プライベートビーチはキミ達のもの!(昼)

マスター:星群彩佳

シナリオ形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
8日
締切
2015/08/05 07:30
完成日
2015/08/18 05:26

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ざざぁ~ん……と絶えず波の音が聞こえてくる。
 ここは海、天気は晴れて、眩しい夏の陽射しが地上に降り注いでいる。
「海ね」
「海ですね」
 夏らしい白いワンピースに身を包んだルサリィ・ウィクトーリア(kz0133)と、夏用のメイド服を着ているフェイト・アルテミス(kz0134)は、とある海に来ていた。
 しかし海と言っても泳げる場はそう広くもなく、プライベートビーチと言える所だ。
「この近くに貸別荘を建てて、プライベートビーチを独占できる権利を得たのは良いけど……。ここら辺って安全なのかしら?」
「とりあえず下調べの段階では、大丈夫そうですよ」
 ルサリィは新たな事業の一つとして、プライベートビーチ付きの貸別荘をはじめた。
 別荘は海から近い所に建てられて、歩いて十分足らずでここに着ける。
 海は透明度が高く、青というより水色に近い。砂浜は白く、岩壁にぐるっと囲まれているので外から見られることもない。
「けれど今までここは、放置されていた場所なのよねぇ」
「放置と言うより、誰も泳ぎに来なかった場所ですね」
 人々が住む場所からは遠いので、わざわざここに来て泳ぐ者はいなかったのだ。
 だがここの近くに舗道ができたことにより交通量が増えて、そこにルサリィは眼をつけた。この土地に下見に来た時にプライベートビーチになる海を見つけて、ついでにここも買い取ったという話になる。
 今まで人の手が全く入らなかったおかげで、とても美しい場所だ。
 しかし問題は誰も来なかった為に、安全な海かどうか分からないというところだ。
「……よしっ。ならばハンター達に、実際にここを使ってもらいましょう」
「ハンターの方達に試させるおつもりですか」
「まあね。何かあってもハンターならば大丈夫でしょ? それに貸別荘の方も、実際に泊まってもらいましょう。まあでもハンターだけだといろいろと不便かもしれないから、ウチのメイドと執事達もつけましょうか。それなら良いんじゃない?」
「それでしたらルサリィお嬢様、海で遊ぶ物も準備をなさった方がよろしいのでは? 流石に身一つでは楽しめることは少ないですよ」
「ああ、そうね。要望があったら応えるわ。必要経費はもちろんこっち持ちで。それなら参加するハンターも集まるんじゃない?」
 確かに悪くはない内容だ。
 周辺の聞き込みから、この海で何かあったことは聞かなかったことから、安全であることは確かだろう。
 別荘に泊まることも、使用人達がいれば自分達で何かを用意することはないし、困ったことが起きて対処できる。
「それでは街に戻って、依頼をしてきましょうか」
「そうね。……流石に貴族が日焼けしちゃ格好がつかないし、とっとと屋敷に帰りましょう」

リプレイ本文

○ハンター達は海へ!

「プライベートビーチ、ですか。今まで人が来なかっただけはあって、水は綺麗ですし、波の音も静かでいいですね。せっかくのご招待なので、満喫させてもらいましょう」
 天央観智(ka0896)は上半身には紫外線対策用に長袖のラッシュガードを着ており、下半身は膝上までのサーフトランクスの水着を身に着けている。
 観智はビーチにテーブルとセットになっている大きなビーチパラソルと、デッキチェアをウィクトーリア家の使用人に準備させた。テーブルの上には用意してもらった何冊かの本と、赤シソジュースが入ったグラスが置いてある。
 観智はゆっくりとデッキチェアに横になると、赤シソジュースをストローで一口飲んでみた。
「……うん、赤シソの香りと甘くも酸っぱさが夏らしくて良いですね。暑くてバテていた体に染みわたります」
 グラスを手前に置くと、その奥に手を伸ばして本を一冊取り、ビーチパラソルの影の下で読み始める。
 すると観智の隣にあるもう一組のビーチパラソルとテーブルのセットの前に、着替え終えたJ(ka3142)が多くの本を抱えながらやって来た。
「おや、Jさん。水着姿が眩しいですね」
「ふふっ、若い子には負けるけど。流石にこの歳にもなって、露出が激しい水着は気が引けちゃうわ」
 Jは頭につば広麦わら帽子を、体にはオレンジ色のビキニの上に、タンキニとパレオをつけて体型を隠している。
「しかし随分と多くの本を持ってきたんですね」
「ああ、でも資料として用意してもらったものよ。実は最近、『まめし』という植物が食用として食べられることが分かってね。帝国の食糧事情改善に役立つと思って、今は『まめし』の研究をしている最中なの」
 説明をしながらJは帽子を取ってテーブルの上に置き、デッキチェアに横になった。
「近日中には報告書を制作して、提出するつもりよ。今日はせっかくのんびりできそうだし、ゆっくりと資料を読もうと思ってね」
 Jが一冊の本を手に取ると、メイドが近付いてきて炭酸水入りのグラスをテーブルに置いて行く。
「Jさんは研究熱心ですね」
「そうよ。だからもしナンパするようなヤツが現れたら、追い払ってね」
 Jに意味ありげなウィンクを見せられて、観智はヤレヤレと肩を竦めた。


