勘違いの用心棒

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/06/26 12:00
完成日
2014/06/29 05:01

みんなの思い出

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オープニング

「ぐ、ぐわーっ!? こいつ……強いぞ!?」
 帝国領のとある山中。複数の帝国兵を相手に大立ち回りを演じる小さな影があった。
 左右の手に小さな斧を持ち、いかにも辺境由来の民族衣装をまとった少女。マテリアルの輝きは彼女が覚醒者である事を示唆している。
 少女は襲い掛かる兵士を次々にやっつけていた。やっつけるというのは、斧の側面で頭を叩いたり蹴っ飛ばしたりして無力化しているという事。要するに殺してはいなかった。
「だめだ、撤退、撤退ーっ!」
 逃げていく兵士たちを見送り小さく息を吐く少女。フードを持ち上げると、ぴょこぴょこと跳ね回る髪が自己主張する。
「やれやれ、やっと諦めて帰っただ。なんであいつら何度もしつこく襲ってくるだべか?」
 きょとんとした様子の少女の背後、木々の陰から数人の男たちが姿を見せた。少女と違い、明らかにアウトローな風貌をしている。
「よくやってくれたなぁ、シュシュ」
「オカシラ! 怪我はなかったべか?」
「おう、シュシュのお蔭で無傷だぜ。シュシュは俺達のヒーローだな」
 わしわしと少女の頭を撫で回す大男。明らかに人相が悪く、頬には切り傷がある。ニマっと笑うその横顔は邪悪なのだが、少女は全く気にも留めない。
「シュシュ、帝国兵きらいだかんな。あいつらシュシュの村にも来て、好き勝手やってただ。オカシラたち被害者、シュシュ助けるかんなっ」
「そうだぞー、俺達は被害者だからなあ。これからも頼んだぞ、シュシュ」
 ゲヘゲヘといかにも悪そうな笑い声が方々から上がるが、少女の瞳には星が煌めいている。彼らを疑うという発想が、少女にはなかったのだ――。

 ――ベルセルクのシュシュが山賊の用心棒になったのは、二週間ほど前の事だ。
 シュシュは元々ハンターで、その日も依頼をこなす為にその地を訪れていた。内容は山賊の殲滅。一人で来たのはその方が報酬が多かったからだ。
 六人だの八人でくれば給料はそれだけ減ってしまう。シュシュには三人の妹と二人の弟がいて、それを母親が一人で面倒見ていた。要するに貧乏だったのだ。
 辺境から流れてきて数年。大嫌いだった帝国で暮らすようになり、ハンターとなったが、それでもド田舎育ちのシュシュは都会に馴染めずにいた。
 そんなある日受けた依頼が彼女の転機となってしまった。シュシュは幼少時から狩人であり、その戦闘力は高い。山賊たちを圧倒し一人で依頼を完遂……しかけたのだが、最後の最後に山賊がかましたハッタリが思い切り突き刺さってしまったのだ。
「た、助けてくれぇ! 俺達は被害者なんだ!」
「最初から殺すつもりはなかっただよ? 捕まえて引き渡せばいいだけだべ。それより被害者ってどういうことだ?」
 斧を手にきょとんとするシュシュ。山賊は必死で命乞いした。自分たちは帝国の悪政の被害者であり、常日頃弾圧されているという事。国軍に追い立てられ山に籠っている事。それでも軍が迫っている事……あることないことひっくるめ必死で喋り続けたその結果……。
「びぇえええっ! オカシラ達はシュシュとおんなじだ! 帝国のせいで住むとこなくなって、家族ばらばらになっただよ!」
「……オカシラ、こいつ信じてますよ」
「バカか……? だが覚醒者だからな、強さは相当なもんだ……利用できるかもしれねぇ……ひひひ」
 正座したまま泣きじゃくるシュシュ。山賊達は少女を言いくるめ、国軍の追及を逃れるための盾――用心棒として使う事を思いついたのだった……。

