• 虚動

【虚動】ブリとワカメとボインと共闘作戦

マスター:朝臣あむ

シナリオ形態
イベント
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/01/08 09:00
完成日
2015/01/16 06:23

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●カールスラーエ要塞
「何考えてるの、あの子」
 スペルランチャーと魔導アーマーを持って駆け付ける。そう口にしたナサニエル・カロッサ(kz0028)の言葉に疲れを覚えたリーゼロッテ・クリューガー(kz0037)は、受話器を置くのと同時に脱力したように座り込んだ。
 CAMが歪虚に強奪されたことを考えれば、ナサニエルの参加は願ったり叶ったりだ。きっとどこの機関の者が手を貸すよりも確実で心強いに違いない。けれど、彼が考える案はいつも突飛もないのだ。
 今回のスペルランチャーの件に関してもそうだ。
「エネルギーはどうするつもりなのよ……そんな大量のエネルギーなんてどこにあるって言うの……」
 スペルランチャーはマテリアルを燃料に発射する。つまりスペルランチャー使用には膨大なマテリアルを集めてくる必要があるのだ。
「ナサ君のことだもの、きっと何か考えてる……それでもリスクが高すぎる……」
 思わず額を押さえたリーゼロッテだったが、そこにブリジッタ・ビットマンの声が響く。
「それだけどワカメが言ってたのよ。『マテリアルの補充と魔導エンジン制御のため、覚醒者をスペルランチャーの抵抗回路として接続しましょう』ってー」
 ナサニエルの物真似を挟んだものの、それよりも聞こえて来た内容に眉を寄せた。
「それはつまり覚醒者をエネルギー源にする、ってこと? そんなの……そんな装置作ってる余裕なんて……そもそもそんな非人道的な方法……」
 錬金術師組合の組合長として容認する事は出来ない。そもそも覚醒者を媒体にしてもしもの事があったらどうするつもりだ。
「魔導エンジンが暴走したらマテリアル汚染だけじゃすまないのよ? 搭乗者の命だって危険に晒される……そんなものを使うならスペルランチャーの使用は取りやめです! 急いでナサニエル院長に連絡を」
「無駄なのよ!」
 リーゼロッテの声を遮ったブリジッタは、座り込んだ彼女を見下ろすようにして立ち上がった。
「あたしたちはぜーったいにCAMをとり戻すのよ! そのための危険だったら喜んで背負うのよさっ! あいつらだってそう言ってたのよ! だからっ!!」
「ブリちゃん……」
 瞳の奥に燃える炎は揺るがない意思の証。
 やはり良く似ている。
 自分の意思を貫こうとする強さも、無茶をする姿も。そして目の前にある壁を飛び越えようとする姿も。
「……これが、天才と凡人の差なのかしら……」
 思わず零した声にため息が漏れる。それでも認めざる負えないのかもしれない。
 無理だと、危険だと諦める者と、そうでない者の壁を。そして時にはそうした決断が必要な時もあると言うことを。
「仕方ありません。でもブリちゃん、さっきも言ったようにエネルギーの供給装置を作る時間はありませんよ?」
「それなら大丈夫なのよ、じゃじゃーん♪」
 言ってブリジッタがポケットから取り出したのはくしゃくしゃの紙だ。
 書き殴った字から察するにブリジッタの筆跡のようだが……。
「これは……エネルギー供給装置の設計図?」
「実はある程度は完成しているのよ! ボインには、ちょびーっと悪いと思ったけど、諦めきれなかったのよ?」
 そう言えばブリジッタは前に言っていた。『覚醒者を媒体とすればもしかしたら――』と。
「まさか、あれから考えていたんですか?」
「無理だって言われても、研究したくなるのよー。ワカメだって同じだと思うのよさ!」
(……本当に……この子たちは……)
 嫌でも見せつけてくる熱意や情熱は尊敬を通り越して呆れてくる。
 リーゼロッテはブリジッタの幼い顔を覗き込むと、彼女の頬を両手で包んで言った。
「今回だけですよ? もし次に無茶をしようとしたら、その時は必ず止めますから」
 自分ではわかっているのだ。たぶんその時も止めることは出来ないだろうと。
 それでも自分の立場が、錬金術師組合の組合長だという立場が止めなければいけないと囁く。
 リーゼロッテは僅かに苦笑すると、彼女の作成途中だというエネルギーの供給装置の元へ向かった。