 ビーチの側に造られた女性用更衣室から暗雲を背負った柏部狭綾(ka2697)と、ケロッとしているエルバッハ・リオン(ka2434)が出てくる。
「うふふっ……。十七歳にもなって、白いスクール水着なんてありえないわよね。……はっ!? 誰よっ今、『胸が小さいからよく似合っている』と言ったのは?」
「そんなこと、誰も仰っていませんよ」
「ううっ……! 何も好き好んでこんな水着を着ているワケじゃないのに……。ただ今年の新作水着として手に入ったのがこの『水着・新型スクール白 』というだけで、他に持っている水着は全部古いから、成長したこの体にはきっときつくなっているはずで……」
「うんうん。きっと身長が伸びた狭綾さんの体には、昨年までの水着は合いませんよ」
 自分より年下のエルバッハに慰められて、狭綾はそっ……と自分の胸元を見た。そしてすぐに、後ろにいるエルバッハに視線を向ける。
 エルバッハは露出の激しい青いハイレグビキニを着ており、豊満な胸元が目立つ。
「……エルさん、随分と布が少な目じゃないかしら?」
「そうですか? まあ事前に『ポロリはダメ』と言われましたが、逆にしなければどんな水着だって良いってことですよね? なら大丈夫ですよ。この水着、ちゃんと体のサイズを測った上で購入した物ですから」
 エルバッハは自慢げに胸を張るも、狭綾は涙目で顔を背ける。
「くっ……、自分よりも年下の女の子に大きさで負けるなんてっ……! 心が折れるから、あまり見ないようにしていたのに!」
「まあまあ。それよりせっかくプライベートビーチに来たんですから、一緒に泳ぎませんか? 依頼人からは『このプライベートビーチが安全かどうか確かめてほしい』と言われていますし」
 エルバッハは話題を変えようと、海へ向かって指をさす。
「……いえ、わたしはビーチの安全性を調べるわ。いくら説明書に『不思議と肌が透けない』と書いてあっても、信じられないし……」
「そこは信じた方が良いと思いますけど……、まあ無理強いするつもりはありません。それじゃあ私は海を泳いで、安全性を調べてきます」
「分かったわ。わたしはビーチを調べ終えたら、ビーチパラソルの下で砂で遊んでいるから。エルさんはちゃんと準備運動をしてから、泳ぐのよ」
「はーい」


 波打ち際では青い生地に白いプルメリア柄のビキニを着た遠藤・恵(ka3940)が、眼をキラキラさせている。
「海ですぅー! 遊びに来たのは久し振りですよ! 早速泳ぎ……イッイザヤさん、浮き輪……あっ、いえ! その水着、とっても可愛いですね!」
 金刀比良十六那(ka1841)は黄色の生地に橙色のガーベラ柄のビキニを着ているが、その腰には水着と同じ柄の浮き輪があった。
「ありがと。恵さんもその水着、良く似合っているわよ」
「どうもです♪ そういえば私、日焼け止めを持ってきたんですよ。せっかくですし、お互いに塗り合いましょう♪」
 突然の恵の申し出に、十六那は眼をパチパチさせる。
「日焼け止めを塗り合う……。ちょっと恥ずかしいけれど日焼けをするのはイヤだし、自分じゃあ背中全部は塗れないからしょうがないわね」
 二人は波打ち際から離れて、日焼け止めをそれぞれ手に取って塗り始めた。
「わあ! イザヤさんの背中、白くて綺麗な肌をしていますね!」
「あっありがとう。私の背中はそのぐらいでいいわ。後は自分で塗れるから」
「それじゃあその後は、私の背中をお願いしますね♪」
 こうして二人は日焼け止めをしっかり塗り終えた後、岸壁に上がる。
 浮き輪に身をくぐらせた十六那は真剣な表情で、眼下に広がる海を見つめた。
「私のアクティブスキルを使えば、海の上を飛べると思うのよね。万が一の時には浮き輪があるし、きっと大丈夫」
「私は見守っていますね!」
「ええ。ではっ!」
 十六那は躊躇いもなく岸壁から飛び降りる。ウィンドガストによって回避能力を上げて、ウォーターウォークで海の上を浮きつつ歩こうとした――が、突然大きな波が訪れて十六那は体勢を崩した。
「……やっぱりダメね」
 十六那はそのまま波に押されて、ビーチまで運ばれてしまう。
「いっイザヤさーん!」
 ビーチに到着した十六那の所へ、慌てた恵が走って来た。
「残念ながら実験は失敗よ。後は遊びましょう」
「そっそうですね。それじゃあ海に入りましょうか」
 その後、恵は楽しそうに泳ぎ、浮き輪付きの十六那は波に揺られながらふと思う。
「海は空と近い色をしているから、こうしていると空を飛んでいる気分に……はならないわね。流石に」
 軽くため息を吐いた十六那は、空を見上げて眩しそうに眼を細めた。


