新種、歩くエビフライ……なわけではない

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/06/11 12:00
完成日
2019/06/18 20:28

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●久々に愚か者
 小さな町の側を流れる川の上流に、研究室がある。そこには機導術の研究をする若者が住んでいる。貴族に頼まれ美容や健康グッズを作ろうとして、魔法公害を起こすこと二回。領主には次は出ていくようにと言われている。
 リッツ・ワルターは一見するとただの研究家のひょろっと細い一応カッコいい外見の青年。小さな町には近づくことは自主規制をしている。エルフを見るとまっしぐらに抱き着き、撫でまわしたりする危険性を抱いている。この辺りで全てを駄目にしているどころか、犯罪者になりかねない。
 エルフ見ると理性が飛ぶのは本人も何故だかわかっていない。
 そんなリッツは普通に研究して、きちんとゴミも処理して出ていけと言われないで暮らしていた。
 本日、目の前に変な生物ができていた。
「なんか、変な生き物できた」
 一言でいえば魔法生物か雑魔かよく分からないけどろくでもないもの。
 エビフライに足が生えている。エビは尻尾以外の殻は取ってフライにされていた代物なので、謎の足が生えていることになる。
 四つの足でカサカサと虫のように歩いている。いや、動物のように歩いているという方が正しいかもしれない。
「これは食べられるのかな?」
 食べたくはなかった。
「今日は遅いし、明日どうにかしよう」
 リッツはそれを瓶に詰め、放置した。
 その晩、カサカサ……カタカタ……ガンガン……ゴロゴロゴロゴロゴ……ボフン……ゴロゴロゴロロ……という音がしていたのだが、誰も知らない。
 翌朝、リッツは瓶がなくなっていることに気づいた。
「ま、窓が開いている!? 強盗が入った?」
 たぶん閉め忘れた。現実逃避はしなかった。
「……まずい! これは、まずい!」
 リッツはまず、家の中にいないか確認後、外に出る。近くの川を見たが、わからない。
「……あああああああああああああああああああ、領主様に怒られるどこか、殺されるっ!」
 リッツはハンターオフィスに急いだ。途中にエルフがいないようにという願いを考える余裕すらなかった。

●子どもたちの流行?
 ケント・ハウエルは妹のルゥルが居候している魔術師マーナの家の隣にあるエクラ教会に間借りをしていた。王都からの避難の結果であり、父親は隣町にとどまっていた。方々との連絡がつきやすいということであるらしい。
 ケントが小さな町にいることにしたのは、ルゥルがのびのびと暮らしていたところを見てみたかったからだ。大きな町にいたところでできることは限られているし、避難先と割り切る。
 時々、ルゥルと教会で一緒にご飯を食べることもあるけれども、あまり会話は弾まない。
 エクラ教の司祭のマークが言うには「年齢、性別、環境が違うから仕方がない」とのことだ。ケントもそれは思った。
 ニ十歳近くの自分と十歳のルゥル。これだけでも十分差があるのだ。
 かといって王都で見たルゥルくらいの年齢の女の子の興味を持っていた話題を振っても反応は薄かった。試しにキノコと言ったら、非常に食いついてきた。結局、ケントが詳しくなくて会話は続かなかったのだが。
 ルゥルとの溝は埋まっているが、それ以上は無理そうだ。それでも、この町にいることは心安らいだ。
 小さな町に住むちびっこの相手をするのがケントの役割となっていた。平時なら城壁の外に出て遊んでも文句言われない子どもたちだが、現在は歪虚の出現がありうるため、城壁内だけの活動だった。
 ルゥルのことをちびっこたちは知っているし、その兄が外から来たとあれば興味を持たれる。その上、意外とケントは面倒見が良かったのでなつかれていた。
 本日、なぜかちびっこたちは石をひっくり返したり、草むらを見たりしていた。
「虫でも探しているのかな?」
「違うよ。新種の生き物を探しているんだ!」
「新種の生き物?」
「そうだよ!」
 子どもたちはワクワクしている様子だ。
「どんな奴なんだい?」
「……ルゥルちゃんのお兄さん、大人には言っちゃだめだよ?」
 ここだけの話をしてくれた。
 朝、川に出たとき、歩くエビフライを見つけたというのだ。
「逃げられちゃったんだけど、外にいるの見つかったら怒られるから……探せなかったんだ」
 ひょっとしたらこの中にもいるのではないかと思って捜索しているという。
「いないかなー」
 子どもたちは石をひっくり返して歩いていた。
 教会に戻ると、さすがに言わない訳にはいかず、経緯をマークに話した。
「子どもたちがどこから出たかも問題ですね。それと、歩くエビフライ? 雑魔か何かでしょうかね……」
 一体くらいなら、ルゥル連れて行って訓練とすればいいかとも考えた。
「ルゥルは魔法使えるんですよね……」
「そうですよ。守備隊に言っておきますから、城壁から見てみますか?」
 さすがに一緒に行くというのは現状は許さない。危険が来た時、一般人のケントを守り切れない危険があるから。
「見てみたいです……」
 マークが守備隊に子どもたちの出入りについても話に行くついで、謎の生き物討伐の話をするのだった。

