• 血断

【血断】アポカリプス・フーガ

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/03/31 12:00
完成日
2019/04/12 06:27

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●広がる世界
「ねえ、クリュティエ」
「何だ?」
「クリュティエ、前に『怒りも哀しみもお前の強さになる』って言ってたけど。それ以外の感情でも強くなれる?」
「……そうだな。強さの種類は違うかもしれないが……お前の力にはなるだろうな」
「じゃあ、『思い出』は? これが増えても強くなれるのかな」
「思い出? そんな言葉どこで覚えて来たんだ?」
「この間ハンターが教えてくれたんだ。誰かとの大切な記憶、物や場所はその縁は『思い出』っていうんだって。シュレディンガー様も、大切に思っている限り俺の心から消えないって。あ、お友達も出来たんだよ。ハンターは悪い人ばっかりじゃないんだね」
「そうか。それは良かったな」
「……でも、余計分からなくなっちゃった。シュレディンガー様が死んだのは、全部ハンターのせいだと思ってたのに」
「……ハンターは切っ掛けに過ぎない。それだけシュレディンガーの決意は固かった。結果は変わらなかっただろう」
「クリュティエは、どうしてシュレディンガー様が死んだのか分かるの?」
「完全に理解しているかと言われればそんなことはなかろうが。何を考えてその行動に出たのかは察することは出来るな」
「……クリュティエの言葉難しい!」
「ああ、すまん。『何となくだけど分かる』と言えばいいか?」
「うん! それなら分かる。……俺、シュレディンガー様が見ていたものを見たいんだ。あの人が残した言葉を理解したい」
「きっと、世界を見て、思い出を増やせば……お前にも理解できるようになるだろう」
「うん! ハンターに復讐するのはちょっとお預けにして……あ、シュレディンガー様怒るかな」
「シュレディンガーは私達の自主性を尊重していた。怒ったりすまい」
「そっか。クリュティエはすごいね、シュレディンガー様の考えてること分かって」
「……さっきも言ったが、私は推測しているに過ぎない。理解しようと努力するお前の方が正しい答えに到達できるかもしれないぞ」
「そうだといいな。……それじゃ、ちょっと行ってくるね」
「ああ、いってらっしゃい」

●あなたが見たもの
 テセウスは、クリムゾンウェストの自由都市「リゼリオ」やって来ていた。
 ……本当は、リアルブルーにあるローマという場所に行ってみたかったのだが、残念ながら蒼の世界は凍結中で出向くことが出来ない。
 リアルブルーで食べたアイスクリームがもう一度食べようと思ったらどこがいいかと考えて……なるべく人が沢山いて、物資が豊富なところがいいと思ったのだ。
 アイスクリームがなかったとしても、同じような美味しいものが見つけられるかもしれない。
 そういえば、リゼリオにはハンター達の本拠地であるハンターズ・ソサエティがあると聞いたことがある。
 ……ということは、ハンター達も山程いるのだろうか。
 まあ、いいや。出会ってしまったらその時はその時だ。
 クリュティエにお小遣いももらったし。ヒトの世界のルールに従って観光している分には、ハンター達も大目に見てくれるだろう。多分。
 ダメって言われて喧嘩売られたら、返り討ちにすればいいし。
 だって、俺はシュレディンガー様の秘蔵っ子だもん。強いもんねー。
 テセウスは鼻歌を歌いながら、陽気に歩き出し――。

●アポカリプス・フーガ
 今日も無事に依頼を終えて、帰路に着こうとしていたハンター達。
 リゼリオを出て、歩き始めて少しした頃。そこに異様な雰囲気を感じ取った。
「………!? 何だ? 負のマテリアル? 何でこんなとこで……」
「……変ね。ソサエティではそんな情報出てなかったけど」
 きょろきょろと周囲を伺うハンター達。。
 覚醒者であるハンター達を誤魔化すことはできない。強力な負の気配。
 間違いない。何らかの高位の歪虚がいる――!!
「まずいな……。一旦ソサエティに戻って応援を……」
「……ねえ。ちょっと待って。あれ……」
 ハンターの指さす先に目線をやるハンター。
 そこには見覚えのある赤毛の青年……イェルズ・オイマト(kz0143)が、負のマテリアルを放出しながら歩いていた。
「……何だ。イェルズ……じゃねえよな」
「違うわ。眼帯してないし、義手でもないもの。あれって……」
 顔を見合わせるハンター達。
 間違いない。あいつは新米黙示騎士のテセウスだ……!
 一体何が狙いかはわからないが、このまま放置しておく訳にもいかない気がする。
 いや、いっそ放置していても……え。あいつリゼリオに入ろうとしてませんか?
 え。どうすんのこれ。
 意気揚々と歩いて来るそれを、ハンター達は無言で見つめて……。

 ――さて、どうしよう?

