• 羽冠

【羽冠】過去への伝令

マスター:馬車猪

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/06/29 19:00
完成日
2018/07/04 20:07

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 イスルダ島。
 島ではあるが広大であり、陥落の際には多くの人々が島外に逃れられず命を落とした。
 極めて不愉快なことではあるが、命を落とすだけで済んだのなら不幸中の幸いだ。
 歪虚に冒され、歪虚と化し、人間としての悲嘆と歪虚としての憎悪を抱えたまま彷徨う者も大勢いるのだ。

●伝令
「聞け」
 腹の底まで響く声が発せられる。
「システィーナ殿下が登極を決断された」
 伝令としてはあまりにもお粗末だ。
 儀礼はダース単位で無視されている。ここが王宮なら牢屋に叩き込まれても文句は言えない。
「お」
「おぉ」
 かつて騎士であった亡者が涙を流す。
 無造作な発言に込められた真摯な敬意も、声から感じられる力も、発言者の左右を固める若き戦士達も、全て王国の健在を証明している。
 敗北し恥辱に塗れた己が幸福の中で死ねる。
 そんな安堵の思いが、時間経過とともに薄れて困惑に変わった。
 騎士は何も言わず、否、何も考えずぼうっと立っている。
「メーガンさん、一騎打ちしたり自害を促したりするんじゃないんですかっ」
 若者が必死の表情で囁いている。
「私は剣が苦手だ。助祭殿が浄化してくれると思っていたのだが」
 伝令を終えた王国騎士は、本来のポンコツっぷりを表に出してしていた。
「そんな都合のいい法術はありませんっ」
 高位のハンターなら可能な気もするがここにいる面々……新米助祭と生存能力特化の騎士では不可能である。
 今の騎士と若者達を、王国を支える存在と認識するのは不可能だった。
「我らを」
「謀ったのか」
 亡者騎士が怒りの涙を流し、ひびだらけの大剣を振り上げた。

●病室
「その後防戦しながら後退した」
「この人、おっきな剣を盾として使うのだけは巧いんですよ。攻撃は全然ですけど」
「褒めるな」
「褒めてねぇよ! 顔合わせの時の憧れを返せよぉっ!」
 本気で照れる女騎士に、十代前半の助祭が青筋を立てて抗議する。
「騎士風の歪虚が冷静になって追いかけるの止めたから助かりましたけどね。あのままじゃほんと危なかったんですよ!」
 歪虚が足を止めなければ、助祭4人を逃がすのと引き替えに命を落としていたはずだ。
 だから余計に腹が立つ。
 大人として、騎士として格好よくあって欲しいのだ。
「ああ、次はうまくやる。こう見えても反省は得意だ」
 見舞いに来た上司が、胃の上を抑えて顔を青くしていた。

●ハンターオフィス
「種類は戦闘依頼になります」
 オフィス職員はわずかに困惑し、司書パルムは普段より多い情報を纏めるのに苦労している。
「目的地はイスルダ島です」
 地形が立体的に表示される。
 浄化済の領域は増えているが、歪虚の数も汚染された土地もまだまだ多い。
「現地で歪虚化した騎士や聖堂戦士を討伐してください。手段は問いません、が」
 騎士をデフォルメした3頭身と、聖堂戦士をデフォルメした3頭身が地図に重ね合わされる。
 それぞれ数カ所あり、1度の依頼で処理できる数には見えない。
「出来れば王国の現状を伝えてから倒して欲しい、というのが依頼者からの要望です」
 王国政府と貴族と聖堂教会からの共同依頼である。
「ハンターが担当しない箇所には王国の兵力が派遣されます。出来れば数が多い箇所を担当して欲しいとのことで」
 歪虚の数は1箇所につき2体から6体。
 数が多い集団の方が個々の歪虚も強いらしく、2線級の騎士や聖堂戦士ではいくら数がいても6体に勝てない。
「安全第一で全く問題ありません。もちろん、腕に自信があるなら1人で6体と戦っても構いませんが」
 その場合、口上を述べたり、あるいは説得したりする難易度が急上昇するかもしれない。
「いずれにせよ安全第一でお願いします。犠牲者を悼む気持ちは私にもありますが、既に人間として亡くなった方のために新たな犠牲者を出すわけにはいきませんので」
 戦闘依頼であり、伝令依頼であり、鎮魂の依頼でもあった。

