習うと聞いたのだが……」
 鳳凰院ひりょ(ka3744)がこっそり……いや、割とはっきり聞いてきた。
「あ。基本さえ頭に入れればハンターなら大丈夫なんだって」
「どういうこと?」
 初華の説明に突っ込むメルクーア(ka4005)。
「骨格や筋肉の構造さえつかめば後は自分で分かる通りだし、マッサージの力の入れ具合は……」
「生かすも殺すもどの程度かはわしなんかよりハンターのほうが詳しいじゃろ」
 初華の言葉に割り込んでポゥじいさんが言い切りがははと笑う。
「そうなの?」
 深守・H・大樹(ka7084)が静かに反応。
「そういうわけじゃないと思うけど……」
 なんだかいつもの元気のないメルクーアが正論を口にしたと同時に狐中・小鳥(ka5484)がぽそりと言った!
「初華さん、普通のマッサージはできるけどちゃんと教わったことないから興味津々なんだよ」
「教わってなくても普通のはできる……やっぱりそうなんだ」
 大樹、深く頷き理解したッ。
「戦い以外では生かす殺すは関係ないんじゃないか?」
 ひりょ、それは誤解だと諭しておく。
 で、誤解を解いてほっとした時だったッ!
「じゃ、早速やろうかの」
「え? くっ!」
 ――くるっ、すたーん!
「まずは背骨の継ぎ目を自然に無理なく伸ばしてやる。もちろんそのために心身とも緊張をほぐす。体の凝りはぐいぐいともみほぐせばええが、無理なときはこのツボを刺激してやれば……」
「ぐっ。く……」
 マットに柔らかく投げられうつ伏せにされたひりょ、さらに背中のツボを指圧されて苦悶の表情を浮かべる。
「ほぉ、ハンターさんはすごいの。これで悲鳴を上げて悶絶せんとは」
 ポゥ、我慢するひりょに感心する。ひりょとしては息を荒くして、見る人が見ればむしろ色気を感じるような表情になっているのではあるが。
 ただ、それも時間の問題。
(? 痛い……が、体がすごく楽になった気がする)
「こうなればあとは好き放題じゃ。骨格のずれを直すも良し、筋肉を揉み込んで凝りを根こそぎ取ってやるも良し」
「あーっ、ホントにひりょさん気持ちよさそう」
 初華の言うとおり、ひりょの表情はみるみる穏やかなものに変わっていった。
「すごーい! 僕も僕も! バリバリ講習受けるよー!」
 そこへCapella(ka2390)が挙手しながら躍り出てきた。ペットのパンダみたいな色合いのマウス「リゲル」も飼い主を真似てテンション高めである。
「それじゃ、足を取ってこう!」
「いったーーーーーい! ほぎゃああああ!!」
 ポゥ、カペラをエビ反りにして足裏をぐいぐい。
 もちろんカペラはじたばたしていたが……。
 ――ぐいぐい、ぐりぐり。
「ほれほれ、ええか? ここがええのんか?」
「ううー。いいかもー」
 すっかりふにゃ~となって逆エビ固めの弓ぞりでぐりぐりされるままだったり。
 でもって、小鳥。
「ツボマッサージってどんなのだろ?」
 うつ伏せのまま、まずはポゥから強めのほぐしマッサージを受ける。
 この時点ではうっとりしていたが、やがて足裏のツボをぐりぐりされる。
「んっ、んーーー?!?!?!」
 さすがに眉をやや歪めてもだえ始める。とはいえ、言葉少なに耐える姿は色っぽくもある。
 そんな様子を見てディーナ・フェルミ(ka5843)が安心しきった様子でやってきた。
「タスカービレの温泉宿で役に立つスキル大発見なの~。ぜひ教えてくださいなの~」
 数分後。
「あだだだだ、本気で痛いの!?」
 ディーナ、涙目。
 そんなエビ反りポーズを背後に小鳥がはふりと溜息。
「予想より痛かったんだよ……」
「小鳥さん、ちゃんと言わないからディーナさんが餌食になっちゃってるじゃない」
 涙を浮かべて白状する小鳥に突っ込む初華だったり。
 が、ディーナはすぐにいつもの幸せそうな、にへら~な顔になている。
「気持ちい~の……とろけちゃうの……」
 目元は甘く、語尾は幸せいっぱい。すっかりほにゃ~、な感じになっている。
 めでたしめでた……。
「これがマッサージで気持ちいい感じなんだね」
 今度はポゥ、寝そべる大樹に施術している。
「お前さん、マッサージを勉強しとるのか気持ちよさを勉強しとるのか、どっちかの?」
 大樹はオートマトンだったりする。
「あ、気持ちいいよ、痛かったけど。……どこをどうすればいいのか分かったし」
 オートマトンはちゃんと違いが分かるのである。
 それはともかく、初華。
「それじゃメルさんには私がしてあげるね」
 というわけでメルクーアが横になる。
「じゃ、お願いし……い、いたたたたっ!」
「あとは優しくマッサージするね」
「まさか初華さんに組み敷かれて泣かさせるとはね~……それより二日酔いに効くツボはないの?」
「ええと……って、あれ? メルクーアさんて二日酔い……」
「うん。したことないけどね~」
 むふふん、とうつ伏せのまま得意顔のメルクーア。
「あんもう、おしおきよ~!」
「いたたたたっ!」
 初華、再び痛いツボ攻撃。
 これを見てひりょもマッサージする側に挑戦する。
「とはいえ流石に女性陣にというのは少し気が引ける……」
 で、大樹と目が合う。
「いいよ」
「すまんな」
 というわけでひりょ、大樹にマッサージ。
「ふむ。肩甲骨の可動域なんか全く変わらないな……」
「そうなんだ?」
 大樹、肩を大きく揉まれて満足そうである。
「じゃ、私も誰かにお願いしたいな♪」
 ここで初華も実験台に挙手。
「初華? えーと……あまり女性の身体を触るわけには……」
「じゃ、僕で良ければ」
 女性だしな、と考えるひりょに代わり、大樹が引き受けた。
「あ。気持ちいい。優しい手つきだね」
「そう? 良かった。初華さんは…何か疲れたりすることとかある?」
 大樹、初華の掌をマッサージしてツボを刺激していた。
「いろいろ。……その時は感じないけど後から疲れてる自分に気付くのなかぁ」
「そう……たまには息抜きしてね」
 とても自然な感じだった。
「それにしても、ええ人らが集まってくれたの」
 ポゥが感心しているのは、ほかの人の動きも見ているから。
「この人体図が参考なの? だったら描き写しておくの~。温泉で絶対役に立つのもっと教えて下さいなの師匠!」
 熱心にツボの場所や押し具合などを書き写しさらにポゥに指導をねだるディーナ。
「折角だから看板とか作りたいんだけど、何か材料があるといいわねー」
 メルクーアはあちこちガサゴソ。見つけたようで、早速謳い文句を書き入れていたり。
「そろそろ開店だよね? 急いで準備しないとだねっ!」
 カペラは別室に引っ込んだ。