リプレイ本文

「……何やってんのさ、あいつ」
 のんびりとこちらにやって来る赤毛の青年を見つめて呆れを隠さないラミア・マクトゥーム(ka1720)。
 視界に飛び込んで来た光景に、トリプルJ(ka6653)が必死に目を擦った。
 しかし、何度擦っても謎のイケメンは消える気配はない。
「あそこに黙示騎士が居るように見えるんだが……俺の気のせいか?」
「気のせいだったら良かったんだけどね……」
「はい! あれテセウスさんですね」
 げんなりとした様子でアルスレーテ・フュラー(ka6148)の横でにこにこしているアルマ・A・エインズワース(ka4901)。
 やっぱり気のせいじゃなかった……!
 激しい既視感に、トリプルJは思わず帽子を地面に叩きつけた。
「マジか! 強ぇ歪虚は自由人ばっかりかチクショウ!」
「……多分だけど、観光に来たんじゃないかな」
「何? あいつと知り合い?」
「うん。友達」
 笑顔で頷いたシアーシャ(ka2507)に、死んだ魚のような目をするトリプルJ。
 ああいう変わり種は元憤怒王だけかと思っていたのに……!
「まあ、触らぬ神に祟りなしとも言うけれど、多分あれ放っておくのよくないわよねぇ……」
 ため息交じりに言うアルスレーテ。
 テセウスからは遠目から見ても分かる程度には負のマテリアルが出ている。
 あんな状態で街に入って非覚醒者と接触でもされた日には、気絶するものが出てもおかしくない。。
「……そうだね。穏便にお帰り戴いた方がいいんじゃないかな」
 ルシオ・セレステ(ka0673)の声に頷くトリプルJ。帽子を広い上げ、砂埃を払って被り直す。
「OK。それじゃ今回も歪虚と社交と洒落込むか」
 方針を固めたハンター達。ラミアとシアーシャは無警戒に歩く男に声をかけた。
「そこの黙示騎士。ちょっとこっち来な」
「テセウス、こんにちは!」
 呼ばれて振り返る赤毛の歪虚。知った顔がいるのに気づいて、笑顔を浮かべてこちらに走って来た。
「ラミアさんだ! シアーシャさんもこんにちはー!」
「やあ、テセウス。元気そうだね」
「ルシオ母さんもいた!」
 ルシオの姿を見つけて更に笑顔が深くなるテセウス。
 見た目が全くあの人と同じである事に若干やりづらさを感じながら、ラミアは続ける。
「……で? あんた、こんなとこで何してんのさ」
「今日は観光に来ました! 思い出増やそうかと思って」
「そっか! テセウスは前向きで偉いねー!」
 素直に答えるテセウスに、シアーシャはご褒美とばかりに抱き着いたが……急速に身体から力が抜けて、膝から崩れ落ちる。
 そんな彼女を、アルスレーテが慌てて受け止めた。
「大丈夫!?」
「あ、ありがと。大丈夫だよ。ちょっと負のマテリアルに当てられたみたいで……」
「あー。そうね。解るわ……」
 あははと笑うシアーシャに遠い目をするアルスレーテ。
 先日彼女も結果的にではあるが黒い高位歪虚に抱きついた(?)ので、当てられる感覚というのは良く分かる。
「というか! そんな状態で! 街中に入ろうとするって大問題じゃないの!?」
 すかさずツッコむアルスレーテ。トリプルJは笑顔を張り付けてテセウスを見る。
「ヘイボーイ、もうちっと負のマテリアルの放出を押さえる事は可能かい?」
「えっ? 俺、そんなに負のマテリアル出てます?」
「わふ。結構……というか大分出てますよね」
 心底驚いた様子のテセウスにかくりと首を傾げるアルマ。赤毛の歪虚は腕を組んで考え込む。
「黙示騎士の皆さん全員こんな感じだから気付きませんでした」
「まあ、そうだろうね……」
 苦笑するルシオ。
 生まれ育った環境が子供にとって『常識』になる。
 アルマは子供にも解るように説明を続ける。
「テセウスさんは歪虚さんなので、負のマテリアル出るです。一般の方に近寄りすぎるとお身体具合悪くなったりするです。それはかわいそうですよね?」
「……それってハンターさんもですか?」
「そうですよ。一般の人よりは耐性があるですけど」
 彼の説明に再び考え込むと、テセウスはもう一度頷いてハンター達を見る。
「分かりました。ルシオ母さんやシアーシャさんになでなでして貰えないのは嫌なので、負のマテリアル抑える方法覚えます」
「ハァ? あんたその動機はどうなのよ」
「動機はともあれ話の分かる奴で助かったぜ。で、それってのはすぐに出来るもんなのか?」
 心底呆れた顔をするラミア。トリプルJの問いに、テセウスは早速試し始めて――。
 ――試行錯誤の結果、少しは負のマテリアルを抑えられたようだが、街中を歩くのには若干不安が残る状態だった。
 ……正直、こんな状態で以前みなとみらいを歩いていたのかと思うとゾッとする。
「ちょっと練習が必要そうねえ」
「これだと、街に入るのは厳しいですかねえ」
「ええー!? 俺、アイスクリーム食べたいのにー!」
 アルスレーテとアルマの声にショックを受けるテセウス。
 そんな彼を、ルシオがまあまあ、と宥める。
「そうだな……テセウス。ピクニックと言うものを知っているかな?」
「何ですか? それ」
「弁当やデザートを持ち寄って、花や景色が美しい場所へ出掛けてシートを広げて皆で食事をするんだよ」
「街には入れないけど、街を眺める事なら出来るし、今の季節はお花も綺麗だよ。きっと素敵な思い出増えると思うな」
「アイスクリームなら、あたしが代わりに買って来てあげるよ。それなら目的が果たせるだろ?」
 ルシオとシアーシャ、ラミアの提案が気に入ったらしい。こくこくと頷くテセウス。
 トリプルJは黙示騎士の気が変わらないうちにと行動を開始する。
「OK。じゃあちょっくら街行って食べ物仕入れて来るわ」
「じゃあ僕、ここでテセウスさんと一緒に待ってますねえ」
 アルマは手を振って仲間達を見送り――。


