ゲスト
(ka0000)
【MN】我らユグディラ王国騎士団
マスター:真太郎
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/08/10 12:00
- 完成日
- 2018/08/14 19:50
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ある所にユグディラ達が暮らしておりました。
ユグディラ達は、狩りをしたり、作物を育てたり、人間に甘えたりしながら自由気ままな生活を送っています。
そんなある日、1匹のユグディラがこんな事を言い出しました。
『王国を作ろう』
『なにそれ、面白そー♪』
『いいねいいね~』
反対する子はいませんでした。
『じゃあワシが王様~』
『えーボクも王様やりたーい』
『ダメじゃ。ワシが言い出したんだからワシが王様じゃ』
『じゃあ私お姫様ー』
『オレ大臣!』
『ボク騎士団長!』
役職も次々と決まっていきます。
『よーし、ユグディラ王国建国だー!』
『おぉー!』
こうしてユグディラ王国は誕生しました。
ユグディラ達は、狩りをしたり、作物を育てたり、人間に甘えたりしながら。
暇があれば集まって何か王国っぽい事をして遊んでいました。
そして王国建国から数ヶ月後、事件が起きます。
王女様(自称)は人間の町に出かけました。
『ごろにゃ~ん♪』
そして人間達に愛嬌を振りまきます。
「キャー! 可愛い~♪」
真っ白な長毛種の王女様はとても綺麗で愛らしいため、人間達の人気者。
なでなでしてくれたり、運がよければご飯もくれます。
なので王女様も人間が大好きです。
でもこの日はちょっと様子が違います。
「この子うちで飼いたい」
王女様を抱きしめてなでなでしていた女の子がそんな事を言いだしたのです。
「そうねぇ……。首輪はされてないし。とっても綺麗で可愛いし、ママは構わないわよ」
「やったー!」
女の子は大喜びで王女様を抱き上げようとします。
が、王女様は人間の子供とほぼ同じくらい位の背丈があるため、重くて持ち上がりません。
「ママがだっこするわね」
代わりにお母さんがだっこします。
ふわふわもこもこの毛皮から太陽の匂いがします。
「うふぅ~ん。可愛いぃー♪」
お母さんも思わずほっぺですりすりしました。
「さ、行きましょ」
「うん。帰ったらご飯あげるからね」
こうして王女様は人間の親子に連れて行かれました。
王女様は抵抗しませんでした。
なぜなら王女様は人間の言葉は分かりませんが、『ご飯』という単語の後に何か美味しい物が貰える事は知っていたからです。
連れられてゆく王女様を偶然目撃した子がいました。
騎士団長(自称)です。
『王女様が人間に誘拐されている!?』
正義感の強い騎士団長は王女様を助けようと追いかけました。
しかし人間の親子は途中で馬車に乗ってしまいます。
ユグディラの短い手足では馬車の足にも到底追いつけず、見失ってしまいます。
『うぉぉーー!』
それでも騎士団長は必死に追いかけ続けます。
幸い1本道だったため、お屋敷に止まっている馬車を見つける事ができました。
『ぜーぜー……ここに王女様が……』
庭も広く、見上げるほど大きく立派なお屋敷です。
きっと大勢の人間が住んでいるに違いありません。
『ボク1人ではすぐに見つかってしまう……』
そう考えた騎士団長は王国に戻って仲間達と相談する事にしました。
王国に戻った騎士団長は城に向かいます。
城と言っても、この数ヶ月で作り上げた小屋程度の物でしたけど。
『なに! 王女が人間に攫われただと!』
王様(自称)が大げさに驚きます。
『あぁ……何という事でしょう』
お姫様(自称)も大げさに悲嘆に暮れます。
ちなみに2匹とも自称なので、王女様とは血の繋がりはありません。
単に役柄で悦に入っているだけです。
『王国の危機だ!』
『なんかそれっぽい!』
『すっごくワクワクする!』
臣下の者達(自称)も悲嘆に暮れる、事なく目を輝かせます。
実は皆そんなに心配はしていません。
なぜなら人間はユグディラにはとても優しいと知っていて、危険な事にはなっていないだろうと思っているからです。
『誰ぞ。王女を救い出さんとする勇気ある者はおらぬか!」
王様がノリノリで臣下達に問います。
『はいはーい!』
『ワタクシにお構えあれ』
『いや、我が武勇をもってすれば容易き事。我にお命じを』
多くの者がノリで手を挙げます。
『それで、敵の規模は?』
大臣(自称)が騎士団長に尋ねます。
騎士団長は正直にお屋敷の大きさと、そこに大勢の人間が住んでいるだろうと話しました。
『え? そんなに大きいの……』
『あかんわ~』
『むりやわ~』
しおしおと手が下がってゆきます。
それでも手を挙げ続けてくれている子もいました。
『おぉ! 勇敢なる騎士達よ。必ずや王女を救い出してくるのだ。もちろん褒美はとらせる』
『褒美とは?』
大臣が王様に尋ねます。
『人間より盗……いやいや、貰い受けた猫缶じゃ』
『おぉぉぉぉ!!』
どよめきが起こります。
『最高級の褒美じゃないか……』
『やっぱりオレが行こうかな……』
こうして勇敢なユグディラの騎士達により王女様の奪還が行わる事となったのでした。
