復讐の是非

マスター:蒼かなた

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/11/03 19:00
完成日
2015/11/10 05:56

みんなの思い出

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オープニング

●殺しの理由
 人を殺すことは悪だろうか?
 とある世界では如何なる理由があろうともそれは許されない。
 とある国では死刑という死をもって罰とするところもある。
 とある時代では仇討ちが推奨され、それを成さなければ社会に認められないこともあった。
 人を殺すということはその世界、その国、その時代の価値観と文化によって意味合いが大きく変わってしまうものなのだ。
 ただ一つ変わらないのは、人の世には必ず復讐が絶えないということだ。

「許すまじ」
 その一言と共に白刃が振るわれた。
 白昼堂々、混雑している食堂で鮮血が舞う。
 昼から酒を飲んでいた男が顔に浴びたソレに触れながら呆然とした顔で隣を見る。
 そこには首のない男が一人。視線をずらせば、今まさに食べようとしていた肉と野菜が盛られた皿の上にこちらを見上げてくる男の顔があった。
 絶叫と悲鳴が食堂の中に響き渡る。その中でただ一人、壮年の男だけが静かに刀に付着した血を払い鞘へと収める。
「騒がせたな」
 それだけ言うと壮年の男はその場を後にする。残るは人々の喧騒と物言わぬ骸のみ。

●ハンターオフィス
「先日起こった殺人事件をご存知でしょうか?」
 リゼリオのハンターオフィスに集められたハンター達にオフィス職員が語りかける。
 中には耳にしている者もいるだろう。白昼堂々の惨劇。何ともなしに近づいて、一言と共に抜刀し首を落とす。そして何事もなかったかのように立ち去った。
 犠牲者は1人だけだったがその大胆不敵な手口と多数の目撃者から噂はあっという間にリゼリオ中に広がっていた。
「その犯人とされるのが彼、リヴァス・フロントンです」
 ハンター達の目の前に壮年の男性の姿が映し出される。恐らく40代半ばほどだろうか。肌に多少衰えは見られるが逞しい体つきをしている。
「リヴァスは元ハンターで、数年前まで第一線で活躍していました」
 そしてとある依頼での怪我を元に引退。今は片田舎で穏やかに暮らしているはずだった。
 その彼が何故あんな凶行に及んだのか。それは単純で分かり易いものだった。
「こちらで調査した結果。リヴァスの住む村に賊が現れ、犠牲者が多数でたようです」
 その犠牲者の中にリヴァスの家族もいた。そう、この事件の動機は極めて簡単な理由。
 復讐なのだ。
「殺されたのはその賊の一味であることが分かっています。そして別の街でもその一味が殺されていることが分かりました」
 その何れも賊とその仲間を殺すのみでそれ以外には一切手を出していない。それならば一体何の問題があるのか?
 それは勿論『人殺し』という罪である。元ハンターとは言え白昼堂々、それも街中で人を殺せば罪に問われる。殺したのが例え悪人だったとしてもだ。
 許可されていない殺しは犯罪なのだ。それ故に彼を罪人として捕らえなければならない。
 とは言え相手は引退したものの未だに覚醒する力を有した覚醒者なのだ。一般人では到底歯が立たない
 だからこそハンターオフィスにお鉢が回ってきたわけである。
「どうやらリヴァスは情報屋から賊の居場所を聞き出したようで、恐らく既に賊の一味のいる廃砦に向かっているはずです」
 オフィス職員は広げた地図の一箇所を指し示す。リゼリオから程近い海岸沿いの一角だ。
「今回、この賊に関しては討伐令が出たので生死は問いません。ただ……」
 そこでオフィス職員は一度言葉を止めるが、すぐにその続きを話す。
「リヴァスに関しても同じく、生死は問わないとのことでした。これは彼の罪に対してではなく、対峙するハンターの皆様の安全を考慮してのことです」
 殺す気でかかってくるかもしれない相手に手加減しろとは難しい話だろう。つまり捕縛が無理なら殺害も已む無しということだ。
「現場での判断はハンターに一任されています。どうかお気をつけて」