 リゼリオの街で買い物を済ませたハンター達。
 アルスレーテが乗って来たママチャリに積めるだけ積んで戻って来ると、アルマとテセウスはしゃがみこんで何やら話をしている最中だった。
「お待たせ! 2人共、何してるの?」
「わふ。花の名前教えてたです」
「花の名前覚えましたよ!」
「そうか。いい事を教えて貰ったね」
 シアーシャの声に顔を上げたアルマ。得意げな黙示騎士に、ルシオは目を細める。

 ……彼は歪虚だ。何時かは倒さなければいけない。
 なのに、花の名を教え、人の心を教えてどうなると言うのだろう。
 ……でも。こういうのも、悪くはないのかもしれないと思う自分は甘いのだろうか――。

 黙想するルシオ。そこにラミアの声が聞こえて来た。
「テセウス! アイスクリーム買ってきたよ。溶けるから早く食べな」
「はーい!」
 小走りでやって来たテセウス。敷物に座っているラミアを見て、それに倣う。
 トリプルJは仕入れて来た食事を所狭しと皆の前に並べる。
「はいはい。どーぞ。で? お前さんホットドックとか串焼きとかそういうものは食わねぇのか? 甘い物オンリー?」
「人間が何食べてるのか、俺良く知らないんですよ」
「あー。まあ、そりゃそうだったな」
「あ、この間アルスレーテさんがくれたツナサンドは好きですよ」
「ふふふ。今日も持ってるわよー!」
「やったー!」
 胸を張るアルスレーテにアイスを持ったまま万歳するテセウス。
 次の瞬間、彼の頭にラミアの拳骨が落とされた。
「テセウス! 食事中に暴れない! アイスこぼれるよ!」
「痛っ。ラミアさんすぐ殴る!」
「うるさいよ! こっちに来たからには人の世界のルールに従いな!」
「……ルール?」
「君にとっての『当たり前』があるように、人の世界にも『当たり前』があるんだよ」
「今後もこっちに来るんでしょ? なら覚えておいた方がいいと思うよ」
「そういう事。色々言われて窮屈かも知れないけど、言う事聞きな。……ほら! 口の周り汚してるじゃないか」
 ルシオとシアーシャの言い聞かせるような言葉を素直に聞いているテセウス。その口をナプキンで拭いてやりながら、ラミアはため息をつく。