 先に黒いサーフパンツに着替え終えた久延毘大二郎(ka1771)は、男性更衣室から一人出てくる。
 その後すぐに、連れの八雲奏(ka4074)が女性更衣室から出てきた。
「お待たせしました、大二郎様」
「いや、早かった……んなっ!?」
 振り返った大二郎の眼に映ったのは、白い生地にピンクの桜模様の可愛らしい水着とパレオを身に着けた奏の姿だ。
「新しい水着なんですが、いかがですか?」
「あー……うん、きっ綺麗だよ、奏」
「うふふっ、ありがとうございます。さあ、ここで時間を取っていては勿体無いです。早速ビーチへ行きましょう」
 アタフタしている大二郎の腕を掴み、奏は笑顔で歩き出す。
 二人は腕を組んだまま、ビーチをゆっくりと歩く。途中で遊んでいる仲間達と眼が合うと、手を振ったりした。
「とりあえずビーチに危険はなさそうですね。後で海の方も泳いで調べてみましょう」
「あっああ……」
 大二郎はぎこちない笑みを浮かべながらも、奏を真っ直ぐに見る。
 そんな大二郎の姿を見て、奏は嬉しそうに眼を細めた。
「大二郎様は成長されましたね。前回の私の水着姿は直視できなかったですし」
「ろっ露出が激しい女性の衣装は、何であれ直視なんかできるものか。しかしまあ……アレだ。奏の水着姿は特別と言うか……、見慣れたいと思っている」
「まあ♪」
 そこでふと奏は立ち止まり、振り返る。
「アラ、あちらに私の知り合いがいます。ちょっと話をしてきてもいいですか?」
「ああ」
 奏が元来た道を軽く走り出したので、大二郎は邪魔にならないように前を向いて歩き出す。
「毘古ちゃん、毘古ちゃん! 振り向いてください!」
「えっ、何だ……って、おわあっ!?」
 後ろから走って来た奏に飛びつかれて、大二郎は大きく体勢を崩した。それでも大二郎は後ろに両腕を回して、奏の太ももを抱える。奏は意地悪く微笑みながら、大二郎の首に腕を回して密着した。
「かっ奏、あんまりその……くっつくな。あっ当たるだろう?」
「うふふ、わざと当ててます♪ ……来年も私と一緒に、海へ来てくれますか?」
 奏に耳元で熱っぽく囁かれて、大二郎は首まで赤くなる。
「……勿論だ。奏となら、どこへでも一緒に行く」


