• 郷祭1015

【郷祭】~フェリチタ村の収穫祭~

マスター:瑞木雫

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/11/14 22:00
完成日
2015/12/04 18:32

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●ジェオルジの収穫祭の準備 ~フェリチタ村編~
 実りの秋! 農耕推進地域のジェオルジにとって、それは待望していた季節だった。丹精を凝らして育てた農産物は、ジェオルジの大切な大切な宝物。だからこそ、村人達は収穫を楽しみにする。人と人とが助け合う希望の村――フェリチタも今年の豊作を喜び、無事の収穫を祝い、感謝していた。

 そしてそして――。

「今年のジェオルジの収穫祭――フェリチタ村では野外大型レストランと、屋台通りを催します! 『美味しい料理は皆を幸せにする!』というテーマで、我々の自慢の収穫物を味わって頂く事がコンセプトです!
 日頃感謝しているハンターの皆さんをおもてなしさせて頂きたい!」
 フェリチタ村の村長・アレッサンドロが言った。

 今年のジェオルジの収穫祭は、一時は開催自体を危ぶまれていたけれど――
 大変嬉しい事に昨年よりも多くの人の行き来があり、華やかな賑わいを見せていた。
 それには5月の春郷祭での大規模な商業展開。そして東方との交流が復活したという事も大きいようだ。

「是非、お越しくださいね!」

 クリムゾンウェストでも有名なお祭りである郷祭。
 やがて来る冬の前に、秋の収穫を堪能する一日を過ごしてみるのはいかがでしょうか?

●フェリチタの収穫祭 ~昼~
 今日は良いお天気。楽しいお祭り日和だ!
 フェリチタ村は美味しい食べ物の匂いで溢れていた。
 本当に沢山の屋台が出展。様々な料理を梯子して味わえるように敢えて少量で販売しているようである。肉料理も、魚料理も、野菜料理も、探せば食べたいものが見つかるかもしれない?
 フェリチタで最も大きい野外レストラン会場でも、歩いて食べられるようにとテイクアウト可能となっている料理が数点用意されていた。
『ジューシーな味わいの、アナグマのむかご風包み焼き』
『クリーミーでまろやかな、茸と玄米のチーズリゾット』
『素材本来の味を楽しむ濃厚な山葡萄ジュース』
 なんでもレストランの料理長のハンターの知人が考案したメニューなのだそうで、それはもう絶品料理であると人気を博していた。
 他にも、
『胡桃のタルト』、『林檎のパイ』等も人気のようである。


 一方、焼き栗&焼き芋コーナーでは………。
 栗はほっくほくの焼き栗の状態で、さつまいもは燃えない銀色の包にくるまれたそのままの状態で提供される。(数に限りがあるので、1人1個づつのお約束)
 
 そのままの状態であるさつまいもの方はどうするのかというと――
 落ち葉や木の枝で小さな火をおこしているコーナーがあり、そのまま入れて焼いてくださいという事だそうだ。
 手繰り寄せる為の燃えない棒を渡され、軍手も必ず着用させられて。万が一にも怪我をしないようにスタッフの村人に見守られる中、自分で焼く楽しみを体験できるようである。

「ていうかこの栗とさつまいも……一度雑魔化してたってマジ?」
「んー……どうやらマジらしいな」
「へぇ。雑魔化してた物って食えるものなのか?」
「なんでも『雑魔化した食材』ってのは、雑魔化したての状態で倒した場合にはより美味しくなるかもしれないんだってさ」
「そういうもんなんだなぁ、とりあえず食べてみっか。せーので食おうぜ」
「ああ、いいよ」
「「せーの」」

 う、……美味い!!!!!

 思わず頬っぺたが落ちそうになること間違いなしの、味わい深い甘さ!
 通常の栗や薩摩芋よりも甘味がとても強くなっているようで、多くの人がこの味に感激した。


●フェリチタの収穫祭 ~夜~
 陽が暮れて夜が訪れると、野外レストランは柔らかい光を灯した。
 甘やかな赤色の薔薇を飾るしっとりとした優しい夜。美味しい料理を食べながら、美しい星空も望むことができて、まるでロマンチックな世界を演出する。

「お食事を楽しみたい方にはレストランとして、お酒を楽しみたい方にはバーとして。一人の時間をゆっくり過ごすのにも、大切な友人や家族や恋人と過ごすのにも、楽しんで貰えるように改装したの。綺麗でしょう?」
 今回、レストランのコーディネーターとなっていたロザリーナ(kz0138)が言うと、ヴァレーリオ(kz0139)が「……なんか昼と雰囲気変わりすぎじゃね」と零した。
 と言うのは、昼間は賑やかだった野外レストランが、上品でムーディーな雰囲気と変貌したからである。
 料理のメニューは豊富で絶品である事はさることながら、夜はお酒と、催しの音楽に力を注いでいるらしい。
 お客さん達は規模の大きいレストランの中心部に設置された深紅の薔薇のステージを見つめ、お酒を味わっていた。
「オリジナルワインに、オリジナルビール。それからバーテンダーを呼んでいるから、カクテルもオーソドックスなものから、お客様のお好みに合わせたカクテルを作る事もできるのよ!
 あとは食事を彩るエンターテイメントも、大切よね!
 だから舞台で歌ってくださる方や演奏してくださる方もお呼びしてるのよ♪」