リプレイ本文

●朽ちた聖導士
 歪虚に冒され肉は腐り落ちた。
 屈強な聖堂戦士であった頃の記憶は薄れて思い出せず、今は錆びた装備と骨しか残っていない。
 そんな武装スケルトンが心底困惑しきっていた。
「わふっ? わふー、お兄さんたち、やーな感じしないです」
 耳がぴこぴこ動いている。
 手足も一見落ち着きのない動きだが、よく見てみると完全に制御されていて底知れない武威を力を感じさせる。
「でも、お友達になるのはだめです?」
 歪虚として自然に沸き起こる殺意を向けても、アルマ・A・エインズワース(ka4901)は怯えも怒りも感じていないようだ。
 馬鹿には見えないが大人物とも断言できない、元聖堂戦士6人の理解を超えたエルフであった。
「ハンターズソサエティー経由で、グラズヘイム王国および聖堂教会から依頼をうけて参りました。ドラグーンのユウと申します」
 ユウ(ka6891)は龍園戦士としての挨拶を行う。
 アルマも直前までの態度からは想像し辛い優雅な一礼を行った。
 6体の歪虚の気配が和らぐ。
 盾とメイスが構え直される。
 体格は異なるのに向きは完全に一致しており、生前身につけた技術の高さが感じられた。
 自然と戦意が沸き上がり、人生最後の戦いに向け一歩足を踏み出そうとした。
「わふ! 戦う前にお話聞いてほしいですっ」
 絶妙のタイミングで戦意を逸らすアルマ。
 元聖堂戦士の6体はたたらを踏んでしまい、空洞の眼窩から恨めしげな視線を向ける。
「それでね、王女様がね」
 ステージが始まった。
 話の内容はあっちにいったりこっちにいったりで、説得でも演説でもなく子供の自慢話だ。
「僕は王国の子じゃないですけど、王女様の近くでみてたですっ」
 無邪気な犬の尻尾のごとくエルフ耳が上下する。
 白い肌は淡く色づき妙の色気を感じさせる。
「わふー。女王様になったら、もう大丈夫です! 僕ら、ちゃんと味方ですー。マーロウさんもお力になってくれる感じですっ」
 スケルトンがお互いを見て小首を傾げた。
 戦闘を仕掛けるなら絶好の機会だが、アルマもユウも礼を尽くしてその場を動かない。
 その間もアルマの表情と舌はますます滑らかになっていく。
「どーぞです!」
 硬い地面に書き込める程度の尖った杖を、尖った側を手元にしてスケルトンに渡す。
 貴族として王国以外にも守るべきものが多いマーロウ大公が全面協力というのはおかしいのではないか。
 君、悪い貴族に騙されているのでは?
 そんな感じの疑問が書き込まれた。
「嘘言ってる感じじゃなかったですよ? 僕みたいな他国の住人から見ても大丈夫な感じでした!」
 頭蓋骨が同じタイミングで向きを変える。
 元聖堂戦士の問いかけに、ユウは無言でうなずいた。
 知り合いの司祭も政治環境の激変に大慌てしていたので大公関連の変化は上辺だけでないのが確実だ。
 なお、一連のやりとりにアルマは気付いているが全く気にしていない。
「それでももし何かあったら、僕らハンターにお任せくださいですっ!」
 気配が漏れる。
 天然道化の中にある、無邪気の別側面である狂気の殺意がほんのわずかに漏れ歪虚を緊張させる。
「皆さん、もうゆっくりおやすみしていいとおもうですー」
 気配が漏れたのは一瞬だけだ。
 だがその一瞬だけで、アルマに対する侮りは消え去った。
「大事だったものを傷つけるってすっごく苦しいの、僕知ってるですよ。自分でいなくなること以上に」
 目を伏せて息を吐く。
 筆記具である杖は動かないが、スケルトンが同意していることは見ないでも感じられた。
 アルマがひとつ咳払い。
 言いにくそうに1分以上時間をかけた後、耳をしょんぼりさせて口を開く。
「あんまり気が乗らないです」
 手持ちの術では土地の浄化はできても既存の歪虚の浄化はできない。
 骨だけの手が杖をアルマに返し、6つのメイスが同時に構え直された。
「皆さんに見てもらいましょう」
 ユウが剣を鞘から抜く
 紅の刃が薄青いマテリアルで覆われ、大気に満ちた負マテリアルを退ける。
「仕方ない……ですよねぇ!」
 アルマが覚醒。
 瞳は紅く、牙は鋭く、揺れる黒衣は高位の吸血鬼の如く。
 錬金杖を起点に放たれた蒼い光が、分厚い盾と鎧を貫きスケルトンの核を砕いた。
 1つの蒼光が宙に逸れ、1つの歪虚が消滅し、辛うじて生き延びた1体に負マテリアルが流れ込む。
 生前死人すら蘇らせると評された治癒術でも全快には全く足りなかった。
 スケルトンのメイスの動きは、ユウにとっては見慣れたものだ。
 天才的な技もなく、圧倒的な身体能力もなく、平均的な才の持ち主が積み上げ手に入れた戦闘術。
 無傷のスケルトン3体が、見慣れた動きのまま数割速くかつ重い打撃をユウに振り下ろす。
「そういうつもりですか」
 強力な歪虚の割に敵意と殺意が薄い。
 研ぎ澄まされた戦意と、悪意を以て解釈すれば甘えと解釈可能な共感が籠もった1撃だ。
「お相手します」
 ユウは受け止めることにした。
 戦士として受け止めるということであり、剣で受け止める訳ではない。
 鍛え抜かれた心身が加速する。
 敵としてみれば恐ろしいほど嫌らしい3つのメイスを足さばきで躱し、左に避けつつ左端のスケルトンに魔導剣を突き立てる。
 一度しか振るっていないよう見えるのに、盾の端に2箇所強烈な火花が散った。
「3、3ね」
 アルマの宣言。2班に分かれたスケルトンが、それぞれ1人のハンターしか意識しなくなる。
 ハンター2人も背中から攻めず真正面から迎え撃つ。
「これが完成形ですか」
 重く速く固い。
 ホロウレイド前後であれば単身で歪虚1隊と渡り合えたであろう強さだ。
 だが、歪虚王すら戦場に現れる時代にこれでは全く足りない。
 深紅の装束がゆらりと揺れた。
 地面すれすれと飛ぶように駆け、純白の龍角を持つドラグーンが鋭角に進路を変える。
 歪虚は気付いていても反応が間に合わない。
 スティレットに近いナイフが盾と回避技術をすり抜け、優れた技と覚醒者の腕力で以て鎧を貫きその下の骨を砕く。
 中破したスケルトンが盾とメイスで守りを固めて負マテリアルを集める。
 他の2体はユウの左右から積極的に仕掛けることで時間稼ぎとあわよくばメイスによる一撃を狙う。
 ユウは速い。
 スキル無しでも常人の倍ほど速いし、しかも今はスキルで加速中。
 もちろん百戦で錬磨された技をその速度で使用可能だ。
 一度下がって大回りして回復術使用直後のスケルトンの真後ろへ。
 歪虚は急旋回して盾で守りを固めようとするが、ユウが予測した場所に守りの隙があった。
「あの人も同じ癖です」
 魔導剣に持ち替え2たび刺す。
 1度目は背中装甲に凹みをつくり、2度目は壊れたパーツの隙間から中に入って肋骨も背骨もまとめて両断する。
 崩れ落ちていく頭蓋骨に、満足の笑みが確かに浮かんでいた。
 スケルトンの生前基準で頼りないほど細く見えてもユウの体力は底なしだ。
 手数を維持したまま回避も継続。
 まぐれで被弾することはあるが、それと同程度の頻度で装甲のない箇所へ魔導剣が当たる。
 破顔した頭蓋が砕ける。
 最後に残ったスケルトンが腕を下ろ防御を解く。
「死して歪虚に侵されてもなお王国を想う貴方達に敬意を。どうか安らかに」
 介錯は、静かに行われた。

