リヴァーサル・オブ・フォーチュン

マスター:藤山なないろ

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/01/23 19:00
完成日
2016/02/02 06:34

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●叙勲

「只今より叙勲式を挙行致す」
 儀仗兵が直立不動で控え、勇壮な音楽が奏でられる中、玉座の間へとやってきたのは王国の貴族軍。
 今回の動乱において王国のために出兵、或いは物資の援助、はたまた各々領地や民を最小の被害で守りきった者であったりと、王国に特別貢献したとされる者たちがこの場に召喚されていた。
 その中の一人に、王国西方グリム領を収める領主家グリムゲーテの長女ユエルがいた。
「貴族の皆さま、この度も本当にありがとうございました。歪虚の活動も沈静化しないなか、各々の領地のこともございますのに、ご助力くださいましたこと、全ての国民に代わり、わたくしから重ねて御礼を申し上げます」
 ──王女システィーナ・グラハム。彼女はそう告げて、先のハンターへの叙勲式の時のように、腰から折って礼をする。文字通り、深々と。
 そこにどんな思いが込められていたのかは分からずとも、心からの礼を尽くされている事はよく解る。
「先の北方動乱に際し、未だ幾つかの疑問が残っておいでかと存じます。それは、わたくしも同様です。ですが……わたくしたちは歪虚の脅威には屈しません。この千年王国を、また次の千年先まで、幸福であれるよう守り継ぐために。皆さまにはご負担をおかけしてしまうことも少なくないと思います。ですが、今後ともどうかご助力をお願い申し上げます」
 王女の言葉に、迷いはなかった。不安は……少し、見て取れたのだが。それでも彼女は立派に言葉を尽くす。
「続いて勲章の授与に移る。名を呼ばれた者は登壇し――」
 ――そんな大司教の声も耳に入らないほど、ユエルにとって、システィーナの姿は眩しく映っていた。
「グリム騎士団代表、ユエル・グリムゲーテ」
 ややあって、名を呼ばれたユエルはしきたりに倣って顔を上げ、静かに前へと歩み出る。伝統ある銀の器の上には上質なベルベットがかけられ、その上に鎮座する翠光中綬章の輝きを前に、ユエルは息を呑んだ。
 授与に当たって叙勲者の功績が口上されるが、全く耳に入ってこない。
「ユエル」
 こそ、と。小さな声が聞こえ、漸くユエルは翠石から視線を引き剥がす。
「約束……覚えてくれているのですね」
 今この時は自分だけに向けてくれているシスティーナの笑顔に、胸が苦しくなる。
 勲章から視線を引きはがせても、少女の美しいエメラルドの双眸からは心が離れない。
「わたくしも、負けられませんね」
「……殿下」
 私語を慎むように、と大司教が咳払い。慌てて“王女然”とした佇まいに戻ると、王女システィーナ・グラハムは彼女に出来うる限りの凛とした声でこう告げた。
「先のグリムゲーテ侯爵の事、残念に思っていました。ですが貴女の活躍を見て、きっと侯も安心なさっているはずです。今後とも、国のため力を貸してください」
 ──無論だ。迷いはない。
「イエス、ユア・ハイネス」

 この剣の全ては、貴女の為に。


●凱旋帰郷

 グリムゲーテの保有するグリム騎士団が長女ユエルを先導に遠征。ハンターらとクラベル討伐を成したのが昨年晩秋のこと。国内でもこの報せは茨の王討伐と匹敵するほどの話題になった。なにせクラベルは王都に踏み込み、直接人々を蹂躙していった。王都の民にも、周辺の街の人々にも、その因縁も浅く短いものではない。国民にとって解りやすい畏怖の対象でもあったそれが討伐されたと言うのだから、その反響が大きくなるのも必然だったのだ。故にこそ、北方動乱に関する直接的な亜人対処出なかったにも関わらず、此度の叙勲に名を連ねるに相応しいと判断されたのだろう。

 そんなユエルの帰郷は、グリム領の人々にとって喜ばしい出来事だった。
 到着したユエルの馬車を見ると領民はみな手を振って少女を出迎え、街は久方ぶりの明るい声に満ちる。
 それだけで、彼女が出した成果は十分といえた。
「お帰りなさい。領はみな貴女の話題で持ちきりよ」
 無事に領の本邸に辿りついた少女は、真っ先に領主代行を行う母への挨拶にと彼女の部屋を訪れていた。
「お爺様のご様子は?」
「今日は少し気分が良さそうだったわ。貴女が帰ってくると聞いて、嬉しそうにしていたもの」
「そうなのですか? ……嬉しい。すぐ、ご挨拶に行って参ります」