 楽しんで行ってね、とロザリーナは微笑んだ。


●一方。レストランの裏側では……
「もたもたするなッ、回らないだろうがッ!」
 美味しい美味しい料理を作っているレストランの調理場では。巷では料理界の彗星と呼ばれている野外レストランの監修兼料理長のギアン・アナスタージ(kz0165)の厳しい怒号が響いていた。
 私語厳禁。
 ……いや、喋れるような休まる時間なんて無い。
 美味しいものを作る上でとにかく早く提供できるように、調理人達はテキパキと動く事を要求されていた。
 賑やかなお祭りの裏側の、ピリピリした現場なのである。
 ――と言いつつ、彼らのこの後の予定は打ち上げパーティー。
 収穫祭が無事に終了した後に、お疲れさまとねぎらいあう訳だ。
(「え、ギアン先生も来るのか?」)
(「えぇ。気まずいな……」)
 そんな声があるのも事実だが、ギアンは全く気にしない。
 むしろ仕事中にコテンパンに怒号を浴びせた相手にだって何も気にせず乾杯できるようなオンオフきっちり派の男なのだ。
 そういう訳なので打ち上げパーティーは仕事中の時のようにピリピリせずに、楽しめる筈。自分達が作った美味しい料理を肴で楽しく乾杯するのがいいだろう。
 とはいえ収穫祭が終わるまでは調理人に休まる余裕は無さそうであるけれど――――

リプレイ本文

●felicita
 笑顔が溢れる昼に聴こえてくる音は、ルナ・レンフィールド(ka1565)が『お昼も演奏しませんか?』と提案してくれた演奏の奏だった。
 音色は産まれると、まるで風景のように優しくふうわりと融けこんで。
 ルナの『主役はお客さんであり、彼らがお喋りする時間を大切にしたい』気持ちがよく滲み込んでいた。
 賛同するアルカ・ブラックウェル(ka0790)も、(あくまで風景の一つとして皆に楽しんで欲しいな!)、と想いを乗せて。
 笛の奏者であるエステル・クレティエ(ka3783)も、ほんの少し緊張しながら心を込めて応える。
(今までもお祭りで一緒に演奏させて貰ったけれど、それは好きって気持ち一つで良くて、こんな風にお仕事として私が立っていいのかな……)
 そんな不安があるのも事実だけれど――。
(……ルナさんとアルカさんが居るから大丈夫)
 今迄も一緒に演奏した事がある二人とだから気を強く持って臨む事が出来るだろう。
(さあ、勇気を出して楽しんで……)
 ――あなたの音と、私の音。
 演奏中、エステルとルナは絶妙に絡み合うハーモニーを肌に感じて、柔らかに微笑んだ。
 まるでおしゃべりのように楽しげなフーガ、ゆったりと紡ぐメヌエット、優美なワルツ。
 そんな二人の音に合わせ、アルカが歌い、踊る様に舞う。
『この感じ良いなぁ』
『とっても癒される音楽ね』
『うん、凄く素敵!』
 皆が、誰もが、彼女達の音楽に楽しさを感じずには居られない。
 きっと……長閑で賑わしい収穫祭にぴったりの華やかなこのメロディは、皆の想い出の音となって深く刻まれるのだろう。

 こうして始まったばかりのフェリチタの収穫祭――。
 素敵な音楽が融けている村で、今、どんな笑顔が溢れているだろうか。

「俺は初めてですからね、案内よろしくお願いしやすよ」
「任せてくだせぇ、そこそこ案内できると思いまさ」
 春咲=桜蓮・紫苑(ka3668)に頼られて嬉しい鬼百合(ka3667)は、張り切って案内役をした。馴染みのある道。ぐるりと巡れば、通りすがる村人は笑顔になる。
「おー、あの時のハンターさん!」
 遊びに来てくれて嬉しそうな挨拶に、鬼百合も笑顔で挨拶。
 紫苑はというとそんな鬼百合を眺めつつ、此処の人に感謝されているんだなぁと見守っていて。
「ねーさん次はあれ食べましょうぜ!」
「ほう」
 紫苑は、にたにたと笑った。
「横にある焼き野菜販売している屋台は目に入ってない感じですかぃ?」
 びくっとする鬼百合。
「ま、祭でまで野菜食べなくていいと思うんでさ」
 そんなふうに動揺しているのをまた、くく、と笑う。
「……冗談ですよ、祭りでは食べてぇもんを食べるのが作法ですぜ」
 という事で、屋台の肉料理を一緒に。
 そして次は鬼百合が活躍した例の――
「そう! 栗とお芋! これオレも収穫手伝ったんですぜ!」
 雑魔につかれた時は大変で、でも勇敢に戦って――と、ちょっと大げさに伝えてしまうのはご愛嬌。
 一方で紫苑は、収穫や雑魔の事、彼の仕事ぶりを、楽しそうに相槌を打って聞いて居た。
(子供が知らねぇ所できっちり働いてる、ってなぁ、感慨深ぇもんですねぇ)
 しみじみと浸るのは、火を使う時にも。
「流石に火ぃくらい使えまさ。もう子供じゃないんですぜ」
「そうか、子供じゃねぇですか。じゃあ焼いてもらいましょうかね、大人への第一歩って奴でさ」
 鬼百合が焼いた芋は最高の出来栄えで、ほくほくと甘く。
 頑張って収穫した味はやっぱり格別の味だ――。
「兄さん!」
 鬼百合はヴァレーリオを見掛けて声を。
「おぉ、鬼百合。姉ちゃんと一緒か?」
 男は紫苑を鬼百合の家族だと思ったらしい。紫苑と互いに挨拶を交わした。
 そして鬼百合は自分の芋を半分こ。
「美味しいものはみんなで食べた方がもっと美味しいですからねぃ!」
 少年が云うと、男は笑う。
 ――その言葉があの料理人の心を動かして、今年の収穫祭のコンセプトになってるんだぜ。と。
「凄い事じゃねぇですか」
「えっへへ」
 そんな鬼百合を見つめ、紫苑は見ていない所での働きぶりの実感が改めて沸いていた。
 一緒に山葡萄ジュースを飲みながら、しみじみと、深く。