「んーっ! やっぱり夏は海が良いわね」
 紅いビキニを着た叢雲・咲姫(ka5090)は、海を見ながら背伸びをした。
 その隣ではサーフパンツを穿いた弟の叢雲・伊織(ka5091)が、何故か複雑そうな表情を浮かべている。
「はあ……。咲姫姉と一緒に海へ来られたのは良いけれど、咲姫姉の水着姿を他の男に見られるのはヤダな……。いやまあ海だから、水着になるのは仕方ないんだけどさ」
「大丈夫よ。少なくとも今プライベートビーチにいる男達は、私にあまり興味がないようだから」
 好き好きに過ごしている男性ハンター達を見て、伊織はほっと胸を撫で下ろす。
「さて、まずは肌を焼こうかしら。ビーチでお昼寝でもしましょうかね」
 咲姫は波が届かない場所まで来ると、ゴロンッと寝転がる。
 すると眼をキラーンッ☆と光らせた伊織が、咲姫へ向かって走り出す。
「わーいっ♪ 咲姫姉の膝枕ー!」
「むっ! コラッ!」
 膝へ飛びつこうとした伊織に向かい、咲姫はすんなりと伸びた足をムチのように振るった。
「うごふっ!?」
 足は見事に伊織の腹へ当たり、その場に崩れ落ちる。
「ったく……、油断も隙もない愚弟なんだから。私の膝に、伊織の頭型の日焼けしなていない模様ができたらどうするのよ?」
「ううっ……! だってぇ」
 腹を抱えながら涙目で見てくる弟に、姉は少しだけ罪悪感を覚えた。
「……はあ。それじゃあ肌を焼く前に、サンオイルを塗ってくれる? いくら私でも、背中に塗れない部分があるから」
「うんっ!」
 途端に復活した伊織を見て、咲姫は二度目の重いため息を吐いた。
 俯せになった咲姫の背中に、伊織は丁寧に優しくサンオイルを塗っていく。
「やっぱり咲姫姉の肌は綺麗だな。流石は僕のお姉ちゃんなの♪」
(……私が褒められているのかしら? それとも弟の自画自賛?)
 弟の愛情を少しだけ疑った咲姫だったが、背中を塗ってもらった後はお礼に伊織の背中にサンオイルを塗る。
 そうして二人ともサンオイルを体に塗った後は、共にビーチに並んで寝転がった。
「咲姫姉と日焼けして家に帰ったら、他の家族から『遊び過ぎ』って言われるかもね」
「夏は日焼けして当たり前の季節だから良いのよ。でも流石に耐えられないほど暑くなったら、海に入って体を冷やすわよ」
「うんっ! 一緒に泳ごうね♪」


 岸壁の上を歩き、そして海に近い平坦まで来た時に、カルロ・カルカ(ka1608)とガレアス・クーヴェイ(ka3848)は立ち止まる。
「おおっ、プライベートビーチの外側はこうなっているのか。誰も釣りをしなければ、あまもいないと聞く。これなら海の幸がとり放題だな!」
 二人の目の前に広がるのは青い海、船も人もいない。プライベートビーチを囲む岸壁の向こう側は岩しかなく、危険性が高い為に誰も近付かないらしい。
 そのことをウィクトーリア家の使用人から聞いた二人は、働いている海の家で使える食材がとれる可能性が高いと気付いた。
 青いサーフパンツを穿いたカルロは、濃紺色のハーフパンツを穿いているガレアスに声をかける。
「今日の俺達は海へ遊びに来たんじゃない。漁をしに来たんだ。早速素潜りをして、食材をたくさんとるぞ!」
「張り切っておるのぉ」
「そりゃあタダで食材を手に入れられるチャンスだからな! ちゃんと許可を取ったし、俺は貝や海藻、カニをとってくる」
「わしは魚をとればええんじゃな」
 カルロは食材を入れる為の大きな木の桶を抱えて、その中に海藻を切る道具の鎌を入れた。ガレアスは鉾を持ち直して、二人は同時に海の中へ入る。
 カルロは底まで潜って海の幸を収穫しては桶に入れて、陸地に置いていく。ガレアスはまるで鮫のように自由に海の中を泳ぎながら、大きな魚を鉾でとる。
 しばらくして、カルロは異変に気付く。置いてあった収穫物が、明らかに減っているのだ。そしてガレアスが岩場の影でコソコソしながら、収穫物を食べている姿を発見する。
「てんめぇ、このデブっ! せっかくとってきた海の幸を、早速食うなっ!」
「んぐうっ!? すっすまんのぉ、腹が減って……。しかしな、毒見の意味もあるのじゃ。今まで漁をしてこなかった海の物が、安全かどうか……」
「こんなに綺麗な海の食い物が危険になるかーっ! 漁をサボった上に、アホな言い訳しやがって!」
 カルロは空の桶をしっかりと片手で掴むと、ガレアスに向けて投げた。
「食った分をとってこーい!」
「がふぅっ!」
 ガッコーンと桶とガレアスの額がぶつかった良い音が鳴り、その巨体はザッパーンと激しい水飛沫を立てながら海へ落ちる。
「ったく……。せめて一番大きな魚を塩焼にして、食わせるか。他の収穫物にはぜってぇ手を出させないからな!」


