イシドロ、蟒蛇の道を行く

マスター:のどか

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/01/31 15:00
完成日
2015/02/10 09:40

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 オフィスの依頼受付窓口に1人の男が佇んでいた。
 茶色いフェドーラ帽にメガネ、くわえタバコが印象的なオッサン。
 彼の名前はイシドロ。
 お宝があると聞けばたとえ火の中水の中、どんな難関でも立ち向かう時代のトレジャーハンターである。
 今日、彼が住まいのあるポルトワールや直近のリゼリオではなく、わざわざヴァリオスのオフィス支部へと訪れていたのはとある人物目当てで……その人物がヴァリオスの支部にお手伝いで現れる日取りもまた今日という日なのであった。
「アンタがルミってぇ受付嬢かい?」
「は~い、ルミちゃんですっ☆ ご指名ありがとうございますっ♪」
 一応言っておくが、ここはオフィス支部で夜のお店ではない。
 イシドロに担当として指名を受けたルミは、きゃるるんと可愛く瞳の前でVサインを作ってみせながら窓口の席へと着いた。
「さてさて、今日はどんな依頼のご相談で?」
「リゼリオの北、数日ほど行った所にある鍾乳洞――アンタ、覚えているかい?」
「北の鍾乳洞……?」
 不意に出てきたワードに、ルミはうーんと口元に手を当てて記憶を掘り起こす。
 なんか、おぼろげに記憶があるような無いような……もやもやとした霧をちょっとずつ晴らして行くように記憶の引き出しを開いてゆく。
「去年の夏ごろにアンタがハンター達と行った場所だ。そん時ゃ大蛇が出たって聞いてるが」
「ああっ!」
 ようやく思い出したように、ぽんとルミは手を打った。
「はいはい、そんな事もありました。欲しかった情報の手がかりがあればなぁって思って行ったんですけど、これが全くの空振りで」
 あははと愛想笑いを浮かべながら、ルミは当時の事を思い返す。
 そう言えばあの依頼が切欠で、今こうしてここに居るんだっけ、と。
「覚えてるなら都合が良い。実はな、俺を案内してほしいんだ」
「その鍾乳洞にですか?」
「できれば内部も、な」
 イシドロが言うには、先の調査は『リアルブルーへ戻る方法を探す』という目的の元で行われていたが、本格的に『洞窟そのものを調査する』ことを目的として向かったら何かイイ物が見つかるんじゃないかと。
 そう、トレジャーハンターの勘が動いたらしい。
「何があるかはわからねぇ、だがわからねぇからこそ調べるのがトレジャーハンターってもんだ。知ることもまた、1つのお宝なんだぜ?」
「はぁ……」
 トレジャー談義に熱を入れるイシドロに、気の抜けた相打ちを打つルミ。
「案内するのは良いですけれど、歪虚が居た事のある場所ですし私1人じゃイヤですよ?」
「ならハンターを雇っても構わない。前回のお宝探しでは随分力を貸して貰ったからな。ハンターなら信用できる」
「分かりました。じゃあ、そういう依頼としてオフィスで取り扱いますね」
 言いながら依頼書を取りまとめながら、ルミはふと思い出したようにそのペンを止め、イシドロへと向き直った。
「ガイドとして向かう以上は私もハンターとしてご協力するので、私の分も報酬お願いしますねっ♪」
 そう言ってニッコリと微笑むと、イシドロの返事も待たずに書類を仕上げた。

