• 不動

【不動】support in force

マスター:墨上古流人

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/04/02 22:00
完成日
2015/04/10 01:24

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


「で、どうすんだねうちは。まさかまた『行きたきゃいけば』じゃねーだろうな」
 
 帝国の歓楽街ラオネン、その北部に位置する国立病院には、
 救援部隊の役割を担う帝国第九師団の執務室がある。
 広い机に辺境の地図を広げて、机上の凸型の駒を掌の中で弄びながら、
 副師団長のリベルトが声を駆ける。
 対面では、珍しくデフォルトの微笑みを消して真顔で地図を睨みつける、師団長のユウ=クヴァールがいた。

「まさか。今までの報告でもある通り、大激戦だよ。ここで救護師団が動かなかったら、僕ら何の為にいるのって話だからね」
「そりゃあな。にしても文字通り出血大サービスもいいとこだぜ……」
 宙に放り投げた駒を辺境地図上、ジグウ連山の上にピシッと押し付ける。
 下山した先、駒の向く方角には、色の違う駒が怠惰の軍勢として鎮座していた。

「てーことは、山の麓とかにでも動きにいくのか?」
「いや、大聖堂が奥にある以上、あんまり山の方へ意識は向けたくないからね……僕らが救援拠点を設営するのは、ここにしようと思う」
 とす、と体を伸ばして地図の上に駒を置くユウ。
 場所は、ちょうど連山から流れるケリド川と、怠惰軍が渡河しようとしているナナミ川の合流地点より少し上の近辺だった。

「ここなら、怠惰軍をマギア砦に誘引する部隊へ救援・援護も出来るし、もし誘引に乗らないで漏れた敵部隊がいたとしても、対応部隊を駐留させておくこともできる。そのまま砦部隊を追いかける事も出来るし、奇襲部隊にも要塞よりは早めに対処できるよ」
「ちょっと待て。対応できるパターンが多いのはいいことだ。けど、つまり……」
「対応しなきゃならない危険も多いって事だよね」
 あくまで真顔で話を進めるユウ。
 真意を測るかのように師団長の顔をしばらく覗くが、意見を促すかのような沈黙に耐え兼ね、リベルトが口を開く。

「悪かねぇ、悪かねぇがよユウ。お前が我が身構わず危険も承知でハイリターンなやり方を好むのはいいとしよう。だがそれで大勢を巻きこむっつーんなら話は別だ、俺はストップをかけるぞ」
 気の抜けた炭酸飲料を煽ってから、渋い顔でユウを見つめるリベルト。
 重く、静かにうなずいてから、ユウも言葉を返す。

「もちろん、失敗した、犠牲者を大勢だした、そこで僕が責任を取りますで済む話ではないのはわかってるよ」
「だったらなんで……」
「大けがをしている人に包帯を巻くとして、自分の手は綺麗なままでいられると思う?」
「……」
「人を助けるのに、助ける側が血に塗れない安全な所からそれをするってのは無理な話って事だよ。そして、それが出来るのは僕らで、それを師団の任務として掲げているのも僕らなんだよ。大局的に見て、この作戦が各国にとって重要なものとして取り上げられてるのは事実だし、だとしたら僕らに出来る事はこういう事」
「危険が伴うのはわかってるが、それに対してどうするんだって俺の話からずれてるぞ、ユウ」
「直接4つの問題に対して戦闘して対処という訳ではないよ。あくまで僕らは拠点の設営、確保。それに、この先遣隊には師団及びハンターから有志で募る」
「……だから、大丈夫と?」
「言うつもりはないよ。やっぱりハイリスクハイリターンだと思う。でも、だからこそやる意味はあるとも思ってる」

 言葉と、思いがぶつかる机上。
 部屋の空気は、掴めそうな程に濃密な静寂が漂っていた。

 
「……時々お前がわからなくなる。先見の明なのか、それとも周りが見えてないだけなのか、妙に頑固になりやがる」
 信じていいって、信じてるからな―――
 その言葉は、敢えて口に出すことで信じていない事になりそうだから……飲みこんだままにして、リベルトは部屋を出た。

リプレイ本文



「いたわよ。10体程、バラバラと。猪のような雑魔と、亜人……ゴブリン?」
「目は知らんが、恐らく鼻は向こうの方がいいだろう。風が気まぐれ起こす前に動いた方がいいな」
「了解した。各位、速やかに掃討戦に移行だ」

