【奇石】パルムの樹

マスター:奈華里

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/10/28 22:00
完成日
2018/11/08 00:08

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 屋敷に襲来する歪虚の一件で子供達を無事連れ戻した。
 が、その父親から語られた情報は思いの外少ない。
 彼の先祖は魔術師だった。しかも鉱石を扱っていたという事だけは彼にも伝えられていたが、その石がどんな力を持っているとか、どんな形をしているだとかは全くといっていい程語り継がれていない。というのも彼のだいぶ前の先祖になるらしいから、判らないのも頷ける。
「本当にお役に立てなくてすみません」
 フキの父親・アドナがより一層疲れた顔で言う。
 それもその筈、まだここについてから二日目だ。
 未だ眠り続ける妻と長女のエルを宿において、隣に長男のフキはいるものの落ち着けるはずがない。
「あの、鉱石を研究されていたという事ですが、他に石はないんですか?」
 彼が先祖から受け継いだという石が事件直後、僅かながら光っていた。その事から石に注目して、職員が尋ねる。だが、答えは思い通りにはいかないもの。
「これだけですね…屋敷内にもそれらしいものは残っていませんでした。というか、越して来た時からそんなものを見た事もなくて…本当に研究していたのか不思議に思った位で」
 本来ならばその手の研究者は部屋に沢山サンプルを所持している事が多い。
 けれど、彼の証言が正しければそれもなかったという事になる。
「とすると、やはり後は樹ですか」
 俄かに信じがたい事ではあるが、庭の樹が枯れ始めた時からパルムは来なくなりその後発生したというこの事件。その庭の樹が何かしら関わっているとしたら? そこでそんな樹ならばと、ハンターオフィスの職員が手持ちの資料を漁り始めたのだが、クリムゾンウエスト中に樹は五万とあるし、よっぽどの事件が起こらない限り資料として残っている訳がない訳で…。
「はぁ~」
 職員から深いため息。ちなみに彼の先祖についても特に大きな記事はない。
 魔術師協会に所属していた事くらいは残っていたが、大きな功績はなく、調査半ばで命を落としたのか短命での死亡登録がなされているだけだ。
「これはもう現場あるのみですね」
 手掛かりがないなら、探せばいい。危険な場所であるが、放置できる案件ではない。
 そう言う事で樹および屋敷の調査をする事となる。
「という事で、そのお屋敷を調べさせて頂いても構いませんか?」
 職員が所有者であるアドナに許可を求める。
「はい、構いません。確か鍵は……ってない!」
 そこではたと気付いたのは家の鍵の紛失だった。如何やら、子供達を探しに行った時に落としてしまったらしい。何度もポケットを探っているようだが、出てくるのは埃のみであり、アドナは白い顔を一層白くする。
「えーと、スペアキーは?」
 そこで奥さんを当たってみたのだが、彼女自身は緊急の為か持ち出していないようだった。
 寝たままの彼女を起こさないようポケットを確認して貰ったが、見つからなかったという。
「んー、となるとピッキングする事になりますが」
「やむ、負えません…が、簡単には開かないかと」
「はあ?」
 含みのあるモノ言いに職員が首を傾げる。
「あの、屋敷の鍵は変わったものでして…錠前を外してももう一つノブの鍵穴も解除しないといけない仕様で。なんでこんなに面倒なんだって言う位に複雑な仕組みでして」
 終始ペコペコした様子のアドナ。だが、職員はその事を聞いて、仮説を立て始める。
(研究者なのにサンプルがない。思いの外厳重な鍵、そしてパルムの集まる樹…)
 もしかしたら、ないのではなくどこかしらに隠されているのではないだろうか。
 この男の様子だと嘘をついている様には思えないが、それでも厳重過ぎる鍵には些か引っかかる。
「ねえ、フキ君。家の周りに気になるものはなかったかな?」
 職員がそれとなく尋ねてみる。すると、彼は一言。
「実はオレや屋根裏に変な通路を見つけてて」
「それだ」
 職員が張り切りペンを動かす。何でもフキの話では、屋根裏に変な落書きを見つけたらしい。家から樹を繋いだような絵であり、近くを探ると地下へとのびた梯子が掛かっていたという。けれど、行きついた先に出口はなくて、しぶしぶ引き返したという。
(もしその道が絵の通りなら、何かしらの方法で外とつなぐ事ができるかも)
 それが出来れば、敵との不要な交戦を避けて中へ入れるし、正面玄関を開けて進むよりもリスクも低くなるはずだ。
「よし、それに賭けてみましょう」
 職員が言い切る。そして、ハンターらにはその件を含めた調査依頼が発行されるのであった。