●最期の願い

 ユエルの此度の帰郷は、直に開かれる血族会議に同席すべく早期に帰郷し準備をするつもりであったことが背景としてある。だがしかし、先頃よりゲイルの父である先々代当主ブラッド・グリムゲーテ──ユエルの祖父の容体が芳しくないらしく、それを見舞う意味も多分にあった。
「お爺様、お加減はいかがですか」
 見舞いの花束を花瓶に生けながら、ユエルは窓辺に座る祖父の顔を見る。
「久しいな、ユエル。歪虚討伐で叙勲したそうじゃないか。爺の誇りだ。もっとよく、顔を見せておくれ」
 祖父の顔は、前回帰郷した時と比べて明らかに痩せていたのだが、その表情は生き生きとして、容体の実情を何ら感じさせない。それに小さく安堵しながらユエルは嬉しそうに笑う。ユエルにとって“数少ない味方”である祖父ブラッドは、自分を偽らず、ありのままを見せることが出来る──つまり、笑顔を見せても構わない相手だった。
「はい! お褒めにあずかり光栄です。これからも立派に務めます」
 ユエルの笑顔を微笑ましく見守っていたブラッドだが、その笑顔に何を見たのだろうか。老いた騎士は、愛おしそうに少女の頬を撫でる。
「なぁ、ユエル。爺は、お前が後を継ぐこと、反対なぞせんよ」
「ありがとう、ございます」
「だが、エレミアの気持ちも解ってやってくれ。あれは賢い女だ。お前の幸せの形を模索したいだけなのだ」
「はい。……エイルが生まれるまで子は私一人でしたから、後を継ぐための備えと心構えだけは、幼い頃から養って参りました。迷うこともありましたが、今はもう心は一つです。ただ悔やまれる事があるのなら、私が男でさえあれば、誰も迷うことなどなかったでしょうね」
「そんなことはない。……そんなことは、ないんだ」
 しばしの沈黙。それを破るように、ブラッドが咳込み始めた。
 ユエルが慌てて背を擦り、ややあって一呼吸ついた彼は唐突にこんな事を言い出した。
「突然だが……爺の最初で最後の願いを聞いてはもらえんか」
「最後だなんて。いくらでも力の限り成して見せます」
 胸に手を当て誓う孫娘の姿は、凛として美しい。
 小さく、愛らしく、力もなく、故に針の筵のような人生を送っていた孫娘は、いつの間に大きくなったのだろう。感慨深い面持ちで笑み、ブラッド・グリムゲーテはこれまで以上に温かい、優しい声音で告げた。
「功を立て、国に尽くし、民を守り、家を思う。そんな人生だった。わしはわしの役割を全うした。この胸には誇りこそあれ、悔いはない。だが、未だどうしても消せない心残りがある」
 最後に一目、会いたい者が居る──そう言って、ブラッドは孫娘にある願いを託した。

リプレイ本文

●グリム領

「こんにちは。今日はいい天気だわ。窓を開けてはどうかしら?」
 小さなノックの後、先々代領主ブラッド・グリムゲーテの私屋に入室したエステル・L・V・W(ka0548)は貴族の令嬢然とした振舞いで挨拶を交わすと、老人のベッド脇にある椅子へと優雅に腰掛けた。
「孫娘から話はきいておる。若いお嬢さんが、こんな爺に何の御用かの」
 しゃがれた声は穏やかだが覇気はない。
 それでも彼の目を見れば解る。衰えてなお、強い光がそこに在ることを。 
「なぜ、ウェンディに会いたいのかしら? わたくし、それを知りたいの」
 人を探し求める理由──それくらい、調査をする人間には知る権利もあろう。
「殿方の矜持? 男の憧憬? それとも……」
 微笑みのなか、エステルも相手に劣らぬ眼光を潜ませ、矢継ぎ早に尋ねる。
「ほかの、何かがあるの?」
 見透かしながら敢えて尋ねるような、そんな問いだった。
 降りる沈黙。だが、それは決して重苦しいものではない。
「く……ははは」
 突然ブラッドは笑い出し、そんな反応にエステルが頬を膨らませる。
「わたくしは真剣よ! 何が欲しいのか、ききたいの」
 ぷくっと膨れた頬をみせつけながら、口を尖らせるエステルは年相応のあどけなさを持っていて、だからこそブラッドは少し安心を覚えた。
「あやつは、面白い友をもったなぁ」
 何が面白いのかエステルにはさっぱり解らないのだが、ややあってブラッドは窓の外を見た。
 庭の木に残る枯れ葉が、風に吹かれて飛び去ってゆく。
──まるで、自らの命の在り様を見せつけられているようだ。
「爺の長話になるぞ。若人の時間は老人のそれより随分早く流れてしまう故、無駄にならねば良いのだが……」
「何を言っているの? 無駄になんかならないわ」
 エステルは被せられた言葉を即座に否定する。その表情は、愛と自信に満ちた彼女らしい笑みで溢れていた。
「貴方のような方にもほしいものがある、そんな些細でありふれた事実は宝物だから」

