お子様、お断りっ!?

マスター:奈華里

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2018/12/07 07:30
完成日
2018/12/20 00:52

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「わーい、勇者の剣だぁ」
「だったらこっちは弓で対抗だぞっ」
 耳に入る甲高い声――彼等が手にしているものにハッとする。
 それは僕の自信作たち。図鑑を借りてきて木を削って作った小さ目のレプリカだが、出来は良く気に入っていたのに…彼等はそれをまるで判ってない。ただの遊び道具の一つだとしか認識してないのだ。そんなだから彼等は僕の作品達を無碍に扱う。
「こらっ、おまえらやめんかいなっ」
 乱暴に扱う二人に僕が叫ぶ。しかし、二人は聞く耳を持たない。
 折角作った自信作が打ち合わされて次第と形状を変えてゆく。
(あぁ…もう、こんなところいられへん。いられる筈がないやないかっ)
 それは僕が決意した時の事――あの時のそれは僕にとって悪夢でしかない。
 だが、悪夢は忘れた頃に訪れる。

「え、工房長…今なんて言いましたか?」
 ギアが去って行こうとした工房長の手を掴み尋ねる。
「あ、いやだから工房見学の案内を任せたいなと」
「いえ、そこではありません。その来る人達って」
「子供だよ。何か問題でもあるかな?」
 子供…ギアはその言葉に動揺を隠せない。
 いつもなら冷静で淡々と仕事をこなす彼であるが、子供と言われてはそれを見過ごす事は出来ない。
「ちょっ、ちょっと待って下さい。ここは武器工房ですよ。子供なんていれたら危ないじゃ無いですか!」
 鉄を加工する為の大きな窯に、どでかいハンマー、作りかけとは言え刃物の類いも多い為、無闇に触って怪我してしまう事だって考えられる。そんな危険な場所の子供を入れるなんてもっての外だと主張する。
「いやしかしなぁ~未来の職人が減ってもあれだってんでPRの一環なんだよ」
「PRってそんな…」
 一応子供と言っても年齢は十歳以上で分別のある年頃を限定にしているそうな。
 けれど、逆に言えば一番そう言うのに興味を持つ世代であり、実際やってみたいと思い出す年齢でこちらの指示にちゃんと従ってくれるかどうか不安が大きい。
(あいつら程じゃないにしても子供は困る)
 ギアが工房長に気持ちを悟られないようにしながら反撃文句を考える。
 が工房長はそんな彼の内心に気付かずに自論を展開し始めて。
「ギアは今十八だったか。なら、十代同士話しやすくていいんじゃないか?」
 十代同士とて八年違えば割と違うのだが、その辺の事は全然判っていないらしい。
 まあ、工房長の十代はかなり前であるから忘れていても当然なのだが、それはそれだ。
「それに確かここにギアがきたのは十五だったな。とすると見学にくる子達とそんな変わらんし、大丈夫だろうと俺は思うぞ」
「……」
 何度も言う。確かに十代だが、十と十五、十と十八のこの間は短く見えてもかなり違うと思う。
「あの、工房長。この件、もう一度じっくり考え直した方がいいですって」
 安易に了承して手遅れになってはいけないとギアが自分の事抜きでも忠告する。
「けど、これはもう決定事項だからなぁ…他の工房も少しずつ受け入れるというし、すまんなっギア」
「そんな…無茶ですよぉ。けど、まあそう言う事なら」
 やるしかない。他がやっていてここだけがやらないとなると組合からも色々言われそうだ。
 気が進まないが、十代過ぎているという事をポジティブに受け取ってギアは案内役を渋々了承する。
 が、話はここで終わらなかった。どういう訳か見学日前日に手違いが発覚して…。
「あ、あー…すまん。明日の見学者なんだが、六歳から十歳までの子が七人も来るそ…」
「はぁ!? なんやねん、それっ!?」
 突然の報告にギアが思わず手にしていた道具を取り落とす。
「あ、あれ…ギア君…その言葉遣いは?」
「あ、いや…これは、何でもありません! しかし、そうなると手伝ってくれる人を要請しないと」
 実は見学の日は別の職人達は休暇という事になっている。つまりこのままでは人手が足りないのだ。
(くそー、一番手のかかる年頃の子が七人も…あかん、絶対あかん)
 頭の中で悪いイメージがループする。そこで彼はハンターに手伝い要請をかける。
『緊急、工房見学スタッフ募集! 子供の扱いがうまい人求む!』
(一応、窯に火は入れへんし道具の類いは出来るだけ片付けとくけど…何をやらかすか判らへんし、用心せんと…)
 ギアが焦る。いつもの彼とは見間違う程に、彼は今いつもの自分を見失いつつあった。