 ビーチでは、三人のハンターが大はしゃぎをしていた。
「よっしゃー! 夏だ、海だ、水着のねーちゃん達だ! 二人とも、今日はめいっぱい遊ぶぞー!」
 と、大声で叫んでいるのは、黒いビキニを穿いている紫月・海斗(ka0788)だ。
「まずはビーチバレーをするっすよ。海の中でやるビーチバレーは夏らしいっす!」
 使用人に用意してもらったビーチボールを持っているのは、グレイのハーフパンツを穿いている神楽(ka2032)。
「うんうん♪ 照りつけてくる太陽の下、透明度の高い海の中で行うビーチバレーは夏ならではだね! 日が暮れるまで、たっくさん遊ぶぞー!」
 ピンク色のフリルのビキニを身に着けて、足首には黄色のミサンガ、足にはビーチサンダルを履いているエリス・ブーリャ(ka3419)もまた、ウキウキしている。
 三人は膝が浸かるぐらいまで海の中に入ると、ビーチバレーをはじめた。
「エリちゃんは森暮らしのエルフだけど、海の中でも自由に動けるのだ!」
 エリスは元気に、ビーチボールを打つ。
 自分へ向かってきたビーチボールを落とすと減点になるルールでしばらく遊んでいると、神楽はエリスを見て、ふとあることに気付く。
「……おおぅ、結構弾むっすね。水着が濡れて肌に密着して……これはまたエロイっす。うわっ!」
 ブツブツ言っている間に、エリスが打ってきたビーチボールを顔面で受けてしまう。
「神楽、顔で受けても落としたら減点だぞ?」
 近くにいた海斗がニヤニヤ笑いながら、海面に落ちたビーチボールを手に取る。
「わっ分かっているっす! 今から本気を出すっす!」
 そして神楽は海斗から受け取ったビーチボールを、思いっきり力を込めてエリスに向けて打った……が。
「わぁんっ! 神楽ちゃんのノーコン!」
 ビーチボールはエリスの頭上を飛び越えて、遠くへ行ってしまう。
 エリスが慌ててビーチボールを取りに行っている間、神楽はこっそり海斗に声をかける。
「エリスさん、動くたびに胸が激しく揺れるっす。腰の動きもしなやかっすよ」
「うむ。瑞々しい桃と思っていたが、アレは小玉スイカぐらいは……」
 ――その時、エリスが遠くから打った剛速球が、神楽の顔、続いて海斗の顔に見事にヒットした。
 仰向けで海にぷかぁ~と浮かんだ二人を遠くから見ているエリスは、表情は笑顔でも眼は笑っていない。
「何故かは分からないけれど、突然二人を攻撃したくなっちゃった★」
 普段は素直で明るいエリスだが、戦闘狂の一面をここで見せた。
 一通り遊んだ後は、目隠しをしてグルグル回ってからスイカを割る遊びをはじめる。しかし一番目のエリスに嘘ばかり教えていた神楽は、二番目の順番がきた時にエリスに思いっきり体を回された。
「眼がぁ~世界がぁ~回るっすぅ~」
 フラフラしながら神楽は海へとダイブをしたが、すぐに海斗に助けられる。
「神楽さんよぉ。あんま調子に乗ってっと、そのうち命の危機が訪れるからな」
 結局スイカは三番目の海斗が、見事に真っ二つに叩き割った。
 そして昼食の時間になると、エリス特製のカラフル焼きそばと野菜中心のバーベキューを食べる。割ったスイカを食べた後は、三人並んでビーチパラソルの下で仲良く昼寝をした。