 ――なんだろーなーもー……。
 心中ものすごく複雑なんだけれど、見た目があの人と同じだけに放っておけないというか何と言うか……。
 こいつの存在を認めた訳じゃないし、許した訳でもないけど……。
 こんなに天気が良くて、お花も綺麗で――どうせだったらあの人とピクニックしたかったなあ……。
 ……いやいや、そうじゃなくて!!

 ぷるぷると頭を振って思考を追い払うラミア。その間にも、シアーシャの説明が続いている。
「……という訳だから、今度から遊びに来るときは連絡してね?」
「勝手に来たらダメなんですか?」
「ダメって事はないけど、テセウスは強い子だから。人によってはビックリしちゃうかもしれないでしょ」
 彼女の声に首を傾げるテセウス。アルマもうんうん、と頷く。
「そうですね。あとは……僕らに聞いてくれたら、観光名所とかお土産とかお教えできるですー」
「ホントですか!? 助かります!」
「あ、でも聞くひとは選ぶですよ。時々歪虚絶対殺すマンとかいますし……。多分僕は比較的安全です」
「……まあ、そうね。アルマと私はある意味あんたの誕生の起因でもあるし、そこは責任持って面倒見るわ」
「はいです。ばっちりです」
 苦笑するアルスレーテにもう一度頷くアルマ。
 テセウスは二人を交互に見つめて反対側に首を傾けた。
「……アルマさんはお父さんです?」
「わふ。そこは忠犬って言ってほしいですー」
「分かりました。アルマさんは忠犬ですね」
「待って。何がどうなってそこで忠犬になるのよ」
「アルスレーテさんはやっぱりおかーさ……って、いだー!!」
「だ・か・ら私は未婚だっての! いい加減ぶん殴るわよ!?」
 ツッコミにしては激しいアルスレーテの一撃。拳骨を入れられて頭を押さえるテセウスをまじまじと見ていたトリプルJは、串焼きを齧りながら徐に口を開く。
「なあ、お前。何でこんなとこまで来て買い食いやらしようと思ったんだ?」
「……シュレディンガー様が消える時に、俺に『世界を見ろ』って言ったんです」
 遠い目をしてぽつりぽつりと語るテセウス。
 シュレディンガーが死んだのは、全部ハンターのせいだと思っていたこと。
 クリュティエに、それは違うと言われたこと。
 実際ハンターと会って話して、何故あの人が消えなくてはならなかったのか余計に分からなくなったこと――。
「……分からないから、俺、シュレディンガー様が見ていたものを見たいんです。すごく大事な人だったから……あの人が残した言葉を理解したくて」
 その言葉を、フライドポテトを食べながら神妙な顔で聞いていたアルマ。うんうん、と頷いて顔を上げる。
「お気持ちはわかるです。僕にも大事な人いるですもん。だから僕、守れるようにがんばるですよー。……現に先生は狙われてますし、相棒は大怪我させられましたし……。ね、酷いですよね!」
「酷いですねー!」
「わふふ。テセウスさん、お話わかってくれるです! 黙示騎士さんっていい子もいるですねぇ。お友達になれますー?」
「いいですよ!」
「お友達増えて良かったね」
 にこにこと笑い合うテセウスとアルマを笑顔で見守るシアーシャ。トリプルJは続ける。
「ふーん。そういう事か。……いい親父さんだな、そりゃ」
「シュレディンガー様の事ですか?」
「おう。お前にモノの見方を刷り込めたはずなのに、それをしなかったってこた、お前が自分で経験して自分の見方を持てるようになるまで待つ、お前にはそれができると信じてるって事だろ」
「……そうなんですかね」
「そうだろ。……お前を見てると思い出すわ。他の歪虚の攻撃から知人の歪虚を庇って消滅した奴がいてな」
「あ、知ってます。蓬生さんですよね」
「ん? 何で知ってんだよ」
「だって、蓬生さんと青木さんをあの場所まで運んだの俺ですし。何か、蓬生さんが約束果たすからって頼まれて」
「あー。そういうコト……」
 テセウスの説明に、空を仰ぐトリプルJ。
 ――元々蓬生は、どういう形であれ『約束を果たすつもりだった』という事なのだろう。
