雪山に湧いたオアシス

マスター:桐咲鈴華

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/03/04 19:00
完成日
2015/03/07 07:30

みんなの思い出

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オープニング

「くっそ、なんだってこんな時に吹雪に……!」
 とあるハンターは悪態をつきながら、雪の深く積もる冬の森を歩いていた。彼は北方の雪原の調査を依頼されたハンター一行のうちの一人であったが、途中で崖から転落してしまい、遭難してしまった。
 覚醒状態となることで転落死や凍死などは免れたものの、突如として吹いてきた猛吹雪が視界を遮る。持参したトランシーバーは転落の際にどこかに落としてしまっていたようで、仲間たちとの合流もままならない。吹雪が身体を煽り、足元がふらつくのを、ハンターはマテリアルを解放させて覚醒状態になることで耐える。
(覚醒状態になれるのは、これが最後……くそっ、麓まで、保つか……?)
 幸い、方位磁石は生きている。南を目指して麓まで辿り着けば、長城が見える筈だ。そこまで行ければ仲間とも連絡がつけられるはずだ。……たどり着ければ、の話だが。
 吹き付ける風と雪が視界を遮り、動こうとする身体に雪を積もらせて縛り付ける。勢いを増す吹雪はもはや、覚醒状態でなければ動くこともままならないレベルになっている。
(くそっ……ま、ずい……このペース、じゃ……)
 雪に足をとられ、ハンターの足がふらつく。そして付いた筈の足が、突如として勢い良く沈みこんだ。
(!?)
 咄嗟に受け身をとるが、崩れ落ちる雪に足をとられてそのまま落下する。
「くっそ、何回落ちれば気が済むん……」
 悪態をつこうとしたところで、ぴたり、とその言葉が途切れる。自分の目の前にある光景に、驚いたからだ。

 目の前には、溢れんばかりの湯気のたつ泉、所謂温泉があった。しかも、周囲は温泉を取り囲むように崖が反り立っていて、今もまだ轟々と音をたてる吹雪が殆ど吹いてこない場所となっていた。

「……驚いたな、これ、天然か……?」
 遭難していたハンターは感嘆の声をあげる。反り立つ崖がドーム状になっているお陰か、温泉の熱が外に逃げにくくなっており、周囲は外と違う空間のように思える程の温度となっている。ハンターは先ほど自分が落ちてきた場所を見る。未だ激しい吹雪が空を、森を白に塗り潰そうと唸りをあげている。
「……下手に動くのは危険だな。ひとまずここで……」
 ハンターは改めて、温泉を見る。すごい量の湯気と、温泉独特の硫黄のような香り。寒さで冷えきった身体がぬくもりを欲している。
「……吹雪も吹いてこねぇし、大丈夫かな」
 周囲の立地を鑑みて、雪に濡れた服を乾かせると察した彼は衣服を脱いで、備品を使って崖に吊るす。そして、湯気のたつ温泉へと身体を沈めてみた。
「~~~~くっ、はぁぁぁ……!」
 湯に包まれた身体が体温を取り戻し、寒さに凍え引き締まった筋肉を解してゆく快感に思わず声が漏れる。湯の温度はここが雪原の森だということも忘れそうになるくらいに熱く、露天風呂を彷彿とさせる。
 心地よい熱さに、遭難している最中ということすら忘れそうになるほどだ。暫く熱さを堪能し、身体の疲労も湯の中に溶けていってしまったかと思い始めた頃……。

 ふわり、とハンターの肩に、人の手の感触が。

「!?」
 突然の事に驚き、ザバッと湯から飛び出して背後を向くハンター。そして背後を確認して更に驚きに肩を跳ねさせる。
 
 そこには女性が居た。裸の女性だった。湯気のせいでぼやけて居るが、はっきりと視界に映ってしまう。突然の事に頭の中が真っ白になって、どう処理すれば良いか解らない。
「……?」
 しかし女性は何の事かと言わんばかりに首を傾げる。落ち着き払った態度で、ハンターに笑顔を向ける。
 女性の笑顔に落ち着きを取り戻していったハンターは、その姿をしっかり見てみると、うっすらと体表にマテリアルの力を感じ取った。その煌きは、人間ではない。
「……人間じゃ、ない。英霊……いや、幻獣?」
 ハンターが疑問を口にした瞬間、その女性はにこりと微笑んだのちに、湯気に溶けるように消えていった。
 何だったんだ。と思うハンターの背後で、カツン、と何かの落ちる音。驚いて振り向くと、そこには