 更衣室の前ではシャロン・S・グリーヴ(ka1260)がジャック・J・グリーヴ(ka1305)から贈られた水着を、アルバート・P・グリーヴ(ka1310)とロイ・I・グリーヴ(ka1819)に笑顔で見せている。
「ジャックにーさまからこのみずぎをもらいました♪ ハンターたるもの、みずぎでもたたかわなければいけませんからね! このみずぎをきて、にーさまたちととっくんいたしましょう!」
「シャロンの年頃だと、このスクール水着が一番人気らしいぞ。可愛いよな」
 ジャックは自信満々に言うが、紺色のハーフパンツを穿いているアルバートは浮かべた笑みを崩さないまま、斜め後ろにいるロイにこっそり声をかけた。
「ロイ、あの二次元脳に現実の流行がどういうものか教えておやり。あるいは海へ投げ込んで、頭を冷やさせなさい」
「了解です。アル兄さん」
 そしてロイはジャックの肩をがっしりと掴み、岸壁の方へ歩いて行く。
「何だよ、ロイ。俺様はこれから夏のイケメンぶりを、女達に見せるので忙しいんだぜ。今までは夏の海は女の素肌を嫌でも見てしまうから、恥ずかしくてできるだけ来ないようにしていたが、今年の俺様は違う! 二次元を参考にして鍛えた俺様を披露するのだ!」
 熱く盛り上がっているジャックは、金色のビキニを穿いている。
 冷静なロイは青いハーフパンツを穿いており、眉間にはシワが寄りつつあった。
 ロイはジャックを崖の先まで連れて来た後、重いため息を吐く。
「どうやら夏の暑さで頭がやられたようだな。今の貴様とシャロンを、一緒に遊ばせるわけにはいかない。とりあえず全身冷やしてこい」
 冷たく言い放ち、容赦なくロイはジャックの背中を蹴って海へと落とした。
 一方で、アルバートはシャロンに紙袋を差し出す。
「我が白薔薇姫・シャロン。こちらの水着はどうかしら?」
 紙袋を受け取って中を覗き込んだシャロンは、パアッと表情を輝かせる。
「こちらにきがえてもよろしいのですか?」
「ええ、もちろん。コレは預かっておくわ」
 シャロンの手から素早くスクール水着を取ったアルバートは、そのまま彼女の背中を押して更衣室に入らせた。
 そしてしばらく経つと、水着に着替えたシャロンが女性更衣室から出てくる。
「アルにーさまっ! このワンピースみずぎ、かわいいですの! むなもとにセーラーふくのえりがあって、かたのところはまるくてふっくらしていて、すかーとみたいなレースがありますの!」
「良く似合っているわ。後は日焼け予防の、このレースのガウンカーディガンを羽織りなさい」
「はーい♪ ところでアルにーさま、わたくし、ビーチバレーをしてみたいんですの。二たい二で、たいけついたしましょう!」
「あら、良いわね。それじゃあ私とシャロン、ジャックとロイで対決ね!」
 勝手に決められたことに戻って来たばかりの弟二人はギョッとするも、嬉しそうで楽しそうな兄と妹には何も言えず。
 四人兄妹はビーチへ移動した。
「まっ、海といえばやっぱりビーチバレーだな! ロイ、俺様の足を引っ張んじゃねーぞ!」
「それはこっちのセリフだ、ジャック兄さん。せいぜい俺の邪魔はしないでくれ」
「まったく……。あの二人はいつまで経ってもお子様のままね」
「あわわっ! こちらまでなみがくるのですね。あしがとられてしまいますが、それでもがんばりましょう!」
「それに比べて、シャロンは健気で素晴らしい!」
 思わずアルバートは、シャロンをギュッと抱きしめてしまう。
 そしてはじまったビーチバレーだが、アルバートは目線で弟達に指示を出す。
(弟達よ、作戦は『程よく手加減B』よ)
 ロイは心得たように頷いて見せるも、ジャックは視線をビーチボールを持つシャロンへ向けていた。
「いきますわよ!」
 シャロンが打ったビーチボールはジャックが受けて上げると、ロイが間を置かずに飛び上がってシャロンとアルバートの間に叩きこむ。
「おっと、いけない。ついうっかり本気で打ってしまった」
「さすがですわ、ロイおにーさま! でもわたくしだってハンターとして、つよくなりましたのよ! アルにーさまからおしえられたこのいちげきを、くらいませ!」
 シャロンはビーチボールを天高く上げると一気に陣地の境目まで走り、飛び上がって打った。
「たあっ!」
「ぶほっ!?」
 近くにいたジャックの顔面に、見事にビーチボールが当たる。
「やりましたわ、アルにーさま! まぢかでボールをうてば、あいてにダメージをあたえられるのですね!」
「ええ、そうよ。見事だったわ」
 喜ぶ兄と妹だが、ロイは流石に気の毒に思い、ジャックへ視線を向ける。
「……大丈夫か?」
「しゃっシャロンが喜んでくれるなら、俺様は……がくっ★」
 ――とジャックがダメージを負ったので、次はスイカ割りをすることにした。
 シャロンが目隠しをして、三回その場で回り、木の棒を両手で握って、フラフラしながらスイカへ向かう。
「もう少し右、……そうっ、そのまま真っ直ぐよー」
 アルバートはシャロンに指示を出しながら、目線と手でジャックにも指示を出す。
 ジャックは理解してこっそりスイカを持って、シャロンの近くに置いて素早く離れた。
「シャロン、そこだ! 棒を振り下ろせ!」
「ていっ! ……どうでしょうか? てごたえはありましたけど」
 ロイの指示通りに動いたシャロンは目隠しを取ると、割れているスイカを見た。
「きゃあ! やりましたわ♪」
 そして割ったスイカは、四人で仲良く食べる。
 すると疲れが出たのか、ジャックとロイ、シャロンはビーチパラソルの下で眠ってしまった。弟妹達の寝顔を見ながら、アルバートは遠い過去を思い出す。
「……ホント、昔っから変わらないんだから。でも正直なことを言えば、変わってほしくないというのもあるわね」