ユグディラ達は、狩りをしたり、作物を育てたり、人間に甘えたりしながら自由気ままな生活を送っています。
そんなある日、1匹のユグディラがこんな事を言い出しました。
『王国を作ろう』
『なにそれ、面白そー♪』
『いいねいいね~』
反対する子はいませんでした。
『じゃあワシが王様~』
『えーボクも王様やりたーい』
『ダメじゃ。ワシが言い出したんだからワシが王様じゃ』
『じゃあ私お姫様ー』
『オレ大臣!』
『ボク騎士団長!』
役職も次々と決まっていきます。
『よーし、ユグディラ王国建国だー!』
『おぉー!』
こうしてユグディラ王国は誕生しました。
ユグディラ達は、狩りをしたり、作物を育てたり、人間に甘えたりしながら。
暇があれば集まって何か王国っぽい事をして遊んでいました。
そして王国建国から数ヶ月後、事件が起きます。
王女様(自称)は人間の町に出かけました。
『ごろにゃ~ん♪』
そして人間達に愛嬌を振りまきます。
「キャー! 可愛い~♪」
真っ白な長毛種の王女様はとても綺麗で愛らしいため、人間達の人気者。
なでなでしてくれたり、運がよければご飯もくれます。
なので王女様も人間が大好きです。
でもこの日はちょっと様子が違います。
「この子うちで飼いたい」
王女様を抱きしめてなでなでしていた女の子がそんな事を言いだしたのです。
「そうねぇ……。首輪はされてないし。とっても綺麗で可愛いし、ママは構わないわよ」
「やったー!」
女の子は大喜びで王女様を抱き上げようとします。
が、王女様は人間の子供とほぼ同じくらい位の背丈があるため、重くて持ち上がりません。
「ママがだっこするわね」
代わりにお母さんがだっこします。
ふわふわもこもこの毛皮から太陽の匂いがします。
「うふぅ~ん。可愛いぃー♪」
お母さんも思わずほっぺですりすりしました。
「さ、行きましょ」
「うん。帰ったらご飯あげるからね」
こうして王女様は人間の親子に連れて行かれました。
王女様は抵抗しませんでした。
なぜなら王女様は人間の言葉は分かりませんが、『ご飯』という単語の後に何か美味しい物が貰える事は知っていたからです。
連れられてゆく王女様を偶然目撃した子がいました。
騎士団長(自称)です。
『王女様が人間に誘拐されている!?』
正義感の強い騎士団長は王女様を助けようと追いかけました。
しかし人間の親子は途中で馬車に乗ってしまいます。
ユグディラの短い手足では馬車の足にも到底追いつけず、見失ってしまいます。
『うぉぉーー!』
それでも騎士団長は必死に追いかけ続けます。
幸い1本道だったため、お屋敷に止まっている馬車を見つける事ができました。
『ぜーぜー……ここに王女様が……』
庭も広く、見上げるほど大きく立派なお屋敷です。
きっと大勢の人間が住んでいるに違いありません。
『ボク1人ではすぐに見つかってしまう……』
そう考えた騎士団長は王国に戻って仲間達と相談する事にしました。
王国に戻った騎士団長は城に向かいます。
城と言っても、この数ヶ月で作り上げた小屋程度の物でしたけど。
『なに! 王女が人間に攫われただと!』
王様(自称)が大げさに驚きます。
『あぁ……何という事でしょう』
お姫様(自称)も大げさに悲嘆に暮れます。
ちなみに2匹とも自称なので、王女様とは血の繋がりはありません。
単に役柄で悦に入っているだけです。
『王国の危機だ!』
『なんかそれっぽい!』
『すっごくワクワクする!』
臣下の者達(自称)も悲嘆に暮れる、事なく目を輝かせます。
実は皆そんなに心配はしていません。
なぜなら人間はユグディラにはとても優しいと知っていて、危険な事にはなっていないだろうと思っているからです。
『誰ぞ。王女を救い出さんとする勇気ある者はおらぬか!」
王様がノリノリで臣下達に問います。
『はいはーい!』
『ワタクシにお構えあれ』
『いや、我が武勇をもってすれば容易き事。我にお命じを』
多くの者がノリで手を挙げます。
『それで、敵の規模は?』
大臣(自称)が騎士団長に尋ねます。
騎士団長は正直にお屋敷の大きさと、そこに大勢の人間が住んでいるだろうと話しました。
『え? そんなに大きいの……』
『あかんわ~』
『むりやわ~』
しおしおと手が下がってゆきます。
それでも手を挙げ続けてくれている子もいました。
『おぉ! 勇敢なる騎士達よ。必ずや王女を救い出してくるのだ。もちろん褒美はとらせる』
『褒美とは?』
大臣が王様に尋ねます。
『人間より盗……いやいや、貰い受けた猫缶じゃ』
『おぉぉぉぉ!!』
どよめきが起こります。
『最高級の褒美じゃないか……』
『やっぱりオレが行こうかな……』
こうして勇敢なユグディラの騎士達により王女様の奪還が行わる事となったのでした。
リプレイ本文
『ここに王女が囚われているのね。まったく何やってるのよ、あの子は』
ユグディア王国の王子様(自称)であるリアリュール(ka2003)は屋敷を見上げながら嘆息します。
リアリュールは女の子であるが昔から王子様に憧れていたため、王国の王子となったのです。
(でもこれは王子様として王女様をかっこよく助ける見せ場では……!)
