闇色の、甘い罠

マスター:香月丈流

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/02/15 19:00
完成日
2016/02/24 03:13

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「5千G!」
「7千G!」
「チッ、1万G!」
 熱気と興奮。
 繰り返される駆け引きと、スリル。
 相手の出方を伺いつつ、彼らはオークションを楽しんでいた。豪華な衣服や装飾品を見る限り、俗に言う『富裕層』の集まりだろう。
 それ自体は珍しくないが……異様な点が1つ。オークションの参加者は、全員『蝶型のマスク』を着用していた。スタッフや進行役も含め、素顔を晒している者は1人も居ない。
 それどころか、参加者の大半がハーフマスクやフェイスマスクを併用している。ここまで徹底して素顔を隠す理由は分からないが……会場内には、独特で怪しい雰囲気が漂っていた。
「お待たせしました。本日最大の目玉商品は……これです!」
 言葉と共に、オークション進行役の男性が小箱を取り出す。それを台に乗せてフタを開けると、中には闇色の光沢を放つ粒が入っていた。1個の大きさは3cm前後、数は20粒くらいだろう。
 それを見た瞬間、客席から歓声が上がった。会場に居る誰もが、粒の正体を知っている。闇よりも深い黒に、鼻をくすぐるような甘い匂い。老若男女を問わず、人々を魅了する食べ物……チョコレート。
 知っての通り、今年のクリムゾンウェストはチョコが足りていない。カカオ豆の収穫量が致命的に減少し、生産量が減っているからだ。一部の資産家がカカオ豆を買い占め、値を釣り上げているのも原因の1つである。
 こんな状況だからこそ、チョコの値段は一気に高騰。安い一般的な物ではなく、品質が高い高級品なら尚更に。
「それでは……5千Gから始めましょう!」
「1万5千G!」
「3万G!」
 そして……金持ちという人種は、高い物や貴重品を揃えて自慢したがる。例えチョコであっても例外ではない。
 『価値のある物なら、定価以上の値段で落札される』。
 それが分かっているからこそ、オークション主催者は様々な商品を取り揃えていた。横流しの品や、非合法な方法で入手した物も少なくない。このオークション自体、表立って行われない『闇取引』のようなモノなのだ。
「50万Gだ!」
 中年男性の叫びと共に、客席がザワつく。その騒ぎは治まりそうにないし、これ以上の金額は提示されないだろう。小槌が叩かれ、チョコは50万Gでの落札が決まった。

 と……ここまでは、よくある闇オークションの流れと変わらない。問題は、この『後』。オークションが完全に終わってから、事件は起きた。
 チョコを落札した中年男性は、馬車を使って帰宅していた。その途中、人通りの少ない道で覆面の男達が出現。馬車を取り囲み、進路と退路を塞いだ。
「何だね、君達は!」
 杖を握り、中年男性が叫ぶ。彼の言葉に応える事なく、覆面達は御者と中年男性を馬車から引きずり下ろした。そのまま、地面に組み伏せて自由を奪う。荒縄で手足を縛り、布で手早く口を塞いだ。
「静かにしてりゃ、怪我しなくて済むぜ? 俺達の狙いは『コレ』だからな」
 そう語る覆面男性の手には、チョコの小箱が握られていた。この覆面達は、単なる強盗や盗賊の類ではない。落札されたチョコだけを狙う盗人……つまりは、オークション主催者とグルなのだ。
 チョコが希少価値の今、何度オークションに出しても買い手は現れる。狙いはチョコ限定のため、被害の噂が広がる可能性も少ない。
 加えて、プライドの高い富裕層の人間が『チョコを盗まれた!』と言うワケがない。誇りや自尊心に傷が付いたり、失敗を公にするくらいなら、多少の被害には目を瞑る……そう考える者が多いからだ。
 しかし、中には例外も居るワケで。
「あのオークションはチョコだ! 私のサギが夜道を落札して……!」
 翌朝。50万Gの損害を出した中年男性は、ハンターオフィスに突撃。興奮し過ぎて意味不明な事を口走っているが、職員が丁寧に対応し、事件の概要が伝えられた。
「最悪、チョコは戻ってこなくても構わん! あの連中をブタバコ送りにしないと、ワシの気が治まらんのだよ! 報酬は弾むから、確実な仕事を頼む!」
 興奮気味に、机を叩く中年男性。その瞳には、復讐の炎が赤々と燃えていた。