リプレイ本文


(ッ、よりにもよって俺か!)
 鳳凰院ひりょ(ka3744)は箒に跨ったまま、一旦樹から距離を置く。それはここに到着してすぐの事だった。
 彼等は今回の調査を、時間も少ないという事から分担して行う事を決めていた。そして、その分担は以下の通り。ひりょ、レオーネ・インヴェトーレ(ka1441)、和音・歩匡(ka6459)が屋敷周辺を上空から調査し、うち二人は魔導カメラで写真に詳細を収める。そして、残りのユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)、夢路 まよい(ka1328)、レイア・アローネ(ka4082)に関しては地上から。樹の傍には石碑があり、その文言がこの屋敷の謎を解くカギだと見た彼らはそれを元に壁のレリーフや手摺の彫刻、後は花壇や柵なども見て回る。
 そして、着いて早々問題の樹を調査しようとしたひりょに魔の手が伸びたという訳だ。
「すまない。応援を頼む」
 各自連絡用に用意したトランシーバーで彼が言う。
 地上にはまよいがいたものの、相手が飛空系のエアエレメンタル二体だから油断はできない。文字通り風を操る敵を前にこちらは防戦一方。慣れない箒の上だ。時折、マジックアローを飛ばすもせいぜい掠るので精一杯。そこへ空班の二人が到着して、
「喰らえ、アイシクルコンフィン!」
 レオーネの杖が光り、氷柱が敵一体へと降り注ぐ。が、またもすいーっと避けられて、虚しく屋根に刺さるだけ。和音は銃を乱射するも、余りにも手応えがない相手に奥歯を噛む。
(ここは、私の出番でしょうか)
 現状を聞きつけて駆けつけたユーリがこっそり屋根へと上がる。敵は空を飛ぶひりょ達に目が行っているから、こちらにまだ気付いていなかった。ならば、ここで一番有効なのは――ユーリが屋根を駆ける。足音が響いたが、それも一瞬の事で僅かな助走から跳躍し一番低空にいた敵に刀を抜いて、僅か一振り。
 太陽の光で抜いた刀がきらりと光ったのも束の間、次の瞬間にはその刃が敵を一刀両断。彼女の剣は彼女のマテリアルを纏い、非物理の相手でもそこそこ効果があるらしい。実際には切れたという表現はおかしいのだが、ぼやけた影は二つに分かれ、激しく影は揺れた後逃げ出していく。が、その途中でまよいの矢がそれを仕留め…。
「すごいな」
 思わず、ひりょから声が漏れた。けれど、呆気に取られてばかりはいられない。彼も振り返りざまのライトニングボルトで向かって来ていたもう一体を緩ませる。そこを和音が逃さなかった。緩んで落下してくる敵に向けて、セイクリッドフラッシュをお見舞いする。敵は強い部類に入ったが、それでも手練ればかりが揃っているこのメンバーに大凡隙は無い。