その事に気づいた途端、俄然やる気が出てきました。
『私たちがいなくて寂しい思いをしている……わよね?』
つぶやきは途中から疑問形に変わります。
『きっと私達の助けを待ちわびていますよ。王女様、必ずお救いします』
キッパリ肯定したのは、折れ耳で丸っこいのが特徴の、王女様直属近衛騎士(自称)のファリン(ka6844)です。
その役柄ゆえか、王女様奪還の使命にとても意欲的です。
宮廷画家(自称)である保・はじめ(ka5800)は魔導カメラでお屋敷を撮影しました。
『……うん、いい絵ができました。お城の広間に飾りましょうか』
実は保は拾った魔導カメラから出てくる写真を絵だと勘違いしています。
それに保の目的はみんなの勇姿や、捕らわれの王女様の姿を臨場感たっぷりに写す事で、救出はついでです。
『ここに王女様がいるの?』
可愛らしく小首を傾げるのは、まだ子供のユグディラのアンネマリー・リースロッド(ka0519)です。
人間の町の片隅に住んでいる猟師のおばあさんに『リリー』と名付けられ、一緒に暮らしています。
王国には時々遊びに来ていて、王女様お付きの侍女(自称)をしています。
今日はせっせと編んだ可愛いお花の冠を王女様に渡すため、王女様の所へ行くという皆にくっついてきていました。
ファリンが門柱の陰から屋敷の中を覗き込みます。
アンネマリーもファリンの真似をして覗き込みました。
井戸で洗濯中の人間の姿が見えます。
一見、普通の家政婦です。
しかしファリンの『弱者の本能』が「超危険」「見つかったら最後」「絶対戦うな」と本能にビシビシ訴えてきました。
『庭にすごいのがいます……』
ちょっとビビリながらみんなに伝えます。
家政婦は今は4匹に背を向けています。
『まず私が行ってみます』
ファリンは『あぶないにゃ!』を発動させると、足音を殺しながらもできるだけ速く庭を駆け抜け、玄関まで走りきりました。
続いてアンネマリーが真似をして走りだしました。
しかし途中でポテっと転んでしまいます。
『っ!!』
見ていた3匹の心臓が縮み上がりました。
幸いにも家政婦は気づいていません。
『転んじゃった』
アンネマリーは照れ笑いを浮かべながら立ち上がり、また走ります。
無事玄関に辿り着くと、3匹は大きく安堵の吐息を漏らしました。
『見てる方が心臓に悪いわ……』
その後、リアリュールと保も無事玄関に辿り着きました。
鍵はかかっておらず簡単に開いた玄関からファリンが中を覗き込みます。
アンネマリーもやっぱり真似して覗きました。
リアリュールと保も覗きます。
(王女様は……)
中の様子を伺ってまず目についたのは、階段から落ちかけている人間の老爺の姿でした。
「おっ……とっ……とっとっとっ!!」
(うわわっ助けなきゃ! あぁでも助けたら見つかるぅ~!)
リアリュールは判断に迷ってしまったため動けません。
真っ先に動いたのは意外にも最年少のアンネマリーでした。
『みっ』
老爺に向かって跳びます。
アンネマリーはおばあさんと共に暮らしているため、反射的に助けようと体が動いたのです。
けれど跳んだ後の事までは考えていません。
子供のアンネマリーに大人の人間の落下を支えきるだけの力はなく、このままで押し潰される運命です。
しかし老爺を救うとしたのはアンネマリーだけではありませんでした。
(おじいさん危ない!)
