ゲスト
(ka0000)
【夜煌】湯に咲く毒花
マスター:鷹羽柊架
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/10 19:00
- 完成日
- 2015/06/17 06:34
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●この世の天国
要塞『ノアーラ・クンタウ』から見える辺境の光景は、時に幻想的な光景となる。
北を見れば連なる雪山。
その岩肌を彩る雪を夕暮れの太陽が照らし、オレンジ色へと染め上げる。
澄んだ空気が見る者を包み込み、別の世界へ誘われたかのような錯覚を起こさせる。
――そして。
このノアーラ・クンタウに新たなる名所が誕生する。
辺境ドワーフのカペラがマテリアル鉱山の新規開拓中に発見した温泉脈を、入浴可能な温泉地へと整備したのだ。
その温泉地の名は『テミス』。
怠惰との戦いをテミスで癒そうと、多くのハンターや各国の兵士が入浴にやってくる。
さらにハンター達の要望を受けて、温泉をポンプで引き上げて辺境の地を山から眺める事のできる露天風呂を公開。この露天風呂が大ヒット、更なる温泉客を呼び込む結果となり、西方世界に温泉の名が轟いた。
ドワーフも入浴料を徴収できて、みんながハッピー。
この時は、誰もがそう思っていた。
そう、あの事件が起こるまでは……。
●パルム変異事件
「きゃああああ!」
「皆、逃げてーーーっ!」
女湯から響く女性客達の悲鳴。
その後ろから、怪しい笑みを浮かべるパルム達が迫り来る。
その頭の傘の色は赤ではなく紫。
パルム達の目線は、女性客の胸や臀部に注がれていて……その熱視線は中年のオッサンが放つネットリとしたそれに近い。ふと横を見れば、機敏な動きで女性客に飛び掛り、『ウェヘヘヘヘ』とか妙な笑い声をあげつつ豊かな胸を揉みしだいでいるパルムまでおり……。
――突如訪れたこの地獄こそが、『パルムの異変事件』である。
あの可愛らしいパルムが、客に対し中年オッサン顔負けのセクハラを繰り広げたのだ。
オッサンパルム――通称『毒パルム』の登場で、当然ながら女性客が激減。今や、テミスは一部の愛好者とマニア以外の利用客は皆無。このままでは温泉を閉鎖する他ない所まで追い込まれていた。
情報によれば、毒パルムを捕まえて温泉の成分が抜けるまで乾かせば元に戻るようだ。だが、何処からやってきたのか露天温泉には多数のパルムが占拠している状態で……。
――この未曾有の事態に、ハンター達が呼び出されるまでそう時間はかからなかった。
●
今回の毒パルムであるが、「毒性」は様々である事をカペラで把握した。
その中のとあるケースにカペラは頭を悩ませている。
女湯で女性の胸や尻を触るケースもあるが、カペラが直面しているのは男湯。
カペラは年頃の娘であるが、男の裸を見てもあまり恥じらいは見せない。
自身が所属するドワーフ工房の熱源を扱う工房では当たり前のように男共は上半身裸になって汗だくになって仕事をしているので、いちいち恥らっていたら仕事にならないから。
今彼女の視界にいるのは温泉に浸かり、鉱泉の成分を吸った毒パルムと化した存在。
何か悪さをしようとしているわけではなく、集団でのんびり湯に浸かっている。
カペラの姿に気づいた一体のパルムはため息混じりに彼女の方を見やり、すぐに視線を外す。
「なぁんだ、小娘? つまらないわ」
毒パルムはそう言っているような気がした。
多分。
「さっさと湯から上がって」
カペラの言葉に毒パルム達は知らんぷり。
しかも、その仕草は女らしく艶っぽい。パルムのくせに。
この毒パルム達は女性の身体を見ても何も反応しなかったのだ。何故か、男湯に居座っている。
「こっちは商売してるのよ。お客さん寄り付かないじゃない」
更に問い詰めるカペラであるが、無視されている。
「カペラさぁーん」
呼ばれたカペラが振り向けば、父ヨアキム(kz0011)の側近であるキュジィ・アビトゥーア(kz0078)が爽やかに駆けて来た。
「キュジィ、どうしたの?」
「大丈夫かと気になって」
流石は敏腕執事、キュジィ。主の娘までにも見事な気遣いを見せてくれるとカペラは内心誉める。
彼はとても気遣いがよく、稀にドワーフ工房に現れては女性技師達の心を鷲掴みにしてアイドル状態だ。
「素晴らしいわ、給仕……」
「僕はキュジィで……」
キュジィのいつもの返しが途中で止まる。
現時点、カペラはキュジィと向き合っており、毒パルム達に背を向けている状態。
キュジィの表情と背後の様子がおかしい事に気づいた。
「なに、あのこ」
「やだ、なんかぁ、かわいい」
「あたし、渋いのがいいな」
何かパルムたちがそう言っているかのような気がするし、ざわめいているというか、色めいているような気もする。
「どうしたのでしょうか……」
キュジィが呟けば、湯煙の向こうからパルムにしては大柄な毒パルムがにじり寄ってきた。
紫よりもなお黒い傘の下に隠れた瞳は切れ長のように細く悪い。