リプレイ本文


 日が傾き、空が茜色に染まる時刻。寂れて薄暗い路地裏を、きらびやかな衣装の男女が歩いていた。明らかに場違いな格好に加え、『蝶型のマスク』を着用して素顔を隠している。どう見ても、怪しい人物だとしか思えない。
 が……路地を奥に進むにつれ、似たような格好の人々が増えていく。行き先は、最奥にある古びた倉庫。近隣に人が住んでいる気配は無いが、その建物だけは照明の光が漏れていた。
 今夜、この倉庫で闇オークションが開催される。一部の富裕層限定の、極秘オークションが。マスク着用で路地裏を歩いていたのは、招待された富裕層達なのだ。
 慣れた様子で狭い路地を歩き、倉庫に入っていく人々。その様子を、近くの空き家から観察する者達が居た。
「よくもまぁ……こんなに集まるもんだ。意外と、情報が漏れたりしないんだな」
 来場者の特徴やマスクを記憶しつつ、春日 啓一(ka1621)が溜息混じりに言葉を漏らす。不機嫌そうな表情をしているが、怒っているワケではない。無愛想なだけであり、鋭い黒眼は『獲物を狙う猟師』のように研ぎ澄まされている。
「通報しなくとも……噂を流すくらいは、出来そうですけれど……」
 呟くような、外待雨 時雨(ka0227)の小さな声。彼女は倉庫の見取り図を準備し、外観と見比べながら構造を頭に叩き込んでいる。天気が気になるのか、時折視線を空に向けながら。
 彼女の疑問も一理あるが……オークションの悪い噂が流れた場合、参加していた者達にも被害が及ぶ可能性がある。プライドと保身のため、泣き寝入りするしかなかったのだろう。
「やれやれ、つまらん悪事を働く者もいるものだ。これは、しかるべきお仕置きが必要か」
 鞘に納めた剣を握り直し、レイア・アローネ(ka4082)は不敵な笑みを浮かべた。相手は悪人だが、問答無用で斬り倒すワケにはいかない。捕縛して警察に突き出す必要があるが、多少なら手荒な真似をしても咎められないだろう。
 監視を続けるレイア達の視界に『見知った顔』が2つ映る。マスクや仮面で顔を隠しているが、間違いない。彼らが倉庫に入り、他の来場客が来なくなったのを確認し、ハンター達は空き家から出て行った。


 窓越しでも聞こえる、怒声や木槌の音。倉庫内ではオークションが始まり、熱気が高まっていた。老いも若きも声を張り上げ、大金が動いている。
(表立って出せない品物の裏取引……裏社会での売買はどの世界であっても変わらない、か)
 ゼクス・シュトゥルムフート(ka5529)は窓の近くに待機し、外から室内の様子を覗いていた。彼は蒼界の出身であり、裏世界の事情にも詳しい。軍に所属していた事もあり、気配を殺す術も知っている。ゼクスの頭髪は赤色で目立つが、参加者から発見される可能性は極めて低い。
「懐かしいですねー、この雰囲気。黒くて昏い感情を思い出させてくれますよ」
 ゼクス同様、外からオークションの進行を眺めていたノーマン・コモンズ(ka0251)は、口元に歪んだ笑みを浮かべた。色白で華奢な男性にも見えるが、彼は昏い過去を背負っている。恐らく……理不尽な状況や裏社会の事も体験してきたのだろう。
「皆様、大変長らくお待たせしました。本日の目玉商品は……こちらです!」
 ハンター達が外に待機している事も知らず、オークションは最後の出品を迎えた。目玉商品は、15cm四方の箱に入ったチョコ。出品と強奪を何度も繰り返している、ある意味物騒な1品である。
「それでは、500Gから参りましょう!」
「5千G!」
「7千G!」
 主催者側の暗躍を知らず、大声を上げて競り合う客達。500から始まったオークションは簡単に万単位を超え、値がドンドン上がっていく。
 競り合いが白熱する中、白く小さな手が挙がった。
「私、100万Gで入札します」
 若い女性……いや、少女の声と言うべきか。蝶型のマスカレードで素顔を隠しているが、年齢は10代前半くらい。青地に白が映えるエプロンドレスに、黒色のハイヒールで着飾っている。
 一見すると富豪令嬢のようだが……彼女は、ハンター。チョコを奪われる『囮役』を買って出た、 ティス・フュラー(ka3006)である。
 文字通り桁違いの入札金額に、会場中が静まり返っっている。進行役が会場内を見渡すが、他に入札する者は現れない。確実に落札するため、ティスが常識外れの額を提示したのが功を奏したようだ。
「おめでとうございます! 最高級チョコの落札、決定です!」
 祝福の言葉と共に、進行役がチョコを手渡す。こうして、オークションは無事終了した。落札者は順次清算を済ませ、会場を離れていく。
 落札できなかった者を狙い、売人らしき人物が声を掛けている。白狐の面にローブという個性的な格好をしているため、あまり相手にされていないようだが。
「参りましょう、お嬢様」
 そう言って、鞍馬 真(ka5819)はティスに手を伸ばした。彼は今回、護衛役として同行している。ティスが令嬢に見えるよう、執事の格好で。当然、素顔を隠すための黒い布製マスカレードも忘れていない。
 ティスは少しだけ笑みを浮かべ、真の手を取る。そのまま、2人はゆっくりと会場を出て帰路に着いた。これから、強盗が現れる事を知りながら。