リプレイ本文

●ルキウス
 工房の見学会――所謂社会科見学であるが、工房を訪れる子供達は一体何を求めているのだろうか。
 ディーナ・フェルミ(ka5843)は事前に頂いた資料を眺めながらそんな事を考える。
 一方、サクラ・エルフリード(ka2598)とガルフ・ガルグウォード(ka5527)は見学コースの下見中だ。大人から見て安全と思える場所でも子供の視点に立つと危ない部分があるかもしれない。視点を出来るだけ低くして、危ない場所がないかを考える。
「ちょっとあそこの出っ張りが気になるかなー?」
「そうですね。念の為、カバーなんかをかけておきましょう」
 二人はギア案内の下、隅々まで相談する。
「んなの手を繋いでれば大丈夫でやがるです。それにこっちにはとっておきのこれがあるのですから」
 にししっと笑ってシレークス(ka0752)が取り出したのはクッキーだ。
 王家印の高級品であるから子供達には勿体ない程の品である。
「俺もお菓子案はイイと思ってるぜ。見学にお土産は付きものだしな」
 ガルフがその事を聞いてそれに同意する。実際のところ彼もまたクッキーを用意している一人である。
(時間があったら手作りのも用意しておきたいなぁ)
 子供達の笑顔を脳裏に浮かぶ。彼はどうやら子供が嫌いではないらしい。そんな姿を横目にギアは今も何処かピリピリしている。案内の最中も心ここにあらずといった状態で、傍から見てもそれが判断できてしまう。
「どうかされましたか?」
「いえ、別に…」
 サクラの問いに彼は素っ気なくそう答え、次の場所へ。
「あれ、本当に大丈夫でやがりますかねぇ?」
 友であり相棒でもあるサクラにシレークスが尋ねる。
「そうですね…気にかかりますが、話して頂けないのでは何とも…」
 無理に聞き出してもいいが、それは気が引ける。もう少し様子を見た方が良さそうだ。
「ねえねえ、みんなこれ見て欲しいの~」
 がそこでディーナが声をかけて、名簿にあるとある名前をを指差す。
「これは?」
「もしかして」
 ナト=ルキウス…それが問題の名前だった。

