• 東幕

【東幕】ある日の元憤怒王

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2018/11/28 19:00
完成日
2018/12/11 05:24

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ――その男は、今日も今日とて東方を彷徨っていた。
 その見目麗しい、女性と見紛うような端正な顔つきの人物は、名を九蛇頭尾大黒狐 蓬生という。

 闇の眷属に用意された七つの王座。かつてその一つに座し、憤怒王を名乗った怪物がいた。
 それが無様に人類に討伐された時、生に縋り付き意地も何もかも金繰り捨てて放り出したモノの1つ――それこそが彼だった。

 自らの存在を認識した時、彼は全てがどうでもよくなった。
 獄炎も、人類に負けたのであれば全てを怒りのままに焼き払う醜い怪物として潔く消えれば良かったのだ。
 生に縋りついて生み出したものが、ヒトの見た目に近く、しかも見目麗しいなんて何たる皮肉か。
 こんな見た目をしていたとて、自分はどこにも馴染めない。
 この世にある生物は己の放つ負の気配に耐えられない。
 草木は触れば枯れるし、ヒトは長く一緒にいると死んでしまう。
 だから、蓬生はひとところに留まることなく、ずっと旅を続けている。

 ――まあ、最近ずっとこまめに場所を移しているのは、妹に見つかりたくないからというのもあるのだが。
 妹に見つかると大体話が長くなるし、自分の計画に手を貸せと迫られる。
 別にこの国がどうなろうが知ったこっちゃないから好きにしろと言っているのに。
 何故妹は自分を放っておいてはくれないのだろう……。
 東方はもうあちこち巡った。
 色々なものを食べたし、景色や花も見たし。
 妹と物理的に距離を置く為にも西方に渡ってみても良いかと思ったが……また海を泳いで渡って海岸に打ち上げられるのも面倒だ。
 以前知り合った黙示騎士のシュレティンガー。彼なら瞬間転移が出来るし、西方まで送ってもらおうとお手紙を出したものの、お返事が来る様子がない。
 シュレティンガーさんはマメで、割とすぐお返事を下さる人なのに、今回は一体どうしたんでしょうか。
 ――手紙と言えば青木さん。彼との約束も果たさないといけないのですが、お返事がありませんね。
 もう少しこのままでも良いということでしょうか。

 ふと、空を見上げる蓬生。
 ……最近、空に2つの月が昇るようになった。
 一体あれはどういう変化なのだろう。
 この間寄った茶屋の娘さんに2つの月について聞いてみたものの、はっきりとした理由は分からなかった。

 もしかして、シュレティンガーさんや青木さんからお返事がないのは、アレが原因なんでしょうかね。
 ……そういうことならきっと、ハンターさんが詳しい事情を知っていそうですね。
 少し大きな街に行けば、ハンターさん達に会えるでしょうか。
 ちょっと行って聞いてみましょうかね――。

 独り頷く蓬生。そのまま、大きな街を目指して歩き始めた。


●現れたモノ
 憤怒火口から溢れた歪虚の一団を討伐し、報告を追えて帰路に着こうとしていたハンター達。
 街の門を出て、歩き始めて少しした頃。不意に近くの草花が枯れ始めたことに気が付いた。
「………!? 何だ? 花が急に枯れたぞ!?」
「……ねえ、何だか寒くない?」
 ハンター達を襲う寒気。
 あくまでも抑えられてはいるが、覚醒者であるハンター達を誤魔化すことはできない。強力な負の気配。
 間違いない。何らかの高位の歪虚が街に迫っている――!!
「まずいな……。俺達だけではとても防衛出来ると思えん。街に報せに戻るか」
「……ねえ。ちょっと待って。あれって……」
 ハンターの指さす先に目線をやるハンター。
 そこには見覚えのある高位歪虚が……。
「……何であいつがここに?」
「こっちが聞きたいわ……」
 顔を見合わせるハンター達。
 一体何が狙いかはわからないが、このまま放置しておく訳にもいかない気がする。
 いや、いっそ放置していてもいいのだろうか……?
 というか、こっちに気付いて笑顔で寄ってきてないか……???
 え。どうすんのこれ。
 意気揚々と歩いて来るそれを、ハンター達は無言で見つめて……。

 ――さて、どうしよう?

