金が出せないのならば

マスター:秋月雅哉

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
4日
締切
2015/02/02 07:30
完成日
2015/02/03 07:22

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●金が出せないならばお前が金になれ
 談笑しながら人々が歩く路地に隣接した路地裏。
 獲物を見定めるように鋭い目つきの男がじっと通りを眺めている。
 やがて不幸にもターゲットに選ばれた、二十代前半の男性が無防備に路地裏に近づいたのを機に、路地裏にいた男はぐい、と腕を引いて路地裏に引きずり込んだ。
「なっ……!」
「大人しくしろ」
 素早く男性の口をふさぎ、喉元にナイフを突きつけて声を封じる男。
「金を出せ。金がないなら……」
 いつのまにか男性を取り囲んでいたのは十数人に及ぶ、屈強な男たち。

「いい加減ね、僕を変態依頼専門の斡旋人にするのは止めて欲しいって苦情を上の方に出してもいいと思うんだよ、僕は。
 というわけで今回も変態退治。
 といっても雑魔でもゴブリンでもなく一般人だからむしろやりすぎて殺さないように配慮してほしいところなんだけど。
 人さらいの集団が路地裏から男性を狙ってるみたいなんだよね。……狙う側、狙われる側、両方男性。
 ついでにいうなら狙われるのはお金持ってなさそうな、だけど顔はいい男性。或いはある程度お金は持ってそうだけど顔もいい男性」
 そのあたりで嫌な予感を感じ取ったハンター数人がこの話は聞かなかったことに……とそそくさとその場を後にする。
「要するに顔のいい男性が狙われる。で、絶対に出せない金額を吹っかけて、払えない、どうか勘弁してくれって被害者が言うと……男性が男性にお酌したりする店とかに売り飛ばす、らしい」
 人さらいたちはその店の用心棒も兼ねていて、ボーナスとして無料で好みの男性を侍らせて接待を受けたりもしているのだとか。
「十数人の人さらいの捕縛と、本人の意思に反した仕事を強制的にさせてるわけだからね、店を叩き潰して売られた男性たちを解放してあげて欲しい。
 ……もしそっちの嗜好に目覚めちゃった人がいたら? うーん、そうだな。合法的にそういう趣旨でやってる酒場に再就職を進めるしかないんじゃない?
 女性は狙われないみたいだから男装するなりして工夫してね。前の大ダコやヒュドラもどきと違って男の娘は女の子に見えるらしいからさ、その辺も注意して」

