闇に蠢く者、歪虚の騎士

マスター:草なぎ

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/02/24 15:00
完成日
2016/02/25 16:31

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 闇の中で、黒衣の歪虚が蠢いた。顔はフードで見えない。黒を一滴。呼吸を一つ。歪虚の吐息が、闇を増大させる。歪虚は豪奢な椅子に腰かけていた。ただ、眠ることなく、その場を占拠していた。すでに周辺は歪虚化が進んで闇に包まれている。
 もう一つ、闇が湧いた。こちらも黒衣の歪虚である。跪いていた。しかし、顔は隠していなかった。女である。赤い瞳、白磁の肌、長い黒髪の美女である。側頭部にそれぞれ金の角を生やしていた。女は黒い甲冑を身に付けていて、赤いオーラを放っている。アイテルカイトの妖魔騎士ゾフィルシア。
「騎士が死にました」
 ゾフィルシアの言葉に、顔を隠した歪虚は身を震わせた。闇が揺れる。
「無に還ったのだ」
「人間ごときが」
 ゾフィルシアは牙を剥いた。椅子の上の歪虚は手を持ち上げた。
「無駄なことだ。無の浸食は止められん。この世界も……いずれ無に還る」
「では、私は行きます」
「私の存在も長くは持つまい。それが定めならばな……」
 ゾフィルシアはそれには答えず、一礼してその場を後にする。

 王国西方リベルタース。ハンターズソサエティのモニターを操作している女騎士がいた。金髪の若い騎士だった。名をミリアと言った。
「ダレンが死んだか……」
 ミリアは「黒衣の妖魔騎士」の報告書に目を通していた。勇敢な男だった。心の優しい、民を思いやる誠実な騎士だった。領民を捨てて貴族が逃げ出した後も、かの地で戦っていた。異性としては惹かれなかったが、騎士としては立派な男だった。剣に生き、剣に死んだ男。もう少し、助けを求めてくれれば……。
「ミリア」
 男が声を掛けてきた。こちらも騎士である。茶髪の若い男だった。名をライネルと言った。
「ライネル」
「何を見ているんだ」
「ダレンが死んだ」
 ミリアの返答に、ライネルは吐息した。
「また良い奴を一人亡くしたな」
 騎士であれば剣に生き、剣に散るのは本望とは思わない。自分を大事に出来ない奴は早死にする。まして、歪虚との最前線で……。
「越えられないハードルに考えなしに玉砕する奴は馬鹿だ。勝手に死にやがって……。ハンターをなぜ呼ばなかった」
「しかし……」
 ミリアは言葉を零した。歪虚の侵食は止まらない。誰かがこの地を守らねば、やらなければならないのも事実。だからこうして自分もハンターズソサエティに足を運んでいるのではないか。ここはハンターと繋がっている。世界中のネットワークと接続できる。情報も入ってくる。
「おい、新しい情報だぞ」
 近くにいた騎士マシウスが二人に声を掛けた。ミリアとライネルはマシウスのもとへ歩み寄ると、モニターを確認する。
 巡回騎士ベリリアスからの報告だった。アイテルカイトの歪虚騎士の出現。雑魔の兵隊をリュクソネル村近郊に展開しているという。
 ミリアは思った。ダレンはダレンにしかできないことをしたのだ。それを他人がどうこう言えるだろうか。彼は勇敢だった。それだけではあるまい。ダレンは雑魔から多くの民を救っていた。それがダレンなりの戦いだったのだ。
「私も戦う。私なりのやり方で」
 ミリアの言葉に、ライネルは「何だって?」と返した。
 マシウスはすでにコンソールを叩いてハンターとの連絡を取っていた。ネットワークを介してリベルタースからリゼリオへ通信が飛ぶ。

 ゾフィルシアは真紅の瞳でリュクソネル村を見ていた。歪虚にとって人間、世界、生物はすべからく無に帰すべき存在である。その手段がどうあれ、歪虚の目的は変わらない。生物の命を奪うかどうかは問題ではないのだ。だから攻撃そのものに意味があるとすれば、それは歪虚の力のレベルによると言ってよい。それはゾフィルシアのアイテルカイトとしての力がまだ下位であることを示しているのだが。それは彼女も理解しており、己が戦士として戦わざるを得ないことも分かっている。
 女妖魔の横に並ぶ異形の騎兵達。闇の軍勢が侵攻しようとしていた。
 しかし。
 ゾフィルシアは新たな人間達の出現を確認する。それは歪虚にとっての滅ぼすべき光の存在であり脅威。マテリアルを行使し、歪虚を滅する存在。覚醒者。ハンターと騎士たちが、到着したのだ。
 ゾフィルシアは呼吸を整えると、手を上げた。
「攻撃目標を変更する。敵戦力を叩く! 宴はその後だ!」
 異形の騎兵達が咆哮する。光と闇の戦いが始まる。