 というわけで、マッサージ店オープン。
「はいはーい、開店ですよ~」
 メルクーアが「疲れた身体に癒しのひと時を」の看板の横に立ち、「あなたの疲れと心をほぐします」ののぼりを手に呼び掛ける。
「ほう、そういえば今日わしらのために開店してくれるとか」
「助かるわね~。収穫とか祭りの準備で疲れがたまってるし」
 続々村人が寄って来る。
「あの、メルクーアさん、これは?」
「ああ。ちゃんとわたしたちの店ってアピールしないとね~」
 初華が突っ込んだのは、看板に小さく「Pクレープ」の文字があったから。メルクーア、悪戯っぽく笑っている。
 その背後から何やら大きな物体が外に掛けだしたぞッ!
「体も心も癒しちゃうよ!」
 カペラである。
 何と、まるごとはむすたーを着込んでいるではないか。
 ぽっちゃりした着ぐるみの口から顔を出し、短い手足をわきゃわきゃ動かし通行人にアピールだ!
「きゃーっ、カワイイ!」
 若い女性が寄ってきた。
 同時に、結構な男性客が「俺にはどうでもいい」とばかりに距離を置いた。
 その時であるッ!
「可愛い子もいるよ。寄ってかない?」
 カペラがそういって両手を差し出すと、手のひらに乗ったリゲルがつぶらな瞳をウルウルさせて上目遣いで可愛らしさアピールしてたり。
「くっ……」
 あ。
 若いお兄ぃさんがこの魅力にやられてご来店。
 そればかりではない。
「なんや、ホンマか?」
「あのおねいちゃんみたいなのがおるんなら喜んで入店するで!」
 おっさんどもも釣れた。
 何を勘違いしたかというと……。
「え、ええと……何か身の危険を感じるんだよ……」
 ちょうどカペラの後ろを小鳥が通り掛かっていたのだ。視線を感じて白地のチャイナ服の裾をもじもじやってたり。
「すまない。一度に客が来すぎた。まずは全員で対応しないか?」
 部屋の中からひりょが顔を出して呼ぶ。
 慌てて施術に向かう呼び込み組だった。