●女王の肖像
「待て」
 ボルディア・コンフラムス(ka0796)が封書を開封しようとすると、歪虚が慌てた様子で声をかけてきた。
「服装を改める。時間が欲しい」
 体温を一切感じさせない分厚い全身鎧が4体、互いの体をはたいて可能な限り汚れをとる。
 力は非常に強く、しかし強くはたかれても体の軸はぶれない。
 生前の技がそのまま残っていた。
「お待たせした。続けてくれ」
「おう、最初っからでいいか?」
「感謝する」
 ハンターと歪虚が交わす会話としては平和すぎるが、両者とも大真面目だ。
「写真を預かって来たぜ」
 全身鎧が勅使に対する礼をとる。
 大柄な体より大きな大剣4本が、一斉に重々しい音をたてる。
「女王システィーナの写真だ。お前等が最後に見た時は、まだ小さかったろ? 今じゃこんなデカくなったんだぜ」
 額縁サイズの封筒から、同じく額縁サイズの写真が取り出される。
 幼さは抜けたが熟れるには遠すぎる、可憐な女性が緊張顔で玉座に座っていた。
「おぉ」
「お懐かしい」
「もう思い残すことなどない」
 熱い感情が弾ける。
 騎士歪虚の強さを支えていた激情が薄れ、人格と共に力も揮発していく。
「ベリアルの再侵攻、メフィストの王国テロ……国難は数多くあった」
 感慨深くボルディアがつぶやくと、元騎士が馳せ参じられない我が身を嘆く。
「が、システィーナはあの小さい体で、迷いながらも逃げずに立ち向かった。王国の未来を背負い、導くと決めたんだ」
「うむ……うん?」
 元騎士が小首を傾げた。
「王配を得られたのではないのか?」
「貴様、殿下の私生活に文句を付けるつもりか!」
「まあ確かに、その、あまりそういう気配を感じる絵ではないが」
 言い合う様子は、歪虚でも騎士でもなく可愛がっていた姪っ子を心配する野郎共のようだ。
「写真は他にもあるぜー。戴冠式のはセキュリティーとか色々あって持ち出せなかったけどよ」
 気楽な態度で全ての写真を渡す。
 今奇襲されたらボルディアでも深手は免れないはずだが、そんなことにはならないという確信がある。
「良かった。システィーナ様は健やかに育ったのだな」
 即位宣言の後で撮られた写真のようで、少し気が抜けた感じの笑みをこちらへ向けている。
 ハンターとの面会場面の写真だった。
 写真をめくる。
 執務室で大司教から説明を受けているのは生徒と教師にしか見えないが、周囲の高官が誰に敬意を捧げているのを見れば主従を勘違いすることはあり得ない。
「確かにただの少女では持ち得ない迫力があるな」
「アレクシウス様のご息女にして唯一の直系だぞ当然だろうがっ」
「何をっ!? 血だけで大人物になれる訳がなかろう! システィーナ様が自身を磨かれた結果よ!」
 兜の奥に強烈な光を浮かべて歪虚同士がにらみ合う。
 兜をぶつけ合うようにして火花を散らし、無意識に大剣に手が伸びる。
 すっかり感情が回復していた。
「王国の人間はこういうのばかりかよ。一皮剥けば血の気が多いなお前等」
「鎧を脱げば肉すらないがなっ」
 ボルディアの本音混じりの冗談に、元騎士達も冗談を返して一斉に笑った。
「もう、いいか?」
 ボルディアが魔斧を片手で構える。
 鎧の歪虚達は丁寧な手つきで写真を封筒へ戻し、それぞれの得物を己の足下へ突き立てた。
「頼む」
「我々自身では始末をつけられないようでな」
 刃が一閃する。
 反射的な防御行動も意思で押さえつけた4体を破壊する。
 ボルディアは鎧の残骸の中から紋章が刻まれたパーツを拾い上げる。
 遺族に渡すまで、依頼は終わらない。