リプレイ本文

●蟒蛇の道
 暗闇に9つの光が揺れる。
 赤い炎の輝きが3つ、機械的なLEDの輝きが6つ。
 光に照らされた鍾乳洞の岩肌がキラキラと美しい輝きを放つ。
「滑りやすいので、足元気を付けてくださいね~☆」
 以前の依頼、事の発端であったルミ・ヘヴンズドアがキャピキャピとハンターの面々へと声を掛ける。
「ふふ~ふふ~ ふふふっふふふふ♪」
 ランタンを掲げるルミのさらに前で、鼻歌交じりに先頭を行く天竜寺 舞(ka0377)。
 なんでも昔、リアルブルーで人気だった探検番組のパロディ曲らしい。
「蟒蛇歪虚が好んだ場所ですか。調べてみれば、何か見つかるやもしれませんね」
 舞の隣で、レイ・T・ベッドフォード(ka2398)は興味心身に目を輝かせながら、銃の先に括り付けたライトで壁や天井を照らす。
 それだけ見れば、未知の冒険に心躍る青年の姿にも見えるのだが――
「あんたさ……それ寒くないの?」
「はい、なんでしょう?」
 やや訝しげな表情でそう尋ねる舞の視線の先、レイはシュコーシュコーと咥えた筒からその吐息を漏らす。
 水着にゴーグル、シュノーケル。どこからどう見ても洞窟を探検する格好には見えない。
「いやはや、見事なものですねこれ」
 そう、くぐもった声が漏れる。
 本人が楽しそうだから良しとしておこう。
「なあ、アンタ凄腕の探検家なんだろ? 今までどんな探検をしてきたんだい?」
 列の中腹では今回の依頼人イシドロを囲むように、少年少女達がその身を寄せていた。
「そんなこと言われちゃ照れるじゃねえか」
 そう、問いかけたティト・カミロ(ka0975)に言葉を返すイシドロ。
 口にくわえたタバコの火がジジと音を立てて、赤い蛍のように闇の中で煌々と輝く。
「ここ最近だと、どんな冒険をしたんですか?」
 急かすように弓月 幸子(ka1749)が迫る。
 ティトしかり、この辺の年代の少年少女には強く惹かれる何かがあるようだ。
「そうだな……凍てつく冬山にあると言う『解けない氷』を探しに行った事があった。結局そんなものは無かったんだが、雪山に居た猿の群れがなんとも厄介でな――」
 そう、面白おかしく口にするイシドロの冒険譚に相槌を打ち、眼を輝かせながら聞き入る。
「じゃじゃ~ん、できた~!」
 そんな彼らの少し前方で、夢路 まよい(ka1328)の声が洞窟の中に響き渡った。
「ほらほら、洞窟の探検ってこ~やって頭にライト付けるんだよね? 私知ってるんだから♪」
 そう、お手製のヘッドライト(自前の帽子にLEDライトをくくりつけただけであるが)で、きょろきょろ辺りを見渡しながら渾身の出来栄えを披露。
「両手が開く、と言うのは確かに便利ではあるな」
「でしょでしょ?」
 久延毘 大二郎(ka1771)に褒められて、まよいはさらに満足げに胸を張っていた。
 そんな彼女を尻目に久延毘はその意識を集中するように、自らのLEDの明かりの先へと視線を這わせる。
 彼は一度、この鍾乳洞を訪れたことのある人間。
 前回、そのすべてを調査し尽くす事が出来ていなかった事を心残りに、またとない機会だとこの依頼にその身を投じた。
 しばらく続く、同じような岩肌の暗闇。
 その空気を一心に晴らすかのように、視界の先へと青白い光の世界が飛び込んできたのは、それから暫くした後の事であった。

「すっごい、綺麗~!」
 ぼんやりとした光を放つ岩肌。
 青白い鍾乳洞の輝きの中、キラキラと煌く水面。
 幻想的な風景の地底湖の湖畔に駆け寄りながら、まよいは眼前に、頭上に、周囲に、その光景を見上げていた。
「ここが前回、我々が行き着いて、捜索を断念した場所だ」
 久延毘はそう言いながら、ルミへちらりと目配せをした。
 ルミはそれを受けてコクリと頷くと、イシドロの方へと向き直り湖の先を指差す。
「あそこが鍾乳洞の終着点。何かあるなら、ここじゃないかな~って思うんですけれど」
 幸子と久延毘が持ち込んだゴムボートに空気を入れ、8人でずるずると湖畔へと引きずってゆく。
 これがあれば、湖の奥の方まで調査する事もできるだろう。
「ボートを持ち運ぶ、か。リアルブルーの技術はたいしたもんだな」
 感心するイシドロの隣で、手近な石を片手に湖へと投げ入れる久延毘。
「特に反応は無い……か」
 それを安全といっていいのか否かは別として。
 ハンター達はまだ見ぬお宝という希望を胸に、地底湖へとボートを漕ぎ出すのであった。