●ブリちゃんとワカメとボインと共闘作戦
 CAMが強奪されてどれだけの時が過ぎただろう。
 伝話でのやり取り通り、要塞の周辺には徐々にだが魔導アーマー派の者たちが集まり始めている。そしてリーゼロッテとブリジッタも、スペルランチャーのエネルギー供給装置の仕上げに入っていた。
「あとはその導線を溶接して……」
「ねえ、ボイン……本気なのよ?」
 作業の合間、戸惑いながら声を掛けたブリジッタにリーゼロッテが頷く。その様子はどことなく自信に満ちている。
「本気ですよ。皆さんが危険を冒すのに、私だけ安全な場所にいる訳にはいきません。ナサニエル院長ほどではないですが、私だって錬金術を心得た者です。役には立ちますよ!」
「そ、それはそーかもだけどぉ……」
 呟き、ブリジッタは完成間近の装置を見た。
 装置にはヘルメットが付いた管が幾本かと、試験管のような容器が置かれている他に、スペルランチャーへのエネルギー供給と回路の制御を行う魔導アーマーが2機置かれていた。
「ワカメはわけワカメだから問題ないのよ。でもボインは体力ないしー、ボインだしー……不安なのよー」
 この魔導アーマーは魔導アーマーとしての機能は持っていない。あるのは回路制御機能とエネルギー供給の2つだ。
 この機能はエネルギー供給を行うだけの覚醒者と比べて危険が高い。そしてこの機体に乗って回路制御を行うのはナサニエルと、リーゼロッテの2人である。
 この案をリーゼロッテが言いだした時は、ブリジッタもリーゼロッテの助手であるペリドも反対した。けれど結局は彼女の熱意に負けてしまったのだ。
(……ボイン、いがいとガンコなのよ……)
 人の事ばかり言っているが、リーゼロッテも大概だった。ペリドに至っては未だに納得していないらしく、しょぼくれた様子でリーゼロッテを見ている。
「よし、装置はこれで完成ですね。後はスペルランチャー本体が到着して接続をすれば……って、どうしました?」
「何でもないのよ。それよりも急いで外に運びだすのよー」
 もうすぐスペルランチャーと戦場に向かう魔導アーマーが到着する。そして歪虚に奪取されたCAMも。
(ぜったいに、CAMは止めてみせるのよ……あいつらと……ハンターと、いっしょに……!)
 ブリジッタはハンターとの交流でお気に入りになったチョコを口に運ぶと、僅かに頬を緩めて歩き出した。その胸中に、揺るがない決意を抱いて。

リプレイ本文

 時折入る無線と穴を掘る音。それらが響く荒野で、ハンター達はこれから訪れるであろうCAMを待っていた。
「魔導アーマーの装備がドリルとはよく分ってらっしゃる」
 八劒 颯(ka1804)はそう言いながら、魔導ドリルを使って柔軟運動をと背筋を伸ばす。その姿に軽く目を瞬き、時音 ざくろ(ka1250)は荒野を見た。
 そこに在るのは魔導アーマーと藤堂研司(ka0569)、そして鳴神 真吾(ka2626)だ。彼等はCAMが来るであろう場所とスペルランチャーの位置を計算に入れ、幾つかの落とし穴を掘っている。
 当初は人の手で行う予定だった作業だが、真吾の申し出により魔導アーマーも落とし穴の作成に加わった。
 結果、予定よりも多くの穴が掘られているのだが、それを目にしたざくろが呟く。
「罠を設置する時は、部分的にワザと避けたくなる様に設置した場所作ったら誘導し易くならないかな?」
「部分的にワザと?」
 どういうこと? そう首を傾げる颯に、カオルクヴァッペに乗り込んだブリジッタが言う。
「そんなまどろっこしい方法は必要ないのよさ。この場合は大直球で突っ込むのが良いのよ!」
「「いや、それはちょっと」」
 思わず重なった颯とざくろの声。それに不貞腐れるブリジッタを確認して、真吾は感慨深げに目を細めた。
「前会った時はちと心配だったんだけどな、大した子だよ……ほんとにな」
 当初の我が侭全開で人の話を聞かない性格を思えば、物凄い成長である。
「おーい、こっちの穴は掘り終わったけど、そっちはどうだ!」
「あ、ああ、もう少しで終わる」
 少し離れた場所で穴を掘っていた研司が声を上げる。それに手を振り返すと真吾は穴を掘りきるべくスコップを差し入れた。

 その頃、予定通りに到着したスペルランチャーを現場に招いたナサニエルは、CAMの進行速度と現在位置を聞いて「うんうん」と満足げに頷いた。その姿にヒヨス・アマミヤ(ka1403)が問う。
「どんな感じでしょうか?」
 知人であるヒース・R・ウォーカー(ka0145)からはまだ何の連絡もない。故に心配が募っているのだが、これにナサニエルは興味を示すでもなく応える。
「そろそろ来ますよ~準備して下さいね~」
 こちらの準備も上々、敵の進行速度も上々。そう謳う彼にウルヴァン・ダイーヴァ(ka0992)は息を吐くと、出発しようとしていたブリジッタを見た。
「おい」
「? 何なのよさ?」
 呼ぶ止められたブリジッタは不思議そうに見返すのだが、次に聞こえた声に彼女の肩が大きく揺れた。
「くれぐれもCAMの動きを止める為に射程に入ろうなんて考えるなよ」
「な、なんのことなのよ……」
 思わず裏返った声にウルヴァンの目が据わる。
「もしそんな事をしてみろ。俺は撃つ手伝いを止めるぞ」
 スペルランチャーへエネルギーを提供するハンターの数は足りている。きっとウルヴァンがエネルギーの供給を止めた所で影響はないだろう。だが――
「わ、わかったのよ……あたしだってカオルくんを壊したいわけじゃないのよさ」
 そう、ブリジッタは自身の魔導アーマーを壊したい訳ではないのだ。その言葉を聞いて満足したのだろう。ウルヴァンはブリジッタから目を放すと軽く手を振ってスペルランチャーの傍に歩いて行った。