リプレイ本文

●復讐の為の刃
「うぎゃあああぁぁぁ!?」
 ハンター達が馬車を走らせ盗賊達の根城である廃砦の目の前へと迫った時、その悲鳴は響き渡った。
「どうやらもう始まっているみたいだな」
 ライガ・ミナト(ka2153)は聞こえた悲鳴に顔をしかめつつ、今回の依頼の胆となる人物であるリヴァスがそこにいることを確信する。
「急ぎましょう。何としても止めなくてはなりません」
「はいよ」
 リーリア・バックフィード(ka0873)の言葉に馬車を操るデルフィーノ(ka1548)は馬に鞭を打ち速度を上げる。
「やれやれ、しかし本当に止められると思うか?」
 エリミネーター(ka5158)は口から紫煙を吐きながらリヴァスという元ハンターの情報を思い出す。
 リヴァスが復讐の道を選んだ経緯に関しては致し方無しと思えるところもある。とはいえ、エリミネーターとしては私情を挟むつもりはない。
 ハンターズソサエティの、そして自分達ハンターのルールに則ってリヴァスにも賊にも裁きを受けさせる。エリミネーターとしてはそのつもりだ。
 それでもこう尋ねた理由は1つ。依頼を受ける時にオフィス職員からも説明された通り、生死問わずとまで判断された相手を本当に生きたまま捕らえることが出来るのかという点だ。
「それはやってみないと分からないだろ? だからやるんだよ」
 その問いに真っ先に答えたのはボルディア・コンフラムス(ka0796)だった。
「殺させない。人が死ぬのなんて見たくねぇからよ」
 それがボルディアの本音なのだろう。ハルバードの柄を強く握りこみ、祈るように瞳を閉じる。
「……」
「何か言いたげだな、藤林」
 その様子をただただ見つめていた藤林みほ(ka2804)にステラ・レッドキャップ(ka5434)がそう声を掛けた。
「黙して語らず。要らぬ言葉は諍いの種でござる」
「確かに。今回の依頼はちょっと複雑だからな」
 みほの言いたいことを察し、ステラは肩を竦めて見せた。
 既に賽は投げられているのだ。今更後戻り出来ない以上、下手なことを口にして言い争いになることを避けたのは賢明だと言えるだろう。
 そして言葉を交わす時間もいよいよなくなったようで、馬車は速度を落とし廃砦を囲う石造りの塀の前でその足を止めた。
「正面には門、周りは石の壁。どうする?」
「時間が惜しいな。どれ、わしがやろう」
 バリトン(ka5112)はそう言って盾を正面に構えると、木製の門に向かって体当たりを仕掛けた。
 衝突と同時に木がメキメキとひび割れ折れる音がするが、門は流石にその一撃だけでは壊れず未だに道を塞ぐ。
「急がないといけないんだ。手伝うぜ!」
 そこにボルディアが加わり、今度は2人掛かりで門に向かって攻撃を仕掛ける。すると何かがへし折れる音と共に門は内側へと開いた。
 ハンター達が塀の中に突入してまず最初に見たのは死体だった。広場の真ん中で血だまりに沈む男の死体が2体。姿格好からして恐らく賊の一味であろう。
「くそぉっ! 新手かよ。ふざけんじゃねぇ!!」
 と、そこで塀に囲まれた広場の一番奥にそびえている廃砦の窓の1つから男が姿を出して叫びだした。
「あんたが例の賊だな。いいか、いますぐ投降するんだ! そうすりゃ命は助かる!」
「馬鹿言ってんじゃねぇぞ! 誰が投降なん――」