 さて、屋内は広い一室をパーティーションで区切りそれぞれ個別対応していた。
「じゃ、若いお兄さんお願いね」
 ひりょのところにはマダムがうつぶせに寝そべっていた。
(なんというか、こういう時は戦闘とはまた違った緊張感があるな…)
 そっとタオルケットの上から肩のコリをほぐす。
「あら、上手。直接触れてもいいのよ?」
 マダム、むんむんな色気とともにタオルケットをずらして肩をあらわにした。
「それより、かなり凝っている気がするかな? このくらいでどうだろう?」
「あ、いいわぁ。でももうちょっと優しくね?」
「とはいえ、ここまで凝るのは日ごろ無理しているのではないだろうか?」
「いろいろ気を遣うのよ……この間だって……」
 お色気路線に引き込もうとするマダムを何とか愚痴に集中させることに成功した。
(ふぅ。体の疲れもそうだが、心の疲れも癒すのが一番だからな)
 ひりょ、うんうんとマダムのおしゃべりの相手をしてやる。

「あたたた……そこは数日前から痛いところでの」
 そんな悲鳴が聞こえるのは、ディーナのところ。
「どうしたなの?」
「重い物をささえて踏ん張ったりしたのがいかんかったか、それから痛ぅてのぉ」
 おじいさんの言葉が聞こえたか、ポゥが飛んで来た。
「嬢ちゃん。マッサージなんかは逆効果になるぞ?」
「それなら……こうなの!」
 ディーナ、その場で精霊に祈りを捧げた。ヒーリングスフィルである。
「お、楽になった!」
「嬢ちゃん、いまのは?」
「元々エクラの司祭は無医村では医者や薬師の真似事もするの。だから私も簡単な触診の技術や薬草知識の持ち合わせはあるの」
 ポゥに聞かれてにっこりするディーナ。
「ただマッサージは症状緩和は あっても完治はないのが定説だから、本格的に学んだことがなかったの。未病の緩和って考えれば有用な技術だと思うの。ここで学べてうれしいの」
 ディーナ、ポゥに感謝しておじいさんの別のところを一生懸命マッサージするのだった。

 メルクーアはお湯を沸かして足湯と足ツボマッサージ。
「じゃ、お願いしようかの」
「痛いですよー」
 男性客に上目遣いで念を押すメルクーア。
「大丈夫だいじょ……あだだだだっ!」
「あ、じっくりしますねー」
 足揉み揉みに切り替えるメルクーア。ふーっ、と気持ちよさそうな客。
「しかし、ワシだけここでゆっくりして……」
「じゃあ覚えておいて、帰って家族のみんなにもしてあげたらどうかなあ?」
 メルクーアの一言で男性客の気まずそうな表情が緩んだ。
「いいのか、嬢ちゃん? でも、そうしたら商売にならんだろ?」
「簡単なのだけなら。足の裏には、全身のツボが集中してるんですってー」
 とかいいつつ手軽な方法を教えるメルクーア。
 後の話になるが、男性客は仕事を優先しすぎたことで上手くいってなかった家族ともマッサージを通じて円満になったという。