リプレイ本文

●いろんな意味で危険
 悪質な人身売買を行う組織。そこまでは帝国では厳重に処される犯罪行為なのだが今回は標的も買う側も男性。そこだけがイレギュラーだった。
 斡旋の時に嫌な予感を感じてそそくさと立ち去ったハンターたちと違い、岩井崎 旭(ka0234) は嫌な予感を感じ損ねた側。
 結局は人さらいの退治とさらわれた人の救出なんでしょ? と楽天的な考えはいつまで続くのか……。
「変態だからって、一般人なんだし身の危険ってもなー」
 別の意味で危険だということを踏まえるとこれは俗にいう死亡フラグ系統のフラグを立ててしまったことになりかねない発言をしながら、店に客として向かう。
 男性同士のあれそれにはないない、というのが旭の感覚だがそういうのがあるある、の人種も中にはいるのである。
 武器や防具らしい装備が見えない、普通の格好で店の中に入ると案内された席へ。
「サラダとか野菜スティックある? えーと、あとミルクくれ」
 出された野菜は新鮮でみずみずしくて美味しかった。
 が。それ以上に店の雰囲気が怪しげでやばかった。
 接客にあたった男性店員と適当に話しながら怪しまれないように店の中を見回し、誰が監視役化をチェックして戦闘開始に備えている。
 その間に肉体的接触などもあったがとりあえず流れに身を任せるよう努力。
(なんかおかしくないか、この店。でも落ち着け、俺。ここで暴れたら台無しだ。耐えるんだ!)
 自分がここで暴れだしたら後から合流してくるであろう仲間たちが潜入しにくくなり、最悪任務が失敗してしまうので必死に言い聞かせる旭。
 リカルド=イージス=バルデラマ(ka0356)は求人を見かけてきた、と面接を受ける体で入るために裏口に立つとため息を一つ吐いた。
「強盗のようなことをやって奴隷まがいの強制労働か。俺のいた色町だって借金の返済や生きるための連中で、基本的に自分の意思で入ってきているんだがな、こういう連中は見せしめに殺した方がいいんだが、お優しいこって」
 こういう仕事は幼少のころから慣れてはいるが……そう、慣れてはいる、のだが。
「……またなんで、特殊な趣味の人間なんだよ……酌以上の事はしないみたいだから構わんけどさ」
 場に馴染んでしまった被害者は仕込まれてボディタッチを旭にしていて、旭はそれに対して暴れたい欲求を募らせているのだがまだ接触していないリカルドにそれは分からない。
 裏口のベルを鳴らして面接を受けたいと告げると裏方作業の人員、おそらく攫う側の人間だとわかる、あまり顔のよくない相手が値踏みするようにじろじろと眺めた。
「……こういうのは実戦で見るのが一番だ。今、ちょうど客が何人かいるからな。ついてもらおう」
 杜撰すぎるほど杜撰な面接はむしろ好都合。
 店内に潜入し、旭の接客に回る。
 アイコンタクトで助けを求める旭を目線で宥め、他の仲間が合流するのを待つことに。
 一方Gacrux(ka2726)は路地裏を歩いていて狙い通りさらわれかけていた。
 襲い掛かり、脅してくる相手に所持金がなく、趣味に合う店を探している、と鞄の中の縄や鞭をちらつかせて微笑む。
 話術を使っての交渉と整った顔立ち、最初からそういう嗜好の持ち主と勘違いした人さらいたちは意気揚々と店へGacruxを引き連れていく。
 店内でリカルドとは違い被虐趣味があるらしい客の相手を負かされ、酌をしながらも体には触らせない。
 怒らせて苛められたいという特殊嗜好の男性に対して嫌悪をくるんだ笑みを向ける。
「知っていますか、革のベルトは水にぬらせばしなりが良くなります。こいつで叩いてやりましょうか」
 囮になったGacruxのそばをつかず離れず、裏町の浮浪児を装って監視していたのはアッシュ・ブランシェ(ka3931)、性別を偽って潜入組に入ろうとコンタクトの機会を窺っていた。
 周りに目撃されていないかチェックしていたならず者に自分から進んで近づいていく。
「皿洗いか掃除の仕事はないか? 母ちゃんが死んじゃって自分で稼がなきゃ食っていけないんだ。それに母ちゃんもオレもリアルブルーからきたんで雇ってくれそうな知り合いとかいねーんだよ」
 嘘は言っていないし少年の姿で暮らしてきたので男装姿は堂に入ったもの。
 四年後くらいには美形に育って、店が続いていれば接客として働かせることもできそうだと男はしばらく思案する。
「……ついて来い。高い食器が多いから割ったら容赦しないぞ」
 店の裏口に案内され、皿洗いをしながら酒や食器をチェックしておく。
 本人の名誉のために事前にいっておくと作戦の一つとして組み込んでいる計画であり盗むためではないのであしからず。
(……俺にはとうてい理解できないが、世間にはいろんな趣味の人間がいるものだ。
 まぁ、実害が出てる以上放っておくわけにもいかねえし、懲らしめてやることとするか)
 右も左もわからない、田舎から出てきたばかりの世間知らずを装って、普段と違っておどおどした様子を見せながら路地裏近くを迷った風に歩くのはAnbar(ka4037)だ。
 ハンターだと悟られないような格好をしているのは他の男性陣と同様。
 武器らしい武器と言えば隠し持ったバタフライナイフのみ。
 世間知らずが道に迷ったように見えるその姿は人さらいたちにとってはカモがネギを背負ってきたようなものだっただろう、あっという間に攫われることに成功した。
 その間も演技は忘れず気の弱い純朴な青年を装い続けて、実際は心のうちにイライラを募らせているAnbarが店内に入ったことを確認して女性陣が動き出した。
「また変わった性癖の悪党が現れたものですね」
 店の近くに潜んでいたエルバッハ・リオン(ka2434)が呟きながら店周辺の監視役と思しき人物たちを昏倒させていく。