●依頼
 ロビン・ドルトスは目の前で落ち込む青年を見て、内心頭を抱える。
「分かりました、謎の生き物……と濁すのはやめましょう。推定魔法生物が逃げたからその討伐ということですね」
「はい……申し訳ありません」
「大きさは、最後に見たときは特大エビフライサイズだったということですね?」
 リッツはうなずいた。
「でも、マテリアルを得たり、水に浸ることでどうなるかわからないと?」
「エビフライなので」
「エビフライなんですよね」
「エビフライです」
 実験でなぜそれが動き出したのかロビンは不思議でならなかった。
「……魔法公害は起こしていないんだね?」
 ロビンから敬語が消える。
「うっ、ぐ……大丈夫なはずです」
「領主には報告するからね」
「……あああああああああああああああ」
 ロビンはリッツの過去を知っている。だからこそ、領主に報告の義務は果たすのだった。
 だからこそ、リッツはうめいたのだ、追い出されるか厳重注意か、実験はするなとなるかの瀬戸際だから。

リプレイ本文

●まずは
 依頼人であるリッツ・ワルターはアルマ・A・エインズワース(ka4901)を見てときめいた
「エ、エルフ!?」
「わふー?」
「あ、ああああ」
 妙な動きのリッツを、オフィスの職員ロビン・ドルトスが首根っこを掴む。
「すみません。これはエルフ見ると自我を忘れるんですよ」
「自我を忘れるとどうなるんですー? 殴る蹴る!?」
「それはないです。ただのエルフ異常に好きなだけです」
「なら大丈夫ですよー」
 ロビンが手を放すと、アルマの前にリッツは転がり、うねる。
「あ、いや、依頼が……」
 リッツはエルフであるアルマを前に葛藤を見せている。
 ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)は川の精霊を考えると早く解決したいが、依頼人の状況により話が進まない。
「王国の川ってどうなっているんだっけ! あっちの川に絶対行かせないんだから!」
 マリィア・バルデス(ka5848)は依頼の確認をロビンと行う。
「魔法公害って聞くとプエル(kz0127)のこと思い出して、ちょっとしんみりしちゃうわよね……」
 マリィアは大きく息を吐いた。
「それはそうと、討伐した後に何か残ったら困るじゃない。そこから汚染が広がらないように配慮が必要かなって思ったのよね」
 廃棄用のゴミ袋と軍手にトングを見せた。
 トリプルJ(ka6653)が土嚢用袋を持ってきていた。
「考えることは同じだな。戦闘した場所とか表土はいで持ち帰った方がいいかと思った。子どもが来る場所なんだろう」
 本当は出てはいけないと言われているけれど、危険が解除されれば遊ぶに違いない。
「魔法公害、クリシス領でも聞いたが、ありゃ、結局、マテリアル汚染とどう違うんだ?」
「汚染は歪虚がいることで発生します。公害は人間の不注意で発生します。その上、マテリアルが不安定になると雑魔が発生するというおまけ付です……まあ、こんな感じですね」
 ロビンが解説した。
 エステル・ソル(ka3983)は現場周辺地図を見ながら話を聞き、うなずく。
「マテリアルは不思議なのです、命の源のような感じでしょうか? でも、歪虚は生きていないのです? リッツさんは魔法生物を生み出す才能があるのですね、何かに行かせればいいのですが」
 ロビンは首を横に振り「この人の場合は、ゴミ処理をきちんとしないだけです!」と応じていた。
 セレスティア(ka2691)はロビンがだんだん気の毒になる。
「状況もわかりましたし、行きませんか?」
 否応もなく、一行は出発した。