リプレイ本文

 十 音子(ka0537)は形容しがたい微妙な顔をしていた。
 何故って。こちらにやって来る紺色の狩衣の男にめっちゃ見覚えがあったので。
 経験と本能が鳴らす警鐘。
 ……このままでは何の罪もない一般の人にご迷惑をおかけしてしまう。
 何とかしなくては……!!
 その横で、トリプルJ(ka6653)が必死に目を擦っていた。
 しかし、何度目を擦っても謎のイケメンは消える気配はない。それどころかこっちに寄ってきている。
「……俺、目が疲れてんのかな。噂の憤怒王っぽいものが見えるんだが」
「残念ながら私にもそう見えるね」
 さらりと答えたアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)に頭を抱えるトリプルJ。
 やっぱり気のせいじゃなかった……!
 彼は隣にいた輝羽・零次(ka5974)に小声で話しかける。
「……とりあえず戦闘じゃなくて会話で良いんだよな?」
「喧嘩売ってきてるならともかく、敵意ないんじゃな……」
 そう。とんでもない存在――ここにいてはいけないモノなのは一目で分かるのだ。
 それなのに、敵意を一切感じないことに困惑を隠しきれない。
「……会話一択よ。喧嘩なんて売ってみなさい。私達1人残らず消し炭よ」
「戦闘する気があるのなら、とっくに仕掛けて来てると思うよ」
 肩を竦めるケイ(ka4032)に頷くアルト。
 仲間達がそんな会話をしている仲間達を他所に、メンカル(ka5338)が笑顔を浮かべ、両手を広げて謎の男に歩み寄った。
「蓬生じゃないか。久しぶりだな」
「ああ、メンカルさん。おひさーです」
「……え。何? 知り合いなの?」
 和気藹々と語り合うメンカルと蓬生を見てあんぐりと口を開けるトリプルJ。
 ケイはまあね……と呟き、2人に歩み寄る。
「ハァイ蓬生。変わらず元気そうね」
「おや、ケイさんもいらしたんですね」
「まぁね。仕事帰りなのよ」
「そうでしたか。お疲れ様です」
「それにしても、貴方がこんなところに出て来るなんて。世間話か井戸端会議か用事があるかのどれかね! どう? 当たりでしょう」
 にこやかに言うケイ。
 ――いや。その3つを挙げれば大体どれかは当てはまるんじゃないか……?
 そう思ったアルトだったが、ツッコむのも野暮なので黙っておいた。
 蓬生は気にした様子もなく整った顔に笑みを乗せる。
「さすがケイさん。良くお分かりですね」
「そんなことだろうと思ったわよ。ま、とりあえずは平和的な話を望むわ」
「私も皆さんとお話がしたいと思ってたんですよ。ところでこの街に美味しい甘味屋があるそうですよ。一緒にいかがです?」
「はぁ!!? 甘味!!?」
 驚愕する零次ににこやかに頷く蓬生。
 こうして話している間にも彼の足元の草花は急速に萎れているというのに。
 甘味を所望するというギャップに脳みそがついていけない。
 音子はこの光景に既視感を覚えつつ、蓬生に声をかけた。
「ええとですね。ここで立ち話も何ですから移動しませんか?」
「あ、音子さんもおひさーです」
「はいはい、おひさです。ここですと人目につきますし、場所を移しましょう」
「ええー。私、お団子が食べたいんですけど」
「お団子、全種類買って来ます。お茶もつけます。私が持ってるお菓子も出しますからとにかく街に入るのだけはやめてください」
「やった! どこがいいですかね」
 畳みかける音子に素直に応じる蓬生。トリプルJと零次は困惑した目線を向ける。
「……こいつ本当に憤怒王なのか?」
「何か調子狂うな……」
「気配からして間違いないとは思うけど……こう、ゆるいな」
「心配するな。蓬生はいつもこんな感じだ」
 困惑よりは観察の色が強いアルトに補足するメンカル。
 ケイは後方を指さした。
「向こう側に丘があるわ。見晴らしもいいし、そこでお茶にしましょう」