 時を同じくして、戦場で先に待機していたエルム(ka0121)は、自らが守るべき存在を視界に目を細めた。
(アレがスペルランチャーか。アレに近づけさせなきゃいいのね)
 言うは易し、行うは難し。
 実際に戦闘が開始されてどこまで動けるかわからないが、後ろを譲る気もない。その気持ちはスティリア(ka3277)も同じだ。
「確実にここを守れば良いだけ」
 決意を込め、魔導機械の取り付けられたナックルを握り締める。と、その時だ。
「――来た」
 トランシーバーを片手に情報を収集していたイェルバート(ka1772)が呟く。その声に山田 勇三(ka3604)は顔を上げると、眼鏡を押し上げて言った。「まるで子供が見ていた映画の様だ」と。


 いった何処から湧いて来たのか。
 CAMの到着を予見するかのように現れたゾンビ型の歪虚に、戦場で足を止めていたメリエ・フリョーシカ(ka1991)の眉が寄る。
 漂う腐臭もそうだが、この向こうに歪虚に操られたCAMがいる。そう思うだけで込み上げる感情が後を絶たないのだ。
(奪われて逆に脅威になる切り札なんぞ何の価値がある……からくりがっ!)
「メリエっ! 露払いの一番槍を頂きます!」
 先陣を切って飛び出した彼女にフラメディア・イリジア(ka2604)がフッと笑んで身の丈以上の斧を担いだ。
「威勢が良いのがおるな。我も負けてはおれぬか」
 クッと喉を鳴らして駆け出す。
 本当はCAMを相手に立ち回りたかったが仕方がない。今は任された任務をこなすのが先決。
「はあああああッ!」
 ゾンビの群に飛び込んだメリエは、体重を乗せた渾身の一太刀を振り降ろすと1体のゾンビを吹き飛ばした。
 これに前進だけを続けていたゾンビたちの顔が動く。その姿に奥歯を噛み締めると、彼女は新たな一撃を放つために刃を振り上げた。
「折角の実験……帝国も、陛下も御期待なされていた事にケチをつけた落とし前、必ずつけさせてやるっ!」
 鬼神の如くとはこの事かも知れない。そう感心していたフラメディアの背後で銃声が響いた。
「っ、後ろを取られておったか……!」
 確認する間もなく、振り返りながら斧を薙ぐ。
『グァァアアッ!』
 断末魔を上げながら胴を裂かれたゾンビが伏せる。その様子を一瞥し、フラメディアは直線状に立つイェルバートに目礼を向けた。
「今は集中せねば……露払いを任されたのも引き受けたのも我よ。ならば立派に勤め上げるのが我に課せられた使命ぞ!」
 振り上げられた斧が駆け出す動きに合わせて風を裂く。と、そこに炎を纏った矢が飛び込んで来た。
「加勢します。ゾンビども、私が火葬してやるわ!」
 轟音を響かせる斧が放った斬撃。それが巻き起こす風に乗って、エルムが放った炎が激しさを増すように敵陣へ呑み込まれてゆく。
「ほう、見事な炎よ。我も負けてはおれぬな。さあさあ、うぬらの敵はここにおるぞ!」
 声を上げて踏み込んだフラメディアにエルムが再び矢を構える。但し、今回構えるのは光の矢だ。視線の先には銃を持つゾンビの姿が在る。
「粉々にしてやる!」
 ギリギリまで狙いを定めて放った矢がゾンビの持つ銃を直撃する。それを受け、勇三が駆け出した。
「おっさん無理するなよ?」
「無理などしておらん」
 少し隆起した土地に立つ鹿島 雲雀(ka3706)の声に勇三の米神が微かに揺れる。だがそれも一瞬の事。
 勇三は素早い踏込みでゾンビの間合いに入ると鋭い一打を放った。これに敵の上体が揺れる。
「だから無理すんな、って!」
 片目を眇めて番えた矢をギリギリまで引き抜く。そうして上体を逸らさせたゾンビの頭が持ち上がるのと、一気に放った。
「!」
 目の前で弾ける頭に勇三の眉が寄る。
「あの若造か……」
 やれやれ。そう息を吐きながら崩れたゾンビを見下ろす。
「子供が見ていた映画を思い出すな。まさかそれを相手取って戦う事になるとは……下らんと映画を一蹴していた己を見られた日には。気が気ではないな」
 単身で移転してしまった彼が子供らに今の姿を見られる事は無い。とは言っても気にしてしまうのが親と言う物だろう。
「だが、どうせ見られていないのならば――心行くまでやるとしよう」
 勇三は腕を捲ると朝のオフィス街を思い出させる光景の中に突っ込んだ。その姿に雲雀が口笛を吹く。
「さて、俺様はもう少し後ろで」
 後ろでスペルランチャーの護衛に着こう。そう思い踏み出した足が止まる。
「こりゃスゴイ」
 言って再び口笛を零したその先に居るのはスティリアだ。彼女はナックルにマテリアルを送り込むと、前進してくるゾンビ目掛けて踏み込んだ。
「歩く屍……故郷を思った時に見る悪夢を思い出すな」
 ポツリ、口中で零して刃を振り上げたゾンビの懐に入り込む。その上で容赦なく拳を振り上げると、熊の顎に似た残像が敵の胴を抉った。
 けれどスティリアはそれで満足しない。再び足を踏み出して銃持ちのゾンビに接近する。

 パンッ!