 男六の女一。これが集まった子供達の内訳だ。
 そして年の内訳はと言えば、六歳が二人、七歳が一人、八歳が三人、十歳一人という感じ。この最後の一人が女の子だったりする。
「今日はよく来やがりましたね。いい子にしてたらご褒美のクッキーを用意してるですから、わたくし達のいうこと聞けますですね?」
 まずは先制パンチの如くシレークスが言い切る。
 そこで出たクッキーの言葉にあっさり目を輝かせる子供達。どんなのだろうと妄想中。
(まずは飴作戦は成功でやがります)
 それに手ごたえを感じて、シレークスは内心微笑まずにはいられない。
「今日はありがとうなの。まずは見学に入る前にみんなの名前と参加しようと思った理由と何の武器が好きか教えてくれるかな?」
 そこでこの流れに乗って自己紹介を提案したのはディーナだ。集まった子供達は方々から集まったと聞いている。ならば、自己紹介をする事で緊張を解し、更には好きな武器を知る事で事前に興味を持ちそうな場所を推測しようと考えたのだ。
「ちなみに私は聖導士のディーナというの。同盟で人気の武器工房を見学できると聞いて参加したの。聖導士はメイスを使うことが多いの、お姉さんもメイスが好きなの」
 持参したホーリーメイスは見た目は少しバランスが悪く見える。しかし、使えば使う程馴染んでいくそれは今では彼女の良きパートナーとなっている。
「すっげー、あんなのを軽々ともってやがる~」
 鎚といえば豪快なイメージがあるからか、少年がディーナの姿に呆気にとられる。
「一応、女性でも持って振り回しやすいような形状にしてありますからね。武器職人はそういう所まで計算して一番機能的な形を模索して作り上げているんです」
『おおっ…』
 少年の言葉につい解説が飛び出したギア。その話に子供達からの視線を一手に受ける事となって、
「あ、いや…すみません。自己紹介でしたね」
 とその瞳にびくりとしギアは身を縮める。
「こちらが今日案内してくれるギア=ルキウスお兄さんなの。みんな何かあったら必ずお兄さんに確認してなの」
 ディーナの言葉に子供達が元気に「はーい」と手を上げる。
 だが、ギア自身は困惑気味に子供らを見つめるばかりだ。
「ギアは子供苦手かい? でもさっきの感じでいいと思うぜ」
 それに気付いて、こそりと彼の傍に行きガルフが助言する。
「さっきの感じというと?」
「普通に、大人に対応するのと同じって意味だ」
 子供だからと言って子供扱いはしない。それがいいとガルフは思う。
 次々と子供達が自己紹介を終える中、最後に残ったのは例の少年だった。青い髪が外にはねている。
「ぼ、僕はナト=ルキウスです。兄ちゃんに会いに来ました…えと、好きな武器は兄ちゃんの作ったやつです」
「え…」
 ギアが少し驚き顔を上げる。ナトもちらちらギアを気にしているようだ。
「ちょ、って事はあれがおまえの兄ちゃん!」
 他の子達が口々に言う。そう、ナトは紛れもなくギアの弟なのだった。

●無垢ゆえに
 一頻り驚いた後はいよいよ見学。
 既に待合となっていた場所にも多くの道具が壁にかかったりしているから男の子の目はキラキラだ。
 ハンターが持つ武器を作る為の道具達…それらは彼等にとって魔法の道具に等しい。だが、作るまでには気の遠くなるような時間と労力が必要となる。窯の前でその事を説明し始めるとどうしても飽きが来る子達が出てくるもので…。
「ねえ、そのカマでピザ焼いたりできないの?」
「俺、お腹すいたー」
 とそれぞれに愚痴が零れ出す。だが、職人からすればこの言葉は侮辱に近い。
「ピザとかなんやねん…」
 ギアがふるふると拳を震わせる。
「えーだって、ピザ窯もそんなんだろ」
「おれ、パンもすきー」
 が子供の愚痴は止まらず、更なる言葉が彼の怒りに火をつける。
(やっぱりあかん。この手の子供は性に合わんわ…)
 そう思い、ギアが手にしていた資料を投げ出そうとしたその時だった。
「おい、今言ったの誰だ? ちょっとそれは見過ごせないでやがるですよ」
 ドワーフであるシレークスは鍛冶場の重要性を誰よりに理解している。だから彼女も今の言葉は見過ごせなかったようだ。
「いいでやがるですか。お前達の命を守るものをここで生み出してやがるです。確かにパンもピザも命の源ではありやがりますが、生み出すものと守るためのものを一緒には出来ない。それ位判らないでやがりますか!」
 迫力ある説教に愚痴っていた子供の様子が変わる。
「そうだよ。この窯はシンセイなものなんだ…だからそんな言い方しちゃだめだよ」
 ナトも何となしにそれを感じ取りシレークスの肩を持つ。
「ちぇっ、冗談だっつーの」
 しらけた少年が小声で言う。けれど、このおかげでギアは切れずに済んだようだ。
「流石です。シレークスさん」
 サクラが彼女を褒める。
「何、思った事を言ったまででやがります。また言ったら今度はお尻ぺんぺんでやがるです」
 飴と鞭…彼女らしいやり方だが、全てはそれだけでは治まらない。ディーナとガルフが個々の性格を知り、注意して見守り工房内での大きな混乱はなかったものの、工房内の見学を終えて、道具屋に移動する時に事件は起きる。

