【初夢】わがはいはゆぐでぃらである

マスター:小宮山

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2015/01/07 22:00
完成日
2015/01/23 00:17

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 我輩はユグディラである。
 名はターレッティ・マルケクセラ。
 艶やかなトラ模様が自慢である。
 王から爵位を戴き、代々続くマルケクセラ家嫡男。代を数えれば3世である。
 つまり偉いのだ。どうだ、まいったか。

 我輩は諸国漫遊の旅を続け、人間共の住む一番活気のある街と聞きリゼリオという街に辿り着いたのである。
 リゼリオは良い所だな。居心地の良い裏路地を歩けば食べ物がそこら中にあるのだ。
 女子供にウィンクの一つでもしてみれば、奴らは我輩の魅力にメロメロだ。
 薬師の家もチェックしなければならない。奴らは気まぐれで貴重なマタタビを我輩達に貢いでくれるのだ。

 そうそう、我輩達、と言ったが、我輩には二人の付き人がいる。
 貴族だからな、当然なのだ。
 そっちの黒い方がクラン・ロラン。我輩の護衛だな。こいつが意外と堅物で困る。
 三歩後を付いて来る三毛のはミラン・ケラン。我輩の世話係だ。歳は若いのに器量好しだ。口煩いのがたまに傷だな。

 ともあれ、我輩達は今日も薬師の元へとマタタビを強請りに……もとい。貢がせようと裏口へと回ったのである。
 いつもの様に扉をノックし、三人揃って目を輝かせ、手を合わせるのだ。
 人間共はこのポーズを「お願い」と認識している様だが、我々の中では「脅迫」である。
 つまり「マタタビを寄越せ」という事である。
 扉が開き、いつもの薬師が出て……こない。人間のメスの様だな。
 薬師は留守か。しかし、此奴もマタタビを持っているかもしれない。
 我輩達は当初の予定通り、脅迫を──

「まぁ! あなた達が主人の言っていたユグディラ達ね? ちょっと待ってて。いい物をあげるわ」
 どうやら、この人間のメスは薬師の番いの様だ。
 扉の奥へ引っ込んだ人間のメスは、マタタビと共に何やら貴金属を手に持ってきた様だ。
 ふふん、貴族である我輩に貢ぎ物か。良い心がけではないか。
「はい、マタタビと、これは魔法石をユグディラサイズのネックレスにした物よ。気に入ってくれると良いのだけど……」
 どうやら人間のメスは、我輩達にネックレスを付けようとしている様だ。ふふん。苦しゅうないぞ。
 我輩達にネックレスとマタタビを渡し終えると、こう言ったのだ。
「トラちゃんとクロちゃんと三毛ちゃん、またいらっしゃいね」

「我輩の名はターレッティ・マルケクセラ4世である! トラちゃんなどという名ではないのである」
「……?!」
「ターレッティ様、人間に我々の言葉は通じませんよ」
 ミラン・ケランが我輩に意見をするが、人間のメスは更に目を見開く。
「待て、ミラン・ケラン。何か様子がおかしい……ご婦人、我々の言葉が理解できるのですか?」
 人間のメスはガクガクと頷き、そのまま気をやったのか後ろ向けに倒れこんだ。
「マズイです、ターレッティ様。この場に留まれば、トラブルの元になりかねません……」
「我輩達は悪い事はしておらんぞ? しかし、何故……?」
「ご婦人はこの首輪……ネックレスに魔法石を使ったと言っておりました。恐らくはコレのせいかと」
「ふむ。言葉が通じるのは便利な事だな。はっはっは、酒場にでも繰り出して、人間共に給仕させるのも一興か。行くぞ!!」
 我輩はとりあえずこの場を離れる事にしたのである。無用なトラブルは御免なのである。

 そして、我輩達は相談の末、人間達へ依頼を出す事にしたのである。
 我輩達が直接酒場に出向こうものなら、バケツで水をかけられるのが関の山なのである。我輩は貴族なのにだ!
 ……コホン。
 依頼内容はこうだ。
「街外れの空き地にて、とある貴族一行が庶民の宴を体験したがっている。身分を明かせない為、屋外での宴を所望する。指定場所で待つ」