「おらシュシュ、晩飯だ。これ食って明日からもよろしくな」
 オカシラが投げ渡したのはカビの生えたパンだった。シュシュはにっこりとほほ笑み、礼を言うと両手で持ったそのパンをおいしそうに頬張った。
 水はその辺の川で飲めたし、狩りは得意だ。森の中での生活は不慣れだったが、何とか生活できる。
「シュシュのお蔭で俺達の仕事もはかどるよ。最近はかなり調子いいぜ」
「皆が喜んでくれてうれしいだ! シュシュ、明日からもがんばるだよ! だから皆も帝国に負けず、きっと幸せになるだよ!」
 盗賊たちは奥にある山小屋で暮らしている。シュシュはそこには入れてもらえなかった……というか自分でここで見張ると言って聞かなかった為、一人外で野宿していた。
 仰向けに寝転がり、星空に思い浮かべるのは故郷の事だ。ある日急に帝国軍がやってきて、ここは危険だからとかなんだ言って無理矢理退去させられてしまった。
「危険でもビンボーでもよかっただ。シュシュは、家族や仲間と暮らせればそれで……」
 ハンターとして金を稼ぎ、いつかは仲間を呼び戻しもう一度一緒に暮らしたい。その夢は大切だ。
 だが目の前で困っている人達を、帝国に苦しめられている人を見捨てる事は誇りが許さなかったのだ。
「うぅ……夜は冷えるべ……皆も今頃、同じ空を見てるだべか……?」
 毛布に包まり幸せな夢を見る。少女はまだ、自らの犯した過ちに何も気づいてはいなかった……。

リプレイ本文

「……おい、マジか。あいつ寝てやがるぜ……」
 シュシュ・アルミラを発見するのはさほど難しくなかった。気持ちよさそうに森の中で昼寝しているシュシュを物陰から見つめる人影が三つ。ボルディア・コンフラムス(ka0796)はそのあまりに呑気な様子に呆れ返っていた。
「普通見張りの最中に昼寝するか? バカにも程があるっつーんだよ……」
「根が素直なのか単なる世間知らずなのかわからなかったが、今確信したぜ。あれはただのアホだな」
 帽子のつばをくいっと持ち上げながら苦笑を浮かべるエルドレッド・ディアルティア(ka0560)。これはさすがになんていうか、擁護不能だ。
「余裕で素通りできそうだけど、さてどうしたものかな?」
「とりあえず別働隊に連絡しとこうかね。伝話、伝話っと……」
 伊勢 渚(ka2038)の隣でいそいそと仲間に連絡を取るエルドレッド。伝話の向こうでは三人のハンターが連絡を待っていた。レイス(ka1541)は通話を追えると、微妙な表情で振り返る。
「シュシュ・アルミラと言ったか。ターゲットだが、今寝ているそうだ」
「ん、純情な女の子は可愛いね♪」
「この場合、純情とかそういう問題なのかな?」
 にっこりと微笑む東雲 禁魄(ka0463)。鳳 覚羅(ka0862)は頬を掻きながら笑い、それから気持ちを切り替える。
「場所はわかったんだし、ひとまず良しとしよう。それじゃあ早速説得に向かおうか」
 まずは説得班がシュシュに接触し、説得を試みる。その間別働隊は山賊にアクションをかけられるように身を潜めておく事になっていた。
 森の中に向かうと、シュシュはまだ寝ていた。口の端から涎を垂らし、気持ちよさそうに転がっている。
「……ここまで接近して何故起きない」
「ふふ、よく寝てるね♪ 少しかわいそうだけど……おーい、山賊狩りに来たよー☆」
 禁魄が近くで声をかけるとびくんと身体を震わせ飛び起きた。寝ぼけた様子で枕元にあった斧を拾い上げ、シュシュは三人のハンターを交互に眺めている。
「なっ、なんだべ? 帝国軍かぁ!?」