 が、時を同じくしてもう一匹はやや優勢を取っていた。
「ッ! 私とした事がッ」
 バスターソードで風の精霊と対峙するレイアがいるのは何と玄関前。
 彼女はまず正面玄関からの調査を開始。例の頑丈な鍵を前に形状を観察していたところを襲われたのだ。出現は屋敷側の僅かな隙間から。その奇襲を慌てて避けて連絡を入れようとしたが、その時トランシーバーがない事に気付き、今に至る。あれだけ皆で確認したのに、ここに来るまでに落としてしまったらしい。
(上も騒がしいみたいだし、ここは私一人で耐えねばならんかっ)
 連続攻撃は何とかかわして、相棒の大剣を構え対峙する。そんな彼女の揺らぎを悟ったように、顔のない筈の敵が笑って見えて、
「舐めるな!」
 彼女が大きく踏み出し、斬りかかる。相手はすいっと避けてからのエアカッター。それをそのまま体を捻って避け、勢いのまま大きく剣を振り被る。そして、ぶぅんと風を切るような音と共に振り抜けば、多少なりともダメージが入ったと見える。一対一であるから余裕だと感じていた精霊にとって、これは誤算だった。そこで出直しを計ろうと屋敷へ引き返そうとする。だが、彼女はそれを許さない。
「逃げるのか?」
 彼女の中のマテリアルが気迫となって精霊を振り向かせる。
 弱い者ならこの気迫に尻尾を巻いて逃げ出すだろうが、相手もそれなりの力の持ち主。プライドがあるのかどうかは定かではないが、彼女のそれに刺激されもう一度対峙する。
(そうでなくては)
 レイアが再び精霊と交える。
 が、上に行く事を諦めたまよいがこちらに気付いて、彼女の間に入り重力波を放ってくれたおかげもあり、思った程戦いが長引く事はなかった。


 一日目が過ぎてもそれらしい収穫がない。レリーフに石碑が示す様な彫刻はあった。
 だが、その彫刻はどういう訳か取り外せないのだ。とすると、まよいの予想――何処かにはめ込むという考えは間違っている事になる。それにだ。今のところはめ込むにしてもはめ込む場所さえ見つかっていない。屋根や屋敷の配置を上空から調べた空班であるが、これといった関連性はなく、写真撮影は続けてはいるものの無駄足に終わっている。
「そもそもパルムの集まる樹ってなんだ? 神霊樹か?」
 流石にそれはないだろうと思いつつも和音が口に出す。
 ちなみに神霊樹とはこの世界の大事な一部であり、この世界の情報源という事はハンターの皆様の方が詳しいだろう。
「パルムが来る…という点から見ればその可能性が高いけど、あったとしてもこれも分樹だろうね」
 個人の敷地に神霊樹がある事は考えにくい。百歩譲っても分樹の分樹というところか。
「神霊樹かどうかはともかく、変じゃないか? 歪虚が来たのはパルムが消えてから、パルムが来なくなったのは樹が枯れてから…じゃあなんで樹が突然枯れた?」
 歪虚が来てからならまだしも順序は逆だ。樹が枯れた理由は一体何処にあるのだろう。
「一つ考えられるとすれば、アドナの先祖の研究だな」
「鉱石…ですか」
「そうだね。詳しくは判らないけどあの樹自体が魔術師の工房だった…って事は飛躍し過ぎにしろ、何がしかの仕掛けがあることは間違いないと思う」
「じゃあ、やっぱり何かヤバいものがあって、それをこの樹が押さえ込んでたとか?」
 皆が思い思いの推理をぶつける中、ひりょは樹に近付いた時僅かな違和感を思い出す。
(あの時は敵の襲撃でかき消されてしまったけれど、もしかしたら…)