 彼の落とした筈のトランシーバーが落ちていて、仲間の声がそこから聞こえてきていた。



 こうして、ハンターは無事仲間と合流し、救助された。だが、そこでハンターが見た女性は一体何だったのか…?
 ハンターの証言を元に、ハンターズオフィスは再度、その場所の調査の依頼の為にハンター達を募るのだった。

リプレイ本文

●伝承の村

 冬の季節も終わりに差し掛かるクリムゾンウェストであったが、そんなもの雪山にはお構いなしだ。まだまだ雪は大量に降り積もり、銀世界が広がっている。だが本日の天候は青空の広がる晴天。太陽も顔を出し、太陽の光が雪原を煌めかせる。
霧島エストレラ(ka4261)と、バレル・ブラウリィ(ka1228)は、今回の依頼で調査する場所から一番近くにある山村を訪れていた。
「ここが地域伝承が古くから伝わってると言われてる村か……」
「やっぱり辺境の事は部族に聞くのが一番だもんね」
 バレルとエストレラは出発前に調べておいた過去の事例や聞き込みから割り出した、古くからの伝承の残るという部族の村を訪れていた。
「ハンターオフィスの過去の事例にはあたってみたが、『泉の精』なんてのは今回が初のケースだったな」
「そうだねー。だからこその調査依頼なんだし」
 二人はまず過去の資料や事件簿をあたってみたが、これといった収穫は無かった。類似するケースもなく、そういった場所からの手がかりは掴むことは出来なかった。
「だけど、そのお陰でこの村に辿り着けたってのは大きかったね」
 だが、それも全く無駄という訳ではなかった。調べていくにつれて、『温泉についての伝承』が伝わる村を導き出す事が出来た。違う側面からアプローチをかけてみれば、このように手がかりを掴む事も出来るのだ。
「さて、まずは聞き込みかね。伝承に詳しい奴に話を聞ければいいんだが」
 バレルは適当な村人を呼び止め、事情を説明する。村人は突然の来客にも関わらず丁寧な態度で応接すると、村長の家へと案内してくれた。村は小さく、静かながらも活気に溢れている。すれ違う村人はにこやかに挨拶をしてくれて、途中で小さな市場を通りかかると、珍しい来客に機嫌を良くした村人が山菜のお土産をくれた程だった。
「あったかい村だね、ここ」
「北方の中でも相当な辺境みたいだし、俺らみたいな来客が珍しいんだろうな」
 暫くして、目的の家へと辿り着く。中から出てきた白い髭を蓄えた初老の男性が、笑顔で二人を出迎えてくれた。
 二人は早速、この村に伝わる、温泉の伝承を聞いてみた。応接室に通された2人は机を挟んで村長と向かい合い、村長の言葉を聞く。
「この村の近くにはじゃの、『蜃気楼の泉』と呼ばれる場所があるのじゃ」
「蜃気楼の泉?」
「左様。といっても、正確な位置を知るものは、この村にはおらんがの。その泉はマテリアルを操る者……主ら覚醒者達にしか見つける事は出来ぬと聞く」
「覚醒者にだけ見つける事が出来る? それはどういうことだ」
 バレルの質問に、村長は「さて?」と首を傾げる。どうやらそこはそういうものらしい。
「兎も角、昔から歪虚と戦う戦士達にとっては、そこは憩いの場であったと言われておる。傷を癒し、体内のマテリアルを活性化させる神秘の泉として、戦士達を癒やす神秘の泉として、この村には伝承として代々伝わっておるよ」
「ええと……それでは、村長さんは『泉の精』という言葉については、ご存知でしょうか」
 エストレラが尋ねた言葉に、村長は「ふむ……」と少し考えこむ。
「泉の精、か。そんな伝承は聞かぬが、いや、待てよ……」
「何か知ってるのか? 何でもいい、情報を貰えないか」
 バレルがその仕草を見逃さずに問い詰める。
「そうじゃの……そういえば蜃気楼の泉にまつわる伝説の中で、こんな一節があったの。『泉に住まいし幻、迷える者の道を指し示す』との。単なる温泉の伝承かと思っておったが……それが関係してるのかもしれんのう」
 一通りの事を聞いたエストレラとバレルは、手厚く迎えてくれた村長に礼をすると、村長宅を後にした。
「よし、ボク達も泉に向かおっか」
「そうだな。連絡を頼む。……温泉、ねぇ。仕事じゃなければ羽も伸ばせたんだが」
 魔導短伝話で温泉に先行しているメンバーに連絡を取るエストレラを知り目に、バレルはぽつりと冬の空に呟くのだった。
 

