失踪少女の謎

マスター:紡花雪

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/03/15 22:00
完成日
2015/03/23 20:05

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●市民劇団の若き脚本家
『みんなで創る、わたしたちの街』

 地域振興の方法は、土地によりそれぞれだ。
 農業、畜産、芸術、鉱山、観光――この街では、有志による市民劇団が振興を担っている。特に、十代の若い脚本担当の手掛ける冒険活劇が人気なのだという。
 市民劇団の若き脚本担当エレインは、ハンターの活躍を主に描いている。今回、この市民劇団で興行予定の演目も、六人のハンターたちが、遺跡に巣食う『毒吐き大蛇』を退治するというものだ。この興行が成功して資金が集まれば、街の子供たちのために新たな児童図書館を造る足しになる。そのため、市民劇団の士気は否応なしに高まっていた。
 稽古を重ねながら、劇の流れや台詞を修正していくという手探りの作業が続き、舞台監督や演者、そして脚本のエレインの疲労や緊張も高まっていたところだろう。興行初日を十日後に控えたある日、事件は起こった。稽古中の舞台裏から、脚本担当のエレインが忽然と姿を消してしまったのだ。
 劇場は古い倉庫を改装した簡素なところで見通しも良く、舞台や客席には多くの劇団関係者がいた。そうなると、エレインは出入りの目立たない裏口から出て行ったに違いない。
 エレインの捜索は、急を要した。興行は十日後に迫っているし、何しろ街を上げての振興事業だ。脚本に関しては代役を立てることもできるが、資料のほとんどはエレインが持ったままである。それに今回の演目は、とあるハンターの熱烈なファンであるエレインにとって特別なものなのだ。すぐさま劇団関係者による捜索が行われたが、娘の失踪に困惑したエレインの母親と口論になってしまい、その結果、ハンターオフィスに依頼が持ち込まれることになった。


●エレインとその周辺人物の調査報告
 市民劇団の脚本担当エレインは十七歳。父親を早くに亡くし、母親と二人暮らし。劇団の大道具担当の青年ジャンとは幼馴染であり、将来を約束した恋人でもある。市民劇団では期待の脚本家であり、ハンターを主人公にした演目の脚本には特に力を注いでいるという。向上心が高くで責任感もある彼女が、理由もなく姿を消すとは考えにくい。
 そこで、ハンターオフィスでは周辺人物に事前の聞き取り調査を行った。

証言1・劇団責任者、マリー
『まさか、誘拐? エレインはこの演目にすごく思い入れがあったのよ? 自分でハンターに取材を……ええと、アンバー・ローズって人だったかしら。取材日記も事細かに付けていたし……。あと、劇の台詞がしっくりこないって相談は何度か。大道具のジャンとはうまくいっているけど、母親とはよくモメてるわね』

証言2・大道具担当、恋人のジャン
『うーん、またお母さんと喧嘩したのかな? 僕はいずれ大手の劇団で仕事したいって思ってるんだけど、お母さんは良く思ってなくてね。彼女の脚本の才能を認めてくれてるのは救いだけど。憧れのハンターに会いに行ったならそれでいいけど、急にいなくなられると心臓に悪いよ。まだ今回の脚本も完成には至っていないみたいだし……』

証言3・エレインの母親
『ジャンがどこかに隠してるのよ! 前にもあったもの! 脚本を仕上げるからって真夜中まで帰ってこなかったのよ!? まだ十代の娘なのに! え? 取材日記? あの子の机の上にあったと思うけど……たしか、ハンターの話よね? そう言えば、ハンターが集まる食堂にもよく行ってたわね』

証言4・主演女優、ドリュー
『誘拐されたのかなぁ……なんか、こわーい。だって、あの子、最近ヘンな占い師のところに通ってて、運勢から人探しまでいろいろ視てもらってたんだよ? その占い師に騙されて、どこかに連れていかれたとか! え、占い師の名前? えっと……マージ・タージ、だったかな?』

