• 羽冠

【羽冠】知追う者、少年の忘れ物発見する

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/06/12 22:00
完成日
2018/06/19 08:19

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●兄な気持ち
 イスルダ島の港において、松永 光頼は大江 紅葉に注意事項を言い渡していた。一分も経たないうちに紅葉は聞いていないのだが、聞いているように見えるため、光頼は懇切丁寧に説明をしていた。
「分かっていただけましたか」
「はい、ハンターの皆さんの意見を聞いて注意しますね」
 光頼はほっとする。彼が話したことはすべてそこにある。
 紅葉らからすると家の人間にも言われることはそこである。
「では、いってきますね。ウィリアムさんにも私が見て聞いたことをきちんと報告いたします! 報告するのは得意です」
 この瞬間、ウィリアムと光頼の反応が真っ二つに割れた。
「知追う者という二つ名のあなたに報告していただけるなら、信用に値する素晴らしい文書になるでしょう」
「いいですか! 美辞麗句はいりませんし、無理やり内容をあちこちつじつま合わせで書かないでください!」
 ウィリアムと光頼は顔を見合わせた。
「まさか……そんな?」
「いえ、紅葉殿は言いくるめ技術がすごいときあるので」
 ウィリアムの視線を受け、紅葉は首を横に振る。
「必要があるときはでっち上げしますけど、調査・研究においては見て聞いて推測できることしか書きませんよ」
 紅葉は光頼をじっと見て訴える。
 ウィリアムはうなずくしかできない。
「紅葉殿の寄り道に注意してください」
「大江殿をよろしく頼む」
 光頼とウィリアムにハンターたちは念を押されるのだった。

●神殿跡地
 今回の目的地は神殿跡地。天幕など張り、夜を迎えても、突然雨が降ってもどうにかなるような準備だけはしておいた。荷物を置いておくにしても場所は必要である。
 どこかで戦いがあったとしても、紅葉たち一行がたどり着いたところは静寂が漂っていた。ハンターが拠点構築中に紅葉は手に熊手を持ち、近くで地面を掘っていた。
 ハンターが拠点を作り終え、探索中に不要の荷物を置いて軽装になったところで紅葉を探す。視界の片隅で何か地面から引っ張り上げようとしている。
「この石外せます! 丈夫な棒があれば開けられますよね。何があるんでしょうか。神殿の地下? それともここが地上だったけれども埋まってしまったのでしょうか」
 紅葉はわくわくしている。ハンターは怒るも何も調査に来たのだから、この石をどけることは問題ない。
 てこの原理で何とか開いた。地下に空間が広がっており、紅葉が明かりを手に頭を突っ込む。警戒という文字が消えている。
「広いですよー、六畳ぐらいです」
 日本的な広さの単位はなじみがないとさっぱりわからない代物。
「お部屋みたいです。扉がありますね」
 つまり通路があってどこかにつながっている。下手すると、埋まっていて何もないかもしれない。
 石をきっちりどけたうえで、縄梯子をたらし、一行は下りる。
 扉を開けると通路となっている。しかし、明かりで照らすと左右はしばらく行くと行き止まりだ。通路の両サイドにはいくつか扉や扉がない出入り口が見える。
 紅葉がマッピングセットを取り出すとせっせと地図を描き始めた。そして、確認のためじわじわ進む。
 似たような部屋がいくつか続く。中は空っぽだ。何かの残骸があっても大したものはなさそうに見える。
 扉がない部屋に入ると二つの大きな箱があった。木製で金属の枠で補強された頑丈そうな箱だ。一つは錠前がつけられている。もう一つは外れている。
「ざ・宝箱です……です?」
 紅葉は目を輝かせて近づく。
 閉まっている箱がガッタンガッタンと動き始めた。雑魔なのだろうかと思われる。
「あれ? 何か書いていますね」
 二つの箱には手書きで紙が貼られている。

 余の荷物、勝手に開けるな プエル(kz0127)