 1人、また1人と会場から客が出ていく。ハンター達は建物周辺に身を隠し、スタッフだけになるのを待っていた。
「お嬢ちゃん、こんなトコで何してんだ? 未成年は寝る時間だろ?」
 裏口で待機していた時雨に、警備担当らしき男性が声を掛ける。この男も捕縛対象のスタッフだが、まだ作戦を始めるには早い。
「人待ちを……しております……」
 実際には人など待っていないが、参加者が限定されているオークションでは立ち入った事まで詮索されない。時雨の答えに納得したのか、男性は『お疲れさん』と言葉を残して裏口から戻っていく。
 同時刻。ティスと真は人通りの少ない道を移動していた。戦闘に備え、真は事前に預かっていた杖をティスに返却。月明かりの闇夜に、2人の足音が静かに響いている。
 彼女達から付かず離れず、後を追うノーマン。屋根から屋根に跳び移っているが、周囲の暗さも相まって彼に気付いている一般人は誰も居ない。
 路地裏を抜け、夜道を歩く事、十数分。ハンターとしての直感が、闇に潜む気配を捉えた。視線を合わせ、静かに頷く真とティス。彼女は精霊の力を借りて仲間達のマテリアルを感じ取り、そこに意識を重ねた。
『皆さん、聞こえますか? 強盗が現れました。会場の対応はお願いしますね?』