●蜃気楼の泉

 先のハンター達が用意してくれた地図を頼りに、ハンター達は目的の泉にたどり着いた。
中から立ち上がる湯気が雪を溶かしてるらしく、晴天も相まって入り口を見つけるのも容易だった。
「む、何か匂いがしてきたのだ。温泉はここなのだ! れっつごーなのだー♪」
 独特の匂いが香る温泉にいち早く反応したのはネフィリア・レインフォード(ka0444)。山奥の秘湯と聞き、楽しみに胸を高鳴らせていた。
 一行が中に入ると、外とは全く違う気温に蒸し暑さすら覚えるほどの熱気が篭っていた。穴があるお陰で湯気が充満するなんて事は無かったが、それでも少し視界がぼやけるくらいに泉は湯気をたてていた。
「温泉か……久しぶりに入るな……。っといかん。調査に来たんだった」
 温泉と聞いて楽しみにしていたのは何もネフィリアだけではない。川崎 隆雄(ka0354)もまた、調査という名目で温泉を堪能しようとしていた。
「ふむ……この温泉の色だと、確か……」
 隆雄はまず、泉の色から泉質の調査を試みた。温泉の色は乳白色。リアルブルーでいえば弱酸性の泉質で、美容に良いとされる……と、どこかで聞いたことがある気がする。温泉らしい硫黄の匂いも合致すると、何となく理解した。
 一行は軽く周囲の調査をする。大きなドーム状となった崖は明らかな天然ものであり、大自然の神秘を感じさせる。温泉は源泉から流れ込んでくるという訳でなく、突如としてここに出来たものだ。という風に感じさせた。
「ま、何にせよ入ってみるとするか。その方が効能も分かるだろうしな」
 粗方調査を終えた後の隆雄の提案に、一行は一気に入浴ムードになる。隆雄は適当な岩場で、用意してきた水着に着替えた。
「温泉です! 寒い身も心も、ジョークも温まりますね!」
 そのジョークが一番ホットな気がするのは気のせいだろうか。ミネット・ベアール(ka3282)は言うや否やその場で服を脱いで、勢い良く温泉にダイブした。
「温泉いやっほーです!」
 ザバァッ! と飛沫をあげて飛び込むミネット。かかり湯も無しに急に熱湯に飛び込んだので「あづぅぅぅ!?」という悲鳴が聞こえる。
「……いや、一応俺男なんだがねぇ」
 男の目の前で急に全裸になって温泉に飛び込むミネットに、隆雄はとりあえず顔を逸らしておいた。温泉に出るという泉の精は落とし物を見つけてくれるというが、本当の落し物は彼女の女性としての恥じらいかもしれない。
「まあ混浴ですし仕方ありませんよ。しぶかわざきさん」
 そう言って躊躇いなく服を脱ぎ出す女性がこちらにも一人。八劒 颯(ka1804)もまた一糸纏わぬ姿になると、乳白色の湯に身体を沈めていく。
「ブルータス……じゃない。颯さんお前もか」
「この方がお湯の熱さや感触を堪能出来そうじゃないですか」
 隆雄のツッコミにも平然と返す颯。普段も露出の高い服装を着る彼女だ。別に見られたからといってどうこう思ったりはしないらしい。
「外は寒かったけどこの辺りは良い温度だし、服を脱いでも寒くなくていいねー♪」
 そう言ってネフィリアも服を脱いで温泉へと入っていく。なんということだ。女性陣は隠す気はまるで無いらしい。これでは一人だけ水着の隆雄の方が浮いてるようだ。恐るべし女性陣。
「……まあ、気にしないならいいがねぇ」
 気にしたら負けと、隆雄も湯に身を沈める。湯の外との温度差に始めは激しい熱さを感じるが、慣れてくるとじんわりと肌から身体の奥に向かって暖かさが染み込んでいく。
「づぁー……」
 思わず吐息が漏れる。熱めの湯が身体の奥底から息を吐き出させるようだ。
「はふ、いいお湯なのだー♪美肌効果とか病気が治るとか何か効能あるのかな? かな?」
 心地よい湯の熱さにすっかりと顔を緩ませるネフィリア。
「ん~……っ……!」
 颯も首まで湯に浸かり、ぐい~~っと大きく伸びをしてリラックスしている。伸びをした時に自然と胸が露わになった場面から、思わず隆雄は目を背ける。
「本当にいいお湯ですねー……源泉があれば温泉卵も作れたんですけどね」