「きゃーっ、カワイイ♪」
 そんな悲鳴はカペラのとこから。
「リゲルちゃんていうんだ、可愛いね」
 うつ伏せに寝た女性客がカペラのペットをつんつんしてにこにこしてたり。
「表情もいいなぁ」
「小動物は、あの儚い感じがたまらないんだよねえ」
 そんな会話をしつつ、カペラは女性客腰を揉み揉み。
「うんうん。仕草も可愛いしね」
「あとハム尻。芳しい木くずの匂いにも癒されるんだよねえ……」
 何というか、ほんわかした空間ができてしまっている。
 で、次の客は男性だった。なにかそわそわしているぞ?
「その……」
「あ、きみならリゲルちゃん抱っこしていいよ~」
「ホントか?!」
 男性客、がばと起き上がろうとする。
「でも今はダメだよ!」
「ぐぎゃ~っ!」
 嬉しさのあまり今リゲルを抱こうとしたのでツボを思いっきりぐりぐりしたのだったり。

「いらっしゃいませ、だよ♪ 凝った身体をしっかり解してあげるんだよ♪」
 こちら、小鳥。
「まずは横に……それじゃいくんだよ♪」
 横になった中年男性の肩を揉み揉み。小鳥、鼻歌交じりで楽しそう。
 が、中年男性の様子が変だ。気持ちよい表情の中で鼻の下が伸びている。
「ぐへへ……そーっと」
 男性の指が小鳥のチャイナ服の裾に掛かった。
 ぴぴん、と気付く小鳥。
「足つぼは痛いけど我慢なんだよ」
「……え? あいだだだっ!」
 首をひねってそちらを見ようとしていた男性客、悶絶。
「お客さん、お触りはダメだよ!」
 そしてすぐさま肌を触っていた手を取り腕十字固め!
「あ、あだだだ……ん? ぐへへ、このむにむに感は何かなぁ?」
「……って、微妙に喜んでないかな?かな?」
 小鳥の胸はつつましやか。それでも中年男性は違いの分かる男性のようでしっかり楽しんで……。
「いだだだだっ!」
 気付いた小鳥の締め上げが強くなったようで。

「気持ちいい? 痛くない?」
 丁寧に年配者の手をマッサージしているのは、大樹。
「お兄さん、優しいねぇ。こんなおばあちゃんにも丁寧にしてくれて」
「お世話になってる夫婦からいつも言われてるんだよね」
「それはまあ、えらいねぇ」
 なんか会話のリズムが合っている。
 でもって、次の客はちょっと目つきがアレな男性だった。
「君、綺麗だね。肌も顔も……」
「ありがとう」
 会話を合わせる大樹だが、明らかに客は男性好きのようで。
 ちょうど通り掛かったひりょが首を振っている。
「そうだ。何か欲しい物とかあるかな? プレゼント……イタタッ!」
「ここはそういう場所じゃないよ、お兄さん」
 大樹、にっこり笑いつつ、痛いツボグリグリ。



 というわけで、ほぐし屋は大盛況。
「そりゃそうよね。私たちですらこうなんだから」
「はふぅ、やっぱりマッサージは気持ちいいんだよ~」
 ご褒美マッサージを初華から受ける小鳥が示す通り、やはりいいものはいいのである。
 当日訪れた多くの村人たちもリフレッシュして祭りの準備を加速するのであった。

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参加者一覧

  • マウス、激ラブ!
    Capella(ka2390
    人間(紅)|15才|女性|機導師
  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • Pクレープ店員
    メルクーア(ka4005
    ドワーフ|10才|女性|機導師
  • 笑顔で元気に前向きに
    狐中・小鳥(ka5484
    人間(紅)|12才|女性|舞刀士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 輝く星の記憶
    深守・H・大樹(ka7084
    オートマトン|30才|男性|疾影士

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依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
メルクーア(ka4005
ドワーフ|10才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/06/02 19:28:36
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/06/04 07:07:50