「初めまして、かな。俺はレイス。少し話がしたい。ここではなんだし、落ち着ける場所に行かないか」
「俺達もアルミラと同じハンターだよ。勿論、敵意はないんだ。だから武器を収めてくれるかい?」
 レイスと覚羅はシュシュの目の前で武器を置いて見せた。ついでに手も上げてみると、シュシュはおずおずと斧を下ろす。
「ハンター? オカシラ達をいじめに来たんじゃないべさ?」
「そうだ。こんな森の中ではなく、外で話をしよう」
「でもシュシュ、見張りしてるかんな?」
 無言で荷物を漁るレイス。警戒したシュシュだが、取り出されたパンを見てその目が光り輝いた。
「ついてきてくれたら、このパンをあげよう」
 パンを手にしたまま無表情に後退するレイス。シュシュはその動きに合わせ、一歩、また一歩と追跡を開始する。
「え、えぇ~……? それでついてくるんだ……?」
 思わず脱力した覚羅だが、まあうまく行っているのだからケチのつけようもない。こうしてハンター達はシュシュを誘導し、山賊のねぐらから引き離す事に成功した。
「それで、シュシュになんか用なんか?」
 パンを食べてすっかり気を良くしたシュシュに覚羅は咳払いを一つ。
「俺達はアルミラを連れ戻しに来たんだよ」
「帝国の手先だべか!?」
「それは違う。俺達はあくまでハンターとしてここに来た。帝国は関係ない」
 厳密には嘘なのだが、シュシュはレイスの言葉に安心したようだ。
「アルミラは何故山賊を守っているんだ?」
「それは、話せば長くなるだべが……」
 こうして聞き出した事情は覚羅の予想通りだった。
 シュシュの生い立ちや彼女が何故ハンターになったのか、事情を調べるのは難しくなかった。そしてだからこそ今確信する。シュシュは山賊に利用されているだけなのだと。
「だけどねアルミラ。君が守っている山賊は、この近辺の村や通行人から物品を略奪しているんだ」
「自分より弱い相手からだけ物を奪い、自分より強い軍人からは逃げ回っていた……典型的な小悪党だね♪ けれどそこに、シュシュ。キミが現れてしまった♪」
「そもそもここに来たのは何故だったのか思い出してみろ。アルミラは山賊を討伐する依頼を受けたんだろう? それはつまり、相応の被害が出ていると言う事だ」
 三人の説得にシュシュは目を点にしていた。そして自分がここに来た理由を思い出し、しかし首を横に振る。
「だ、だけど悪いのは帝国だ! 帝国がオカシラ達の住む場所を、故郷を奪っただよ! オカシラ達はしょうがなく山賊やってるだけだ!」
「帝国どうこうが問題じゃない。君は気付いているかい? 山賊達の略奪行為、それに加担する事によって事の大小こそあれ、君は帝国軍と同じように故郷を追われた境遇の人達を増やしているんだよ」
 ガツンとハンマーで殴られたような衝撃だった。自分が帝国と同じ。覚羅の言葉は到底受け入れられるものではない。
「シュシュ、キミの腕が立つのはよくわかる☆ けれど、これから先もずっと一人で戦い続ける事が出来るかな?☆」
「彼等によって辛い思いをした人もいる。君はそれを許すのか? 自分を疑ったまま、それでも戦う事が出来るのか?」
 禁魄とレイスの説得にシュシュは崩れ落ちてしまった。頭を抱え、いやいやと首を振って見せる。
「だけどシュシュが守ってあげないと……オカシラ達は、シュシュの仲間だべ……」
「……そのオカシラ達が、シュシュを仲間だと思っていなかったとしたら?」
 伝話を片手に目を細めるレイス。それをそっとシュシュに手渡し、頷いて見せた。