●女と鋼鉄侍女
 騎兵銃による狙撃が、肌に垂直に命中した。
 並の鋼より固く柔軟な皮が破れて青い体液と肉が飛び散る。
「このっ」
 負マテリアルが傷口に集中する。
 その頑丈さ故に回復には膨大な手間暇がかかるはずなのに、生前の技術を正負反転された術により再生が一瞬で完了する。
「フルリカバリーを使える貴女方は本物の聖導士です」
 人間よりも人間らしく、それよりもメイドらしいオートマトンが熟練の手つきで再装填を完了。
 銃口を真横に向け引き金を引き、奇襲するつもりだったもう1体の頬に当てる。
「その貴女方は今どこにいらっしゃいますか? 空中でしょう? 聖導士は飛べません。飛べる聖導士は歪虚になった聖導士だけです!」
「好きで歪虚になったと思ってるのっ」
「私この子嫌い!」
 歪虚化した女性聖堂戦士は、美人では無いが表情も所作も綺麗に制御されていてなかなかに好印象だった。
 しかし生者への殺意と女としての対抗心が男性お断りの表情にさせている。
「潰れなさい!」
 急降下しての負属性セイクリッドフラッシュがフィロ(ka6966)を2方向から包む。
 面での攻撃は非常に回避しづらく、衝撃が体を突き抜け乾いた地面へ足が2センチ沈む。
「遠慮します」
 セイクリッドフラッシュは強いが短射程だ。
 フィロはダメージを感じさせない足取りで近づき、拳をボディースーツにも見える腹に叩き込んだ。
「この程度っ……発動しない?」
 腕で受けたはずなのにダメージがそのまま通っている。
 慌てて負属性フルリカバリーを使おうとして、負マテリアルが集まらないのに気付く。
「話を聞いていただけるでしょうか」
 もう1体にもグローブ付きの拳がめり込み術が封じられる。
 どうやら飛行能力もスキルの属するものだったらしく、自らの意思によらず地面に落ちた2人は怯えた顔でこくこくうなずいた。
「大変結構。こんにちは、私はフィロと申します。可能ならば聖堂戦士さまたちとお話しできればうれしいです」
 王宮に出仕しても恥ずかしくない礼をする。
 生前戦いに生きていた2人は圧倒されて腰が退けている。
 フィロは平然として、自分がうけた依頼について説明を始めた。
「ええ、王国は王女様とマーロウ公が和解したそうです。王女さまの登極表明を受けマーロウ公が引退を表明、王女さまとマーロウ公のお孫様の結婚の撤回となったそうです」
 ホロウレイド以後の全てを語ると時間がかかりすぎるので可能な範囲で省略している。
「このイスルダ島でも王国の民の再入植が始まりました。皆様の努力のお陰です。私たちは貴女達がイスルダ島の、王国のために戦って下さったことを忘れません」
 一歩横へ。
 埃避けを取り去り、瑞々しい生花の花篭を2つ取り上げる。
「感謝の気持ちを、ここに」
 2人の所属部隊の生き残りと、恩師からのメッセージカードと、それ以外の戦没者に対するメッセージカードも添えられていた。
「貴女方のお名前と、どなたかに伝えたい言葉があれば伝えさせていただきます」
 完璧な礼をする。
 既にソードブレイカーの効果から脱した元聖堂戦士2人は、戦士としても負け女としても惨敗した気がして情け無い顔になる。
 少なくとも、殺意と敵意は完全に消えていた。
「畜生、こんな最期か」
「ごめん別に怒っている訳じゃ無いのよ。こいつ昔からひねくれ者なの」
「1人良い子のふりすんなこの同類が。……ペンある? ありがと」
 穏やかな顔こそしているが苦しげだ。
 歪虚の本能を抑えるのも大変らしい。
 フィロは感謝の言葉と名前が2人分書かれたカードを受け取り、恭しいとすらいえる手つきで保管する。
 介錯が行われた後も、2つの籠が乾いた大地に残っていた。