ファリンも反射的に救おうと動いていました。
保も、物音で人が集まりそう、という理由から救おうと駆け出しています。
ぶぎゅる
『むぎゅう!』
『ぐえぇっ!』
ドシンという音の代わり何かが押し潰されるような音と2つの悲鳴が上がりました。
「おぉ……痛……くない?」
不思議がる老爺は体の下に何か柔らかいクッションのような感触がある事に気づきます。
立ち上がると、ファリンと保が老爺の下敷きになっていました。
ちなみにアンネマリーは潰される前にリアリュールが引っ張って救けています。
「なんと猫がっ! だ、大丈夫かのぉ?」
老爺はオロオロと慌てました。
『げんきににゃ~れ! げんきににゃ~れ!』
ピクピクしている2匹にアンネマリーとリアリュールが『げんきににゃ~れ!』を施すと、何とか立ち上がれるようになれました。
「おぉ、元気そうじゃ。よかったよかった。もしかして助けてくれたのかい? ありがとう」
安心した老爺は2匹の頭を撫でてくれました。
「おっと、トイレに行かんと漏れちまう」
老爺は急いでトイレに入っていきました。
そしてふと思いました。
「……そういえば、うちにあんなに猫はいたかのぉ?」
『助けられるのなら捕まって後悔はない、という覚悟だったのですが、そんな素振りすらありませんでしたね』
『捕まらなかったのはラッキーだったわ。王女は何処にいるのかしら?』
リアリュールが玄関の様子を探っていると、ふいにアンネマリーが鼻をひくひくさせます。
『いい匂いがするぅ~』
『ふらふら歩き回ると見つかっちゃうわよ』
今にもふらふらと台所に入って行きそうなアンネマリーをリアリュールが止めました。
『でも本当にいい匂いですよ』
しかし保も匂いに釣られて台所の方に向かいます。
『ちょっと!』
『そっちから王女様の気配がします』
嘘か真か、ファリンも台所へ行こうとします。
『もう! 仕方ないわね』
リアリュールは3匹より先行して台所の中を伺うと、確かにいい匂いが漂っていて、人間の母親が料理をしている姿が見えました。
『王女様の気配は更に奥です』
ファリンが台所の更に奥を指差します。
そこからは人間の子供の楽しげな声が聞こえてきました。
『しかしここを見つからずに走る抜けるのは難しいでしょうか、何か……』
周囲を見渡すと、程よい大きさのダンボールがありました。
『この物入の箱を使いましょう。危ない時はこれを逆さに被って箱のフリをしてやり過ごすんです』
『こんなので騙せるの?』
『もちろんです! 伝説の傭兵が使用したと言われるスニークテクニックの一つですから!』
ファリンはダンボールを亀の甲羅のように背負い、台所内に侵入します。
奥のリビングへと進む最中、ダンボールの端がイスに当たってガタンと音が鳴りました。
「?」
母親が振り向く直前にファリンはダンボールを被って身動きを止めます。
「……」
母親はすぐに前を向いて料理に戻りました。
(凄い! 本当に見つからなかったわ)
感嘆するリアリュールにファリンもドヤ顔で親指を立てました。
(それなら私も……)
リアリュールもダンボールを被って行こうとした時、保がイスに乗ってテーブルの上のおかずをつまみ食いしている事に気づきます。
(ちょっと! 何してるのよ!)
と言いたくても声を出せば見つかってしまうので言えません。
(もぐもぐ……いい味付けですね。美味しいです)
保が『あぶないにゃ!』まで使って母親の動きに警戒しつつ唐揚げを食べていると、ふと視線を感じました。
イスから見下ろすと、アンネマリーが物欲しそうな目をしています。
(ふみぃ……)
保が唐揚げを持って降ります。
『見つからないよう静かに食べて下さい』
小声で注意しながらアンネマリーに渡してあげました。
『わーい。ありがとう~♪』
アンネマリーも小声で礼を言うと、満面の笑顔で唐揚げに齧りつきました。
(貴方達フリーダムすぎでしょ。でも美味しそうね……王女の気を引くにはいいかも。少し持っていってあげようかしら?)
そう考えたリアリュールも唐揚げを1個拝借しました。
良い香りが鼻を刺激し、思わずじゅるりとよだれが出ます。
(……ダメよダメ! これは王女の分。でも毒味はしないといけないわよね)
一口だけ食べる。
幸せが口中に広がって思わず笑みがこぼれました。
(おいしぃー♪)
唐揚げを堪能した3匹はファリンと合流します。
自分だけ食べてないファリンはちょっと恨みがましい顔をしていました。
『はい。半分あげるわ』
見かねたリアリュールが王女用に取ってきた唐揚げを半分にして渡します。
『本当ですか? 嬉しいですー!」
ファリンは表情を一転させて唐揚げを頬張りました。
4匹の食欲も満たされたところで王女様の捜索を再開。リビングへと続く引き戸をそっと開けました。
中から人間の子供の笑い声と、王女様の声が聞こえてきます。
『王女の声だわ』
『まさか人間にオモチャのように扱われているのでは……。あぁ、おいたわしや王女様。今すぐ私がお救いします!』
ファリンの脳裏に、人間に痛めつけられていた王女様を庇って守る自分のカッコイイ姿がよぎります。
中を覗き込むと、王女様は女の子に抱きかかえられてブラッシングされていました。
元々毛並みの良い王女様でしたが、今は更にツヤツヤになっています。
「気持ちいい?」
『にゃ~ん♪』
「じゃあここは?」
『ぐるぐるぐる』
顎の下をブラッシングされて気持ちよさそうに喉を鳴らしてさえいます。
『……王女様、楽しそうですね?』
『うん、ちょっと羨ましいかも……』