 以上が、エレインの周辺人物の証言である。
 依頼のための書類をまとめて、職員の女性は備考欄に筆を走らせる。
「――証言者の四人に再度聞き込みができます。必要があれば、彼ら以外の人物に話を聞くことも可能。なお、母親の許可があれば、少女の持ち物の調査もできます――っと」
 備考欄を書き終え、女性職員は処理済みの署名を入れて依頼用紙を仕分けた。
「……うーん、無事に見つかるかなぁ、エレインさん。チケット買ってるし、ちゃんと劇も完成してほしいなぁ……ん?」
 そのとき、処理済み書類の反対側にある解決中の棚が目に入った。そこで思い出したのである。
「そういえば、アンバーさん……昨日の朝、オフィスに来てたっけ」
 証言に名前が挙がったハンター、アンバー・ローズは、依頼ではないが何かの用事でこの街に滞在しているらしい。女性職員は、たまたまハンターオフィスに顔を出しに来た彼女のことを覚えていたのだ。
「それなら、アンバーさんからも何か聞けるかしら……? それに、せっかくハンターさんたちに捜索してもらえるんだから、彼らからも脚本のアイデアもらえそうじゃない? うん、公演が楽しみ!」
 女性職員は、この少女失踪事件の早期解決を願いながら、聡明で勇気あるハンターたちが現れるのを待つことにした。