 
 白と黒のシマシマ模様のビキニに着替えたクウ(ka3730)は銛を手に持って、カルロとガレアスに教えてもらった海の幸がとれる場所へ弟と共に訪れた。
「海は広いわ、大きいわ! この銛で大きな魚をとるわよ! この海の主とか、近くにいると良いんだけどね。みんなで美味しくいただきたいわ」
「……姉貴は漁がしたいのか、海鮮料理を食べたいのか、どっちだよ?」
 冷静にツッこんだのは、弟のカイ(ka3770)だ。黒いハーフパンツを穿いており、自分も銛と木の桶を持っている。
「俺はウニやタコ、あわびやなまこを狙うかな。とれたてならば生でも美味いし、酢醤油につけたり、釜飯や汁物にしてもいいな」
「情けないわね! 私と漁で対戦することよりも、食べることが大事なの?」
「魚ばっかりじゃあ俺達ならともかく、他の人が飽きると思ったんだ。一緒に来ている仲間達に海鮮料理を振る舞うなら、いろんな海の幸があった方がいいだろう?」
「むぅ……。一理あるわね」
「だろう? とってきたものは、あっちの洞窟に海水溜まりがあるらしいから、そこへ入れておこうぜ」
「ええ。それじゃあお昼になる前に、とっとと海に潜りましょうか」
 そして二人は海へ入り、クウは魚を、カイは海底にいる食材をとっていく。
「大分とったな。そろそろビーチへ運ぶか」
 カイが木の桶に収穫物を入れている姿を見ながら、クウは真剣な表情でこっそり近付き、ある女性の名前を耳打ちする。
「……のこと、本当は好きなんじゃないの?」
 ゴトッと桶を落としたカイは、真っ赤な顔でクウを睨み付けた。
「ななな何を突然っ……!」
「だって無意識だろうけど、元気がないもの。きっとあの娘がいないせいだろうと思ってね。ふふっ、照れて隠さなくてもいいのよ。私はお姉ちゃんなんだから」
 クウは微笑みながら、カイの頭を優しく撫でる。
「好き……かもしれないけど、まだよく分からないんだ。ただ……一緒じゃないと、寂しいような……気はする」
「そう。大丈夫、誰にも言わないわ。カイの恋が実ることを、姉として心から祈っているから」
「俺のことよりも、自分のことを心配しろよ!」
 耳まで真っ赤になったカイは、手早く桶に収穫物を入れると洞窟を出た。