「ッ、甘い。やはり屍は屍か」
 至近距離で発射された弾が肩を掠める。だがスティリアは意に介した風もなく踏込みを深くした。
「此処は私が守る」
 言うや否が振り上げた獣の顎がゾンビの頭を砕く。そうして再び踏み出すと、彼女は風のように他のゾンビに向かい直った。
 それに触発される様にブラオ・コールマン(ka1131)も迫り来るゾンビに目を向ける。
「銃持ちの討伐優先度が高いかな。後はトドメに固執しないことが大事だ」
 クルリと手の中で回した拳銃、そして握り締めた刃の無い剣。鋭利に伸びた切っ先と銃口をゾンビに向けながら微かに口角が上がる。
「その点、あのお姉さんは大丈夫そうだ」
 スティリアをチラリと見て前を見る。彼女に関してはトドメに固執することなく常に足を動かしている。自己防衛の意味も含むのだろうが、実に効率の良い戦い方だ。
「俺もあやかりたいね」
 言って放った銃弾がゾンビの足を射抜く。見事に膝を着くゾンビだったが、ブラオは全身にマテリアルを送り込むとその場に向けて駆け出した。そして一気に間合いに入って刃を反す。
『ガァアアッ!』
 痛覚が無いはずのゾンビが苦痛の声を上げて崩れ落ちると、ブラオは地面に落ちた銃付きの手を見て口角を上げた。が、そこに新たな銃声が響く。
「くっ……!」
 腕を貫く銃弾にブラオの目が飛ぶ。そこにいたのは別のゾンビ、しかも銃を手にした相手だ。
「次から次へと邪魔だな!」
 数回に分けで銃弾を放つが側方からも敵が迫っている。こうなっていると避けるのに集中した方が良い。そう判断して踏み出した彼の足が止まる。
「風よ、力を貸して!」
 声と共に緑の風がブラオに斬り掛かるゾンビを襲った。それを目にした彼の軌道が変わる。
「援護感謝!」
 ザッと踏み込んだ足を軸に力を込めて敵の胴を薙ぐと、それに合わせて十色 エニア(ka0370)が次の手にと炎の矢を放つ。
「ゾンビは、火に弱いのが定説だけど、どうかしら?」
 可愛らしく首を傾げた彼女の肩を、無事にゾンビの輪から抜けたブラオが叩く。それに微かに笑みを返し、エニアは改めて杖を構えた。
「友達の所には、行かせないよ」
 言って睨み据えた戦場にはゾンビが未だ複数控えている。これを倒さない事にはCAMの足止めも厳しくなってしまう。
「大丈夫……私ならできる。みんなだって頑張ってるんだから」
 本当は友達の傍で一緒に戦いたかった。けれど物事には適材適所と言う言葉がある。だからこそ自分の出来る事をする為にここに立った。
「さあ、かかって来い!」
 掲げた杖に水球を纏わせて振り下ろす。これに敵が怯むのを見ると、エーディット・ブラウン(ka3751)ものんびりとした様子で杖を掲げた。
「緊張しますが、私も見習って撃ってみますね~」
 え~い、と気の抜けそうな声を上げて放ったのはエニアと同じ水の玉だ。声とは裏腹に凄まじい勢いで放たれた玉は、真っ直ぐにゾンビへ飛んで行く。
 そして――
「当りました~♪」
 喜んで飛び跳ねる彼女は今回が初陣。可愛くない敵なので遠慮は無用と意気込んで杖を振り上げた。
 その結果、案外良い功績を残しているのだが、優位に運んでいたのはここまでだったようだ。
「きゃあっ!」
 不意を突いての攻撃だった。
 間近に迫ったゾンビの刃がエーディットの肩を裂いたのだ。これに近くで魔導ドリルを操っていたサントール・アスカ(ka2820)が踏み出す。
「そのまま後ろへ倒れて下さい」
「!」
 反射的に後ろへ倒れたエーディットの眼前を魔導ドリルが掠めて行く。そうして顔の真上でゾンビの頭が抉られると、彼女は驚いた様に息を呑んだ。
「大丈夫ですか?」
 頭を失くした勢いのまま倒れるゾンビを視界端に置き、サントールが手を差し伸べる。それに手を重ねた時、戦場の空気が変わった。
「CAMだ」
 ザワリとした嫌な感覚が辺りを襲う。それに息を詰め、イェルバートは手にしているトランシーバーを持ち上げた。
「CAMが来たみたいだ。ゾンビの足を止めて魔導アーマー部隊を先へ」
 連絡手段を持つ仲間への言葉。それは同時に自分への言葉でもある。
「あれがCAM……リアルブルーの技術の結晶」
 この作戦開始前、イェルバートはブリジッタと共に魔導アーマーの完成を手伝った。故に1つの物を作り出す大変さや想いの深さを良く知っている。だからこそ思わずにはいられない。
「大切な物を歪虚に好き勝手されるのは、愉快じゃないな……必ず止めてみせる」
 イェルバートはそう零すと戦場に向けて駆け出した。向かうのはスペルランチャーの射程から僅かに離れた場所。そこでゾンビの足を止めなければ他の部隊に迷惑が掛かる。
「止まれぇ……っ!」
 銃を持つ手に添えた手でマテリアルを注ぎ込む。そうして放った銃弾が魔導アーマーに向かおうとする敵の胴を射抜くと、次なる敵に銃口を向ける。
 イェルバートの放った弾は雷撃を伴っており麻痺の効果があるようだ。一瞬動きを鈍らせた敵に遠方から矢が飛んでくる。
「一匹たりとも近づかせねぇ。絶対にだ!」
 スペルランチャー近くに到着した雲雀が、援護にと放った矢だった。彼は現在の状況を目視で確認すると、新たな矢を取り出しながらトランシーバーへ向かって放った。
「CAMとスペルランチャーの軌道上の敵を抑える。そっちは頼んだぞ」
 出来る限り銃持ちゾンビがいる箇所は伝えた。後は言葉通りに抑え込んで目的を達成して貰うしかない。
 雲雀は静かに矢を番えると、直線状に居座る敵に向かって放った。