リプレイ本文

 これだけのベルセルクが揃ったことは実に不幸であった。無論、歪虚にとっての災厄である。ただ一人を除いてではあるが……。

「……さて、今回は随分大所帯だ、な」
 オウカ・レンヴォルト(ka0301)は先方の敵戦列を見やり呟く。
「村には行かせないし皆で生きて帰る為にも歪虚は問答無用でぐーぱんち!」
 リューリ・ハルマ(ka0502)の溌剌とした声がオウカの口許を緩めさせる。
「真正面からの純粋な力比べ……いいねぇ、最ッ高じゃねぇか! この俺を、どこまでも燃えさせてくれよ! 歪虚ォ!」
 ボルディア・コンフラムス(ka0796)は咆哮した。
「村に一匹でも入れるわけにはいかないからな。ここで全部潰しとかないと」
 ミリア・コーネリウス(ka1287)は言って、ボルディアの大声に耳の穴をかっぽじった。
「お主と肩を並べて暴れるのは何時ぶりか、存分に楽しもうではないか」
 バルバロス(ka2119)の言葉に答えたのはHolmes(ka3813)。
「さて、エスコートはいるかい? バルバロス」
「エスコートか……お主に任せると、わしの出番が無くなってしまうのぅ」
 バルバロスは苦笑する。
「今はHolmesと名乗る我が友よ、お互い名は変われど、本質は変わらぬ……戦士の魂は戦の中でこそ燃え上がるモノよ! 小細工など無用、策など無粋、荒れ狂う力を存分に振り回す、共に駆けた戦場を思いだすな」
「全くだね。ふふふっ、冗談さ。キミにそれが不要なのは、ボクが良く知っているからね」
 アメリア・フォーサイス(ka4111)は魔導拳銃とライフルのセーフティロックを解除する。
「今回私の出番はあまりなさそうですねー。とは言っても数で負けてる以上何もしないわけにもいかないですし働きましょうか」
 アメリア可愛い。
「なんだ? 随分と数が多いな、騎士道精神みたいなことを抜かしているが、敵は敵だ全く信用出来ない。仕事は仕事、敵自体には興味が無いし、害獣駆除みたいなものだ」
 全身鬼殺しの甲冑に身を包んだカイン・マッコール(ka5336)が言った。
「何であろうと確実に殺す。とは言え重装備の騎兵は確実に脅威だし自分の地力で考えると正面から勝つのは難しいか……。投石紐があればだいぶ楽になるんだけど……」
 いや、ピストルでも持てばいいじゃないかとは天の声である。リアルブルーでは中世も半ばを過ぎれば騎士も拳銃で武装したものだが。それはカインの仁義に反するのであろうか。
「そう言えばな」
 バルバロスが仲間たちに言った。
「先日リベルタースで歪虚騎兵と戦ったのだが、余り物足りなかった。と言うのが正直なところだ。今回も全く同じかどうかは分からんがのう」
 そうこうする間に敵が動き始める。咆哮を上げて一列横隊で突撃を敢行して来た。
「まずはボクらが敵と当たるから、少し後ろからついてきて、抜けてきた敵、背を向けた敵、止めをさせそうな敵を攻撃してくれ。ボクらの背中を任せることになる。頼んだぜ騎士ミリア」
 コーネリウスは騎士ミリアに言った。女騎士は頷いた。
「分かったわ。お手並み拝見ね」
 リベルタース騎士たちが抜刀する。
「ではハンターのみんなに続け! 行こうみんな! 全軍突撃!」
 ハンターたちも加速した。

 両軍を天頂方向から俯瞰する。二つの戦列は勢い激突に向かって加速していく。アメリアがライフルで狙い澄まして御挨拶。
「リロード!」
 そして両軍激突。ハンターたちの中心にいるオウカとボルディアが勢い敵陣を突破してゾフィルシアに向かって突き抜けた。