「……零次さんにトリプルJさん、アルトさんですね。私は蓬生と言います。宜しくお願いしますね」
 初対面の3人の自己紹介に物腰柔らかく応える蓬生。
 街で手に入れたお団子各種に、ぜんざい、桜餅や飴を並べた音子が、仲間達にお茶を配り始めた。
「はいはい。皆さんお茶が入りましたよ。蓬さんもどうぞ」
「ありがとうございます。戴きますね」
「ああ、蓬さん! それは手づかみで食べるものじゃないですよ。お箸は難しいでしょうからスプーン使ってください」
 ぜんざいの器に手を突っ込みそうになる蓬生を慌てて止める音子。
 前掛けをかけられ、スプーンを持たされ、世話を焼かれている蓬生が何だか子供みたいで、トリプルJは更に困惑する。
「見た目色男なのに食べ方はワイルドなんだな……」
「まあ、そうか。歪虚だもんね……」
 呟くアルト。
 蓬生は人間由来ではない、生粋の歪虚だ。そもそも、歪虚は食事を必要としない訳で……こういったことには疎いというのも頷ける話だ。
「ワインもあるわよー。ほらほら、皆飲んで。親睦を深めましょ!」
「いや、申し出は有り難いが、俺はこいつと慣れ合うつもりはないから」
「ふふふ。零次さんはハンターらしいのですね。いいと思いますよ」
 酒を勧めるケイにきっぱりと辞する零次。蓬生は何だか嬉しそうにニコニコしている。
 この余裕は強者故なのだろうか。それとも生粋の馬鹿なのだろうか……?
 トリプルJは団子を齧りながら恐る恐る尋ねる。
「……あんた、本当に憤怒王なんだよな?」
「ええ。元、ですけどね」
「その元憤怒王がこんなところまで来るなんて、一体何をしに来たんだ?」
「先程もちらっとお話したんですが、皆さんにお伺いしたいことがありまして……」
「ん? いいぞ。聞きたいことがあるなら教えてやる」
 アルトの問いにぜんざいを啜りながら答えた蓬生。あっさりと請け負うメンカルを零次が慌てて止める。
「おいおい。そんな無条件でいいのかよ」
「蓬生は友人だ。友人の願いには応えるべきだろう」
「はい。メンカルさんはズッ友です」
「そうだよな!」
 うふふあははと笑い合っている蓬生とメンカルに死んだ魚の目になる零次。
 目の前の色男がちょっとどころか大分おかしいのは会った時から分かっている。
 彼は気を取り直して蓬生を見つめる。
「……じゃあ、俺達の質問にも答えてくれるか? 答えられないことはパスで構わない。どうだ?」
「ええ、構いませんよ」