「スペルランチャー発射までに必要なエネルギー残り30パーセントを切りました。みなさんもう少しです、体に異常はありませんか?」
 リーゼロッテはそう言いながら、スペルランチャーのエネルギー供給装置に接続された魔導アーマーに乗ったまま遠くを見た。
 耳には無線機から流れるハンター達の声が届いている。歪虚の討伐に尽力する様子から、CAM発見の報まで今のところ殆どが聞こえている状態だ。
「大丈夫だよ、リーゼロッテさん」
 不意に聞こえた声にリーゼロッテの目が向かう。そこにいたのはエネルギー供給装置と繋がった天竜寺 詩(ka0396)だ。
「私、ブリちゃんの設計を信じてる。リーゼロッテさんは?」
 問い掛けながら祈る様に胸の前で手を組む姿に彼女がどれだけブリジッタを信頼しているか見て取れる。
 そもそも鍋友のブリジッタが体を張って戦場に立っていることは詩にとってここに残る意味を与えてくれた。
 信じること、そして彼女のために力を送り続けることが今出来る最大限の事なのだ。
「そうそう、天龍寺さんの言うように、ブリジッタさんの作った装置なら大丈夫ですよ」
 詩の声を聞き止め、彼女と同じくブリジッタと接点のあるテンシ・アガート(ka0589)が言う。その上で健康を示すように両手を動かすと、リーゼロッテの口元に笑みが浮かんだ。
「ありがとうございます、私も信じています」
 言って頷きを返した時、思わぬ衝撃が走った。
「なんだ今のは……!」
 声を上げたダイン(ka2873)に釣られてウルヴァンの目が飛ぶ。そうして凝らした彼の目に見えたのは想像以上の光景だった。
「あれがCAMか……成功させたところで、いや成功しようが失敗しようがこちらがアレを失うのみ、か。あちらとしては効率が良くて結構なのだろうが……美学に反するな」
 言いながら注視するCAMは、高速移動をしながらガトリングを放って、地面を抉るようにしながら粉塵を上げている。まるで煙幕でも敷いたかのような光景だが、ハッキリ言って物理的ダメージの方が大きい。
「魔導アーマーが……これがCAMの力……」
 一瞬にして動かなくなった魔導アーマーにレホス・エテルノ・リベルター(ka0498)が震えた声を零す。
「はいは~い、エネルギーを送ることに集中して下さいね~」
 CAMの進撃に意識を取られたのだろう。一瞬にして供給エネルギーが減少した事にナサニエルが苦言の声を上げる。
 これにハッとなったレホスは、目をギュッと閉じて意識を集中し直す。だがその脳裏には先程の光景が鮮明に焼き付いていた。
「CAMは……たくさんの人の想いが込められた、大切なものを守るための力なんだ。それを操って、皆を傷つけて、命まで奪って……絶対に許せない……!」
 今だって錬金術で作り上げた魔導アーマーが壊された。あれだって皆が力を合わせて作り上げた物のはず。
「ボクじゃ皆の無念を晴らすことはできないかもしれない。それでも、ボクにだってできることがあるはずなんだ……!」
 覚醒した事でブロンドに輝いていた髪が更に鮮やかな金を抱く。これに伴ってエネルギーの供給量が増えると、他の面々も呼応するように供給スピードを上げた。
「ナサニエルさん、CAMの元に向かった仲間から連絡です。もう少しで落とし穴にCAMを誘導できそうだと」
 増えるエネルギー供給量に眉を顰め、ヒヨスが声を上げる。それにナサニエルとリーゼロッテの目が落ちた。
「間に合いませんね~、ここは一気に供給速度を上げて仕上げるのが妥当かなぁ~」
 今のままだとヒヨスの言う落とし穴誘導にスペルランチャーの発射が間に合いそうにない。それ故の提案だったのだが、ここにきてリーゼロッテが否を唱えた。
「これ以上供給スピードを上げるのは危険です! 皆さんの命を危険に晒すつもりですか?」
 そう今でさえ危険な状態だと言うのに、これ以上リスクを上げるような事は出来ない。もしリスクを上げれば本気で命の危険が出てくるのだ。
「でも~、それだとCAMと戦ってる皆さんの命が危ないですよ~?」
「っ、それは」
 ナサニエルの正論にリーゼロッテが言葉を噤む。これにテンシが声を上げた。
「大丈夫ですよ。それにここで命を惜しんでたら、前線で戦ってる皆に申し訳ないからね!」
「俺もやるよ……!」
 現段階でも辛いだろうに、テンシに続いて声を上げたダインが言う。
「俺は機導師でもないし、こいつらのこと全然わかってないけど……それでもこいつらの力になれて……CAMを止められるんだよな? なら俺、やる……!」
 CAMを歪虚に操られたままにはしておけない。そう放つ言葉に決意が篭る。
「俺も異論はない」
 ウルヴァンは先程からCAMの動きを見ているが、今のままでは射程上に来た所で砲撃を当てる事は出来ないだろう。となれば、効率が良いのは落とし穴に嵌めて狙い撃つことだ。
「リーゼロッテさん、ヒースさんと、あったばかりのシェリルさんが受けるお怪我を少なくするための作業でもあるんだから、ヒヨぎりぎりまでがんばたいっ!」
 真摯な瞳で見詰めるヒヨスにリーゼロッテの口角が下がる。そして、疲れたように肩を落とすと彼女は決断した。
「わかりました。但し、ナサニエル院長は死ぬ気で皆さんのフォローをして下さい。貴方が倒れる分には問題ありませんから」
 良いですね。そう念押しして意識を集中する。それに添うようにテンシも意識を集中すると、自身の中に巡るマテリアルに語りかける。
「精霊と大地……力を少し分けてもらうよ」
 言葉と共に背後に浮かび上がった動物のビジョンが彼に力を貸すように寄り添う。そうしてエネルギー供給スピードが徐々に上がって来ると全員の顔に苦痛の表情が浮かび出した。
「必要エネルギー残り10パーセント……9……8――」
「っ、……苦しい……でもッ」
 詩は荒くなりそうになる呼吸を沈めて息を吸い込む。そうしてゆっくり吐き出すと、皆に聞こえるように歌を紡ぎ始めた。