 ヴィンフリーデ・オルデンブルク(ka2207)――フリーデが敵の数と種類を確認する。
 ハンターの偵察に随伴したリベルトの提案に、エアルドフリス(ka1856)がそっとワンドを手に持ち、
 静かに詠唱を始める。そよ風は、次第に獰猛さを解き放ち、真っ直ぐに獲物へと飛びかかっていく。
 
「出遅れないよっ」
 ウィンドカッターの勢いで吹き飛ばされる猪型に狙いを定める霧雨 悠月(ka4130)
 前傾姿勢で駆けつけ、宙でもがく猪型の足にワイヤーウィップを絡め、
 引きちぎらん勢いで手を引き、地面へと叩きつけた。

 狼狽えるゴブリン、冷たい感触を首筋に覚え、視線を戻すと目の前には既にヒース・R・ウォーカー(ka0145)が立っていた。
「さぁ、お前の相手はボクだ。踊ってくれるかい?」
 引く手は、ダンスのパートナーではなく、己の刀。
 ステップを踏む前に、ゴブリンは既に膝から崩れ落ちていた。

「良い子だ、動くなよ……!」
 ヒースを飛び越え、宙で体を捻ってダガーを投擲。
 リベルトの放った複数の刃は、的確にゴブリン達の急所を捉えていく。

「あまり張り切りすぎるとバテますよ、副師団長殿」
 辺りの死骸を一瞥し、思わず苦笑しながら、
 エアルドフリスは短伝話を取り出していた。


 周辺に敵影がなくなった頃を見計らい、ポイントへ本隊を呼び寄せた。
 ハンター達は4班に分かれ、それぞれ師団の聖導士を1人連れて偵察、警備へと出ていた。
 
「調子ハ上々カナ?」
 警備から帰ってきたアルヴィン = オールドリッチ(ka2378)が、
 拠点の手伝いをしていたカール・フォルシアン(ka3702)へと声をかける。
 彼は医師を志す身としての知識や手際を用いて、医療器具の確認や運び出しをしていた。
「すごいね、普通の医者と違って、従軍、しかも前線。決して簡単な道ではないよ?」
「助ける側が安全な場所にいては、助けられない命がある。全ての医療者がそうあるべきとは思いませんが、少なくとも僕はそういう医者でありたい……だから今回お手伝いに来たんです」
 様子を見に来た師団長のユウに対して、自身の思いを語るカール。
 は、として、顔を隠すようにクリップボードに何か書き始めるカールの頭を、おもむろに撫でるユウ。

「あの……?」
「ごめん、つい」
「ツイ★」
 気づけばアルヴィンも一緒になって、ユウは小さな少年の頭を撫でていた。
 何をしているんだか……と微笑ましい光景を眺めながら、懐を探るエアルドフリス。

「VIPルームならこっちだぜ?」
 咥え煙草のリベルトに促された先には、タープの下に置かれた大きな缶、どうやら喫煙所のようだった。
「師団長、副師団長殿も息災のようで何よりですな」
「おかげさまでな。あんたはどうだ、ちょいとシワが増えたんじゃねーか?」
「先日のラオネンの後は厄介な事になっ……」
「厄介?」
 口が滑ったか。顔が隠れるように濃い煙を吹き出すエアルドフリス。
「……いや、私事です、私事」
「そっかー、なんにせよ、バレないようにうまくやってね?」
「……それ、俺のセリフだし、師団長が言っちゃダメだろーが」
 いつのまにかヤニーズの間に現れていたユウから、視線を逸らすエアルドフリスだった。


 警備のシフトは幾度か周り、フリーデが拠点の手伝いへと回った。
「こういう団体行動は不慣れだし、指示には従うから遠慮なく命令して頂戴」
「威勢がいいな、そいじゃ、あっちの荷物持てるか?」
 ハンターの腕力、というより自分も含めてなめないでよね、という感じでひょいひょい荷物を下ろしていくフリーデ。

「随分と張り切ってんじゃねーの?」
「いつか私も、って憧れた場所だもの。第九師団と一緒に戦えるのはちょっと嬉しいの」
「へー、それは光栄だね」
 たまたま、糧食を漁りにきたユウが、ひょっこりと顔を覗かせて口を挟む。