「いるむ、みろ! たべものがいっぱいだ!」
 葉月(ka4528)はイルム=ローレ・エーレ(ka5113)の裾を引っ張ると、にこっと笑った。葉月は食べ物が大好き。美味しいものがてんこ盛りに並ぶ屋台を眺めて、天真爛漫な眸をきらきら輝かせていた。そんな可愛いお友達に。
「人が一杯居るし、はぐれないように手を繋いで食べ歩きをしようかっ」
「うむっ」
 イルムは騎士のように手を差し伸べ、仲良く繋ぎながら廻った。
 食べるのが勿体無い程美しく輝く、飴細工。
 不思議な煌めきを秘めた硝子玉。
 様々なきらきらと出逢いながら、葉月は破顔する。
 ――葉月に楽しんで貰いたい。
 笑ってくれる度に嬉しくなって、イルムは心が満たされていた。
「ふふっ、葉月君が一生懸命に食べ物を頬張る姿は見ているだけでボクの胸は一杯になってしまうよ!」
 イルムは微笑みを浮かべて云う。
 しかし茸と玄米のチーズリゾットを美味しそうにもぐもぐしていた葉月は、というと。
「いるむ!」
「――!」
 一口を、イルムに突っ込む。
「しあわせも、かても、わけあってこそだ!」
 晴れやかな笑顔。
「葉月君……」
 独り占めを良しとせず分けあい共存する事を好む――そんな少女だからこそ、イルムと分け合いっこしたいようだ。
 その想いが通じて、じわりと温かくなるイルムの心。
「あ。ついてるよ」と葉月の頬についている玄米を取ると、お互い和み合うのだろう。
 そして次は焼き芋と焼き栗を堪能し、その後にはお土産を探しに――
「なにかフェリチタ村ならではのアクセサリーは置いていないかな?」
「それならこれなんてどうでしょう?」
 店の人が紹介したのはブレスレット。
 村の名を因む、輝き溢れる不思議な魔石だった。
 フェリチタとは『幸福』。
 ――持ち主がどうか、幸せになりますようにと。
「うん。これにするよ! 葉月君と、来れなかったお友達二人の分を貰っていこうかな」
 そんなブレスレットのプレゼント。葉月は大喜び。装着した手首できらきらと輝いた。
 友人二人にも、喜んで貰えるだろうか。
「いるむ!」
 最後に葉月は手招きして、イルムに屈んで貰うなら――
 ぎゅっと抱き着いて。
「またこよう、もっとたのしいこと、うれしいこと。たくさんあるぞ、きっと!」
「ふふ」
 約束を交わすのだった。
 これからも沢山、葉月とイルムが幸せな事と巡り合えますように。

(あ、おった! けど……)
 ミィナ・アレグトーリア(ka0317)は探していたヴァレーリオを見つけたものの、立ち止まる。彼は村の人と話して居たようだったから。
 皿には焼きたての芋と栗。タイミングが合っていたなら、一緒に食べていたかもしれない。
 ――でも。
(依頼なら近くに居っても不自然じゃ無いけど、仲良しに思って貰ってると思わんしなぁ……)
 何となく気持ちがもやもや、と。
 胸に引っかかっているものが何なのか答えは分からず、立ち去ったのが数分前。
 その後偶然出会ったロゼに芋を分けっこするがてら、相談してみると――
「え!?」
 衝撃を受けるロゼ。
「気になるって言うか放っとけんと言うか……うちが男の人ならもっと気兼ねなく話せるんかなって思ったり」
 徐々に声が小さくなりつつ、(な、何か恥ずかしいなぁ……)、ってなって。
「えと、あの……忘れて貰えると嬉しいのん 」
 けれどロゼは――
「いっぱい話してあげてね。確かにあの子は女の子と話すのは苦手だけれど、ミィナちゃんは特別なんじゃないかしら」
 不器用なりにきっと、親しいミィナを大事にしたいと想い初めて居る筈だと伝えていた。