●水蛇の栖
「それでは、行って参ります」
 湖の中腹。闇と光とが交差するその境界線に、レイはいの一番にその身を滑り込ませた。
「ふはっ、やっぱり冒険はこうじゃなくっちゃな!」
 水中で邪魔になりそうな鎧をボート上に脱ぎ捨てると、勢いよく水面へとその身を躍らせるティト。
「泳ぐのはそんなに得意でもないけど……せっかく着てきたし、私も入ろうかな。えいっ!」
 まよいもまた、洋服の中に着てきたというビキニ姿になると、ぴょんと飛び上がって湖の中へと飛び込んだ。
 最後にイシドロが着のみ着のままで潜りこみ、計4人の調査隊が湖底の調査へと繰り出していく。
「精霊の炎なら、こういう使い方もできるかな?」
 4人が底へ潜りこむのに先立って、幸子が手にしたカードを水面に突き出し、静かにマテリアルを練り上げる。
 一瞬の輝き後に放たれた小さな火球が、水中をふよふよと漂いながら、仄暗い水中に小さな明かりを灯した。
「なるほど、そういう使い方もあるものか」
 その所作を眼にした久延毘もまた、己の杖の先に火球を練り上げ水中へと投じる。
 湖底まで届く光では無いにしても、湖面からある程度の水中。
 そして水中からはボートのある水面がハッキリと確認できる標が2つ、波間に揺らめいていた。
 
 水中へと身を潜らせた4人。
 僅かな明かりを頼りに、文字通りの闇を突き進む。
(思ったより深い……のかな?)
 先の見えぬ水中にその眼を凝らしながら、まよいは自分の身体に繋がれたロープに片手で触れた。
 何があるか分からないから、と今回潜水者全員にロープを繋ぎそのすべてをボート上へと渡している。
 万が一、何かあっても水面から救出して貰えるように。
(くふふ、俺が一番目にすごい発見をするんだっ)
 そんな事を脳裏に描きながら、不意に、ティトはその身にかすかな水の流れのようなものを感じ取っていた。
(地底湖で、水流……?)
 手を翳し、その流れを確かめるように神経を集中させる。
 が、その真実に気づくには至らない。
 他方、その異変の側面に気づく事ができたのはレイ。
 彼は確かに眼にした、この暗闇に潜む『悪意』の存在に。
 しかし、既に時は遅かった。
(――ッ!?)
 不意に、横っ腹に強い衝撃を受けた4人。
 その衝撃はまるで太木の幹で真横からなぎ払われたかのように、彼らへと一斉に叩きつけられた。
(か……はっ!)
 受身を取る間も無く、鎧を脱ぎ捨てて薄くなったティトの身を貫くような激痛が走る。
 同時に揺れる視線の先に捉えた、長く、太い、災厄の尾。
 その尾は溶け込むようにゆっくりと身をくねらせて闇へと潜りこむと、代わりにその血のように赤い口をハンター達の前に露にした。
(蟒蛇……っ!?)
(まずい……装備を取りに戻らないと!)
 そう海面を振り返ったティト。
 が、そこで目にしたものに瞳がカッと見開かれる。
(――イシドロさん!)
 ティトの眼前を力なく漂うイシドロの姿。
 慌ててイシドロに繋がれたロープを引っ張った。
「ロープが……何かあったんだ!」
 水上からそれを確認した舞が、同乗するルミと共に引っ張り上げる。
 回収されたイシドロは大きく咳き込みながら水を吐き出すと、身を蹲らせて苦悶の表情を浮かべた。
「大丈夫!?」
「アバラを……何本かやられたが、大丈夫だ」
 苦痛に顔を歪ませながらも乾いた笑いを向けると、彼は静かに船底へと横たわった。
「水中に蟒蛇が! 俺の装備を投げてくれッ!」
 水面へと戻って来たティトの掛け声に応じて投げ込まれた鎧と太刀。
 それを受け取ると、大急ぎでその身に纏う。
「ティト君、敵を水面に引き寄せられるか? こちらからは全く視認ができん」
「分かった。何とかしてみるけど……痛っ」
 顔をしかめながら、ティトがその右肩を押さえる。
 無防備ままで受けた一撃のダメージがかなり効いていた。
 それでも水中に残した仲間達のために、ティトは再び蟒蛇の巣窟へとその身を潜らせた。