●騎士
「以上だ」
 30直前の平騎士の説明は、控えめに表現して分かりにくかった。
「ありがとよ。騎士4人相手に、全員帰還させたメーガン殿は立派な騎士だと思うぜ?」
 セルゲン(ka6612)が真摯に言ってもなんとなく半分も通じていない気がする。
「気落ちすんな、っつかしてねぇのか。逞しいな! 作戦を立てるのに協力してくれ!」
 騎士歪虚4体追い詰められても眉一つ動かなかった女騎士が、絶望的な顔で冷や汗を浮かべた。
 数時間後。
 イスルダ島の中心部近くを戦馬が駆けていた。
「おう、聞こえるか!」
 戦馬を駆けさせ歪虚の進路を塞ぐ。
 歪虚の装備は王国騎士のものに似てはいるが、膨大な怨念が染みつき魔物にしか見えない。
「何者だ」
 誰何の声は錆び付き乾ききっている。
 錆びて壊れる寸前のオルゴールを連想させる。
「俺はセルゲン、王国騎士団の黒所属だ」
 額の2本の角のうち左は半ばで欠け、髪は白と墨色の斑、瞳は縦長の瞳孔を持つ金眼。
 全身鎧を着込んでも重さを感じさせない身のこなしは王国騎士に相応しいとはいえ、どこから見ても異国出身の異種族だった。
「システィーナ殿下が戴冠されたのを伝えに来た。おっともう陛下かすまねぇ」
 メーガンのことを笑えねぇなと考えながら、堂々と胸を張り額の角を見せつける。
「黒?」
「シス……誰……姫?」
 所々錆の浮いた大剣が、ゆるゆる動いて切っ先がセルゲンに近づいていく。
 セルゲンが大刀を抜く。
 ただし攻めの構えでは無く、防御に向いた得物で徹底的に受ける構えだ。
「分からないなら分かるまで付き合ってやる」
 大刀は3メートルを超しているのに揺れすらしない。
 殺意のない純粋な戦意に、つられるようにして歪虚騎士が大剣と共に突っ込んだ。
「国の行く末も見られず果てたのは、さぞ無念だと思う」
 的確な読みと足捌きで大剣を寄せ付けない。
 たまに当たりかけても無理なく受け流す。
「でも陛下は若いながらに懸命に国を守ろうと、強く変わろうとなさってる」
 大刀と大剣が火花を散らしてセルゲンと歪虚の兜を照らす。
「勿論国自体も。鬼の俺が騎士なのが証拠だろ」
 火花に混じった鋼の欠片が頬にめり込む。
 しかし常時発動中の再生術が鋼を押しだし傷口を塞ぐ。
「いい戴冠式だったぜ」
 どんな理屈にもケチをつけることは可能だ。
 人々の日常を守ると戴冠の場で宣言した女王と彼女に従う者達を見下すのは、かなりの悪意がないと無理だろうが。
「……」
 威圧感が薄れていく。
 微かに残っていた人の要素が薄れ、人格と経験によって再現されていた剣技も消えていく。
「そうかよ」
 セルゲンは腹立たしげに舌打ちする。
 大剣が止まる。
 感謝を示すように掲げられる。
 そして、歪虚騎士ではなくただの歪虚がその場に残った。
「てめぇらに用はねぇ」
 大地を揺らす。
 2対1での斬り合いならセルゲンと拮抗できたはずの歪虚が、抵抗に失敗し一歩も動けなくなる。
 霊闘士の奥義であった。
「いくらでも抵抗しろ。無駄だがな」
 双方足を止めた戦いで得物の長さが2メートル違うと、長い側が一方的に攻める展開になる。
 卑怯では無い。その状況に追い込めるのも実力のうちだ。
「遺品は返して貰うぜ」
 装甲を貫き内部の負マテリアルをかき乱す。
 蹂躙はしばし続き、歪虚の消滅と引き替えに騎士2人分の装備が残る。
「帰るぞ」
 剣と鎧を頑丈な袋に入れ、王国への長い道を進むのだった。