鋼の巨人ひきつれて 現れいでし闇の軍
されど集いし光の戦士 燃える魂(こころ)で敵を討つ

行け! 進め! 勝利を我らに!

 自身を奮い立たせる意味でも紡いだ歌が、皆の耳に届く。それを切っ掛けに一気にエネルギーが集まって行く。
 そうして全ての準備が整うと、ヒヨスの杖が空を捉え、光の矢が放たれた。


 光の矢が放たれる僅か前。
 戦場に飛び込んで来たCAMの進行を止めようと軌道上に飛び出した魔導アーマーが在った。
「うわああああッ!」
 容赦なく撃ち込まれる無数の弾丸が、魔導アーマーの機体を突き抜けて地面にぶつかってゆく。否応なしに上がる粉塵と悲鳴。それらを視界に研司は眉間に皺を寄せてライフルを握り締めた。
「ここまであっさりかよ! 動かすのに難儀してたと思ったら、元気に操られやがって……!」
 目の前で魔導アーマーを圧倒したCAMの力は以前乗ったことのある機体の比ではないように感じる。もしかしたら歪虚に操られた事で能力を増したのかもしれないし、生身で立ち向かうと言う現実が見せる勘違いかもしれない。それでも研司や他のハンターの目には、CAMは凶悪な兵器として映っていた。
(CAMか……間近で見る機会はあまりなかったな……いや、じっくり見るのは、また今度だ)
 希崎 十夜(ka3752)は浮かぶ思考を遮断するように首を振って状況を判断する。
 CAMのガトリングガンに撃たれた魔導アーマーが動く気配はない。操縦者の無事もここからでは確認不可能だ。
「……近付けば、わかるか?」
 今出来る事を全力でやると決めてここに来た。十夜はCAMの動きを伺うように目を動かすと、破損した魔導アーマーに向かって駆け出した。これにブリジッタも続こうとするが、ナナート=アドラー(ka1668)がそれを遮る。
「ブリジッタちゃん。操縦者の無事を願うならCAMの注意を惹いてちょうだい。私達がCAMの機動力を殺ぐから、貴女達はCAMを攻撃しつつ、ランチャーの軌道上まで引いて来て貰いたいのん……出来るかしら?」
 CAMはガトリングガンを携えたまま破損した魔導アーマーに突進しようとしている。このままでは機体は大破させられ、様子を見に行った十夜も無事ではないだろう。
「わかったのよさ」
 キュッと唇を噛み締めて頷くブリジッタにナナートの目が緩まる。けれど次の瞬間には厳しい表情で言った。
「それとこれは忠告よ……特攻なんて考えちゃ駄目よ? 良いわね?」
 そう言い置き、ナナートはCAMの機動力を削ぐべく騎乗する愛馬の手綱を引いた。それに合わせてブリジッタも動き出すと、ここまでの動きを冷静に見ていたヒース・R・ウォーカー(ka0145)が呟く。
「これが歪虚CAMの性能か……あのナイフの性能も見ておきたかったけど限界かねぇ」
 気怠げに零して首筋を摩る。そうして自らの獲物に触れると、隣から静かな決意の籠った声が響いてきた。
「CAMは……護りたいって想い詰まってるの……絶対に……ヴォイドには……渡さない! CAMの手も……もう、汚させない!」
 瞳に闘志を燃やして零すシェリル・マイヤーズ(ka0509)の声にヒースの目が一瞬だけ空を捉える。そして次の瞬間、彼は何も言わずに駆け出した。
「あ……待って……!」
 ヒースが向かうのは勿論進行するCAMの元だ。彼は先に到着した研司と真吾の姿を捉えると、彼等とは逆方向から迫るべく足を動かした。
「スペルランチャーの起動を確認! 予定通りの場所に動く!」
 トランシーバーから聞こえる声でスペルランチャーの状態を確認した研司は、全体に聞こえるように声を張り上げるとギリギリまで強化したアサルトライフルを構える。
「狙うのは脚部だ……!」
 銃声が轟き、弾丸がCAMの脚に直撃する。だが相手に怯む様子はない。これに真吾も加勢する。
「随分と頑丈だな。それだけ色んな奴の想いが詰まってるってことか。なら尚更、歪虚になんて渡してたまるかよッ!」
 魔導拳銃の側面に描かれた五芒星が光り輝く。と、直後、凄まじい勢いでマテリアルの弾丸がCAMの脚を突いた。
『グォォオオォオオッ!』
 咆哮染みた声を響かせ、CAMがガトリングガンを構える。それにヒースが声を上げる。
「退け!」