 これでよし。後は待つだけなのだ。抜かりはないのである。ふふん。

リプレイ本文

「遅刻したのである!! 申し訳ないのである!!」
 依頼の指定場所へと集まり始めたハンター達の前に、仁王立ちで現れた猫。いや、ユグディラ。
「……済まないのである」
 一応、横柄な態度で言う事では無いと自覚はあるようだった。
「庶民の宴を体験したいってーのなら、酒場に行きゃいいだろうに。なんでわざわざ街外れなんかでやるんだよ──ん? 猫?」
 鹿島 雲雀(ka3706)が指定の場所に到着、ユグディラの姿を見た瞬間に目の色を変える。
「しゃべる猫、だと……!?」
「ほーら猫ちゃん達おいでおいでー、であるー♪」
 更に到着した黒の夢(ka0187)はユグディラが喋る事に疑問は一切無く、既に馴染んでいるようだ。
「皆、すまないが先におもてなしをしててくれ。ちと急いで街へ行ってくる! 馬で!」
 言い終わるか否か、話し切る時間も勿体無いという程で、鹿島は馬に跨り砂煙を上げて走り去っていく。
 ちょうど擦れ違う様にヤナギ・エリューナク(ka0265)とルカ(ka0962)が到着する。
「えぇと……? 鹿島さんは、街に戻られたのです……?」
「そうみたいなー♪」
 既にユグディラを追い回している黒の夢から返答が飛んだ。
「やめるのである! と、とりあえず落ち着くのである!」
 ギニャー! と叫び声をあげつつも意味のある言葉がユグディラの口から漏れると、ヤナギが驚き、瞬時に納得した。
「あ?! 喋る猫だと? ああ、喋るユグディラ、ね。何て言うか……こっちの世界には分かんねェコトがあるもんだゼ」
 後ろを気にしながら逃げ回るタマの両脇に待ち構えていた手がすっと差し入れられ、抱き上げられる。
「ふふ〜もこもこ〜♪」
 いつの間にか現れていたIX(ka3363)が、抱き上げた茶トラを抱きしめ、頬ずりをする。
「いつの間に居たんですか……?」
「最初から〜? 向こうでもう一人とお話ししてたんだけどぉ、実は居なかった、みたいな?」
「心霊現象かよ……やめてくれよな。しかし……貴族一行ねェ……。誰がボスなンだ?」
 ヤナギが芝居がかったぶるっと震えるような仕草をIXに見せる。
「とりあえず、下ろすのである! 馬も戻ってきたのである!!」
「ヒャッハー! 戻ったぞオルァ!」
 ならず者の様なハイテンションの叫び声で鹿島が馬車を引いて戻ってきた。
「……街に向かう時、馬だけでしたよね……?」
「そりゃ、猫相手なら猫じゃらしとか魚とかマタタビとかな? 宴ってんだから盛大にやらねーと」
 正に無類の猫好き。楽園はここにありの勢いである。

「とりあえず……とりあえず……」
 茶トラが拗ねていた。
「皆さん、とりあえずターレッティ様のお話を……」
 三毛猫がハンター達に声をかける。
「ミラン、『とりあえず』はやめろ」
 黒猫の声に「はっ」と口元を押さえ、更に拗ねるタマの背を摩る。
「皆さん、遅刻は本当に申し訳有りません。ターレッティ様も反省しています。お話を聞いていただけませんか?」
 一番理性的に会話をする黒猫が、よく通る声でハンター達に話しかけた。
「ダンニャさんが言うなら、まつのなー」
 黒の夢の声と共に、ハンター達の視線がターレッティと呼ばれた茶トラのユグディラに注がれる。
 機嫌を直したのか、気を取り直したのか。ターレッティは手近な木箱の上へとひらりと飛び上がり、二足で立った上で胸を張る。
「我が名はターレッティ・マルケクセラ5世である! 貴族である。偉いのだぞ? ふふん。今日は我輩たちのために人間の庶民の宴を体験したいのである! よろしく頼むのだぞ!!」
「付き人のミラン・ケランです。ミケとお呼びくださいね」
「教育係兼護衛のクラン・ロランです。クロとお呼びください」
 三毛猫と黒猫も合わせて自己紹介をする。
「たぁれっち……?」
 IXが首をかしげると
「ターレッティ・マルケクセラ6世である!!」
「タマでい〜い?」
「タマちゃんなー♪」
「……今日だけタマでいいのである……」
 先ほど追い回されたのと言っても聞いて貰えそうに無い空気を感じたのか、ターレッティ改めタマはため息とともに略称を認める。決して字数削減の為では無い。
「数字が増えてる所には誰も突っ込まないのですね……」
 ルカの冷静なツッコミと共に、宴の準備が始められた。