「……というわけで、やっぱりこっちも行かないとダメみたいだぜ」
 伝話を片手にウィンクするエルドレッド。その視線の先には一般人に変装したボルディアと渚の姿があった。
「納得しないんじゃしょうがねぇ。いっちょ証拠を見せてやるか」
「こうして一般人の格好をしていれば放っておいても襲ってくるでしょ。盾は目立つから置いてかないとかな」
「俺もバスタードソードは置いていくか……ん? 何見てんだコラ?」
 ギロリと鋭い眼光を向けた先にはエルドレッド。ボルディアは今、普段の彼女らしからぬ町娘風の服を着ていた。ひらりとスカートを翻し振り返った姿にエルドレッドは頷く。
「いやいや。中々どうして様になってると思ってな」
「あぁ!? 俺にスカートが似合わないってぇ!?」
「待て、そんな事一言も言ってないぜ。むしろ逆……ぐおっ!?」
「自分でも似合わないのはわかってんだよ! けど依頼なんだからしょーがねぇだろーっ!?」
 胸倉を掴まれ激しく揺さぶられるエルドレッド。帽子が落ちないように片手で押さえながら苦笑を浮かべる。
「大丈夫、十分可愛いって。そもそもボルディアの発案だろ? 結構ノリノリだったじゃねェか」
「だ、だだ、誰がノリノリだ! いい加減な事言うんじゃねぇぞコラァ!?」
「二人とも仲いいのはわかったけど、そろそろ行かないと。あとボルディアさんの声が大きいから人が出て来たよ」
 渚の言葉にぱっと手を離すボルディア。慌てて山賊の方へ向かっていく二人を見送り、エルドレッドはやれやれと肩を竦めた。
「あぁん? なんだお前らは?」
「お騒がせしてすみません。ボク達道に迷ってしまって……お水を分けていただきたいのですが……」
「あぁ? 水ぅ?」
 男たちは顔を見合わせゲラゲラと笑う。それから思い切り渚を突き飛ばした。
「この辺が俺達山賊の縄張りとも知らないで迷い込んできたのかよ。バカが! 水なんかやるかよ! むしろ身ぐるみ置いてって貰おうか!」
「オカシラ、こっちの女……良い身体してますぜぇ」
「男の方は興味ねぇが、へへへ……こっちは中々じゃねぇか。たっぷり可愛がってやるからこっちに来な!」
 舌舐めずりしながらボルディアの胸元を凝視するオカシラ。そうして手を取り強引に引き寄せる。
「い、いやー。山賊よー誰か助けてー」
 思い切り棒読みだったので草陰でがくりとズッコケそうになるエルドレッド。片手で帽子を押さえつつ、伝話で会話を拾い続ける。
「そういやシュシュがいやせんぜ、オカシラ」
「あぁ? どうせそのうち戻ってくるだろ、あいつはバカだからな。それにあいつがいちゃお楽しみも出来ないってもんだぜ」
「ひでぇやオカシラ、仲間はずれですかい」
「最初から仲間でもなんでもねぇだろ? ただの道具だよ、道具! 女としても魅力ゼロのチビガキだしなぁ!」
 笑いながらボルディアの胸に手を伸ばすオカシラ。その手を銀色に光る何かが下から貫いた。
「へへへへ……へぁ?」
「……あんまし調子こいてんじゃねぇぞ? クソ野郎が」
 色々な意味で我慢の限界だった。ボルディアが忍ばせていたダガーでオカシラの手を刺したのだ。慌てて飛び退くオカシラに変わり、山賊達が武器を抜く。
「こ、このアマ……ぐえっ!?」
 次の瞬間エルドレッドの狙撃がオカシラの脚を貫いた。エルドレッドは銃口を吹き、人差し指を振る。
「お触りはご法度だぜ」
 手の中で回転させたダガーを逆手に持ち替え、山賊の振り下ろした剣を弾くボルディア。渚は彼女を背後に下がらせつつ、隠し持っていたピストルで牽制する。
「こいつら……! おい、野郎ども出番だ! 絶対に生きて帰すな!」
 膝をついたオカシラの呼び声でぞろぞろと集まる山賊達。ボルディアと渚を取り囲むその数、十六人。
「非覚醒者とはいえこれだけ集まると厄介だよね」
「ぞろぞろと頭数だけ揃えやがって。だが……悠長に包囲してる場合じゃなかったな?」
 渚の声にニヤリと笑い返すボルディア。視線の先、そこには猛然と駆け寄ってくるシュシュと別働隊の姿があった。
「シュシュ、丁度良かった! 一緒にこいつらを……ブッフォ!?」
 駆け寄ったシュシュはそのままオカシラの顔面を殴りぬいた。吹っ飛ぶオカシラ。シュシュは涙を拭い、ハンター達を守るように構える。
「皆の言う事が正しかっただ。皆に迷惑をかけた責任は、シュシュがとるだよ!」
「罪を償わせるだけだ。殺さずに捕縛する……やれるな?」
 レイスの声に頷くシュシュ。エルドレッドは渚に盾を投げ渡し、渚は受け取った盾で山賊を殴り倒す。
「殺さないなら、ある程度手加減しないとね」
「勿論殺しゃしねぇよ。でも、殺さなきゃいいんだよなぁ?」
 襲い掛かる山賊を殴り飛ばし、足を振り上げる。
「さっきは良くもいやらしい目でジロジロ見てくれたなぁ? なめてっとキ○○マすり潰して食わせっぞコラァ!」
 片膝を着いている無防備なオカシラの股間を蹴りあげた。あまりにも壮絶で、見ているハンター達も少しぞっとした。
「よくもオカシラのタマを!」
「おっと、動かないでもらおうか」
 機導砲を放つ覚羅。その光に竦む山賊の頭をレイスが槍の石突きで叩いて気絶させる。
「ひ、ひぃ! やっぱり無理だ! に、逃げろ!」
 逃げ出す山賊、その足をエルドレッドが次々に撃ち抜く。それでも逃げ延びる山賊はいたが、禁魄は落ち着いた様子で仲間たちを制止した。
「追撃しなくていいの?」
 渚の疑問に答えるより早く、遠くで山賊の悲鳴が聞こえた。
「ボクらから逃げるのに必死では、帝国の皆さんの包囲には気付けないだろうね☆」
 そう、既に周囲には帝国軍がスタンバイしていたのだ。
 ここまでお膳立てしておけばあとは捕えるのは容易い筈。散々シュシュに手こずらされた帝国兵もこれで溜飲を下げるだろうと、手柄を譲ろうという禁魄の魂胆であった。
「ちくしょう、どうしてこんな事に……!」
「自業自得、だろ?」
 ゆっくりとオカシラに歩み寄るエルドレッド。そうして片手で帽子を押さえつつ、屈んでオカシラを見つめる。
「まあ、なんだな。どう手懐けたのかは知らんが、多分騙される方が間抜けで、騙したお前らが上手くやったんだろうな、て事なんだがな……」
 愛用の煙草を一本取り出し火をつける。そして紫煙を吐きだしながら笑って見せた。
「お前らのやり方には美学がねェな。てワケでな? 牢屋まで送ってやるから自分の行いをタップリと反省しな?」
 右手で銃の形を作り、“バン”と言って立ち上がる。オカシラは悔しそうに歯軋りした後、観念して脱力するのであった。