(よくもまぁ……やってくれましたね)
 眼前で弧を描く蟒蛇を前に、レイがその引き金を引き絞る。
 正確無比な一撃が蟒蛇の右目を貫き、その巨体が大きくわなないた。
 が、すぐに残る隻眼でレイの姿を射抜くとその口を大きく開き、身動きを止める。
(チャンス? なら、切り刻むよっ♪)
 まよいの放つ風の刃がその幹のような表皮に確かな傷を付ける。
 それでも蟒蛇は動じること無く、喉元を大きく膨れ上がらせ『何か』を勢いよく吐き出した。
(……ッ!?)
 目に見えない『何か』がレイの脚に直撃する。
 まるで鉄球をぶち当てられたかのような激痛が響くと同時に、その何かが圧縮された水弾であることに気づく。
 再びその喉元を膨れ上がらせる蟒蛇。
 まずい、と咄嗟に身を翻すレイ。
 放たれた『見えない砲弾』が水流となって確かに彼のすぐ傍を掠めていく。
(コイツを喰らえ――ッ!!)
 レイに気を取られた蟒蛇の眉間を、戦線へと復帰したティトの大太刀が一閃。
 蟒蛇は身をくねらせ、一度闇の中へとその身を消そうとする。
(もっと上に、引き寄せるぞ!)
 そう水面を指差すティトのジェスチャーに2人とも理解を得たのか頷くと、3人揃って一気に水面を目指して一気に浮上を始めた。
「――見えてきたよっ!」
 そう、身を乗り出して水面を注視していた幸子が叫ぶ。
 時折応戦しつつ、その姿を現し始める3人。
 同時に、火球の明かりに照らされて、蟒蛇の禍々しい姿が水上の3人も目にする事となった。
「以前のよりもでかいな……」
「う~、ルミちゃん、こういうのは専門じゃ無いんだけどなぁ……」
 その姿を眼にして唸る久延毘と、うろたえるルミ。
「……あっ」
 そんな中で舞は思い出したかのようにポンと手を打った。
「うわばみだけに、お酒持ってきたらよかったかも」
 そう呟きながらも、腰に携えた拳銃へとその手を伸ばしていた。
「ここからなら届く……ドローっ!」
 ホルダーからカードを抜き取り、マテリアルを練り上げる幸子。
 無数の風の刃が蟒蛇へ襲い掛かる。
「流石に二度目はな。私もあの時のままでは無いのだよ」
 そう、頭上に炎の刃を作り上げる久延毘。
 ありったけの力を込めて、その一矢を解き放つ。
 放たれた矢は蟒蛇の大きく開かれた口内を直撃し、マテリアルの光が弾けた。
 その衝撃にふらりと仰け反る蟒蛇。
「さっさと倒れなよ……!」
 隙だらけの蟒蛇に対して舞は拳銃の弾丸の雨を浴びせる。
 そうしながらチラリと悶えるルミを紅い瞳の先に捉えると、冗談めかした口調で言い添えた。
「ルミさんみたいな美人なら、あんなのぱぱっとやっちゃうんだろうな~」
 と、言うが否や、舞の背後からマテリアルの矢が蟒蛇目掛けて降り注ぐ。
 同時に、トントンと船底を踵で叩いてリズムを取るようにしながらルミの杖が天高く振り上げられた。
「ま、ま~、そんな事もあるけどね~♪」
 この女、完全に載せられている。
 その様子を見て舞は小さく苦笑すると、蟒蛇のどてっぱら目掛けてもう一発銃弾を打ち込んだ。
(これで……どうだッ!)
 水中で再び振り下ろされたティトの太刀。
 その度に一瞬、激痛が右肩を襲う。
(うお……っ!?)
 その一瞬、不意に自らの体が水中に引き込まれるような感覚を襲う。
 太刀を振るうために近づいた瞬間、その脚を長い尾で捉えられたのだ。
 そろそろ息も続かない、このまま湖底まで引きずられるのはまずい。
(ティトを離しなさいッ!)
 追うように放たれたまよいの一撃。
 その渾身のマテリアルの刃は蟒蛇の体表に触れてなお力を増し、一気にその尾を切り飛ばしてティトを解放する。
「敵はもう弱ってるよ、あと一息!」
「愚問だ、手を緩めるつもりは無い!」
 間髪入れずに水上から降り注ぐ銃弾とマテリアルの雨。
 それらの輝きは蟒蛇の巨体を貫き、確かなダメージが入り始める。
(そろそろ、仕舞いにしましょう)
 立て続けに放たれたレイの弾丸。
 先ほどの一撃までとは行かないものの、蟒蛇の喉元を深く、強く、抉りこむように貫く。
(俺は……こんな所で死ねないんだッ!)
 その一撃で傷ついた喉元に、ティトの太刀が突き立てられた。
 息はもうギリギリ。これ以上持たない所まで来ている。
 が、肩の痛みも耐え抜き突き入れられた長大な太刀が蟒蛇の顎を貫く。
 刃に串刺された蟒蛇は、静かに霧散しながら湖底へと身を沈めて行くのであった。