ゆったりとキュジィの方へ見やると、温泉から出ずに上体を艶かしく傾ける。
「一緒に……どぉ?」
何だかそんな風に誘っているかのようだ。
「えええええ! ちょ、キュジィ! 離れたほうがいい!」
「は、はいいいい!!!」
カペラはキュジィの襟首を掴み、逃走した。
男が好きな毒パルムもいるようだ。
要塞『ノアーラ・クンタウ』から見える辺境の光景は、時に幻想的な光景となる。
北を見れば連なる雪山。
その岩肌を彩る雪を夕暮れの太陽が照らし、オレンジ色へと染め上げる。
澄んだ空気が見る者を包み込み、別の世界へ誘われたかのような錯覚を起こさせる。
――そして。
このノアーラ・クンタウに新たなる名所が誕生する。
辺境ドワーフのカペラがマテリアル鉱山の新規開拓中に発見した温泉脈を、入浴可能な温泉地へと整備したのだ。
その温泉地の名は『テミス』。
怠惰との戦いをテミスで癒そうと、多くのハンターや各国の兵士が入浴にやってくる。
さらにハンター達の要望を受けて、温泉をポンプで引き上げて辺境の地を山から眺める事のできる露天風呂を公開。この露天風呂が大ヒット、更なる温泉客を呼び込む結果となり、西方世界に温泉の名が轟いた。
ドワーフも入浴料を徴収できて、みんながハッピー。
この時は、誰もがそう思っていた。
そう、あの事件が起こるまでは……。
●パルム変異事件
「きゃああああ!」
「皆、逃げてーーーっ!」
女湯から響く女性客達の悲鳴。
その後ろから、怪しい笑みを浮かべるパルム達が迫り来る。
その頭の傘の色は赤ではなく紫。
パルム達の目線は、女性客の胸や臀部に注がれていて……その熱視線は中年のオッサンが放つネットリとしたそれに近い。ふと横を見れば、機敏な動きで女性客に飛び掛り、『ウェヘヘヘヘ』とか妙な笑い声をあげつつ豊かな胸を揉みしだいでいるパルムまでおり……。
――突如訪れたこの地獄こそが、『パルムの異変事件』である。
あの可愛らしいパルムが、客に対し中年オッサン顔負けのセクハラを繰り広げたのだ。
オッサンパルム――通称『毒パルム』の登場で、当然ながら女性客が激減。今や、テミスは一部の愛好者とマニア以外の利用客は皆無。このままでは温泉を閉鎖する他ない所まで追い込まれていた。
情報によれば、毒パルムを捕まえて温泉の成分が抜けるまで乾かせば元に戻るようだ。だが、何処からやってきたのか露天温泉には多数のパルムが占拠している状態で……。
――この未曾有の事態に、ハンター達が呼び出されるまでそう時間はかからなかった。
●
今回の毒パルムであるが、「毒性」は様々である事をカペラで把握した。
その中のとあるケースにカペラは頭を悩ませている。
女湯で女性の胸や尻を触るケースもあるが、カペラが直面しているのは男湯。
カペラは年頃の娘であるが、男の裸を見てもあまり恥じらいは見せない。
自身が所属するドワーフ工房の熱源を扱う工房では当たり前のように男共は上半身裸になって汗だくになって仕事をしているので、いちいち恥らっていたら仕事にならないから。
今彼女の視界にいるのは温泉に浸かり、鉱泉の成分を吸った毒パルムと化した存在。
何か悪さをしようとしているわけではなく、集団でのんびり湯に浸かっている。
カペラの姿に気づいた一体のパルムはため息混じりに彼女の方を見やり、すぐに視線を外す。
「なぁんだ、小娘? つまらないわ」
毒パルムはそう言っているような気がした。
多分。
「さっさと湯から上がって」
カペラの言葉に毒パルム達は知らんぷり。
しかも、その仕草は女らしく艶っぽい。パルムのくせに。
この毒パルム達は女性の身体を見ても何も反応しなかったのだ。何故か、男湯に居座っている。
「こっちは商売してるのよ。お客さん寄り付かないじゃない」
更に問い詰めるカペラであるが、無視されている。
「カペラさぁーん」
呼ばれたカペラが振り向けば、父ヨアキム(kz0011)の側近であるキュジィ・アビトゥーア(kz0078)が爽やかに駆けて来た。
「キュジィ、どうしたの?」
「大丈夫かと気になって」
流石は敏腕執事、キュジィ。主の娘までにも見事な気遣いを見せてくれるとカペラは内心誉める。
彼はとても気遣いがよく、稀にドワーフ工房に現れては女性技師達の心を鷲掴みにしてアイドル状態だ。
「素晴らしいわ、給仕……」
「僕はキュジィで……」
キュジィのいつもの返しが途中で止まる。
現時点、カペラはキュジィと向き合っており、毒パルム達に背を向けている状態。
キュジィの表情と背後の様子がおかしい事に気づいた。
「なに、あのこ」
「やだ、なんかぁ、かわいい」
「あたし、渋いのがいいな」
何かパルムたちがそう言っているかのような気がするし、ざわめいているというか、色めいているような気もする。
「どうしたのでしょうか……」
キュジィが呟けば、湯煙の向こうからパルムにしては大柄な毒パルムがにじり寄ってきた。
紫よりもなお黒い傘の下に隠れた瞳は切れ長のように細く悪い。