想像とは違う光景にファリンは拍子抜けし、リアリュールは羨ましさすら感じました。
「いえ、でも悲しい事になっていなくて良かったです」
『王女様ー!』
王女様を見つけて嬉しくなったアンネマリーは、皆が止める間もなくリビングに入り、王女様に駆け寄っていました。
『リリー! どうしてここに?』
『お花の冠おもちしました~』
驚く王女様に持ってきた花冠を手渡そうとします。
「キャー! この子可愛いっ!!」
しかし女の子の歓喜に驚き、反射的に王女様の後ろに隠れてしまいました。
『……だぁれ?』
『大丈夫、私の雇い主よ。怖くないわ』
「この花冠ちっちゃいのに上手くできてる。すごーい」
アンネマリーには人間の言葉は分かりませんが、花冠を褒めてもらえているのは何となく分かりました。
「シロに持ってきてくれたの? ありがとね」
女の子は花冠を王女の頭に着けてくれました。
『シロっておなまえ、もらったの?』
アンネマリーが王女様に尋ねます。
『そう呼ばれているわね』
『よかったのです。おなまえ呼ばれると体がぽわぽわってなるのです。きっとおなまえには呼び名以上の大切な意味が込められているのです』
女の子を良い子だと思ったアンネマリーは近寄ってみました。
「ちっちゃくて可愛いー!」
女の子はアンネマリーの頭をナデナデしてくれたので、自分もナデナデしてあげました。
『お揃いのものを作っちゃいます』
そしてお揃いの花冠を作ろうと思い、女の子を連れて庭に出ました。
王女様が1人になると、他の3匹も中に入りました。
『王女様!』
『貴方達まで……』
王女様が驚愕の面持ちで3匹を見つめます。
『誘拐されたと聞いて、身を切る思いでした。ご無事でしたか?』
リアリュールがビシッとポーズを決めて王女様に語りかけます。
演劇の一場面のようなとても絵になる光景で、保は魔導カメラのシャッターをバシバシ切りました。
『さあ、共に城に戻りましょう』
王女様に優しく手を差し伸べ、物語はクライマックスを迎えます。
『嫌よ』
にべもなく断られました。
『……え?』
王女様を助けてハッピーエンドというシナリオが王女様自身に崩されたため、リアリュールは王子という立場を忘れて素に戻ります。
『ちょっと! 嫌ってどういう事よ? 王女様がいなくちゃ王子なんてやってても意味ないじゃない。戻ってきなさいよ。皆も心配してくれてるのよ』
『そうです。私達は王女様をお救いするために命がけでやってきたのですよ』
ファリンは王女様直属近衛騎士として訴える。
『どうせ皆、王国の危機だーとか、王女様救出だー、なんてノリで来たんでしょ?』
『ぅ……』
事実なので二の句がつけませんでした。
『王国での暮らしも楽しかったけど、私は人間を喜ばせる事が一番好きなの。ここの人間はみんな優しいし、私を必要としてくれてるって分かるの。愛を感じるの。私はその愛に応えたいって思ったわ。だから私は帰らないわ』
『そんな思いを抱いていたなんて……』
『王女様、ご立派です……』
リアリュールとファリンは王女様の決意に感じ入りました。
『なにより毎日3度も美味しいご飯が食べられるし、食っちゃ寝して暮らせるのが最高よね』
こっちが一番の本音に聞こえます。
でも皆が納得できる理由でした。
『それならいっそ、みんなで飼われてこのお屋敷を新しいお城にすれば良いんじゃないでしょうか?』
なので保がそんな提案をしました。
『今のお城よりもずっと立派で、しかも三食昼寝付きです。こんな高待遇を逃す手はありません』
保は庭に出ると、寝転がってごろにゃんごろにゃんと愛嬌を振りまき始めました。
『王女様が帰りたくないと言うのでしたら仕方ありません。ですが王女様を守るのが私の役目……王女様がいる場所が私のお城です!』
ファリンはそう決意すると、女の子の手を取ってダンスを踊り始めました。
『まぁ、皆を大切にしてくれるなら私も吝かではないし……』
リアリュールもダンスの輪に加わります。
猫が大好きな女の子がユグディラに囲まれて遊んでもらって嬉しくない訳がありません。
「ママー! この子達も飼って!」
親子で一悶着ありましたが、老爺の恩人だと言う後押しもあり、飼ってもらえる事になりました。
ただ、アンネマリーは大好きなおばあさんと暮らし続ける事を選びます。
『また遊びに来るね』
ブンブンと手を振るアンネマリーをファリンは家まで送ってあげる事にしました。
その前に王国へ行き、今日の出来事の報告をします。
『家に入ったらおじいちゃんが落っこちそうだったの。みって跳び出したんだけど……』
アンネマリーは身振り手振りも加えてみんなに今日の冒険の事を話しました。
ファリンは王女様の様子と今後の事を話します。
『王女様は人間と共に生きると言われました。あったかい寝床においしいごはん、優しい人に囲まれて幸せのようです』
そして保の『みんなで飼われてお屋敷を新しいお城にする』案も伝えます。
『なるほど。ではその人間の屋敷を乗っ取……いやいや移住するぞ』
王様が皆に宣言します。
翌日、屋敷の呼び鈴が鳴りました。
「どちら様?」
玄関を開けると、そこにはユグディラ王国の一同が勢揃いしていました。
「なんかいっぱいいるぅーー!!」
けれど全員を飼ってもらえる訳がなく、家政婦に追い出されてしまいましたけれど。
おしまい
ユグディア王国の王子様(自称)であるリアリュール(ka2003)は屋敷を見上げながら嘆息します。
リアリュールは女の子であるが昔から王子様に憧れていたため、王国の王子となったのです。
(でもこれは王子様として王女様をかっこよく助ける見せ場では……!)