 ウェンディ・バークレーは、ブラッドの父が当時多額の報酬を出して息子に充てた教育兵器だった。
 王国内の教育は基本的に「等しく全ての人々は豊かでなければならない」という教会の教義に基づいたもので、王国による初等教育・プルミエール、聖堂教会による講義・エクレシア、王立学校、私塾の四つが中心。学費のかからないエクレシアや、プルミエールでも教育を受けることはできる。だがそれはあくまで「最低限」の教育であり、才の秀でない者、あるいは多少才があっても選抜されなかった者は皆、金がなければその上の教育を諦めざるを得ない。
 篩にかけられ、残ることができなかった者。生まれや能力から選ばれなかった者。
「そう言った人々にも、専門的で高度な教育を行いたい。そのために、いつか私塾を開きたいと思っているの」
 それが彼女の夢であり、願いだった。だが、それには資金が必要だ。
 故にこそ、彼女は高額な報酬を提示したグリム領主の跡継ぎの教育係を買って出たのだ。
 そこから先は簡単な話。ブラッド・グリムゲーテとウェンディ・バークレーが恋に落ちただけのこと。
 しかし、そんなある日だ。突然、恋仲であったウェンディがグリム領を去った。
 周囲の人間には領を去ることを告げていたのに、あろうことかブラッドには一言もなかったのだ。
 誰に聞いても口を閉ざし、「彼女のことは忘れたほうがいい」と言う。
 ──それが答えなのではないか? 彼女は自分に愛想を尽かしたのかもしれない。
 或いは、予定していた資金が貯まって、念願の私塾を開くため故郷に帰ったのかもしれない。
 それならば、それでいい。彼女の夢が叶うのだから、それを見送るのが彼女の為だと思った。
 けれど死が間近に迫った今、一人の生として自らの歩みを思い返すことがあるのなら。
 彼女がこの地を去った後、どんな人生を送ったのか……知りたいと願ってしまった。
 そして最後に改めて「別れの言葉」ではなく「感謝の言葉」を、伝えたいと──。

「ウェンディがどうしてここを去ったのか、貴方も知らないのね」
「あぁ。ずっと心残りだった。だが……今になってどうしても彼女を思い出す」
 息をついて、エステルを見定めた老人が覚悟を決めた様子でこう告げた。
「孫娘が、無用な争いに巻き込まれる事は避けたい。彼女ならきっと、良い言葉をくれるだろうと……頼れる人物だと、そう思ったのだ」
 自らが以前、その在り方に引かれ、導かれたように。
「ええ、大丈夫。探し出すわ、必ず。ユエルも私も、それに彼女の他の友人たちも、皆とっても優秀だもの」
 だから、安心して休んでいて──そう言い残して、エステルは静かに彼の私室を辞した。

 その後エステルは出来うる限り多くの血筋連に面通しを願ったのだが、なぜか主要な面々は王国各地への遠征に余念がないようで、留守がちにしている。
「血族会議を控えていると言って焦っていた節があるけど、何かあるのかしら」
 不審に思いつつも、諦めることは出来ない。
 最後に向かったのは話ができる数少ない相手、ユエルの母エレミアの元だった。
「如何にユエルが女系だとしても、直系を排して尚利益を教授できるほど力のある人間とすれば、限られるはず」
「……随分率直に聞くのですね」
 眉を寄せていたエレミアだが、やがて苦笑しながらエステルに応じた。
「我が家は代々武功をたて、国に引き立てられてきました。故に、戦いに十全な条件を持つと言う意味で直系の男系覚醒者が高い継承権を持ちます。年長者優位は変わりませんが、女系は男系には敵わない」
「現状それに叶いそうな方はほかにいらっしゃるの?」
 少女の問いの意図を察した様子で、溜息をついた。
「誰も彼も直系を排したいという考えではないと推察しています。別の算段ならば、話は別ですが」