ゆったりとキュジィの方へ見やると、温泉から出ずに上体を艶かしく傾ける。
「一緒に……どぉ?」
何だかそんな風に誘っているかのようだ。
「えええええ! ちょ、キュジィ! 離れたほうがいい!」
「は、はいいいい!!!」
カペラはキュジィの襟首を掴み、逃走した。
男が好きな毒パルムもいるようだ。
リプレイ本文
※パルムが話すことはありません。
このリプレイではあくまでパルムによる身振り手振りによる表現で喋っているように見せております。
●
一見すれば、パルム達が仲良く風呂に入っているという構図に見えるのだが、そのパルムがどういう状態であるかという知識があると、異様な状態にしか見えない。
「それにしても、広そうなお風呂」
翡翠(ka2534)の興味は温泉へと向けている。その後ろで須藤 要(ka0167)が呆れるようなため息をついた。
「しかし、温泉は「怪我や病気が治る」ってのが定石だと思ってたが、何吸ったんだ?」
「旨みに変わったんだろうかね」
オイレ・ミッターナハト(ka1796)の返しに椎茸を思い出す葵(ka2143)。
「オネェなパルムなんてのもさぁ、珍しくて良いじゃあないのよ」
まさかの毒パルム肯定をしたのは喬栄(ka4565)。
「まって、あれは困るわ」
即、カペラが否定すれば喬栄は「そうかなぁ」と手にしていた錫杖を腕の中に立てて腕を組み、首を傾げる。
「身体に変調が起きたって話でもないだろうし、更に話を聞けば、恋愛相談にも乗ってくるわけだし。いいんじゃないの? 共存したって」
語りかけるように喬栄が組んでいた腕を開くと、錫杖がしゃらりと音が鳴る。
「リアルブルーにもそういうお店、あるよ? 風呂屋では見ないけどさ、業種形態は様々でしょ?」
更に畳み掛けるリアルブルーの文化にカペラの心は何故か揺らいでしまう。
「カペラさんへのストレステストはそこまでです」
喬栄とカペラの間を手刀で両断したのは紫条京真(ka0777)。
「あら、おじさん、いい事言ったから、お仕事終わりと思ったのに」
残念そうにうそぶいてしまう喬栄であったが、仕事はやってくれるようであった。
「しかし、何だかなぁ……」
途方にくれるように肩を落とすのはラティナ・スランザール(ka3839)。
「毒パルムは中々興味深いのですが、設営に関わった者としては排除するべきですね」
「最善を尽くそう」
凛と毒パルムが居座る湯船を見つめる京真に複雑な胸中を表情に浮かばせつつ、ラティナが応えた。
「なんだなんだー? せーっかく温泉に来たんだから、入ろうぜ」
きょとんとして役犬原 昶(ka0268)はハンター達に声をかける。
「ここ、男子脱衣所だぜ? 入るのか?」
そうカペラに声をかけた昶は早速服を脱いだ。
「後は俺達に任せて」
ラティナがカペラを入り口へ回れ右をさせて外へ出した。
●
それぞれタイプが違うイケたメンズの姿に色めきだつオネェパルムたち。
「あら、誰か入ってきたわよ?」
「きゃっ、逞しい……っ」
当然のことながら、昶は全裸。その場にいるオネェパルムの視線をしっかり全身に浴びて洗い場で身体を流す。
オネェと化したパルムは次々と浴場に入るイケメン達の姿を確認する。
「かわいいっ」
「渋いわ……」
「こっちこないかしらぁ」
きゃっきゃふふふと毒パルム達がハンター達に熱い視線を送る。
それに気づいてか気づかぬか、ハンター達は黙々と身体を流して、先に中に入ったのは昶だ。
少し熱めの湯はやはり気持ちよく、ゆっくりと息をつく。
視界に入るのはすっごい色をした傘のパルム達。ちらちらこっち見てるが昶は気にはしてない。
一体のパルムがすいーっと、泳ぐように昶の方へと向かって、隣につく。
「おとなり、いいかしら……?」
どこか遠慮した風にオネェパルムが昶に首を傾げた。
「遠慮すんな。いい湯だぜ、あんた達も気に入っているのか?」
パルムは嬉しそうに頷く。
「まー、確かに気持分るぜぇ。傘の水玉、一個ハートになってんな。可愛いな」
ちらりと、視線をパルムに向けた昶が見たのはオネェパルムの傘の白抜き斑点の一つが歪んでおり、なんだかハート型に見える。
水面を叩くパルムはとても喜んでおり、チャームポイントの模様。
「もっと可愛いところあんのか? じゃぁさ、俺と一緒に見せ合いっこしねぇ?」
「うん、一緒に……いこ……」
昶との会話の流れでパルム一体は見事に打ち上げられ、昶の見事な筋肉を見られて狂喜のまま干された。
その姿を見たオイレはパルムは温泉から出る事に対して嫌がっていない事に気づく。
お一人様で戻ってきた昶にオネェパルム達は何事かと思ったが、湯に当たったと答えると、同胞を介護してくれた事に礼を言い出した。
現時点では疑う事を知らないのか、これがだまし討ちと知れれば、どうなる事か……とオイレは思案する。
視界の中にパルムが一体、彼を見上げていた。
「ご一緒にいかが?」
オイレの言葉にパルムは嬉しそうに頷くと、パルムはオイレの傍らに浮かぶ桶に興味がわいていた。
「これはベルガモットだよ。風呂の中で飲む酒は格別と聞いてね……」