「こっちこそ、お目にかかれて光栄です! 前線で華々しく武功を上げるより、重要な役割があるって、ハンターとして戦って、やっとわかったような気がするから……」
「おいユウ。ダメだ、なんか、あーゆーふーに溌剌キラキラしてるの見ると、ダメだ。眩しい。俺みてーな汚い大人が見ていいもんじゃねぇ」
 自らの思いを熱く語るフリーデに対し、思わず目を背けるリベルト、そんな光景を見て苦笑するユウ。
「期待してくれて良いよ。なんと言っても、第九師団は帝国師団の中では一番強いからね」
「さすが救援部隊! やっぱり最後まで倒れず人を救う為の強さが」
「ちげーよ」
 熱弁を遮るように、ぽんっとフリーデの手の中へ先割れスプーンを握らせるリベルト。

「うちが最強を謳うのは……炊き出し部隊でもあるからだよ。腹が減っては戦はできねーからな」
「はいはーい、手が空いてる人には手伝って欲しいなー」
 ふわっ、と鼻をくすぐるスープの香りと共に、お皿を差し出すのはルナ・レンフィールド(ka1565)
 彼女は指示を仰ぎながら食事の準備を手伝っていた。

「師団の方のほうが慣れてるかな?って思ったけどね」
 とんでもない。従軍で物資が限られている中、食事はどうしても無機質で機能性重視になりがちである。
 そんな中、ありものとはいえ、ちゃんと作られた献立で暖まるのは、体だけには留まらないのだ。

「なにより、女の子の手料理最高っす!」
 黙って食え、と同僚らしき者に小突かれる聖導士を見て、ルナは困ったように微笑んだ。

「戻ったよ、簡単な雑魔との接敵は報告した通りだけど、大きな動きはまだ見えないな」
「やれやれ……少し暗くなって来たね。このまま何も無いと助かるんだが」
 温め直された、悠月が淹れていったお茶(きちんと休まないと、次の番まで持たないよ?とメモ書きがされていた)
 を受け取り、ヒースとスピノサ ユフ(ka4283)が交代の為に戻ってきた。
 ヒースの足元には、相棒の黒猫のナナクロがいる。
『着いてきた以上はお前にも働いてもらうよ、ナナクロ』
 と、警備を始めた頃にかけた言葉に、言われるまでもない、というような毅然とした態度で付き添っていた。
 ルナとフリーデが交代の為の装備を整えている横で、スピノサは微かな湯気の上がる茶をすすりながら、穏やかに流れる川辺を眺める。

「これは……」
「どうした?」
「皆、すぐに川上への支度を整えた方が良い。じきに、応援要請が来るはずだよ」
 スピノサが川から拾ったのは、不自然に斬り、折られた枝葉。
 まるで、大きなものが、足元の植物など意にも解さず無理やり歩いて折れたかのような……

(少し張り切った仕事をとってしまったな。戦いは好きでないが……)
 慌ただしくなる周囲の中、スピノサが心の中で思いを馳せる。

「大丈夫ですか?」
 心中を察したか、ルナがスピノサに声をかける。
「目に映り込んだものを知らぬふりをして過ごすのは、私の心に反する」
 頷くスピノサに、微笑かけるルナ。
 力を尽くせば、自ずと道は開かれる……覚悟を決めて、機杖を握り直し歩みを進め始めた。


「悠月さん、無事ですか!」
「まだまだいけるよ、少し急いだ方がいいか?」
  
 少し離れて、カールと悠月がエアルドフリス達へ合流しようと動き出していたが、
 途中で雑魔に行く手を阻まれていた。
 
「勢力的に本隊では無いだろう、ここは任せて行ってくれ!」
「壁は出来た、後は道を作れってことだね」
 師団の聖導士達が促し、悠月達を逃がそうとするも、
 2人の前に数体のオーク型の敵が現れる。
 悠月に突き下ろされた右腕は、左手で弾いて軌道を逸らすのと同時に前へ跳んで回避、
 その弾いた左手の勢いで回転し、咄嗟に抜いた刀を遠心力で振り払う。
 太い丸太のような首を、薄氷のような刃がすり抜けていった。