 レルム=ナスバオム(ka3987)はその様子を動くのが面倒くさいなぁ、と呟きながら眺めていたが、動かずに休んでいるのを邪魔されるのも嫌なのでサボるのを切り上げ、促されてからしぶしぶといった様子で縛り上げるのを手伝い始めた。
 エルバッハが不用意にならないようしまっておいたハンドベルを店の中にいる男性陣に聞こえるよう大き目の音が出るように鳴らし、突入。
 ドアを開けると同時に眠りを呼び込む雲を店内に向かって放つ。
 店内にいたハンターたちはスリープクラウドの射程外にハンドベルの音を聞くと同時に退避、訝しむ他の客や監視役のならず者たち、連れ去られて接客を強要されていた男性たちは問いただす間もなく次々と眠りの世界へ越知ていく。
「何者だ、貴様ら!」
 運よくスリープクラウドの射程外にいた男が声を張り上げるのを面倒くさそうな動作でレルムが打ち倒す。
「ハンターに寝られると起すのが面倒くさいから寝ないでほしいけど……あなたたちが起きてるとそっちも面倒だから……あなたたちは寝てて」
 鳩尾をついたのは仕込み杖を、抜かずに杖のまま使った物。
 ハンターならむしろ殺さないように気をつけないといけないレベル、と評された監視役はその一撃であっけなく沈む。
「被虐趣味のある人たちは説明が面倒くさいから縛っておきましたよ。やりすぎだ、って注意に来た監視役もついでに。見世物の一種に見えたのか意外と喜ばれましたね」
 彼らはそちらに積んでます、とGacruxが示した先には彼のストレス発散のために鞭で叩かれた跡が痛々しい男たちの姿が。
 裏方で作業していたアッシュはさらわれてきたもののどうしても接客がうまくできなくて裏方仕事を任されている、と語っていた被害者を人質にしようとごろつきが迫ってきたのを確認すると、発泡酒を水鉄砲代わりにかけて牽制、驚いている隙に人質を助け出し、体勢を立て直される前に高いから割ったらただじゃおかない、と言われていた皿を割るぞ、と脅す。
 店の方を鎮圧してもまだイライラが残っていた旭は作業場にくるとアッシュに脅され身動きが取れずにいる男に向かって距離を詰める。
「あーもう!」
 襟首を掴んで。
「あんまり!」
 むりやり振り向かせながら。
「自分勝手な事ばっかりやってると!」
 振り返る相手の動きに合わせて右ストレート。
「ぶっ飛ばすぞ!」
 実際には襟首を掴んでいたおかげで吹っ飛びこそしなかったがハンターの一撃はそれなりに加減していても一般人には重い。
 気絶したならず者をリカルドが手渡したロープで縛り上げ、驚いたように立ちすくむ被害者へは状況を説明して逃げるように促す。
「こいつらはハンターオフィス経由で告発、帝国では人身売買は重罪だからな、精々死んだ方がマシレベルの強制労働でも鉱山辺りでしてもらうことになるだろう。
 あんたらはもう自由の身だ。思うところはあるだろうがそれは告発されたこいつらが裁かれるときに思う存分吐き出してくれ」
 コクコクとうなずいて裏口から逃げていく被害者を見送った後そこかしこに倒れているならず者と、Gacruxがまとめて縛り上げた被虐趣味の客、被害者を分別していく。
 加害者に対しては荒っぽい動作になったので、途中で目覚めた何人かはAnbarが拳で黙らせた。
「……男相手ならば、女を食い物にするよりマシとでも思ったのか。
 さもしい考えをしやがって。
 俺に自分でも反吐が出るようなしゃべり方させやがった落とし前をきっちりその身体に叩き込んでやる」
 無理やり接客をさせられている内にそっちの趣味に目覚めてしまった、不幸と言えばこれ以上ないほど不幸な被害者たちにはきちんと雇用してくれる店を自分で探し、だがその前に本当にそれでいいのかもう一度自分自身に問いかけることだ、と助言をして解放する。
 一般的な思考回路のままだった被害者には迂闊に人気のない場所にはいかないようにと注意してやはりそのまま解放。
 あとに残ったならず者たちは数珠つなぎにして連行することになった。
「……ならず者と被害者の分別とか面倒くさかった……捕まえた人や捕まってた人がどうとかは興味ないし、面倒くさいから任せる。
 早く帰って、寝たい……」
 レルムがだるそうに帰ろうとしたのを連行して告発するまでが仕事の一環だから、となだめすかしてハンターたちは数珠つなぎにした犯罪者たちを裁いてもらうために引っ立てて行ったのだった。

依頼結果

依頼成功度普通
面白かった! 4
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • ……オマエはダレだ?
    リカルド=フェアバーン(ka0356
    人間(蒼)|32才|男性|闘狩人
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人

  • アッシュ・ブランシェ(ka3931
    人間(蒼)|10才|女性|猟撃士

  • レルム=ナスバオム(ka3987
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • たかし丸といっしょ
    メオ・C・ウィスタリア(ka3988
    人間(蒼)|23才|女性|闘狩人
  • 願いに応える一閃
    Anbar(ka4037
    人間(紅)|19才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談場
Gacrux(ka2726
人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/02/02 02:48:56
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/30 21:08:40