一杯進めるオイレの誘いにパルムは「いただくわ」と言わんばかりに頷き、オイレに注いでもらったグラスを受け取り、二人で乾杯をする。
パルムは両手でグラスを支えるように持ち、少し首をかしげて酒をちびりと飲む。しぐさが妙に女性的であるのはオネェならではの動きである。
「いい香りね」と、パルムは気に入っているようであった。
「気に入ってくれてよかった。まだあるよ」
酒を飲んで気をよくしたパルムは「酔っちゃった……」とオイレに凭れかかる。
「ふふ、少し休憩しようか、ふたりきりで」
オイレの腕に抱かれてしまったオネェパルムはうっとりと夢心地のまま、湯から揚げられて干されてしまった。
毒パルムと仲良くしているのは翡翠。
女の子なのかと最初はすげなくされていた。
「僕は男の子ですよっ」
少し拗ねた様子にパルムは「怒んないで」「かわいー」等と翡翠をなだめていた。
「わ、凄くすべすべです」
会話をしてる内に仲良くなったパルムと翡翠はボディタッチしあったりと楽しそうである。
「ねぇ、好きな子とかいるの?」
パルムの一体が翡翠に尋ねる。
「今はいません」
「そぉなの? あたし、恋人に立候補したぁい」
「やだぁ、ずるーい」
翡翠の腕にすりすりするパルムに翡翠は「くすぐったいです」と笑ってしまう。
「はー。随分、入っててのぼせてしまいそうです」
ため息をつく翡翠に「大丈夫」とパルム達が心配そうに顔を覗き込む。
「あの、一緒についてきてもらえませんか……」
湯の中ではしゃいだので、翡翠の白い肌が真っ赤になっている。
パルム達は大慌てで翡翠に付き添って湯船を出て、干し場へ付き添った。
干し場でカペラが待ち構えており、網で動けなくして一体ずつ干していく。
「戻らないの?」
カペラの問いに翡翠は話し相手になると言った。その優しさにオネェパルムは「やさしさが身に染みるわ……」と涙ぐんでいた。
湯船の縁に腕を乗せたオネェパルムは要へ湯船の湯をかけて呼びかけた。
「何?」
要の問いかけに「いいにおいね」と言わんばかりに興味を示したのは要が持ってきた石鹸。
「使ってみる?」
そう誘うと、パルムは勝手に要の所に来た。
「膝、乗る? 流すよ」
パルムにとって、大胆な誘いだったのだろうか、パルムは「え、照れちゃうーっ」と、挙動不審にしながらも、しっかり要の膝に乗った。
スポンジでしっかり泡立った石鹸はかなりモコモコモチモチ。
泡をパルムの身体に当てるとかなり気持ちよいそうで、うっとりとしていた。
しかし、ぬめりがないなと要は思うが、ぬめりがあったら確実にあの湯船はなめこ汁的な何かである。
「パルムでも肌は大事なのか?」
要の問いかけにパルムは頷く。
「これ、美肌になる石鹸なんだって、ちゃんと濯いで日光浴したら綺麗になるらしいよ」
「ホント!」
かなり興奮したようなパルムの様子に要は頷く。
「あっちで日光浴できるよ」
オネェパルムは素直に要の言ったとおりに他のパルムが干されている方へと駆け出した。
暫くすると、壁からカペラの手だけがにゅっと出てきて親指が立っていた。
捕獲成功したのだろう。嘘は言ってないと確信して要は次のパルムを誘う。
おろおろしていた葵の姿が面白くて複数のパルム達が葵をからかいに行く。
「可愛い」
しな垂れるようにパルムが葵の肩に乗っかる。
「お風呂、オネェさんとはい……ろ♪」
指先なのか、手先なのかゆっくりと葵の背中を撫でつつ、腕を引くように移動して湯船へ誘う。
「いやいや、俺はまだ遠慮しておくよ……」
長期戦を考慮した葵は湯船に入らない戦法を取り、一生懸命首を横に振るが、更に甘えるように葵の膝に首を乗せるパルムがいて、葵の首筋を撫でる。
「いいでしょう?」
これがパルムじゃなかったらいいのにとか思う葵だが、ほぼパニック状態。
「困ってるだろ」
そう言ったのは昶だった。
当然のことながら、全裸の昶はパルム前にしても恥ずかしがることなく、パルムに声をかける。
パルム自体は「遊んでるだけなの」と返している。むしろ、昶の逞しい身体を見てパルムが照れているようだ。
「俺が誘う……じゃ、だめか?」
少しトーンを落とした昶が言えば、パルムは少し恥らうようにたじろいでしまうと、こくりと頷いた。
「あっちで、話そうぜ」
もう一匹の積極的なパルムが「あん♪ あたしもー」と言わんばかりに昶の肩に飛びついた。
「しょーがねぇなぁ」
はっはっはっと、笑って昶は颯爽とパルムを二体連れて行く。
なんというか……。
「すげぇ」
ぽつりと葵は呟く。
葵もまた、仮想の好きな子の妄想を大爆発させて恋愛相談をしており、皆の視線が居たたまれなくなった。
「……えと、これ以上のことは別のところでこっそり聞きたいんだ……」
そう言った葵は本心からこの場から逃げたかった。
「行くわー」と、葵をからかえると思った複数のパルムに抱きつかれたり、抱き上げたりと干し場へと連れて行った。
「……俺、この仕事終わったら、ゆっくり温泉に入るんだ……」
干し場で落ち込む葵を翡翠とカペラと干されているオネェ達に慰められる。