リプレイ本文

●混迷の捜索
 街の劇場前広場には、例の宣伝ポスターが貼ってあった。
 『みんなで創る、わたしたちの街』
 もちろんそこには、今回の『毒吐き大蛇』の演目や、脚本家であるエレインの名前も記載されている。そして、堂々と『児童図書館を子供たちに』と書かれていることから、市民劇団が街に貢献していきていることの大きさが伺えた。
 事件解決のために集ったハンターたちは、関係者出入口から劇場内に入り、ちょうど稽古がひと段落した様子の劇団員たちに会いに行った。
 まず劇団責任者のマリーに向かって、一歩前に出たのは細身の少女、天竜寺 詩(ka0396)である。彼女はロープを手にして、結び目をひとつ作った。
「マリーさんなら、劇団員のこともよく解ってると思います。劇団員同士の仲はどうでしたか?」
 近くにいるジャンや他の劇団員に聴こえないように、詩が声を潜めて質問すると、マリーは、問題なく仲良くやっている、と言った。
「それじゃあ、当日のエレインさんの様子はどうでしたか? それと、最後に彼女を見た時間は?」
 詩は、事前に整理しておいた質問を重ねた。エレインの様子の変化や、彼女がいなくなった時間を知ることは、捜索の上でとても役に立つ。
「睡眠不足で疲れてはいたけど……。ああ、そういえば、時計を気にしているようだったわ。私がエレインを最後に見たのは、あの日の最終幕の稽古の前だから、夕方前かしら。稽古が終わった時にはいなかったもの」
「ハンターの取材……。やっぱり、台詞が『しっくりこない』って言ってた件ですか?」
 詩の質問に、またもマリーは、うーん、と考えこむ様子だ。
「やっぱり実体験を取り入れたいって言ってたわ。だから、憧れの女性ハンターに何度も取材を申し込んでいたみたいよ」
 質問を終え、詩はロープにまたひとつ結び目を作った。これは、彼女が以前読んだ小説の探偵がしていた行動である。
 その隣で、常胎ギィ(ka2852)が証言をメモに書き留めていた。
「エレインは、母親と何をもめていたんだ?」
 詩に続き、ギィもマリーへと質問をした。
「エレインのお母さんは心配性なの。……ちょっとヒステリックだけど」
 そのすぐ横で、ゴシックドレスを纏った見目の可愛らしい少年、ハーレキン(ka3214)は、休憩中の主演女優のドリューに話しかけていた。
「ドリュー様ですね。休憩中、すみません。今回のことは、雲を掴むような話で……少しでも知ってることを教えていただきたいんです」
 ハーレキンが声を掛けると、浮かない表情のドリューも少し頬を緩めた。
「知ってること? ……ジャンとはいつも仲良しだし、エレインの脚本の舞台はいつも人気だよ? だからこそ、プレッシャーはあったかも」
「プレッシャー……。劇団の興行は、街の振興事業ですよね。良く思ってない人がいたりするんでしょうか……?」
「どうかなぁ……あくまで演劇が好きで集まってる団体だし、邪魔しても意味ないと思うなぁ」
 すると、ギィもドリューへと歩み寄り、質問を重ねた。
「それと当時、怪しい音や争った形跡はなかったか?」
「どうかなぁ……悲鳴はしなかったと思うけど」
 怪しい音や声は聴いていないというドリューは、また心配そうな表情を見せて俯いてしまった。
 そして、近くではクレイン・プラウス(ka2384)がエレインの恋人であるジャンに聞き取り調査をしている。クレインは、先輩ハンターたちの行動を見習いながら、自身に出来る方法で捜索に協力しようと考えいていた。
「ジャン様はエレイン様のことが心配ではありませんの?」
 事前の証言を見る限りでは、エレインの失踪に関してジャンはあまり心配しているようには感じられなかった。
「心配だよ、もちろん。だけど……彼女は脚本を途中で放り出すような子じゃないって信じてるから」
 ジャンは、心配はしているが少し楽観的なのかもしれない。
 そこで、ドリューのところを離れたギィがジャンに話を聞きにきた。
「エレインは、脚本の何を悩んでいたんだろうか? それと、君から見た彼女の性格は?」
「臨場感のある戦闘シーンに悩んでたみたいだよ。やっぱり、経験がないからね。彼女は、熱中すると周りが見えなくなることがあるんだ」
 どうやらジャンは、つい脚本の取材や執筆に熱中しやすいエレインに放っておかれることがよくあるらしい。
 だがクレインは、エレインが事件や事故に遭ったり、執筆で疲れて行き倒れてしまっている可能性も考えていた。そもそも、十代の少女が一人で行方不明になるというのは、舞台の成功云々以前の問題である。彼女の身の安全を確認することが大事だ。
「エレイン様は、憧れのハンター様のところにいる可能性があるのですね? では、ジャン様の一緒に捜索に参りましょう!」
 若いハンターたちが劇団員たちに聞き込みをしている中、落ち着いた雰囲気を漂わせて状況を見渡しているのは、ブルノ・ロレンソ(ka1124)である。
 事前に四人の証言を聞いた限りでは、営利目的の誘拐、歪虚の犯行などの可能性は薄いと考えていた。仲間たちがマリー、ドリュー、ジャンに質問をしている様子を、ブルノは少し後ろに下がってじっくり観察している。エレインの失踪に関して何か隠しているのならば、挙動不審であったり話に矛盾が生じたりなど、妙な動きをするだろう。
 仲間たちの質問がひと段落ついたところで、後方からブルノが低い声を響かせる。
「消えた嬢ちゃんの居場所はだいたい目星がついてる。見つかるのも時間の問題だろうな」
 その言葉に、驚いたように証言者四人が顔を上げた。もちろんこれはブルノのはったりではあるが、事情を知っている者がいれば何らかの反応を見せるだろう。
 一方その頃、艶やかな黒髪の女性、リーゼロッテ(ka1864)は住民にエレインとその母親について、聞き込みを行っていた。なぜならば、よく喧嘩をしていたという母娘の関係性から、母親がエレインへの影響力を強めるために、彼女を閉じ込めてしまっているということが考えられたからだ。
 まず、リーゼロッテは劇場の近くで住民に声をかけてみたが、脚本担当という裏方であるエレインは、役者とは違ってそれほど注目はされていないらしい。
 次に、エレインの自宅付近で聞き込みを行うことにした。自宅付近であれば、エレインとその母親と親しい者もいるはずだ。何人かに声をかけ、とある老婦人がエレインと母親のことを知っているようだった。リーゼロッテは、「エレインは大きな舞台を前に緊張に耐え切れず、どこかに引きこもっているのではないか」という仮定を老婦人に話すと、ずいぶんと心配した様子を見せた。
「エレインさんや彼女の母親が行きそうな場所を知りませんか?」
「そうね……大通り沿いのお店で会うことが多いかしら。若い娘さんが……大変ね。ぜひ、力になってあげてちょうだい」
 心配そうな老婦人に励まされ、リーゼロッテはエレインを探し出すべく思考を巡らせる。尾行して母親の動向を調べようと考えたが、母親は自宅で待機しているのか、家から出てくることはなかった。
 劇団員や住民への聞き込みを終え、詩とブルノは劇場内の調査、ハーレキンは占い師のマージ・タージへの聞き込み、ギィはエレインの母親への聞き込み、リーゼロッテは母娘がよく現れるという大通り沿いの店へ、クレインはジャンを伴ってのエレイン捜索、とそれぞれの調査に向かうことになった。