 歪虚のくせに義理堅いやつだったと思う。
 あいつとだけは戦場以外でもう少し話をしたかったな――。
「ルシオ母さん! このプリンっていうの美味しい! アルスレーテさんのツナサンドもおいしい!!」
「そうか。気に入って貰えて良かったよ」
「誰も取らないから落ち着いて食べなさい」
 並べられた料理をかき込むようにして食べるテセウスを窘めるアルスレーテ。ルシオはくすりと笑うと、赤毛の歪虚を見つめる。
「……テセウスは、私と同じなんだね」
「何がです?」
「私は、喪った大事な人が見て回った世界を見たくて、森を出たから。この景色をあの人も見ていたのかもと思うと……あの人がね、傍にいてくれている気がするんだ。……解るかな?」
 その言葉に共感したのか、強く頷くテセウス。
 ラミアはふと、気になっていた事を口にする。
「……あんた、この景色が綺麗だって理解できるんだろ? じゃあ何で壊そうとするのさ」
「んー? そう言われてみれば何ででしょうね」
「理由がないのに壊すの?」
「それが当たり前なので深く考えた事なかったです。壊したらいけないなんて誰にも言われませんでしたし」
 さらりと答えた彼に、シアーシャが眉根を寄せる。
「でもね、テセウス。壊れちゃったら元には戻せないんだよ」
 不思議そうな顔をしているテセウス。彼女は言葉を重ねる。
「人間の世界のきれいなもの、美味しいものは、とっても繊細だから優しく丁寧に扱わないと壊れちゃうんだ。それを作る人間も、同じように繊細なの。壊すって、悲しい事なんだよ」
「んー。壊したくないなら、なおの事ファナティックブラッドを受け入れたらいいんじゃないですかね。邪神と一つになれば永遠でいられますよ?」
 テセウスの返答に絶句するシアーシャ。
 つい忘れそうになるが……彼も、黙示騎士であるのだと痛感させられる。
 何でもない事のように言うが――これも、彼の置かれている環境によるもの。
 人の思考に触れれば、変わっていくのだろうか……?
 シアーシャはそうあって欲しいと願いながら、分かり易く人の常識についての説明を続けて――。


 皆で持ち寄った食事を食べて、花や景色を楽しんで――気が付けば、すっかり日が傾いていた。
「俺、そろそろ戻ります。えっと……こういう時はお礼言うんでしたっけ」
「あら。ちゃんと覚えてたの? エライじゃない」
「えへへ。アルスレーテかーさんに……」
「だからその呼び方辞めろって言ってんの!」
 即座に拳骨を落とすアルスレーテ。涙目の黙示騎士に仲間達が苦笑する。
「次来る時は予告しなさいよ」
「わふ。教えてくれたら行きたい所調べておいてあげるですよー」
「わかりました! それじゃ!」
 ラミアとアルマの言葉に頷くテセウス。
 新米黙示騎士はひらひらと手を振ると、瞬く間に消え去った。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 3
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 杏とユニスの先生
    ルシオ・セレステ(ka0673
    エルフ|21才|女性|聖導士
  • ずっとあなたの隣で
    ラミア・マクトゥーム(ka1720
    人間(紅)|15才|女性|霊闘士
  • 力の限り前向きに!
    シアーシャ(ka2507
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • お約束のツナサンド
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/03/31 05:10:24
アイコン 相談卓
アルスレーテ・フュラー(ka6148
エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2019/03/31 05:24:09