「今日はご一緒ありがとうございます」
 レイレリア・リナークシス(ka3872)が丁寧に紡ぐと、ノイシュ・シャノーディン(ka4419)は「そんな、こちらこそ!」と見つめて。
「お姉様と一緒にお祭に行けるなんて嬉しいわ♪ 美味しいものも沢山あるんでしょう? 楽しみ!」
 ノイシュは姉を慕う少女のように微笑んだ。
 レイレリアはお月様のように静かな眸を細め、仄かに表情を緩める。
「そうですね、存分にお祭りを楽しみましょう」
 平和とは言い難い御時世。だからこそ、こういう機会は大事にしたいと胸に抱きながら――。
 先ず賑わしい屋台を巡り歩くことに。
 ご機嫌な様子で軽食を買い込むノイシュ。
 その量の多さを見て、驚くレイレリア。
「うふふ、育ち盛りだから平気! それに、甘いものは別腹、だものね♪」
 量に心配していたレイレリアだが、どうやら全然大丈夫のよう。むしろ「美味しい♪」と薄焼きのお好み焼きクレープを食べていた。
 そして気の向くままに辿り着いた先は、焼き栗と焼き芋のコーナー。
 どうもこの栗と芋……元は雑魔だったらしく。
 ノイシュはふと零すように云う。
「雑魔が離れた食べ物って、逆に美味しくなることもあるの? 不思議ね」
 どんなものかと食べてみると、……甘い!
「わ、栗もお芋も、あつあつで美味しい!」
 はふはふと笑顔で頬張る。
「これほどの味であれば納得ですね」
 レイレリアも秘かに感動を覚えているようだ。
 それにしても此処は人が多く、ゆっくり落ち着けるような場所を探し、見つけると。なんと先客が。
「あら、可愛い猫さんね♪」
『にゃーん?』
 二人に寄ってきた懐っこい野良猫。
「フィッシュフライの衣を外したのなら食べられるかしら」
 ノイシュが首を傾げ、頷くレイレリアが猫に与える。
『にゃーん♪』
 猫ははぐはぐと頬張った。
(ふふー♪ 猫さんと戯れるお姉様も素敵)
 と、にこにこしつつレイレリアの眸を見つめていたノイシュ。
 レイレリアは猫を優しく撫で、小さな声で呟いた。
「この平和を守るため、また明日から頑張らなければなりませんね」
 彼女の言葉を聴いたノイシュも、静かに頷く。
「うん、またお姉様とこうして遊びに行きたいもの。その為なら私も頑張るわ!」
 世界は歪虚によって大地が、命が、脅かさ続けている。
 人々の安心な暮らし、幸せな場景。――守れるのは、覚醒者である自分達なのだ。


「おー、賑わってんなあ!」
 鳴沢 礼(ka4771) が云って。
「お祭り……人が多いから……小夜、迷子にならんよぉに……気ぃ付け……、……、」
 浅黄 小夜(ka3062)は、ある事を思いだして、こく。
「……手を、繋ぎましょう……」
「あ、迷子になんかならねーって……今回は」
 そんなふうに会話を弾ませつつ、楽し気に巡りながら。
 小夜は楽しみにしていた音楽が風景に融けて流るるフェリチタ村を眺め、お祭りの盛況ぶりを秘かに喜んでいた。何て言ったってお客さんを笑顔にしている料理人の一人が研司で。研司が考えた料理を食べている皆が、幸せそうな顔をしていたから。
「アナグマ!? 食えんの!? ってかアナグマって何? すげー!」
 礼も興味津々。
 好き嫌いは無く、美味しいご飯が大好き。
 そんな彼だからお誘いしてみた、というのもあって。
「藤堂のお兄はんのお料理……きっと美味しい、から……」
 こくりと頷く小夜の表情は柔らかい。
 早速食べる為に並び、順番がくると――
「……! 藤堂のお兄はん……」
 どうやら友人に挨拶する為少しの時間だけ抜ける事を許されたらしく、駆けつけたようだ。
 礼は小夜から研司の話を聞いていて、友好的に挨拶を。会えるのを楽しみにしていた事を伝えた。
 ――そして。
「うめー! ちょーうめー!」
 アナグマ料理を美味しそうに頬張りつつ、笑顔で云う。
「料理人って人を幸せにする職業っすよね!」
 研司はきっと破顔しながら、光栄に思っていたことだろう。
 一方小夜も、「やっぱり……美味しい……」と、料理の味に心温められ、ほっこりしながら。
 その時、偶然通り掛かる見知った顔。
「あ。ヴァレーリオのお兄はん……」
 ご挨拶を、と。
「お化け屋敷……面白かった、ですね……」
 男は分かりやすくビクッと固くなりつつ、「?」となっている礼を見て、研司を見て、小夜に視線を戻して、云った。
「あ、あそこのデザート、美味しいって評判だぜ……?」
 誤魔化した模様。だが美味しいのは本当。
「デザートも当然食うよな!」
 という事で礼は小夜を連れ、この後も収穫祭を満喫。
 帰る頃は空に満点の星。
(RBにいる妹、元気かなあ……)
 空を見上げ、遠い家族に想いを馳せる礼。
「どうか……しはりました……?」
 小夜は心配すると、礼は首を振って微笑むだろう。
「今日は誘ってくれてありがとう」

●serata
 楽しいフェリチタの収穫祭に素敵な宵が訪れる――。
 此処からはちょっぴり、大人な時間。

 エステルは咲蛍をまるでコサージュのように……アルカ、ルナ、そして自分の胸元に飾った。
 夜に映える、ぼんやりとした柔らかな光。
 けれど揺れない確かさ。
 まるで三人の絆を繋ぐ、御守りの様に――。
「アルカさん、ルナさん。夜の部も頑張りましょう」
 エステルの優しい声。円陣を組み手を重ね合わせ、必ず成功させようと気合いを入れ合っていた。そして。
 さあいざ、本番へ。