 源泉があれば温泉卵を作れると思い卵を持参したミネットだが、この温泉にそういったものはないようだ。明らかに温度が足りないと分かっているが、仕方なく浅瀬に生卵を浮かべておく。
 フリーダムな女性陣に、隆雄はやや辟易する。見た目は31のナイスミドルだがこう見えて彼はまだ22歳だ。だが気にしたら負けと早々に思考を切り替え、割り切って湯を堪能する事にした。
「……ふぅ、まあ4人とも気にしてないみたいだしな……」
 発言して暫くしてから、隆雄は「ん?」と自分の発言に首を傾げた。4人?
 改めて女性陣を見る隆雄。湯気で視界がぼやけた先に、ネフィリア、颯、ミネットの3人がいる。
「あれ、今確か……?」
 頭に疑問符を浮かべた、その瞬間。とんとん、と肩に手の感触を感じる。驚いて隆雄は、振り向いた。
 そこには、裸の女性が同じように入浴していた。優しげな顔つきと長い銀色の髪を持つ女性だ。
「あっ!」
 ネフィリアの声を皮切りに、女性陣も気付く。彼女がこの温泉に出るという『泉の精』だろうか。彼女は4人の顔を見回すと、にっこりと微笑んでみせた。
「おー、綺麗なお姉さんなのだー!」
 ネフィリアが感嘆の声をあげる。その声の示す通りに彼女は非常に美しい。整った顔立ちに、長い髪の隙間から覗く優しげな目。乳白色の湯に映る、魅惑の身体つき。男性の隆雄は勿論、颯やミネットも見惚れてしまう程の美貌だった。
「あ……え、えっと。こんにちは。あなたが泉の精ですか?」
 一瞬呆気にとられたミネットは、気を取り直して女性と会話を試みる。それに対して女性は。にこっと笑顔になって、手をふりながらこくり、と頷く。
「えーっと……声は出せないけれど、意思の疎通はできる、んですかね?」
 彼女の反応から、そう解釈したミネット。次に颯が問いかけてみる。
「貴女は失せ物を探してくれると聞いてたんですけれど……」
 その問いかけに対して、女性はきょとんとした顔で首を傾げる。
「……貴女の力ではない、という事ですの?」
 颯の二度目の問いかけに、彼女は首を横に振る。これはつまり、『力はある』という意思表示だろうか。
「ふーむ……どういうことですの?」
 颯は予め、ナンバーを振ったコインを温泉までの道中で一定間隔を開けて落として来ていた。失せ物に対しての条件を調べるつもりだったが、当てが外れたようだ。
「金の斧と銀の斧の話みたいに、落として困ってないと駄目なんじゃないか?」
 その様子を見ていた隆雄がふと、そう閃いた。その言葉に女性は、こくこくと頷いてみせた。突然の発想だったが、見事に的中したらしい。
「なるほどー。つまり落し物で困ってる人を助けてあげてるのかー? やさしいお姉さんなんだなー」
 ネフィリアが無邪気に感想を口にすると、女性は少し赤くなってはにかんでみせた。そしてふと、浅瀬にあった卵に気がついたようで、興味深そうにそちらに寄っていった。
「あ、それ。温泉卵作ろうとしたんですけど、温度が足りなそうで……」
 卵を指でつんつんとつつく女性に、ミネットが補足する。その様子を見てから女性は卵をひとつ手にとり、コツンと岩にぶつけて割ってみせる。すると、中から半熟気味の白身がとろりと顔を出した。
「あれ、温泉卵、できてる……?」
 女性はにっこりと微笑み、それをミネットに差し出した。ミネットは呆気にとられつつもそれを受け取る。
「これも貴女の力なんですか?」
 その問いかけに女性は首を横に振り、自分の下……温泉を指さす。
「この温泉の効能ということですの?」
 颯の問いに今度は首を縦に振る女性。普通の卵が温度が足りないのに温泉卵になるとは一体どういうことだろうか? ハンター達は首を傾げる。
 何にせよ、しっかりと温泉卵が出来ている事には変わりない。ミネットはそれらを皆に配る事にした。
「あなたもどうぞ」
 それを女性にも差し出した。女性は少し驚いた表情を見せ、そのあとすぐ笑顔になって受け取った。こうして、女性を含めたハンター達5人は温泉卵に舌鼓を打ちながら、雪山の温泉を心ゆくまで堪能したのだった。
「いっい湯ーだな♪アハハン♪」
「おっさんくさいですわよ」
 思わず隆雄の漏らした鼻歌に、颯はツッコミを入れるのだった。