●ハワード家

 ラスティ(ka1400)が訪れたのは、王国中北部に位置する学術都市アークエルスにあるカフェだった。
 少年の対面に座り、黙って彼の話を聞いているのは王国貴族ルイス・ハワード。
「ご主人様は……いえ、ブラッド様は、彼女を探しているのですか」
 ルイスはしばし目を伏せていたのだが、逡巡の後にこう切り出した。
「ウェンディ・バークレー……彼女は、アークエルスでは多少名の知れた女性なんだ」
 アークエルスで初等教育を受けていた頃、天童と呼ばれるほどに優秀な頭脳を持ち、それゆえに幼くして王立学校からスカウトを受けた人物。卒業後は自ら資金を作って、故郷のこの街で私塾を開き、恵まれない子供にも専門教育を施した、と。
「彼女はグリム領に住んでたんだろ? 知り合いなんじゃないのか?」
「僕がゲイル様の友人にと招かれた頃には、既にいらっしゃらなかった。でも、知り合いといえば知り合いだ」
「……どういう縁だ?」
 髪をがしがしと掻くラスティに思わず笑みを浮かべつつ、ルイスは改めて言葉を選び直した。
「大奥様……つまり、ブラッド様の母君の命で、ウェンディさんの私塾に資金提供をしていたんだよ」
「資金、提供……」
「僕自身も"恵まれない子供"だったからね。彼女の私塾への投資は素晴らしいことと賛同していた背景もあって、僕が使いとして行くこともあったんだ。その時にね、彼女と知り合ったんだよ」
「ブラッドの爺さん、それ知ってたのか?」
 なんというべきか迷った様子でいたルイスは、改めてラスティと向き合うとはっきりと答えた。
「いや、知らないだろうね」
「なんでだよ? 隠すこともねえだろ、良い事なんだし」
 余りに素直な視点。その言葉に大の男が苦しげに視線を落とす。
「大奥様は元々良家の御息女で、投資自体は彼女の個人資産から賄われていたものだ。使い道は彼女個人の好きにしたい。同時に、多くに知られたくないと……そう仰っていた。信用された一握りの使用人に伝えられている話だよ」
 神妙な面持ちで聞いていたかと思えば、ラスティから吐き出された言葉は、
「なるほど、全っ然わかんねえ」
 率直な彼の気持ちそのものだった。
「ウェンディの夢に投資すること自体、すごいっつーか、尊いと思うぜ。それを隠す必要があるとは思えねえよ」
「うん……ともあれ、僕が"知って"いることはこのくらいだよ」
 頷くルイスは先ほどまでと比べて随分と歯切れが悪い。
「わかった。じゃ、次の質問だ。これは依頼と直接関係無いんだが……」
 ──グリムについて、敵対的な貴族とか、そういう情報を教えてくれないか。
 その問いに、突然ルイスの目が鋭さを帯びた。
「君の質問の意図を知りたいんだけど、いいかな」
 尋ねる声音は随分硬い。応じるラスティも自然と多少の険しさが滲む。
「ユエルがそういう連中にちょっかい出される前に、知っておきたいんだ」
 ルイスも馬鹿ではない。流石にその先を語るには、少年相手とはいえど警戒していることが分かる。
 まるで睨み合うように、テーブルを挟んで二人の視線がぶつかりあう。だが……
「君が、お嬢様の本当のご友人だと……先の馬鹿正直な君の言葉を、信じて話をするよ」
 周囲の人間を見まわした後、ルイスは先ほどより少し声を潜めて話を始めた。
「お嬢様は先の北方動乱で受勲した。それ自体、"圧倒的多数の中でひとつ抜きんでた"証拠だ」
 以前からグリムゲーテは王国派の貴族として知られていたが、ゲイルの死を切欠に特に目立つようになった。
 ゲイルの死もそれを後押ししたが、後を継ごうとするユエルの王国へ見せる忠誠が余りに強すぎるのも要因だ。
「目立って活躍すれば、国からより一層引き立てられることになる。……だが、それを良く思わない連中も少なくはない」
「俺は王国派って言葉自体、どうかとおもうけどな」
 だって、それってつまり今のこの国を良く思ってない別の派閥がいるって証拠じゃねえか──少年は、言葉を噛み殺すようにして口を閉じ、腕組みをしたままそっぽを向いた。
「はは、素直でいいね。君のような子がお嬢様の傍に居てくれるのなら、少し安心かな」


●王都

◇グラズヘイム王立学校
 その日、王立学校では小さな事件が起こっていた。
 朝の登校時間の折、学園の制服を身にまとう優秀な子女たちに紛れ学校の門を潜ろうとしたハンターが一人。
「そこの君、止まりなさい」
「なんだよ、俺か?」
 門前で出迎える生徒たちへ朝の挨拶をするべく立っていた教員に、ハンターが引きとめられることになったのだ。
 理由は明確。そのハンターは顔に狐の面をつけ、正体を隠した揚句に腰から大きな剣をぶら下げていた。
 そのまま学園内に通したら教師の責任問題だ。
「どう言うつもりだ? 制服はどうした」
「俺は生徒じゃねえ。ハンターで、依頼を受けてここに来た。ブラッドっていう爺が捜してる人物の情報が欲しい」
「ハンター?」
 どうやら、少々雲行きが怪しい。
 それを察知し、慌てて傍に居た少女──ユエル・グリムゲーテが間に立ち、ぺこりと頭を下げた。
「先生、ご無沙汰してます。ユエル・グリムゲーテです。彼は先の北方動乱で叙勲した優秀なハンターで、今回は私が協力を仰ぎ……」
「え、何? ハンター? ウチに何の用だって?」
「なんかの事件? 歪虚が出たとか?」
「ていうか、あの仮面男と一緒に居るのってユエル様じゃない? どう言う関係?」
「ユエルって、グリムの? あれだろ、この間叙勲したとかって……」
 渦中のハンター──文月 弥勒(ka0300)たちの周りには、既に生徒たちで人だかりが出来ていた。彼らは『正体不明の仮面男(ハンター?)』と『在学中に叙勲した優秀な生徒』、その2つの話題でざわめき始めている。
「お前たち、いいから教室に入れ! 授業が始まるぞ!」
 騒ぎを聞きつけた数人の教員が学園内から出てくると、大声を張って立ち止まる生徒を強制的に促して行く。
「お前、学校でいつもこんな扱いなの?」
「弥勒さんが仮面付けてこなければもう少し怪しまれなかったはずですけど……」
「んだよ、そんなに見たいなら好きにしろ」
「そういう話じゃないです! ……もう」
 呆れた声で尋ねる弥勒を、恨めしそうに睨み返すユエル。そんな二人の元に、1人の老教官が近づいてきた。
「グリムゲーテ、事情を聞いても良いかね?」