「えー、オレこいつと繋ぐのやだー」
「女と繋ぐとかはじぃーしぃ」
「繋ぐ必要ってある??」
 迷子防止の為、手を繋がせようと思っていたハンターらはここに来て壁にぶち当たる。
 六~十歳といえば多感な時期であり、特に男子は女子との接触を恥ずかしがる子がいたりするのだ。
「ちょっ、言う事を聞いて下さい。でないと出発できません」
 サクラがあわあわしながら言う。
「これじゃあ、進められないのぉ」
 とこちらはディーナだ。女性ハンター相手でもそれは有効らしい。
「ああ、もうさっき言っただろうが。いい子にしないとお尻ぺんぺんの刑でやがるですよ!」
 そこでシレークスがお仕置きをチラつかせるも、地の利をしればこっちのもの。
「へーんだ。やれるもんならやってみろーい」
「みんな、ちれーちれー」
 と見て回ってきた場所で思い思いに逃げ始める。
「ちょっ、やめてよ! 暴れちゃ迷惑だよっ!」
 そこで声を上げたのはなんとナトだ。いきなりの声に一時その場に静寂が訪れる。
 しかし、こういう場のいい子ちゃんというのは悪戯っ子からすれば鼻持ちならないものだ。
「なんだよ。ちびのくせにいい気になりやがってー」
 一人の子がナトに拳を上げる。
「もう、めーです」
 そこで更に待ったをかけたのはサクラだ。まさか子ども相手に使う事になるとはだが、緊急事態ならば仕方ない。スキルで自分に意識を向け、衝突を避ける。
「あ、あれ…俺」
「勝手に動き回ったら危ないでしょう…。怪我してしまったら痛いだけでなく、貴方の両親や此処にいる人たちも悲しませてしまいますよ…?」
 サクラが少年と視線を合わせて言い聞かせる。
「けど、あいつが…」
「先に暴れたのはあなたですよね?」
 その気に圧されて少年が小さく謝罪する。
「あの、ナトが…どうして…」
 ギアが小さく呟く。
「なあ、手を繋ぐのが嫌ならこれ使わないか?」
 そんな折、ふと閃いてガルフが武器を取り出し皆に提案する。
「これから納品しに行く訳だし、剣は鞘に入ってるものを選べは危なくないだろう?」
 つまり彼は武器を介して端と端を持ち運ぼうというのだ。
(興味があるモノを介せばきっと大丈夫な筈)
 自分がそうであったように。それは今の子も同じだとガルフは考える。
 が、流石に刃物系でなかったとしても武器を素手で持たせるのは危な過ぎるという事で、次に出たのはディーナ案。
「じゃあ荷車に乗せてみんなで引くのはどうなの~?」
 ディーナが問う。
「まあ、それなら…」
 そのOKに子供達が喜ぶ。ここまで見学として動き回ってはいたのだが、体験出来る事はなく言葉の解説にも飽きてきていたのだろう。手伝えるというだけでも彼らはとても嬉しそうだ。
「っとその前にご飯にするか」
 時間を見てガルフが言う。それに皆が頷いた。

●大人とは
 昼休みに子供達の明るい声がする。初めの印象が良かったのか、ディーナの傍には多くの子供が集まり、シレークスとサクラの周りには悪戯好きの子がちょっかいを掛けようと画策している。
「なあ、ここいいか?」
 そんな中、子供達から離れた場所にいたギアにガルフが声をかけて「どうぞ」の声に彼はにやり。
「おい、いいってよ。こっちおいで」
 そう言い呼んだのは勿論ナトだ。
「…だましましたね?」
 ギアがムッとした表情で言う。
「別に俺もご一緒するから嘘にはならないだろ。なあ、ナト」
 始めからぎこちなかったギア。ガルフ他皆、その原因がナトではないかと踏んでいる。
「何で来たん?」
 ギアが視線を合わせずに問う。ナトは少し困っていたが、暫くすると意を決したように話し出す。
「兄ちゃんに会いたかったから。僕も武器職人なりたいんだ」
「は…まさかやろ」
 突然の言葉に今度はギアが困惑。だが、次に取り出したそれに彼はハッとする。
 それは数年前にぼろぼろにされた筈の木製レプリカだった。サイズは更に小さくなってしまっているが、必死に削って欠けた部分を滑らかにした跡がある。
「兄ちゃんみたいにうまくないけど…直してみたんだ。アキ兄とアタ兄の持ってたやつ」
 ナトが静かに続ける。
「二人も兄ちゃんが出てった後反省してたみたいだよ。余りにもカッコいいから使ってみたくなったんだって…でもそれが大事なものだったなんて知らなかったって」
 六歳だというのにナトはとても利口そうだ。嘘をついている素振りは見られない。
「そうかぁ…でも、それが判ってもオレは帰らへんからな」
 ギアが言い立ち上がる。そろそろお昼休みも終了だ。休憩を終えて、また皆が一所に集まり出す。
(判ってた筈や…子供皆がアイツらと同じやないって。ナトもいい子に育っとる…なのに、オレは)
 悩んでいる様子のギアをガルフが見守る。なんだかんだ言ってもまだギアも子供なのかもしれない。