「知り合いなのか?」
 休憩中にレストランの様子を見るがてら姉と話していたギアンは、ステージ上のアルカを見て尋ねる。
「えぇ、そうね。お会いしたのは今回が初めてだけれど、とても近しく想う子なの」
 その理由はきっと、アルカに親しき人達の面影を感じていたから――。
 挨拶の折、姓を名乗らなくてもきっと判っていた。
 アルカはロゼにとってずっと逢いたかった女の子なのだ。

 アルカの歌は、ルナの演奏と共に。
 歌声に合わせて強弱をつけるギターのハーモニーは麗しく。
 ――イメージするのは、『孤高の紫水晶』。
「貴方をイメージした曲のようね」
「そんな訳無いだろう。逢った事も無い吾輩の事等知らん筈だ」
 続く歌は――『薔薇姫に捧ぐ』。
「これは私の曲ね!!」
「自意識過剰過ぎである」
 やれやれと呆れるギアンだったが、ロゼはそうだと信じてならなかったようだ。
 アルカは拍手喝采の中で、朗らかな笑顔を浮かべた。
 目が合ったロゼはにっこりと笑い、ギアンは気のせいだと思っているようで真顔のまま拍手をしていただろう。

 ルナのソロ演奏は、愛用のリュートで奏でる幻想的なセレナーデ。
 ちょっぴり甘くロマンチックな曲。
 星の瞬きと優しい風を感じさせる、複雑な和音のアルペジオだった――。
『素敵……』
 心地よく落ち着く奏に人々は聞き惚れながら、大切な人と共に寄り添いあっていた。
 ルナは心を込めて。
 幸せを祝福するように、優しく音で包み込んでいく――。

 エステルはフルートで奏でる。
 ――『陽光の愛し子』の前奏となる大切な役割を、凛と、確かな音で。
 それは彼女の強さ。
 そして魅力的にアルカへと繋ぐだろう。
 宵にすっと透き通っていくアカペラ。
『月光の愛し子』の対曲、幻想的な夜の謳に、人々は皆蕩けた。
『皆を照らすお日様のよう。でも、月に焦がれる想いも伝わってくるような……』
 太陽に愛されるアルカの曲は数多の人の心の内側へと、届いていって――
 昼の部と夜の部と。大活躍だった三人に、温かな拍手が起きるだろう。

「……な、なかなか良い場所じゃない」
 岩波レイナ(ka3178)はレストランのバーカウンターに座っていた。
(べ、別に気後れなんかしてないんだから! ちょ、一寸吃驚してるだけよ!)
 と自分に言い聞かせながら。
(でも本当に素敵なレストラン、星も見えるのね……)
 ――それに、何と言ってもあの深紅の薔薇のステージが。
 まるで憧れのあの方の為のステージのよう、と。
 歌姫を思い浮かべつつ眸を閉じつつ浸っていたら……。
(って、この声……!)
 吃驚していたのはレイナだけではない。
『えっ、もしかして……』
『嘘、本当に……!?』
 観客がざわつく。
 その力強さに相反する繊細さも在る、透明感のある声の主に。
 ――この限られた夢の時間を、此処に居る皆に。星に。月に。捧げる為。
 まるで一輪の薔薇が蕾から徐々に華開き、まるで夢へと誘う魅力を深く抱く。
 そう、元に居た世界で、蒼世界で、『歌姫』と呼ばれていた――
(ケイ様……!!)
 レイナはステージ上に立つ人物に見惚れ、胸が騒ぎだす。
 彼女こそ、レイナの憧れの歌姫。ケイ・R・シュトルツェ(ka0242)なのだ――。
 信じられない出来事に思わず騒然。
(ケイ様の為のステージに、本当にケイ様が……)
 ケイは麗しく、微笑みを浮かべて……。
 静かに、音を愛するように紡いだ。
 魔法のような音律。
 何処か妖艶で艶やかなジャズのアカペラを。
 その歌声は人を魅了してやまない、奇跡の声――。
『凄い……』
『なんて素敵な声なの……』
 今日初めてケイを知った観客達も、一瞬で虜となっていた。
 きっと今日から彼女のファンとなる者も少なくは無いのだろう。
 そしてケイの大ファンであるレイナも、改めて、ケイの圧倒的なカリスマ性に、ドキドキしていた。
(……やっぱり素敵で、何も言えなくなるお声……ずっと聴いて居たいな……)
 レイナは感激のあまり惚れ惚れとしながら、歌姫との想い出を重ね合わせつつ浸る。
(この空の星達も、ケイ様の声で全てで、初めて光を、命を輝かせてるみたい……一寸あたしと似てるかも……なんて)
 彼女に惚れ込んで追い掛けてからの想いが、溢れ出しているのだった。
 歌姫が魅せる、夢のような最高のスパイス。
 お酒を飲まずとも酔いしれるように熱っぽく、ドラマチックで素敵な大人の夜。
 特別なひとときが、歌姫によって、彩られていく――。