 エルドレッドがロープで縛りあげた山賊達を帝国軍に引き渡すのを背景にシュシュもまた武器を置き、軍に出頭する時が来た。
「皆には本当に迷惑をかけて申し訳なかっただよ……」
「間違いは誰にでもある。大事なのはそれを認めて、素直に謝る事じゃないかな?」
 笑顔を浮かべ、そしてシュシュの肩を優しく叩く禁魄。
「大丈夫☆ ボクはもうキミの友達♪ キミが騙されていたことも含めて、ちゃんととりなしてあげるからね♪」
「お前さんはもうちっと善悪感ってヤツを身につけるべきだな、奪う行為ってのは等しく悪だ、帝国もハンターも関係無くな。食い扶持ってのは相手から強引に得るもんじゃないんだよ」
 渚の言葉にしゅんと肩を落とすシュシュ。
「皆、ごめんなさいだよ……。それと、シュシュの為にありがとう……!」
「おまえはどうしようもねぇバカだと思うけどな、ハンター仲間だ、放っておけるわけねぇしな。それに、おまえは結局山賊を殺さなかった」
 ボルディアはもしかしたらシュシュが怒りに駆られ山賊を手にかけるかもしれないと考えていた。だがシュシュが流したのは血ではなく涙だった。
「ちゃんと筋を通したんだ。そうだろ?」
 ボルディアの言葉に頷き、そして笑みを浮かべるシュシュ。近づいてくる軍人の下へ自らの足で歩いていく。
「この恩は忘れないべ! きっといつか、皆のような立派なハンターになって、恩返しするだべさー!」
 元気よく手を振るシュシュは禁魄と肩を並べ歩いていく。
 こうして奇妙な騒動は、無事に解決を見るのであった……。



「……それにしても、ひどい棒読みだったな」
「あぁ!? 今誰が言った!? しょうがねぇだろ、似合わねぇ事させっからだ!」

依頼結果

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MVP一覧

  • クール・スナイパー
    エルドレッド・ディアルティアka0560
  • 愛しい女性と共に
    レイスka1541

重体一覧

参加者一覧

  • 心優しき友人
    東雲 禁魄(ka0463
    エルフ|23才|男性|霊闘士
  • クール・スナイパー
    エルドレッド・ディアルティア(ka0560
    人間(紅)|29才|男性|猟撃士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 勝利への雷光
    鳳 覚羅(ka0862
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 愛しい女性と共に
    レイス(ka1541
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 白煙の狙撃手
    伊勢 渚(ka2038
    人間(紅)|25才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/06/21 22:53:14
アイコン 作戦相談所
レイス(ka1541
人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/06/25 23:30:20