「一番連れて来たのは葵さんですよっ」
寧ろトドメのようであった。
ゆったりとパルム達とお話をしていたのは喬栄。
喬栄と話していたのはこじんまりしていたが、なんだか他のパルムとは違った様子の可愛らしいパルム。
とはいえ、傘の色味が毒々しいのだが。
身振り手振りでも話は通じているようで楽しんでいた。
「え? 好きな人はいるかって?」
喬栄の言葉にパルムは頷きつつ、エールをグラスに注ぐ。
流し目のように喬栄がパルムを見やると、オネェパルムは喬栄の色香を感じ取り、恥ずかしそうに俯いた。
「おじさんの恋はちょっと刺激が強いよ……?」
低く甘い声の後、喬栄は指先でパルムの顎に触れて顔を上げる。
「それは内緒だけど……聞きたい?」
頬を朱に染めるパルムは恐る恐る頷く。
「仕方ねぇなぁ……ちょっと、だけよ?」
そう言ってこの場でナンバー2だろうオネェパルムが喬栄の手に落ちた。
しかし、不思議だと思うのはラティナ。
パルムに性別は存在しないと言われているのに、ここのパルム達に本能的危機感を煽られて仕方ない。
もぞりと、臀部にむにっと揉まれてラティナは背を反らすと、傍らにはオネェパルムがいた。
「考え事?」と、悪戯っぽく首をかしげている。
「ちょっとな……」
目線を反らしつつ、ラティナが言えば、「アタシが聞く?」と誘ってくる。
尻を揉まれるまでは覚悟しているが、太腿のをまさぐるのは勘弁していただきたい。
「じゃぁ、二人きりで……」
吸盤かという程にパルムの力は何故かあって苦戦してしまう。
何とか前は死守してラティナは積極的なパルムを干し場へ連れて行った。
「大丈夫ですかー?」
翡翠が声をかけれども、ラティナはぐったりしている。
周囲を確認していた京真は着々と減るパルムに安堵しつつも、ボスのオネェパルムを捕捉していた。
オイレがここのボスだろうオネェパルムと話しており、酒を酌み交わしており、その様は何というか……ホステスのママとその客に錯覚してしまう。
長時間の湯船に浸かって摂取する酒は危険なので、援護で京真も話に加わる。
「楽しそうですね」
京真の声に振り向いたオネェパルムは目を丸くして京真の身体に「ほっそ!」と言わんばかりだった。
「そうですねぇ。肉付きはもう少しほしいとは思いますが」
「ちゃんと食べなよぉ?」とオネェは心配そうに京真を見上げる。
「お気遣い、ありがとうございます」
「あらやだっ。なんか笑顔がいい感じね」
微笑む京真にオネェはお気に召したようだった。
「そちらの彼が気に入りましたか?」
どこか寂しげに微笑むオイレにオネェは「ヤキモチ?」と楽しそうである。
「俺もいいか?」
パルムを干してきただろう昶が声をかけた。
「すっごい筋肉……」
昶の筋肉に気がついたオネェが触ろうとすると、昶は筋肉に力を入れる。
ぺとりと、触るなり、オネェは手を引っ込めて「硬いわぁ」と喜ぶ。
「いいんだぜ、向こうでもっと触っても……?」
大胆なお誘いにオネェは迷っているようだ。
「まだ時間はありますよ、もう一杯どうですか?」
オイレはベルモットを注いだグラスをオネェに渡してもう少し酔わせようとしている。
酒は気に入っているようであり、オネェはちびちびと酒を舐めていたが、急に俯いた。
ハンター達が気にする中、オネェが身振りで胸の内を伝える。
「あたし……こんな大きい身体してるでしょ? コンプレックスだったの。こんなに構ってもらえて、うれしい」
「こんなに可愛らしいのに、勿体無いね」
ため息混じりに呟くオイレに「お世辞なんて……」と言わんばかりにオネェは首を振る。
「色気の中に可愛らしさもあって、人の悩みも聞いてくれる面倒見のいい貴女に興味が惹かれてますよ」
オイレはしっかりとオネェパルムの手を握り締めると、彼女ははっと彼を見つめる。
「お持ち帰りしても……いいかな」
彼の言葉にオネェパルムは頷いた。
オイレにお持ち帰りイコール、干されたオネェパルムの主は彼と一緒に仲良く天日干し。
ハンター達の説得のようなものもあり、彼女だけは温泉のマスコットのような存在として時折、オネェになる。
女子とも少しずつ仲良くなっていくかはこれからの機会だろう。
オネェ達を排除して、ハンター達はゆっくり湯に浸かる。
セクハラされた傷は温泉ではなく、時間が癒すだろう。
「いつか、妄想だけじゃなく、実際の女の子の相談するんだ……」
「師匠俺の帰りを寂しく待ってないっすね……」
葵と昶は傷心モードで浸かっている。
「温泉は静かに入るのが一番だよね」
「僕は楽しかったですけどね♪」
要がため息をつくと、翡翠はあっけらかんとしている。
「……他の所大丈夫か……」
ラティナが言えば、京真は祈るばかり。
「どうかした?」
風呂上りに喬栄がオイレに声をかけると彼は探し物をしていた。
その探し物がどうなったかはまた別の機会に――。
このリプレイではあくまでパルムによる身振り手振りによる表現で喋っているように見せております。
●