 紅葉は目を何度か瞬いた。
「え、ええと……そういえば、報告書にプエルくん、べリアル(kz0203)の下にいたことあるってありましたね」
 イスルダ島を離れるとき、置いていった荷物があったということだろう。紅葉はプエルについて念のため解説してくれる。王国に在住だけど結構あちこちに出没していた歪虚だということを。いろいろあった結果、去年討伐されたということを。
 少し、寂しそうにも聞こえるが「結局、歪虚でも人間だったヒトは色々としがらみがあるのです」とつぶやいていた。
「開いているということは、誰かが持って行ったんですね?」
 それよりも、動いている箱にツッコミを入れるべきだ。鍵部分がじわじわ開いている気もしなくはないが?
「……この箱の中身なんでしょうか……」
 紅葉はじっと箱を見つめる。箱は一瞬動きを止めた。
 ハンターはハッとする。
  背後に巨大な影が迫ったのだ! もこもこ胴体に足がある。いや、見ると、そこにいたのはランタンを持った羊のぬいぐるみと、何も持っていない羊のぬいぐるみだった。

リプレイ本文

●紅葉、注意
 動く箱、扉の陰からのぞく羊のぬいぐるみ。
 ハンターたちのピンチ――ということもなく、箱は動いているだけであり、雑魔たちは様子をうかがっているだけである。

 ステラ・フォーク(ka0808)はハッとして大江 紅葉(kz0163)の手をつないだ。
「動く宝箱に興味を持っていますわね? 駄目ですわ、触ろうとするのは。それとあのぬいぐるみは雑魔です、羊ではないですから、飼おうとは思わないでくださいね」
 紅葉は心配されて一瞬キョトンとするが、にっこりと笑顔を見せた。本人は安心させるつもりなのだが、ステラには危険な笑顔に見える。
 マリィア・バルデス(ka5848)は動く宝箱に注意を促す。
「物語のミミックのように宝箱自体が道具型の歪虚かもしれない。下手に近づいたらワニみたいに噛みついてくるかもしれないわ。いくら好奇心旺盛でも、こんな場所で怪しく動くものに不用意に近づかないで!」
 ハンターにどういう評価を受けているか察したらしく紅葉の笑顔がむくれた。
 サクラ・エルフリード(ka2598)は盾を構えつつ、宝箱と紅葉の間に立つ。
「宝箱が歪虚かもしれないですし、中から飛び出してくるのかもしれません。気を付けないとですね……後方のぬいぐるみが入っているのか、はたまた別のものがいるのか……」
 想像であり、どうなるかわからない。
 夢路 まよい(ka1328)は動くぬいぐるみに顔を明るくする。
「んー? プエル(kz0127)ってことはあれを操っていたってことだよね? いなくなった後に色々探されるのはちょっと恥ずかしいかもしれないけど……中身がどっかいっているみたいだよね」
 プエルが人形を操っていたため、このぬいぐるみが持ち物だとは推測できる。その上、箱から出て動き回っているし、プエルがそれ以外も荷物を持ち込んでいたとも考えられる。
 ルベーノ・バルバライン(ka6752)は後方の出入り口をどうにかすべくぬいぐるみと対峙する。
「イスルダ島に来てまでまさかプエルの置き土産に遭遇するとは思わなかったが、これも縁というやつか。俺が直々にプエルに送り返してやろう」
 拳を固めるとぬいぐるみの雑魔たちがそわそわする。まるで警戒を始めたかのようにも見えた。
 ミオレスカ(ka3496)はこれらが中身だった場合、ランタンを持ってなぜうろついているのか気になる。そもそも、ランタンの火はどうやってつけたのだろうか。
「あのー、言葉はわかりますか? あなたたちは何を守っているのか教えてくれませんか?」
 雑魔に話しかけた。すると、羊ぬいぐるみ雑魔たちはこくこくとうなずいたのだった。