●戦士
「それでは我は歪虚化聖堂戦士の所へ向かうとしよう。我はこの中では最弱ゆえちょうど良かろう」
 その言葉が謙遜か冗談か判断できず黙っているメーガンを放置して、ユーレン(ka6859)は地図に従い駿馬を駆けさせた。
 イスルダ島は歪虚から取り替えされたばかりだ。
 荒れ人の気配はなくもの寂しい。
 けれど、鬼という種がさまよっていた場所よりはましだ。
 ダメージを受けてもまだ肥えているこの豊かな土が、グラズヘイム王国の力の源泉の1つだった。
「温いな」
 蔑みではなく単なる事実の指摘だ。
 故郷とは違うものが多すぎるため、ときに倦怠感を覚えてしまうことがあった。
 無人の野に小さな光を見つける。
 一部が壊れた鎧に太陽の光が反射している。
 ユーレンは全長1と半メートルある八角棍を片手だけで構える。
 無言のまま馬を走らせ、あっという間に近づいた武装スケルトンに振り下ろした。
 盾が受け止める。
 元は聖導士だった骨が盾で巧みに衝撃を逃がし、もう1体の骨がメイスでユーレンの脇腹を打つ。
 薄らとした光に覆われたアダマス鉱製全身鎧はびくともしない。
「その程度か」
 マテリアルを込めて鉄製棍を打ち下ろす。
 分厚い盾とまだ機能を残している鎧に邪魔され浅い傷しか与えられない。
 だがそれは敵も同じだ。
 八角棍が高速で引き戻されて、ただ正確な動きをするだけのメイスを弾く。
 ユーレンはプロテクションをかけ直しながら攻防を続ける。
 1対1ならぎりぎりで勝てる。
 しかし1対2では圧倒的に不利で、確実な受けと分厚い装甲で防いでも敗北は時間の問題だった。
「ふん」
 ユーレンが下がる。
 徒歩と馬の圧倒的な速度差を活かして距離を取り、癒やしの術で我が身を回復させてから、追って来たスケルトン2体にへ悠々と近づき得物で打ち据える。
「どこまで耐えられるか試してやろう」
 打って打たれて躱す。
 ときに躱され、躱し、また打って防がれる。
 凄まじく地味な戦いだ。
 そして、骨がきしむ命がけの闘争だった。
 骸骨にひびが入り破片が横へ飛び散る。
 慌てたもう1体が癒やしの術を行使する。
 極めて高度な術であり、よほど鍛えていないと2度も使えばそれ以上行使できなくなる。
「2度目か」
 自身の血でまみれたユーレンが歯を見せて笑う。
 敵は2度使用し、仮にもう1体が使えたとしても残り2回。
 ユーレンはフルリカバリーを3度使い後2回使用可能で、ヒールは全て温存していた。
「3度目。メイスが鈍っているぞ。今更死を恐れるか?」
 傷ついた骨が再生する。
 ユーレンは躊躇せずに下がっては癒してまた舞い戻る。
 体力的には疲れないスケルトン並の強靱さで攻撃を続行。
 再び重傷一歩手前になるのと引き替えに最後の負属性治癒術を使わせる。
「4度目。……情けない」
 武装スケルトンの腰が退け、撤退する機会を伺っているように見えた。
「未だ勝ち目はあるのに逃げるか」
 急所に連続で当たればその時点で勝負がつく。
 極小だが確率は0ではないのに、戦闘開始直後の鋭さはメイスから消えている。
「それもよかろう」
 打って、打って、受けて、打つ。
 メイスを取り落としそのまま背を向けたスケルトンの背骨を、背後から鉄の紺で打ち砕く。
「喜べ。お前達の後輩の方が根性はあるようだぞ」
 残り1体も、ユーレンの不屈の闘志と堅実な技術と戦法により討ち果たされるのだった。