「……ええと。要するに、空に月が2つ昇るようになった理由と、シュレディンガーと青木がどうしているのか知りたい、と。それで合ってるかい?」
 話をまとめるアルトにこくこくと頷く蓬生。
 音子は言葉を選ぶように考えながら口を開く。
「2つ目の月はリアルブルーの世界ですよ」
「リアルブルー……? あれがですか?」
「ええ。邪神の召喚を阻止する為に、リアルブルーを封印して転移させたんですよ。その結果があの月です」
「……そうですか。シュレディンガーさんの計画は阻止されちゃったんですね」
「きみ、シュレディンガーの計画知ってたのか?」
「全部じゃありませんけどね」
 アルトの問いに素直に答える蓬生。シュレディンガー、という単語を聞いてメンカルが露骨に嫌そうな顔をした。
「蓬生、あの外道と仲が良かったのか。何か騙されたりしてないか?」
「騙すって……こいつと黙示騎士は協力体制があるんじゃねえの?」
「こんないい奴なんだぞ。利用されているかもしれないじゃないか」
 トリプルJのツッコミに仏頂面で答えるメンカル。
 どうも彼は、この元憤怒王にひとかたならぬ思い入れがあるようで……。
 ケイは苦笑しながら続ける。
「そういえば、蓬生は歪虚だから転移門が使えないのね。だからシュレディンガーに西方に送って貰おうと思ったの?」
「そうです。……ところで、シュレディンガーさんはお元気ですか?」
「……彼は死にましたよ。とても幸せそうな最期でした」
「リアルブルーの上層部はおろか、対歪虚の戦力として志願してきた子供まで歪虚化して、散々引っ掻き回してくれた挙句に勝手に納得して消えてった。俺も居合わせたんで間違いない」
 淡々と言う音子と嫌味たっぷりなメンカルに、遠い目をする蓬生。
 続いたメンカルの説明に、納得したように何度も頷く。
「そうでしたか……。それにしても流石シュレディンガーさん。契約者の大量生産とは考えましたね」
「お前は真似するなよ?」
「しませんよ。立場的には獄炎の仇を取るべきなんでしょうけど、どうでもいいですし。それよりどうしましょうメンカルさん。彼がいないと転移をお願いできません」
「ああ、その能力なら後継者が継いでるわ。赤毛の……何て言ったかしら」
「テセウスだな」
「そうそう。その子が転移使えるみたいよ」
「そうですか! じゃあその方に連絡とってみましょうかね。ありがとうございます」
 ケイとメンカルの言葉にぱあっと顔を明るくする元憤怒王。
 アルトはふと疑問に思ったことを口にする。
「1つ聞いてもいいか? ……お前達歪虚ってどうやって連絡とってるんだ?」
「黙示騎士の皆さんや他の歪虚はどうだか分かりませんが、私は基本お手紙ですよ。鴉に運んでもらうことが多いです」
「鴉?」
「憤怒の歪虚に化け鴉というのがいるんですよ。知能は高くないですが、手紙を届けるくらいなら頼めるので」
 化け鴉という単語に聞き覚えがある気がして記憶を探るアルト。
 ――そういえば以前、初代詩天の三条 仙秋が大きな鴉を連れていたような……あれと同じものだろうか?
 彼女が考えている間に、蓬生の声が続く。
「……青木さんはお元気ですか?」
「結構前に足を抉られて以来だな。アルトはこの間会ってるか?」
「ああ。少し前に怠惰軍が派手に動いてた時にね。相変わらず足の速くてつれない奴だったよ」
「元気すぎるくらいだな。怠惰王であるビックマーを吸収しやがった」
「そうですか……! 歪虚として頑張ってるんですねえ」
 メンカルとアルト、零次の言葉にぱちぱちと拍手する蓬生。
 それが本当に、心から嬉しそうで……トリプルJは心にあった疑問を確信に変える為に言葉に乗せる。
「あんたと青木、友人……なんだよな」
「はい。私は友達だと思ってるんですけど、青木さんはそう言うと怒るんですよね」
「ついでに変な質問ではあるんだが……友人が歪虚王になると嬉しいもんなのか?」
「そうですね。歪虚王になる、というのは青木さんにとっては副産物だとは思いますが……彼はずっと強さを求めていましたから。その目標が達成出来たというのは喜ばしいことです。私が約束を果たした暁には、すごいことになるでしょうね」
「……約束? 何か手伝いでもするのか?」
「いえ、以前協力して戴いた見返りとして、私を食べる約束になっているんですよ」
「……は? 食うって? 青木が? あんたを??」
「ええ、そうです」
 のけ反るトリプルJ。明日の天気を話すかのように気軽に答える蓬生。