●羊のぬいぐるみが語ることによる
「ミオレスカさん、良いことです、気になることをきちんと確認をすることは」
 紅葉が教師のような口調でいい、雑魔が通りたがっている通路を開けてやる。ハンターたちはそれに従う。従うとはいっても、危険があれば動くため、紅葉を守りつつ、逃げ道も維持しつつ待機する。
 ぬいぐるみたちは攻撃をされないと分かるとすたすたと入ってくる。覗いていた二匹だけでなく順番に軽い列をなしやってくる。
「ぬいぐるみ可愛い……雑魔化しているから倒すんだよね。でも、観察は重要だから、少し見られるんだよね」
 まよいがわくわくしながら見ている。スタッフはしっかり握りしめ、何かあれば魔法を使うことはできる状態にしているのはさすがにハンターである。
「何を手にしているんだ」
 ルベーノが指摘するように、ぬいぐるみたちは手に何かを必ず持っている。
「外から石でも持ってきたのかもしれません。ただの石です」
 紅葉が答えながら、鞄から石を出す。彼女も拾っていたらしい。
「それは、縄梯子登ったってことですわね? でもどこかに落ちていたこともありえますけど」
「そういえば、塵ひとつおちていないとはいかないですが、何もなかったような……」
 ステラとサクラは顔を見合わせる。縄梯子は出入りするためにいたずらはしていないとは思われるが、集めた物をどうしているのか謎になる。
 ぬいぐるみ雑魔たちは手に持つ石を宝箱に放り込む。
 鍵が付いていなかった方は石が飛んでくるとパカーンと口が開くようにふたが開く。そして、石を咀嚼する。
 この瞬間、これが何かは明確になった。
「……これは駄目なパターンですね」
「そういうことになるかしら」
 ミオレスカにマリィアが苦笑しつつ答えた。しかし、倒して問題ないものだと分かり方針も決まっていく。
「それにしても、鍵が外れかかっている箱は何がいるんですかね」
 サクラは独りで動く箱を見ている。
「勝手に開きそうですよね、仕方がないですけど」
 ミオレスカは視界にそれは納めて告げる。
「もとはプエルの物だと思うが、行動様式が違うようにもみえる。別の場所でも倒された中にぬいぐるみがいたとはいうが、また別の歪虚や契約者なりいるのではないか? あれで見ているのではないか……と思うのだが」
 ルベーノが疑問を口にした。
「ああ、それはたまたまだと思うわよ」
「そうですね」
 マリィアとミオレスカはイスルダ島の別の調査に同行したとき、羊のぬいぐるみ歪虚と遭遇している。
「あっちのぬいぐるみは経緯からすると、島が歪虚支配地域になる直前から歪虚になった子の側にいて、強くなった感じね。ぬいぐるみの元持ち主だった子によると、小さい子が小脇に抱えられるだけの大きさのぬいぐるみだったらしいわ。私たちが遭遇したぬいぐるみは、その子より大きめだったのよね、それがマテリアルで成長していたし」
「このぬいぐるみたちに関しては、負のマテリアルの影響でたまたま雑魔になって、ちょっと頑張り中という感じでしょうか。頑張るとどうなるのでしょうか……五十センチにも満たないサイズですが……」
 マリィアとミオレスカの解説は現状につながった。
「それにしても羊が大人気よね……べリアル(kz0203)の影響なのでしょうけど」
 マリィアのつぶやきにとことこ歩いていたぬいぐるみが一瞬足を止め、首をかしげる。
「うわあ、可愛い……あ、荷物が動かなければ、箱に食べられていそうだよね」
「間違っていないけれど不思議な状況よね……考えると」
 マリィアの指摘にまよいは「そうだね」と笑う。
「状況もわかったことですし、次どうしますの?」
 ステラは言葉を選んだ。このぬいぐるみ雑魔たちはそれなりに言葉を理解しているし、こちらの動きに敏感だ。マテリアルを持つハンターに問答無用で来ないあたりは賢さがあることを物語っている。
「あの箱も開けておいた方がいいだろうが……集まってるから効率よく倒……いい天気だな、今日は」
 ルベーノは言葉を飲み込み、会話をそらした。「効率よく倒せる」と言おうとした瞬間、何か察したらしいぬいぐるみ雑魔たちがボタンのような目でじっと見つめてきたのだ。
「開けている間に群がられたり、挟まれるのも怖いですね」
 サクラの言葉で羊ぬいぐるみ雑魔は足を止めてハンターをじっと見つめる。言葉の意味から何を考えたのだろうか。
「えっと……あの箱には何が入っているんですか?」
 ミオレスカが問いかけた。
 羊ぬいぐるみ雑魔は突然襲い掛かってきた。殺気など何もないぬいぐるみの攻撃だった。
 もっふ。
「痛っ!? 痛いかもしれません」
 ミオレスカは困惑しつつ、反撃に出たのだった。