 魔戦士は赤いオーラを放っていた。オウカとボルディアが対峙する。
「ん、こんにちは……ひとつ、付き合ってもらおう、か。名を、聞いておこうか、歪虚」
「アイテルカイトに向かって傲慢な奴だ。気に言ったぞ。私はゾフィルシア。魔術卿バルマングルド様にお仕えする魔戦士。エフェックス男爵を追放したのは魔術卿である。くくく……いまやあのカントリーハウスは歪虚化が始まっているがな」
「ゾフィってのか? 良く喋る奴だな。その余裕、どこまで本物か見せてもらおうか」
 ボルディアが牙を剥いてにいっと笑った。
「ゾフィ? 面白いな。来い人間」
 ゾフィルシアは笑って抜刀した。
 オウカは精霊馬を加速させると、ウイリーでマシンを持ち上げ、ゾフィルシアにぶつけた。それから斬魔刀「祢々切丸」でエレクトリックショックを叩き込んだ。雷撃がゾフィルシアを包み込む。続いてボルディアが戦馬に鞭入れ突進。ハルバード「ヒュペリオン」を連続でぶち込んだ。ゾフィルシアは弾き返しつつ笑う。
「その程度で、俺の攻撃を防げると思ってンじゃねぇだろうなぁ!」
「ふふ……やるっ……! な、人間どもが! アイテルカイトを傷つける……とはな!」
 ゾフィルシアはオーラを刀身に乗せて一閃した。赤い閃光がほとばしる。オウカとボルディアは貫かれた。
「さすが、だが」
 オウカはスピンターンしながら機体を操り、反撃の一打を見舞う。ボルディアは咆哮して連撃を浴びせかけた。ゾフィルシアは笑いながら攻撃を受けていた。ボルディアのハルバードが顔面をかすめる。
「まだまだ……だ! 人間!」
 ゾフィルシアは全身からオーラを吹き出した。オウカとボルディアは吹っ飛んだ。ゾフィルシアは目元の血を拭うと、それを舐めた。