 不安定な体制の悠月を狙い、他のオーク型が古びた斧を振り上げた瞬間、カールが片足に力を込めて踏み込む。
 体を伸ばし、左手は後方に引きめいいっぱい前へ、放たれた矢のように空いた鳩尾へ振動刀を突き刺す。
 苦し紛れに振り下ろされた斧はカールの肩へめり込むが、放った刃はぶれない。
 すとっ、とまるでスポンジに着地したかのようにカールの刃は沈み、後に、内から喰い破る獣の咆哮のような音を立て、
 振動しつつオーク型の体を引き裂いていった。

「助かったよ、ありがとう」
「いえ、急ぎましょう。あの巨人の足元……気になります」
 カールが指した先には、3m前後程の大きさの巨人が、視線を下げて移動していた。

「はっ、何処を見てるんだね?」
「見惚レテ足元が覚束ナカッタのカモヨ」
 巨人の視線の先には、戦線を維持せんと奮戦するエアルドフリスとアルヴィン。
 猛攻もギリギリ耐えてきたが、そろそろ厳しいか。
「的はでかいが……せめて、足だけでも止めさせてもらうぞ」
 肩で息をしながら乱戦でずれた袖をまくり、杖を構え直すエアルドフリス。

「ルール―、動カナイデ」
 ビシッ、と放たれたアルヴィンの鞭は、あろうことかエアルドフリスの体へと巻き付いてゆく。

「おい、何の冗談だアル「――足元ニゴ注意クダサイ」
 疑いを向けるにはあまりにも彼に慣れ過ぎた。
 言葉の意味を悟り、杖を地面に刺し、思いきり大地へと体重を落とす。
 カールと悠月に目を向けていた巨人は、足元の真っ直ぐに張られた鞭に気づかず、
 前のめりにその巨体を沈めていった。

「無茶をするな……まったく」
 緩んだ鞭を解きながら、ため息を零すエアルドフリス。
 そんな彼にアルヴィンがかけたのは、言葉よりも先にヒールだった。

「ルールー、もね?」
 魔術師と聖導士、決して全力前衛とは言えない中で奮戦し、作った傷が癒えていく。
 それ以上は危ないという彼なりの気遣いか、それとも本当に縛ってみたかっただけなのか……
(相変わらず、不可解だ)
 言葉の代わりに口角を微かに釣り上げ、アルヴィンの肩を叩き、共に残党の掃討を促した。

「やっと着いたか……まだいるぞ、気をつけろ!」
 拠点から駆け付けたリベルト達が合流し、まだ数体残る巨人相手に向き直る。
 敵方も主戦力が集まったのか、空からも幾つかの影が迫ってくるのを確認した。

「ちょっと多いわね、でも退くわけには!」
「任せてください……風の音よ、眠りに誘え!」
 フリーデが槍を構える横で、スリープクラウドを空へ放つルナ。
 高見から獲物を見定めていた鳥獣型、小さな飛竜型の敵に、急に激しい睡魔が襲い掛かる。
 その眠気は自らを空に縛る為の翼までも動きを止めて―――

 どさ、どさと獣の雨が降り注ぐ。
 スリープクラウドは、飛来してきた敵の半数以上を無効化する事が出来た。
 落ちた衝撃で目を覚ました敵は、再びフリーデの刺突で深い、深い眠りへと誘われてゆく。

 蠢く飛竜型に対して槍を振りかぶった途端、思いも寄らぬ体躯のバネで、
 フリーデに飛びかかる。
 小さめのサイズとはいえ竜、その重さにフリーデの骨々は悲鳴をあげ、
 脇原に突き立てられた爪に力が入る程、焼けるように傷口に痛みが広がる。

「フリーデさん!」
 ルナが急ぎマテリアルを紡ぎだすが、攻撃魔法には若干遠い為、急ぎ駆け付ける。

「……救……部隊は、最……砦……もの」
 言葉を解したとは思えないが、竜が小首を傾げるように足下の獲物を覗き込む。

「……救援部隊は、最後の砦だもの。あたしが居る限り……ここは通さない! あたしは絶対倒れない!」
 竜にも負けぬ叫びと共に、マテリアルヒーリングの光がフリーデを包み込む。
 苦し紛れに、短く持った槍で、足の関節部に強打を放つ。
「風の音よ、鋭き刃となり切り裂いてっ! Presto!」
 転がり抜けると、ルナのウィンドスラッシュが竜の目に切り込んできた。
 刹那、地を蹴るような『踏み込み』で、見せた顎下を突き上げる。
 声にならない声が喉から漏れ、飛竜はその場で動かなくなった。