●王国の明日
 他の全てが同じでも、人が変われば展開は変わる。
「納得してはもらえないか」
「騙すのも武略だ。貴公が真実ヴォイドと戦い続けているなら騙す機会も騙される機会もあったはずだ」
 硬い声がロニ・カルディス(ka0551)を拒絶する。
 隠すもののない派手な体型と結びつけるのが難しいほどに、声も心も冷え切っていた。
「そうか」
 ひとまず引き下がる。
 ボルディアの写真の複製を回収し、傷つけないように封筒へ戻す。
 女王陛下の生写真なので扱いには注意が必要だった。
「改めて挨拶しよう。私は王国騎士団『黒の隊』所属の騎士アルト・ヴァレンティーニ」
 アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は飛び抜けて体格が良いわけでも、魔剣や聖剣を装備しているわけでもない。
 圧倒的な武威がアルトに説得力を与え、同時に元騎士と元聖導士を強く警戒させている。
「アレクシウス先王の遺したシスティーナ王女が“光”に誓い、民の日常を守るため為、必ずや歪虚を討ち滅ぼさんとの決意を持ち女王へと即位した」
 演説や説法を仕事にしている政治家や聖職者と比べると、発音にも言葉選びにも甘い部分がある。
 だが説得力は凄まじい。
 対歪虚戦線で膨大な戦果をあげ、実力と実績で騎士位を得たのだから当然だが。
「犠牲を嘆くばかりでなく、過去に感謝し、未来へ進む。黒の騎士達を叙任なされた時の陛下の言葉だ」
 アルトも最初から強かった訳では無い。
 王国に限らず、対歪虚戦で倒れた者が稼いだ時間や守ったリソースがあったから強くなる機会を得られたのも事実だ。
「その想いで新設された黒の隊所属騎士として……貴方達が後の世代を護り抜いたのだと、後を託し憂いなく眠れるよう、今の騎士の力を示し見てもらうため、私は此処へと来た」
 歪虚6体の隊長格を真正面から見つめ合う。
 両者無言のまま鞘から刃を引き抜き、切っ先が触れあう寸前でぴたりと止まった。
「凄い」
「騎士って青が弱くて黒が強いんですね」
 助祭達がきらきらした目で好き勝手なコメントをする。
 14にもなっていないのだから仕方が無いと言えば仕方が無いのだが、本人達は小声のつもりでも目立っていた。
「それは誤解だ。個人差だぞ」
「あ、ごめんなさいロニ先生。ほら全員整列」
 顔見知りの1人が小声で号令をかけて助祭全員を整列させた。
「すまないな」
 アルトが謝罪する。
 顔の見えない元騎士から動揺が感じられる。
 何かを言おうとしているのに、歪虚の本能に邪魔されているわけではなく混乱して言葉にならない印象だ。
「此度の戦いで何かを感じて欲しいと思い連れてきた故、手を出さぬよう願えぬだろうか?」
「構わない」
 答えが返ってくるまで時間がかかり、切っ先も微かに震え始める。
 よく見て己の糧にするように助祭達へ一言声をかけてから、アルトはこの場で初めて本気を出した。
「始めよう」
 先の先をとることもできるが敢えて初動を遅らせる。
 分厚い大剣により防御が間に合い、剛刀「大輪一文字」の切っ先が大剣の先端部を斬り飛ばして勢いが弱まる。
「お前達は手を出すな」
 元騎士から笑い声がこぼれた。
 これほどの力の持ち主が古巣の後輩になったのは実に喜ばしい。
 それ以上に嬉しいのは、若すぎる助祭達がよく鍛えられていることだ。
 逞しい筋骨も、敵地に乗り込む度胸も、使い捨ての駒には持ち得ないものだ。
「私の戦いだ」
 全力以上を出しても勝ち目のない戦いへ、実に機嫌良く突撃していった。
「先生先生」
 懲りずに話しかけてくる助祭に、ロニは視線を向けることすらしない。
「歪虚と一騎打ちとかしていいのでしょうか」
 すごくわくわくしていて許可があり次第自分から名乗りをあげそうだ。
「非常に特殊な状況だ。滅多にあるものではない」
 ロニが向きを変える。
 いつの間にか歪虚化騎士3体と歪虚化聖導士2体が近づいている。
 最初ほどの理性を感じない。
 隊長が戦いに没頭してしまった結果、理性と記憶が薄れてただの歪虚に近くなってしまっていた。
「できれば避けたかったが」
 溜息を吐く。
 準備だけはしていた法術を、万全の集中のもと行使する。
「え」
「私は、何を」
 レクイエムだ。
 助祭達にとってはいつかは歌えるようになりたい良い曲であり良い術だった。
 歪虚にとっては負の生命力をかき乱し戦闘能力を激減させる凶悪な攻撃になる。
 アルトと一騎打ちを成立させる程度には強い歪虚はなんとか耐えたが、元平騎士も元平戦士も動きが乱れに乱れる。