●捜索
 町から町への移動途中、トリプルJはリッツに質問をしておく。
 エルフ問題はアルマが「後でぎゅーするです。でも、お仕事が先ですーっ」と無邪気に言ってくれたため、とりあえずリッツはそわそわしているが落ちつている。
「で、何の研究をしてると、エビフライが魔法生物になるんだ?」
 トリプルJの質問にリッツは首を傾げる。
「元々は美顔器だったんですが、色々あって健康グッズ研究したり……」
 話が長かったためまとめると、色々あって夕食のエビフライがたまたま魔法生物になったとのことだった。
 一行は沈黙した。
「で、さっさと討伐するでいいな? 魔法生物が好む行動は? 分裂して増えるということは?」
「うん、あれは確認していないし……僕が思うには、ふやけるかもしれない」
「……衣が?」
 リッツはまじめにうなずいた。
「油でエビフライを揚げる音は魅力的かもしれません?」
 エステルは試作型蓄音石にその音を録音してきていた。
「ふやけているから……ふやけると動きが鈍くなるとか……」
 ピアレーチェがつぶやく。
 まだ、エビフライの動きを誰も見ていないため素早いか否かも分かっていない。それでも、何かあれば水を掛けてみるという選択肢は浮上する。
「【ソウルトーチ】で出てこない場合、揚げる音で釣ってみます?」
「それ、いいかも! 出てきたところを【節制蒸留水】で……」
 エステルとピアレーチェは作戦を立てていた。
 その間、トリプルJはリッツに魔法生物について説明を求めるが、仮説しか立たないことが明確になったのだった。

 エステルはリッツの情報から、瓶は川を流されたと推測した。そのため、現場に向かったアルマ以外は、下流の捜索を行う。
 社会情勢もあり門が半分閉められている町を通り抜ける。
 河原でまるごとしまえながのルゥル(kz0210)と付き添いのマーク司祭を見つける。
「ルゥル? このあたりにはキノコがないと思うけど、何を探しているのかしら? ……あら?」
 マリィアはマークと目が合ったので目礼をした。
 ルゥルとマークがやってくる。
「私たちは魔法生物の討伐依頼を受けたのよ。もしかしてルゥルも同じ物を探しているのかしら? 四本足の生えたエビフライらしいんだけど」
 マリィアの説明にルゥルが顔を明るくし、マークが暗い顔になる。
 ここから情報交換が始まる。
 ルゥルによると子ども達がこのあたりでエビフライを見つけたらしいということだった。ちなみに、今は町の外で遊ぶことは禁止されているため、子ども達が出入りしている状況も気になる点だという。
 リッツの状況を聞き、ルゥルとマークは複雑な表情を浮かべた。リッツがエルフのルゥルに何かしかかったことがあるのだろう。
「さあ、探そう。エビフライの生態なんてしらないけど……隠れやすいところとかないかなー」
 ピアレーチェは狩猟知識から発掘しようとしたが、形状から似たような物を想像するに止まる。
「それは……魔法生物ですし……」
 セレスティアは周囲を見るが、どう探すか悩ましいと感じた。
「見つけたら観察したい気もします……」
「そうなのです」
 エステルのつぶやきにルゥルが同意するのだった。

 アルマはリッツの家に到着すると現場を見る。
 実験室などはきちんと片付けられている。
 エビフライを入れた瓶を置いたところを見る。同型の瓶も見せてもらった。
 その台の近くにあるのはバルコニーに出られる大きな窓だ。バルコニーの柵は幅が広いため、瓶は落ちるだろう。
「瓶のまま移動するのは、なかなか賢いです? たまたまの偶然なんですー?」
 瓶の中でうまく力を掛けないと転がらないだろう。
 バルコニーを見ると、すぐそこは川だ。アルマは河原に下りると手がかりを求めて歩き出す。
 しばらく行くと、段差があり、ガラスの破片が下に転がっていた。
「これは! このあとどこに向かったのですー? 元はエビですし、水の中が恋しくなって飛び込んだとか?」
 どの程度の移動速度かが気になるところだ。
 証拠物件となりそうな瓶の破片を集める。先ほど見た瓶と同じタイプのようだった。
「リッツさんに聞きにっ!? わふっ! ついてきたいんですね!」
 振り返るとリッツはいた。瓶のことを尋ね、捨てる人がいなければ自分のだろうと告げた。
「エビフライはこのあたりから歩いてまたは泳いで移動したんですね」
 エビフライが泳ぐと衣はどうなるのかが不思議だった。
 衣の破片がないか目をこらしつつ下流に向かっていった。