「なんか、大人な雰囲気ね……」
 アルラウネ(ka4841)がフェリチタのレストランの景観を見渡した感想を零していた。
(それにざくろんの前で服を着て出かけるのは久しぶりね)
 というのは、内心でこっそり呟きつつ。
 今宵は恋人の時音 ざくろ(ka1250)と、とある歪虚を倒したお祝い兼ロマンチックデート。
 ゆったりと寛ぐ事の出来るソファの席で隣同士座りつつ、お互いに密着していた。
 ――そして先ずは、乾杯。
 二人のグラスが静かに鳴った。
「討伐お疲れ様、あの時は2人とも大怪我しなくてほんと良かった」
 そんなふうに優しい声で云うざくろだったが、彼は別件で怪我を負ってしまっている。
 その為未だ痛みは残るようで傷を庇いつつだけれど、それでも軽く抱き寄せていた。
 アルラウネはその腕の中から、そんなざくろを見つめて。
「痛くない? 無理しちゃダメよ?」
 秘かに心配の表情を浮かべつつ尋ねるが、きっと「大丈夫」という言葉が返ってくるのだろう。
 それでも色々と手助けしたいと思い、彼を健気に支えて。注文したアナグマのむかご風包み焼きを、食べやすいようしつつ、ざくろにあーんする。
「美味しい?」
 アルラウネが訊ねると、ざくろは絶品のアナグマ料理に感激した後――
「うん、すごく美味しいよ」
 こくりと頷くように、にっこり笑うだろう。
 アナグマのむかご風包み焼きが食べたいと言ったのはざくろの方だった。
 何でも今迄アナグマ料理を食べた事が一度も無かったのだそうだ。
 だからこそどんな料理なのか、とても興味深かったらしい。
 しかし、彼が食べたかった理由というのはそれだけではない。
「一緒に料理とその時間を味わいたくて……」
 ざくろの頬がぽっと仄かに赤く染まる。
「……! ざくろんったら……」
 アルラウネは嬉しくて、もっと引っ付くように密着した。今日は何だかいつもより密着状態が長く、少しドキドキしていたり、しながら。
 そして一方のざくろも、どうやら気持ちは同じだったようだ。
 美しい音楽と輝く星空の元、傍で寄り添うアルラウネに心をときめかせていた。
「今日のアルラ、凄く綺麗だね」
 恋人へと紡ぐ、甘い言葉を囁く。
 アルラウネもいつも以上に甘えられたなら寛容な気持ちで。
「もう…、今回は特別よ」
 ロマンチックな星夜は、まるで二人を祝福しているかのように包み込んでいた。

(食べて食べて……目指せ制覇! でーすの♪)
 今日はお昼から様々なメニューを堪能していたチョココ(ka2449)は、夜、レストランでフェリチタを彩る音楽のステージを眺めつつゆったりと過ごしていた。
 一人ではなく、パルムのパルパルと一緒に。
『♪』
 頭上にちょこんと乗っている、お馴染みの同行者――チョココにとっての大切な友であり、良き相棒である。
「……んーと、パルパルの食べれそうな物はどれかなぁ……?」
『?』
 パルムは食事をしなくても生命的には大丈夫だが、食べる事も出来る――きっとチョココが選んでくれたご飯を、パルパルは美味しそうに食べていたことだろう。
 パルパルが嬉しそうでチョココは、微笑む。そしてオーダーしていたノンアルコールカクテルを味わっていた。
 色鮮やかなブルーにイエロー。花を飾り、星のようにキラキラしているロマンチックで綺麗な逸品で。
「今日はとても楽しかったですの。ね、パルパル♪」
『♪♪♪』
 そして帰る前に、と。食べたメニューはメモをすることに。
 それから一言感想を添えて……。
 ――よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ。


「収穫祭であるか。ふむ、賑やかなことは大好きだぞ」
 大王たるもの場を盛り上げていくことも大切だな、と。ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)は夜のレストランへと足を運んだ。
 高貴な印象を漂わせつつ席へと腰を下ろせばすぐ、ウェイターの青年がオーダーを窺いにやって来る。
(お酒……は今は飲めないのだったな)
 ――なので、ジュースと、それからご馳走を注文した。
 レストランが自信を持ってオススメする、フェリチタのフルコースを。
 そしてそれ程待たずして、届けられる北京ダック。
 華やかな音楽と共に、頬が落ちるような絶品料理はなんと至福の極みであろうか。
 それに、幾千もの星々が輝く空を眺めながらの食事は、まさに大王に相応しい振る舞いと言えるだろう。
「ああ、もちろんデザートはしっかりといただくぞ?」
 メインディッシュの後のお決まり。
 甘いものは古来より高貴なるものにふさわしい食べ物だから。
「ほら、皆の者も食べて歌うが良いぞ。折角の機会なのだ。この機会に乗じて楽しまなければいつ楽しむというのだ」
 ディアドラは悠然と気前よく寛容に笑っていた。