 ボルディアの言葉に逆上した賊の男は文句で返そうとしたその時、鈍く光る何かが走り気づけば賊の喉元に鉄色の短いナイフが突き刺さっていた。賊は首元を押さえながら窓からずり落ち、そのまま廃砦下の地面へと落ちる。
 それに釣られるように視線を下に向ければ、乱雑に置かれた木箱の間から鳶色の革製であろう軽鎧を身にまとった壮年の男が姿を現した。
「あんたがリヴァス・フロントンだな?」
 エリミネーターはそう問いかけつつも、彼で間違いないと確信していた。その身構え方や発している気配からしてただものではないのは一目で分かったからだ。
「ハンターか。何をしに来た?」
 リヴァスはハンター達を一瞥した上でが口を開いた。そしてそれは質問ではなく確認だった。
 姿を見せてから常に発している殺気が返答次第ではすぐさま腰に下げた刀を抜くと物語っていた。
「それがまあ、意見の分かれるところなんだけど……」
 今回は中立を守ると決めたステラは自分から語るのも何だと他の仲間たちへと視線を向ける。
「お主と盗賊共に捕縛討伐令が出た。事情は聞いた、おとなしく縄に付くのなら、盗賊共の料理の仕方はお主に任せよう」
「……そうか」
 最初に口火を切ったのはバリトンだった。それはいたって簡潔に、そして分かりやすい降伏勧告。
 それにリヴァスは驚きも騒ぎもせずそれを当然のこととして受け止め、そして一言口にするだけでそれ以上は喋らなかった。
 殺気を納めないところを見るに、それが答えなのだろう。
「復讐は果たせる。それでも譲れんか」
「復讐は己の手で完遂させねば意味がない。そうだろう?」
 全てを自分の手で、それがリヴァスのけじめのつけ方なのだろう。そこにハンター達を介在させるのは許せないようだ。
「う……ぐぅ……」
 そこで小さなうめき声が皆の耳に届いた。見れば先ほど廃砦から落ちてきた賊にはまだ息があったようで、その体をわずかに動かし地面を這おうとしている。
「……まだ生きていたか」
 それを見たリヴァスは刀の柄に手を置いて瀕死の賊に歩み寄る。トドメを刺す気なのは誰が見ても明らかだった。
「お待ちなさい」
 しかしその行動に入る前にリヴァスを止めたのはリーリアだった。
 リヴァスは視線だけをリーリアに向けて問いかける。
「何故止める?」
「その行為が邪道。正道ではないからです」
 リーリアの浅紫の瞳をまっすぐリヴァスへと向けながらはっきりとした声でそう答えた。
「それで、私にこの賊共を殺すのを止めろと? 断る。こいつらは全員殺す」
「強者の理を忘れましたか。感情のままに人を殺していては畜生と同類ですよ」
 そこでリヴァスはくつりと笑う。それはリーリアの言葉に改心した訳でもなく、かといって狂ったようには見えない。
「私が畜生なら、こいつらは屑だ。塵芥だ。君の言う正道においても邪魔にしかならない害悪だろう。そんな奴らを生かす価値があるとでも?」
「……個人的な感情で語れば、私も賊に容赦はしたくありませんよ」
 その点においてはリーリアも同意見ではある。賊の犯した罪は分かっているだけで殺人、誘拐、略奪など到底許される要素は皆無だ。
「それでも感情のままの殺害は私刑と変わりません。それに何より、貴方を救う為にも彼らに法の裁きを受けさせないといけないのです」