その事に気づいた途端、俄然やる気が出てきました。
『私たちがいなくて寂しい思いをしている……わよね?』
つぶやきは途中から疑問形に変わります。
『きっと私達の助けを待ちわびていますよ。王女様、必ずお救いします』
キッパリ肯定したのは、折れ耳で丸っこいのが特徴の、王女様直属近衛騎士(自称)のファリン(ka6844)です。
その役柄ゆえか、王女様奪還の使命にとても意欲的です。
宮廷画家(自称)である保・はじめ(ka5800)は魔導カメラでお屋敷を撮影しました。
『……うん、いい絵ができました。お城の広間に飾りましょうか』
実は保は拾った魔導カメラから出てくる写真を絵だと勘違いしています。
それに保の目的はみんなの勇姿や、捕らわれの王女様の姿を臨場感たっぷりに写す事で、救出はついでです。
『ここに王女様がいるの?』
可愛らしく小首を傾げるのは、まだ子供のユグディラのアンネマリー・リースロッド(ka0519)です。
人間の町の片隅に住んでいる猟師のおばあさんに『リリー』と名付けられ、一緒に暮らしています。
王国には時々遊びに来ていて、王女様お付きの侍女(自称)をしています。
今日はせっせと編んだ可愛いお花の冠を王女様に渡すため、王女様の所へ行くという皆にくっついてきていました。
ファリンが門柱の陰から屋敷の中を覗き込みます。
アンネマリーもファリンの真似をして覗き込みました。
井戸で洗濯中の人間の姿が見えます。
一見、普通の家政婦です。
しかしファリンの『弱者の本能』が「超危険」「見つかったら最後」「絶対戦うな」と本能にビシビシ訴えてきました。
『庭にすごいのがいます……』
ちょっとビビリながらみんなに伝えます。
家政婦は今は4匹に背を向けています。
『まず私が行ってみます』
ファリンは『あぶないにゃ!』を発動させると、足音を殺しながらもできるだけ速く庭を駆け抜け、玄関まで走りきりました。
続いてアンネマリーが真似をして走りだしました。
しかし途中でポテっと転んでしまいます。
『っ!!』
見ていた3匹の心臓が縮み上がりました。
幸いにも家政婦は気づいていません。
『転んじゃった』
アンネマリーは照れ笑いを浮かべながら立ち上がり、また走ります。
無事玄関に辿り着くと、3匹は大きく安堵の吐息を漏らしました。
『見てる方が心臓に悪いわ……』
その後、リアリュールと保も無事玄関に辿り着きました。
鍵はかかっておらず簡単に開いた玄関からファリンが中を覗き込みます。
アンネマリーもやっぱり真似して覗きました。
リアリュールと保も覗きます。
(王女様は……)
中の様子を伺ってまず目についたのは、階段から落ちかけている人間の老爺の姿でした。
「おっ……とっ……とっとっとっ!!」
(うわわっ助けなきゃ! あぁでも助けたら見つかるぅ~!)
リアリュールは判断に迷ってしまったため動けません。
真っ先に動いたのは意外にも最年少のアンネマリーでした。
『みっ』
老爺に向かって跳びます。
アンネマリーはおばあさんと共に暮らしているため、反射的に助けようと体が動いたのです。
けれど跳んだ後の事までは考えていません。
子供のアンネマリーに大人の人間の落下を支えきるだけの力はなく、このままで押し潰される運命です。
しかし老爺を救うとしたのはアンネマリーだけではありませんでした。
(おじいさん危ない!)