●幕間、そして
 様々な角度から、ハンターたちは有効と思われる調査を重ねて手を尽くしていた。
 そしてその調査がひと段落したところで、情報共有のために劇場前広場に再結集することとなった。
 まず、詩は劇場内でもエレインの持ち物が残されている舞台裏を調べた。劇場内の調査に留まったのは、誰もエレインが劇場から出て行姿を目撃していないのならば、劇場のどこかに押し込められている可能性もあると考えたからだ。詩が舞台裏に行くと、エレインの名前が入った仮台本と資料が置かれていた。その余白には、アンバー・ローズの情報がびっしりと書かれている。やはりエレインは、強いこだわりを持ってアンバーを追っていたらしい。
 そしてブルノも同じく劇場内の調査に残ったが、彼は主に関係者が使用する楽屋を調べていた。楽屋はあまり広くはなく、役者が着替えをする場所が仕切られている。その他は雑然と舞台道具が積まれていた。何しろ狭い場所で、少女一人を隠しておけるような場所はなさそうである。その後ブルノは、劇場を立ち去る振りをして近くの物陰に潜み、大きな鞄を抱えて出てきたマリーを尾行したが、マリーは劇場の裏の通りにあるアパートに入っていっただけだった。立地からして、彼女の自宅だろう。
 自身との共通点から、ハーレキンは占い師のマージ・タージを訪ねた。ハーレキンがマージに、エレインが失踪した理由は恋のもつれななのか仕事への責任感なのかと問うと、マージは水晶の中に一人で誰かを探して歩き回り、手にした紙に何かを必死に書いているエレインの姿が見えたと言った。マージが本当に能力のある占い師かどうかは不明ではあるのだが、それも含めて皆に報告をした。
 エレインの母親に会いに行ったギィは、エレインの手帳や持ち物を見せてもらうことができた。母親は自宅にこもって娘の帰りを待っているようで、疲れているように見えた。エレインの部屋の机には、何冊にも及ぶ取材日記や脚本の構想を書いた手帳が置いてあった。ハンターの活躍を描いた舞台を多く手掛けていることもあり、やはりハンターへの取材記録や新聞記事の切り抜き、それを元にした脚本案などがほとんどである。そして、特にアンバー・ローズに関するものが多い。そしてギィは、それとなく母娘の喧嘩の理由を探るように訊いてみたが、時に反抗的な十代の娘と、その娘を心配しつつもつい口出ししてしまう母という、見かけほど険悪ではないらしい母娘関係が見えてきた。
 リーゼロッテは、老婦人に教えてもらった大通り沿いの店で聞き込みを行った。もし母親がエレインを自宅またはどこかに軟禁しているのであれば、娘の世話やしっかり二人分の食料を調達しなければならないからだ。だが母娘が普段買い物に訪れるという食料品店の主人に聞いたところ、エレインが失踪した日付以降、母親もエレインも店に来ていないとわかった。
 そして、ジャンを伴ってエレインの捜索に向かったクレインは、ジャンに数点確認しなければならないことがあった。エレインが憧れていたハンターとはアンバー・ローズで間違いないのか、そして彼女とアンバーの関係、取材の約束の有無である。ジャンが把握している限りでは、エレインがアンバー以上に憧れているハンターはおらず、何度も取材交渉をしているのだがハンターであるアンバーは依頼の解決に忙しく、それが実ったことはないのだという。エレインとアンバーの関係も、あくまで人気のハンターとそのファンという程度のもので、個人的に交友があるわけではないらしい。次いでクレインは、ハンターオフィスとハンターが集まるという例の食堂に出向き、アンバーに会いたい旨を伝えてもらうことにした。
 これで、個別に行った調査による情報の共有が成された。
「何か、まだ掴んでいない情報があるかもしれない、もう少し聞き込みして回りましょうか――」
 ハーレキンが仲間たちに、そう提案したときである。六人の集まる劇場前に近付いてくる一人の人物がいた。
「――私に用があるっていうのは、あなたたち?」
 声をかけてきたのは、一人の女性だった。彼女は、自分がアンバー・ローズだと名乗った。クレインが訪ねた食堂の主人から、伝言を受け取ったのだ。ハンターたちは驚いたが、クレインが代表してエレインが失踪しているという事情を話し、アンバーに協力を仰いだ。アンバーによると、エレインから何度も取材交渉の連絡を受けていたが、なかなか時間が取れなかったそうだ。だがエレインは、なぜかアンバーの行動予定を知っていて、アンバーの行くところ行くところに現れるらしい。今回、この街に滞在しているのは、依頼のためではなく、新しく店を開業する友人の手伝いが理由である。
 それならば、アンバーの行くところに、エレインはいるのではないか――。