●綿が散り、無に還る
 銃弾が当たると、あっさり羊ぬいぐるみ雑魔は無に還る。
 羊のぬいぐるみ雑魔は宝箱に物を突っ込むのをやめ、ハンターと対峙する。
 盾を構えたサクラと通路を確保するためにルベーノがそれぞれ前に出る。
 じわりじわり戦闘態勢に移っていく。
「駄目ですからね、紅葉さん……なんでカードバインダーを構えているんですの」
 ステラは紅葉の利き手を握ることにした。それでも、カードバインダーを持って戦う気満々に見える。
「どちらかというと、終わったら使うと良いスキルしかありませんので、私にはこうするしかありません」
「……そ、そうですのね」
 彼女の動きを注視する必要性を知った。
 羊のぬいぐるみ雑魔たちはとっとこと部屋の外に向かおうとしている。
「そうはさせません。せっかく集まっていただいたのです【制圧射撃】です」
 ミオレスカは魔導拳銃の銃弾にマテリアルを載せて攻撃をする。多量に吐き出された銃弾を避けたり、おろおろしたりと雑魔たちは動きが鈍る。
「これで一気に片付く【ハウンドバレット】」
 マリィアが黄金拳銃で動きが鈍っている雑魔たちに銃弾を叩き込む。
「おとなしく持ち主のところに行け! 【青龍翔咬波】」
 ルベーノが雑魔たちを出来るだけ多く巻き込み攻撃をした。
「意外とすばしっこいんだね。小さいし当たりづらいというのもあるけど」
 まよいは【ダブルキャスト】に【マジックアロー】を載せて魔法を放った。
「あの宝箱がこっちに来る前に狙ったほうがいいですね。【セイクリッドフラシュ】」
 サクラは敵の状況を見て、範囲魔法を使う。光が広がり、敵を飲み込む。
「宝箱が壊れました? それより、これで終わりでしょうか」
 ステラが部屋から出て行く可能性の高い羊ぬいぐるみ雑魔に対し、ナイフを叩き込み様子を見た。
 ここにいるぬいぐるみがすべてかは分からない。ただ、宝箱に餌を与えるようにかなりの数がやってきていた。それらが持っている目的を考えれば、ほぼすべて来ていたのだろう。
「あれはお遊びだったのでしょうか」
 紅葉が首をかしげながら雑魔の行動を分析する。
「宝箱を開けてみるならみるぞ……」
 ルベーノが近づいていく。その背後に盾を構えたサクラがおり、紅葉がそばにつく。
「あまり近づいたら、危険です」
「大丈夫ですよ」
「いや、大丈夫でではないかもしれません」
 サクラは紅葉を止める。ルベーノが意識して、すべての攻撃をかぶる危険だってありうる。
「結構、箱自体は壊れているわよね。雑魔だったら……」
「うん、餌をもらっていたほうの動きが止まっているよ?」
 マリィアとまよいが告げるように、半壊で止まっている。まだ動く可能性が高い。
 銃弾の補充を終えたミオレスカは銃を構えた。
「いつでもいいです」
 ルベーノがそれを合図に、開きかかっていた箱を開けた。
「ぐっ」
 綿があふれ、ルベーノに巻き付く。
「え、ええと?」
「なにかしら、あれ」
 ミオレスカとマリィアがその存在を不思議がる。ルベーノに巻き付いているため、下手に攻撃ができないため、打開策を探している。
 ルベーノはすぐに自力で抜け出した。
「綿? ぬいぐるみの残骸か?」
「キメラっぽいね」
 ルベーノが言う通り、綿である。その上、まよいが言うように生き物ならキメラであろう。綿を中心に顔や足など、先ほど倒した羊のぬいぐるみ雑魔とパーツが同じなのだ。
 ただ、何かあって合体してしまっているが。
「そっちの箱もまだ動く可能性はありますね。なら、これで」
「とどめですわ」
 サクラが【セイクリッドフラッシュ】で攻撃をし、動き始めていた宝箱にステラが攻撃をした。
 さすがにぬいぐるみより丈夫だったらしく、綿の塊や宝箱はまだ動いている。
 その上、宝箱はサクラやルベーノに噛みつきにいく。ぬいぐるみだったモノは蛇のように移動していく。
「逃がしません」
「これで終わりよ」
 ミオレスカとマリィアの攻撃で箱もぬいぐるみだったものも無に還った。
 残ったのは先ほどぬいぐるみ雑魔が入れていった石だけが残ったのだった。