 ビーチではオウガ(ka2124)とフィリテ・ノート(ka0810)が手を繋ぎながら、海へ向かって走っている。
「海だ海だっ! リテ、早く泳ごうぜ!」
「うん!」
 赤いハーフパンツを穿いているオウガと、橙色と赤のボーダー柄のビキニを着たフェリテは恋人という関係だ。
 海のデートはこれがはじめてなので、二人とも照れ隠しなのかいつもよりはしゃいでいる。
 水泳があまり得意ではないフェリテの手を握り締めながら、オウガはゆっくりと波に身をゆだねながら泳ぐ。
「海が冷たくて気持ち良いわね、オウガ。暑い太陽の光が心地良いぐらい」
「あっああ……。ところでリテ、体がその……くっつけ過ぎじゃないか?」
「だって、まだ一人じゃ泳げないんだもの。オウガ、ちゃんとあたしを支えてね」
 にっこり微笑みながら、フェリテはオウガの背中にくっついた。
「ぅおあっ! たったく……、しょうがねーな」
 そこでフェリテはビーチから、こちらへ手を振っているヘルヴェル(ka4784)の姿を発見する。
「あっ、ヘルさん。おーいっ!」
 フェリテが手を振り返すと、黒のビキニを着ているヘルヴェルは海へ入り、泳いで二人の所へ来た。
「やあ、お二人さん。遠くから見たら、まるで亀の親子のように見えたよ」
「おっ俺達は恋人だ!」
「分かっているよ。けれどフェリテ、まだ成長途中のオウガの体では不安定だろう? あたしの所へおいで」
 二人より身長が高いヘルヴェルは、ヒョイッとフェリテを抱き上げてしまう。
「はわわっ!」
「おい、コラッ! 返せ! リテは俺のもんだっ!」
 オウガは急いでフェリテを奪い返して、見せつけるように柔らかな頬にキスをする。
「はぅう~!」
 ボンッと音が鳴るほど真っ赤になったフェリテを見て、ヘルヴェルはクスクスと笑いながら肩を竦めた。
「おやおや。二人の近くにいると、余計に熱さを感じるな。先に上がっているよ」
 ヘルヴェルは泳いでビーチまで戻ると、同じく海から上がってきた青のセパレートの水着を着ているアティニュス(ka4735)と鉢合わせる。
「海の調査がてら泳いでいましたが……、ヘルヴェルさん、若い恋人達はあまりからかわない方がいいですよ」
「おや、見られていたか。何せ幼馴染みのクウとカイが漁に出てしまって、寂しかったものでな」
「では私のお手伝いをしていただけますか? お二人がとってきた食材で、海鮮料理を作る予定なんです」
「それなら喜んで」
 二人は並んで歩き、陸地に近い所に用意されたキッチンへ向かう。
 すると長テーブルの上にはすでに、クウとカイがとってきた海鮮物が置いてあった。
「どうやら一回届けただけでは足りないほど、大漁みたいですね。早速調理をはじめましょうか」
 エプロンもテーブルの上に置いてあったので、二人は水着の上につける。
「そういえば、この海の調査結果はどうだった?」
「危険な所はありませんでした。浅瀬が広いですし、子供でも安全に遊べるでしょう。また海鮮物も豊富のようですから、遊ぶ他にも漁をするという選択肢を加えることを依頼人に勧めてみますよ」
 二人は手際よく魚をさばきながらも、会話を続けた。
「クウとカイも漁に夢中になっているんだろうな。ホントはカイと競泳をして、あたしがポロリしそうになったらカイに何とかしてもらおうと思っていたのに」
 心底残念そうに語ったヘルヴェルの言葉を聞いて、アティニュスは苦く笑う。
「いくら幼馴染みでも、ちょっかいをかける方法はもう少し選んだ方がいいですよ」
「そうだな。やり過ぎると姉のクウに怒られそうだし、馬に蹴られても嫌だしな」
 ヘルヴェルはニヤニヤと笑い、楽しそうだ。
 ――しかしその笑みは、昼食時には崩れることになる。
 クウとカイが最後の収穫物を運んできて、オウガとフェリテも海から出てきたところで食事となった。
「ああっ!? カイっ、その焼いたタコはあたしが狙っていたヤツだぞ! クウっ、あたしの皿からウニを奪うな!」
「はいはい。みなさん、まだまだありますから、奪い合いは止めてくださいね」
 アティニュスの言葉は届いているのかどうか、騒がしい食事は続く――。

依頼結果

依頼成功度成功
面白かった! 10
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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 自爆王
    紫月・海斗(ka0788
    人間(蒼)|30才|男性|機導師
  • 恋人は幼馴染
    フィリテ・ノート(ka0810
    人間(紅)|14才|女性|魔術師
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • 白薔薇姫
    シャロン・S・グリーヴ(ka1260
    人間(紅)|10才|女性|猟撃士
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 全てを見渡す翠眼
    アルバート・P・グリーヴ(ka1310
    人間(紅)|25才|男性|魔術師
  • 優しき氷牙
    カルロ・カルカ(ka1608
    エルフ|23才|男性|魔術師
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • 名誉騎士
    ロイ・I・グリーヴ(ka1819
    人間(紅)|18才|男性|疾影士
  • 夢の迷い子
    イザヤ・K・フィルデント(ka1841
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 援励の竜
    オウガ(ka2124
    人間(紅)|14才|男性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 対触手モニター『谷』
    柏部 狭綾(ka2697
    人間(蒼)|17才|女性|猟撃士
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • 混沌系アイドル
    エリス・ブーリャ(ka3419
    エルフ|17才|女性|機導師
  • 疾く強きケモノ
    クウ(ka3730
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • 情報屋兼便利屋
    カイ(ka3770
    人間(紅)|20才|男性|疾影士

  • ガレアス・クーヴェイ(ka3848
    人間(紅)|44才|男性|霊闘士
  • 白兎と重ねる時間
    玉兎・恵(ka3940
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 重装鉄壁
    八雲 奏(ka4074
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 世界に示す名
    アティニュス(ka4735
    人間(蒼)|16才|女性|舞刀士
  • 絆を繋ぐ
    ヘルヴェル(ka4784
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • 双星の決刀
    叢雲・咲姫(ka5090
    人間(紅)|18才|女性|舞刀士
  • 双星の兆矢
    叢雲 伊織(ka5091
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談&雑談卓
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/08/04 22:32:22
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/08/01 11:18:06