 そういやそんな約束してるって聞いたことあるなー……とアルトが遠い目をしている横で、零次の顎がカクリと落ちる。
「何でそんなあっさりなんだよお前!? 食われたらとんでもねーことになるだろうが」
「んー。別に私、いつ死んでも構わないですし」
 にっこりと笑う蓬生。メンカルは真顔で友人の端正な顔を見つめる。
「……エサになるのだけはやめてくれ」
「どうしてですか?」
「お前が消えたら悲しいからだ」
「……おかしなことを言うんですね。私は歪虚です。存在し続ける限り、貴方のお仲間を傷つけますよ?」
「それでも。友達に消えて欲しくないと思うのは自然の感情だろう?」
「メンカルさんは困った人ですね」
 くすりと笑う蓬生。
 ……とにかく。この『約束』を果たさせる訳にはいかないな。
 アルトはそう思いながら話を続ける。
「ちょっと話が脱線したけど。青木はその辺の関係と怠惰の歪虚としての本業で忙しいんじゃないか?」
「そうですか。理由が分かってすっきりしました」
「なあ。あんた、何で青木が力を求めてるのか知ってるか?」
「いいえ。事情についてまでは知りません。……ああ、でもいずれ、彼はヒトの姿を捨てるかもしれませんね。青木さんはずっと『ヒトではない何か』になりたがっていますから」
 お茶を啜りながら言う蓬生に、ため息をつくトリプルJ。
 青木は以前から幾度となく『ヒトを超えた』と言っていた。
 怠惰王の力を手にした今、本当にそうなってしまうのかもしれないと思うと……元軍人仲間の身としては胸が痛む。
 零次は蓬生に自分の分の団子を渡しながら口を開いた。
「エトファリカボードについて何か知ってるか?」
「さあ……」
「妹に義理立てしてるのか? 話せないならそう言ってくれて構わない」
「いえ、本当に知らないのですよ」
「地図に描かれた五芒星についても知らないのか?」
「何が描かれているのすら知りません。そもそも、あれはヒトが作ったものではないのですか?」
「人が作った……? でもあれは災厄を呼んでいて……」
 蓬生の返答に戸惑う彼。エトファリカボードは歪虚の手で作られたと思っていたのだが。違うのだろうか……?
 音子は『妹』という単語を聞いてぽん、と手を打った。
「妹さんで思い出しました。彼女が生まれた時期と経緯を知りませんか?」
「さて……獄炎の尻尾は9本ありますし、あちこちに放りだしていても不思議じゃないですね」
 ……ということは、蓬生や狐卯猾のような存在が他にもいるんだろうか。
 げんなりとする彼女の言葉をアルトが継ぐ。
「妹さんの得意なこととか特技とか知ってるかい?」
「さあ? 興味ないので……」
「あの女狐はとんでもない奴だな。あいつ自分が独断でやったことを蓬生の差し金だと吹聴して、俺達をぶつけようとしたらしい」
「あの子がやりそう手ですね。搦め手が好きみたいですし」
「ふーん。憤怒火口とかについて何か聞いてるか?」
「さっぱりです。何しろあの子から逃げ回ってるくらいですのでね」
 アルトとメンカルの言葉に肩を竦める蓬生。零次は問いかけながら元憤怒王をじっと見つめる。
 嘘をついているようには思えない。本当に知らないのか……聞かれなかったから答えないのか、どちらかまではわからなかったが。
「さて、聞きたいことは聞けましたし。そろそろお暇しますね」
 立ち上がる蓬生を呼び止める音子。彼にハイ、と小包を渡す。
「これお団子とお菓子です。お土産にどうぞ」
「わあ、ありがとうございます!」
「……また会えるか?」
「ええ。ご縁があればいずれ」
「また会ったら皆でお茶しましょ」
 寂しさを隠さないメンカルに、微笑むケイ。
 蓬生はニッコリ笑って、ハンター達に手を振って見せた。


「さて、テセウスさんでしたっけ。連絡を取ってみましょうかね」
 足取り軽く歩く蓬生。
 元憤怒王の旅路は続いていくのかもしれない……。

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参加者一覧


  • 十 音子(ka0537
    人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 憤怒王FRIENDS
    ケイ(ka4032
    エルフ|22才|女性|猟撃士
  • 胃痛領主
    メンカル(ka5338
    人間(紅)|26才|男性|疾影士
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言