一見すれば、パルム達が仲良く風呂に入っているという構図に見えるのだが、そのパルムがどういう状態であるかという知識があると、異様な状態にしか見えない。
「それにしても、広そうなお風呂」
翡翠(ka2534)の興味は温泉へと向けている。その後ろで須藤 要(ka0167)が呆れるようなため息をついた。
「しかし、温泉は「怪我や病気が治る」ってのが定石だと思ってたが、何吸ったんだ?」
「旨みに変わったんだろうかね」
オイレ・ミッターナハト(ka1796)の返しに椎茸を思い出す葵(ka2143)。
「オネェなパルムなんてのもさぁ、珍しくて良いじゃあないのよ」
まさかの毒パルム肯定をしたのは喬栄(ka4565)。
「まって、あれは困るわ」
即、カペラが否定すれば喬栄は「そうかなぁ」と手にしていた錫杖を腕の中に立てて腕を組み、首を傾げる。
「身体に変調が起きたって話でもないだろうし、更に話を聞けば、恋愛相談にも乗ってくるわけだし。いいんじゃないの? 共存したって」
語りかけるように喬栄が組んでいた腕を開くと、錫杖がしゃらりと音が鳴る。
「リアルブルーにもそういうお店、あるよ? 風呂屋では見ないけどさ、業種形態は様々でしょ?」
更に畳み掛けるリアルブルーの文化にカペラの心は何故か揺らいでしまう。
「カペラさんへのストレステストはそこまでです」
喬栄とカペラの間を手刀で両断したのは紫条京真(ka0777)。
「あら、おじさん、いい事言ったから、お仕事終わりと思ったのに」
残念そうにうそぶいてしまう喬栄であったが、仕事はやってくれるようであった。
「しかし、何だかなぁ……」
途方にくれるように肩を落とすのはラティナ・スランザール(ka3839)。
「毒パルムは中々興味深いのですが、設営に関わった者としては排除するべきですね」
「最善を尽くそう」
凛と毒パルムが居座る湯船を見つめる京真に複雑な胸中を表情に浮かばせつつ、ラティナが応えた。
「なんだなんだー? せーっかく温泉に来たんだから、入ろうぜ」
きょとんとして役犬原 昶(ka0268)はハンター達に声をかける。
「ここ、男子脱衣所だぜ? 入るのか?」
そうカペラに声をかけた昶は早速服を脱いだ。
「後は俺達に任せて」
ラティナがカペラを入り口へ回れ右をさせて外へ出した。
●
それぞれタイプが違うイケたメンズの姿に色めきだつオネェパルムたち。
「あら、誰か入ってきたわよ?」
「きゃっ、逞しい……っ」
当然のことながら、昶は全裸。その場にいるオネェパルムの視線をしっかり全身に浴びて洗い場で身体を流す。
オネェと化したパルムは次々と浴場に入るイケメン達の姿を確認する。
「かわいいっ」
「渋いわ……」
「こっちこないかしらぁ」
きゃっきゃふふふと毒パルム達がハンター達に熱い視線を送る。
それに気づいてか気づかぬか、ハンター達は黙々と身体を流して、先に中に入ったのは昶だ。
少し熱めの湯はやはり気持ちよく、ゆっくりと息をつく。
視界に入るのはすっごい色をした傘のパルム達。ちらちらこっち見てるが昶は気にはしてない。
一体のパルムがすいーっと、泳ぐように昶の方へと向かって、隣につく。
「おとなり、いいかしら……?」
どこか遠慮した風にオネェパルムが昶に首を傾げた。
「遠慮すんな。いい湯だぜ、あんた達も気に入っているのか?」
パルムは嬉しそうに頷く。
「まー、確かに気持分るぜぇ。傘の水玉、一個ハートになってんな。可愛いな」
ちらりと、視線をパルムに向けた昶が見たのはオネェパルムの傘の白抜き斑点の一つが歪んでおり、なんだかハート型に見える。
水面を叩くパルムはとても喜んでおり、チャームポイントの模様。
「もっと可愛いところあんのか? じゃぁさ、俺と一緒に見せ合いっこしねぇ?」
「うん、一緒に……いこ……」
昶との会話の流れでパルム一体は見事に打ち上げられ、昶の見事な筋肉を見られて狂喜のまま干された。
その姿を見たオイレはパルムは温泉から出る事に対して嫌がっていない事に気づく。
お一人様で戻ってきた昶にオネェパルム達は何事かと思ったが、湯に当たったと答えると、同胞を介護してくれた事に礼を言い出した。
現時点では疑う事を知らないのか、これがだまし討ちと知れれば、どうなる事か……とオイレは思案する。
視界の中にパルムが一体、彼を見上げていた。
「ご一緒にいかが?」
オイレの言葉にパルムは嬉しそうに頷くと、パルムはオイレの傍らに浮かぶ桶に興味がわいていた。
「これはベルガモットだよ。風呂の中で飲む酒は格別と聞いてね……」
一杯進めるオイレの誘いにパルムは「いただくわ」と言わんばかりに頷き、オイレに注いでもらったグラスを受け取り、二人で乾杯をする。
パルムは両手でグラスを支えるように持ち、少し首をかしげて酒をちびりと飲む。しぐさが妙に女性的であるのはオネェならではの動きである。
「いい香りね」と、パルムは気に入っているようであった。
「気に入ってくれてよかった。まだあるよ」
酒を飲んで気をよくしたパルムは「酔っちゃった……」とオイレに凭れかかる。