(まだ残っているか……)
 農民出の為、戦闘は不慣れだというスピノサ。
 死屍累々を目にした時点で既に良い気分ではないが、まだ安全は確保されていない。
 そう、今まさに辺りを見回していたスピノサの、足元のオーク型が襲いかかろうとしているように。

「踊れないのなら下がってな」
「踊れないなら、せめて奏でるさ……足しにしてくれ、頼りにしているよ」
 攻性強化をかけてもらったヒースは、片手をだらりとあげてから、
 残る的に向き直った。肘部が得物のようにとがった、2m程の筋骨隆々とした歪虚だ。
 ランアウトで一気に踏み込み、スラッシュエッジの速攻勝負。
 だが敵は切り払った刃を左肘で受け止め、右拳で地面へ叩き落とす。
 開けた後頭部へ、思いきり振り下ろされる左拳。土と共に血を吐きだすヒース。

 追い打ちをかけようとする敵に、スピノサの銃撃が流れ込んでくる。
 注意がそれ、スピノサを注視している敵に対し、急かすように魔導機械の駆動音が静かに響く。

「これは当てないと……な……!」
 放たれた機導砲の光が敵の頭部を飲み込むように突き抜けていく。
 その隙に、両膝を砕くように振りかぶったヒースの刀が振り下ろされる。
 潰れた膝から崩れ落ちる敵の顎を蹴りあげると、そのまま後ろへを倒れていく。
 闇夜に光る二つの目に、映り込む銃口。
 今や静かになった夜の平原に、終わりを知らせる一発の銃声が響き渡った。


 師団長のユウがハンター達へ仕事の終了を告げた後、ヒースが口を開く。

「興味本位で聞きたい事があるんだけど……お前は、何故命を救おうとするんだぁ?」
 訝るでもなく、純粋に疑問を持って小首を傾げるユウ。
「ボクは斬る事、殺す事しか出来ないモノでねぇ。自分には出来ない事をやろうとする者がいたら、理由を聞きたくなって、ねぇ」
「それなら、簡単だよ。僕も、それしか出来ないから、かな」
 目を閉じずに微笑むユウ。納得したかはわからないが、ヒースはそれ以上に問う事はなかった。

「シカシ、いくら利点がアルとは言え、こんな所に拠点だナンテ、中々に豪胆ダネ」
「俺もそう思う……」
 副師団長が吐くため息は、どこかエアルドフリスのものに似ていたかも知れない。
「末端の貴族たる僕にでも、上に立つ者の義務と言うモノはアル。他人に血を流す事を強いるナラ、上の者はソレ以上に血を流すベキダ」
「まーな。が、適材適所ってのがあっから、こうだからこうあるべき、に囚われすぎるとケツが詰まっちまうぜ。それこそ、カールみたいに全てがそうあるべきではない、でも自分はそうありたい、って言うなら話は別だけどな」

 帰還の為の馬車が準備が完了したことを告げにくる。
 朝日に照らされる揺らめいた拠点の篝火を背にして、ハンター達は設営が完了した拠点を去って行った。

依頼結果

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MVP一覧

  • 光森の奏者
    ルナ・レンフィールドka1565

重体一覧

参加者一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 光森の奏者
    ルナ・レンフィールド(ka1565
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 金の旗
    ヴィンフリーデ・オルデンブルク(ka2207
    人間(紅)|14才|女性|闘狩人
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • はじめての友達
    カール・フォルシアン(ka3702
    人間(蒼)|13才|男性|機導師
  • 感謝のうた
    霧雨 悠月(ka4130
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 救いを恵む手
    スピノサ ユフ(ka4283
    人間(紅)|29才|男性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン ユウ師団長に質問
カール・フォルシアン(ka3702
人間(リアルブルー)|13才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/04/02 00:12:55
アイコン 相談卓
カール・フォルシアン(ka3702
人間(リアルブルー)|13才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/04/02 16:05:14
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/03/29 15:38:24