 ティスからのメッセージを聞いた啓一は、レイアと共に正面入り口から突入。突然の部外者乱入に、後片付け中のスタッフ達は驚きを隠せなかった。
「あの……何か、ご用でしょうか? 本日のオークションは終了しましたが……」
「俺達はハンターだ、客じゃない。闇オークションの一件で、お前達を捕まえに来た」
 話し掛けてきたスタッフに対し、鋭く言葉を返す啓一。彼の発言に、周囲の空気が一変した。
「抵抗は好きにしろ。だが……私達が来た以上、逃げられるとは思わない事だ」
 静かだが力強い、レイアの一言。これが脅しではなく本気なのは、彼女を目を見れば一目瞭然。冷たい碧眼の圧力に、数人のスタッフが腰を抜かして床に崩れ落ちた。
 が……誰もが圧倒されているワケではない。逃げる隙を窺う者も居れば、腕まくりをして闘争心を燃やす者も居る。全員を確保するため、啓一とレイアは一瞬視線を合わせて素早く左右に分かれた。
 レイアはスタッフの脚を狙い、鞘を奔らせる。逃げる隙を与えない、怒涛の連続攻撃。鋭い殴打がスタッフ数人の脚を払い、バランスを崩して転倒させた。
 啓一は観察した時の記憶を元に、見覚えのあるスタッフとの距離を詰める。素早く腕を掴んで強引に投げ飛ばし、スタッフ同士を衝突させて複数人数を一気に足止めした。
 間髪入れずロープを取り出し、倒れている者を次々に捕縛。往生際が悪く暴れる者には、降魔刀をチラつかせて床に突き刺した。無論、相手が怪我をしないように注意して。
「人を襲うって事はな、襲われる事も覚悟しなきゃならねえんだ。あんまり手間かけさせんな」
 ダメ押しとばかりに、啓一が脅しの言葉を呟く。ドスを利かせた低い声に、鋭い眼光……こんな姿を見せられて、抵抗しようとする者は居ない。数分もしないうちに、入口付近での捕縛劇は幕を閉じた。
 時を同じくして、白狐の面をした売人は会場となった建物を散策していた。部屋のプレートや案内板を見ながら、現在位置を確認。スタッフ控室に着くと、一瞬も迷わずにドアをノックした。
 誰かの返事が聞こえた後、金具の音が響いて扉が開く。と同時に、青白いガスが発生して室内に流れこんだ。それを吸ったスタッフ達は、驚きの声を上げる事なく転倒。眠りの底に落ち、静かな寝息をたてた。
「お仕事お疲れ様☆ それじゃお休み、坊や達♪」
 ご機嫌な様子で、売人が面を外す。その下から現れたのは……金髪緑眼の男性、レオナルド・テイナー(ka4157)。彼は売人に扮して建物内に侵入し、内部からスタッフを捕まえようとしていた。
 控室に入り、寝ているスタッフを捕縛するレオナルド。ついでに怪しい書類がないか確認するため、室内の紙類に目を通した。
 派手な物音で『緊急事態』に気付いたのか、スタッフの一部が窓際に駆け寄る。慌てながらも鍵を開け、外に跳び出した。
 次の瞬間、雷撃のような光が宙を奔り、スタッフ達を直撃。衝撃で全身が痺れたのか、5人前後が路面に崩れ落ちた。
 何が起きたのか分からないスタッフ達に、ゼクスが笑顔で歩み寄る。一番近くに居た者の頭部を無造作に掴み、眉間に銃口を突き付けた。
「裏社会に限らず、度の過ぎた行為は身の破滅を招く。君等の行為は、明らかにルール違反だ。やり過ぎたら、どうなるか……身を以って理解出来ただろう?」
 時として、笑顔は凶悪な武器になる。怒鳴り散らすよりも、優しい口調と満面の笑みの方が恐怖心を煽る事もある。そこまで計算し、ゼクスは笑顔のまま言葉を続けた。
「しかし、君達は実に幸運だ。依頼主からは『豚箱送りにしろ』と依頼を請け負ってる。これが何を意味するか、君等なら理解出来る筈だ」
 真綿で首を絞めるように、恐怖がジワジワと襲ってくる。それに耐えられなくなったのか、スタッフ達は意識を失った。ゼクスは彼らを素早く拘束し、目立たない場所に転がす。彼自身は再び身を隠し、『獲物』が飛び出してくるのを待った。
「何してんだ、さっさと開けろ!」
「やってるよ! でも、開かねぇんだよ!」
 裏口の方から響く、スタッフ達の怒声。出口を求めて裏手に回ったが、何故か外に繋がるドアが開かない。数人がかりで押しても、思い切り蹴ってもビクともしない。イライラだけが募り、怒声が徐々に増していった。
 ドアが開かない原因は、時雨。彼女が強い意志で不可視の結界を張っているため、その領域に踏み込めなくなっているのだ。時雨以上の精神力を備えていれば結界は通れるが……一般人では無理だろう。
「時雨ちゃ~ん、大丈夫? って……お取込み中かしらん?」
 タイミングが良いのか悪いのか、混乱するスタッフ達の元にレオナルドが遭遇。即座に状況を理解し、彼は再び睡眠ガスを生み出した。それが雲のようにスタッフ達を飲み込み、深い眠りへと誘う。
 数秒後、時雨が結界を解除してドアを開けると、レオナルド以外の者は廊下に寝転がっていた。
「レオナルドさん……ご協力、ありがとうございます……」
 深々と頭を下げ、礼を述べる時雨。レオナルドは彼女の言葉に笑顔を返しつつ、嬉々としてスタッフ達を縛り上げていた。