「ふふ、少し休憩しようか、ふたりきりで」
オイレの腕に抱かれてしまったオネェパルムはうっとりと夢心地のまま、湯から揚げられて干されてしまった。
毒パルムと仲良くしているのは翡翠。
女の子なのかと最初はすげなくされていた。
「僕は男の子ですよっ」
少し拗ねた様子にパルムは「怒んないで」「かわいー」等と翡翠をなだめていた。
「わ、凄くすべすべです」
会話をしてる内に仲良くなったパルムと翡翠はボディタッチしあったりと楽しそうである。
「ねぇ、好きな子とかいるの?」
パルムの一体が翡翠に尋ねる。
「今はいません」
「そぉなの? あたし、恋人に立候補したぁい」
「やだぁ、ずるーい」
翡翠の腕にすりすりするパルムに翡翠は「くすぐったいです」と笑ってしまう。
「はー。随分、入っててのぼせてしまいそうです」
ため息をつく翡翠に「大丈夫」とパルム達が心配そうに顔を覗き込む。
「あの、一緒についてきてもらえませんか……」
湯の中ではしゃいだので、翡翠の白い肌が真っ赤になっている。
パルム達は大慌てで翡翠に付き添って湯船を出て、干し場へ付き添った。
干し場でカペラが待ち構えており、網で動けなくして一体ずつ干していく。
「戻らないの?」
カペラの問いに翡翠は話し相手になると言った。その優しさにオネェパルムは「やさしさが身に染みるわ……」と涙ぐんでいた。
湯船の縁に腕を乗せたオネェパルムは要へ湯船の湯をかけて呼びかけた。
「何?」
要の問いかけに「いいにおいね」と言わんばかりに興味を示したのは要が持ってきた石鹸。
「使ってみる?」
そう誘うと、パルムは勝手に要の所に来た。
「膝、乗る? 流すよ」
パルムにとって、大胆な誘いだったのだろうか、パルムは「え、照れちゃうーっ」と、挙動不審にしながらも、しっかり要の膝に乗った。
スポンジでしっかり泡立った石鹸はかなりモコモコモチモチ。
泡をパルムの身体に当てるとかなり気持ちよいそうで、うっとりとしていた。
しかし、ぬめりがないなと要は思うが、ぬめりがあったら確実にあの湯船はなめこ汁的な何かである。
「パルムでも肌は大事なのか?」
要の問いかけにパルムは頷く。
「これ、美肌になる石鹸なんだって、ちゃんと濯いで日光浴したら綺麗になるらしいよ」
「ホント!」
かなり興奮したようなパルムの様子に要は頷く。
「あっちで日光浴できるよ」
オネェパルムは素直に要の言ったとおりに他のパルムが干されている方へと駆け出した。
暫くすると、壁からカペラの手だけがにゅっと出てきて親指が立っていた。
捕獲成功したのだろう。嘘は言ってないと確信して要は次のパルムを誘う。
おろおろしていた葵の姿が面白くて複数のパルム達が葵をからかいに行く。
「可愛い」
しな垂れるようにパルムが葵の肩に乗っかる。
「お風呂、オネェさんとはい……ろ♪」
指先なのか、手先なのかゆっくりと葵の背中を撫でつつ、腕を引くように移動して湯船へ誘う。
「いやいや、俺はまだ遠慮しておくよ……」
長期戦を考慮した葵は湯船に入らない戦法を取り、一生懸命首を横に振るが、更に甘えるように葵の膝に首を乗せるパルムがいて、葵の首筋を撫でる。
「いいでしょう?」
これがパルムじゃなかったらいいのにとか思う葵だが、ほぼパニック状態。
「困ってるだろ」
そう言ったのは昶だった。
当然のことながら、全裸の昶はパルム前にしても恥ずかしがることなく、パルムに声をかける。
パルム自体は「遊んでるだけなの」と返している。むしろ、昶の逞しい身体を見てパルムが照れているようだ。
「俺が誘う……じゃ、だめか?」
少しトーンを落とした昶が言えば、パルムは少し恥らうようにたじろいでしまうと、こくりと頷いた。
「あっちで、話そうぜ」
もう一匹の積極的なパルムが「あん♪ あたしもー」と言わんばかりに昶の肩に飛びついた。
「しょーがねぇなぁ」
はっはっはっと、笑って昶は颯爽とパルムを二体連れて行く。
なんというか……。
「すげぇ」
ぽつりと葵は呟く。
葵もまた、仮想の好きな子の妄想を大爆発させて恋愛相談をしており、皆の視線が居たたまれなくなった。
「……えと、これ以上のことは別のところでこっそり聞きたいんだ……」
そう言った葵は本心からこの場から逃げたかった。
「行くわー」と、葵をからかえると思った複数のパルムに抱きつかれたり、抱き上げたりと干し場へと連れて行った。
「……俺、この仕事終わったら、ゆっくり温泉に入るんだ……」
干し場で落ち込む葵を翡翠とカペラと干されているオネェ達に慰められる。
「一番連れて来たのは葵さんですよっ」
寧ろトドメのようであった。
ゆったりとパルム達とお話をしていたのは喬栄。
喬栄と話していたのはこじんまりしていたが、なんだか他のパルムとは違った様子の可愛らしいパルム。
とはいえ、傘の色味が毒々しいのだが。
身振り手振りでも話は通じているようで楽しんでいた。
「え? 好きな人はいるかって?」
喬栄の言葉にパルムは頷きつつ、エールをグラスに注ぐ。