●見つからない?
 ルゥルは河原の石をひっくり返している。
「石の裏にいるのか……? まあ俺も分からん……空から見てみるか……」
 トリプルJはモフロウを放ち【ファミリアアイズ】を用いた。ルゥルの回りで動くのがあったが、隠れるパルムとフェレットだった。
「いないか? いそうなところはどこだ?」
 くぼみにいるならそこに隠れている可能性はある。リッツが見たエビフライはサイズ的に大きめのエビフライ程度だったみたいだから。
 ピアレーチェは歩きながら不審そうな場所を探す。
「川から来たら、近くかな?」
 特に変なところはない。
「ルゥル、石をひっくり返すのはいいけれど、逃げられるようにしないと駄目よ。ひょっとしたら、エビフライに見せかけて、中身は人を襲うスライムかもしれないわ」
「なるほどなのです」
 マリィアの忠告にルゥルはうなずきながら、持っているワンドで石をひっくり返し始めた。
「あまり……それは効果は……。あ、でも、座り込んでいない分動きは早いですね」
 セレスティアは微笑む。もしもの時はすぐに動けるように自分がしておけばいい。
 くぼみなど河原が荒れているところで、エステルは【ソウルトーチ】を使ってみる。特に反応はなかった。
「エビフライが泳いでくるのなら、水の中……でしょうか?」
 エステルは川の水を眺める。
 流れてくるにしても浮かぶのか沈むのか、なぞのエビフライ。
「あ、そうだ、ルゥルちゃん」
 ピアレーチェが声をかける。
「もし、エビフライを見つけて、魔法を使うときはあたしたちにわかるように何か合図をしてくれるかな?」
 エステルは思い出した。助言しておかないと危険なことに。
「そうです、ルゥルさん、敵が一体の時はマジックアローやアイスボルトが一番です。大きな魔術は集中力が必要とされますし、うっかり味方を巻き込んでしまうと大変なのです」
「そうそう巻き込まれそうな人に防御の魔法をかけるよ」
「と言うようなことを言われてしまうのです」
「え、あ、あたし、心の声言ってた!?」
 ピアレーチェが頭を掻いた。
「なので、【どっかーん】をするときには前後左右の安全確認をしてから使うのです。エステルとの約束なのですよ?」
 エステルがしゃがんで告げる。
「……わ、わかったのです」
 ルゥルがごくりと唾と何かを飲み込んだ。
 アルマがリッツを連れてやってくる。
「わふー? 皆さん、エビフライはいましたかぁ?」
 誰も見ていない。
「……ここにいないとかないよな……」
 トリプルJの言葉に続き、全員の視線がリッツに突き刺さる。
 リッツを突いても仕方がないため、情報交換後探す。
「頭がある程度良くて、隠れているのかもしれません?」
 アルマの言葉に一同は、首をかしげる。
「川の中にじっとしてたらわからないな。例えば、エビフライは呼吸しているか?」
 トリプルJの言葉に一同は、首をかしげる。
「頭あるの? 呼吸も? 水の中で動かないと見えないよね」
 ピアレーチェは河原を見渡した。
 多量の石、岩、流れゆく大量の水が、そこにはある。
 つまり、エビフライ一本を探せるのかが疑問となる。
「試しに、これを使ってみます」
 エステルは試作型蓄音石を取り出し、再生する。
 ジュワアアアアア……と衣をつけたエビが高温の油につかり、エビフライに変身していく音だった。