ファリンも反射的に救おうと動いていました。
保も、物音で人が集まりそう、という理由から救おうと駆け出しています。
ぶぎゅる
『むぎゅう!』
『ぐえぇっ!』
ドシンという音の代わり何かが押し潰されるような音と2つの悲鳴が上がりました。
「おぉ……痛……くない?」
不思議がる老爺は体の下に何か柔らかいクッションのような感触がある事に気づきます。
立ち上がると、ファリンと保が老爺の下敷きになっていました。
ちなみにアンネマリーは潰される前にリアリュールが引っ張って救けています。
「なんと猫がっ! だ、大丈夫かのぉ?」
老爺はオロオロと慌てました。
『げんきににゃ~れ! げんきににゃ~れ!』
ピクピクしている2匹にアンネマリーとリアリュールが『げんきににゃ~れ!』を施すと、何とか立ち上がれるようになれました。
「おぉ、元気そうじゃ。よかったよかった。もしかして助けてくれたのかい? ありがとう」
安心した老爺は2匹の頭を撫でてくれました。
「おっと、トイレに行かんと漏れちまう」
老爺は急いでトイレに入っていきました。
そしてふと思いました。
「……そういえば、うちにあんなに猫はいたかのぉ?」
『助けられるのなら捕まって後悔はない、という覚悟だったのですが、そんな素振りすらありませんでしたね』
『捕まらなかったのはラッキーだったわ。王女は何処にいるのかしら?』
リアリュールが玄関の様子を探っていると、ふいにアンネマリーが鼻をひくひくさせます。
『いい匂いがするぅ~』
『ふらふら歩き回ると見つかっちゃうわよ』
今にもふらふらと台所に入って行きそうなアンネマリーをリアリュールが止めました。
『でも本当にいい匂いですよ』
しかし保も匂いに釣られて台所の方に向かいます。
『ちょっと!』
『そっちから王女様の気配がします』
嘘か真か、ファリンも台所へ行こうとします。
『もう! 仕方ないわね』
リアリュールは3匹より先行して台所の中を伺うと、確かにいい匂いが漂っていて、人間の母親が料理をしている姿が見えました。
『王女様の気配は更に奥です』
ファリンが台所の更に奥を指差します。
そこからは人間の子供の楽しげな声が聞こえてきました。
『しかしここを見つからずに走る抜けるのは難しいでしょうか、何か……』
周囲を見渡すと、程よい大きさのダンボールがありました。
『この物入の箱を使いましょう。危ない時はこれを逆さに被って箱のフリをしてやり過ごすんです』
『こんなので騙せるの?』
『もちろんです! 伝説の傭兵が使用したと言われるスニークテクニックの一つですから!』
ファリンはダンボールを亀の甲羅のように背負い、台所内に侵入します。
奥のリビングへと進む最中、ダンボールの端がイスに当たってガタンと音が鳴りました。
「?」
母親が振り向く直前にファリンはダンボールを被って身動きを止めます。
「……」
母親はすぐに前を向いて料理に戻りました。
(凄い! 本当に見つからなかったわ)
感嘆するリアリュールにファリンもドヤ顔で親指を立てました。
(それなら私も……)
リアリュールもダンボールを被って行こうとした時、保がイスに乗ってテーブルの上のおかずをつまみ食いしている事に気づきます。
(ちょっと! 何してるのよ!)
と言いたくても声を出せば見つかってしまうので言えません。
(もぐもぐ……いい味付けですね。美味しいです)
保が『あぶないにゃ!』まで使って母親の動きに警戒しつつ唐揚げを食べていると、ふと視線を感じました。
イスから見下ろすと、アンネマリーが物欲しそうな目をしています。
(ふみぃ……)
保が唐揚げを持って降ります。
『見つからないよう静かに食べて下さい』
小声で注意しながらアンネマリーに渡してあげました。
『わーい。ありがとう~♪』
アンネマリーも小声で礼を言うと、満面の笑顔で唐揚げに齧りつきました。
(貴方達フリーダムすぎでしょ。でも美味しそうね……王女の気を引くにはいいかも。少し持っていってあげようかしら?)
そう考えたリアリュールも唐揚げを1個拝借しました。
良い香りが鼻を刺激し、思わずじゅるりとよだれが出ます。
(……ダメよダメ! これは王女の分。でも毒味はしないといけないわよね)
一口だけ食べる。
幸せが口中に広がって思わず笑みがこぼれました。
(おいしぃー♪)
唐揚げを堪能した3匹はファリンと合流します。
自分だけ食べてないファリンはちょっと恨みがましい顔をしていました。
『はい。半分あげるわ』
見かねたリアリュールが王女用に取ってきた唐揚げを半分にして渡します。
『本当ですか? 嬉しいですー!」
ファリンは表情を一転させて唐揚げを頬張りました。
4匹の食欲も満たされたところで王女様の捜索を再開。リビングへと続く引き戸をそっと開けました。
中から人間の子供の笑い声と、王女様の声が聞こえてきます。
『王女の声だわ』
『まさか人間にオモチャのように扱われているのでは……。あぁ、おいたわしや王女様。今すぐ私がお救いします!』
ファリンの脳裏に、人間に痛めつけられていた王女様を庇って守る自分のカッコイイ姿がよぎります。
中を覗き込むと、王女様は女の子に抱きかかえられてブラッシングされていました。
元々毛並みの良い王女様でしたが、今は更にツヤツヤになっています。
「気持ちいい?」
『にゃ~ん♪』
「じゃあここは?」
『ぐるぐるぐる』
顎の下をブラッシングされて気持ちよさそうに喉を鳴らしてさえいます。
『……王女様、楽しそうですね?』
『うん、ちょっと羨ましいかも……』
想像とは違う光景にファリンは拍子抜けし、リアリュールは羨ましさすら感じました。
「いえ、でも悲しい事になっていなくて良かったです」
『王女様ー!』
王女様を見つけて嬉しくなったアンネマリーは、皆が止める間もなくリビングに入り、王女様に駆け寄っていました。
『リリー! どうしてここに?』