 先ずは目を輝かせ、先ほど用意した荷物をゴソゴソと漁る鹿島の姿が眼に入る。
「とりあえず何出す? 魚か、猫用のミルクか、それとも……」
「鮭トバを少し……ある種マタタビよりも食い付きが非常にいいのです……」
 鹿島が荷物を漁る間に、ルカがささっと鮭トバを取り出す。
「あ、そっかそっか。じゃあ皆で宴するのなー、はいっまずは魚の干物!」
 準備の開始と共に、無計画に差し出される大量の食物。
「……庶民の宴とは、主賓へ我先にと食べ物を差し出すのであるか……? 貴族の宴と変わらないのだな……」
 妙にしゅんとしたタマの言葉に、ミケがすかさずフォローを入れる。
「ターレッティ様、皆さん我々ユグディラの魅力に我を忘れているだけでございます。大丈夫ですよ、楽しい宴になりますから」

「……はっ! 喋る猫との宴ってのですっかり忘れてたぜ……すまねぇ、タマ……」
 タマの呟きに鹿島が我に帰り、食べ物と酒、マタタビ等を整理し、先ずは場の準備に動き出す。
 ハンター達の殆どがユグディラを喋る猫として愛でるという行動に出てる中、ヤナギは会場の中央に焚き火を炊き、着々と宴の準備を進めていた。
「先ずは宴の準備だろう……俺は料理はからっきしだし、料理はできる奴に任せるぜ」
 ヤナギの横にクロが歩み寄り、コソッと感謝の言葉を述べる。
「有難う御座います。一時はどうなるかと思いました……」
「依頼内容は庶民の宴の体験だろ? なら、それの準備をするだけだ」
 手際良く準備を進めるヤナギの姿に、我を忘れかけていたハンター達も宴の準備を手伝い始める。
「私は食事の用意をさせていていただきますね」
「おぉっと、猫……でいいのかな? 小動物用の食事に鮭トバの塩分は厳禁だぜ? 使うなら塩抜きをしてからだ。ついでにミルクは専用の物がある!」
 デーン!!と擬音が出そうな勢いで仕入れてきた猫用ミルクを取り出し、鹿島が料理に加わった。

 一方。
「あぁっ! IX様! おやめ下さい! 私も、準備の、お手伝いを……!!」
 妙に色っぽい声が響く。
 そこではIXがミケを抱き上げて撫で回す姿があった。
「にゃんこちゃんはかわいいわねぇ~♪」
 ミケは何とか抜け出そうともがくものの、無理だという事を悟って諦めたようだった。
「ターレッティ様……申し訳ありません……」
「いいのだぞ、ミラン・ケラン。お前も楽しむといいのだ」
「楽しそうに見えますか……」
 もはや無抵抗になったミケの体を撫で回し、毛並みに顔を埋めるIXの姿を眺めながらミケは呟いた。

「ダンニャさんは主賓だから、準備が完了するまで我輩がお相手するのなー♪」
「うむ。くるしゅうないのである。」
木箱の上に腕組みして立つタマの前に、視線を合わせる為正座で対峙する黒の夢。その視線の先にキラリと光を捉える。
「あれ? この子達ネックレスしてるのだ。キラキラきれいなのなー……お家はどこかなぁ?」
「ふふん。これは先日人間から貢がれたのである。これのお陰で皆人間と会話できるようになったのだぞ。……多分。我輩たちの仮住まいはリゼリオだが、生まれの国の場所は秘密なのである。すまぬな」
 会話は続き、黒の夢が「おー」と相槌を打ちながら会話を続け、今はタマが満足そうに鼻息荒くリゼリオの街での探検談を語り始めていた。