 とにかく何かある。それだけはこの場にいるハンター皆感じている事だ。
 そんな中、まよいはある一つの事がずっと気にかかっていた。
(レリーフはあった。なのに、取れないのは何故なの?)
 自分の推理は間違っていないと思う。だったら、必ずあれらは取れなくてはならない。
(全ては自然のままに。大地は雲の下、川は人と精霊を繋ぐもの。あるべきものをあるべき場所に…星が全てを包むと)
 彼女が石碑の言葉を繰り返す。そして、まよいはハッとした。
「ねえ、レリーフに星はなかったよね?」
 突如大きな声を出した彼女に皆が驚く。
「あぁ、今のところ見当たっていないが…」
「だとすると、もしかしたら本物の星の事を指してって可能性は」
「私もそれを考えていました」
 石碑は途中で崩れてその先は確認できないから、どう彫られていたのかは判らない。けれど、『星が全てを包むとき』と続いていたとすれば、レリーフではなく本物の星を指す事もあり得るかもしれない。
「では、もう一度それぞれのレリーフのある場所に行ってみますか?」
 同意見のユーリが提案する。
「やるだけやってみるか」
 ダメ元上等。彼等は食事を手早く済ませ、闇が包む外へと足を踏み出す。
 星が輝いているとはいえ、辺りはとても暗かった。月明かりだけでは到底光が足りない。こんな状態で沢山あるレリーフの中から問題のものを見つけるのは場所がある程度判っていても難しい。日中調べた記憶を頼りに皆がレリーフの元へと向かう。
「あった。これね」
 そして、カンテラ片手にまよいがレリーフに手を伸ばす。
 するとどういう訳か、昼はびくともしなかったそれがすんなりと外れるではないか。
「ビンゴ~! やったね、二人共」
 レオーネが純粋に喜ぶ。
「なら、他のも急ごう。この視界で襲われては、ッ!?」
 レイアの言葉がフラグとなった。突如感じた剣への重みに、はっとして振り返った先には蠢く軟体。目も顔もない。ただ単にゼリー状のその物体が彼女の剣を取り込み、自分の方へと引き摺り込もうとしている。
「やめろっ、放せっ!」
 大事な得物を奪われまいと彼女が渾身の力で踏ん張る。ユーリも加勢に入るが、スライム相手では手応えがない。そこでひりょは少し距離を取り杖を掲げて、構築したのは魔法の矢だ。レイアの剣に当たらないよう注意し、スライムを狙う。が、相手は一匹ではなくて、うにょーんと伸びた別の個体がひりょを背後から呑み込もうと迫る。
「ほんっと厄介よね」
 そこでまよいはレリーフをしまい、加勢体勢。ひりょに伸びる一体をグラビティ―フォールで抑え込む。
「全くだな。撃ち抜けない相手なんて最悪だ」
 そういうのは和音だ。元々拳でねじ伏せるタイプではないにしろ、打たれ強い相手とは相性が悪い。銃は無理だと判断し、セイクリッドフラッシュでスライム殲滅にかかる。彼の光が辺りを照らして、ハンターはぞっとした。いつの間に集まってきたのか。一体や二体ではない。昼にはいなかったスライム達が彼等をとり囲んでいる。
「やだ、これマジなの」
 前回の複数戦を思い出しまよいから小さな悲鳴。とは言え、やるしかない。レイアは剣を取り戻しソウルエッジで強化して、手前の一体を切り刻んでいく。
「ここは引き受ける…と言いたいところだが、こっちを優先で頼む」
 ひりょがそう言い、ライトニングボルトを落とす。
 相手が相手だ。視界を制限された彼らは根気よく相手をせざる負えなかった。