 シタタタタタ………。

 河原を走る、エビフライがいた。
 エビフライを軸に左右に二本一対ずつ生えている。
「え、聞いてたのよりでっかい!?」
 ピアレーチェが驚くのも無理はなく、ただのエビフライよりはるかに大きい。
 錬金杖を握りしめ、エステルは臨戦態勢を整える間、エビフライを観察する。
 アルマはルゥルの魔法の特訓の様子を見る。アルマが焼き払うのはいつでもできるし。
「世の中には別の装備とかに突然変異するエビフライもあるのですから、足が生え歩いてるくらいなら別に驚かないですー」
「そ、それは……言ってはいけないことかもしれませんが……わたくしの錬金杖もエビフライから生まれたのです、油はきれいに落としました」
 世の中には恐ろしい錬金術があるらしかった。
 ルゥルが「そういえば、しまえながも」とつぶやいた。
「皆さん……討伐するのが仕事ですよね……」
 セレスティアが仲間に確認をする。観察するならそれに合わせる気持ちはなくはないが、討伐しないと、町に影響が出るかもしれない。
「……子どもが喜びそうな何か不思議な動きよね」
「動きどころか外見もな……目ないな……」
「マテリアルにも反応しなかったわよね」
「そういえば……どう感知しているんだ?」
 マリィアとトリプルJがエビフライを見つめる。

 シュターン。

 エビフライは突然跳んだ。
 素早い動きでピアレーチェの顔を掠った。
「痛いっ……痛い? ……エビフライが顔に当たったくらいの痛さかな」
 痛かった。衝撃はあった。
 油断さえしなければどうにかなりそうだが、スピードを落とさないとならない。
 トリプルJが【ファントムハンド】を、ピアレーチェが【ジャッジメント】を放つ。マリィアの【リトリビューション】が降り注ぎ、エステルの【星鳥】が突き進む。アルマの【アイシクルコフィン】が貫いた。
「これは……膠着していますね……」
 セレスティアは後方で待機して、回復魔法を必要に応じて使うつもりだった。
 ルゥルがもやもやしたのか【どっかーん】を放つ。トリプルJとピアレーチェの目の前で破裂しているけれども、巻き込んではいない。
 シュン、シュンっ!
 エビフライが残像を残すように跳び回る。
 動きは速くとも、ハンター達の足止めや攻撃の回数などは多数ある。
 その結果、ハンター達の足止めや攻撃が効いたようで、ある瞬間に粉砕された。
 ハンターたちにけがはなかったが、疲労は大きかった。

●掃除
 トリプルJとマリィアが掃除活動を始める。
「この辺りは子どもの遊び場と聞くしなぁ」
「子どもたちはいなかったのは幸いよね」
 マーク司祭が「門が閉まっている状況で、出入りが頻繁な方が問題です」と口をはさんだ。
 トリプルJとマリィアが異口同音にそれはそうだとうなずいた。
「わふっ、リッツお兄さん、ぎゅーとするです! なでてくださいですーっ!」
 アルマはない尻尾を振るように、耳を動かす。
「あ、ああ……」
 リッツは何か葛藤する。
「大丈夫ですよー」
 アルマをひしっとリッツは抱きしめる。
「エルフ、エルフの匂い、エルフの手触り!」
 とろけるリッツ。
 エステルの影からリッツを生温かい視線で見つめるルゥル。
「恐ろしいお兄さんなのです」
「え? ルゥルさんのお兄さん!?」
 ルゥルは首を激しく振ると、砦を指さした。
「兄上はあっちにいるです」
「ふえっ!? お兄様がいるんですか?」
「いるんです、残念ですがいるのです」
「ふええええ」
 エステルとルゥルの間に兄という単語に温度差があったが、当人達は気づけず。
「エビフライを偶然とはいえ、魔法生物にするなんて! 食べ物は大切にねっ! と、いっても無駄だろうな」
「そうですね、アルマさんに夢中ですから」
 ピアレーチェの溜息にセレスティアは苦笑した。

 無事エビフライの討伐は終わった。
 しばらく、危険がないかの確認のため、ハンター達はのんびり捜索していたのだった。

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  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワースka4901

重体一覧

参加者一覧

  • 淡光の戦乙女
    セレスティア(ka2691
    人間(紅)|19才|女性|聖導士
  • 部族なき部族
    エステル・ソル(ka3983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 本家・名付け親
    ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804
    ドワーフ|17才|女性|聖導士
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン エビフライを倒せ!
エステル・ソル(ka3983
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/06/10 22:12:08
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/06/09 10:01:35