「それ使って下さってるんですね」
 神代 誠一(ka2086)は椿姫・T・ノーチェ(ka1225)の美しい黒髪に飾る、やや大きめの紅い椿があしらわれた花かんざしに気付いて、微笑みを浮かべていた。
 椿のかんざしは誠一から椿姫への贈り物だった。
 プレゼントを身に着けて来てくれるのはやはり嬉しい事である。
 それに今日の格好――お洒落してきてくれたんだろうかと密かに想う。
 普段の椿姫なら機能性重視の服装を選ぶものだが、今宵は小奇麗な装いで。
 下ろした髪の一部を纏めつつ椿簪で挿し、上品な麗しさが漂っていた。
 因みに椿姫はクリムゾンウェストに転移してからのレストランは二度目。
 そして誠一も、2人でレストランに出向くのは久しぶり。
 しかしだからと言って緊張をする事はなく。
 むしろ心が安らぎ、落ち着いて美食を味わいながら、話を弾ませる事が出来ただろう。
 同時に、誠一は酒の方も進んでいて。
 気付いた頃にはグラスに残る量もあと僅か。そして椿姫をちらり。
「あ、あと1~2杯にしておきますから……駄目、ですかね?」
 そんなふうに誠一が苦笑いを浮かべると、椿姫はくす、と微笑んだ。
「分かりました。あと1杯だけは許します」
 と、悪戯っぽく云いながら。
 そしてその後。
 メインディッシュを堪能し、運ばれてくる南瓜のムースを一口味わうタイミングに――。
「椿姫さん。トリック、オア、トリート?」
 誠一は手を伸ばして、髪の一房を撫でる様に拾った。
 椿姫は突然のことに目を見開きつつ、彼の悪戯顔を見つめ続けて―――
 数秒沈黙が流れた後、その止まった時間を解くように誠一がくすっと笑った。
「――冗談ですよ。もう時期は過ぎてますしね」
「! ……そうですね」
 それには椿姫も思わず、噴き出す。
 二人和やかに笑い合いながら、そっと、椿姫が何やらポケットを確認していたのには誠一は気付かずに………

 帰り際。
「神代さん」
 椿姫は思いだしたように、彼の名を呼んだ。
「はい?」
 何も知らず振り返る彼に、悪戯のような贈り物。
「――!」
 誠一の口に押し込まれた、甘い飴。
「悪戯されては困りますから」
 お菓子を持っていて良かったです――なんて。
 すると、目を丸くしていた誠一は瞬時に真っ赤になって、飴玉を飲み込みかけ、咽ていた。
 そんな彼を見つめるならば、椿姫は微笑んでいたことだろう。

●notte
(綺麗な演奏が仄かに聴こえてくる中、俺のを含めた立派なメニューの料理を作る……
 友達にも味わって貰える…… 幸せだな、本当に。)
 藤堂研司(ka0569)は怒涛のように忙しい調理場で沁み沁みと胸に抱いていた。
(…さあ、俺のテンションも最高潮! 全力以上で、やる!)
 ハンターで料理人――ザレム・アズール(ka0878)は【ドーナツマスター】【彩りパティシエ】【マテガイ幻獣を美食し者】等、様々な二つ名を持つ男。
 今迄の経験を武器に、菓子や食事を調理して。
 料理は普段から慣れていて一通り出来る白水 燈夜(ka0236)は足りない分の仕込み補充をしつつオールラウンドに。
 そして、白ワインによく合う南瓜のムースを担当。
 ミオレスカ(ka3496)は北京ダックを担当した。
 濃厚なタレが絡み合うご馳走。昼はパンに挟むスタイルで、夜は丸々と。沢山美味しく作る為、鳥に火を通している間は、魚や野菜を切ったり、リゾットやパイを焦がしたり冷まさないように火加減を気に掛け、調整したりもしていた。
 明王院 雫(ka5738)は、収穫祭を楽しみに訪れた大勢の方の為に懸命に力を奮うと同時に――
 村の調理人達にとって、一年で一番の腕の見せ場なのだろうからと、そのお手伝いをする心持ちで、下拵えや洗い物等。調理場が円滑に回るようにと細かな気配りを発揮させていた。

 そして……。

 収穫祭は大成功を収め、無事終了!!
 多忙で調理陣は皆もうへとへとだけれど、力を出し切った疲労感は爽やかな満足感はある事だろう。
 朝から夜まで修羅場と化していた調理場。
 色々あったけれど、今はまあ、一先ず……。

 打ち上げの準備だ!

「……お疲れ様でした」
 燈夜は云うと、まかないにと作った料理をテーブルにそっと並べた。
 無花果と葡萄のマリネ!
 椎茸のアヒージョ!
 トマトリゾット!
 可愛いうさぎ林檎!
 続く研司も、去年のとあるコンテストにて習ったという優しいまかないを!
 お客さんへのスープの余りに、余剰食材を加えて再度味を整えた踊り子風スープ!
「「「おぉ~!」」」
 皆の想い想いのまかないで彩られた所で――