 そして、やり合う事数時間。
「はぁー、もうクタクタだぜ」
 出来るだけ多くのスライムを一度に凍らせる事を念頭において動き回っていたレオーネがぱたりと倒れる。
「確かに。ここまでハードなのは久し振りです」
 そういうユーリであるが、彼女はレオーネ程疲れてはいない。が、それでもあちこちに傷が見える。そこで和音が皆を集め施したのはフルリカバー。体力回復の呪文であるから力は舞い戻るが、精神的なものは流石に取り除けない。
「しかし、日が出てきてしまったな」
 星空の下でしか外せないようだから、残りのレリーフはまた夜を待ってやるしかない。
 まだ謎は残っているから午前中にしなければならない事もあるが、ひとまずまた出現しないとも限らない為、夜に備えて交代で仮眠をとる提案に異議を唱える者はいなかった。


「これは…?」
 交代の合間にユーリは庭を調査中。樹と反対側にある花壇の花は今が咲き頃なのかいい香りを漂わせている。しかし、その少し向こうの木の根元に大きな穴を見つけて、如何やらスライムはここからやって来たらしい。まだ湿っているし地面をずりずりとした筋がついているから間違いない。
「…埋めておきましょうか」
 多分、これが崖に繋がっていると推測されるから塞いでおく事に限る。彼女は周囲をさっと見て、手頃な太さの木を見つけると昨日同様な見事な一閃。彼女の刀は神霊樹のライブラリに残っていたものを再現し作られているから尚更だ。彼女は切り倒した木でその穴を塞ぎ、ふぅと一息。この時間はこちらを意識してか敵も隠れて姿を現さない。
(まあ、犬死は雑魔であっても不本意でしょうからね)
 彼女はそんな事を心中呟き、今度は調査対象を壁へと移す。そして、彼女はレリーフを含めた壁全体の流れを事細かにチェックし始める。すると所々にツタのような彫刻があり、それを辿ると石碑の指すレリーフに繋がり、果ては石碑のある方角を示している事が判る。
「やはりあの石碑が関係している…という事でしょうか」
 ぐるりと屋敷を回る形となって戻ってきた樹の前で彼女が呟く。
「なあ、これをどう思う?」
 とそこでレイアが石碑を横にしゃがみ込んでユーリに意見を求める。
「これとは?」
「これだ、ここのところ…色が違う気がしないか?」
 昨日見た時はさして気にも留めなかったが、昨日の戦闘で傷ついたのかもしれない。崩れていた場所とは別の所が崩れ、違う石肌が見えている。そこでこの発見を皆と共有すべく、ユーリが仲間に連絡を入れると再び会議の時間。
「いっその事、壊してみるってのはどうだ?」
 強引ではあるが、謎解きが苦手なレオーネが強行策を提案する。
「ダメよ。下手したら全部壊れてしまうかもしれないでしょうが」
 そういうのはまよいだ。あくまでも解く事が大事だと主張する。
「なあ、昨日の戦闘地点。ココとは真反対の場所じゃなかったか」
「あ……という事は」
 皆が昨日一つだけ取り外したレリーフに目をやる。
「夜まで待っても何もないなら、これに賭けてみるしかないな」
 
 二日目夜、日が沈むと同時に彼等は再びレリーフ回収に乗り出す。
 昨日は遅れを取ったが、今日はそこらに落ちていた木を使って屋敷周囲に松明を設置したせいか、足元は明るく今のところ敵の気配一つない。
「さっさと終わらせてしまおうぜ」
 夕暮れ前にレリーフの場所は確認してある。高い位置のモノは肩車や、飛ぶ箒を使って石碑にあった絵柄の石を取り出す。大地に雲、川に人と精霊…。絵柄だけでは判り辛いものも多くあったが、レリーフ自体に触れれば外れるから馬鹿でも判る。絵柄で判断がつかなかったものにはとりあえず触れて、彼らは着実に石碑の指すレリーフを集めてゆく。
「これで最後か」
 そっと最後の一つを和音が手に取る。その時だった。ゴトンッと大袈裟な音がして、一行はその音の方へ。すると音の出所は石碑で――彼等の予測通り、全てのレリーフを集めた事でどういう訳か石碑にひびが入り、中のもう一つの石が顔を出す。
 中にあったのは窪みのついた新たな石柱…窪みのサイズからしてレリーフをはめるで間違いないだろう。雲を上に大地は下に、人と精霊の位置が気になる所ではあるがレリーフの形を見れば一目瞭然。それに合わせて川を最後にはめ込む。それと同時に一瞬石柱が輝いて、示した先は木の横の地面だ。
「うそ…全然さっきまで見えなかったのに」
 何度も樹の傍は調べていたまよいが唖然とする。
 しかし、石柱が光った折一瞬ではあるが、魔法陣のようなものが弾けたから封印の結界か何かが張られていたのかもしれない。
「おい、開くぞ」
 うっすら浮き出た取っ手のようなものを軽く引っ張ると、そのまま地面の一部がスライドし奥に階段が現れる。
「やりましたね」
 最終日、今中に入ってもいいが、入ったとしてすぐに出口が見つけられるだろうか。
 この厳重な結界だ。屋敷に続いているとは思うが、万一違った場合を考えて彼らはそのままそれを見守る。すると、一定の時間で開き切るとまた徐々に閉まり始めて…よほど、ここの存在を隠しておきたいという事か。
 謎は深まるばかり…。

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MVP一覧

  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよいka1328
  • 不器用な優しさ
    和音・歩匡ka6459

重体一覧

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 魔導アーマー共同開発者
    レオーネ・インヴェトーレ(ka1441
    人間(紅)|15才|男性|機導師
  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 不器用な優しさ
    和音・歩匡(ka6459
    人間(紅)|26才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
人間(リアルブルー)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/10/28 19:55:24
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/10/27 07:37:06