『お花の冠おもちしました~』
驚く王女様に持ってきた花冠を手渡そうとします。
「キャー! この子可愛いっ!!」
しかし女の子の歓喜に驚き、反射的に王女様の後ろに隠れてしまいました。
『……だぁれ?』
『大丈夫、私の雇い主よ。怖くないわ』
「この花冠ちっちゃいのに上手くできてる。すごーい」
アンネマリーには人間の言葉は分かりませんが、花冠を褒めてもらえているのは何となく分かりました。
「シロに持ってきてくれたの? ありがとね」
女の子は花冠を王女の頭に着けてくれました。
『シロっておなまえ、もらったの?』
アンネマリーが王女様に尋ねます。
『そう呼ばれているわね』
『よかったのです。おなまえ呼ばれると体がぽわぽわってなるのです。きっとおなまえには呼び名以上の大切な意味が込められているのです』
女の子を良い子だと思ったアンネマリーは近寄ってみました。
「ちっちゃくて可愛いー!」
女の子はアンネマリーの頭をナデナデしてくれたので、自分もナデナデしてあげました。
『お揃いのものを作っちゃいます』
そしてお揃いの花冠を作ろうと思い、女の子を連れて庭に出ました。
王女様が1人になると、他の3匹も中に入りました。
『王女様!』
『貴方達まで……』
王女様が驚愕の面持ちで3匹を見つめます。
『誘拐されたと聞いて、身を切る思いでした。ご無事でしたか?』
リアリュールがビシッとポーズを決めて王女様に語りかけます。
演劇の一場面のようなとても絵になる光景で、保は魔導カメラのシャッターをバシバシ切りました。
『さあ、共に城に戻りましょう』
王女様に優しく手を差し伸べ、物語はクライマックスを迎えます。
『嫌よ』
にべもなく断られました。
『……え?』
王女様を助けてハッピーエンドというシナリオが王女様自身に崩されたため、リアリュールは王子という立場を忘れて素に戻ります。
『ちょっと! 嫌ってどういう事よ? 王女様がいなくちゃ王子なんてやってても意味ないじゃない。戻ってきなさいよ。皆も心配してくれてるのよ』
『そうです。私達は王女様をお救いするために命がけでやってきたのですよ』
ファリンは王女様直属近衛騎士として訴える。
『どうせ皆、王国の危機だーとか、王女様救出だー、なんてノリで来たんでしょ?』
『ぅ……』
事実なので二の句がつけませんでした。
『王国での暮らしも楽しかったけど、私は人間を喜ばせる事が一番好きなの。ここの人間はみんな優しいし、私を必要としてくれてるって分かるの。愛を感じるの。私はその愛に応えたいって思ったわ。だから私は帰らないわ』
『そんな思いを抱いていたなんて……』
『王女様、ご立派です……』
リアリュールとファリンは王女様の決意に感じ入りました。
『なにより毎日3度も美味しいご飯が食べられるし、食っちゃ寝して暮らせるのが最高よね』
こっちが一番の本音に聞こえます。
でも皆が納得できる理由でした。
『それならいっそ、みんなで飼われてこのお屋敷を新しいお城にすれば良いんじゃないでしょうか?』
なので保がそんな提案をしました。
『今のお城よりもずっと立派で、しかも三食昼寝付きです。こんな高待遇を逃す手はありません』
保は庭に出ると、寝転がってごろにゃんごろにゃんと愛嬌を振りまき始めました。
『王女様が帰りたくないと言うのでしたら仕方ありません。ですが王女様を守るのが私の役目……王女様がいる場所が私のお城です!』
ファリンはそう決意すると、女の子の手を取ってダンスを踊り始めました。
『まぁ、皆を大切にしてくれるなら私も吝かではないし……』
リアリュールもダンスの輪に加わります。
猫が大好きな女の子がユグディラに囲まれて遊んでもらって嬉しくない訳がありません。
「ママー! この子達も飼って!」
親子で一悶着ありましたが、老爺の恩人だと言う後押しもあり、飼ってもらえる事になりました。
ただ、アンネマリーは大好きなおばあさんと暮らし続ける事を選びます。
『また遊びに来るね』
ブンブンと手を振るアンネマリーをファリンは家まで送ってあげる事にしました。
その前に王国へ行き、今日の出来事の報告をします。
『家に入ったらおじいちゃんが落っこちそうだったの。みって跳び出したんだけど……』
アンネマリーは身振り手振りも加えてみんなに今日の冒険の事を話しました。
ファリンは王女様の様子と今後の事を話します。
『王女様は人間と共に生きると言われました。あったかい寝床においしいごはん、優しい人に囲まれて幸せのようです』
そして保の『みんなで飼われてお屋敷を新しいお城にする』案も伝えます。
『なるほど。ではその人間の屋敷を乗っ取……いやいや移住するぞ』
王様が皆に宣言します。
翌日、屋敷の呼び鈴が鳴りました。
「どちら様?」
玄関を開けると、そこにはユグディラ王国の一同が勢揃いしていました。
「なんかいっぱいいるぅーー!!」
けれど全員を飼ってもらえる訳がなく、家政婦に追い出されてしまいましたけれど。
おしまい
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/09 20:27:15 |
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質問卓 保・はじめ(ka5800) 鬼|23才|男性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/08/07 06:39:58 |
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相談卓 保・はじめ(ka5800) 鬼|23才|男性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/08/10 02:43:09 |