 二人は学校の応接室に通され、結果として弥勒の立ち入りが特別に許可されることとなった。
 先の叙勲の話が最たる後押しとなったのだが、学校が期待をかけるユエルの存在と、この学園に時折特別講師として招いている彼女の従兄──エリオット・ヴァレンタイン王国騎士団長──のこともよぎったのだろう。
「それで、その優秀なハンター殿が我が校でなにをお探しかね?」
「ウェンディ・バークレー。この名に聞き覚えはないか?」
 尋ねる弥勒の表情は相変わらず伺えないが、対する教師は大層驚いた顔をした。
「随分、懐かしい名前だ」
「知ってんのか?」
「あぁ。この学校は過去何人も、それこそ伝説になるような天才をも輩出してきたが、その一人に名を連ねてもいいと思える才女だ。この学校の優秀な卒業生さ」
「務めてはいないのか? 教育関係の仕事に携わってたとは思うんだが」
「以前、教員にと誘いをかけて断られた。王立学校では、選ばれた人間にしか教育を施せない。彼女は、より広い人々に教育をと願っていた。自分の力を、裕福でない人々の為に生かしたいと」
 そうして、弥勒たちが得た情報はウェンディが開いたとされる学術都市アークエルスの私塾についてだった。話によると、既にウェンディは他界しており私塾も残っていないそうだが、街には彼女の最期を知る者はたくさん居るだろうと聞いている。
 学校の敷地を一歩出たところで、弥勒は大きな伸びをした。息を吐き出し、やれやれと腕をぐるりと回す。
「ま、とりあえずアークエルスに行くか」
 しかし当のユエルは懐かしむような面持ちで校舎を見上げている。
 それに気付きながら、弥勒は追及するでもない。
「学校か……懐かしいぜ」
 ──サボってた記憶しかねえけど。
 その言葉に、ほんの少し少女の心も軽くなったような気がした。


◇分樹のふもと

 誠堂 匠(ka2876)が訪れたのは、王都イルダーナにある分樹のふもと。説明に四苦八苦するも、なんとか探し人に関する情報を伝え終えると、司書が匠の元へ引っ張り出してきたのは、ウェンディ・バークレーという女の歴史の一部だった。
「パルムが目をつけて保管するわけだ」
 青年が思わず息を吐く。
 彼女の功績を思えばこそ、こうしてライブラリに情報が蓄えられていたことも納得できる。
 だが、匠が得た情報は、ここまでにエステル、弥勒が得たものとおおむね同様であり、それ以上の情報はさして多くはない。特に晩年の彼女の記録はほぼ得られていないのだが、それでも決定的な情報が一つ手に入ったことは間違いない。
「彼女に出産の記録が……? この、息子さんに関する情報はない?」
 そこには、ウェンディの全盛期の歴史の一部として「彼女の出産」に関する情報が挙げられていた。
 ──グリム領を離れて僅か半年足らずでの出産、か。
 しばし思い悩むようにしていた匠だが、彼女の息子にパルムはつかなかったのだろう。
 それ以上の情報を得ることは出来なかった。
「ウェンディの息子……ヴラド・バークレー、かな。彼の父親に関する情報は?」
 尋ねた処、突然司書がぷりぷりとそっぽを向いてしまった。
 不思議に思った匠だが、これ以上の情報をくれる気はないらしい。
「そういえば……」
 そこへ来て、匠は苦笑する。
 ──司書もまた古風な倫理観をもっており、情報の引き出しは、無制限に可能という訳ではない。俗にいう「暗転」「朝チュン」などのように、彼らによって意図的に情報制限がされているものもあるようだ。
 たしか、ライブラリのガイドにはそんな表記がされていた気がする。
 (誓って言うが、これは筆者の表記ではなくあくまでワールドガイドのものである……)
「ええと……うん、仕方ないね。ありがとう、もう十分だよ」
 そう言って、苦笑しつつ匠は分樹の元を離れた。