●あっけない幕切れ
 エレインは、見つかった。
 予想の通り、エレインは長年の取材や調査によって培われた独自の情報網を使ってアンバーの予定を調べあげ、彼女が友人の店の開業準備を手伝いに来ることを知っていたようだ。脚本の完成のためにどうしてもアンバーから助言をもらいたいと思い、いてもたってもいられず劇場を飛び出し、アンバーが手伝いに来る店の近くの宿で彼女が現れるのを待っていたらしい。
 ハンターたちがエレインとアンバーの間を取り持ち、エレインは望んでいた取材がようやく叶った。しかも、アンバーだけでなく六人ものハンターから様々な助言をもらうことができたのだ。そのおかげで、舞台脚本は無事に完成したのである。

 ――第三幕、『毒吐き大蛇』と対峙するハンターたち。
 シャアアア、と毒の息を吐き散らす大蛇を前に、六人のハンターたちは苦戦を強いられていた。だが、百戦錬磨のハンターたちにとって、勝利は目前である。
 まず、一人目のハンターが弓に矢をつがえ、毒吐き大蛇の目を射抜いてから続け様に矢を放ち、鋭い視線で大蛇を睨みつける。
 続いて二人目のハンターが、炎を纏わせた槍を毒吐き大蛇の腹に見舞い、反撃に出た大蛇を、刃を仕込んだ鎧で迎えた。
 壮年のハンターと艶っぽい女性ハンターは、他のハンターたちに場を任せるようにして後ろに退いた。
 次いで、猫耳カチューシャの少女ハンターが、襲われた村の子供たちの声援に笑みを返して剣を振るう。
 魔導拳銃を構えた少女ハンターが、毒吐き大蛇を狙っている。
「貴様に罰を与えよう」
 銃口から弾丸が飛び出し、少女から得意げな笑みがこぼれた。彼女が七発の弾丸を撃ち尽くす前に、毒吐き大蛇の体は地に沈んでいた。

 ハンターたちの勝利に、劇中だけでなく、観劇に来た人々もまた歓喜の喝采を送る。
 今回エレインが脚本を手掛けた劇は、これまでにないほどに大盛況だった。この街だけでなく、近隣からもこぞって観劇の客が訪れるほどだったらしい。
 後日、ハンターオフィスへエレインからの手紙が届けられた。アンバーだけでなく、六人のハンターたちの助けが得られたことにより、毒吐き大蛇退治の興行は公演期間が延長されることになり、そしてその収益により、児童図書館の建設計画が本格的に始動することになったそうだ。
 ハンターたちは迷える一人の少女を探し出して助けたが、それだけではなく、多くの子供たちに明るい未来を導いたのだと言えるだろう――。

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MVP一覧


  • クレイン・プラウスka2384
  • 純情な乙女
    常胎ギィka2852

重体一覧

参加者一覧

  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士

  • ブルノ・ロレンソ(ka1124
    人間(紅)|55才|男性|機導師
  • Slum Nail
    リーゼロッテ(ka1864
    人間(紅)|20才|女性|疾影士

  • クレイン・プラウス(ka2384
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 純情な乙女
    常胎ギィ(ka2852
    人間(紅)|12才|女性|霊闘士
  • トランプマイスター
    ハーレキン(ka3214
    人間(紅)|10才|男性|疾影士

サポート一覧

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依頼相談掲示板
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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/03/11 00:21:05
アイコン 相談卓
リーゼロッテ(ka1864
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/03/15 20:40:30