 午後からはさっき言った通り、道具屋への納品説明兼お手伝い。
 荷車にロープを繋いで皆で引っ張りながら街を行進。道行く人が何事かと思いつつも微笑みを浮かべている。
「大体一度に大きなものはに三本が限度ですね」
 一本数十キロの得物もある。それをハンターでない職人が運ぶのだから仕方ない。
 そうして、道具屋に着いたら子供達はテンションMAX。いつもは親にあまり近付く事を許されていないようで、陳列されている武器の数々に興奮気味だ。
「いいなー、オレこういうの作りたい」
 幅広の剣を前にやんちゃそうな子が言う。
「だったらもっとデカくならないとな。でなけりゃこんな刃を鍛えられないぜっ」
 とこれは道具屋の主人だ。子供達の嬉々とした顔にこちらも嬉しいらしい。
「ねえねえ、お姉さん騎士でしょ。一回振ってみてよ」
 サクラの傍にいた少年がそうせがむ。
 そこで道具屋の隅を借りて素振りを披露すれば、それだけで子供達の人気を独り占めだ。
「無事終わりそうで良かったの~」
 その様子を眺めながらディーナが言う。
「そう、ですね。助かりました」
 とこれはギアの言葉。そこでお開きと行きたい所だったが、最後のお楽しみを忘れてはならない。
「さぁ、みんなお土産のクッキーだぞ~」
 ガルフが一つ一つ包んで子供達に配る。どうやら手作りも間に合ったらしい。工具の形に成型してアイシングまで施したクッキーに子供達が群がる。
「まあ、約束でやがりますからね。有難く受け取りやがれです」
 シレークスも持参したそれを順々に配る。
「ありがとー」
「なかなか面白かったぜ」
 子供達は口々にそう言って、今日の見学をそれなりに楽しんだようだ。
 そして彼も…最後の最後には少しだけ変化があったようで。
「……また、くればええ。けど、こんなんじゃまだ職人は無理やで」
 ナトにレプリカを投げて返しながらギアが言う。
「う、うん…わかった。ありがとね、兄ちゃん」
 それにほっとしてとびきりの笑顔を返すナト。
「フフッ、ギアさんもよかったの♪」
 その様子を見てディーナが笑う。
 彼女が登録通りであればギアとは同い年なのだが、精神的にはどうも彼女の方が上と見える。
「あの、ところでギアさん。その喋り方なのですが…」
 サクラがふとそれに気付いて尋ねる。がその問いにハッとしてギアは口を噤んで…。
 自然に出ていた所からするとさっきのが素なのだろうが、彼が隠したいというのならそれはそれ。
 工房見学はこれにて終了となり、数日後参加した子供達から手伝ったハンターらの元に手紙が届けられて…。
 そこには感謝の言葉や思い出の絵が描かれているのであった。

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参加者一覧

  • 流浪の剛力修道女
    シレークス(ka0752
    ドワーフ|20才|女性|闘狩人
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 良き保護者
    ガルフ・ガルグウォード(ka5527
    人間(紅)|20才|男性|霊闘士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【相談卓】
ガルフ・ガルグウォード(ka5527
人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/12/06 23:18:14
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/12/06 20:39:55