 その日、ハンターたちが各地の情報機関を経てなんとか各々の情報を共有し合ったのは夜遅くになってからだが、既に有意義な情報を得られているという安心感は各位に齎された。
 ウェンディー・バークレーはブラッド・グリムゲーテと恋仲であったこと。
 彼女はグリム領を出て約半年後に男児を出産していること。
 同時に彼女が消えてすぐブラッドに見合い話が持ち上がったこと。
 その後、ウェンディがアークエルスで私塾を開いたこと。
 その資金をブラッドの母親が周囲に内密で提供していたこと。
「エステルさん、どう思う? 恐らくウェンディさんは、"グリムに居る間に子供を身ごもった"はずなんだ」
 匠は通信の向こうの相手に問いかける。当事者に一番長く接したハンターとして──あるいは日頃より愛を語る者としての直感かもしれないが──彼女はこんな見解を述べる。
『その息子さん、お爺様の実子の可能性が高いんじゃない? ウェンディさんの人柄とお爺様のお話を合わせると、彼女が別の男性と通じていたとは考えにくいもの』
 通信を切った匠は、思案気な面持ちのままに振り返った。後ろに居た弥勒とユエル、小鳥遊 時雨(ka4921)が通信の結果を待っている。尤も、既に大よそ想像は付いているのだろうが。
「爺の初恋相手ってところか。犬も食わねえな」
 どうでもいい、と言う風に頭の後ろで腕組みをすると、その隣でユエルが視線を落とす。
「時々気になっていたんだけど、時折グリムの方でユエルさんを形容する際“嫡子”と敢えて言う人がいたんだ。ユエルさんも。事情、知ってたの?」
「いいえ。ですが、その言い方を求められたことは、あります」
「そっかぁ。でもお爺ちゃんの奥さん……もう亡くなってるけど、その人の“資金提供”って、なんか……ほら、養育費? とか、そういうやつみたいだよね」
「はぁ、なんっか……くだらねえよな」
 時雨と匠とで推測を交わしていたのだが、途端、弥勒が背を向ける。
 驚くハンターたちはそのままに、少年はこんな一言を残して行った。
「なにがくだらねえって……当の爺さん本人が、それを知らなかったことが、だ」


●アークエルス

「やってきました、アークエルスっ」
 馬車からぴょんと降りた時雨は、街の門の前に立つと2台の馬車に「ここで待っててね」と告げる。
「ほら、ユエルもおいでよー。早く探しに行こう!」
 時雨がぐいぐいと手を引っ張ると、ユエルが慌てて飛び出してくる。どうやら二人はいつもと様子が違うようだ。
 ふふん、と鼻をならさんばかりの堂々とした佇まいの時雨は、ユエルがいつも来ているシンプルながらも品質の良いワンピースの上に、ベロアのジャケットを羽織っている。上品な良いところのお嬢さんそのものだ。
 対するユエルは──
「ほ、本当に、これで合っていますか……っ!?」
 時雨のセーラー服を着ていた。
「うん、大丈夫だよー。似合う似合う!」
 そう言って、時雨はくふふと笑う。
 少女の視線はユエルのスカートの裾の当たりに集中しているのだが、その理由は──
「やっぱり、ちょっと身長差あったかなー?」
 スカートの丈が、思った以上に短いのだ。時雨とユエルは身長差15cm。いかに腰履きしたとしても、もとより短い丈なのだから、つまりはまぁそういう状況である。
「わ、わたし、やっぱり……!」
 そもそもなぜこんな状況になったのかと言うと、時雨が調査先を迷っていたユエルを連れ出してくれたことが一つ。そしてもう一つが……。
「うん、でもさー……何があるか、わかんないじゃん? リアルブルーの人間だ、って思われてる方が安全かもしれないよん」
 時雨の大きな瞳が、からかうでもなく強い意志を持ってユエルを見つめている。
「"敵"は人だけとは限らないから」
 ぽつりと呟く少女の気遣いに、ユエルが息をのむ。
 昨夜の情報共有を経て、出がけに匠からも同様に言い含められていたことを思い出す。
 『アークエルスで活動する際は、少し気をつけた方がいい』、と。
 そこに何が待ち受けているのかは解らないが、ユエルはただそれを思い返し、時雨の言葉に首肯した。

 探し人ウェンディが志したものは恵まれない者が専門教育を受けられる私塾であることは初日の調査で共有され、認識している。それならば、高級な店よりはごくごく普通の商店街を歩いた方が情報が得られるのではないだろうか? ──そんな発想をもとに、時雨はユエルと二人で商店街を訪れていた。
「やー勉学に興味沸くお年頃でしてっ」
 伊達眼鏡をくいっとあげてみせながら、時雨が口元に笑みを作る。
 そんな少女たちには商店街の人間も良く接してくれた。
「そうねぇ、この辺には昔ウェンディ先生っていう立派な方が居てね。みんな世話になったもんさ」
「昔……? 今は、どこに居るの?」
 不意に起こる胸騒ぎを押し隠し、時雨が問う。応じるパン屋の店主は、懐かしむような顔で優しく笑った。
「何年か前に亡くなったんだよ。先生の私塾もね、随分惜しまれたんだけど、畳んじゃってさ。てっきり息子さんが継ぐかと思ったけどねぇ」
「……おばちゃん、息子さんがいま何してるか知ってる?」
「それが、もう良い歳なのに嫁さんもとらずお屋敷に籠ってるんだよ。あたしゃ心配でねぇ」
「良かったらお会いしてお話してみたいなー、なんて……お屋敷の場所、教えてもらえないかな?」