 ゴォォオオォッ!!

 地響きをさせながら複数の銃弾が地面に叩き込まれる。
「っ、く……」
「……これじゃ、近付けないぞ」
 ヒースの声で駆け出した研司と真吾だったが、2人の全身には負傷の痕が見える。どうやら直撃は免れたが、避けきれなかった弾が四肢を掠め、ガトリングガンの衝撃に飛ばされて地面に叩き付けられたらしい。
「直撃しないでアレか……ヤバいねぇ」
 ニイッと口角を上げたヒースが無造作に朧月の手裏剣を放つ。それがCAMの脚部とガトリングガンを叩くと、前を向いて移動を続けていた敵の軌道が変わった。
「へぇ、武器を叩かれるのが嫌なのか」
 自身へ銃口を向ける敵に徐々に笑みが濃くなる。しかも攻撃の手は休む事なくCAMのガトリングガンに向かったままだ。
「加勢するわよん!」
 歪虚の圧に負けたのだろうか。騎乗を止めて単身で並んだナナートが、2種類の拳銃を構えて放つ。
『グァァアァァッ!』
「――皆、気を付けて。何か来るわん!」
 足元の土が舞い、CAMの脚が一気に加速する。まるで障害物全てを薙ぎ倒そうとするかのような動きに、ヒースは勿論、ナナートや傍まで来ていたシェリルも回避を試みる。
「……、ぁ……っ、ぅ……まだ、だよ」
 ゴロゴロと地面を転がって息を詰めるシェリル。ヒースやナナートも避けはしたが衝撃に地に足を着いている。
「これが……いや、感心してる場合じゃないな」
 十夜は白銀の日本刀を抜き取ると、表情を引き締めて飛び出そうとした。が、怯んだ様に足が止まってしまう。
(スキル……っ)
 サアッと血の気が引くのを感じたが、今はそれどころではない。
 加速した勢いでスペルランチャーに向かって駆け出そうとするCAMに焦りが浮かぶ。しかしそれを遮る様に光が飛んで来た。
「そっちには行かせないんだから!」
「同じく、行かせる気はないですの!」
 ざくろの放った光の軌道に添って放たれた颯のライフルの弾がCAMの動きを邪魔する。そこにCAMのコンバットナイフが振り下ろされた。
 ざくろと颯に迫る刃。それを目にしたシェリルが埃を払って駆け出した。
「魔導アーマー、あの子を援護してちょうだい!」
 単身で突っ込むシェリルにナナートが叫ぶと、魔導アーマーがドリルを回転させながら突っ込んだ。

 ガッ、キーーンッ!

 真っ二つに折れたドリルが、宙を舞って地面に突き刺さる。そしてドリルを折ったナイフが魔導アーマーの装甲を断ち斬ると、シェリルはガトリングガンの傍に到達した。
「刺さって……!」
 飛躍して振り下りした鉄パイプをガトリングガンの隙間に突き刺す。そうしてこの場を離れようとしたのだが、そう巧くはいかなかった。
「きゃあぁぁああっ!」
 関節は動かなくとも振り上げる事は出来る。
 邪魔な虫を払うように振り払われたシェリルが地面に叩き付けられる。これにブリジッタが動いた。
「カオルくんだって、役に立てるのよ……っ!」
 言ってカオルクヴァッペの上体を下げると、勢い良く飛び上がった。
 彼女の目的はCAMにカオルくんを当てる事。巧く行けば少しくらい破損させる事が出来るかもしれない。そう思っての行動だった。
 しかし現実は甘くなかった。
「ああああ、外し――」

 ゴォォオオォオッ!