 歪虚騎兵はハンターたちを両翼から包み込み始める。それを攻撃するリベルタース騎士。
「狙い通りってね!」
 リューリは歪虚騎兵と激突し、戦槍を連撃で撃ち込んだ。歪虚は連撃を受けてよろめき、しかし反撃してくる。リューリは切られたが、リジェネレーション発動。
「ミリっち! そっちは頼んだよ! 気を付けて!」
「あいな!」
 コーネリウスはすでにバルバロスとHolmesらとともに前線の人となり交戦に入っている。
「よっし、いつものように派手に行くかバルバロスのおっさん!」
「ぶるうううああああ! フハハハハ! 死ぬなよミリア!」
「誰が死ぬかって!」
 コーネリウスは全身甲冑「ファーヴニル」を身にまとい、ギガースアックスを振るう。すでに突撃魂で歪虚騎兵の首を刎ねている。
「おらおらおらああああ! でい! アメリア! 援護頼むぜ!」
 コーネリウスは歪虚の打撃を跳ね返し、受け止め、ギガースアックスを振るってアメリアの方角を見やる。
 すでにアメリアはライフルを構え、制圧射撃の連弾を放つ。ライフル六連射。歪虚騎兵が弾丸を浴びて仰け反る。アメリアはリロードすると、再び照準を合わせてライフルを構える。リベルタース騎士を援護射撃。
「悪さはさせませんよ~。悪いけどお馬さんも狙わせて頂きますね」
 ライフルをズドンとやって歪虚の騎馬を撃つ。続いて制圧射撃。ライフルを構えたまま水平に移動させ、次々と銃撃を行う。
「アメリアさんばっちぐー! ていやあ!」
 リューリはナックルで連弾を叩き込む。歪虚騎兵の攻撃をリジェネで回復しながら打撃と槍の攻撃で沈めて行く。
 カインは妖剣で最初の激突において歪虚を弾き飛ばしてから粉砕し、戦場を見渡しながら戦馬を操り、この乱戦を確認する。リベルタース騎士は後方から突撃して歪虚騎兵に打撃を与えていた。
「しかし……やや手に余る感じか」
 カインは戦馬を反転させると、リベルタース騎士の支援に向かった。すぐ目の前の歪虚に背後から切り掛かかる。
「勝てそうにないのなら、数の優位を取ってから後ろから殴るのが一番確実か、狙いは頭部か肩口に叩きこむのが得策か」
 カインは突撃すると歪虚騎兵の頭部に刀身を振り下ろした。鈍い音がして、歪虚は態勢を崩した。リベルタース騎士と連携して、歪虚騎兵を追いこむ。剣を全力で振るい、歪虚の腕を切り飛ばした。そのまま激突し、歪虚を大地になぎ倒す。騎馬を粉砕し、戦馬で歪虚を踏みつけると、妖剣を歪虚に突き刺した。続いて反転し、次なる歪虚騎兵へと向かう。歪虚騎兵と十合にわたって打ち合い、兜の中で舌打ちしたのち、バックラーに持ち替えこの強敵を盾でぶん殴った。
「落ちろよこの野郎」
 鬼爪籠手で歪虚の頭を掴むと、ぐいっと万力を込めてねじ折った。歪虚兵は落馬して地面に転がった。再び戦馬で踏みつけ、カインは歪虚の首を刎ねた。
 と、カインは背後からガツンと殴られた。激震が頭部に走る。
「と、……ちい!」
 カインは振り返った。歪虚騎兵が剣を振りかぶっていた。
「カインさん!」
 リューリが戦槍を投げつけた。槍が歪虚の甲冑を貫通する。よろめく歪虚。動きが鈍ったところをカインが反撃。剣を叩き込んだ。
 リューリは加速して槍を引き抜くと、「ていやああああ!」とナックルで連撃を浴びせかける。
 連打を浴びた歪虚は沈んだ。
「すまん。助かった」
「大丈夫! みんなで戦えば怖くないってね!」
 リューリはウインクして拳をグーで持ち上げた。
「さあ行こう! まだまだあ!」
「よし、行くぞ」
「リベルタースのみんなも! もうひと踏ん張りだ!」
 アメリアは戦場を俯瞰しつつ、徐々にではあるが数を減らして行く歪虚を確認していく。
「あと一息ですね~」
 ライフルでの狙撃を徹底しつつ、アメリアは呼吸を整える。照準の先に見える歪虚騎兵に銃口を合わせる。
「動くなですよ~良い子ちゃんですからね~。おとなしくやられなさい!」
 ズドンと一発。歪虚は頭部を撃ち抜かれて崩れ落ちた。リベルタース騎士が止めを刺す。
「ぶるううううあああああ!」
 ベルセルクが狂戦士、バルバロスの猛威が吹き荒れていた。すでに本気モードに入っている。ギガースアックスが吹き荒れれば歪虚は衝撃に襲われ、後退し、バルバロスと距離を取っていた。意を決して飛び込んだ歪虚の頭部がギガースアックスで粉砕される。
「ふっはははは! 懐かしいものよな、Holmesよ。どれほど年月を重ねても戦の喜びは変わらぬ!」
 すでによけることをしない狂戦士は無数の傷を受けているのだが、超再生で回復させながら暴風のように戦場に吹き荒れた。
「あっははははっ、懐かしいねバルバロス! 昔を思い出すよ!」
 Holmesもまた戦場の嵐と化していた。振るうは大鎌「グリムリーパー」。ベルセルクのドワーフは、バルバロスとともに戦場の嵐となる。リジェネレーションで回復させながら、歪虚騎士を切り裂いて行く。
「ぶるうううああああ!」
 二人のドワーフは、息を合わせて歪虚を狩り取っていく。

 バルバロスが歌う。

 我と共に在るは小さく大きな勇者なり
 同じ魂をもつ勇者なり
 ならば我も勇者なり
 勇者が負けることはない
 然らばこの戦我等の勝利なり。

 そしてHolmesが歌う。

 手には得物、乗る愛機。
 並ぶは戦友、背に救済。
 前には強敵、浮かぶ笑み。
 然らば負ける道理無し。

 ベルセルクの唄が戦場に流れ、それは仲間たちの意識を鼓舞した。目覚めよ魂。戦士の雄叫び。

「しかし……まあ、あまり長引かせて味方に被害を出すのも不味い……一気に押し潰す! ぶるうううああああ! 常在戦場、準備など何時でもできておる。合わせるまでもなく、息が合ってしまう、だろう?」
 バルバロスがにやりと笑うと、Holmesは答えた。
「ああ、準備は良いかな、我が友よ。久々の共闘だからといって、息の合わせ方まで忘れてはいないだろう?」