 それからしばし、時雨とユエルが辿りついた屋敷は、豪奢とは逆を行く質素な屋敷だった。
「ここみたい、だけど……なんだか、お化け屋敷みたいだね?」
 以前ここで私塾を開き、多くの生徒を受け入れたと言うだけあって敷地はそれなりに広そうだ。だが、アークエルスの中でもはずれに位置しており、手入れがされていないようでどう見ても老朽化が進んでいる。
「うーん……ひとまず、この街に来てる人だけでも、呼んでみよっか。皆で一緒に会おう!」

◇アークエルスの影

 アークエルスは学術都市として有名な古都で、優秀な人々が歴史や魔法など様々な研究に日夜明け暮れている。
 『究理と研鑽に明け暮れてばかりの"学問に魂を売った変質者"が集まる街』とは誰の言った言葉だろうか。
 初日からアークエルスへ飛んだジェーン・ノーワース(ka2004)だが、この街で幅を利かせているのは領主のフリュイ・ド・パラディ。貴族の噂と言ってもこれと言ったものはなく、手に入るのは怪しげな研究をしている者や欲しい情報や貴重な素材を得る為に違法スレスレの手段に出る者など、文字通り学問に魂を売ったばかりに後ろめたい行為に手を染める人間の悪い噂ばかりだった。
 そんな人間がそこかしこに居ることに辟易しながら調査を継続するも、グリムに関する動きは、アークエルスの暗部では見られない。故に、既に自身の調査に難航と限界を感じ始めていた。
 そんな頃、丁度調査対象者に息子がいたという情報を共有されたジェーンはそれを利用する形にシフトした。
「ウェンディの功績をまとめた著書を出したいと思っているの。彼女に詳しい人を紹介してもらえない?」
「あぁ、そりゃいいね。この街の人間は沢山世話になったろうが、話なら息子のヴラドに聞くのが一番早いんじゃないか」
 そう言って町の人は朗らかに笑う。
「……ヴラドさん、ね。どう言う方なの?」
「学者先生をしてるよ。ウェンディ先生の優秀なとこ、継いだんだろうねえ。専門は歴史だったかな」



 聞き込みの合間、匠がやってきたのはある文具店だった。
「気に入ってこれと同じものを探してるんだ。紙の材質や封蝋から何処の物か判るかな」
 以前、何者かの依頼でグリムゲーテ家を調査していた匠は、その際に受け取った依頼人の指示書を今日まで丁寧に保管してきていた。今回それを調査にかけた匠は、証拠物を店主に渡すと、じっと答えを待つ。
 あらかた形を残して砕けた封蝋の破片を一つ一つ店主が慎重に並べると、そこには当然印璽が押されていた。重要な文書には、基本的に誰も開けていないことを証明する「封蝋」が施されることが多い。開けたら蝋が砕けるから、解りやすい証拠になるのだ。そしてその封蝋には基本的に印璽──シーリングスタンプという判子のような型を捺して固定する。印璽には本来差出人個人やその人物の家系のシンボルが刻まれており、差出人を証明する証ともなるものだ。
「こりゃ随分変わった印璽だな」
 そこに何かがありそうだ──匠は、礼を述べると店を後にした。
 その足でアークエルスにある印璽の職人という職人を当たった匠だが、答えは一つ。
「こんなのは見たことがない」
 一度引きさがった匠は仮の宿で砕けた蝋を組み合わせ、出来た模様を書き写す。
 何度も何度も眺めながら迎えた翌日、匠はその依頼書の“主”に目星をつけることとなる。