 リヴァス自身を救う為。それこそが彼に復讐を止めさせる理由なのだ。
「私を救う? 既に罪を犯した私を救って何になるというのだ」
「誤った道を進む者を救う。それこそが貴族の矜持だからです」
 リーリアは真剣に。嘘偽りなく話したつもりだ。それは恐らくリヴァスにも伝わっているだろう。彼も笑うのを止めて、虫の息の賊を前に暫し制止している。
「そちらの言い分は分かった。ハンターらしい、いい答えだ」
 それは元ハンターから贈る褒め言葉ととるべきか。
 しかし次の瞬間、リヴァスは刀を鞘から抜くと同時に地面に這いつくばっていた賊の背中にその刃を向けた。
「だが、それでも止められぬのだ! 妻と息子の亡骸を抱いたその時から。私はもう人の心は捨てたのだ!」
「させねぇ!」
 そこに間髪入れず乱入したのはボルディアだ。ハルバードの柄のぎりぎりを掴み、腕を限界まで伸ばして突きを放つ。狙うのは今まさに振り下ろされようとしているリヴァスの刀だ。
「邪魔をするな、小娘!」
 リヴァスは刀を弾かれたところで隙だらけとなったボルディアの足を払い彼女を転倒させていた。しかし追い打ちはせず、ただ怒号をぶつけるだけだ。
「くそっ。どうしても、止められねぇのか」
「愚問。その問答は既に終わったはずだ!」
 リヴァスは叫ぶと共にもう一つの腕を振るうと幾つかの影がハンター達に向かって飛ぶ。
「やっぱりこうなるのかよ!」
 あらかじめ構えていたライガは飛来した何かを避けると、日本刀を抜いてリヴァスに接近する。
 強い踏み込みと共に姿勢を低くし、地面を滑るようにしてリヴァスの足を狙いその刀を振るう。その太刀筋には迷いはなかった。
 しかし、リヴァスが一歩下がったことによりまさに紙一重という距離でライガの攻撃は空を切る。
「逃がさんぞ」
 そこにバリトンが追撃する。抜刀した機械刀はパチリと電光を走らせ、その刃の軌跡に雷撃の残滓を飛ばす。
 だがそれもリヴァスは避けてみせた。大きく跳躍して刀の軌道から姿を消すと、そのまま廃砦の壁を背に着地する。
「私の狙いはお前達ではない」
 それだけ言うとリヴァスは廃砦に向き直り、僅かなでっぱりなどに足をかけて壁を駆け上がると開いている窓からその中へと姿を消した。
「やれやれ、やっぱり面倒なことになったな」
 動向を見守っていたエリミネーターはライフルを担ぎそう愚痴る。会話は終わった。それなら次は実力を示さないといけないだろう。
「急いで追いましょう。彼がさらなる罪を重ねる前に」
 リーリアの言葉にハンター達は廃砦の正面扉へと向かう。しかし中から押さえられているのか押しても引いてもびくともしない。
「藤原、さっきのリヴァスみたいに窓から入れないか? ロープとか使ってさ」
「むぅ、生憎と今回は鍵縄を用意していないのでござる」
 ステラの言葉にみほは不覚と呟きながらリヴァスの入っていった窓を見上げる。
「ぐあああぁぁ!?」
 その時、砦の中から悲鳴が響いてきた。恐らく、リヴァスの手によって別の賊がまた手にかかったのだろう。
「急がねば賊が全滅しそうでござるな」
「そう言いつつ全然焦ってないよな、藤原」
「さて、何のことでござる?」
 みほとステラがそんな問答をしているうちに正面扉は破壊され、廃砦内への入り口が出来た。
「急ぐぞ!」
 血の香りが漂う廃砦の中に、ハンター達は突入した。