「さて、料理も仕上がりそうだからな。俺は酒の準備だ。くー……このロケーション、日本酒が無ェのが勿体無ェな」
 ユグディラが酒を飲める事を聞き出した鹿島からのアドバイスで、マタタビ酒を作りながら出身地の酒を懐かしむ。
「おぉ。マタタビ酒ですか。我々、その酒には目がありませんで……コホン。ま、先ずは主人が口にしてからでないと、私は口に出来ないのですが……」
 ヤナギの手伝いをしていたクロは、チラチラとヤナギの手元を涎の出そうな顔で盗み見る。
「毒味も家臣の仕事だろ? いいよなァ? タマ?」
「ミラン・ケランも楽しんでいるのである。クラン・ロランも気にせず楽しむといいのである。ふふん、我輩は心が広いのである」
「ターレッティ様……では、味見だけ……」
 ヤナギから差し出された杯を器用に前足で受け取り、くいっと一口──途端に、クロの足元が覚束なくなる。
「おいおい、大丈夫かよ……」
「数分経てば元に戻りますから……いやぁ、堪りませんなぁ!」
 堅苦しい口調から、一瞬で酔いどれオヤジの様な口調に変わったクロ。そのフラフラした姿を危ぶんで、ヤナギはクロを膝に乗せてモフモフと撫でる。
「すいませんなぁ! 自分でも酔うと言葉が雑になるのは解っとるのですが!」
「それにしても、クロ、だっけか。お前さんには親近感が湧くよ。ウチにも黒猫が居るンだよな…」
「ヤナギ殿と暮らしているのでしたら、幸せな猫なのでしょうなぁ……撫で慣れてらっしゃる!」
 と、若干空気と会話のトーンが釣り合っていないやり取りの中、鹿島とルカの声が響いた。
「おーい!!」
「食事ができましたよー!」

「そうそう、薬師の人が今後も宜しくって言ってたぜ」
 膝の上で魚の干物を焚き火で焼いた物をハフハフと頬張るタマへ鹿島が伝える。
 先程街へと戻り、マタタビを仕入れに医師の元を訪れた際にやり取りがあった様である。
「医師のつがいには悪い事をしたのである。いや、我輩が悪い訳ではないのだが」
「つがい?ああ、奥さんか。元気そうだったぞ?」
「なら問題はないな!!」
 頬張った干物をマタタビ酒で飲み下し、むふーっと満足そうに息を吐く。
「お、いけるクチだなぁ……」
「クラン・ロランは酒癖が悪いが、我輩たちは基本的に酔うのは数分なのである。あとはいくら飲んでも変わらないのである。ふふん」
 ドヤ顔で話すタマを、横に座る黒の夢が抱き上げる。
「我輩にも接待させて欲しいのなー」
「我輩は十分楽しんで……おふぅ」
 食事もすすみ脱力しているところへのツボを探すマッサージ。
「双方にメリットがあるのな! ダンニャさん達は疲れを癒し、我輩は肉球ぷにぷにのもふもふ堪能であるっ」
「ま、待つのである! 気持ちはいいのであるが──おふっ──まだ皆とたのし──あっ──やめ……アッー!!」
「時期的にもこうしたらあったかぬくぬくでシアワセなのなー」
 ほっこり顏でマッサージを続ける黒の夢の膝の上でグッタリとするタマ。
「ターレッティ様……」
 IXの腕の中からミケの哀れむ様な視線がタマへと注がれる。
「我輩の沽券が!!」
 がばっと飛び起き、黒の夢から距離を取ると、逃げ場所を探す様に周囲を見回す……が、逃げ場は無い様だった。どこに逃げてもハンターに捕まりそうな状況だ。
 恐らく狩りで追われる立場というのはこの様な心境なのだろう。