 ティスが仲間達に声を送ってから、数十秒。彼女の進路を塞ぐように、覆面姿の男が5人現れた。更に、後方からはナイフを持った男が5名。前後から挟まれ、進路も退路も断たれた。
「止まれ! おい、お前。チョコ持ってんだろ? 怪我したくなかったら、大人しくソレを……」
 強盗の1人が脅しを入れるが、その言葉が途切れる。辺りが暗くて良く見えないが、ティスの体からガスが吹き出し、一瞬で強盗達を飲み込んでいた。睡眠効果を持つ、雲状のガスが。
 強烈な眠気に襲われ、強盗が眠りの中に落ちていく。何とか我慢している者も居るが、時間の問題だろう。念のため、真は強盗からティスを守るような位置取りをしているが、既に半分以上の者が夢の世界に旅立っている。
「素直に眠気に従った方が良いですねえ。眠気に逆らうと、豚になっちゃうらしいですよ?」
 音も気配も無く、闇の中からノーマンが出現。軽く脅して精神的に弱らせる狙いだったが、今の強盗にとっては、心地良い子守唄と大差ない。ノーマンの登場に驚く事なく、また1人が眠りの中に落ちた。
「お……お前ら、何モンだ!?」
 意識が飛びそうになるのに耐え、強盗が叫ぶ。真は相手の攻撃を警戒しつつ、静かに口を開いた。
「俺は、お嬢様の執事であり護衛だ。まぁ……今回は出る幕がなかったが」
 若干の皮肉を込め、強盗からナイフを取り上げる。と同時に、強盗は眠気に負けて昏倒。残党や伏兵を考慮し、真は周囲を見渡したが、敵の姿や気配は無い。
「今ので全員ですね。後で暴れられたら面倒ですし、さっさと縛り上げてしまいましょう」
 そう提案し、ノーマンは事前に準備したロープの束を取り出した。真達はそれを受け取り、3人で協力して強盗団を拘束していく。ノーマンはキツめに縛っているのか、強盗から小さなうめき声が漏れているが……気にしないでおこう。
『強盗達の拘束、完了しました!』
 囮としての仕事を終え、ティスは仲間達に声を飛ばした。その声質は明るく、歳相応に喜んでいる事が分かる。
 数秒もしないうちに、魔導短伝話に着信が入った。真は自分の伝話を操作し、通話状態に移る。
「連絡、ありがとねぇ~。こっちも無事に終了ヨ。一応、警察の皆さんに『お仕事』は残してるけどねん♪」
 受話機越しに聞こえる、レオナルドの陽気な声。ティスのスキルで自分の声を伝える事は出来るが、相手の声を聞く事は出来ない。だから、彼は会場の状況を伝えるために伝話してきたのだろう。
「無事なら良かった。俺達は強盗を引き渡してから戻る。一応、会場に残党が居ないか確認してくれ」
 真は仲間の無事を聞いて安心し、自分達の状況も報告。会場で捕縛したスタッフは警察が引き取りに来るが、強盗団の方は特に決まっていない。仲間との通話が終わった後、真は付近に停めていたバイクに跨り、警察を呼びに走り出した。
 こうして……闇オークションの1つが、帝国内から消滅。ティスが落札に使った金額は、品物と交換で全額返金された。
 その後、例のチョコがどうなったのか……行方を知る者は居ない。

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MVP一覧

  • まめしの伝道者
    ノーマン・コモンズka0251
  • 破れず破り
    春日 啓一ka1621
  • 狭間へ誘う灯火
    レオナルド・テイナーka4157

重体一覧

参加者一覧

  • 雨降り婦人の夢物語
    外待雨 時雨(ka0227
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士
  • まめしの伝道者
    ノーマン・コモンズ(ka0251
    人間(紅)|24才|男性|疾影士
  • 破れず破り
    春日 啓一(ka1621
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • ツナサンドの高みへ
    ティス・フュラー(ka3006
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 狭間へ誘う灯火
    レオナルド・テイナー(ka4157
    人間(紅)|35才|男性|魔術師
  • 【ⅩⅢ】死を想え
    ゼクス・シュトゥルムフート(ka5529
    人間(蒼)|25才|男性|機導師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ティス・フュラー(ka3006
エルフ|13才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/02/15 16:17:39
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/15 16:07:24