●是非を問う
「寝てろ!」
「ぐへぇ!?」
 扉の奥で待ち受けていた賊の腹にボルディアの拳がめり込む。
 悶絶して倒れこんだところで周囲を見渡すが、この賊以外の姿は見えたらなかった。
「おい。他の仲間はどこだ?」
「げほ、ふざけ……」
 ライガが問いただそうとしたところで賊はそのまま気を失ってしまう。
「軟だな。まあ、見た感じ上に行けば見つけられそうだな」
 廃砦の中は仕切りらしい壁もなく1フロア丸ごと広間といった感じだ。雑多に散らばる寝袋や食器などを見るに賊達の生活空間なのだろうと分かる。
「2階はこっちか? っと、また分かりやすいブービートラップだな」
 エリミネーターは2階への階段の途中に張られた細い糸を見つける。解除している暇はないと全員に跨ぐように伝えて一気に2階へと向かう。
「こいつは酷ぇな」
 そして2階に着いたところでエリミネーターはその惨状に思わず言葉を零した。
 大した戦闘音も悲鳴も聞こえてこなかったので楽観視していたのかもしれない。しかし、どうやらそれは間違いだったようだ。
「見事な手並みでござるな。恐らく自分が死んだことさえ気づかなかったのでござろう」
 にやけた顔のまま転がっている生首を見てみほはそんな感想を口にした。
 階段から上ってくるのを待ち受けていたのであろう4人の賊は、いずれも一太刀の元にその命を刈り取られていた。
 そこで上の階でガラスが割れるような音が響いてきた。
「上か。既に手遅れかもしれんな」
「まだだ。諦めねぇ!」
 バリトンの言葉にボルディアは石造りの床を蹴って階段を駆け上る。
 そして3階に上ってみたところで目に入ったのは大量の樽と酒瓶だった。酒の保管場所にでもしていたのか、かなりアルコールの匂いが漂っている。
「……リヴァス」
 そしてその部屋の奥で今まさに跪いた男の首が飛び、その隣で刀を振るった血で濡れたリヴァスが立っていた。
 リヴァスは血で汚れた顔でボルディアに向き直ると、刀を振るい刃についた血を飛ばして口を開く。
「小娘、先ほどの奴はどうなった?」
「……死んだよ」
 先ほどリヴァスがトドメを刺そうとして失敗した賊は結局助からなかった。それを確認したボルディアは顔をしかめながらその問いに答えた。
「そうか。ならあと2人だな……1人は1階か」
 情報はしっかり仕入れていたのか、リヴァスは賊の人数も把握しているようだ。
 そして視線を巡らせ、ある一点で止まるとそこに向けて今落としたばかりの賊の生首を放り投げた。
「ひいぃ!?」
 するとそこから悲鳴があがり、白髪交じりの男が這い出るようにして姿を現した。
「止めなさい。これ以上の虐殺は許されません」
 ボルディアの隣に並んだリーリアがそう告げる。
「許しを請うつもりなどない」
 リヴァスが刀を振り上げたところで2人は動いた。
 ボルディアのハルバードとリーリアの槍が同時にリヴァスの体を捉える。
 リヴァスは刀でリーリアの槍は払うが、ボルディアの攻撃には間に合わずそれを左手で掴んだ。刃を握った手からは血がしたたり落ちる。
「おまえ!?」
「もう使うこともないものだ。指の1本や2本などくれてやる!」
 リヴァスの放った連撃が2人の体を打ち、衝撃で後方へ弾かれ酒樽に叩きつけられる。
 その間にリヴァスは賊の元へと向かおうとするが、その進もうとした先に銃弾が飛び動きを止める。
「俺らのこと忘れてもらっちゃ困るぜ?」
「そういうことでござる」
 リヴァスはみほの放った鎖鎌を弾くと、エリミネーターの銃弾を見てから避けた。
 しかし、流石の元高レベルハンターとはいえ数人掛かりとなれば全てを避けることはできない。
 徐々にハンター達の攻撃がその体を捕らえはじめ、1つまた1つの傷を増やしていく。
 戦いは長く続いた。気づけば日も傾き、廃砦の窓からは夕暮れの日差しが差し込んでいる。
「なあ、あんた。もうそれくらいにしようぜ? あんたは十分にやった。それでいいじゃねーか」
 膝をついたリヴァスにステラは語り掛ける。しかしリヴァスは答えず、刀を杖代わりに立ち上がる。
「家族の墓に花でも添えてやれよ。生きてなきゃそれもできないんだぜ?」
「……」
 もしかするとリヴァスには既に聞こえていないのかもしれない。風に吹かれた枯れ枝の如く揺れるその体には人を1人殺す力も残っているようには見えなかった。
「復讐を、何故果たしてはいけない?」
 掠れた声でリヴァスが問うた。それは誰かに向けた言葉ではなかったかもしれないが、ステラがそれに答えた。
「そんなこと知らねぇよ。オレはただてめぇの分の花まで添えるのは勘弁ってだけだ」
 答えになっていない回答。それを聞いたところで、リヴァスの体は崩れ落ちた。

依頼結果

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MVP一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • ノブリスオブリージュ
    リーリア・バックフィードka0873
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップka5434

重体一覧

参加者一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • ノブリスオブリージュ
    リーリア・バックフィード(ka0873
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
  • 誘惑者
    デルフィーノ(ka1548
    エルフ|27才|男性|機導師
  • 激しき闘争心
    ライガ・ミナト(ka2153
    人間(蒼)|17才|男性|闘狩人
  • くノ一
    藤林みほ(ka2804
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • (強い)爺
    バリトン(ka5112
    人間(紅)|81才|男性|舞刀士
  • クールガイ
    エリミネーター(ka5158
    人間(蒼)|35才|男性|猟撃士
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ステラ・レッドキャップ(ka5434
人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/11/03 17:27:59
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/11/02 00:43:23