●ウェンディの息子

 ウェンディの息子が住む屋敷の情報を得たハンターたちは、移動時間を考慮し、アークエルスに調査に来ていた面々のみで訪問することになった。開いた扉から顔を出したのは、ひとりの男だった。家の中で過ごすことが多いのか、白く透明な肌に輝く金の髪、強い光を湛えた赤い瞳が印象的に見える。浮世離れした美しさの中に、影が感じられる男だった。
「単刀直入に尋ねるわ。貴方はヴラド・バークレー?」
 アークエルスで調査を続けていたジェーンが掴んだ情報の中で、彼に関する"悪い噂"は余り聞くことは出来なかった。だが、彼の研究を目当てに来るものであったり、或いはウェンディの愛弟子であったり、この家に様々な人間が出入りしている事は掴めた。多様であるが故に特定の名前を引きだすことが出来なかったのは少々手痛いが。
「はい。……私からも同様にお伺いしたい。貴方がたはどなたの依頼で母を訪ねていらしたのですか」
 一方的に情報を引き出すことは出来ないだろう。互いに顔を見合わせた後、ジェーンが口を開く。
「ブラッド・グリムゲーテ。王国西方グリム領の先々代領主よ」
「そんな立派な方が、どうして?」
 使用人も不在なのか、ブラッドが自ら訪問者へ淹れた温かい紅茶に目もくれず、ジェーンはじっと男の目を見つめている。まるで疑るような視線で。
「昔ウェンディさんにすごくお世話になったそうよ。だから、どうしても彼女の話を聞きたいみたい」
 それを受けて、時雨が身を乗り出した。
「ねぇ、よかったら一緒にグリム領に来てもらえないかな? お爺ちゃんに、ウェンディさんの話を聞かせてあげたいなー、とか」
 男は柔和な態度はそのまま、思案気な様子で頬を掻く。
「そうですね、ご老人の最後の願いです。週内は片付けねばならない論文がありますので、来週であれば……」
 しかし──それを匠が遮った。
「どうか、すぐにでも。……せめて2、3日中にもグリム領へいらして頂きたいんです。お願いできませんか」
 唯一、ブラッドの容体を担当医から聞きだしていた匠は、彼に時間がない事を理解していた。
 これは気軽に口に出来る話ではない。だが、状況を考慮したうえで発言せざるを得ないと判断したのだろう。
「突然にもかかわらず、随分強引な話ですね。貴族のお偉い様は、庶民の都合などお構いないようだ」
「本当に、すみません……。ですが恐らく、ブラッドさんにはもう時間がない」
 その言葉に、初めてヴラドが表情を崩した。驚いたように目を見開くも、口元を隠すようにして逡巡。
 咄嗟のことに癖が出たのだろう。だが……匠の目は、不意にその手元に集約された。
 ──あの指輪、まさか。
 男の右手に鈍く輝く指輪の意匠に嫌と言うほど見覚えがあった。
 重く肉厚なゴールド。宝石による装飾は一切なく、ある模様が刻まれている。
 通りでシーリング“スタンプ”を探しても辿りつかなかった訳だと得心がいく。
 だがしかし、それが果たして本当にあの印璽と同じものであるという確証は“まだ”ない。
「……解りました」
 その言葉でハッと我に返った匠は、ヴラドの赤い瞳を見つめる。
 ユエルやゲイル、ブラッドに良く似た美しい赤を。
「すぐにでも参りましょう。明日朝までに足を手配しますので……」
「それは大丈夫っ。もう馬車は町の外に待機させてるから、すぐにでもどーぞ!」
 にっと笑う時雨にまたも目を丸くしたヴラドは、ややあって破顔した。
「本当に、ハンターとは手際のよい方が多いですね」


●対面

 調査開始から5日目、アークエルスからウェンディ・バークレーの息子がやってきた。
 彼の名は敢えてグリムの屋敷内では濁され、「ブラッドの特別な客人」としてもてなされることとなるのだが、その最中の事だ。
「エイルは居るか」
「……本当に、弥勒だ」
「なんだよ、お前。弥勒"さん"だろ。ま、なんでもいいか」
 歪虚から救い出すという接点で互いに面識のあった弥勒は、エイルを尋ねることを許可され、その私室に訪れていた。弥勒はグリム騎士団が勲章を叙勲した数少ない人間でもあり、よく覚えがあったことも幸いした。
「なぁ、一個聞きてえことがあんだ」
 私室のデスクにかじりついていた少年は勉強の手を止め、彼に向き直る。
 久方ぶりにみるその顔は、最初に会った時と全く雰囲気が違う。幼いのに、随分大人びた顔をするようになった。
 それは、ユエルにひどく似て見えて──
「姉貴に任せるのは嫌か?」
「……わかんない」
 伏せられた睫毛が震えている。だが、しばらく弥勒が黙って見守っていると、エイルは意を決して口を開いた。
「でも、もう誰も、いなくならないでほしい……から」
「わかった。元気ならいい。取り返しのつかない事はするなよ」


 その約1週間後──ブラッド・グリムゲーテは永眠した。
 義理の娘、孫、そして実の息子に看取られながら。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 11
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

  • 黒の懐刀
    誠堂 匠ka2876

  • 小鳥遊 時雨ka4921

重体一覧

参加者一覧

  • 壁掛けの狐面
    文月 弥勒(ka0300
    人間(蒼)|16才|男性|闘狩人
  • その名は
    エステル・L・V・W(ka0548
    人間(紅)|15才|女性|霊闘士
  • all-rounder
    ラスティ(ka1400
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • グリム・リーパー
    ジェーン・ノーワース(ka2004
    人間(蒼)|15才|女性|疾影士
  • 黒の懐刀
    誠堂 匠(ka2876
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士

  • 小鳥遊 時雨(ka4921
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ラスティ(ka1400
人間(リアルブルー)|20才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/01/23 17:17:59
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/19 08:42:23