流し目のように喬栄がパルムを見やると、オネェパルムは喬栄の色香を感じ取り、恥ずかしそうに俯いた。
「おじさんの恋はちょっと刺激が強いよ……?」
低く甘い声の後、喬栄は指先でパルムの顎に触れて顔を上げる。
「それは内緒だけど……聞きたい?」
頬を朱に染めるパルムは恐る恐る頷く。
「仕方ねぇなぁ……ちょっと、だけよ?」
そう言ってこの場でナンバー2だろうオネェパルムが喬栄の手に落ちた。
しかし、不思議だと思うのはラティナ。
パルムに性別は存在しないと言われているのに、ここのパルム達に本能的危機感を煽られて仕方ない。
もぞりと、臀部にむにっと揉まれてラティナは背を反らすと、傍らにはオネェパルムがいた。
「考え事?」と、悪戯っぽく首をかしげている。
「ちょっとな……」
目線を反らしつつ、ラティナが言えば、「アタシが聞く?」と誘ってくる。
尻を揉まれるまでは覚悟しているが、太腿のをまさぐるのは勘弁していただきたい。
「じゃぁ、二人きりで……」
吸盤かという程にパルムの力は何故かあって苦戦してしまう。
何とか前は死守してラティナは積極的なパルムを干し場へ連れて行った。
「大丈夫ですかー?」
翡翠が声をかけれども、ラティナはぐったりしている。
周囲を確認していた京真は着々と減るパルムに安堵しつつも、ボスのオネェパルムを捕捉していた。
オイレがここのボスだろうオネェパルムと話しており、酒を酌み交わしており、その様は何というか……ホステスのママとその客に錯覚してしまう。
長時間の湯船に浸かって摂取する酒は危険なので、援護で京真も話に加わる。
「楽しそうですね」
京真の声に振り向いたオネェパルムは目を丸くして京真の身体に「ほっそ!」と言わんばかりだった。
「そうですねぇ。肉付きはもう少しほしいとは思いますが」
「ちゃんと食べなよぉ?」とオネェは心配そうに京真を見上げる。
「お気遣い、ありがとうございます」
「あらやだっ。なんか笑顔がいい感じね」
微笑む京真にオネェはお気に召したようだった。
「そちらの彼が気に入りましたか?」
どこか寂しげに微笑むオイレにオネェは「ヤキモチ?」と楽しそうである。
「俺もいいか?」
パルムを干してきただろう昶が声をかけた。
「すっごい筋肉……」
昶の筋肉に気がついたオネェが触ろうとすると、昶は筋肉に力を入れる。
ぺとりと、触るなり、オネェは手を引っ込めて「硬いわぁ」と喜ぶ。
「いいんだぜ、向こうでもっと触っても……?」
大胆なお誘いにオネェは迷っているようだ。
「まだ時間はありますよ、もう一杯どうですか?」
オイレはベルモットを注いだグラスをオネェに渡してもう少し酔わせようとしている。
酒は気に入っているようであり、オネェはちびちびと酒を舐めていたが、急に俯いた。
ハンター達が気にする中、オネェが身振りで胸の内を伝える。
「あたし……こんな大きい身体してるでしょ? コンプレックスだったの。こんなに構ってもらえて、うれしい」
「こんなに可愛らしいのに、勿体無いね」
ため息混じりに呟くオイレに「お世辞なんて……」と言わんばかりにオネェは首を振る。
「色気の中に可愛らしさもあって、人の悩みも聞いてくれる面倒見のいい貴女に興味が惹かれてますよ」
オイレはしっかりとオネェパルムの手を握り締めると、彼女ははっと彼を見つめる。
「お持ち帰りしても……いいかな」
彼の言葉にオネェパルムは頷いた。
オイレにお持ち帰りイコール、干されたオネェパルムの主は彼と一緒に仲良く天日干し。
ハンター達の説得のようなものもあり、彼女だけは温泉のマスコットのような存在として時折、オネェになる。
女子とも少しずつ仲良くなっていくかはこれからの機会だろう。
オネェ達を排除して、ハンター達はゆっくり湯に浸かる。
セクハラされた傷は温泉ではなく、時間が癒すだろう。
「いつか、妄想だけじゃなく、実際の女の子の相談するんだ……」
「師匠俺の帰りを寂しく待ってないっすね……」
葵と昶は傷心モードで浸かっている。
「温泉は静かに入るのが一番だよね」
「僕は楽しかったですけどね♪」
要がため息をつくと、翡翠はあっけらかんとしている。
「……他の所大丈夫か……」
ラティナが言えば、京真は祈るばかり。
「どうかした?」
風呂上りに喬栄がオイレに声をかけると彼は探し物をしていた。
その探し物がどうなったかはまた別の機会に――。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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オネェ種毒パルム殲滅作戦相談卓 ラティナ・スランザール(ka3839) ドワーフ|19才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/06/08 22:09:49 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/07 01:09:39 |