「今、子供を狙おうとしたな」
「年齢は子供でも一人前です!」
 合いの手は非常に子供っぽいが戦闘に関しては問題がない。
 いつ歪虚に襲われても回避も防御も実行可能な心身の状態を保っている。
「少し黙っておきなさい」
「はい! あっ」
 ロニの口元が緩む。
 歪虚全員に微かな笑みが浮かぶ。
 そして、ロニの足下の陰から数十の刀剣と槍が突き出され、撃ち出された。
 それはあまりにも無残な光景だった。
 レクイエムの影響下では防ぐのも躱すのも困難。
 暗い色のマテリアルでできた武器が、全身鎧の元騎士と柔らかな曲線を持つ元女性聖導士に何度もぶつかり砕け、最後に2~3本刺さってようやく止まる。
 刺さった武器は消えても空間に縫い付けられたかのように動けない。
 腐った血を思わせる負マテリアルが、砕けた鎧や傷口からどろりと零れた。
 元人間達が完全に理性を取り戻す。
 しかし戦闘が始まっている今、歪虚としての本能を抑えられないことも分かってしまう。
「1対5では手加減する余裕もないのでな」
 法術に呪縛された歪虚に、ロニの淡々とした顔が静かに届く。
「かつて王国のために尽くしてきた者たちだ。せめて」
 相手の目を見て一瞬言葉が止まる。
「よかろう、このまま送ってやる」
 シャドウブリットが元聖堂戦士の胸を撃ち抜く。
 生前の顔と表情のまま、静かに目を閉じ崩れ落ちる。
 大剣が地面に突き刺され、全身鎧が懺悔するかのように跪く。
 助祭が唾を飲み込む。
 厳かでもある。恐ろしくもある。悲しくもある。
 人生経験の浅い彼等は今何を感じているか言葉にすることもできず、自分達が涙を流していることにも気付けない。
「いずれ光のもとで」
 最後の一撃が、分厚い鎧の反対側にも小さな穴を開けた。
 一騎打ちも終盤だ。
 大剣は鈍器と化し鎧は砕けて中身の闇が見えている。
 無残な有様なのに、彼は人生最高の気分だった。
「逝けたか。ふふ、しかし貴公が最強だと思っていたのだがな」
「力には無数の種類がある。武以外にもな。からかうなら子供相手にしておけ」
 呆れの視線より速く剣閃が2つ闇に突き刺さる。
 奇妙な暖かみのある闇が華の形に拡散していく。
 最後に届いたアルトの声は、いつもより穏やかなものだ。
「ああ、昔は、冗談が、好きだった」
 既に騎士は現実を見ていない。
 ホロウレイド以前の、家族も仲間も生きていた頃を思い出し囚われている。
「あ、あの」
「ありがとうございます!」
「なんだか分からないけど、私、あのっ」
 アルトが連れてきた子供達の声が聞こえる。
 あれ以上王国が追い詰められれば飢えて死ぬしかなかった幼子が、たっぷりの食事と多くの師に恵まれこの場に辿り着いている。
 最後の瞬間、騎士の目が現実を映す。
「淑女に涙は似合いませんよ」
 気障な言葉を残し、先に逝った仲間と家族の元へ旅立った。

「長い報告書になりそうだ」
 アルトは得物を鞘に収めて息を吐く。
 歪虚の気配はどこにもなく、イスルダ島に初夏の風が吹いていた。

依頼結果

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  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニka3109

重体一覧

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 半折れ角
    セルゲン(ka6612
    鬼|24才|男性|霊闘士
  • 黒鉱鎧の守護僧
    ユーレン(ka6859
    鬼|26才|女性|聖導士
  • 無垢なる守護者
    ユウ(ka6891
    ドラグーン|21才|女性|疾影士
  • ルル大学防諜部門長
    フィロ(ka6966
    オートマトン|24才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン メーガンに質問
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/06/29 11:28:24
アイコン 相談場所
セルゲン(ka6612
鬼|24才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/06/29 16:30:49
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/06/27 22:08:06