 コンバットナイフで振り払われた機体が虚しく地面に転がって行く。だが全てが全て無意味ではなかったようだ。
「堕ちた人形、か」
 ブリジッタにCAMが気を取られていたのは一瞬、けれど戦場ではその一瞬が命取りだ。
 ヒースは間近にまで接近を果たしたCAMの脚を眼前に、自らの刀に手を伸ばす。そうして抜刀の構えを取ると脚の関節部分に目をやった。
「虚無に堕ちる前に、ここで壊れろ。嗤え」
 抜刀の一太刀がCAMの関節部を叩く。
『グガァアアアァッ!』
 咆哮を上げCAMの脚が動く。だがそこへ真吾とナナートの援護射撃が加わると、今まで傾く事なかった敵の上体が傾いた。
「よしっ!」
 もう少し。そうライフルを構えた研司だったが、空へ放たれる光の矢を見て目を見開く。
「スペルランチャーの発射準備が整った!」
 そう、今の矢はヒヨスが合図の為に放った物だ。つまり今が勝負の時。
「CAMを歪虚の好きになんてさせないもん! やるよ颯!」
「颯におまかせですの!」
 ざくろと颯は目を合わせて頷くと、何の迷いもなくCAMの間合いに飛び込んだ。そこへ体勢を崩した敵のガトリングガンが降り注ぐ。
「――全力、全開――ッ!!」
「!」
 弾を放っては居なくても勢いよく降り注いだ鉄の塊は強烈のはずだが、十夜はそれを2人を行かせる為に単身で受け止めようとした。
 だが結果は不発。勢いよく叩き落とされた鉄の塊が彼の体を叩き潰す――筈だった。
「魔導、アーマー……」
 寸前で差し入れられたドリルが鉄の塊を受け止めている。それを視界に端に留め、ざくろと颯は安堵の思いで踏み込んだ。
「くらえダブル電ショック!」
「びりびり電撃どりるぅ~!!!!」
 ざくろの魔法剣と颯の魔導ドリルがCAMの脚関節部に突き入れられる。そうして2人同時に強力な電流を流し込むとCAMは強張ったように身を硬直させ、落とし穴に無事な方の脚を落とした。
「今だ!」
 研司はCAMの動きが完全に止まったのを確認して、赤の布を結んだ鏑矢を天に射った。

――ゴゴォォオオオオッ!!!!

 合図から僅か、凄まじいまでの光のエネルギーがCAMを貫く。声を上げるでもなく、静かに光に呑まれたCAMが動く気配はない。
「勝った……の……?」
 シェリルはそう零し、CAMを貫いても尚遠くへ飛んで行くスペルランチャーの光に目を瞬いた。

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MVP一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカーka0145
  • 龍盟の戦士
    藤堂研司ka0569
  • 遥かなる未来
    テンシ・アガートka0589

  • ブラオ・コールマンka1131
  • 爛漫少女
    ヒヨス・アマミヤka1403
  • びりびり電撃どりる!
    八劒 颯ka1804
  • ヒーローを目指す者
    鳴神 真吾ka2626
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀ka3706

重体一覧

参加者一覧

  • 魔弾の射手
    エルム(ka0121
    エルフ|17才|女性|魔術師
  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 理由のその先へ
    レホス・エテルノ・リベルター(ka0498
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • 龍盟の戦士
    藤堂研司(ka0569
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士
  • 遥かなる未来
    テンシ・アガート(ka0589
    人間(蒼)|18才|男性|霊闘士
  • 戦場の美学
    ウルヴァン・ダイーヴァ(ka0992
    人間(蒼)|28才|男性|機導師

  • ブラオ・コールマン(ka1131
    人間(蒼)|24才|男性|疾影士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 爛漫少女
    ヒヨス・アマミヤ(ka1403
    人間(蒼)|16才|女性|魔術師
  • ミワクノクチビル
    ナナート=アドラー(ka1668
    エルフ|23才|男性|霊闘士
  • →Alchemist
    イェルバート(ka1772
    人間(紅)|15才|男性|機導師
  • びりびり電撃どりる!
    八劒 颯(ka1804
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
  • 強者
    メリエ・フリョーシカ(ka1991
    人間(紅)|17才|女性|闘狩人
  • 洞察せし燃える瞳
    フラメディア・イリジア(ka2604
    ドワーフ|14才|女性|闘狩人
  • ヒーローを目指す者
    鳴神 真吾(ka2626
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 絡みつく慚愧の鎖
    サントール・アスカ(ka2820
    人間(紅)|25才|男性|疾影士

  • ダイン(ka2873
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 氷情炎舞
    スティリア(ka3277
    エルフ|18才|女性|疾影士
  • 信念持ちしサラリーマン
    山田 勇三(ka3604
    人間(蒼)|57才|男性|疾影士
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀(ka3706
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • もふもふ分補充完了
    エーディット・ブラウン(ka3751
    エルフ|20才|女性|魔術師
  • ナイスタイミング
    希崎 十夜(ka3752
    人間(蒼)|19才|男性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓2(具体行動内容)
ウルヴァン・ダイーヴァ(ka0992
人間(リアルブルー)|28才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/01/08 01:50:50
アイコン 質問卓
ダイン(ka2873
人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/01/07 23:03:25
アイコン 相談卓
フラメディア・イリジア(ka2604
ドワーフ|14才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/01/07 19:47:59
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/07 15:59:11