●地底湖の資源
 それから暫く休憩を挟んだ後、調査は再開された。
 大怪我を負ったイシドロは応急処置を済ませたものの、流石にリタイア。
 幸子が看病に付きながら、残り3人で警戒に当たる。
 ティトも正直動ける状況では無いのだが、本人たっての願いで湖底の調査を続投していた。
(さっきの水の流れ、蛇が動いたのとはまた違うモンだと思うんだよな……)
 先ほどの感覚を頼りに、湖底を進むティト。
 不意に、その肩をレイに叩かれた。
 彼が指差す方向を見ると、指2本ほどの穴から小さく噴出す気泡達。
(この近く、すごく温かいですね)
 その感覚が、すべてを物語っているのか。
 レイはまよいにその穴を攻撃してくれるよう頼むと、彼女はコクリと頷いて風刃を小穴へと浴びせ続けた。
 大きく広がった穴からゴポリと噴出す巨大な気泡。
 同時に、身体を水面に押し上げられるような激流が3人を襲った。
 
「な、何!?」
 思わず眼を丸くするのは船上の舞達。
 彼女達の目の前に、湖面からいきなり巨大な噴水が噴出したのだ。
 吹き上がった噴水の水は、水滴となって彼女達の頭上から降り注ぐ。
「熱っ……いや、あったかい?」
「かすかな硫黄臭――これは、温泉か?」
 服に染み付いた水滴を嗅ぎながら、久延毘は呟いた。
「すごいすごい、温泉掘り当てたってこと!?」
 尚も吹き上がる温泉水を前に、幸子はイシドロの肩を叩いてその様子を彼に指し示す。
 彼は降り注ぐ水滴と、青白い輝きの中でできた鍾乳洞の虹をその瞳に写しながら、搾り出すようにその口を開く。
 
「俺の勘も……まだまだ捨てたもんじゃねぇな」

 それからしばらくしてハンター達が掘り当てたこの源泉を元に、この辺り一帯が鍾乳洞温泉として人気が出始めたそうだ。
 同時に、大々的に回収されたリアルブルーの物品たちはティトの願いもあってハンターズソサエティの資料室へと丁重に保管されたという。

依頼結果

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MVP一覧

  • 勇敢と献身に混在する無謀
    ティト・カミロka0975
  • デュエリスト
    弓月 幸子ka1749

重体一覧

参加者一覧

  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 勇敢と献身に混在する無謀
    ティト・カミロ(ka0975
    人間(紅)|16才|男性|闘狩人
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • デュエリスト
    弓月 幸子(ka1749
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォード(ka2398
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談卓
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/01/31 11:26:49
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/26 23:11:18