\乾杯ー!/

「くぅ~~……うめぇ!!」
 研司は早速良い飲みっぷり。
 料理、酒、宴会! これぞ、祭りの後の醍醐味! ――と、実感しつつ。
 ジュースで乾杯していたミオレスカは、微笑む。
「藤堂さんの手際は、さすがでしたね」
 ――と。
「いやいや」と少し照れる研司。
 まあまあそんな謙遜なさらずに、とミオレスカは研司のビールをとくとくと注ぐ。
 そして。
「それにギアンさんの料理に対する姿勢、勉強になりました。
 どの料理も美味しく、すばらしいです」
 ミオレスカが云うと、ギアンは即答。
「だろう?」
 なんとまあ謙遜を知らない男である。
 そんなギアンに対し、
「まあでも、忙しかったけど楽しかったよ」
 ザレムはにこやかに笑いかけた。
「調理中怒号が飛び交うのは当り前さ。そんなこと気にしてたら食材を料理に昇華できない。気合の現われだよ」
「……んむ」
 こくりと頷くギアン。
『料理長ひでぇ』と陰で云われる事の方が断然多いので新鮮な意見だった。
 一方、雫は。
 大和撫子を彷彿するような気配りを仲間に絶賛され、褒めちぎられていた。
『いっぱい助けられました』
『本当にありがとう』
『雫さんが考えたお好み焼きクレープや、熱々の肉まんも大好評だったみたいだぜ』
 雫は多数のお礼に困惑するものの、力になれたなら良かった。と、内心。
「そうそう。皆にいいものが」
 ザレムは思い出したかのように、じゃん、と見せたのは――
「あ、これは……」
 ミオレスカが気付く。
 自分達は食べれないものだと諦めていた例のーー……
「雑魔が離れて美味しくなったという栗と芋なのでは」
「そうそう。トイレの序に買ってきてたんだ」
 成程、その手があったかなのである。
 という訳で早速その栗と芋を皆で分け合い、美味しく頂くことに。
「燈夜さんも食べるだろう?」
 ギアンが燈夜の分のそれを持ってくる。
 すると燈夜は、うつらうつらとこくこく。
 そしてもぐもぐ。
 因みに彼。ちびちびとお酒を飲んでおり、ほろ酔いならぬ、ほろねむ状態なのである。
「ギアンの料理。今度は客として食べてみたいなぁ……
 あと、折角だから気に入りの料理とか聞きたい……」
「ん? それはいつでも歓迎――……。あ、」
 ギアンが返すより前に、ふわ、と机に突っ伏して微睡む燈夜。
 そんな彼にそっと、雫は毛布を被せるのだった。

(……皆、笑顔一杯だった)
 研司は収穫祭の場景を振り返りつつ想う。
 今日は色んな人の、色んな笑顔を見る事が出来た日。
(これが、料理の、音楽の、祭りの力……)
 ――幸せだ。


 こうして今年の秋のフェリチタの収穫祭は終幕。
 皆の笑顔が彩りを鮮やかにした、幸せなお祭りなのだった――。

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MVP一覧

  • お茶会の魔法使い
    白水 燈夜ka0236
  • 夢を魅せる歌姫
    ケイ・R・シュトルツェka0242
  • 龍盟の戦士
    藤堂研司ka0569
  • 陽光の愛し子
    アルカ・ブラックウェルka0790
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズールka0878
  • 光森の奏者
    ルナ・レンフィールドka1565
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカka3496
  • 星の音を奏でる者
    エステル・クレティエka3783
  • 撫子の花
    明王院 雫ka5738

重体一覧

参加者一覧

  • お茶会の魔法使い
    白水 燈夜(ka0236
    人間(蒼)|21才|男性|魔術師
  • 夢を魅せる歌姫
    ケイ・R・シュトルツェ(ka0242
    人間(蒼)|21才|女性|猟撃士
  • 大王の鉄槌
    ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271
    人間(紅)|12才|女性|闘狩人
  • 幸せの魔法
    ミィナ・アレグトーリア(ka0317
    エルフ|17才|女性|魔術師
  • 龍盟の戦士
    藤堂研司(ka0569
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士
  • 陽光の愛し子
    アルカ・ブラックウェル(ka0790
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師

  • 椿姫・T・ノーチェ(ka1225
    人間(蒼)|30才|女性|疾影士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 光森の奏者
    ルナ・レンフィールド(ka1565
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • 光森の太陽
    チョココ(ka2449
    エルフ|10才|女性|魔術師
  • きら星ノスタルジア
    浅黄 小夜(ka3062
    人間(蒼)|16才|女性|魔術師
  • 歌姫の大ファン
    岩波レイナ(ka3178
    人間(蒼)|16才|女性|機導師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 瑞鬼「白澤」
    鬼百合(ka3667
    エルフ|12才|男性|魔術師
  • 任侠姐さん
    春咲=桜蓮・紫苑(ka3668
    人間(蒼)|22才|女性|闘狩人
  • 星の音を奏でる者
    エステル・クレティエ(ka3783
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • 六水晶の魔術師
    レイレリア・リナークシス(ka3872
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • オキュロフィリア
    ノイシュ・シャノーディン(ka4419
    人間(蒼)|17才|男性|猟撃士

  • 葉月(ka4528
    人間(紅)|10才|女性|闘狩人
  • 蒼き星雲に祈りを込めて
    鳴沢 礼(ka4771
    人間(蒼)|15才|男性|舞刀士
  • 甘えん坊な奥さん
    アルラウネ(ka4841
    エルフ|24才|女性|舞刀士
  • 凛然奏する蒼礼の色
    イルム=ローレ・エーレ(ka5113
    人間(紅)|24才|女性|舞刀士
  • 撫子の花
    明王院 雫(ka5738
    人間(蒼)|34才|女性|闘狩人

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マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
ギアン・アナスタージ(kz0165
人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/11/14 03:55:31
アイコン 準備打ち合わせ
ルナ・レンフィールド(ka1565
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/11/14 23:07:17
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/11/13 01:24:28