●帰路、そして

「いい気持ちだったのだー♪みんなも入りに来れるようになるといいよねー」
 ネフィリアがすっかり上機嫌といった様子で呟く。他の3人も同じ感想だ。魔導短伝話で連絡を受けた一行はエストレラ達が到着する前に湯からあがることにした。身体の芯まで温まった為に、服を着るのにも少し身体を冷まさなければならない程だった。
「いやぁ、いい湯だった。依頼でなくてもまた来れたら来たいな」
「そうですわね。もっと友人を誘って来たいものですわ」
 隆雄と颯も満足気な様子だ。ミネットは服を着つつ、未だ裸身で湯に浸かる女性と談笑をしていた。
「ふふふ、なんだか仲良くなっちゃいました」
 泉の精もミネットと意気投合したのか、笑顔でうんうんと受け答えしている、。そこへ、おーいという声が聞こえる。バレルとエストレラが洞窟の斜面を滑って降りてきた。
「あっ。貴女が泉の精ですか?」
 エストレラがミネットと会話している泉の精に気付いた。ミネットが「仲間ですよ」と補足すると、泉の精は湯に浸かったままぺこりと頭を下げる。その淡麗な容姿に、綺麗なものが好きなエストレラは心を奪われそうになる。
 エストレラは近づくと、泉の精に言う。
「貴女のお陰で、助かった人がいるんだ。その人に代わってお礼。本当に、ありがとう」
 先のトランシーバーを拾って貰えたお陰で生還できたハンターの代わりに礼を述べるエストレラ。その言葉に女性は、にっこりと笑って。声を発せない口を動かした。

『ま・た・き・て・ね』

 そんな唇の動きをしてもう一度微笑んだ彼女は、湯気に溶けるようにその姿を消した。
 
 
 不思議な不思議な、雪山の秘湯。まだまだ謎は沢山あるが、一先ず身も心も暖まったハンター達は、その温もりが消えないうちに山を降りてゆくのだった。

依頼結果

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MVP一覧

  • びりびり電撃どりる!
    八劒 颯ka1804
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアールka3282

重体一覧

参加者一覧

  • こう見えて22歳
    川崎 隆雄(ka0354
    人間(蒼)|31才|男性|猟撃士
  • 爆炎を超えし者
    ネフィリア・レインフォード(ka0444
    エルフ|14才|女性|霊闘士
  • 堕落者の暗躍を阻止した者
    バレル・ブラウリィ(ka1228
    人間(蒼)|21才|男性|闘狩人
  • びりびり電撃どりる!
    八劒 颯(ka1804
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士
  • 『綺麗なモノ』の探求者
    霧島エストレラ(ka4261
    人間(蒼)|12才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼相談卓
バレル・ブラウリィ(ka1228
人間(リアルブルー)|21才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/03/02 08:59:57
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/02/28 22:03:45