 オウカとボルディアはゾフィルシアとの激戦の中にあった。ゾフィルシアは本気を遂に出すことは無かった。
 オウカは負傷していた。さすがに強い。バルマングルドとやらのネームド魔戦士。そして冷静でもあった。二人のハンターを相手取りながら、冷静に戦況を確認していた。そして――。
「ふむ……どうやら遊んでいる時間は無いようだな。さすがに黒騎士を潰した連中か……。ベリアル公がてこずるのも理解した」
 ゾフィルシアは二人をオーラで吹き飛ばすと、剣を上空に突き出し、赤いオーラ―を轟音とともに空に打ち放った。
 歪虚騎兵達がそれを確認して、何やら咆哮して、次々と戦線を離脱する。
「何だ?」
 ボルディアはいぶしげに背後の動きを見た。
 歪虚と仲間たちがやってくる。残った歪虚騎兵はゾフィルシアの前を固めると、剣を前に突きだして戦列を組んだ。
 ゾフィルシアは悠然と前に進み出てきた。
「お前たちの実力は見せてもらった。だが、どうやらアイテルカイトの私が幕を引くには早過ぎるようだ。惜しいが、この場はこれまでとしよう」
 ゾフィルシアは手を上げると、口許を緩めた。
「戦士には戦士の魂を。剣には剣の命を。燃え盛る獣の闘志には猛り狂うマグマの炎を。来い。エフェックス男爵領へ。カントリーハウスで待つ。我々はまだ近隣への侵攻はほとんど開始していない」
「ん……だとお……! あぁ、なんか言ったかよ歪虚! もっとデケェ声で言わねぇと聞こえねぇぞまな板ァ!」
 ボルディアは咆哮したが、異変に気が付いた。
「……!?」
「言ったはずだぞ。この場はこれまでだとな」
 ゾフィルシアの言葉は、ほぼ全員を行動不能に陥れた。ボルディア始め、何人かは抵抗していたが、コーネリウス、アメリア、カイン、そしてリベルタース騎士たちは動けなくなっていた。どの程度のバッドステータスかは分からなかったが、はっきり割りきれる能力ではなかった。
 ゾフィルシアは兵士達を伴うと、後退した。
「さらばだハンターたち!」
 ゾフィルシアは笑声を残して撤退した。

 リュクソネル村へ入ったハンターたちは、祝福と喝さいを受けた。ありがとうございます!
 ハンターたちは村長へ歪虚の撤収を伝えた。それから宴の席に招かれた。
「ふうむ……」
 バルバロスはHolmesと杯を交わしていた。
「まさか逃げるとはな。アイテルカイト、か」
「バルバロス、あんたと戦えて楽しかったよ」
「ふ……」
 バルバロスはワイングラスをあおって肉料理に手を付けた。
「逃がした、か……」
 オウカが言うと、ボルディアは肩をすくめた。
「アイテルカイトは存外冷静だな」
 リューリは村人の女性たちと一緒に料理を作っていた。楽しそうだった。
 コーネリウスはがつがつ食っていた。
「ミリっち、おいしい?」
「うまい! お前が作ったのかこのスープ」
「まあね!」
「ていうかもう戦闘は終わったんだからミリっちはいいじゃない?」
「あはは。そうだね!」
 アメリアは天然果汁100%のアップルジュースを飲んで楽しそうだった。
「あー、やっぱりクリムゾンウェストの果物は新鮮ですね~♪ ねえカインさん」
「ん……そうだな。このコーヒーは焙煎が甘いな」
「何ですか?」
「俺はコーヒーには詳しいのだ」
 カインはコーヒーの香りを嗅ぎながら、ぶっきらぼうに呟いた。
 ひとまず激戦は終わった。エフェックス男爵領……カントリーハウス……バルマングルド魔術卿……。果たして、この物語の結末はあるのだろうか……。
 ハンターたちはそれぞれの思いを胸に、リゼリオへ帰還するのだった。

依頼結果

依頼成功度成功
面白かった! 4
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 元気な墓守猫
    リューリ・ハルマ(ka0502
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソード(ka1287
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • 狂戦士
    バルバロス(ka2119
    ドワーフ|75才|男性|霊闘士
  • 唯一つ、その名を
    Holmes(ka3813
    ドワーフ|8才|女性|霊闘士
  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイス(ka4111
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • イコニアの夫
    カイン・A・A・カーナボン(ka5336
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦会議室
ミリア・ラスティソード(ka1287
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/02/24 00:04:11
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/20 11:48:54