「念のためにやっておきますね」
 紅葉がバインダーを開き符を放つ。その直後、この部屋の空気は澄んだようなだった。
「なんか残っていたら面白いのにと思ったんだけど……残念」
 まよいは石が残っていただけのを見て、あっても消化または雑魔化していたんだと理解した。
「せっかくなら探していない部分の確認で……何かあればラッキーと思いましたが」
「あの調子だとぬいぐるみが運んで宝箱に放り込んでいたかもしれませんね」
 サクラはミオレスカの言葉にうなずいた。それよりも、この遺跡風の神殿跡地に何が残っていたかはわからない。しかし、がれきは転がっていただろうし、何かしらはあったはずだ。
「紅葉は怪我しなかったな? この部屋は特になさそうだな」
「はい、皆さんのおかげで何もありません。皆さんこそ怪我は?」
「この程度何ともない」
 ルベーノ以外も多少怪我をしたものはいるが、かすり傷に近い。
「捜索はどうするかしら? 時間を考えないといけないわよね?」
 マリィアの問いかけに、紅葉がマッピングセットを出す。
「未確認の部屋も調べるということですね、さすがですわ! 雑魔はもういないと思いますが、用心はしておきますわ」
 ステラは苦笑した。
 どこの部屋も鍵があるわけでもなく、中もがらんとしていた。出入りしていたあとがあるため、あの雑魔がうろついていたのだろう。

●外はまぶしい
 縄梯子は羊ぬいぐるみ雑魔に利用されていた推測はあったが、特に問題なく利用できた。
「何事もなく終わってよかったわ……地下空間にいると時間がわからないわね」
 マリィアは太陽の位置がずいぶん下にあるのを見て、判断する。
「いたずらではしごを『落と』されていたら困りましたわ」
 ステラはぞっとする。この近辺に人が来ないわけではないが、見つけてもらうまでが大変だ。
「羊のぬいぐるみは頑張って餌あげていたんだね。それより、男の子の荷物というか、歪虚の荷物って気になる」
 まよいにミオレスカが最期の時を告げる。
「ハンカチとか衛生用品とお菓子類などでした」
「そっか。人間と変わらない感じだよね」
 歪虚になっても根底は変わらなかったのかもしれない。
「……菓子? 歪虚なのに? その歪虚がいた時期を考えると、ここに残っていたとしても腐っているかあの箱が食べていたということですね」
 サクラの推測に、否定は出ない。
「プエルが持っていたぬいぐるみなら、イノアも好みかもしれないな」
 ルベーノがプエルの生前の妹のイノア・クリシスへのプレゼントを考える。
「……それは、ちょっとおやめになった方がいいかもしれませんよ」
 紅葉が告げる。
「なぜなら、ニコラスならいいですが、プエルくんに対しては苛立ちがあるのです。その上、羊はべリアルをほうふつとさせる上、愛らしいぬいぐるみとなると二重の衝撃なのです」
 紅葉が真剣に告げた。
「俺の考えが間違っているのか?」
「……間違ってはいないとは思うのですわ。状況とイノアさんという方の年齢と性格にもよりますわ。紅葉さんの言葉からすると、可愛くても避けた方がいいようですわね」
 ルベーノに妹という立場であるステラが告げる。ステラは自分に置き換えて考えてみるより、紅葉の見立てから推測をした。
「難しいな」
「難しいですね」
 ルベーノに紅葉がうなずいた。

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MVP一覧

  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリードka2598
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカka3496

重体一覧

参加者一覧

  • 冷静射手
    ステラ・フォーク(ka0808
    人間(蒼)|12才|女性|霊闘士
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談
ステラ・フォーク(ka0808
人間(リアルブルー)|12才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/06/12 20:51:13
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/06/11 00:35:35