「それにしても猫と……じゃねーや、ユグディラ……と盃を交わすことになる日が来るとは思ってなかったゼ」
「私も人間と会話をしながら酒を飲むとは夢にも思いませんでしたよ」
 すっかり酔いも治まったクロが和やかにヤナギの膝の上で酒を飲んでいる。目の端には主人が逃げ惑う姿が入った気がするが、命の危機ではなさそうなので見ない事にした。
「そういや、お前さんら音楽は好き、か?」
「そうですね、演奏なら多少嗜みますよ。ターレッティ様の踊りの伴奏ですが」
「俺はベースってヤツを良く弾くンだケドさ……宴と言や、酒と同じ位に音楽も外せねェと思うンだよな。本来はリズムを取る出番が多い楽器だケドさ、ちゃんとメロディも刻めるンだ。弾いてみっか。」
 ヤナギが荷物の中から愛用のベースを取り出して暖かなメロディラインを奏でると、場の空気がメロディを聞く為に一瞬止まる。
 その空気を動かしたのは、タマだった。
 いつの間にやら帽子とマント、ブーツを身につけ、軽快なステップを踏んでいる。
「──っと、ふぬっ……慣れない音楽だと、なかなか難しいものであるな……」
「お、いいねぇ。宴といえば音楽に踊りも外せねえ!」
 鹿島が荷物から猫じゃらしを取り出し、ぷたぷたと振りながらタマのダンスを誘導する。
「おお、ステップが……踏めてるが、気が散るのである!!」
 ニャッっと小さく声を上げながら、本能的に猫じゃらしへとじゃれ付くタマ。しかし、それすらもダンスのアクセントに見えるのだから不思議なものだ。
 ヤナギの演奏が一曲分終わり、タマからクロとミケへ号令がかかる。
「皆、人間の宴の踊り、感謝なのである! 次は細やかながら我々ユグディラの音楽と踊りを披露するのである! クラン、ミラン、楽器を持て!」
 おとなしく愛でられていたクロとミケが荷物の山へと潜り込み、一つの弦楽器を持ち出してきた。
 それはギターに似た見たこともない楽器。
「その手でどうやって弾くンだ……?」
 ユグディラは二足歩行をするといえども、その構造は限りなく猫に近い。しかも、ユグディラ一匹で弾けるサイズの楽器ではないのだ。
「こうするのですよ」
 ニヤっと笑ったクロはネックを抱え、ミケが楽器のボディに跨る。
 そしてタマがかかとを踏みカウントを取ると、演奏が始まった。
 楽器の演奏法はこうだ。一匹がコードを押さえ、一匹が後ろ足で弦を掻き鳴らす。
 二匹一体となった演奏は情熱的な様で切なく、激しい。
「へェ……やるもんだ。負けちゃいられねェ!」
 ユグディラ達の奏でるメロディに、ヤナギがベースで低音を添える。
 そして踊るタマに惹かれる様に、鹿島や黒の夢、ルカやIXが踊りの輪へと加わって行った。

 演奏と踊りもひと段落し、皆上気した笑顔で談笑をしている。
 そんな中、ルカが踊る中で乱れた毛並みを櫛で梳かしていた。
 耳の後ろから首の根元、マッサージに爪の手入れ。タマも上機嫌で身を任せている。
 ──その時、スイッチが入った様にルカの目の色が変わる。
「あぁ……雑巾臭いのです……綺麗にしましょう! ……猫さん達をキャットショーに出しても恥かしくない位に綺麗に仕上げて見せます!」
 寒空の中、風呂セットを取り出し、強制的に風呂の準備を始めるルカ。
「失礼な! 誰が雑巾臭いのである!! この季節に寒空で入浴などしたら死んでしまうのである!! 離すのである!!」
 天国から地獄、まさに絵に描いたような持ち上げて落とす。
 流石にこの寒空の中、風呂に入れられているのは可哀想だと思った他のハンター達が止めて一瞬の地獄は収束する。

 その後、和やかに過ごすユグディラとハンター達。
 酔いが回ったのか、船を漕ぐ者も出始めた。
 皆が微睡むその中で、微かな声が響く。
「楽しかったのである。皆には感謝するのである。──また、夢の中以外で会えるといいのである──」

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧

  • 黒竜との冥契
    黒の夢(ka0187
    エルフ|26才|女性|魔術師

  • セレナ・デュヴァル(ka0206
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • ブラッド・ロック・ブルー
    ヤナギ・エリューナク(ka0265
    人間(蒼)|24才|男性|疾影士

  • ルカ(ka0962
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士

  • IX(ka3363
    エルフ|22才|女性|霊闘士
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀(ka3706
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/06 20:25:00